イラク攻撃、有事法制成立以後の動き 2003年6月 (次)(戻る)
2003年6月
2003年6月1日
■第29回主要国首脳会議がフランスのエビアンで開かれた。イラク戦争後初の主要国(G8)首脳会議。中国の胡錦濤主席も招待を受け初参加。
■中国の長江中流に建設中の三峡ダムへの貯水が始まる。
2003年6月3日
■フランスで開かれていたエビアンサミットが閉幕、議長総括で朝鮮民主主義人民共和国の核開発と日本人拉致問題について「包括的可決への努力を支持する」と表明。
2003年6月4日
■ブッシュ大統領、アカバで、シャロン・イスラエル、アッバス・パレスチナ自治政府首相と会談、米国の仲介のもと、双方は新和平案を変更なく実施することで合意。
2003年6月5日
■防衛庁のあっせんで、岐阜県など少なくとも17都県市に、現職やOBの自衛官計22人が出向・再就職し、一部では住民の避難要領の作成など、自治体の有事対応に関与していることが分かった。防衛庁内には「軍事知識は自治体に役立つはず」として、自衛官の派遣を増やし有事対応の要にしたいとの意向もある。
2003年6月6日
■有事法制関連三法案が成立。政府は今後、有事下での国民の権利制限や生命、財産の保護を定める国民保護法制の早期整備に取り組む。
■盧武鉉韓国大統領訪日。
2003年6月7日
■来日中の盧武鉉大統領は民主党の菅直人代表との会談で有事関連法について「韓国国民がまったく問題を感じていないわけではない」と懸念を表明。北朝鮮の核問題については「過剰に軍事的な反発をするのではなく平和的に対応したい」と述べた。
■水資源開発公団が岐阜県藤橋村に建設中の徳山ダムの事業費が2004年度中にも当初予定されていた2540億円を上回り、2007年度の完成までの総額で1千億円以上の大幅増となることが分かった。
2003年6月9日
■韓国の盧武鉉大統領が衆院本会議場で演説。有事関連法や憲法改正論議について「疑いと不安の目で見守っている」と述べ懸念を表明。
■政府は与党のイラク問題連絡協議会で「イラク人道・復興支援活動実施特別措置法案」の要項を提示。
■新潟港に9日入港予定だった万景峰92号が北朝鮮・元山港からの出港を取りやめた。日本側が前例のない厳戒態勢を引いたため。
2003年6月10日
■イスラエル軍のヘリがガザ市内でハマスの指導者ランティシ師の車をミサイル攻撃。パレスチナ人の女性、幼女ら3人が死亡、約25人が負傷。フライシャー米大統領報道官はブッシュ大統領が「困惑している」と述べたと伝えイスラエル側の自制を促した。
■イラク戦争の民間人死者は少なくとも三千二百四十人-。米AP通信は十日、独自調査の結果として、イラク戦争中に戦闘の犠牲になって死亡した民間人の数を報じた。 開戦日の三月二十日から戦闘がほぼ終結した四月二十日までの一カ月間に、イラク国内の病院で死亡した民間人の数をAPが独自に調査した。病院に搬送されずに埋葬された人や、がれきの下に埋まったままの死体も多いことから、実際の犠牲者数はこれを大幅に上回ると推定している。
2003年6月11日
■エルサレムで自爆テロによりバスが爆発。少なくとも16人が死亡、約70人が負傷。
■11日の党首討論でイラクが大量破壊兵器を保有していたと断言していた根拠について聞かれた小泉首相は「フセイン大統領が見つかっていないから、イラクにフセイン大統領は存在しなかったと言えるか。言えないでしょ」とよくわからない強弁をした。
■イラクの大量破壊兵器が見つかっていない問題で米上院の情報特別委員会が近く秘密公聴会を開くとの報道。ロバーツ委員長は「ブッシュ政権幹部から、分析をねじ曲げるよう圧力を受けたと主張している匿名の複数の政府当局者に関心がある」と述べた。
■イラク戦争の民間人犠牲者が少なくとも3240人に上ることがAP通信の独自調査によりわかる。イラク側調査で2278人だった湾岸戦争を大幅に上回る。
2003年6月12日
■イスラエル軍のヘリコプターがガザ市内を走行中の車にミサイルを発射。子どもを含む7人が死亡、約30人が負傷。同軍ヘリのガザ攻撃は3日連続。パレスチナ自治政府のアムル情報相は「イスラエルの攻撃は紛争の政治的解決の可能性を奪った」と発言。
■自民党、野中広務幹事長は12日の総務会でイラク特措法について「会期末のどさくさに、こんな法律を通して後世の批判に堪えるのか」と発言し、政府・執行部批判を行った。
