仰天!武蔵野市『民主主義』周遊記(その7)

借金火達磨・巨大政治犯罪都市

神々の争点「塩漬け用地」天下分け目の決戦

1999.2.12

 今回は、前回に引き続いて、「『左ギッチョンチョン』箱庭紛争の神々お披露目」と題する「左ギッチョンチョン」人物紹介を予定し、準備を始めていたのだが、突如、「同時進行」の「重大非常事態」が発生した。

 この「重大非常事態」に直面するや否や、わが脳ミソは急速に沸き立ち、悪餓鬼時代のパチンコ狂騒曲までが喧騒を極めて脳裏に蘇った。

 ジャン、ジャン、ジャンジャカ、ジャンジャン、

 ジャンジャカ、ジャンジャン、ジャン!

「天気晴朗なれど波高し」

 旗艦三笠丸のマストにZ旗がスルスル揚がる。信号手が手旗を振り回す。

 全艦隊の通信兵は、事前配布のアンチョコを見て、直ちに解読する。

「広告の、じゃない。これはワープロでは一発変換不能なのだ。皇国の、荒廃、じゃない、えい、次候補、興廃、よし。この一戦にあり。全員一層、奮励努力せよ!」

 そして、これがまた、何と申しましょうか、堪えられない「インターネット冥利」とでも申しましょうか、急遽、この一番を差し替えとする決意が固まったのである。

 というのは他でもない。1999年2月1日、つまり今月の初日に、いつもの如く、『市報むさしの』が、わが家で取っている唯一の日刊紙、日経に折り込まれていた。『市報むさしの』は、毎月の1日と15日の月2回の発行である。市内の全戸に新聞と一緒に折り込み配達されるが、タブロイド版で通常は黒1色刷り、12頁ぐらいである。

 ところが、この日には「仰天!」すべきことに、さらにそのド真ん中に、別刷りの題して「公有地活用特集号」が、それも青と黒の2色刷りで、写真がタップリ、「公有地活用マップ」を背景に漫画の「しあわせ一杯の3人親子」まであしらって、実に目に入りやすい、実に読みやすい、贅沢な倍角ゴシック文字の記事リードなど、見るからに特別の工夫を凝らし、費用は当然、全市民の懐から出るに決まっているのに、「現職市長の選挙向けチラシ」丸だしの露骨な嘘八百山盛りで、これ見よがしに折り込まれていたのである。

 これを見るや否や、さらに我慢に我慢して、ちと読み進むや否や、わが脳ミソは、頂点まで沸騰した。そう、私の頭部が、「あの」古典的な2つのこぶ付きのコーヒー沸かしに化けた。沸騰したコーヒーが渦を巻いて、泡だらけになって、下のこぶから上のこぶへと急上昇した。

 ああ、ことのついでながら、「あの」「コーヒーを沸かして、」なんて、悠長に歌っちゃってる「あの」シャンソン『ろくでなし』の日本語の歌詞は、とんでもない「ろくでなし」の間違いなのだ。悪餓鬼は悪餓鬼でも、男の子用のフランス語の歌詞を、今は亡き越路吹雪のために女の子用の歌詞に変えてしまったものだから、本当は「お行儀良くしなさい」派の「お節介婆あ」(実は気分的には保守政治批判が匂う)に対して、「皆で頭にきちゃって、闘っちゃおうぜ!」と呼び掛ける宣戦布告の歌だったのに、それが、まるで意味のない本物の「ろくでなし」の懺悔に腑抜けしてしまったのだ!

 そう、そこで、わが頭部で沸騰したコーヒーの渦の中には、腑抜けの懺悔などではなくて、元の歌詞通りの「重大非常事態」に対する「宣戦布告」が泡立つのだった。

 実は、その割りには直ちにではなかったのだが、市役所の6階の広報課に赴く。

「あの別刷り、あれは、選挙違反じゃないのかね」と、旧知の広報課長に一発かます。

「そんなことありませんよ。木村さんの見解とは違うでしょうが、市は、市としての見解を発表しているだけです」

「市とはいっても、5選立候補予定の現職市長の見解になっちゃってるんだからね。ともかく、最近、資料をくれという人が増えちゃって、その度にスーパーでコピーしなけりゃならないんだ。今度は2色刷りだから困っちゃうよ。10部ぐらい余分に貰えないかな」

「いいですよ」と気の良い課長は、すぐに課員に命令する。10部を貰って鞄にしまう。

「それで、これはインターネット週刊誌編集長としての取材なんだけど、あれだけで、いくら掛かってるの。情報公開、情報公開、と、これは教えて貰えます、よ、ね」

「いいですよ」と気の良い課長は、これまた、すぐに課員に命令する。課員が引っ張り出してきた伝票の束を一緒になってのぞき込み、「130万円ですね」と素直に答える。

 この130万円は、最終的な編集、写真撮影、地図製作、漫画、印刷、紙代、などの外注費だけである。原稿を作成した用地課とか広報課の人件費、事務所費などは含まれていない。それを同額とすると、2倍で260万円、武蔵野市の新聞折り込み全戸配布に掛かる費用、50万円を加えると、310万円。ううむ。

