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PARC(アジア太平洋資料センター)から刊行されている月刊誌『オルタ』12月号で、ロシア・チェチェン問題に関するブックレビューを書かせてもらいました。他にも興味深い記事がたくさんありますので、ぜひお買い上げください。
パレスチナで日本政府による『和平促進』のODAプロジェクト「平和と繁栄の回廊」というものが動き出しているのですが、これに警鐘を鳴らす特集記事(役重善洋さん、早尾貴紀さん、それからイベント欄で紹介したファトヒ・クディラートさんの執筆)も注目です。
それから、チェチェン問題ではないのですが、『せめて1時間だけでも—ホロコーストからの生還』という本についての書評が身につまされました。ヒトラー政権下のドイツで、一人のユダヤ人青年をかくまったドイツの人々。冬休みに読もうと思いました。
さらに昼間賢氏の「日仏の郊外、余計者の余地」は話題のサバービア(郊外)問題に切り込みます。こうしてみるとオルタ、充実していますね。(大富)
24日、ドイツ・ポーランド国境でチェチェン難民59人が拘束されました。ヨーロッパでは、21日にシェンゲン協定が拡大され、計24カ国の間で出入国審査がなくなったばかりでしたが、難民や移民にとっては、あるいは国境の壁はより高くなっていくのかもしれません。(邦枝)
写真は、ドイツ・ポーランド国境で、「歴史的瞬間」を祝うメルケル首相ら。
ポーランドとドイツの国境警備隊は24日、ポーランド経由でドイツに不法入国しようとしたロシア南部チェチェン共和国からの亡命希望者59人を拘束したと発表した。DPA通信が伝えた。ポーランドはドイツとの国境審査が廃止されるシェンゲン協定に加盟、21日に陸路の審査が廃止されたばかり。独側は密入国者の増加を懸念していた。
同通信社などによると28人の子どもを含む59人はポーランド国内の滞在を許されていたが、第三国への旅行などは許可されていなかった。列車でドイツ入国を図ったところを拘束された。
しばらく忙しくしていてフォローが遅れてしまいましたが、19日、米タイム誌が、2007年の「今年の人」にプーチン大統領を選出しました。…というと聞こえがよいかもしれませんが、今から約70年前にタイム誌が選んだ「今年の人」は、なんとアドルフ・ヒットラーでした。3月の大統領選挙から排除された元チェスの世界王者、ガルリ・カスパロフによる辛口のコメントを紹介します。
タイム誌は、プーチンを選出した理由として、彼がロシアを国際舞台に復帰させ、「無秩序状態」を克服し、愛国心を復活させたことを挙げています。タイム誌は、プーチンが人権上「困った」行為をしていることについて懸念を示してもいます。これと同じことが1938年のアドルフ・ヒットラーにも言えました。ヒットラーは、1938年にタイム誌の「今年の人」に選ばれました。当時、タイム誌は「ファシズムは自覚している。報道と言論、集会の自由が、自らの存続のために潜在的な危険となることを」と書いていました。これと同じ台詞が、今年の受賞者にも当てはまると思います。
2007年12月17日
昨年の晩秋の2週間、戦争下のチェチェンで民間の戦場医師として、敵味方を区別することなく多くの人命を救った体験を著書「誓い」に綴ったハッサン・バイエフ医師が初来日を果たし、各地で感動的な講演をされました。多くの方々が、バイエフ医師に関心を寄せ、共にチェチェンの人びと、とりわけ未来を担う子どもたちが辛酸を嘗めさせられている現状に心を痛めて下さったことに対して、招聘を組織した「ハッサン・バイエフを呼ぶ会」は、心からお礼を申し上げます。
それから1年あまり、バイエフ医師は、2回にわたり故郷のチェチェンに入って、荒廃した医療環境をどう立て直すか、自分自身が10年近いブランクを克服して、医療現場に復帰できるかを真剣に検討してきました。チェチェンでは因果関係は解明されていませんが、小児の先天奇形が頻発しており、今秋の訪問では、バイエフ医師も数件の手術を行っています。
ハッサン・バイエフ医師は昨年の訪日の際、日本の先進的な形成外科医術の知見を深め、医師免許の関係で、患者に触れることはできなくても、実地に学びたいと強く希望されました。この希望を実現しようと多くの方がたが、様々な可能性を、バイエフ医師の滞日中から探って下さいました。
22日より東京・渋谷で公開される映画『暗殺・リトビネンコ事件』に関する記事をいくつか紹介します。まずは、12月10日発売のQuickJapan最新号に掲載された、林克明さんによるネクラーソフ監督へのインタビューから。とにかく「少しでも多くの人にこの『暗殺・リトビネンコ事件』を観てもらいたい」と私も思います。この映画は、ロシアの闇の根源を覗き込むうちに、そこに私たち自身の影があることにも気づかされてしまう——そんなドキュメンタリです。最新情報はブログ「リトビネンコの日記」をご覧ください。(邦枝)
いちばん最初に秘密警察に圧力をかけられたのは、演劇大学一年のときにさかのぼります。当時、英語に興味があって、私はアメリカ人やイギリス人と付き合っていました。すると秘密警察に呼び出されて、彼らの情報を報告するように要求されました。私が拒否すると、すぐに退学処分になりました。
このような場合多くの人は『はい』と答えます。このテストに合格すればその後のキャリアは保障される。いまも"テスト"は続いています。
私がこの映画『暗殺・リトビネンコ事件』を制作する決断をしたのは、国家犯罪がまったく罰せられなければ、国民が自分の家に住んでいるという安心感をもてないから。何よりも、リトビネンコが毒殺されたとき、その対象は私かもしれないと思ったことです。
「私の身に何かあった時は、このビデオを公表し世界に伝えてほしい」
リトビネンコ氏のこの言葉で始まる映画は、アンドレイ・ネクラーソフ監督が行ったインタビューが中心だ。それにその時々のニュース映像やFSB時代の上司や部下らの証言も交え、亡命に至った背景を描き出す。
99年のモスクワ連続爆破テロを題材にした「不信」(04年)などの作品があるネクラーソフ監督は、「ロシアより民主主義を謳歌している国でも民主主義を当たり前と考えてはならない。日々変化するものだ」と日本の観客へのメッセージを述べた。映画は「第七藝術劇場」(大阪市淀川区)でも来年2月から上映される予定だ。
──映画の中で「秘密警察組織の台頭やチェチェン問題に、ロシアの市民は無関心だ」という指摘が出てくる。なぜか。
大きな要因の一つは、ロシア中心部に住む人々が、コーカサスなどのロシア人以外の人々が住む「非ロシア地域」に偏見や差別感を持っていることだ。ロシア人は圧倒的に人数が多く、「ロシア民族が外に向けた代表だ」という認識がある。だからそれ以外の人たちへの無関心が生まれる。
チェチェン問題には外国の介入、政治的腐敗など複雑な要素が絡まっている。問題を単純化するわけにはできないが、原因の一つに差別意識がある。差別や偏見はどんな人でも持ち、どんな国にもあるもの。ロシアだけの問題ではない。米国同様、ロシアにもイスラム教に対する偏見がある。ロシアでは報道の自由が制限されている。欧米なら自由な政府批判ができる。ロシアでは偏見を利用する人間が出現し、ポリトコフスカヤやリトビネンコのように、批判する人間は抑圧される。
ロシアの選挙について続報をフォローしてみます。案の定、どれも気分が悪くなるような情報ばかりなのですが…。それにしても、これほどまで選挙に正当性がないことが明白なのに、国際社会はなぜロシア政府を本気で追及しようとしないのでしょうか。ロシアが怖いから?それとも石油が欲しいから?あるいは自分たちには関係ないから?もしもそうだとすれば、その理由の半ばは、ロシア政府ではなく、私たち自身の問題にあると言えないでしょうか。(邦枝)
12月2日に実施されたロシアの下院選では、ウラジーミル・プーチン率いる「統一ロシア」の勝利のために、ロシア全土で脅迫と偽装が行われていた証拠が挙がっている。バスに詰め込まれた投票者が投票所を次々と回っていく光景が目撃されているし、本来は投票者しか投票できないはずの集計機に、選管職員が大量の投票用紙を突っ込んでいるという、ひどいビデオが話題になっている。下院選の結果は、投票所が無人化していたコーカサス地域で、投票率が99%を上回るといった、とても信じられないようなものばかりだった。
ちなみに、YouTubeにはこんな動画も。次は、プーチン政権が反体制派大統領候補を脱落させる手口についての解説です。カスパロフも同じやり口で立候補を断念させられました。
著名な作家であり人権活動家でもあるウラジーミル・ブコフスキーは、大統領選挙への出馬が危うくなっている。ソ連の反体制派活動家は、「発起人グループ」を組織しようとしたところ、当局の妨害を受けた。ラジオ『モスクワのこだま』が報じた。ロシアの法律では、候補者を出すためには、最低でも500人からなるグループを集めなければならない。
ブコフスキーは、1970年代にソ連から亡命していたが、大統領選挙に出馬するために今年帰国し、ウラジーミル・プーチン大統領を批判していた。
ブコフスキーの支持者が予約をしていた集会場は、直前になって契約を破棄された。
いろいろと情報を更新するうちに、サイトが見にくくなってしまったので、「もう一つのロシア」関連の記事は、従来のロシア関連報道とは別にトピックを立てることにしました。
「もう一つのロシア」を率いるカスパロフがどんな人物かということは、ぜひ彼の著書「決定力を鍛える-チェス世界王者に学ぶ生き方の秘訣」(NHK出版、2200円)を読んでいただきたいのですが、先月のデモで逮捕された後に、カスパロフがウォールストリート・ジャーナルに寄稿した文章にもそれが示されていると思うので、最後に紹介します。
12月10日、午後5時頃(モスクワ時間)、「もう一つのロシア」の活動家、ユーリー・チェルヴォシキンが、ブルデンコ病院の神経外科で死亡した。チェルヴォシキンは11月下旬に昏睡状態で運び込まれてから入院していた。チェルヴォシキンは、生きていれば12月31日で23歳になるはずだった。
親愛なる大統領殿・・・私たちは選挙の結果をどのように受け止めればよいのでしょう?輝かしい勝利?いえいえ、ここでちょっと計算機を借りてきて、計算をしてみましょう。ロシアの全有権者数は1億670万人です。大統領殿に投票した人々の数は、4350万人です。確かに大勢の人々があなたに投票しました。ですが、それでも実は全有権者の半分にも届いていないのです。
いったいあなたに投票した4300万人のうちどれだけの人々が、実際に良心にもとづいて投票できたのでしょうか?・・・多くの投票所の投票記入所では、秘密投票を行うための備品が置かれていなかったのですが、これは初めてのことでした。まったく前代未聞のことです。スターリン時代のソ連の選挙でさえ、投票記入所にはプライバシーを保護するための仕切りがありました。
まず第一に、刑罰というのは重要ではない。重要なのはこういうことだ。そもそもロシアに法律はあるのだろうか?そして第二に、私は殉教者になるのはまっぴらごめんだし、獄中の反体制指導者になるつもりもまったくない。私はそんなものに幻想を持っていないし、刑務所が居心地の悪い場所であるということも身を持って知っている。私たちが直面している問題は、チェスのように冷血に計算をすればよいというものではない。問題は、自尊心と倫理に関わっている。私は自分がその場にいないのに、人々に対して路上でデモをするように訴えることはできない。土曜日のデモで、私は自分たちのスローガンを「自分たちの中にある恐怖を乗り越えよう」にしようと提案した。だから、私にはこの言葉を実行する義務がある。
今回の逮捕が氷山の一角にすぎないと指摘することも重要である。私に起こったようなことは、ロシア中で日常的に起こっている。反体制活動家や、偶然当局の邪魔になってしまった人々は、薬物の不法所持、過激主義—最近の流行は不法なソフトウェアの所持—という容疑を捏造され、嫌がらせを受け、逮捕されてしまう。
中央選挙委員会(CEC)は、ガルリ・カスパロフを3月の大統領選挙から排除した。カスパロフの属する政党「統一市民戦線」の事務局長デニス・ブリノフは、チェスの元世界王者が序盤から妨害されたとSobrok@ruに語った・・・「クレムリンのもとではフェアプレイなど不可能だ」(カスパロフ)
ここ数日のロシア関連報道をいくつか。ノーヴァヤ・ガゼータの英語版サイトも。よろしければ直接ご覧ください。
・・・プーチン氏の強権政治を内部告発していた人物がいた。アレクサンドル・リトビネンコ。FSB(ロシア連邦保安庁=旧KGB)の元中佐で、プーチン氏がその長官時代の部下だったが、庁内の汚職を告発したことから二度も投獄された。身の危険を察知して亡命するものの、昨年11月、放射性物質ポロニウムによって何者かに暗殺された。
国境なき記者団では、毎年、世界報道自由ランキングを発表しています。2007年もランキングが発表されました。ロシアの順位は、169ヶ国の中で、144位。ロシアでは1999年〜2006年の間に126名のジャーナリストが死亡、もしくは行方不明となっているそうです。
2日の下院選で与党「統一ロシア」の比例名簿1位で当選したプーチン大統領は13日までに、当選を辞退するとの意向を中央選管に伝えた・・・統一ロシアは有権者に「政権党」であることをアピールする狙いで、ロシアを構成する共和国大統領や地方の知事など下院議員との兼職が禁じられている候補者を比例名簿に多数掲載した。そのほとんどが現職を続けるため当選後に辞退している。ルシコフ・モスクワ市長やカドイロフ・チェチェン共和国大統領ら、当選辞退者は101人に上っているという。
ロシア正教の最高指導者アレクシー二世総主教は十三日、プーチン大統領が、任期切れ後に首相に就任すれば「ロシアにとり偉大な恩恵となる」と述べ、メドベージェフ第一副首相によるプーチン氏の首相就任要請を強く支持した・・・来年三月の大統領選を控え、プーチン政権の正教会重視の姿勢が強まっている。大統領は下院選挙前の先月十九日、クレムリンにアレクシー二世ら正教幹部を招き「統一ロシア」支持を訴え、文化人などから懸念が強まる宗教教育の全面解禁に肯定的な発言を行った。
07年の国防費は8215億ルーブル(約4兆1000億円)。プーチン政権下の8年間で5倍を超えた。だが、新装備調達に巨額の資金が割かれる一方、軍人の給与は月7000〜1万2000ルーブル(約6万円)にとどまり、住宅など生活条件の改善は進んでいない。
エリツィン前政権を支えた元石油王のホドルコフスキー氏や英国亡命中の政商ベレゾフスキー氏らは今、プーチン政権下で国賊扱いを受ける。ロシアのエリートらが政権交代によって「第2のホドルコフスキー」となることを恐れていることも、「プーチン首相」礼賛の背景にはある・・・プーチン政権下では貧富の格差が拡大して汚職が蔓延(まんえん)、生活にかかわる社会基盤整備は置き去りにされており、翼賛体制にはもろさも潜んでいる。
11日、プーチンが次期大統領候補に指名したメドベージェフ第一副首相は、国営テレビで演説し、プーチンへの首相就任を要請しました。今朝の各紙は、メドベージェフが選ばれたのはプーチンが「院政」を敷く上で最も都合のよい人物だったから、という論調を展開しています。「これらの候補(ズプコフ首相やイワノフ第一副首相)を指名したら権力抗争に歯止めがきかなくなるかもしれない。そんな危惧も抱いて、大統領は、これらの陣営から距離を置くメドベージェフ氏を指名したのではないか」[読売 12/12]
けれども、プーチン政権にとって本当に都合が悪いのは、内輪の権力争いなどではなく、市民にとって真に自由な選挙が実現してしまうこと、ロシアの中で民主化を求めている人々の声が私たちに届いてしまうことなのではないでしょうか。以下に、ロシアの民主化を目指す反体制派連合体「もう一つのロシア」のサイトから、いくつかニュースを紹介します。(邦枝)
ニキータ・ベルイフ(右派連合共同代表):「私たちにとってメドベージェフという名前は重要ではありません。後継者という概念そのものを、私たちは受け入れられないのですから。人々は、統一ロシアに投票したときと同じように、メドベージェフに投票するでしょう。彼の個人的資質?そんなものを話し合うことには何の意味もありません」
元FSB将校のミハイル・トレパシキンは、FSBの元同僚が三度にわたって彼をアレクサンドル・リトビネンコを暗殺するための「国家作戦」に誘ったことを明らかにした・・・
ロシアのプーチン大統領の後継候補に指名されたメドベージェフ第1副首相がプーチン氏に次期政権での首相就任を要請、プーチン氏が来春の大統領退任後に首相として“院政”を敷く権力構造が形を現し始めた・・・欧米諸国には、「リベラル派」のメドベージェフ氏が大統領に就任すれば、悪化の一途をたどるロシアとの関係が好転するのではないかと期待する声もある。ただ、「シロビキ」を牛耳るKGB(旧ソ連国家保安委員会)出身のプーチン氏が実権を握り続ける限り、「ロシアの本質は何も変わらない」との見方が一般的である。
最近のロシア関連報道をいくつか紹介します。林克明さん共著の『トヨタの闇』は、Amazonのレビューでもすごい反響。ぜひお買い求めください。最後の佐々木記者のブログも必見と思います。
ロシアに<新たな皇帝>が誕生するらしい・・・プーチンは、その泥棒的経済格差を資源「ナショナリズム」で退治しようとしているかに見える。だから人気が高いのである。
翻ってわが国はどうか?国有資産の「郵政十一施設・破格廉売」(東京新聞十一月十七日付朝刊)とある。旧郵政省が全国に建設したホテルや文化施設…計十一施設の売却総額が、総建設費の一割の約百三十九億円にとどまったというのだ。この異常廉価払い下げの不正義ニッポンが、どうしてロシア資源皇帝の誕生を笑えよう。
英BBC放送のモスクワ支局に勤務する記者や職員3人が先月下旬以降、相次いで排外主義者とみられる男らの襲撃を受け、負傷していたことが明らかになった。BBCや在モスクワ英国大使館は親プーチン大統領の官製青少年団体による激しい圧力行為にもさらされている。3月の大統領選に向けてプーチン政権が排外姿勢を強めているのに伴い、特に悪化の一途をたどる英国との関係は“危険水域”に入ったようだ。
トヨタ自動車が年内に操業するロシア工場は、ロボットなどの自動化設備を極力排除し、人間が主体となってクルマを組み立てる“一昔前の自動車工場”となる。現地社員に自動車製造の面白さを体感させ、トヨタ流モノづくりの“DNA(遺伝子)”を植え付けることが狙いだ。
つい最近、ロシアでこんな報道がありました。有力紙コメルサントの記事です。見出しは「統一ロシアは、選挙で得票率100%以上の支持を集めた」。この記事によると、首都モスクワに近いモルドヴィア州では、投票率はなんと94.5%。そのうち、93.41%の有権者が統一ロシアに投票したとのこと。
そんなことあるかいっ!と思わずつっこみたくなりますが、さらに、眼を疑う数字が・・・・この州のある地域では、選管の集計の結果、得票数の109%が、統一ロシアに投票したー。???