■第2次大戦中、日本軍に徴用された韓国人とその遺族164人が国を相手にシベリア抑留中の未払い賃金など総額17億円の支払いを求める訴訟を東京地裁に起こした。
2003年6月13日
■政府は安全保障会議と臨時閣議を相次いで開き、イラク国内に自衛隊を派遣するイラク復興支援特別措置法案と、11月で失効するテロ対策特別措置法の期限を2年間延長する同法改正案を決定し、国会に提出。イラク復興支援特別措置法は4年間の時限立法とするが延長も可能。政府原案にあった大量破壊兵器処理支援は削除、陸上での武器・弾薬輸送は含まれる方針。
■米軍が首都バグダット北西役150キロにある「テロリスト」の訓練用のキャンプを攻撃し少なくとも70人を殺害。またバラドでは米軍がイラク側を27人殺害。
■福田康夫官房長官はイラク復興支援特措法に基づいて派遣された米軍など他国の軍隊に提供する物品について、武器輸出3原則の適用対象外とする談話を発表。
■在韓米軍の装甲車が女子中学生をひき殺した事件から1年、韓国各地で追悼・反米集会が開かれた。ソウル約2万5千人。
■イラクのフセイン政権崩壊から2カ月すぎても大量兵器が見つからず、イラク戦争を主導した米英ではこの問題が国内問題に発展との報道。(生物兵器の移動式実験室とされた2台のトレーラーも生物兵器を製造した痕跡はなく、実験施設でさえないとの専門家の声もある。また昨年9月にまとめらた国防総省の機密報告に「大量破壊兵器保有に関する確実な証拠はない」という一文があったことも暴露された。民主党のグラム上院議員は「戦争正当化のために国民をだましたのか」との批判を行った。)
2003年6月14日
■韓国と北朝鮮は14日、南北で分断されている鉄道の京義線(朝鮮半島西部)と東海線(同東部)の連結式をした。
■14日付の英紙タイムズが掲載した世論調査によると、イラクの大量破壊兵器に関する調査文書の改ざん疑惑に関連し、34%がブレア首相の言動を今後信用しないと答えた。イラクを攻撃したことは正しかったとする人は以前58%と過半数を占めたが4月に比べて6ポイント減少した。
2003年6月15日
■共同通信社が14、15両日に実施した全国電話世論調査によると、小泉内閣の支持率は50、7%と高水準を維持、不支持率は36、6%。イラクへの自衛隊派遣については半数の49、7%が「賛成」と回答、「反対」39、9%を上回った。賛成理由では「日本も復興に貢献すべきだ」が52、7%と最多で、「国連決議で支援を求められている」(16、8%)「米国の同盟だから」(13、9%)の順。反対理由は「自衛隊の海外派遣に問題がある」(31、8%)「他にも貢献できることがある」(25、0%)が多かった。
2003年6月16日
■小泉純一郎首相は首相官邸で、公明党の神崎武法代表、保守新党の熊谷弘代表と会談し、自衛隊をイラクに派遣するためのイラク復興特別措置法を成立させるため6月18日で会期末を迎える今国会を7月28日まで40日間延長することで正式合意。
■自民党の麻生太郎政調会長がイラクに自衛隊を派遣した場合「爆薬を積んだトラックが突っ込んでくる可能性もある。バズーカ砲のような火器を持っていかないと危険だ」「けん銃や小銃ではどうにもならない場合もある。足手まといでは来られる方も困ると言うことを、現実問題として考慮すべきだ」と述べた。
■ヨルダンのアルアラブアイユーム紙はイラク北西部で先週行われた米軍によるフセイン前政権支持の残党掃討作戦でアラブ義勇兵が少なくとも70人死亡したと報道。
■バグダット北部で警戒中の米兵が狙撃され死亡。米軍による残存勢力掃討作戦が始まった5月1日以来、米兵の死者は41人。
2003年6月17日
■国会は本会議で今国会を7月28日まで40日間延長することを自民、公明、保守新党の与党3党の賛成多数で議決した。延長に反対の野党は全面審議拒否にでた。
■スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が17日発表した2002年の世界の軍事費は、7千9は約40億ドル(93兆円)で前年に比べ6パーセント増加。ブッシュ米政権がテロとの戦いで軍事費を10%増やし、3千3百60億ドル(約40兆円)となったのが原因。SIPRIの2002年晩年館によると、米国の増加分は世界全体の4分の3で世界の43%を占めた。米国に続く日本、英国、フランス、中国、ドイツの5カ国の軍支出は全体の23%。
