1.朴慶植『朝鮮人強制連行の記録』(未来社)。
2.ラス・カサス『インディアス破壊を弾劾する簡略なる陳述』(石原保徳訳、現代企画室)/『インディアスの破壊についての簡潔な報告』(染田秀藤訳、岩波文庫)。
3.ジャック・ロッシ『ラーゲリ強制収容所註解事典』(染谷茂校閲、恵雅堂出版)。
薄暗い喫茶店が消え、眩いばかりに明るい街の光景ほどには現代の青春の心も単純ではないと知りつつ、翳りが希薄にはなっているらしいその心にも食い込む(ことを希望したい)本を三冊。
1.は二〇世紀の日本で、2.は一五〜一六世紀のアメリカでの異民族同士の出会い方をめぐる、深い問題提起の書。
3.はユートピア思想の実践が行き着いた果てを示して、いまなお夢を手放すまいと思う私も繰り返し頁を繰る。
恐ろしいことが語られているがいずれも、読者を脅しつけ書の中に暴力的に引きずり込む方法とは無縁。深い内省をもって、人類史を顧みる縁となる。
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