州ごとでは、チェチェン州が99.21%の投票率でトップ。チェチェン州では116万人の人口がいますが、だいたい有権者は80万人ぐらいでしょうか?そのうちのほぼ全てが、統一ロシアに投票したとのこと。
カディロフ大統領はこう言って胸をはります。「私は、今回の選挙がよく組織されたものだったと思うよ。投開票もうまく行った。私は、各選挙区の多くの有権者とあって話をして、ある結論を見いだしたんだ。選挙管理委員会が、選挙キャンペーンが成功するように、事前に必要不可欠な手段を講じたってことをね」
アムネスティが、「北コーカサス:危機にさらされる人権活動家」という報告書を11月28日にリリースしました。以下に概要を紹介します。
ロシアでは、昨年10月にアンナ・ポリトコフスカヤがモスクワで暗殺され、先月にはイングーシで人権団体「メモリアル」の代表とテレビクルーが誘拐される事件が起こりました。アムネスティは、北コーカサスにおける人権侵害を告発する人権活動家やジャーナリスト、弁護士が、まさにその活動のために、人権を侵害され、ときには命さえ奪われてしまうロシアの現状を批判し、彼らの権利を擁護するよう当局に勧告しています。
目次:
(1) 北コーカサスにおける人権侵害
(2) 人権活動家、ジャーナリスト、弁護士を沈黙させようとする試み
(3) 人権活動家に対する「テロリスト」「過激派」のレッテル貼り
(4) 集会の自由に対する規制
(5) 人権団体と政治活動家に対する迫害
(6) 勧告
[追記]アムネスティのキャンペーン「ビルマの人びとの自由をとり戻そう!」(1 Click アクション)にもぜひご協力をお願いします。ビルマ(ミャンマー)では、平和的に意見を表明しただけで1000人以上が囚われの身になっています。
2日に実施されたロシア下院選は、プーチンを比例名簿第一位に据えた与党「統一ロシア」が「圧勝」し、単独で憲法改正が可能な三分の二を越える70%(450議席中315席)の議席を獲得しました。続いて野党の共産党が11.6%(57議席)を確保したものの、極右の自由民主党と公正ロシアを合わせて与党勢力が約9割。完全な翼賛体制です。リトビネンコ事件の容疑者アンドレイ・ルゴボイも自民党から当選しました。
下院選の結果は、すでに各紙が大きく取り上げていますが、最も重要なのは選挙の結果に正当性がないことで、この点は何度でも主張していかなければならないと思います。(邦枝)
地元市民団体や野党は「与党や行政当局が有権者への投票強制や二重投票などの不正を全土で行った」と批判した。西側諸国も今回の選挙を「民主的な基準を満たしていない」と正当性を否定しており、ロシアは国際社会での孤立を深めそうだ。
国内約40カ所で独自に選挙監視活動を行ったモスクワの非政府組織「ゴロス」は、全国から3500件以上の選挙違反の苦情を受けた。目立ったのは不在者投票制度を悪用した例で、ウラル地方のウファでは、同制度を使って大量の学生が1カ所の投票所に送り込まれ、投票を強制させられたという。またモスクワでは「統一ロシアの指南を受け、複数の投票所に選挙人登録をした」と証言した有権者もいた。
親ロシア派傀儡(かいらい)政権が統制する南部チェチェン共和国では投票率が99.5%、統一ロシアへの得票率は99.36%と中央アジアの独裁政権をほうふつとさせる異常な数字が出た。こうした地域では、野党などの選挙監視活動は実力で阻止されたという。
野党や独立系の選挙監視団は、各地で有権者に対する脅しや投票の買収、警官による監視団の閉め出しなど組織的な不正を指摘した。南部のチェチェン共和国などの投票率が九割を越えるなど、不自然さも見られる・・・政権側は前回二〇〇三年の下院選で約四百人の監視団を派遣した欧州安保協力機構(OSCE)の監視を事実上拒否。欧米はかねて野党や人権団体の弾圧を批判しており、問題は尾を引きそうだ。
独裁国家さながらの統制された選挙に終始した・・・政府系企業の傘下に入っている主要テレビは、ニュース報道時間枠の95%以上を大統領や与党など政権側の実質的な「宣伝」に費やした。大統領の任命制で選ばれている知事らは・・・地元企業などに圧力をかけた。各企業に「統一ロシア」を支持しなければ事業免許を取り消すと通告。企業は従業員に投票を強要した。
米ホワイトハウスのゴードン・ジョンドロー国家安全保障会議(NSC)報道官は2日、ロシア下院選について声明を出し、「選挙不正の疑いが伝えられている」とし、ロシア当局に調査するよう求めた・・・米政府がこれほど厳しくプーチン政権を批判するのは異例で、今後、米露関係に影響を及ぼす可能性もある。
共産党のジュガノフ委員長は「中央選管の開票結果を我々は信用しない。シベリアなどで開票結果の操作が明らかになっている」と述べた。プーチン政権の初代首相でその後批判勢力に転じたカシヤノフ氏は「選挙は自由でも公正でもなく、審議会は正当性を持たない」と主張した。
プーチン氏は、選挙戦の最中の先月末、欧米諸国を「鼻垂れ」と呼び、その鼻先に干渉されないような強い軍を構築する必要があるとの強い姿勢を強調・・・石油マネーで歴史的好景気を迎えて順調にみえるロシアだが、貧富の格差や汚職の拡大、異常な物価急騰など、国民の不満や矛盾を抱える。政権は「ロシア崩壊をもくろむ敵」との緊張を高め、国民の不満のはけ口を外敵に向けさせることで政権の安定を図ろうとしているようにもみえる。
イングーシでは、公式発表による投票率と実際の投票者数の間に、チェチェン以上の落差が生じている。イングーシ選挙管理委員会は、投票率が98%でそのうち98.9%が統一ロシアに投票したと発表しているが、Ingushetiya.ruの推計によれば、実際に投票した有権者は8%程度にすぎない。
—大統領は、暗殺のことは知っていたのか
「こんなタイプの作戦はボスが知らないうちには行えない。大統領以上に影響力を持つボスなどロシアにはいない。国家が運営する秘密の核研究所からポロニウム210を持ち出すには書類上の手続きが必要。核施設は厳重に管理されており、大統領は何が持ち出されたか知っていたはずだ」
—ルゴボイ容疑者の犯行と断定できたのは?
「英当局はポロニウム210を使った予行演習が昨年10月16日に行われていたことまで突き止めた。(反プーチン政権の政商で英国事実上亡命中の)ベレゾフスキー氏ら関係者全員から、事情聴取をし、誰が何をしたのか、正確に割り出した」
明日2日投開票のロシア下院選に関する各紙記事を紹介します。どの記事を読んでも、プーチン与党「統一ロシア」の勝利は磐石で、すでにメディアの関心は大統領後継者に移っているようです。けれど、統一ロシア以外の政党や市民がほとんどリングに上がることさえできないような状態では、プーチンが「勝利」を主張すること自体、実は相当な無理があるように思います。その無理を繕うために何が起こっているのか、何が起ころうとしているのか、記録を集めていこうと思います。写真はプーチン・ユーゲント「ナーシ」が人海戦術で配っているプーチン礼賛フライヤー。(邦枝)
政権側は『不正選挙』批判をよそに、行政機構と資金をフルに使った強権的な集票活動を展開している。民主化後退の流れは今選挙を機に一段と加速しそうだ。
「この選挙は茶番劇どころか、合法性に疑問を呼び起こすものだ」。エリツィン前政権の大統領補佐官だったサタロフ氏は11月29日、プーチン氏が与党への投票を呼びかけた国民向けテレビ演説を受けて、こう語った。
「1990年代の選挙が国際基準に照らして完全に民主的だったとはいえないが、恐喝や検閲、(選挙戦での)他政党への言及禁止や特定政党への投票強制はなかった」
クレムリンの意を受けた州知事などが企業経営者に「統一ロシア」への投票を強要、経営者が社員に圧力をかけるという「垂直の権力構造を利用した選挙違反」(サタロフ氏)が横行している。
同国紙ベドモスチによると、与党は多くの企業に「(巨額の)資金提供を拒めば大統領府ならびに知事に通告する」旨の書面を送付。英字紙モスクワ・タイムズは、選管職員が世論調査の倍の得票の確保というノルマを課されていると報じた。
「(今回の選挙で)雪辱し、権力を奪還しようとしている者がいる。汚職とウソで固めたオリガルヒ(少数資本家)支配体制の復活をもくろんでいる。90年代に要職を占め、社会と国家に損害をもたらした連中だ」。プーチン大統領は11月21日、モスクワの競技場で開かれた支持者集会で、異例の厳しい口調で「政敵」を攻撃した。明らかに、エリツィン前政権与党の流れをくむリベラル派野党「右派勢力連合」を標的にした発言だった。
同連合によると、これまでも政治ビラを警察に押収されたり、逆に集会参加者に報酬を約束した偽ビラをまかれるなど嫌がらせが絶えなかった。国営テレビは25日、同連合のビラ配りに動員されたという住民が「約束した日当を払わないうそつきの政党だ」などと批判する様子を放映。これも政権主導のネガティブ・キャンペーンとみられている。
(市民の関心が低い中で)投票率を上げるにはどうすればよいだろうか?一つは有権者数をごまかすことだ、と政治情報センターのアレクセイ・ムヒン所長は言う。これには、ニコライ・ゴーゴリの『死せる魂』にあやかって、死者に投票をさせる手も含まれる。ムヒン氏は、2003年の選挙の例を挙げ、「北コーカサスでは投票率が102%になることもある」と述べる。「物理的にはあり得ないことで、選挙結果は一票残らず再集計するべきだった。もちろんそんなことはできはしなかったが」。
軍隊による投票が、不自由で不公正になりかねないことも問題である。兵士の母親委員会によると、有権者資格を持つ被徴兵者は約60万人。けれども、軍事評論家のパヴェル・フェルゲンハウエルパは、ノーヴァヤ・ガゼータのインタビューに応じて・・・述べた。
「軍隊にはいわゆる専用投票所があって、兵士たちは行進をして投票所に向かいます。もちろん、与党に投票するよう脅されたり圧力をかけられることも珍しくありません。もっとも、軍隊は—少なくとも兵士なら—言われた通りに投票するので、そうしたことは問題にもなりませんが。ちなみに軍隊内での投票率はつねに100%近くになります」
「チェチェンでは、統一ロシア以外の政党がポスターを貼ったり、広告を出したりすることはありません・・・チェチェン人の多くは、第二次チェチェン戦争を起こしたプーチンを憎んでいるし、『テロリストは便所に追い詰めて、肥溜めにぶち込んでやる!』(プーチンの言う『テロリスト』とはほぼすべてのチェチェン人ということですが) という彼の暴言を忘れることもありません。ですから、まともな選挙が実施されれば、『プーチン計画』の統一ロシアはチェチェンで1%の得票を得ることさえできないでしょう。ですが、同志スターリンが述べているように、『選挙とは、投票者ではなく、投票集計者が決めるものだ』。ラムザン・カディロフらが投票操作をするチェチェンでは、統一ロシアの得票率は90%以上になるでしょう」
ちなみに、チェチェンとイングーシの選挙を監視する国際選挙監視員の数はゼロ[Moskovsky Komsomolets 12/1]。
2日のロシア下院選挙を前に、野党側から「与党『統一ロシア』が不正に得票を増やそうとしている」との懸念の声が上がっている。反体制派グループ「もう一つのロシア」のメンバーが「統一ロシアの支持者になりすまし(同党に)接近したら、不在者投票制度を悪用した不正投票の指南を受けた」と明らかにした。
ロシアでは、選挙当日に仕事などで居住地を離れる場合、自分の都合のよい投票所で投票できる。そのためには居住地の投票所で選挙人登録を取り消し、投票3日前までに別の投票所に登録を移しておく必要がある。
このメンバーらによると、統一ロシアのモスクワ支部は11月23日、首都やモスクワ州内の各投票所の選挙立会人を集め、登録取り消し証明なしでの投票を認めるよう指示を出した。同支部は30日、毎日新聞に対し、こうした説明会が行われたかどうかについて「否定も肯定もしない」と回答。毎日新聞がモスクワ市中心部の投票所の選管職員に電話取材したところ、「登録取り消し証明の提示なしで域外の有権者も投票できる」と答えた。
モスクワで先月24日、プーチン体制打倒を訴えるデモを実施し、5日間の身柄拘束処分を受けていた反体制派指導者で元チェス世界王者カスパロフ氏が同30日、釈放後初めて会見した。独房での拘束中、外部への電話や弁護人との接見を拒否されたといい、「ソ連時代にもなかった無法な反体制派抑圧がなされている」と当局側を非難した。
非公開の軍事法廷で国家機密漏洩罪で裁かれ、ほぼ4年にわたってウラルの山奥に収監されていたミハイル・トレパシキンが、ついに釈放されました。弁護士で元FSB将校のトレパシキンは、昨年11月に暗殺されたアレクサンドル・リトビネンコとともに、1998年にFSBを告発する記者会見を行い、第二次チェチェン戦争の引き金の一つとなった1999年のモスクワ連続アパート爆破事件を調査していました。
12月22日に渋谷ユーロスペースで公開されるドキュメンタリ映画、『暗殺リトビネンコ事件』にも、トレパシキンが登場しています。2003年に銃の不法所持(でっちあげ)で逮捕されたとき、トレパシキンはFSBの同僚が容疑者の事件を追っていました。写真はAFPの記事より。情報はTさんからいただきました。いつもありがとうございます。
[追記]今年7月には、欧州人権裁判所が、トレパシキンに3000ユーロの賠償金を支払うようロシア政府に命じる判決を出していました[RIA Novosti 11/30]。Oさん、フォローありがとうございます。
[追記2]タイムズ紙によると、下院選の二日前というタイミングで釈放されたことについて、トレパシキン自身は「プーチン与党の圧勝が確実で、クレムリンがもはや私を脅威と見なしていない」からとコメントしています。ただし、トレパシキンは、FSBがリトビネンコを暗殺したと公言しているため、今後どうなるかは目を離せないところだと思います。
Tさんから情報をいただきました。ありがとうございます。東京以外の地方でチェチェンを支援している取り組みが、こんな風に取り扱われていると、うれしくなってしまいます。
「チェチェン紛争などでロシア・プーチン政権を批判してきたロシアの女性記者、アンナ・ポリトコフスカヤさんが昨年10月、自宅アパートで殺害されて1年が過ぎた。国際人権NGO「アムネスティ・インターナショナル日本ひろしまグループ」は10日、チェチェン共和国の実情を知ってもらおうと集会「チェチェン、ロシアで起こっていること」を開く。
同グループの野間伸次・運営担当は「ミャンマーの人権問題に国連や国際社会が対応できない背景には、ロシアのチェチェン問題、中国のチベット問題を見逃す人権への国際的な二重基準がある。ロシアの危険性は日本も無関係ではない」と参加を呼びかける」 (注:終了しました)
「地位を利用した官僚の汚職もプーチン政権の暗部だ。世界の汚職を調べるNGOトランスペアレンシー・インターナショナルが今年発表した腐敗認識指数(ランクが低いほど腐敗度が高い)では、ロシアは世界179カ国中143位で、最悪の部類だ。日本は17位...エリツィン前大統領の補佐官を務めた民主主義情報基金代表のサタロフ氏は「権力を握った官僚が金を求めている。プーチン政権自体が新しいオリガルヒになった」と指摘する。
政権を批判するサタロフ氏には、テレビに出さないよう放送局へ政権の圧力がある。「プーチンの高い支持率は、ほかにだれもいないからにすぎない」とサタロフ氏は手厳しい」