■東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議はミャンマーのアウン・サン・スー・チーさんの解放を求める声明を発表。
2003年6月18日
■日本、米国、中国や東南アジア諸国連合加盟国など23カ国・機構が参加したASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議が18日朝鮮民主主義人民共和国の核問題で「平和的な解決」を求め、日本人拉致事件については「対話による対応」を促す議長声明を発表して閉幕。
■テロ特措法でインド洋に派遣中の護衛艦「はるさめ」で無許可飲酒が発覚。
■日米両政府は18日合同委員会を開き、沖縄県警が強姦致傷の疑いで逮捕状を取った米軍キャンプ・ハンセン所属の海兵隊上等兵について米側は日本側が求めた基礎前野身柄引き渡しに同意すると回答した。これを受けて沖縄県警は同日、容疑者を逮捕した。
■ウルフォウィッツ米国防副長官は18日、米下院軍事委員会で、証言し、朝鮮半島有事の際に在沖縄の米海兵隊は2日で現地に到着することが可能だとして、戦争に備えた即応体制がすでにくまれていることを明らかにした。副長官はすでに沖縄海兵隊は先月、オーストラリアから借り上げた高速輸送船など民間船舶を使って韓国への即応展開訓練を実施。
2003年6月19日
■自民、民主両党は国会内で国対委員長会談を開き空転が続く国会の打開に向けて協議。イラク復興支援特別法案とテロ対策特別措置法改正案の趣旨説明は、24日の衆院本会議に行うことで合意。
■国際原子力機関(IAEA)の定例理事会は19日、イランの核開発計画に「懸念」を表明。「疑問を解消し、平和利用であると(IAEAが)保証できるよう」計画の全容を開示し、査察にいっそう強力するよう求めた議長総括を発表。
■カンボジア訪問中の李肇星中国外相は北朝鮮の核問題について「米朝間の意見の相違は、想像力で解決できる」と自信を示し、米朝中三カ国による北京協議を続ける意向を強調。
■政府は19日、自衛隊によるイラク復興支援の第一弾として、国連平和維持活動(PKO)協力法に基づき、7月上旬に航空自衛隊のC130輸送機2機をヨルダンに派遣する方針を固めた。世界食料計画(WFP)の要請に基づく活動で、イタリアにあるWFPの集積基地からヨルダンの首都アンマンまで、食料など生活関連物資を空輸する。PKO協力法では、他国への自衛隊派遣は、相手国への同意が必要なため、暫定政権が発足していないイラクへの派遣はできない。このため、イラク向け物資を隣国ヨルダンに運ぶことにした。派遣される部隊は百人程度で、人道物資の空輸とへ移行して、イラク復興支援特別措置法案が成立後のイラク陸上自衛隊派遣をにらみ、ヨルダン国内に陸自部隊への補給拠点をつくることも検討している。その場合は根拠法をイラク特措法に切り替え、ヨルダンからイラクへの物資空輸を実施する。(中日6/20)
■イタリア在住の反体制派イラン人数十人が仏蘭西大使館前で、イラン反体制派摘発に対する抗議デモ。内二人が焼身自殺。
■イラク駐留の米軍当局は19日、首都バグダット南西で、米軍の救急車がロケット弾による攻撃を受け、米兵1人が死亡、2人が負傷と発表。
■イスラエル北部ベトシェアン近郊の食料雑貨店で自爆テロがあり、犯人の男と店主が死亡。
■米国は北朝鮮の核開発を非難する国連安全保障理事会議長声明の原案を常任理事国に非公式に配布。声明案は、北朝鮮は核拡散防止条約を(NPT)の国際的義務を無視、テロ組織や無法国家に核が拡散する恐れを増長させていると非難。
■北朝鮮の労働党機関誌「労働新聞」は20日、北朝鮮の核問題が国連安全保障理事会に上程された場合「強力な非常措置で対応する」とけん制する評論を掲載した。
■米大統領報道官は19日、イランの核兵器開発疑惑に関し「ブッシュ大統領は様々な選択肢をテーブル上からおろさない」と述べ、軍事的手段による解決を排除しない考えを示した。
2003年6月20日
■欧州連合(EU)は20日、朝鮮民主主義人民共和国とイランに対し、核開発計画の即時放棄を求める首脳会議の議長総括を発表、両国を名指しして強い警告を発した。
■エルサレムを訪問したパウエル米国務長官はシャロン・イスラエル首相との会談後の記者会見で、イスラム原理主義組織のハマスを「和平の敵」と非難。
