極右虐殺者シャロンの人物紹介を欠くパレスチナ内戦報道に怒り心頭
2000.12.3
随時追加「編集長日記風」木村愛二の生活と意見
2000年10月4日から
9月28日にパレスチナ紛争の当面の焦点、いわば傷口に塩をなすりこむような行為として、エルサレムの神殿の丘にシャロンが現われたことに端を発し、死傷者激増、イスラエル軍の戦車がパレスチナ警察の施設にミサイルを発射する事態となった。事実上の内戦である。
ところが、手元の『日本経済新聞』『朝日新聞』『しんぶん赤旗』の切抜きを見る限りでは、そのどこにも、フランスなどが厳しく批判している挑発者シャロンの人物紹介がない。『しんぶん赤旗』では比較的に早くから「右派のリクード党」の党首と記していたが、『朝日新聞』では、やっと10月4日になってから、記者が書いた記事ではなくて、薄味の中東研究者、現防衛大学校教授の立山良司の寄稿によって、やっとこさ、「イスラエル右派リクードのシャロン党首らがこれ見よがしに入った」と報じたのみである。『日本経済新聞』では未だに「野党」だけである。これが自宅で取っている唯一の新聞だから、一応、日経に国際部に電話をして「シャロンの人物紹介」を申し入れ、少し説明し、多分若い記者から御礼は言われたが、見込み薄である。
以下、とりあえず、拙訳
の中から、挑発者シャロンに関わる記述の一部を紹介する。パレスチナ人なら知らぬ者はないスターリンやヒトラー以上の人物である。パレスチナにとっては悪魔以上の極右虐殺者シャロン
[前略]長期にわたってアリエル・シャロン[元国防大臣]の指揮下にあった“一〇一部隊”による“ポグロム”などの場合には、常に広大な土地が“解放”され、所有者または労働者のアラブ人がいなくなり、ユダヤ人の占有者に与えられたのである。
[パレスチナ人“ポグロム”の共犯者が入植地拡大]
一九九三年三月二〇日付けで、アメリカの議会のある委員会に提出された国務省作成の調査報告には、こうある。
《二〇万人以上のイスラエル人が、現在、ゴラン高原と東エルサレムを含む占領地区に定住しており、占領地区全体の人口の“およそ”一三%に達している》
その内の九万人ほどは、ヨルダン川西岸の一五〇の入植地に住んでおり、《そこではイスラエル当局が土地の半分近くを自由に処分している》。
《東エルサレムと同市に接するアラブ人地区の郊外にも》、と国務省作成の調査報告では、続けて記している。《一二万人近くのイスラエル人がほぼ一二の入植地に定住している。ガザ地区では、すでに人口過密の土地の百分の三〇をヘブライ国家が没収し、一五の入植地に三千人のイスラエル人が住んでいる。ゴラン高原では、三〇箇所に一万二千人が分散している》(『ル・モンド』93・4・18)
イスラエルの世論の牽引者としては最強力の日刊紙、『イディオット・アハロノート』には、つぎのような論調が見られた。
《ここ七〇年来、このように領土建設が加速された時期は、いまだかつてなかった。アリエル・シャロン(住宅大臣兼建設大臣)は、わがイディオットの論調に従って、熱狂的に、新しい入植地を建設し、既存の入植地を発展させ、さらに新しい地区建設に向けての準備と道路開設のために、目下奮闘している》(『ル・モンド』91・4・18からの再引用)
アリエル・シャロンに関しては、以下の事実を思い起こしてほしい。彼は、レバノン侵略の際の総指揮官だった。彼は、サブラとシャティラのパレスチナ人のキャンプに対する“ポグロム”を行った国粋党の民兵に、武器を供給した。シャロンは、この不当な行為に目をつむったが、事実が発覚した以後には、いかなイスラエルでさえも設置せざるを得なくなった虐殺事件調査の委員会に、共犯者として喚問された。
これらの占領地区の入植地が維持され、それを保護するためのイスラエル軍が出兵し、入植者たちが、かつてのアメリカ西部フロンティアの冒険者たちのように武装している現状の下では、パレスチナ人が実際の運営に当たる“自治”なるものも、すべて幻想でしかない。事実上の占領が続く限り、本物の平和の実現は不可能である。
入植地への移住の努力の中心には、エルサレム全体の併合を不退転の決意で確保しようという、すでに自ら告白した誓いの目標がすわっている。しかし、この併合宣言に対しては、連合国の加盟国(その中にはアメリカも加わっているのだ!)が、異口同音に非難の声を挙げているのである。
占領地区の入植地への移住は、明瞭に国際法、とりわけ、一九四九年八月一二日に採択されたジュネーヴ憲章を踏みにじる行為である。ジュネーヴ憲章は、その四九条で、つぎのように規定しているのである。
《占領国は、その占領地区に、自国の民間人口の一部の移住を行ってはならない》
ヒトラーでさえも、この国際法に背きはしなかった。彼は、決して、フランスの農民を追い出した土地に、ドイツの民間人の“植民者”を移住させたりはしなかった。
[中略]
踏みにじられっ放しの国際法は、まさに“反古”同然であるが、イスラエル・シャハク教授の著書によれば、事態は、それ以上に悪い。
《なぜならば、これらの入植地は、その性質上、当然のことながら、略奪、差別、アパルトヘイトの組織と化していくのである》(前出『イスラエル国家の人種主義』)
シャハク教授は、イスラエルの神をイスラエル国家に置き換える偶像崇拝について、つぎのように証言する。
《私は、イスラエルに住むユダヤ人である。私は、自分自身を、法を守る一市民だと考えている。私は、四〇歳になるまでに、すべての兵役期間の勤めを果たした。しかし私は、イスラエル国家に対しても、他のいかなる国家に対しても、または、いかなる組織に対しても、絶対的な服従は誓わない![中略]》(同前)
以上で(その40)終り。(その41)に続く。
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