こういう見方は、支持率だけに注目していると出てこないですね。
03年7月に死亡したヤブロコのユーリー・シェコチーヒン元議員は、放射性物質を使って殺された疑いがある—という情報を、ロシア最高検察庁が公表したという記事。当時から放射性タリウム(て何だ?)を使って殺されたという話はあったものの、当局がそういう理由で再捜査するとまで言うのは異例。リトビネンコ事件に、政府以外のスケープゴートを探すとか、そういう目的があるように思われます。一種の煙幕と見た。
元チェス世界王者にして、最近逮捕されまくっている、野党「もうひとつのロシア」の代表ガルリ・カスパロフの著書「決定力を鍛える-チェス世界王者に学ぶ生き方の秘訣」(NHK出版、2200円)という本が刊行されました。
巻末の「もう一つのエピローグ」には、現在のロシアの政治情勢のなかで、何を、どう動かしていくかをつきつめた部分があります。
カスパロフはかつての苦しいチェスのチャンピオン戦を思い起こしつつ、こう書いています。
「2004年の反クレムリン勢力は同様の悲惨な状況にあった。あいにく、こちらのゲームでは対戦相手がルールをたびたび、きまって自分の有利になるように変更する。だが、そんな予測不可能で不公平な戦いでも、優れた戦略があれば努力次第で望みは出てくるものだ。・・・そうこうするうち、ふたつのことが明らかになった。ひとつめは、プーチンの弾圧に反対する組織は存続を保証されないということ。・・・ふたつめは、連合を築く必要性だった」
「この本で私は、既存の枠組みでは解決できない問題が見つかる傾向について述べているが、ここにあるのはまさにそんな問題だった・・・われわれが立っている局面はいまだに好ましくないかもしれないが、私の評価によれば、われわれと敵対する勢力に弱点がないわけではない」
日本で言うなら、羽生善治王将が反体制活動にのめりこんでいるようなもの。来年の大統領選挙に向けて、彼の考え方を理解するための注目の一冊。(大富)
フォトジャーナリズム月刊誌『DAYS JAPAN』の今月号で、「ジャーナリストの死」という特集が組まれています。ジャーナリスト保護委員会(CPJ)によると、92年以降、世界で殺されたジャーナリストの数が最も多かったのはイラクの120人。これに、アルジェリア60人、ロシア47人が続きます。
ロシアでの言論弾圧については、林克明さんが「記者として母親としての使命」という記事を寄稿しています。ぜひお買い求めください。
…アンナは2人の子をモスクワに残して戦場に通い、ロシア軍に逮捕監禁されたこともある。それでも伝え続けたのは、いま自国の暗部を追及しなければ、子孫への死刑宣告となる、と確信していたからだ。
12月3日のロシア下院選に向かって、毎日、信じられないような情報が入って来ます。いまはノートをとるだけで精一杯。
ロシアの独立系民放テレビ「レンTV」の取材班が24日未明、ロシア南部・イングーシ共和国の中心都市ナズランの宿泊先のホテルから武装集団に一時誘拐され、暴行を受けた。同局によると、取材班は同日、ナズランで予定されていた反プーチン体制を訴える大規模な住民集会を取材する予定だった。
[追記]ダゲスタンでは、野党ヤブロコの候補者が何者かに銃殺される事件が起こりました。殺されたファリド・ババエフ議員は、ダゲスタンでの人権侵害について当局の責任を追及していました。ババエフ議員は、4回銃撃され、そのうち1発の銃弾が頭部に撃ちこまれたそうです。アンナ・ポリトコフスカヤと同じ殺され方でした。
プーチン政権を批判する野党勢力「もう一つのロシア」が24日、モスクワで集会を開き、約3000人が参加した。集会後、指導者の一人でチェスの元世界チャンピオンのカスパロフ氏と支持者ら10人以上が、警戒に当たっていた治安部隊に身柄を拘束された。12月2日の下院選を控え、プーチン政権は野党勢力への圧力を強めている。
気づかなかったのですがしかし、こういうブッ、という感じの記事も。
ロシアのミロノフ上院議長は21日、「プーチン大統領が憲法を改正せずに来年3月の大統領選挙に出馬する方法がある」と述べ、いったん大統領職を辞任し、改めて3月の大統領選に立候補した場合は「(大統領の連続3選を禁じた)憲法に抵触しない」との考えを表明した。
アムネスティが、新しいリリースを発表しました。このところのイングーシでの治安作戦に、強く警告しています。以下は引用です:
ロシア連邦でチェチェンに隣接するイングーシ共和国では、当局による強制失踪や拉致その他の人権侵害が増加し、同国内の人権状況は急激に悪化している。アムネスティ・インターナショナルはロシア連邦とイングーシ共和国の両当局に対して、チェチェン共和国における過ちを繰り返してはならない、と警告した。
イングーシ共和国では、法執行官が身分を明らかにしないまま、国内パスポートのチェックをしたり拘禁したりすることがあり、覆面をしている場合もあるといわれる。2007年7月、アリ・ユルトの村落に対する明らかに報復的な家宅捜索の際、村民が一斉検挙されて殴打されたという。その際、男性7人がマガスの連邦治安局の建物に連行され、数人が虐待を受けた。また今年、ナズランの町では、捜査当局によって少なくとも男性3人が射殺された。これに対して当局は、村民が武装して抵抗したためだと述べているが、殺害の目撃者は、この男性3人は即決処刑されたと述べている。同様の事件が、マルゴベクやカラブルカの町でも起きたと報告されている。 [Amnesty International 11/15]
欧州人権裁判所は、チェチェン人を原告とする三件の訴訟について、失踪と超法規的処刑、不法占拠および財産権の侵害を理由に、ロシア政府を批判した。ロシア司法イニシアチブが発表した。 「こんなによい判決が出るなんて思ってもみませんでした」と、ハミラ・イサーエワ—ロシア国家を訴えていた原告—は語った。「とても言葉にできません」
先日、チェチェン総合情報/チェチェンニュースでお伝えした「チェチェン復興」に関する記事について、もう少し論じてみたいと思います。
まず、いつからいつまで行われたのかが、どの新聞にも明記されていませんが、あの取材旅行は「ロシア外務省が主催した外国報道陣向けの取材旅行」でした。すべての新聞社の記事に共通して書かれていることや、ある記事には書かれていても他の記事には書かれていないことなどいろいろあるので、各社の記事をつなぎ合わせながら取材の様子をもう少し具体的に想像してみましょう。(藤沢和泉/チェチェンニュース)
チェチェンを追うジャーナリストの林さんが、チェチェン以外を追った新刊書です。ターゲットは、マスコミ最大最強のスポンサー、トヨタ。都内大型書店では、なみいるトヨタ礼賛本をさしおいて平積み、面差しで販売されています。これは買うしかない!
「驚くべき欠陥車の実態、偽装請負、労災も認められない過労死社員、まともな労働組合活動さえ認めず、社内の思想統制をつよめるトヨタ。さらには、世界各地でひろがる反トヨタ世界キャンペーン・・・。フィリピンでは労組懐柔のために工場内でストリップショー・・。これらは日本のマスコミではほとんど報じられない。
それは、全上場企業でトヨタはダントツの宣伝広告費(1000億円以上)を遣っているからである。マスコミが批判できないのだ。
しかし我々は、巨額の利益をあげるトヨタの犠牲になる人々の視点から、この本を書き上げた。トヨタは、日本的労使関係、日本型企業の象徴である。トヨタをみることで、日本が見えてくる」
そしてロシアの闇を追った「プーチン政権の闇 チェチェン戦争/独裁/要人暗殺」(右)もよろしくおねがいします。
チェチェンの独裁者、ラムザン・カディロフが、日本のメディアを首都グロズヌイに招待しました。それで、毎日、産経、東京と、各紙に貴重な記事が載りました。朝日、読売はネット版には記事なし。詳しい解説は藤沢さんにお願いすることにして、とりあえず速報します。各紙とも、グロズヌイ市民の「建前」だけでなく「本音」を聞き出しているところに、苦心の跡。「メディアを利用させないぞ」という、記者の方々の気概を感じます。(大富)
「グロズヌイ市内には、建物や壁面などあらゆる場所に、カディロフ大統領父子の肖像画や、プーチン政権与党「統一ロシア」の旗とスローガンが掲げられている。大統領は「下院選(12月2日実施)で統一ロシアの得票率100%を目指す」と公言。市民に聞いても「プーチンとラムザンと統一ロシアを支持する」と答える人がほとんどだ。
だが市内のネフチャニコフ広場で手持ちぶさたそうにたたずんでいた元工員のヌリクさん(53)は「工場が止まったままで仕事がない。モスクワは戦争被害を補償しようともしない。当局が結果をでっち上げるだけの選挙には行かない」とつぶやいた。タクシー運転手のベカさん(41)は「ラムザンは汚いやり口で稼いだカネを人気取りのために使っている。みんな知っているが言わないだけだ」と声を潜めた。」
あいかわらずダーティです。
「「攻撃は外部から来ている」。イングーシのジャジコフ大統領は9月末の会見で語った。ただ犯行グループについては、地域の不安定化を狙う「ロシアの敵」というだけだった。あるイングーシ政府関係者は「同じロシア南部のソチでの冬季五輪開催(14年)を苦々しく思う西側諸国が、カフカスの危険性を印象付けるために仕組んだ」との可能性を真顔で話した。「チェチェンは既に正常化された」と主張するプーチン政権としては、最近の事件でチェチェン独立派に非難の矛先を向けにくい事情がある。」
だからゲリラの襲撃があっても独立派のせいだとは言わないわけですか。なるほど!でもこれは国を誤る道ですね。
「カディロフ氏は父のアフマド・カディロフ元大統領(2004年5月に爆殺)とともに独立派ゲリラから親露派に寝返った人物だ。ゲリラ時代からの約1万人の私兵組織によって共和国内で実権を増し、今年2月には30歳で大統領に就任。私兵組織は独立派の容赦ない掃討で知られ、治安維持に名を借りた多数の民間人拉致や身代金要求、虐殺を国際人権団体に疑われてもいる。
現在、カディロフ氏はプーチン大統領への絶対忠誠を誓っているものの、同大統領の任期が切れる来春以降の行動は予測がつかない。恐怖支配とロシアから湯水のごとく流れる復興資金に支えられた今のチェチェンは、危うい“安定期”にあるように見える。」
かなりはっきり書いています。
「「カディロフ大通り」と改名された首都最大の目抜き通りには、新築のビルや商店、カフェなどが軒を並べる。市内の各所には色鮮やかなデザインのアパートも建設された。ロシア軍の攻撃で街の中心部は廃虚と化したが、その戦闘の傷跡を見つけるのは困難だ。
しかしグロズヌイ郊外では、銃弾の跡が残る廃虚同然のアパートに住み続ける市民の姿も見られた。チェチェン事情に詳しいモスクワの人権運動家らは、水道さえ引かれていないアパートも多いと指摘している。
下院選挙を来月に控え、グロズヌイではプーチン大統領与党、統一ロシアの旗が主要な道路に掲げられる。カディロフ氏は「有権者の100%が統一ロシアを支持するだろう」と宣言した。ロシア政府からの豊富な復興資金と、中央アジアの強権体制さながらの「恐怖政治」で批判を封じ込め、一定の成果を収めている形だ。
しかし自営業のタバエフさん(50)は「帝政以来、チェチェンはロシアの“植民地”の地位から抜け出せなかった。今は口には出せないが、独立の魂は持ち続けるつもりだ」と力を込めた。」
100%って、、、何ですかそりゃ。でも、この男が投票箱の中身を決める(操作する)わけだから、笑えない。
Tさんから活字情報をまたいただきました。ありがとうございます。当サイトは出版されている情報のカバーがもうひとつ弱いので、いつも助かっています。
「次の次の大統領選は4年半後の2012年春に予定される。一期あいだを置くから、法的にはプーチン氏の出馬を阻む要因はなくなる。その後連続当選すれば、政権は2020年まで続く。さらに、臨時大統領選が早期に行なわれるという見方すら出ている。次期大統領が病気などを理由に途中で「辞任」し、「プーチン首相」は自動的に大統領代行に。2012年を待たずして早期に臨時大統領選が実施され、プーチン氏は大統領職に復帰するという流れだ。
・・・日本企業のロシア進出は、勢いを増している。サンクトペテルブルグのトヨタ・ロシア工場の操業開始は12月に迫った。プーチン氏の「続投」は、少なくとも当面は政治の安定が続くことを意味する。投資環境としては、プラス要因と評価できる。」
人として何かが欠落しているような気がしますが。
ロシアではこの7年間で、優に100人を超すジャーナリストが、殺されたり行方不明になったりしている。政権に批判的だったテレビや有力紙を政府系企業が買収し、統制下に置く動きも目立つ。彼女が属したノーバヤ・ガゼータ紙も事件の後、有力与党議員の銀行家が大株主になった。ポリトコフスカヤさんの殺害は、メディアを取り巻く厳しさを象徴する事件といっていいだろう。
ただ、その現実をすべて政治のせいにできるのだろうか。ロシアは今、好景気にわいている。まちには輸入車があふれ、所得も右肩上がりだ。豊かさを求めて躍起の国民に、あまり危機感は感じられない。
...プーチン大統領は退陣するが、その後も首相として権力を握りつづけると予想されている。ロシア国民が選ぶ新政権の構図を、ポリトコフスカヤさんなら、どう書くだろうか。
「10月7日は、プーチン大統領の誕生日。街には、プーチン親衛隊「ナーシ」の若者が、真っ赤なプーチンTシャツを着て、「プーチン」コールを繰り返しました。ゲームだって、サッカーだって、恋だって、おしゃれだってしたい10代の若者たちが「プーチンはかっこいい!」と思って、集会にやってくるのです。モスクワに降り注いだ雨なんてお構いなし。集まったのはなんと1万人です」
ただ、電話とインターネットで調査をしてみると...
1.プーチン大統領の誕生日を祝日にしたらどう?
電話調査 Yes 8% No 92%
インターネット調査 Yes 15% No 82%
2.アンナポリトコフスカヤはロシアの敵か?英雄か?
インターネット調査 英雄 75% 敵 15%
だったそうです。世論調査で80%がプーチン政権支持、だそうですが、そもそもメディアが政府に掌握されている国の世論調査を鵜呑みにするのは、ちょっと無理があるような気がしますね。(大富)
一昨日からyahooクイズというサイトで、「日本の難民認定は何人??」というものが掲載されています。
何でこのタイミング?という感じですが、私としては、どうもクイズという形を借りて、意識調査をされているような気もします。更に、まだ2日くらいしか経過していないのに、既に5万人以上がこのクイズに回答しています。回答者数は2位(約6000人)以下をぶっちぎりで突き放してのトップ独走中の状態です。日本の難民認定について、これだけ関心が集まることは滅多に無いと思います。
クイズに回答したあとにコメントも書き込みできるのですが、今のところ100人くらいの人が書き込みをしています。内容としては、受け入れに否定的な意見vs.肯定的な意見は、6:4という感じで、ちょっと不利な状況です。
そんなわけで、皆様、ぜひ「難民を受け入れるのは当然だと思います」、「こんなに認定数が少ないのに驚きました。もっと 受け入れるべきでは」などのごく簡単なもので構いませんので、ぜひクイズに回答して頂き、ぜひぜひ書き込みまでご協力頂きたいです!