■政府は20日、国家公務員の中でも最高クラスの給与を支給されている首相および閣僚や審議会委員、大使など特別職の給与水準を見直すため、有識者の懇談会を設置することを決めた。現在の給与の月額は最高額の首相が225万5千円、2番目の閣僚、会計検査院長、人事院総裁が164万6千円。国家公安委員や公正取引委員会委員らは、事務次官と同等の131万7千円。大使は5段階に区分され、最高は副大臣並みの156万6千円。
■政府は20日、イラク復興支援特別措置法案の成立後、自衛隊の派遣に必要な「地位協定」を周辺国と締結する方針を固めた。地位協定は、派遣先での隊員の刑事責任の扱いなどを定めたもので、日本国内では在に米軍受け入れのための「日米地位協定」などがある。自衛隊の海外派遣に関して関係国との間で締結するのは初めてとなる。
2003年6月21日
■ブッシュ大統領は21日のラジオ演説でイラクの大量破壊兵器開発の決定的証拠が未発見である問題について「どんなに時間がかかろうとフセインの兵器開発の全容を解明する決意だ」と言明。
2003年6月23日
■米有力紙ワシントン・ポストとニューヨークタイムズは23日フセイン元大統領が乗っていた可能性のある車列を米軍がミサイル攻撃し、死亡した人物のDNA鑑定を進めていると報道。両紙によると米軍特殊部隊は18日シリア国境に近いイラク西部で車列にミサイル攻撃をしたとしている。
■イラクを占領統治する連合国暫定当局(CPA)は23日、新制イラク軍の人員募集を来週から始める計画を明らかにした。
■米民主党上院のバイデン外交委員長は23日、米軍のイラク駐留期間について「少なくとも3年から5年間、大規模な軍事力や経済支援と共にイラクにいることになると思う」と述べた。
■イラク復興に携わる国際機関による支援会議準備会合が23日、国連本部で始まる。フレシュット副事務総長と大島賢三・緊急援助調整官は人道支援のため、新たに2億5900万ドル(約303億円)の援助を国際社会に求める声明を発表。
2003年6月24日
■英首相府の報道官は24日、イラク東部アマラで同日、英軍部隊を標的にした襲撃事件が2件発生し、英兵6人が死亡、8人が負傷したと発表。
■自衛隊をイラクに派遣するためのイラク復興支援特別措置法案が24日の衆院本会議で審議入り。民主党は法案の賛否を留保すると共に、独自の現地調査を元に「自衛隊でなければ果たせない緊急ニーズは見いだせない」としている。法案は自衛隊の活動として武器弾薬の陸上輸送を認めている。活動地域については「非戦闘地域」としているものの米軍内では「イラク全土が戦闘地域」との見方もある。法案はテロ特措法の倍の4年間の時限立法。自衛隊派遣の国会承認はテロ特措法同様「事後」。
■小泉首相は衆院本会議でイラク復興支援特別措置法とテロ特措法の趣旨説明を行う。首相はイラクへの自衛隊派遣について「我が国としてふさわしい貢献を行うためには、厳しい環境でも効果的な活動を遂行できる自衛隊を活用する必要がある」と述べた。本会議後イラク復興支援特別委員会では、高村正彦元外相が委員長に選出され、両案の提案理由が行われた。25日から本格審議。
■小泉首相、首相官邸でインドネシアのメガワティ大統領と会談。
■WHO(世界保健機関)は24日、北京で記者会見し、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)による北京への渡航延期勧告と流行地域の指定を解除すると発表。
■イスラエル軍は24日、ヘブロンでハマスの活動家や支援者らパレスチナ人約130人を逮捕・拘束。
2003年6月25日
■衆院イラク復興支援特別委員会で小泉首相は「法案が成立すれば、8月にも調査をしなければならない」「非戦闘地域に出せば自衛隊は戦闘行為にも、武力行使にも参加しない」と述べた。
■石破防衛庁長官は「非戦闘区域イコール安全な地域を意味しない」武器使用基準について「現行の基準で自衛官の安全は確保される」「戦闘行為に発展しそうな場合、任務を休止し、危険を回避する措置をとる」と述べた。
■カブールからの報道によるとアフガニスタン南東部パクティア州の州都ガルデス近くで25日パトロール中の米軍部隊が何者かに襲撃されて1人が死亡、2人が負傷。21日から24日にかけて、国境を挟んだ周辺一帯で米軍約500人とパキスタン軍約2000人が、大がかりな掃討作戦を行ったばかり。米軍展開に反発が強まっていたという。
2003年6月26日
