ユーゴ空爆の背景 利権と歴史と謀略と侵略とメディアの嘘と(22)

ユーゴ戦争:報道批判特集

コソボ撤退受託:騙し討ちを許すな!

1999.6.11 WEB雑誌『憎まれ愚痴』24号掲載

1999.6.4.mail再録。

 本日朝7時、米軍放送の定時ニュース、APのトップ項目は、「今朝、ミロシェヴィッチ大統領がコソボ撤退受託」でした。

 経済紙の日経の朝刊でも、1面の左肩に縦5段見出しで報じられています。読・朝・毎などの扇情的ミーハー紙では、もっと大きい扱いなのではないでしょうか。

 すでに昨日、クリントンが「ロシアの駐留を望む」主旨の演説をしていたりして、国際暴力団首魁のアメリカも、内外の批判の高まりに、振り上げた拳の降ろしどころを求めていたようですが、「敵もサルもの、引っ掻くもの」(平和主義の猿ちゃん、御免)、最後の騙し討ちの可能性は消えていません。

 湾岸戦争でも、CIAが、謀略報道で、クルド人の独立を呼び掛け、同時に、イラク軍がクルド人の皆殺しを図っているというデマを流し、大量のクルド人が、クルド人弾圧の首魁、トルコ国境に押し寄せるという事態が発生しました。さらにこれを根拠にした「飛行禁止区域」が、当初に加わっていたフランスが「いち抜けた」宣言以後にも、「アングロ=サクソン連合」の米英軍によって継続されています。

 そこで急ぎしたためる第1は、すでに米軍放送でも、コソボで「CIAが破壊活動を行っている」と報じていることです。

 第2は、すでに私がmailし、ホームページの「緊急:ユーゴ問題」に入れてあるKLAの指揮官交替です。

「ジュダの説明」の中から、その部分だけを以下、引用します。

「KLAが、アギム・チェクーと呼ばれる元クロアチア軍の準将(brigadier general)を、戦闘組織(military structure)の指揮官(head)に任命した」

「アギム・チェクーは、コソボ出身のアルバニア系で、1991年のクロアチア独立宣言の際にユーゴ連邦軍からクロアチア軍に移り(change)、1995年には、クロアチアにいたセルビア系住民を追放する作戦の立案に重要な役割を果たしたのだそうで、軍事的経歴が豊富だから、KLAが何としても会得したい(desperately need)経験を与えてくれると期待されている」

 第3に、つい最近の「誤爆」報道の中には、「アルバニア国内」があり、国境周辺で戦闘中のKLAの援護のための爆撃が続いているのです。

 そういう状況の中での「NATOの空爆停止前にユーゴ側が検証可能な形でコソボからの軍・治安部隊の撤退を開始」(日経1999.6.4)という条件で、しかも、ロシアの参加にまだ「あいまいな部分も残っている」「解釈の食い違いが浮上する可能性もある」(同上)のですから、甘い予測は禁物です。

「コソボに暫定的な統治機構を作り、大幅な自治権を付与」(同上)という条件をめぐって、これからもせめぎ合いが続くに違いありません。その際、「民族浄化」報道の効果も続きます。カンプチアPKO出兵でも、「ポル・ポト派の大量虐殺」問題は、まだまだ謎の部分が多いのです。国際監視下の「カンプチア選挙」は、結果として、これは私が当時、アメリカ議会の委員会報告を根拠に、『噂の真相』にも書き、拙著『国際利権を狙うPKO』にも収録してあるように、ヴェトナム再進出を狙うアメリカが、子分の日本をも使って、カンプチア人自身の手で「ポル・ポト派を片付けさせる儀式」でしかなかったのです。

 以上、取り急ぎ、警告まで。


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