私も「国際化を目指して「ようこそ!日本」とうたったり、国連の難民条約に入っている割には、低い数字だなと思いました 」と書き込みしました!(Tさん)
[追記]2日で投票は締め切られましたが、まだコメントは受けつけているようです。よろしければ今からでもご投稿ください。
31日朝、ロシア南部サマラ州のトリヤティ市で、通学中の学生らを乗せたバスが爆発し、乗客8人が死亡、54人以上が負傷しました。ロシア当局は、「チェチェン共和国独立派の野戦指揮官、ドク・ウマロフ氏がテロを計画しているとの情報を2週間前に得ていた」[NNA 11/1]として、例によって事件を「チェチェン人テロリスト」と結びつけようとしています。
ところが、というか、これも例によってと言うべきか、爆発直前にバスから降りてきた不審人物はスラブ系だという目撃情報が…。しかし、ロシア捜査当局の翻訳機を通すと、これさえも、「ワッハーブ派イスラム教に改宗した」人物が「チェチェン人司令官に命じられ」て犯行に関わった証拠になるようです。
ロシアで起こるこうした事件を読み解くためには、誰が「テロリスト」なのかということではなく(ロシア政府こそがテロリストであるという見方はとりあえず置いておいて)、誰が「テロリスト」を捜査しているのかということを考えていく方がよいかもしれません。つまり、この場合は:
という点に着目すると、事件の構図が見えやすくなってくる気がします。(邦枝)
今日の参議院法務委員会で、クルド難民問題が審議されました。質問者は民主党の今野東議員。審議の中継は以下からご覧いただけます。難民問題に対する市民の関心を国会に伝えるためにも、ぜひフィードバック(今野議員には激励を、鳩山大臣や遠山委員長には難民行政への改善要求など)をお願いします。
「2006年の難民申請者は954人でした。このうちミャンマーから来た難民が7割で、トルコから来た難民が149人で2位になっています。ところが、日本政府はトルコから来ているクルド人は一人も難民として認定していません・・・」
[追記]今野議員と法務省と法務委員会に送るFAXの例文を追加しました。よろしければご利用ください。
今野東議員(民主)へのFAXはこちら:
鳩山法務大臣(法務省)へのFAXはこちら:
参議院法務委員会 遠山委員長(公明)へのFAXはこちら:
たまにはやわらかい話を。チェチェンのポップス歌手の話題です。以下は、「世界非主流派音楽私的書庫」さんより。
「タイミング逸しすぎという感もあるのですが(汗、今日は歌って踊れるチェチェン人歌手、Makka Sagaipova(マッカ・サガイポワ)にいっとこうと思います。
...その頃のマッカたんは故郷チェチェンのみならず、カフカス全域(特にロシア連邦内の北カフカス)および各地のカフカス人の間でブレイクしてたよーですが、当時の彼女は17〜18歳(1987年生まれ)。ふつうなら、まーだまだこれから★というお年頃なわけですが、 彼女自身は「18歳で歌はやめる」と明言しており、ヒットした2枚目のアルバム後はホントに活動停止してるみたいであります」[/MZ 10/26]
10月29日と10月30日深夜、BS世界のドキュメンタリーで、「チェチェン紛争 子どもたちの情景(メランコリア3つの部屋)」が、再放送されます。ご都合のつく方はぜひご覧ください。以下は番組紹介より。
チェチェン紛争がロシアとチェチェン双方の子供たちに残した深い憎しみと悲しみを3つのシーンで描く。「第一号室」はサンクトペテロブルグ近郊のクロンシュタット海軍幼年学校。「第二号室」はチェチェンの首都グロズヌイの廃墟。「第三号室」はチェチェン国境にほどちかいイングーシ共和国の孤児施設。ロシアとチェチェンの子供たちの現状が、それぞれの「部屋」から見えてくる・・・カメラは笑うことを忘れた子供たちの表情を静かに切り取り、紛争という過酷な現実に翻弄されながら生きる子供たちの姿を伝えている。
10月26日は、モスクワ劇場占拠事件の強行突入の日−199人もの人々がロ シア特殊部隊が使用した毒ガスによって殺害された日から5年目です。この事件で 初めてチェチェンの存在を知った方も多いのではないでしょうか。最近のモスク ワタイムスに、ガスの種類が判明したという記事が載りました。しかしその報道 と抱き合わせの結論は、「血の海にならなかったからよい」という、ちょっと信 じられない展開でした。
あれだけの人々が死んでいるのに、まだロシア政府のやり方が擁護されるのは 驚きというほかありません。ところで、あの突入が正しかったとするロシア政府 の立場、あるいはその擁護論には、ある危うい前提が欠かせません。今回のチェ チェンニュースでは、この点についての考察をお届けします。 (大富亮)
モスクワ劇場占拠事件から今日で5年になります。こうした機会がなければ文章を書かないのは怠慢だと反省しつつ、いくつか記事を紹介したいと思います。ロシア語の解る方は、ぜひ「ノーヴォエヴレーミャ」をご試聴ください。事件の調査を打ち切った検察を告発するトークが公開されています。情報はTさんより。いつもありがとうございます。(邦枝)
[訂正]23日には「モスクワのこだま」と書いてしまったのですが、「ノーヴォエヴレーミャ」の間違いでした。申し訳ありません。よろしければもう一度リンクをご覧ください。
2002年10月にモスクワ劇場占拠事件が起こってから、明日で5年になる。事件は、チェチェン人テロリストが約900人の人質を取ってモスクワのドゥブロフカ劇場に立てこもった10月23日に始まり、ロシア軍特殊部隊が劇場に強行突入した10月26日に終わった。少なくとも、ロシア政府の公式説明では、そういうことになっている。 [バイナフ自由通信 10/22]
22日付のモスクワタイムズに掲載されたルポルタージュを紹介したいと思う。記事のタイトルは「ドゥブロフカ:外国人の見た悪夢」。自身も人質となり、米国人の婚約者と娘を亡くしたカザフスタン出身の女性の目から見た、モスクワ劇場占拠事件が再現されている。 [バイナフ自由通信 10/23]
今回は、ロシア・チェチェン戦争地域で15回以上も現地取材をして来られた、林克明さんに『チェチェン戦争』ついてインタビューして行きます。何故、チェチェンの独立をロシア(当時のソビエト連邦)はこんなにも恐れたのか?現地のロシア軍に抵抗しているレジスタンスの取材を通としてみえて来たロシアが抱えている問題に迫っていきます。[鳥賀陽弘道のU-NOTE]
合掌 一昨日、マトゥラで初めてのメール、嬉しく拝見しました。ちょうどその頃、どうしておられるか、いつ又お会いできるかなと思っていた矢先で、きっと心が通じたのでしょう。去る二日、北京からインドに渡り、ここ二週間ばかりインドの大地を行脚しています。近来になかったガンディアンの非暴力の大行進で、毎日二万五千人の大群衆が八キロの列にわたる列を作って毎日、歩いています。私たちのお祈りが、その大行進の先頭に立っています。あたかもジンギスカンの大群が移動するような光景で、二十五組に編成された各グループごとに毎日の夜営、食事、水浴、飲水、便所を千人単位で設営しつつ、大移動するのです。
この平和行進(Janadesh)については、次のPDFファイルをご覧下さい。Janadesh News 4 oct
非暴力については、次のような集まりもありますので、ぜひご参加ください。10/27 文京:ビルマの非暴力から学ぶ—在日ビルマ人の民主化への思いと生活・労働
カナダのGlobe&Mailという新聞に、クルド難民のデニズ・ドーガンさんについての記事が掲載されました。デニズさんのお兄さんのエルダル・ドーガンさん一家は、日本での難民申請が認められず、7月にカナダに移住しました。デニズさん自身も、6月に1年間の在留特別許可が下りたものの、日本政府に難民として認定されたわけではありません。
日本の難民行政は、そして日本人は、世界の人々の目にどのように映っているのでしょうか?情報はSさんより。
「トルコにいたときよりも日本にいるときの方が不自由であると思い知ったときは、本当にショックでした。私たちは、日本に来ようとしたこと以外、何も悪いことはしていません。それなのに、私たちはまるで犯罪者のように扱われたのです。まるで虫けらのように」
・・・国連によると、国民一人当たり換算の日本の難民受け入れ数は、世界139位である。
記憶——、といってももちろん、チェチェン戦争自体が過去のものになったと言いたいわけではない。それどころか、未だ現在進行形で続くこの戦争には次々と新たな「日付」が書き加えられていく。
昔ある知人が、(沖縄の米軍ヘリ墜落事件について)「事件は忘れられても1年たつと「あれから1年」といってまたマスコミに注目される」と言った。そして、「2年後はあまり注目されないで5年後ぐらいに再び注目され、その次は10年後…」というように。その通りかもしれない。1年後にまたニュースでとりあげるのはいい。だが結局その1年後の1日だけで忘れ、「キリのいい」年数を経たときしか顧みられない、そういう気づきそうで気づきにくかった事実をシンプルに語った言葉だ。
アンナ・ポリトコフスカヤの命日であり(そしてプーチンの誕生日でもある)10月7日には、すでに「チェチェン総合情報」でも紹介しているようにマスコミ各社が一周忌の集会や犯人捜査状況などを各々報道した。来年はどうなるのだろうかとすでに先のことを考えてしまう。
14日、ロシア政府は、プーチン大統領が16日からイランを訪問する際に、大統領を自爆攻撃で暗殺しようとする計画が進められていると発表しました。インタファクスは、「ロシア情報機関のある信頼できる筋は、国外の複数筋から、テヘラン訪問中に大統領を暗殺する計画が存在するとの情報を受け取った」と報道しているとのこと。要するに、またロシア政府ソースで新しいキャンペーンが開始されたということでしょうか。本当に暗殺されたらびっくりですが。
ビルマ(ミャンマー)と日本の難民行政に関して、12日の東京新聞にすごい記事が掲載されました。これはもう記事つきで抗議のFAXを送るしかない?ファイルと情報はSさんより。ありがとうございます。写真はAFPより。(邦枝)
抗議FAXのサンプルはこちら:
ミャンマー情勢が緊迫し、世界の耳目を集める中、東京高裁で九月下旬、先進国としての国際認識を疑われかねない不可解な判決が二件相次いだ。いずれも東京地裁で難民と認定されていたミャンマー人に対し、帰国しても迫害を受ける可能性が低いとして一審判決を破棄したものだ。丸腰の外国人ジャーナリストを銃殺する軍政下に、民主化活動を続けるミャンマー人を戻しても構わないとする高裁の国際センスとは—。
「暗殺!リトビネンコ事件」という映画が正月に公開されるそうです。
アンドレイ・ネクラーソフ監督の『暗殺 リトビネンコ事件』を観た。ポリトコフスカヤ暗殺の翌月に殺された元FSB(KGB)将校リトビネンコの死を追った映画だ。正直いって、この監督の高いレベルに衝撃をうけた。そして、暗殺大国ロシアの実像に驚愕もした。
FSB(連邦保安局=旧KGB)に支配された暗黒のロシア。その内容の衝撃もさることながら、映像の構成など、奇妙な映像美があるのだ。「奇妙」としかいいようがない。タルコフスキー監督のもとで働いた経験も大きいのではないか。(林克明)
映像作家の岡田一男さんからいただいた情報です:
アンドレイ・ネクラーソフ監督の長編ドキュメンタリー、原題「反逆!リトビネンコ事件」が、「暗殺!リトビネンコ事件」として正月、東京渋谷のユーロスペースで単館上映ながら商業公開されることになり、作品宣伝のためネクラーソフ監督と共同製作者のオリガ・コンスカヤさんがあわただしく来日しました。
ポリトコフスカヤの本から生まれた短歌が二首。書評は、日本とチェチェンを重ね合わせた林克明さんと、考えつくされた濃密な表現が心を衝く遠藤隆久さんのもの。情報はN社のみなさまからいただきました。ありがとうございます。
絶望を拒みてまなこ見開けり あんな ぽりとこふすかや こふ すかや (『ロシアン・ダイアリー』)
わめきつつ椅子に飛び跳ね笑ひわらふ体をよぢり背を引っ掻きて (チェチェン第一副首相兼治安部隊長ラムザン・カディロフ)
(阿木津 英/歌人)
わたしはロシアの政情に詳しくはないが、次のような昭和15年初頭の土岐善麿の歌を連想した。 賢きは市に隠れてもの言はず憤ほろしもおろかにわれは 「嘘にまみれて生きるという習慣と、暖かな台所が奪われるまでは椅子から腰をあげようとはしない怠惰」、これがロシア人の正体だ、...そうアンナは吐息をつく。(阿木津 英/歌人)
「テロとの戦い」を隠れ蓑に強行されているチェチェン戦争に絡む軍と治安機関の暴走は、ロシアの民主化を阻んでいる重要な要因であり、政権にとってもっとも知られたくない事実だ。...私は日本とロシアを比較しながら「宣戦布告文」を読み進めた。この間に日本では何が起きたのか。最高法規=憲法で明白に禁じられている自衛隊のイラク派兵と米軍支援。...自衛隊情報保全隊による国民の監視活動は強まり、当時の久間章生防衛相は、全国民が監視対象だという趣旨の答弁をした。全体主義に向かう様子は、まるでロシアではないか。このような日本国内のファシズムの予兆を見逃さず追及することで、著者がロシアで為そうとした仕事の重みが分かるのだ。(林克明/ジャーナリスト)
...しかし、民主制の死には共犯者がいる。富裕層に立脚し、内部対立の絶えない民主勢力は前年末の下院選挙で議席をすべて失い、かつての人権派や反対派であった人々も次々と政権にすり寄った。ペレストロイカに始まった民主化は、こうして終焉を迎えつつある。...チェチェン紛争を解決できる大統領としてプーチンは現れたが、民衆の血は今も流されつづけている。...止むことのない暴力の連鎖が招く「偉大なる政治的鬱状態」に向き合う著者の深い絶望に心が痛む。資源大国として潤うこの国は、経営には無能なKGB出身の大統領と側近たちに徹底的に簒奪されようとしている。彼女は「厄介なのは、崩壊は間違いなくやってくるが、私たちが死ぬまでにはそれを拝めないことだ。ぜひともこの目で見届けたいのに」と書いた。「ロシアの憂鬱な冬」を書き続けた著者に、春を書く機会はついに訪れなかった。(遠藤隆久/熊本学園大教授)
次はベレゾフスキー関連のニュースです:
本人が「昔は親しい友人だった」と語るプーチン大統領との確執は、権力基盤固めに動いた大統領との権力闘争に端を発する。2003年に英国に政治亡命、リトビネンコ氏ら反体制派の中心としてプーチン政権への批判を強めたが、ロシア国内ではエリツィン時代に不正蓄財をしたユダヤ系新興財閥の象徴として忌み嫌われる。...過激な反プーチン発言はメディアを引き付ける。...こうした発言がプーチン政権にプラスに働いている面も少なくない。野党の背後にベレゾフスキー氏がいると印象づけることで、反政府勢力に対する弾圧の口実にできるからだ。「もうひとつのロシア」の指導者カスパロフ氏は、資金支援を強く否定している。
一方、ロシアの警察権力は、さらに強化に向かいます。
ロシアで、現職判事を逮捕できるなど大きな権限が付与された「捜査委員会(SK)」が7日、始動した。総責任者には、プーチン大統領の友人が就任。汚職・犯罪大国という汚名を返上しようというのが狙いだが、その強大な権限に「SKはKGB(旧ソ連国家保安委員会)の役割を担うだろう」と、警察国家化を警戒する声も上がっている。... しかし、強大な権限への懸念も強い。SKには、不逮捕特権を持つ上下両院議員や裁判所の判事への捜査、逮捕の権限が与えられた。裁判所の許可なしに弁護士への捜査開始も可能で、SKの権限は司法をも侵食する。事実上、同国最強の司法機関で、大統領周辺に警察権力が集中することになる。
きょう長井さんの葬儀が青山斎場でしめやかに営まれました。テレビなどですでに存知かもしれませんが、ぼくが見ただけでも少なくとも700人を超える参列者が長井さんをおくりました・・・(ミャンマー軍による長井健司さんの殺害に抗議する)署名は参列者の大半となる600人以上のみなさんにしていただきました。
署名ブースで一番心に残ったことは、ビルマ人のうちで何人かの方が泣きながら英語で「申し訳ない。すまない。日本人にお詫びしたい」と話していたことです。「長井さんはビルマ人にとって英雄だ。私たちは長井さんのことを決して忘れることはない」とも。
署名は十万人を目標に集め続けようと思っています。一定数集まればミャンマー大使館に働きかけることになります。[ミャンマー軍による長井健司さん殺害に抗議する会]
署名フォーム(クリック→) https://hal.sakura.ne.jp/syomeis/sign
2007年9月27日午後、貴国のヤンゴン市内にあるスーレーパゴダ付近で、 取材中だった映像ジャーナリスト、長井健司氏が、貴国軍治安部隊の軍人に至近距離から銃撃され、殺害されました・・・
[追記]ビルマの平和的な民主活動家に人道的支援をおくる「ビルマ緊急基金」へのご協力も、よろしければお願いします。基金は薬や食料、飲料水や僧衣などの必要なものにかえて届けられます。 [ビルマ情報ネットワーク]
支援金振込先:
郵便振替:00930−0−146926 BRC−J
りそな銀行 金剛支店(普通)6553928 日本ビルマ救援センター
アンナ・ポリトコフスカヤ一周忌の各紙記事を紹介します(なぜか朝日だけ関連記事なし)。特に東京新聞の「萎縮するロシア・メディア」は必見です。TBSの動画もぜひご覧ください。
[追記]・・・と思っていたら、朝日新聞にも(やたらと小さな)関連記事があったようです。Iさん、ご指摘感謝です。
プーチン政権を厳しく批判してきたロシアの女性記者ポリトコフスカヤさんが射殺された事件から、七日で一年となる。ジャーナリズムへの深刻な危害に、国際社会のロシアに対する懸念は強まったものの、プーチン政権のメディア統制は事件後も緩む気配はない。事件がロシアの「言論の自由」に与えた打撃を検証した。