■自民党の太田誠一総務長官は26日午後鹿児島市内のホテルでの討論会で「集団レイプする人はまだ元気があるからいい。まだ正常に近いんじゃないか」と発言。
■相次ぐ米兵襲撃に危機感を抱いたブッシュ政権はイラク復興行政立て直しの顧問役として、クリントン前政権時代の高官ら5人をイラクに派遣。派遣期間は26日から12日間。
2003年6月27日
■環境省が茨城県の神栖町などで旧日本軍の化学兵器が原因と見られる健康被害などが出た事態を受け、「旧日本軍の化学兵器に起因する健康被害の未然防止に関する法律」(毒ガス被害防止法)を策定する方針を固めたとの報道。
■政府は27日、日本が武力攻撃を受けた際の国民の権利制限や生命、財産の保護方法を定める国民保護法制について検討する「国民保護法制整備本部」(本部長・福田康夫官房長官)の初会合を首相官邸で開き、来年の1月招集の通常国会に関連法案を提出すること決めた。
■イスラム原理主義組織ハマスの精神的指導者ヤシン師は27日、「攻撃を停止する結論に達した」と言明。他のパレスチナ組織「イスラム聖戦」などと共同文書にまとめる方向で、調整中であることを明らかにしたとの報道。
■石破防衛庁長官は27日の衆院イラク復興支援特別委員会で、イラク特措法が成立し、自衛隊が派遣された場合、自爆テロにねらわれる危険があることから、対処方針を事前に策定する考えを明らかにした。石破長官は「どうやって被害を最小にするか。場合によっては武器使用もあり得る」と指摘。また石破長官は一般住民を装った自爆テロの場合「目前に迫るまで、意図が明確でない。ニコニコしながら寄ってくることが十分あり得る。武器を使用し、阻止することは容易ではない」とも述べた。
2003年6月28日
■イラクの首都バグダット北方のバラドで25日夜から行方不明になっていた米兵2人が28日、遺体で発見される。イラクでは27日、バグダッドで米部隊の車列が攻撃を受け米兵1人が死亡し、4人が負傷したほか、買い物中の米兵が銃撃され重体となった。26日には米兵2人と電力会社のイラク人2人が襲撃で死亡。ブッシュ大統領がイラク戦争の戦闘終結を宣言した5月1日以来、戦闘行為で死亡した米兵は22人に上っている。軍事専門家からは「イラク戦争ではフセイン政権を撃破したが、バース党解体には至らない、不完全勝利だった」との見方もでている。また戦後占領についても復興当局の工業鉱物資源省担当だったカーニー氏が「軍事作戦から軍事・政治複合任務への切り替えが遅れた」と準備不足を指摘。身内から批判が出ている。
■民主党の羽田孜最高顧問は名古屋市内で記者会見しイラク復興支援法について「支援法まで作って自衛隊が出ていくことが必要かは議論が必要だ」「支援はいろいろな形で行う必要がある」「問題はあの戦争は何だったのかだ」「党の調査団も自衛隊の出動でないといけないのかと言う思いが強い」。現地での復興作業も「(仕事を失った)向こうの人にしてもらう方がいいのではないか」と自衛隊の派遣に疑問を投げ掛けた。
■英軍部隊約500人が28日、英軍兵士6人が襲撃され死亡したイラク南東部アマラ近郊のマジャルに再進駐した。
2003年6月29日
■イラク復興支援特別措置法案に基づき、防衛庁が検討している自衛隊派遣の概要が29日明らかになった。陸上自衛隊はバグダット市内で燃料と水を米軍と市民に補給、航空自衛隊はC130輸送機3機をイラク国内輸送に活用。参加規模は陸自の約500人を最高に計1000人を超える見通し。陸自は10月上旬、北部方面隊(北海道)の派遣が有力となっている。
■テロ対策特別措置法に基づく対米支援任務として、インド洋に派遣が予定されていた海上自衛隊第1護衛隊軍(神奈川県・横須賀)基地の護衛艦「しらね」(5200トン)をめぐり、昨年11月の出港直前「機関の修理に不正があった」との海自内部からとみられる投書があり、急遽出港が中止されたことが関係者の話でわかった。インド洋派遣は一回が3−5ヶ月にわたり、昨年5月には隊員の突然死が発生するなど過酷さが隊員の間に広まっており、海自は派遣を嫌がる隊員が投書した可能性があると見て内部調査したが、差出人は不明のままとのこと。
■イラクの米軍当局者はフセイン旧政権の残存勢力を掃討する大規模作戦「ガラガラヘビ作戦」を29日未明から開始したことを明らかにした。バグダッドでは29日、南西部の高速道路で米軍車両の車列をねらったべくは粒津を使った攻撃があり、イラク人1人が死亡、米兵2人が負傷するなど、首都などで米軍をねらった攻撃が連日発生している。