@佐原真編『古代を考える稲、金属、戦争――弥生』(吉川弘文舘)
A藤木久志『飢餓と戦争の戦国を行く』(朝日新聞社)
Bステファヌ・クルトワ&ニコラ・ヴェルト『共産主義黒書――犯罪・テロル・
抑圧:ソ連篇』(外川継男訳、恵雅堂)
@ 現代日米両政府の阿呆な戦争論を聞いていると、思いは遠く古代へ及び、
人間社会における戦争の起源問題を熱心に論じて晩年を疾駆した佐原真の仕事の
意味と、その喪失の大きさを思う。旧石器の発掘捏造は罪深い仕業ではあったが、
歴史哲学なき小泉某の有事論なども捏造犯罪の最たるもの。
A 「七度の餓死に遇うとも、一度の戦いに遇うな」。『雑兵たちの戦場』
『戦国の村を行く』に続く藤木三部作の最終巻は、中世戦国の民の戦(いくさ:
ルビ)観を明かして、@と同じく、現代支配層の卑小な戦争観をわらうものとし
て読んだ。
B 資本主義的秩序が世界を制覇している現実は、いつか崩れると確信しつ
つ、ユートピア思想のロシア的結末をさまざまな角度から見届けておくこと。
「見るべきほどのことは見つ」というまでに。
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