「残念ながら、今のロシアには当局と違う意見を言えるほど自らの仕事を信じている(彼女のような)ジャーナリストは少なくなってしまった」(訪れた市民)・・・今、ロシアでは大統領の権力を象徴するようなCMが流れています。「私はコムソーモールスカヤ・プラウダを読んでいます」(プーチン大統領)
「権力の監視」が使命の新聞社が大統領に出演を求めることも、また、大統領が特定のCMに出ることも、ロシアでは初めてのことです。「10月7日」という日付は、ロシアの将来を憂える人々にとって特別意味のある日となりそうです。
ロシア人記者アンナ・ポリトコフスカヤさん殺害事件から7日で1年を迎え、犯人逮捕を求める国際的な圧力が高まる中、追悼集会に参加しようとした外国人活動家5人らがロシア当局により身柄を一時拘束される騒ぎが6日、首都モスクワの東で起こった。
ポリトコフスカヤさんは、ウラジーミル・プーチン露大統領を公然と批判し、チェチェン共和国の紛争では戦争犯罪を解明しようとした数少ないロシア人記者の1人だったが、2006年10月7日モスクワの自宅前で凶弾に倒れた。
・・・捜査が疑念を呼んでいるのは、最高検察庁のチャイカ検事総長が10人逮捕を発表した際に「殺害を依頼した人物は国外にいる」と、プーチン政権と対立して英国に亡命した元政商のベレゾフスキー氏の関与を示唆したこと。また、この直後に捜査組織が改変され、レニングラード大学法学部で大統領の同級生だったバストルイキン次席検事を長とする国家捜査委員会が同記者殺害など重要事件の捜査を担当する独立組織として発足し、捜査の実権を握ったことだ。
さらに国際人権団体などが参加して5日に予定されていた国際会議が、直前になって銀行から開催費用の取り扱いを拒否され中止に追い込まれた。
プーチン政権の強権体質を批判したロシアの女性記者アンナ・ポリトコフスカヤさんが暗殺されてから丸一年となった7日、反政権派の政治勢力がモスクワ中心部で追悼集会を開いた。
一方、政権支持派の青年組織「ナーシ」は大統領の55歳の誕生日に当たる同日、約1万人を動員し祝賀行事を行った。警備のため2000人以上の警察官が配置され、モスクワは終日、物々しい空気に包まれた。
・・・モスクワ中心部での反政権派による追悼集会の一つには600〜700人が参加。ラジオ報道によると、参加者らは機動隊が取り囲む広場に花束や生前の写真などを持ち寄り、「検閲に反対」「捜査の幕引きは許さない」などと訴えた。この日はパリやローマ、ニューヨークなどでも追悼行事が行われる。
・・・人権団体モスクワヘルシンキグループのアレクセーエワ代表はロイター通信に「アンナは存命中から報道の自由だけでなく自由そのものを象徴する存在だった」と述べ、ロシアで自由が失われつつあることを警告した。この日モスクワ市内では、冷たい雨が降る中、プーチン政権の初代首相から野党勢力に転じたカシヤノフ元首相らの呼びかけで開かれた追悼集会に約1千人が参加。ポリトコフスカヤさんの写真や「真実の代償は死だった」などのプラカードを掲げた。
先日3日の明大での緊急報告会、「ミャンマー(ビルマ)情勢緊急集会 これまで何が起きてきたのか」(JVJA主催)は、大勢の方に参加していただき、盛況でした。
当日取材していたTBSが、7日(日)の「報道特集」(午後5時半〜6時半)でビルマ特集を放送します。軍事政権の実態、カレン民族に対する攻撃と、日本の対ビルマ外交に対する疑問などをわかり易くまとめた内容になるようです。私の撮影映像とコメントも少し登場します。
長井さんが射殺されたという悲しい事件をきっかけにビルマ情勢に関心を持ってもらう、というのもおかしな話ですが、より多くの視聴者が軍政の本質を理解することが日本政府の間違った外交を大きく転換させることにつながるかもしれません。
ご覧いただければ幸いです。山本宗補[10/7 JVJA]
12月の下院選挙の後は、来年4月の大統領選挙が控えている。ロシアの憲法で大統領の三選はできない。プーチン大統領がそのまま続けることはできない。そこで、どのようにプーチン氏が権力維持するのか憶測が流れていた。
一期しりぞき、4年後に再び大統領選挙に出馬するというものだ。ただ、一度離れると権力をとりもどすのは難しい。その4年間に、政府関係の重要な役職につき影響力を保つ。AFPの報道によれば、首相就任を狙っているという。
考えてみれば、プーチン氏が首相に就任してすぐやったことは、第二次チェチェン戦争の開始である。当時はエリツィン大統領が病気であった事情もあるが、首相も権限がある。となると、チェチェンはもとより、現在はロシア全土に弾圧体制が拡大されている状況は、当分終わりそうにない。[10/2 チェチェン未来日記]
(2日に終結したハンガーストライキについての報告です)
今日、在日ビルマ民主化活動家のメンバーがハンガーストライキをしている東京・渋谷の国連大学前に行ってきました。私が立ち寄った時間帯には、国連大学側の歩道に、プラカードやメッセージを掲げたビルマ人が20人ほど椅子を並べて座っていて、車道側の歩道で、日本人が何人か黙々とカメラを回したり座ったりしていました。ビルマの人たちとは30分ほど話ができたので、以下に簡単にまとめてみます。(邦枝)
もういちどご紹介。ぜひ足をお運びください。でもチェチェン関係者は会議があって参加できなかったりします・・・(泣)
そういう身で言うのもナンなのですが、今回のビルマの動きは、チェチェンに関わっている立場からも、ある答えを見る機会でした。自国民を銃で射殺していく国家同士が互いをかばい合うこの光景には今、ロシア、中国、そしてビルマ(ミャンマー)があること、その隠れ蓑はつねに「内政干渉」という言葉であることです。
悲しかったのは、ジャーナリストの長井健司さんの死を受けて、ビルマと日本の人々を結ぶ回路を作り出そうとしたビルマの民主化活動家たちの努力(たとえばハンスト現場で、長井さんの写真には常にロウソクが灯されて、献花もできた。ビルマ人が用意してくれたのですよ!)が、日本の、たとえば青山を歩いている人々に伝わっていないように見えたことでした。そのメッセージを感じながらも、支援らしいことのできなかった自分の無力もあり、もっと運動の現場にいたいなあ、と思いました。写真はCさんより。ありがとうございます。(富)
今からでも遅くない! ぜひ集会にご参加ください。
[追記]ビルマ大使館への抗議FAXや、世界中で実施している(日本語訳は少し変な感じがするのですが)中国政府と国連安保理への請願書(オンライン署名)もあります。どうぞご協力ください。
■10月3日(水曜日)
開場 午後6時30分 開会 6時45分〜8時30分
■明治大学リバティータワー 1114教室(130名)
JR御茶ノ水駅下車 徒歩3分
日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)は、軍事政権下にあるビルマ(ミャンマー)の旧首都ヤンゴンで、9月27日の一般市民らによる平和的な反政府デモの取材中、治安部隊の兵士により銃で至近距離から狙い撃ちされ、殺害された日本人ジャーナリストの長井健司氏の死に対し、ビルマ(ミャンマー)の軍事政権に強く抗 議をするものである。
長井氏が殺害される瞬間の映像から、治安部隊が取材中である長井氏を射殺した経緯が明らかであり、「長井氏が観光ビザで入国しデモを取材中に巻き込まれたために死亡した」という国営テレビによる報道は、自由な報道を全く許さずに政府の広報機関としての機能を担う国営メディアを使い、当局が殺害の責任と国際社会からの非難を回避しようとする意志が読みとれる。こうした当局の報道に対しても抗議するものである。
軍事政権及び当局は速やかに長井氏のご遺族に謝罪するべきである。また、平和的な反政府デモに対する武力弾圧という蛮行を速やかに止め、撮影機材の押収や、ジャーナリストに対する脅迫と暴行、身柄の拘束など、事実を取材し報道しようとする内外のジャーナリスト及び報道機関の権利を踏みにじる一切の行為を止めるべきである。
また、8月以来ビルマ(ミャンマー)各地で行われてきた反政府抗議行動に対しての軍事政権による暴力的鎮圧と武力行使は、辺境地域の少数民族に銃口を向け、数十年来にわたり政府軍が無数の自国民を殺戮してきた軍事政権の一貫した方針を証明したにすぎない。
この間、国連をはじめとする国際社会が軍事政権に対して毅然とした外交姿勢をとっているにも関わらず、長井氏殺害事件が起きる直前まで、事態を静観し発言を控えてきた日本政府の人権を軽視した、あいまいで軍事政権に対し寛容と思える外交姿勢に強い疑念を覚えるものであることも付記しておきたい。
日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)
2007年9月30日
チェチェンの西隣、これまで平穏だとされてきたイングーシ共和国が、 徐々に騒然としてきました。この春から誘拐事件が続き、治安当局が強権的な態度に出始めたためです。背景がまだよくわかりませんが、関係する記事2本を紹介します。
「イングーシの住民の多くは、兵士の増派が実際には情勢を悪化させることになったと確信している。彼らは、ロシア内務省が駐屯する前には、マルゴベク村で警官に対する本格的な襲撃事件が起こったことはなかったと主張している。これと同じことがナズラン地区でも起こった。正体不明の武装勢力が兵士の駐屯地と検問所を定期的に襲撃している」
そして、イングーシでの緊張は、ロシア議会選挙、大統領選挙に向けて、意図的に作り上げられているという観測も語られています。冬に向かい、チェチェン情勢は比較的静まっているようなのですが、イングーシで行なわれているのは、治安作戦なのか、挑発なのか・・・
邦枝さん、翻訳ありがとうございました。(大富)
今日の18時まで続く、ビルマの人々のハンストの様子。その後の展開は協議中。提供Sさん。
「日本時間27日早朝に国連安保理の緊急非公式会合が開かれた。中国とロシアが今回の事態について、国際社会や地域の脅威ではなく、内政問題とする従来の立場を繰り返したため、非難声明や決議は見送られ、かわりに安保理としてビルマ情勢を「懸念」し、軍政に「自制」を求める声明が発表された」[9/27 BurmaInfo]
安保理の議場で、ビルマの数百人の人々が、ロシアと中国に殺された。そしてこういう情報も。
「米ウォールストリート・ジャーナル紙は「中国は恥を知れ」と題したノーベル平和賞受賞者ジョディ・ウィリアムズ氏の論文を掲載。中国の経済支援抜きにはミャンマー経済は成り立たないと指摘したうえで「中国が自ら政策を転換しないのなら圧力をかけなければならない。北京の『内政不干渉』政策は容認できない」と強調した」
大雨の降る中決行された、五反田駅から北品川のビルマ大使館へのデモに参加した。メディアの情報が伝わっているので、みんな表情が硬い。現地では弾圧はかなり進んでいて、デモも散発的にしかできないようだ。青山の国連大学前では若いビルマの人々の48時間のハンストが始まったが、国連も警察も彼らがそこにいることを認めようとしないために、ただ国連の敷地と道路の境界線上に立つことしかできない。この寒さと雨では、誰かが倒れるのは時間の問題じゃないか。
こんなときに、誰からともなく歌い始めるあの歌は、どんなことを歌っているのだろうか。明けない夜はないというようなことを歌って、心が折れてしまわないようにするのだろうか。今日はとりわけ切ない声が、デモの終わりかけるころに、権現山に続く坂道に広がっていた。(大富)
日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)は、軍事政権下にあるビルマ(ミャンマー)の旧首都ヤンゴンで、9月27日の一般市民らによる平和的な反政府デモの取材中、治安部隊の兵士により銃で至近距離から狙い撃ちされ、殺害された日本人ジャーナリストの長井健司氏の死に対し、ビルマ(ミャンマー)の軍事政権に強く抗 議をするものである。
長井氏が殺害される瞬間の映像から、治安部隊が取材中である長井氏を射殺した経緯が明らかであり、「長井氏が観光ビザで入国しデモを取材中に巻き込まれたために死亡した」という国営テレビによる報道は、自由な報道を全く許さずに政府の広報機関としての機能を担う国営メディアを使い、当局が殺害の責任と国際社会からの非難を回避しようとする意志が読みとれる。こうした当局の報道に対しても抗議するものである。
軍事政権及び当局は速やかに長井氏のご遺族に謝罪するべきである。また、平和的な反政府デモに対する武力弾圧という蛮行を速やかに止め、撮影機材の押収や、ジャーナリストに対する脅迫と暴行、身柄の拘束など、事実を取材し報道しようとする内外のジャーナリスト及び報道機関の権利を踏みにじる一切の行為を止めるべきである。
また、8月以来ビルマ(ミャンマー)各地で行われてきた反政府抗議行動に対しての軍事政権による暴力的鎮圧と武力行使は、辺境地域の少数民族に銃口を向け、数十年来にわたり政府軍が無数の自国民を殺戮してきた軍事政権の一貫した方針を証明したにすぎない。
この間、国連をはじめとする国際社会が軍事政権に対して毅然とした外交姿勢をとっているにも関わらず、長井氏殺害事件が起きる直前まで、事態を静観し発言を控えてきた日本政府の人権を軽視した、あいまいで軍事政権に対し寛容と思える外交姿勢に強い疑念を覚えるものであることも付記しておきたい。
日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)
2007年9月30日
■10月3日(水曜日)
開場 午後6時30分 開会 6時45分〜8時30分
■明治大学リバティータワー 1114教室(130名)
JR御茶ノ水駅下車 徒歩3分
東京は今日は雨。絶好の天気です。今日午後、東京・五反田から北品川のビルマ大使館前まで、デモ行進があります。ぜひご参加を。遠くて、あるいは忙しくて参加できない方は、ファックスによるビルマ大使館への要請にご協力ください。デモの情報はビルマ情報ネットワークさんにあります。
新兵器、ビルマ(ミャンマー)大使館への、FAXシート。名前を書いてファックスするだけ。これで誰でもアクションできます:-) さあ、ミャンマー政府に圧力をかけよう!
とにかく行けばわかる。そう思って、北品川にあるビルマ大使館の前での抗議行動に参加してみた。午後4時。すごい熱気で、ビルマの若い人たちが抗議を繰り返していた。ほとんどはビルマ語だったのだと思うが、ときおり日本人も参加できるように、日本語のシュプレヒコールも挟まれていた。
けれども、たまたま私がいた時間帯だけかもしれないのだが、日本人の参加者は、警察や報道を除けば、数えるほどしかいなかった。その私にしても、間抜けなことにプラカードの準備もせずに、近くの人のものを借りたりしていた。
ふだん、どうしてチェチェンの支援をしているのだろうと考えることがある。それを聞かれることもある。なんでそんな遠くの国のことを、ロシアと日本だってつながりはないも同然なのに、と。
今日ビルマの大使館の前の路上で、西日に焼かれながら訴えていた人々にとっては、祖国で起こっている虐殺への、切実だが、当然きわまりない抗議だった。私の中にできあがってきた答えは、「人間なのだから、あたりまえ」というものだ。
理由は必要ない。ビルマであっても、チェチェンであっても。知ってしまったのだから、何かをしなければならない。知識の多い少ないはとりあえず、関係ない。そう思った。
新聞やテレビでビルマでの事件を見て、何かを感じた人は、ぜひ明日の抗議行動や、日曜のデモにご参加ください。その後のことは、行けばわかる。そういうことで。(大富)
そして新兵器、ビルマ(ミャンマー)大使館への、FAXシート。名前を書いてファックスするだけ。これで誰でもアクションできます:-) さあ、ミャンマー政府に圧力をかけよう!
毎日のように、軍隊が僧侶と市民に対して銃撃を続けています。日本はビルマ(軍政によりミャンマーに国名変更)の、最大の援助国です。というわけで、今起こっている動乱は、私たち自身の問題として捉える必要がありそうです。日本に支えられた軍政による弾圧だからです。ぜひ、抗議行動に参加しましょう。くわしい情報は、ビルマ情報ネットワークさんに。以下、アムネスティの情報より:
ビルマ(ミャンマー)では8月から反政府デモが起こっていましたが、みなさんもニュースでご存知のとおり、同国内で尊敬される仏教の僧侶がデモに積極的に参加し始めたため、先週あたりからデモが急速に広がりました。そしてついに、26日の午後、治安部隊は弾圧に乗り出し、百人以上を拘留。同時に少なくとも数人の死者がでています。これを受けて、日本に暮すビルマ民主化活動家のみなさんは、毎日ビルマ大使館前や外務省前にて抗議行動を行っています。今週は在日ビルマ大使館前で抗議行動を行っているそうです。特に、今週日曜は多くのビルマ人がデモ行進に参加する予定です。今回のメルマガでもひとつ紹介していますので、ぜひぜひ皆さんのお時間をさいてください!
市民約100名の参加の中、下記のアピールを発表しました。
約1年前となる2006年10月7日、モスクワにおいて、ノーバヤ・ガゼータ紙のジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤさんが何者かによって銃撃され、生涯を閉じました。私たちは、ここに心から哀悼の意を表したいと思います。
私たちは、彼女の48年間という短い生涯で残された最後の仕事、すなわち、現代ロシアの暗部と、チェチェン戦争の泥沼を克明に報道する記者として、彼女を知りました。いま、日本では著書が次々に刊行され、多くの人が、彼女の貴重な仕事に気づき始めています...
アンナ殺害犯として新たに逮捕されたチェチェン元地区長官について、4年前のGazeta.Ruから情報を拾ってみました。内容を一言で総括すると、この人物はラムザン・カディロフのパパと非常に仲が悪かったようです。ロシア当局の捜査、胡散臭すぎでは…。それともでたらめやってれば世の中が関心を失うだろうという作戦?
