ユーゴ空爆の背景 利権と歴史と謀略と侵略とメディアの嘘と(29)

ユーゴ戦争:報道批判特集

NATOを裁く国際戦争犯罪法廷のための調査項目

1999.7.2 WEB雑誌『憎まれ愚痴』27号掲載

pmnML 転載。[中略・通信情報]

 ニューヨークの国際行動センターより、アメリカ軍とNATO軍によるユーゴスラヴィアへの攻撃に対する国際戦争犯罪法廷のカテゴリーが発表されました。萩谷良さんが翻訳をされたので、原文とともに転載します。どうもありがとうございました。この発表されたカテゴリーは23項目におよんでいまして、それぞれについて、クリントン、オルブライト、コーエンを被告として、取り調べを始めます。そこで、それぞれの項目についての情報を寄せてくれるように要望しています。どの項目についてのデータでも、使えると思われるものは、国際行動センターまで知らせて下さい。


[中略・通信情報]

International Action Center 39 West 14th Street #206, New York, NY 10011
phone 212-633-6646, fax 212-633-2889
e-mail: iacenter@iacenter.org
website :www.iacenter.org

国際戦争犯罪法廷調査委員会覚書

1 調査項目とその概要

 国際行動センターでは、国際戦争犯罪法廷のための準備をいよいよ正式に開始するはこびとなりましたので、お知らせいたします。調査活動へのご参加を大いに歓迎いたします。

 初回の訴状の発表が7月31日、ニューヨーク市、服装工科大学ダブリンスキーホールで行われます。現在、ラムゼイ・クラーク元法務長官が、ウィリアム・J・クリントン、マドレーヌ・オルブライト、ウィリアム・コーエン、米国/NATO軍の将軍諸氏その他を、対ユーゴスラビア戦に関与した容疑により、被告とする、複数の訴因による訴状を執筆中です。

 以下に、調査の必要な21の問題カテゴリーを挙げます。

 有意義な調査、あるいは、有意義な情報に結びつくと見てよい調査があれば、国際行動センターにお知らせください。

 IACにお送りいただいた調査はすべて、問題のカテゴリーにしたがって、その番号で分類します。センターからお問い合わせするときの都合上、指名、電話番号、E-mailアドレスをお書き添えください。

 起訴は、平和に対する犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪にもとづきます。そこで、武装紛争に関する諸法規、ハーグ協定、ジュネーヴ協定、ニュルンベルグ憲章、国連憲章、普遍的人権宣言を検討します。

問題のカテゴリーは次の通りです。

1. ユーゴスラビア解体、およびバルカン軍事支配達成をめざし、協同で行われた行動に関する調査

2. ユーゴスラビアを経済的および軍事的に破壊するための諸行動に関する調査

3. ユーゴスラビア全土での経済生活上不可欠な諸施設の破壊に関する情報の収集

4. 国民の生活に必要な諸施設(病院、発電所、住宅地、橋梁、浄水場、その他の不可欠な建造物)を攻撃目標とし、破壊したことに関する調査

5. 歴史的遺跡と宗教施設を含む文化財の破損に関する情報収集

6. ユーゴスラビア全土での無差別爆撃に関する情報

7. 大量殺傷能力をもち禁止されている兵器(クラスター爆弾、劣化ウラン弾など)であって、軍人、民間人双方に無差別的な死と不必要な苦しみをもたらす兵器の使用に関する証言

8. ユーゴスラビア国内の、危険な物質または武力を有する施設に対して行われた攻撃の証拠

9. 米国その他西欧列強の支配力を維持するための手段として、ユーゴスラビア民衆に対して攻撃的戦争を行ったことによる、法の施行に対する妨害と国連憲章無視に関する調査

10. ロシアその他の旧ソ連領共和国、東欧諸国、南アジアの経済・政治的圏域に対する米国の長期的支配とこの地域での米国の帝国主義的諸目標の達成に対して、これらの諸国が干渉するためにもつ防衛力を制限するため、米国がNATOに対して行った操縦に関する調査。

11. 違法な戦争を遂行し、平和に対する犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪その他の重大犯罪を犯すための手段としての、憲法上保証された議会権力の腐敗に関する調査

12. 環境破壊に関する調査

13. 空爆による難民の増加に関する調査

14. KLA民兵に資金と武器を提供し、同胞殺害の暴力を促すという組織的政策に関する調査

15. 78日の爆撃ののち、予め計画していたバルカン地域、および東欧、ロシア等の旧ソ連共和国、南アジア全体に対する分割して征服せよの政策を遂行するための手段として、コソボを5つの「担当地域」に分断したこと

16. ユーゴスラビア国民から、必要不可欠な医薬、飲料水、食料品、その他の必要物資を奪うための政策

17. 軍事的および政治的目標に対する社会の支持を動員するため、マスコミによる報道を組織的に操縦、統制、および制限したことに関する調査

18. 米国とNATOの、バルカンにおける恒常的な軍事力の展開、バルカンの鉱物資源の支配、およびバルカン地域の地政学的支配に関する検討

19. 戦後のユーゴスラビアにおける再建契約と、米国その他NATO加盟諸国の経済に対するその影響の調査

20. 戦争政策を正当化するために、公人によってなされた、根拠のない噂、嘘、事実の歪曲の実例の収集

21. ランブイエ合意の分析。

22. クリントン大統領、議会、ペンタゴンは共謀して、ユーゴスラビアでの戦争を、軍事予算の大幅増額をはじめ、軍国主義に向かう動向を大いに増大させるために利用した。これは、ほかにも戦争を引き起こす危険があるばかりでなく、米国内の貧しい労働者階級を援助するための社会福祉予算の犯罪的削減ともなるのである。