 貰った別刷りをヒラヒラさせながら、7階の議会事務局をのぞく。ずいっと奥へ入って、事務局長の前で、「これ、選挙違反じゃないの」と、ご挨拶。

「市長が、木村さんの新聞に返事をしたんじゃないですか」

 事務局長は結構、下手なジョークが好きな方だが、これは、あながち的外れではない。私は何度も、A3版裏表1000部の紙代込み印刷費が約1万3千円、版下は手作りの実質個人新聞『武蔵野市民オンブズマン』を発行し、その内の700部を、市役所の上から下まで1人で配布して歩いているから、市の職員は、私の顔はもとより、「塩漬け用地」の論点を良く知っている。もちろん、残念ながら、ここでも、面従腹背どころか、面従服従で日々沈黙の月給鳥がほとんどである。

 しかし、私一人では、とうてい『市報むさしの』並の全戸配布はできない。それが問題だ、などとハムレットばりに悩みはしないが、ちと悔しい。

 事務局長とは、すでに報告した議会の特別委員会での禁煙の決定についても、しばし冗談の応酬をした。しかし、この件は目下の重大非常事態に鑑みて、省略し、閑話休題。

 さて、この『市報むさしの』別刷り「公有地活用特集号」は、かなりの工夫を凝らしたものである。欄外に「お問い合わせは……都市開発部用地課……へ」とあるが、顔も声も旧知の仲のフニャフニャの月給鳥然とした彼らの仕事とは、とても思えない。コピーライターのプロ並みの仕事である。乾坤一擲(「ケンコンイッテキ」。手元の安物辞書には「運命をかけて、そるかそるかの勝負をすること」とある)の気合いが籠っている。

 だからこそ、私の脳ミソが沸騰して、ああ、

 ジャン、ジャン、ジャンジャカ、ジャンジャン、

 ジャンジャカ、ジャンジャン、ジャン!

「天気晴朗なれど波高し」

 旗艦三笠丸のマストにZ旗がスルスル揚がる。信号手が手旗を振る。

 全艦隊の通信兵は、事前配布のアンチョコを見て、直ちに解読する。

「広告の、じゃない。ワープロでは一発変換不能なのだ。皇国の荒廃、じゃない、興廃この一戦にあり。全員一層、奮励努力せよ!」

 となったのである。ただし、上の4行分は、ワープロ・コピー見え見え、なのだ。

 さて、まずは、「塩漬け用地」のネーミングに逆らう前出の「公有地活用特集号」である。もう弁解はしないぞ、という気迫が籠っている。「塩漬け」ではなくて「活用」しているのだぞと、真っ向から反撃している

 さらには、念には念を入れる青色のゴシック大見出しが横幅一杯に広がる。

「公有地を活用して豊かな市民生活を実現」

 そして、ああ、「あの」堂々の、倍角ゴシック・リード。

 このリードは、ちと長いが、私が特に問題としてきた4,5年の高値の時期の土地取得を、まずは足場を前後の15年にザーと広げて、富士山型のコニーデの突出を押し隠し、イケシャーシャーのごまかしを凝らしているので、あえて全文を再録する。このリードを読む前でも後でも、お好みに合わせて次をリンクをクリックして、そこに出てくるグラフと比較して頂きたい。先方にも、このページに戻れるリンクを貼って置く。

➡ 武蔵野市の土地乱買いグラフ

 以下、再録。公文書であるから、当然、市当局には著作権の保護はない。

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 武蔵野市は、直接あるいは土地開発公社を活用して、昭和58年度から平成9年度までの15年間に約1150億円を投入し、約11万3000平米の公有地を確保しました。土地開発公社の用地購入金額は、金融機関からの借入金ですが、逐次返済し、現在は全体の投入資金額の約2割を残すのみです。そしてこの借入金残額も毎年利率の低いものに借り替えていますので、公社の経営状態は安定しています。

 これらの土地は、福祉・教育・文化施設の建設、公園の拡充、駅前広場・道路の新設や整備、自転車駐車場の新設や増設など市政全般にわたり有効に活用され、豊かな市民生活実現のために役立っています。

 その結果、最近の民間の調査によれば、「最も住んでみたいまちナバーワン」として、首都圏において「わが街の暮らし心地」第1位の評価を受けています。

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 以上で再録終り。うぬ、うぬ。

 この件については、さらに次回に、公職選挙法違反の容疑と、公費の不正使用の返還を求める住民代表訴訟の可能性についての研究と合わせて、詳しく報ずる予定である。

2020.7.15追記:朝倉ノニーの〈歌物語〉「ろくでなし Le mauvais garcon」 の歌詞邦訳

以上で(その7)終り。(その8)に続く。


(その8)「左ギッチョンチョン」箱庭紛争の神々お披露目
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