アンドレイ・ルゴボイが、ウラジミル・ジリノフスキーの政党から立候補するつもりだ、と語った。英語使いnofrillsさんのコンテンツを拝借。まじですかー。
日本語記事は、こちらなど:
この記事で指摘されていることですが、要は国会議員になれば、不逮捕特権でさらに守られて、英国に身柄引渡しされない、というのが狙いなのでしょう。でも、ジタバタするほど疑いが深まっていくような気が...。(大富)
ポーランドから届いた悲しいニュース。
9月14日、ポーランド国境警備隊は、3人のチェチェン人少女の遺体を発見した。国境警備隊は、ポーランドに不法入国し、数日間山岳地帯をさまよっていた彼女たちの母親を保護したところだった。
女性へのインタビューにより、家族は不法入国をして、ビエスチャディー地域の最も標高が高く危険な場所で、寒さと雨にさらされながら、4日間さまよっていたことが明らかになった。「母親を責めるのは酷です。彼女はおそらくビエスチャディー山の標高の高い部分がどのような状況であるかということを知らなかったのでしょう」と、検察官のジグムント・スラビクはTVN24テレビで語った。
チェチェンから逃げて、ポーランドを目の前にしながら・・・。
99年に第二次チェチェン戦争が始まったころ、コーカサス山脈を越えてグルジアやアゼルバイジャンなど、近隣諸国に逃げた人たちの話を、直接、間接に聞いたのを、思い出しました。チェチェンから逃れるには、コーカサス山脈(写真)の4000メートル級の山々を縫っていかなくてはなりません。しかも、当時は真冬でした。(大富)
情報はTさんからいただきました。いつもありがとうございます。少し前まで、「新冷戦」という言葉は、「また誰かハッタリ屋さんが言いふらしているんじゃないのー」と思っていたのですが、いよいよ実感に近づいてきました。
「ロシアはふたたび社会的、政治的冬眠期に逆戻りした」と、強権化するプーチン政権批判を続けた。同胞が抗議の声を上げないことに苛立ちながら、西側の助力をあてにするより、自分達で民主的な自由を取り戻そうと訴える。...14年冬季五輪の開催地にソチが決まった。ロシアでは「大統領のおかげ」とプーチン礼賛の大合唱が始まったという。国力の回復を象徴する今回の当選だが、著者が明かす「プーチン帝国」の実態は、あまりに衝撃的である。(多賀幹子/フリージャーナリスト)
それにしても、本書を読んで驚かされるのは、ロシアがいかにひどい状況に陥っているかということだ。金もうけと権力維持にしか興味を持たない政府高官たち...選挙でも大規模な不正操作が行なわれる。...本書で具体的に指摘される国の姿は、民主国家と呼べるようなものではなく、まるでスターリン時代に戻ったかのようだ。
ロシアが欧米との対立姿勢を強めている。時に「新たな冷戦」と呼ばれることさえある強硬路線の背景には欧米への不信感に加え、それを利用し存在感を増す軍産複合体の存在が浮かび上がる。武器の発注と輸出の合計は日本円にして4兆4千億円にのぼり、04年と比較して二倍。途上国向けでは、米国以上の武器輸出国になろうとしている。対テロを前面にした軍事ドクトリンは、今後はNATOの脅威を鮮明に位置付けたものに更新される見込み。
生前、彼女は記事執筆以上に、無慈悲な国家にさいなまれ、悩めるロシアの多くの人々の相談相手となることに時間を割いた。それは、取材活動を超えたものであった。そして、温かい文章によって、呻吟する彼らを励ました。彼女自身、あからさまな威嚇におびえ、友人たちは国外脱出と記者活動からロシア問題専門家としての言論活動への移行を真剣に薦めていた。しかし、彼女は新聞記者こそが、自らの天職と思い定めていた。(岡田一男/映像作家)
そして、ロシア軍が「核兵器並みの威力だが、核とちがって環境破壊はない」などとズレた自慢をしている燃料気化爆弾FOAB。そういう問題じゃないだろう。(大富)
9月11日、ロシア軍は、「すべての爆弾の母」(MOAB)の4倍以上の破壊力を持つ新型通常爆弾、「すべての爆弾の父」の実験に成功したと発表しました。MOABは米国が2003年に開発した兵器で、核兵器に次ぐ破壊力を持つとされていました。そして、その実験場となった(なっている)のがイラクです(写真はMOAB)。
ロシア軍の発表によると、「すべての爆弾の父」は核兵器と同等の破壊力を持つそうです。最近のロシアは、10億ドルを超える武器をインドネシアに売却していたり[読売 9/6]、欧州通常戦力条約の凍結を表明していたり[東京 5/22]と、冷戦懐古主義的な動きを見せていますが、あえて9月11日に発表を行ってみせたのは米国へのあてつけでしょうか(センスに欠ける兵器名も)。いずれにせよ、このおぞましい兵器が、チェチェンで、そして世界中のどこででも、使われるようなことがあってはならないと思います。(邦枝)
9月10日、メディアの自由に関するOSCE(欧州安全保障協力機構)代表のミクロス・ハラスティ氏は、アンナ・ポリトコフスカヤやイーゴリ・ドムニコフらジャーナリストの暗殺事件に関して、殺害を命じた人物が正当に裁かれない限り、ロシアにおけるジャーナリストへの暴力は続くと警告しました。ハラスティ氏は、ポリトコフスカヤ事件の捜査が根拠のない政治的意図と誤認逮捕にもとづくものであると非難し、政治的意図を排した事件の独立調査を要求しています。
ノーヴァヤ・ガゼータのドムニコフ記者は、2000年に自宅アパートの前でハンマーで殴殺されました。8月20日、カザン裁判所は、逮捕された犯罪組織のメンバー5人に終身刑と懲役25年の刑を言い渡しました。プーチン大統領が政権に就いた2000年以降、ロシアでジャーナリスト殺害犯に判決が下されたのは今回が初めてだそうです(冤罪でなければですが)。ただし、例のごとく、裁判では殺害を命じた人物が明らかにされていないので、プーチン政権下でジャーナリストの暗殺事件が解決した例は、まだひとつもないと言ってよいと思います。(邦枝)
今回お届けする情報は、8月以来新聞などで皆さんご覧になっているかもしれません、アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺事件の、犯人逮捕の報道についての考察です。まだまだ事態は進行中ですので、中間的なものなのですが、そして結構くよくよ考えたあとがあるのですが、他では読めない文章ではあると思います。ご一読ください。
<<そして重要なお知らせ!>>
林克明さんの新しい著書、『プーチン政権の闇-チェチェン戦争・独裁・要人暗殺』が、高文研よりついに今日発売されました! 必読です。しかもお買い得な1,200円(税別)。くわしくは、下記をご覧下さい:
http://www.koubunken.co.jp/0400/0390.html
http://www.bk1.jp/product/02917808 (bk1の購入サイト)
http://symy.jp/8FHB (amazonの購入サイト)
9月7日深夜、BS世界のドキュメンタリーで、「誰がアンナを狙ったのか -ロシア 報道記者暗殺の真相-」が放映されます。ご覧になれる方はぜひ。英語版はこちらから試聴可能です。Tさん情報ありがとうございます。
以下は番組案内より。
「ノーバヤ・ガゼータ」紙は警察当局を信頼せず、独自の調査を開始した。100万ドルの懸賞金を用意して、暗殺者の情報提供を求めた。やがて、服役中の人物になりすました殺人者の犯行であることがわかる。ロシアではこうした身元情報の盗難者による犯罪の90%に、情報機関が関わっているとされる。同僚たちは暗殺される5ヶ月前にポリトコフスカヤ記者が書いた記事が命取りになったと結論づける。その記事は、「チェチェンの最高実力者カディロフが建設事業と称して市民から金を巻き上げ自らの懐に入れている」と不正を暴くものだった。
最後に重要な証言を得る。チェチェンの最高実力者カディロフ氏はプーチン大統領とは親密な関係にあり、07年4月、チェチェン大統領に就任。取材班は、チェチェン元副首相のガンタミーロフのインタビューに成功。「ポリトコフスカヤ記者が自分同様、カディロフの暗殺リストに載っていた」との証言は何を意味するのか…。
4日、ロシアメディアは、最高検察庁が特捜班の責任者を解任したと一斉に報道しました。国外の勢力 を黒幕とする見方があまりにも政治的という批判が相次いだだけでなく、逮捕された治安当局者が次々と釈放されたり、チ ェチェン人容疑者が拷問を受けて自白を強要された事実が明るみに出たりしたことで、さすがにスケープゴートを差し出さ ざるを得なくなったということでしょうか。
一方、当局は報道を否定しており [ヘラルド・トリビュ ーン 9/4]、捜査の不透明性に拍車をかけています。以下、読売新聞より。
・・・殺人共謀罪などで逮捕された容疑者10人のうち4人が誤認逮捕だったことが分かり、ずさんな捜査の責任をとらされ たとみられる。
プーチン政権にとっては12月の下院選、来年3月の大統領選を前に、政権・与党批判につながる負のイメージを一掃し たいのが本音で、政権に都合のいい形で事件に幕を引こうとする意図も見え隠れする中、捜査は迷走している。[読売新聞 9/5]
当局は、30日にモスクワでポリトコフスカヤ追悼集会を主催したアンドレイ・ナルヨトフ氏を、「参加者を多く集めすぎた」罪で逮捕し、モスクワ・トヴェリ州の内務省に収監しました。ちなみに、「参加者を多く集めすぎた」罪とは、こういうことらしいです。
ナルヨトフ氏は、集会の予想参加者数を最大500人として事前にモスクワ市長に申し出ていました。ところが、モスクワ市長は、予想参加者数を多めにすると参加団体間の調整が難しくなるという「配慮」を示し、予想参加者数を低めに見積もるようナルヨトフ氏に要請しました。そこでナルヨトフ氏は参加者数を200人に下方修正して当局に提出したところ、集会にはめでたく200人以上が集まり、ナルヨトフ氏は逮捕されたというわけです[Caucasian Knot 8/31]。
今朝の東京新聞は、「『黒幕は政敵』決着急ぐ当局 ロシア女性記者殺害」という記事で事件を報じています。「ロシアの女性記者ポリトコフスカヤさん=当時(48)=が昨年十月に殺害された事件で、検察当局は実行犯とされる人物ら十一人を逮捕したものの、その後、容疑者が相次いで釈放される異例の事態となっている。殺人の黒幕を『プーチン政権に敵対する勢力』とすることで、事件決着を急ぐ検察当局のずさんな見込み捜査との批判も出ている」
捜査がどれくらいずさんかというと、事件当時犯行現場にいたはずのないチェチェン人が、容疑者として兄弟とともに逮捕され、取調官に突然殴りつけられて、「おい、さっさと吐きやがれ。今はお前をボコってるだけだがな、お前の隣の部屋には弟がいたっけな」と脅迫される[Los Angels Times 8/31]くらいずさんです。というか、これはもはや捜査ではなく、国外の黒幕(つまりベレゾフスキー)とチェチェン人実行犯による暗殺という検察当局のプロパガンダに沿って自白を捏造しようとしているとしか思えないのですが。(邦枝)
ベスラン学校占拠事件から3年が経ちました。9月1日には、現場の学校跡地に3000人以上が集まり、追悼式を行いました。330名以上の人質が亡くなる結果となったロシア軍の突入について、今なお遺族や多くの一般市民は、当局が真相を隠していると見ています。人質が拘束されていた体育館の焼け落ちた壁には、「ベスラン事件を許した当局を許さない」「テロの責任は連邦保安局と内務省にある」といった言葉が残されました。
[追記]追悼式の当日、「ベスラン母親委員会」のタイムラズ・チェジェムオフ弁護士は、身に危険が及んだため、ベスラン学校占拠事件の調査から手を引くと述べました[Newsru.com 9/1]。同じく被害者団体であり、事件の真相を究明しようとしている「ベスランの声」も、追悼式を前に活動停止に追い込まれています[ラジオ・リバティ 8/31]。
昨日、8月30日はポリトコフスカヤの49回目の誕生日でした。モスクワのプーシキン広場で行われた彼女の追悼集会には約250人が集まったということです。
ここでポリトコフスカヤ暗殺事件の捜査の「進展」をフォローして状況を整理してみます[Moscow Times 8/31]。まず、当局の発表によると、逮捕された10名のうち、5名が治安当局者で、5名がチェチェン人とされているのですが、殺害を実行した容疑を問われているのはいずれもチェチェン人で、治安当局者は3名がすでに釈放されています。次に、殺害容疑を問われているチェチェン人についてですが、彼らは拘束中に拷問を受けていると主張しています。うち1名は事件当時チェチェンにいたにもかかわらず、殴打されて「自白」を要求されました[Caucasian Knot 8/28]。一方、事件当時ポリトコフスカヤを尾行していた治安当局者2名は、拘留期限が切れたという理由で釈放されています(ちなみに残りの1名は事件当時収監中だったという凄まじい理由で釈放されました)。
さらに、事件はモスクワのバスマニー地区裁判所の管轄になっているのですが、このバスマニー地区裁判所は、プーチンの腹心であるチャイカ検事総長が厳密なコントロール下に置いており、過去には裁判官が検察側の意向に合わせて文書を改竄した例もあります。「ロシア連邦における国家権力濫用に関する白書」(アムステルダム・アンド・パロフ法律事務所)は、「起訴を行う権力が、目指す政治的、商業的成果を達成するための手段としてクレムリンの手中にある手段の1選択肢になった」と指摘しています。
ロシア連邦における国家権力濫用に関する白書
—ミハイル・ホドルコフスキーに対する新たな政治的動機に基づく起訴—
まさに、この司法の腐敗こそ、チェチェン戦争とともに、ポリトコフスカヤが死の直前まで追及していた問題でした。25日には、南ロシア地方裁判所が、ベスラン学校占拠事件の被害者団体「ベスランの声」を非合法化する決定を下しました[ラジオ・リバティ 8/27]。
モスクワの追悼集会では「真実を殺すことはできない」というスローガンが掲げられました。けれども、真実を求める人々を排除し続けた後に残る「真実」とは、いったい何なのでしょうか。(邦枝)
27日、ロシア最高検察庁のユーリー・チャイカ検事総長(プーチンの腹心中の腹心)は、アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺事件の容疑者10名を逮捕したと発表しました。
チャイカ検事総長は「逮捕した犯人グループを主導していたのは、ロシア南部のチェチェン出身者からなるモスクワの組織犯罪集団の指導者で、犯人の中には、内務省と連邦保安局(FSB)の現役と退役の要員が含まれていた」「(背後には)ロシアの不安定化をもくろむ外国在住のロシアのオリガルヒ(政商)たちがいる」と指摘しました。暗殺の動機は「ロシア国内情勢を不安定化させ、ロシアの指導者の評判を落とすこと」で、プーチン政権の事件への関与は当然否定されています。
思うに、当局の発表は、(1) チェチェン人や亡命オルガリヒへの弾圧を正当化し、(2) 治安機関の統制に退陣後のプーチンが辣腕(?)を振るうための条件を整え、(3) 国際社会の関心が再び高まる10月のポリトコフスカヤ一周忌を前に事件の幕引きを図る、ためのものではないでしょうか。それにしても、逮捕された10人中5人がFSBと内務省の元職員(うち2人は拘束時現職)というのは、どういうことなのでしょうか?(邦枝)
[追記]この件についてプーチン大統領は、「今年2月、事件に触れ「記者の殺害は最も切実な問題の1つで、自分の責任の程度を自覚している」と述べていた」[東京新聞 8/27]そうです。ロシア政府職員が暗殺に関与していたのが事実なら、辞任が順当でしょう。ただ、今回のリークは、もともと主犯を疑われているロシア政府側からのものなので、情報戦略の一環と考えて、慎重に見ていきたいと思います。独自調査を進めるノーバヤ・ガゼータ紙のソコロフ副編集長らは、今回の声明に対して、「政治的に過ぎる」という批判を寄せています。
当局発表のポイントは、「外国にいる勢力」が関与しているということです。スターリンが、国外に逃亡していたトロツキーを陰謀の黒幕に仕立て上げ、反対派をつぶす口実にした時代と、構図はよく似ているような気がします。今回はそれが、プーチンとベレゾフスキ—なわけです。(大富)
ちょっと横道にそれているかもしれず、しかしとても本質的な問題にも思え・・・この記事を紹介します。ルモンド・ディプロマティーク日本語版に、「先端生化学の恐るべき応用」という記事が載りました。
要約すると、神経医学と薬理学の発展により、人間の神経に直接作用し、それを操作する技術が現実のものになろうとしていることに警鐘を鳴らす記事です。チェチェンに関する部分だけ引用すると、こうなります。
「化学兵器禁止条約の抜け穴— これらの懸念の強烈な実証となったのが、2002年10月23日に発生したモスクワ劇場占拠事件における、ロシア特殊部隊の突入である。この時、人質912名のうち、130名以上が死亡した(死亡率は、戦場での数値である16分の1を上回る)。政府当局は、犠牲者の死亡診断書に改竄を加えたと非難されており、突入の際に使用した化学物質の名をいまだに明らかにしていない。ある団体の調べによると、犠牲者の総数は少なくとも174名にのぼり、生存者の中には後遺症が一向に治まらない人もいる(7)。さらに、突入時にチェチェン人テロリスト容疑者全員が殺害されていることから、ガスの使用が恣意的な処刑を可能にし、司法手続きの道を回避させる手段になったという見方が強まっている」
ゲリラと一般市民に対して、同時にある化学物質が使われて、これだけの犠牲が出たこともさることながら、ゲリラが無力化されたあとで全員射殺された事実が、ロシア当局が、何らかの理由で、ゲリラを絶対に裁判にかけたくなかったことを示しているということに気が付きます。1996年のペルー日本大使公邸占拠事件でも、(神経ガスはないけど)同様の処刑がありました。
さらに今後、兵士の精神を操作する薬剤が開発されるのも、記事によれば時間の問題といいます。近い将来、劇場内にいる人質・ゲリラを薬剤で無力化した上、記憶を制限する薬剤と興奮剤を投与された、つまり躊躇や良心を「無力化」された兵士が、そこに突入するという、悪夢のシナリオが現実になるでしょう。
進歩って、いったい何なのだろうと考えてしまいます。とりあえずこの記事を、ぜひお読みください。(大富)
チェチェン戦争がなぜ起こったか、あるいは、どんな文脈の上で起こったかを考える時、アブハジアの問題は避けて通れないなあと、ときどき思っていました。グルジアがロシア軍機を撃墜したとかしなかったとか、きな臭いのですが、アブハジア問題を理解すれば、現在の状況の理解にもつながるのではないかと思います。
そこで、チェチェンニュースらしく、チェチェン独立派がアブハジアで果たした役割という切り口から紹介します。一つの資料としてお読みください。
ふたたび、ポリトコフスカヤに関する書評記事(Web以外)の掲載情報をお届けします。経済紙、左派、公明党、右派、あらゆる雑誌が注目する驚異の「ロシアン・ダイアリー」。まだお読みでない方は、ぜひご一読を。今回の要チェック書評は最後の「諸君!」9月号、三浦小太郎氏。情報はTさんからいただきました。いつもありがとうございます。
ロシアは復活した。石油収入を背景に外貨準備高を世界第3位にし、今後7%程度の成長を予測している。経済を基礎にロシアはソ連より脅威になる可能性がある。ロシアの実態を真剣に考える時がきた。・・・プーチン大統領をいかに厳しく非難しようとロシア国民が彼を圧倒的に支持しているのも事実である。ロシアを学ぶ上で、この本を読まぬ手はない。(孫崎亨/防衛大学校)
「自由なメディアが存在する独立した民主国家で、本格的な飢饉が発生した国は一つもない」(A.セン ノーベル経済学賞受賞)。スターリン政権下の旧ソ連、大躍進政策失敗後の中国、エチオピアやソマリアなどの独裁国家など、過去の悲惨な飢饉の歴史を見ると、例外なく自由なメディアが存在しないか機能しない国であることがわかる。・・・彼女(ポリトコフスカヤ)の殺害が、ロシアにおける表現の自由とメディアの独立性に対する深刻な攻撃であることは疑いない。(アムネスティ通信)
著者はプーチン政権の腐敗の実態を報告し、国内の政局について、詳細な説明や分析をしてきた。チェチェンの悲劇も世界に発信した。北オセチア学校占拠事件やモスクワ地下鉄爆破事件でも、だれも書かない事実を国民に向けて書きつづけた。・・・きつ立した姿勢で書き連ねた日記から、ロシアの現実が迫ってくる。
本書で最も迫真力を持つのは、もはや「テロ」という言葉を超えてしまったチェチェンの実態である。残虐な報復に次ぐ報復の連鎖は、正直イラク情勢がまだしも平和なものに思えるほどだ。・・・自己陶酔型の活動家なら、彼女は悲劇の主人公となることによって政権への抗議としただろう。もしくは口先だけの反体制なら、恐怖にとりつかれ退院後国外に亡命しただろう。いずれの道もポリトコフスカヤは選ばなかった。・・・悪しき抑圧体制に屈服したまま生きてゆくことを拒否し、権力の暴力に対する恐怖から解放されることこそが知識人のありうべき姿だと言う彼らの精神は、その価値を少しも失っていないはずである。プーチン政権が何よりも恐れたのは、このような精神のあり方だったのだ。(三浦小太郎)
[8/24 朝日] げげえっ!