23. 米国とNATOが、空爆とミサイルによってユーゴのスロボダン・ミロシェビッチ大統領その他の政府高官を殺害しようとしたこと

 調査活動について、詳しくは、サラ・スローン(Sarah Sloan at theInternational Action Center: (212) 633-6646)へご連絡ください。

戦争犯罪法廷について

 当センターでは、ユーゴスラビアでの戦争に関する大規模な民衆法廷を企画しています。米国とNATOにその犯罪行為の責任をとらせるための国際的な場を私達が作ることは不可欠です。

 米国/NATOの対ユーゴスラビア戦の遂行状況を調査する調査委員会には、多数の国の団体や活動家の活動が集約されます。必要なのは、膨大な多数の人々の仕事を含むことのできる形で、世界中から公開で証拠を集めることです。目撃による証言、医師、科学者、弁護士による専門的証言が、そこに含まれます。私達はNATO加盟諸国の指導者たちの、この戦争の理由を述べた公式声明を検討します。NATOの最後通告として、空爆につながるものとなったランブイエ合意を、入念に検討し、分析します。調査には、戦争契約の受益者、および、この地域の資源の新たな支配が含まれます。この国際委員会は、新聞、雑誌、定期刊行物、テレビとラジオのニュースその他、公共媒体による報道を検討します。ビデオと写真も証拠として使用します。

 訴状は、ラムゼイ・クラーク元法務長官により執筆されます。これは、国際法、NATO加盟諸国が調印国として参加している国際協定、国連憲章を根拠とします。この訴状は、7月初めには完成します。訴状の朗読と、初期証言は、7月31日(土)にニューヨーク市で開かれる1日がかりの公聴会で行われます。

 これに続き、初期証言と今後継続的に収集される新資料の開示のための大規模な公聴会が開かれます。これらの公聴会は、米国の多数の都市で、また望み得ればNATO加盟国すべての諸都市で、現地活動家によって開催されることになります。

 NATOは今では全世界の警察力として見なされているので、世界の他の多くの国でも、収集された証言についての大規模な公聴会が開かれる必要があるでしょう。軍事・経済的諸大国は、今や、小国の国内問題に介入する自分達の権利に関して、危険な新しい前例を設けてしまったのです。

 当センターは、インターネットと電子メールによって、この活動の統合調整を援助します。それには、ビデオの活用と、衛星中継が含まれます。膨大な数の人々が、戦争の目的、紛争の影響と次に来る段階に関わりをもち、それについて教育されることが可能です。

 数カ月にわたる大規模公聴会のあと、調査委員会は、最終戦争犯罪法廷を召集します。同委員会は、国際的に著名な法律家、人権活動家、労働組合運動家、公民権運動指導者、女性団体指導者、議員、その他に証拠の検討を依頼し、公式の判決を下します。

 世界全体の多数のグループと個人が、すでに、NATOの犯罪の証拠を大量に収集し、準備しています。

 戦争犯罪に関する証拠を収集して公聴会を開くための国際的な努力は、すでに多数の弁護士グループ、法律家、平和運動団体、NGOによって集められている証拠と、新しい証拠とを調査検討し、利用します。

 旧ユーゴ国際戦犯法廷と呼ばれる機関は、米国により、国連安全保障理事会を通じて導入された政治的武器です。その存在そのものが、国連憲章違反であり、国家主権の侵害です。この私刑まがいの法廷は、1993年に、バルカンへの西側の介入を正当化する策動の一環として設立されました。それは、いかなる意味でも、過去50年間オランダのハーグに本拠を置いてきた国際司法裁判所の一部ではありません。

 この旧ユーゴ国際戦犯法廷は、米国のさしがねで任命された人物ばかりが揃っています。米国とNATOの戦争犯罪を裁くことのできる、これに比べ得る機関は存在しません。コソヴォにおけるセルビアの戦争犯罪を調査するためには、今やさらに300人もの調査官がNATO諸国によって加えられようとしています。コソヴォにおけるNATOの戦争犯罪を調査するための調査官は一人も加えられていません。この現実こそが、同法廷のほんとうの狙いを露呈しているのです。

 NATOの公式スポークスマンであるジェイミー・シェイが自慢したように「我々(=NATO加盟諸国)は、(旧ユーゴ)国際戦犯法廷の最大の後援者だ。NATOは、国際戦犯法廷に資金を提供している」のです。ワシントンがミロシェビッチ大統領に戦争犯罪者の烙印を捺すことを決定したのは、彼が今責任を問われている事態が実際にコソヴォで起こるよりはるか以前のことです。1998年7月18日、米国の上院が、ユーゴ大統領ミロシェビッチを戦争犯罪者として起訴する決議を可決したのです。

 昨年、イタリアのローマで、ほんとうに独立した国際戦争犯罪法廷を設立しようとの国際的運動があったとき、米国政府はそれを妨害しました。ワシントンは、米国の軍と警察の人間も戦争犯罪を追及される可能性のある法廷や国際機構を設立しようとすることには、なんであれ反対なのでした。

 ユーゴスラビアでのNATOの空爆にまつわるさまざまな出来事を、真に公に調査することが可能な唯一の道は、幅広い基盤をもつ草の根の民衆の努力でした。そのような国際的活動ならば、今なお準備中の、もっと賢い戦争に向けて、大勢の人々を教育することができます。

 当センターは、あなたの支援を歓迎します。どうぞセンター事務局に遠慮なくご連絡ください。

電話は(212) 633-6646, ファックスは (212) 633-2889,

電子メールアドレスはiacenter@iacenter.org.です。

敬具


 以上。


(30)(英文)NATOを裁く国際戦争犯罪法廷の点検項目
(25)Ramsey Clark 国際戦争犯罪法廷呼び掛け
ユーゴ空爆の背景
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