...ていうか、コムソモーリスカヤ・プラウダと朝日新聞の意図を、誰か教えてください。きもー。
22日付のロシア紙コメルサントは、モスクワとロシア第2の都市サンクトペテルブルクを結ぶ鉄道が13日に爆破されて特急列車が脱線、転覆したテロ事件に関連して、ロシア南部のチェチェン共和国出身のハサン・ジジゴフ容疑者(25)が爆破を実行した疑いで逮捕されたと伝えた。 [朝日 8/22]
という報道がありました。さあどうなる。
アムネスティ・インターナショナルによる、労作の最新報告書(日本語版)が公開されました。ラムザン・カディロフ支配下のチェチェンで何が起こっているのか?
「彼らは建物が機能しているということだけを、つまり再建中であるのを見せているだけです。それだけ。自分の子どもを探して涙を流すすべての母親を見せているわけではありません」
(2006年6月、強制的失踪の犠牲者である息子を捜し求める母親)
2005年6月4日に、治安部隊はボロジノフスカヤで「特別作戦行動」を展開した。その間に約200人が恣意的に拘禁され、虐待を受け、少なくとも男性1人が殺害され、11人の男性が失踪した。
治安部隊の隊員約100人が、2台の装甲人員運搬車と、10台以上のUAZ-469型四輪駆動車、7台のVAZ-2109車両に乗って、ボロジノフスカヤに到着した。彼らは、灰色の軍の迷彩服を着て、村民によれば、東大隊のチェチェン人隊員であった。大隊の指揮官スリム・ヤマダエフは、東大隊が6月4日の襲撃を行ったことを否定した。だが、シャルコフスキー地方の長官であるフセイン・ヌタエフは、NTVテレビ局に「特別部隊と連邦の機構が適正に機能せず、違法行為を許した」と述べたと伝えられる。その襲撃により、約1000人の村民が境界線を越えて隣接するダゲスタンへ大量脱出することとなった。彼らは、11人の男性たちの安否が明らかになるまでは帰還することを拒否している。
モスクワとサンクト間の鉄道線路上で爆破と思われる事件が発生しました(写真はロイター)。
まず、チェチェンとの関係は今現在の情報ではわからないものの、テロリズムの場合には、犯行声明を出さないと、意味がありません。しかし、06年7月のバサーエフの死以降、こういった作戦に犯行声明を出す人物がチェチェンにいません。
そして、ロシアでは、この種のテロ事件に確実な捜査がされて、結果が示されたためしがありません。現段階でロシア治安当局はテロの可能性を匂わせていますが、今後も犯行声明がなく、いままでどおり捜査もうやむやになった場合、ロシア治安機関による自作自演か、チェチェンなどとはまったく別の利害に基づいた事件だと考える必要があります。どちらにしても治安機関は関与していることになります。
ではなぜロシア政府はテロを必要としているのか? 12月の下院選、来年4月の大統領選に向けて、国内の治安の不安定をあえて露出するということが考えられます。テロ事件が起こると、西側は「ロシアの治安は不安定」と観測しますが、ロシア世論は、「だからこそ剛腕の大統領が必要」という方向に動いてきました。それで基本的にロシア政府には有利に働いています。
治安機関による自作自演の可能性については、最近刊行されたA.リトビネンコの「ロシア闇の戦争—プーチンと秘密警察の恐るべきテロ工作を暴く—」(光文社刊)をご一読ください。以前の例によると、1994年11月18日、モスクワ市内にかかる鉄橋で爆破があり、連邦諜報庁(FSK−当時)の外郭会社「ラナコ」のマクシム・ラゾフスキーが関与しています。また。12月27日、連邦保安局系のフリーランス工作員ウラジーミル・ヴォロビヨフが、モスクワでバスを爆破しました。96年6月11日にモスクワの地下鉄トゥーリスカヤ駅で電車の爆破事件が起こっており、これもラゾフスキーの関与が疑われています。
鉄道爆破は治安機関のお家芸ということでしょうか。いずれにしても、犯行声明の有無と、捜査の結果に注目する必要があります。もう、「治安」の意味がわかりませんが。(大富亮/チェチェンニュース)
ロシア 闇の戦争 プーチンと秘密警察の恐るべきテロ工作を暴く
アレクサンドル・リトビネンコ著/光文社 \1,800
ジャーナリストの林克明さんの最新刊の刊行予定が決まったそうです。以下「チェチェン未来日記」から引用します。
単行本「プーチン政権の闇〜チェチェン戦争・独裁・要人暗殺」(高文研)の校正が終わった。ジャーナリスト暗殺と元KGBリトビネンコ氏の暗殺事件がおきた昨年秋から今年5月までに書いた雑誌記事に加筆再編集してまとめたものだ。校正をしていて、この秋からロシアは大混乱になるかもしれないと、あらためて認識した。
9月6日(チェチェン独立記念日)発売
ポリトコフスカヤに関する書評記事(主にWeb以外)の掲載情報です。Tさん、いつもありがとうございます。特に最後の図書新聞の書評「無関心とシニシズムを破って」は、入手して読む価値あり。
国際社会では民主化されたことになっているロシアは、以前にも増して「社会の最上層と最下層では住む世界に天と地ほどのひらきがある」ようになった、と著者は記している。そしてその現実を改善する政治は機能せず、民主主義の基本条件である公正な選挙制度もまたプーチンの息のかかった「官僚が司法を牛耳っている」ため、プーチン派の選挙違反は摘発されない。・・・このよう”官僚政治”の欠陥と腐敗は、日本でも例外ではない。ジャーナリズムが機能不全をおこし、腐敗を指摘することさえできず、放置するにまかせるとしたら、日本の未来もまた決して明るくない。(岩瀬達哉)
『新冷戦』という言葉が飛び交い始めた。・・・どちらが先に仕掛けたかは別にして、「大国復活」を目指すプーチン政権の強権的手法が先進国のルールから逸脱し、冷却、対立の原因になっているのは間違いなさそうだ。ロシア人女性記者、アンナ・ポリトコフスカヤの新著『ロシアン・ダイアリー』を読み、その思いを強くした。・・・ソ連時代の債務約240億ドルを前倒し返済するほど原油高騰で潤うロシア。ロシアンマネーとルール逸脱が結びついた時・・・。(小林剛)
・・・驚くべき事件が次々と起きる。大統領選では、有力候補が突如失踪して出馬辞退し、不正が横行。国家保安機関の違法活動を止めようとした検事は誘拐され、人権はの学者や弁護士が襲われて負傷—。メディアも市民も批判力を失った状況下で、それでも正義を希求する記者魂に圧倒される。
国民はもはやモノを言う気力も尽き果て、誰が誘拐されようが虐待されようが抗議の声すら上げない。その間もチェチェンやイングーシで襲撃や制圧事件が相次ぐ。ベスランの学校爆破事件では、毒を盛られ瀕死の状態であるにもかかわらず、詳細な取材記録を残している。アンナのジャーナリスト魂の真骨頂を見る思いだ。
『ロシアン・ダイアリー』がうきぼりにするのは、異論に対するプーチン体制の過敏なまでの恐れである。真実を言うポリトコフスカヤの生き方に、そして彼女の死に、ロシアの人々は胸を、心を動かされただろうか。無関心とシニシズムを破って、異論はことばによって生み出される。なによりジャーナリストはおのずと異論派であることを、いま彼女の生き方、そして暗殺の現実とともに、より深く胸に刻むときだ。
アムネスティ・アップデートより: 「今号の連載では自由権規約第二選択議定書は死刑廃止のための選択議定書をと りあげました。日本は、前回の第一選択議定書、今号の第二選択議定書のどち らも批准していません。その背景には死刑の問題があるとも言われています。 その死刑について、今日、明日にでも執行が行なわれそうだとのことです。下記 サイトで緊急アピールを呼びかけています。ぜひご協力ください」
http://homepage2.nifty.com/shihai/kiki3.html
死刑は、死刑判決によって自動的に執行されるのではなく、法務大臣の政治的判断に委ねられています。それがなぜなのか、よく考える必要がありそうです。私は厳罰の効果を疑い、冤罪の可能性を考え、死刑に反対します。(大富亮)
Q:「チェチェン抵抗運動に影響を与えかねないコソボ問題、それから、ロシアとヨーロッパの緊張関係についてご意見をお伺いします。国際社会は—コソボ独立承認に関してロシアの介入を排除しようとしていますが—いずれチェチェンの独立を支持しようとするでしょうか?」
ザカーエフ:「もう何年にもわたって、世界中の政府が、チェチェン人に対するロシアの戦争犯罪を—それを黙認することで利益を得ようとして—極めて強く支持してきました・・・コソボをめぐる状況は興味深いものです。というのは、ロシアは、公式にはそれに反対しながら、実際にはコソボの独立を望んでいるからです。ロシアは、コソボ独立という先例が出来次第、すぐにでもアブハジアや南オセチア、プリッドニエストロビーを併合しようとするでしょう」
ロシア外務省が先月下旬、南部チェチェン共和国への取材旅行を企画するというので、申し込んだ。ロシア連邦とチェチェン共和国は1991年のソ連崩壊後、同共和国の独立絡みの戦争を2度経ている。同共和国を武力で“平定”したロシアとしては、「チェチェンはもはや戦地でない」と情勢安定化をアピールする狙いだったはずだ。
ところが、外務省の担当部局は当初から「反テロ作戦地域の特別な記者証が必要だ」とか、「戦闘状態での死亡をカバーする保険をかけてほしい」などと責任逃れともとれる煩雑な手続きを要求。揚げ句の果てには、担当部局に全く電話がつながらない状態になり、外務省がまさに“雲隠れ”してしまった。[8/6産経]
アムネスティ・インターナショナルが、ロシアからウズベキスタンに強制送還されそうになっているウズベキスタン人2名を支援するアクションを実施しています。クルバノフさんとアブトフさんは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に難民申請をしているところで、ウズベキスタンに強制送還されれば死刑になる可能性もあります。
アクションは、ロシア語、英語または日本語で、ロシア検察当局へのアピール文を作り、葉書やファックス、メールで送るというもので、以下のサイトに英語と日本語のアピール例文が載っています。もっとも、不公平な裁判や拷問が横行しているのはウズベキスタンもロシアも同じだと思うのですが…。
アムネスティの「人権擁護活動家を守れ! 〜ジャーナリスト・アクションキット」もぜひご利用ください。
ロシアは元ロシア情報局員のアレクサンドル・リトビネンコ暗殺事件の第一容疑者であるアンドレイ・ルボゴイの引き渡しを拒否している。英国はロシアの対応について「受け入れがたい」と非難し、ロシアとの関係を再考しようとしている。
ロシアの人権団体代表スベトラーナ・ガンヌシキナは、ロシア憲法は自国民の引き渡しを禁じているが、過去にロシアが自国民を引き渡した例はあると主張する。
「ロシア市民が引き渡された例はいくつもあります。多くの場合—おそらく引き渡しを正当化するために—ロシアは引き渡しの後で容疑者のロシア国籍を剥奪したり、容疑者はロシア国民ではなかったかもしれないなどと述べたりするのです」とガンヌシキナは言う。
いよいよ参議院選挙が目前に迫ってきました。今回の選挙の争点はいくつもあると思いますが、この選挙によって、戦後初めて野党が参議院の第一党になるかもしれないこと、そして戦後最大の政治問題ともいえる改憲問題に直接携わる議員が選ばれることを考えると、あと二日のうちに日本の今後数年あるいは数十年の行方が決まるといっても過言ではないと思います。
当たり前ですが、選挙の他に、チェチェンに関するニュースもいろいろあります。最近あまり頻繁に発行できなかった分、どうしても多くの情報を詰め込みがちなのですが、お時間のあるときにまとめてお読みください。お時間のない方も、選挙権がある人は、ぜひ選挙へ行きましょう。
21日、沖縄・辺野古への基地移設をめぐって、那覇防衛施設局に(環境アセスメント法を無視した)環境調査を委託されている業者の作業ダイバーが、3人がかりで移設反対派リーダーの平良夏芽牧師を海中で羽交い絞めにして、酸素ボンベのバブルを閉めるという事件がありました。
「辺野古から緊急情報」には、「とにかく今日業者によって引き起こされた事件は国の謀略による『暗殺未遂事件』と言っても良いものです。安倍さんはプーチン政権の真似でもしているのでしょうか」とあります。
辺野古では米軍基地の建設を止めるために、座り込みとカヌーでの非暴力の阻止行動が連日行われています。よろしければ、どうか今回の事件への抗議とゴムボート購入への寄付をお願いします。
明日、何が起こってもおかしくないような状況の英露関係。英国が、ロンドンで元FSB(ロシア連邦保安局)職員リトビネンコ氏の暗殺事件について、FSBのOB、ルゴボイ氏を犯人と断定、ロシア側に引渡しを要求したところ、ロシア側「ロシア憲法が認めていない」として拒否。これに対して英国側がロシア外交官4人の追放を決定したところ、ロシア側も報復措置として同人数の英外交官の追放を発表して、事態はエスカレートし続けています。
さらに最近、ロンドンに亡命しているロシアのオリガルヒ、ベレゾフスキー氏を暗殺しようとしたとして、ロシア人男性がロンドン警視庁に逮捕され、ロシアに強制送還されました。警視庁は、同じくロンドンに亡命しているリトビネンコの妻、マリナさんや、チェチェン独立派のザカーエフ副首相に対する暗殺を警戒して、警護を強化しています。
英国側は、非常識にもロシア政府が英国領内で暗殺作戦を行なったと考えて今回の強硬措置に出たわけですが、ロシアが身内をかばい始めると面子の問題だけになってしまうので、引渡しの可能性は非常に低いでしょう。
しかしまあ、政府サイドの容疑者が裁判にかけられると、なぜか裁判長が逮捕されるという不思議の国での裁判を考えると、イギリスで、世界の注目の集まる中で裁判した方が、貴重なロシアの知性のためにも(筋肉のためにも?)よいので、ロシア政府は潔癖を主張するなら胸を張ってルゴボイ容疑者を引き渡すとよいかと思われます。どうしてそうしないのでしょうか?
なお、リトビネンコがなぜ暗殺されたかについては、光文社の「ロシア闇の戦争」をご一読ください。以下参考記事です。(大富)
収容所でのチェチェン人への拷問、言論の自由の弾圧、欧州通常戦力条約の履行停止、欧州国境へのミサイル配備の示唆など、国内的にも対外的にも暴走を続けているとしか思えないプーチンのロシアですが、ロシア国民がそれを支持しているように見えることは何を意味するのでしょうか?(邦枝)
「今日は『ロシア報道の日』。世論調査会社ロミルが前もって人びとに質問をした。『あなたがもっとも信頼を寄せる社会の機関は何ですか』。九パーセントがメディアと答えた。一パーセントが政党を、五〇パーセントがプーチンを信じ、二八パーセントは何も信じない」(アンナ・ポリトコフスカヤ著 『ロシアン・ダイアリー』)
ムルマンスク地区の流刑植民地に収監され、欧州人権裁判所に提訴していたチェチェン人のアザマット・ウスパエフが死亡した。当局の説明によると、ウスパエフは刑務所の二階から「誤って」転落したという。他にも2人のチェチェン人が同時に二階から転落し、1人は危篤状態になっている。3名の身体にはひどい殴打の跡があった。
ウスパエフはチェチェンの著名な人権活動家マディーナ・エルムルザエヴァの息子。マディーナは、1995年、一般市民の遺体を埋葬していた際に、遺体に仕掛けられた地雷によって死亡した。
ロシア世論調査研究所の調査によると、ロシア国民の81%が国際政治における同国の地位が向上したと感じており、72%が「今のロシアは正しい方向に進んでいる」、50%がプーチン大統領が来年3月の大統領選に出馬すると考えているという。「同大統領が出馬しない場合、イワノフ第一副首相に投票するとの回答は15%で、4月の前回調査から5ポイント上昇。メドベージェフ第一副首相は前回の17%から13%に低下し、順位が逆転した」
ロシアのプーチン大統領は14日、欧州各国の通常兵器の保有数などを制限する欧州通常戦力(CFE)条約の履行を一時停止する大統領令に署名した。条約の効力が停止するのは、関係国への通告から150日後とされる。
多くのチェチェン人がロシアの強制収容所や自宅・街頭で虐殺されている。私の知人も含まれるが、その一人、ズーラ・ビチーエヴァの殺害に関して、欧州人権裁判所、ロシア当局の責任を認める判決を下した。殺された人は戻らないが、この判決は大きいと思う。
1995年3月、モスクワからチェチェンの首都グローズヌイまで平和行進があった。そのプロセスだけで3冊くらいの本が書けてしまうくらい「すごい」旅だった。この行進に最初から最後まで参加したことが、チェチェンにかかわる最初で最大のきっかけだった。[チェチェン未来日記 7/17]
6日、欧州人権裁判所は、2000年にチェチェンのシャリでロシア軍に不当逮捕をされた後に失踪したルスラン・アリハジエフ・チェチェン議会議長(停戦期の1997年に民主的に選出された)の母親に対して、ロシア政府に賠償金として4万ユーロを支払うよう命じる判決を下した。判決によって、ロシア政府がチェチェン穏健派を故意に殺害している実態が明らかになってきている。[Telegraph 7/7]
アムネスティ・インターナショナルが、この判決を支持する声明を発表しました。以下引用します。
「第2次チェチェン紛争に関連する事件が次々とヨーロッパ人権裁判所に申し立てられているが、それらに対する同裁判所の判断は、ロシア連邦軍による深刻な人権侵害とそれらを実効的に調査する意思を、政府が一貫して持っていないことを如実に示している」と、アムネスティのヨーロッパ・中央アジア部長ニコラ・ダックワースは語った。
ロシア政府関係者は、チェチェンにおけるすべての集団埋葬地が法医学の専門家によって調査されるよう保証しなければならない。失踪者の親族や目撃者は、脅迫や報復行為から保護されるべきである。行方不明、失踪、誘拐されたすべての人びとの包括的なリストを公表すべきである。何よりも、失踪あるいは誘拐された人びとの安否と居場所を明らかにし、強制的失踪と誘拐に責任のあるすべての者は司法によって裁かれるべきである。
くわしく読む: [Amnesty International Japan 7/12]
政府がインターネットの利用に規制をかける法律を作ろうとしています。総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」は、ブログやHPの「違法・有害コンテンツ流通対応を制度化することを検討すべきである」という中間取りまとめ報告を発表しました。
報告書では、「有害コンテンツ」として「自殺の方法」や「爆弾の作り方」、「ポルノ」などが挙げられているので、多くの人は自分には関係なさそうな話題だと思ってしまうかもしれません。ですが、その発想こそがあなたの言論の自由を奪う最初の一歩だとしたら・・・?
(画像は情報流通促進計画さんより)
チェチェン情勢が再び悪化する可能性が高まっている。親ロシア派チェチェン当局が住民への監視を強めていること、独立派が各地に検問所を設け始めていることから、近いうちに独立派による大規模な攻撃が行われるのではないかという噂が流れている・・・。
ロシア南部のソチが2014年冬のオリンピック開催地に決定した。プーチン大統領が巨額の資金を投じて誘致活動を進めていた背景には、「ソチが位置するクラスノダール地方は紛争が続くチェチェンに隣接するだけに、オリンピックによって明るいイメージに刷新したいという思惑」があるようだ。時事通信は、誘致を成功させたプーチン大統領が「1期置いた12年の大統領選に再出馬するシナリオが現実味を帯びてきそうだ」と分析している。
参考:ソチでのオリンピック開催に反対する市民団体のサイトはこちら。
5日、ロシア当局は、リトビネンコ殺害事件の容疑者、元KGB将校アンドレイ・ルゴボイ氏の引渡しを正式に拒否する文書を英国政府に送った。リトビネンコ事件はこれで事実上幕引きになってしまうのか・・・。
ベスラン学校占拠事件の被害者団体「ベスランの声」が、被害者89名の署名を集めて欧州裁判所に訴状を提出した。「ベスランの声」は、当局の調査結果とはまったく異なる独自の調査報告を欧州裁判所に提出し、当局がベスラン事件の発生とその後の「救出作戦」による人質殺害に責任を負うと訴えている。
参考:「ベスランの声」の代表、エラ・ケサエヴァはアンナ・ポリトコフスカヤの『ロシアン・ダイアリー』にも登場しています。よろしければお買い求めください。
ロシア下院は、4日、石油・天然ガス大手のガスプロムとパイプライン運営会社トランスネフチの国営企業が、警備目的に私兵を保有することを認める法案を可決した。ちなみにガスプロムは従業員43万人、メディアや銀行まで経営する「国家のなかの国家」。法案に反対する議員は、「この法案を通せば、われわれは両社の僕となってしまう」と主張する。
ロシアのイワノフ第1副首相兼国防相は4日、米国が欧州におけるミサイル防衛に協力しなければ、ロシアが欧州国境にミサイルを配備する可能性があることを示唆した。
参考:ミサイル防衛については、益岡賢さんのサイトに「ミサイル防衛:チョムスキーからタマスへの手紙」という記事があります。米国の東欧ミサイル防衛配備が実質上の宣戦布告なら、ロシアはそれを受けて立つとでもいうつもりなのでしょうか・・・。(邦枝)
7月3日のイタルタス通信によると、親ロシア派チェチェン政権の人権委員会委員長、ヌルディ・ヌハジーエフは、モスクワの会議で「チェチェンの大量遺体遺棄現場には民間人と兵士合わせて3000人以上が埋められている」と語ったそうです。会議ではチェチェンで発掘された遺体の身元確認をどのように行うかが検討されています。
日本でも最も古くからのチェチェン支援者の一人である、DEN(能と狂言の雑誌)発行人の渡辺紀子さんが、2007年4月に逝去されました。渡辺さんは、1996年の、チェチェン戦争が始まった当初から、寺沢潤世さん(日本山妙法寺僧侶)の、日本でのコンタクトパーソンを務めておられました。
[渡辺紀子さんを偲んで 寺沢潤世(日本山妙法寺) PDF136KB]
『誰か読んで☆ニュース』のお時間です。
アンナ・ポリトコフスカヤの、もしかしたら最後の著書「ロシアン・ダイアリー 暗殺された女性記者の取材手帳」が、NHK出版から刊行されます。[書籍情報]
内容説明:「『私にはすべてが見えている−−−楽観的な予測を喜ぶ力のある人は、そうすればいい。そのほうが楽だから。でもそれは、自分の孫への死刑宣告になる』プーチンロシア大統領の政策を批判し、テロによる被害者の声を伝え、国民の政治への無関心に警告を発し続けた著者は、2006年10月、凶弾に倒れた。世界中がその死を惜しんだ記者の遺作」
そして、待望されていたアレクサンドル・リトビネンコ著「ロシア 闇の戦争 プーチンと秘密警察の恐るべきテロ工作を暴く」(原題"Blowing up Russia")が、光文社から刊行されました。監訳者は中澤孝之さん。[書籍情報]
内容説明:「1999年、ロシア全土を震撼させた連続アパート爆破事件の真相を追究したノンフィクション。事件後、第2次チェチェン戦争が始まり、その過程で無名だったプーチンは大統領に昇りつめていく。その裏で何が起きていたのか…」
さらに、ミステリーで有名な早川書房は、アレックス・ゴールドファーブ著「リトビネンコ暗殺」を刊行。[書籍情報]
内容説明:「2006年11月23日、元FSB中佐アレクサンドル・リトビネンコがロンドンで変死した。彼の体内からは、猛毒の放射性物質ポロニウム210が大量に検出され、ロンドン警視庁は毒殺が企てられたものとして捜査を進めていく。...泥沼のチェチェン紛争に絡んだ謀略...世界を震撼させた暗殺事件の真相を描く話題のノンフィクション」
というわけで、今月はラッシュです。
追記:学術新書からも寺谷ひとみ著「暗殺大国ロシア—リトヴィネンコ毒殺とプーチンの野望」というすごいタイトルの本が出ています。アマゾン風の書評はこちらから。
5年前にチェチェン市民を殺害した容疑に問われているロシア兵士3名の捜索を当局に要求するデモが、28日、チェチェンの首都グローズヌイで行われた。3名のロシア兵士は、妊娠中の女性を含む市民6名を殺害した容疑で、14日にロシア軍事裁判所から長期刑を宣告されたが、4月から行方不明になっているのだとか。
デモは数百人が参加する大規模なものとなったが、ロシアではチェチェンで罪を犯した軍人が刑に服する例はほとんどない。
世界経済に類を見ないほどの「乗っ取りビジネス」が、プーチン政権下のロシアで横行している。「手口は腐敗した司法・官僚機構を巻き込んで巧妙化の一途をたど」り、今や「乗っ取りビジネス」は軍需産業にまで進出しているという。
乗っ取りの手口は、「カネで抱き込んだ税務当局が『税務調査』と称して家宅捜索や資産没収を仕掛け、裁判官がニセの『決定』を下す。登記当局が偽造文書を作成、警察・検察まで味方につければ、障害は何もないというわけだ。知事や市長といった権力者が関与することも珍しくなく・・・」というもの。どこかで聞いたことのある話だと思ったら、そう、ロシア・チェチェン友好協会が潰されたのと同じやり口。
22日、ロシアのイワン・シドルック副検事総長は、過激派思想の取り締まりに向けて国内インターネットサイトの検閲の必要性を語った。ロシアでは、すでに人種差別主義者やネオナチの活動規制を目的とした法律が制定されているが、実際にはプーチン政権が政敵を抑圧し、チェチェン戦争に対する批判を封じ込めるために利用されている面が強い。
6月24日(日)午後9時〜9時49分 NHK総合テレビ
今日の番組のご案内です。たぶん必見です。Kさんいつもありがとう! 以下番組案内より:
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カザフスタンからロシア、ウクライナへ、中央アジアを貫くシルクロードのステップ路。この地方は、アラル海、カスピ海、黒海に面し、北にボルガ、ドナウ、ドンなどの母なる大河が流れる豊かな土地である。夏には綿花の綿毛が舞い、広大なひまわり畑が広がる。
祖国への帰還をめざす中国のカザフ族、スターリン時代の強制移住から70年、ユーラシアの荒野こそ祖国だとする朝鮮族。戦場となった故郷へ戻るか、安住の地で生きるか、揺れ動くチェチェンの人々。そして、南ロシアのドン川流域では、「コサックよ!ロシアを守れ!」を合い言葉にコサックがかつての帝政ロシア時代の軍人国家の風習に先祖帰りしている。かつては軍のエリート学校であった「コサック学校」が復活し、プーチン政権を支える礎となろうとしている。
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そして、コサックはチェチェン侵攻に参加しているのだそうです。
チェチェンニュースでも何度か署名のお願いをしてきたクルド難民関連の朗報です。昨日、在日クルド難民のデニズ・ドーガンさんに、一年間の在留特別許可が出ました。署名にご協力してくださった皆様、どうもありがとうございました。エルダル・ドーガンさん一家にも、カナダに出国するためのビザが無事に発給されました。
けれども、ドーガンさんたちが本来求めていた日本での難民認定が最後まで得られなかったこと、今も日本では多くの難民が法的に難民として認められることもなく、帰国することも、第三国に出国することもできない状態で暮らしていることなどは、重い課題として残されていると思います。どうか、今度も引き続き難民問題に関心を寄せてくだされば幸いです。(邦枝)
英紙インディペンデントによると、6月21日、ヨーロッパ人権裁判所は、チェチェンの人権活動家を殺害したことで、ロシア当局に遺族への賠償金を支払うよう命じる判決を下しました。まだ新しいニュースなので、ぜひ報道関係の方は活用してください。
アムネスティ・インターナショナルが、苦境にあるロシアのNGOを紹介しています! 以下サイトから引用。私たちも何か支援できないものでしょうか?
「当局からの圧力が強まる中、国際社会からの支持と支援がなければ、私たちはロシアで活動を続けることはできないでしょう」(RCFSスタッフ)。
ロシア-チェチェン友好協会(RCFS)が事務所閉鎖の命令を受けたのは、2006年10月でした。
RCFSはチェチェン共和国やその他の北コーカサス地方における人権侵害をウォッチし、毎日、強制的失踪やその他の人権侵害についてプレスリリースを出していました。また、紛争の被害を受けたチェチェンの市民のために、医療支援を組織したり、子どもたちのために休日の休戦を呼びかける活動を続けていました。
追記:6月18日、ニジニ・ノブゴロド地方仲裁裁判所は、ロシア・チェチェン友好協会に対して事実上の破産を宣告する判決を下しました。まったくひどい内容で、何とかしたいと思うのですが…。
16日、ドイツのジャーナリスト団体「調査ネットワーク」は、今年世界で最も言論の自由を抑圧した人物として、ロシアのプーチン大統領に「口の閉じた牡蠣賞」(「言論の自由抑圧賞」)を贈った。「南ドイツ新聞のヘリベアト・プラントル政治部長は同授賞に関し、『ロシアの“言論の自由”とは、プーチン氏が欲することを書く自由である』と指摘し、国家権力によるメディア弾圧を厳しく批判した」。ロシアではプーチン大統領が政権に就いて以来、少なくとも14人のジャーナリストが暗殺されている。
6月19日、ベスラン公式調査連合「プラブダ・ベスラナ」は、北オセチア共和国のベスランの警察官が2004年9月に公共施設で人質事件が起こることを事前に察知していたという調査結果を発表しました。ベスラン学校占拠事件については、「ロシア軍上層部の一部将官が関与」しており、「地元治安当局による学校警備などの怠慢がテロを招いた」というベスラン事件調査委員会の報告書がすでに提出されています。やはり…という感じですが。
考え過ぎかもしれないのですが、チェチェンニュースにはあやしいメールが結構届きます。それも、OSCE(欧州安全保障協力機構)のプレスリリースや、チェチェン情報では有名な「ジェームズタウン財団」のイベント告知、「日本国際フォーラム」のお知らせメールに一見見えながら、埋め込まれているURLがまったく関係ないものであったり、正体不明の添付ファイルがついていたりします。(それぞれの組織にとっては迷惑な話だと思います)。
そうしたメールを、下記のサイトに貼り付けました。解析できる方や、ご意見のある方は教えてください。
ぜんぶチェチェンに関係する機関から送られてきているように見えるところが不気味で、さては狙い撃ちかと考えてしまいます。「いや、そんなのうちにも届いているぞ」と言う人は同じくご連絡ください。「僕は一人じゃない!」と思えて心強いです(笑)。
最後にお知らせですが、チェチェンニュース編集室のドメイン(@chechennews.org;@mist.ocn.ne.jp)からは、どなたに対しても、HTMLメールはお送りしません。また、前触れもなく添付ファイルをお送りするようなことは、ありません。そんなメールが届いた場合は、すぐに削除してください。(大富亮)
最近の情報をまとめて、チェチェンニュースを発行しました。日本のメディアは、どうチェチェン問題に関わることができるのでしょうか。あるいは、すでにどのように関わっているのでしょうか。愛知立てこもり事件にすら登場する「チェチェン」の扱いについて、メディア問題を専攻している藤沢さんの考察を掲載します。ほかにロシアの人権団体「メモリアル」による声明文など。
来日中のミハイル・ゴルバチョフ元ソ連大統領は記者会見で、昨年、チェチェン問題でプーチン政権を批判していたロシア人女性記者が殺害された問題では、「90年代も多くのジャーナリストが殺害されたが、真相は究明されないままだ。治安機関はしっかり捜査しなければならない」と指摘した。 [朝日新聞 6/12]
ロシアはチェチェンに対し数々の悪事をはたらいていますが、国家レベルの公約を二度破棄しました。その関連事項は次の通りです。 ソ連崩壊後、旧ロシア共和国はかっての領域内の全ての自治共和国と自治州のうちの幾つかを格上げして共和国としそれを束ねて連邦制の国家体制を作る事にしました。各自治共和国はロシアと連邦条約の調印をしてその傘下に入る事となりました。 しかしながらタタールスタン共和国とチェチェン・イングーシ共和国(イングーシは後に分離して調印)は連邦条約の調印を拒否し現在に至っています。現時点においては両共和国ともロシア連邦の構成主体となっていますが、法律的には両国ともロシア連邦と権限分割条約(主権条約)を結ぶ必要があります。タタールスタンは93年に条約を結びましたが、チェチェンは拒否してロシアに攻め込まれました。
昨年10月、何者かに暗殺されたロシアのジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤさんが、モスクワ大学のジャーナリズム学部の名誉卒業生に選ばれたという情報がありました。Tさん、岡田さん、いつもありがとうございます。
4月末から5月末までの一カ月間、日本のマスコミによるチェチェン関連報道を見てみると、まずは4月27日にチェチェン領内で起こったロシア空軍ヘリの墜落事件記事を見つけることができる。といっても、これはいくつかの新聞に小さな記事が掲載されたのみで、どれだけ多くの人がこの事件でチェチェン問題を意識したのか疑わしい。もちろん、チェチェン問題の記事が少ないこと自体を今更ここで声を大にして言うつもりはない。何か大きな突発的事件が起こった時しかチェチェンが注目されないのは、今に始まったことではないからだ。日々の死傷者数を詳細にリポートされるイラク戦争とは扱いが違うのである。ただ、突発的事件だけでなく、チェチェンの日々の生活の中にも事件性は深く根を張っていることを忘れるべきではない。「日常」と呼ばれる生活空間の中に、悲劇と落胆、そして過去のものとして整理できない記憶の数々が混在している。
扱いが遅くなってしまいましたが、いつもN社の方々の情報提供に感謝しています。(富)
アンナ・ポリトコフスカヤ、ユネスコ報道の自由賞を受賞 [朝日新聞 5/2]
5月3日は「世界 報道の自由の日」。97年から設けられているユネスコ報道の自由賞に、アンナ・ポリトコフスカヤが選ばれた。本来活動中のジャーナリストを対象にしたこの賞なので、故人のアンナが選ばれたのは異例。
松浦晃一郎ユネスコ事務局長:「行事を毎年行なってきて、ひとつさびしく思うのは、約200人のジャーナリストが様様なテーマについて激論を交わしている中に、日本人を見かけないことだ。「報道の自由の日」についての日本での報道にも接したことがない。...日本の人たちにも問題意識を持っていただきたい」と結ぶ。ユネスコの公式記事はこちら
討論 阪神支局襲撃事件20年 「不屈であること」 [朝日新聞 5/2]
江川紹子さん:「ジャーナリズムに関わる者にとって一番大事なものは市民との距離。「許せない」と市民の皆さんが言ってくれることが一番力になる。たとえば、ロシアで女性記者が不正を追及して殺されました。日本の学生に『私たちに何ができるか』と聞かれて即答できなかったが、今はこう言おうと思っています。『彼女の本を買ってください。本が売れれば、日本の人たちがこの問題(チェチェン問題)に関心を持っているという意思表示になる』と。よい記事と思ったときは「よかったぞ」という声を上げてくだされば、書く人がどれほど頑張ろうと思うか」
6月11日(月)、東京・目黒で、ジャーナリストの林克明さんの講演会「ロシア・チェチェン戦争から日本を考える」が開催されます。参加費(おそらく)無料。ぜひお誘い合わせの上お越しください。
林克明講演会「ロシア・チェチェン戦争から日本を考える」
●日時:2007年6月11日(月)18:30-
●場所:カトリック目黒教会
●交通:JR山手線「目黒駅」西口/東急目黒線・東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線「目黒駅」中央口より徒歩3分
●地図:http://www.catholicmeguro.org/
●主催:カトリック東京正平委員会
・・・ロシアでは人権侵害がつづいているが、なかでもチェチェン共和国内では、とてつもない人権侵害がおきている。ロシアの独裁化とチェチェン侵略はセットなのである。侵略戦争をしたい、そのためには、1) 敵をつくらなければならない。2) 言論表現活動を抑えなければならない。
こうしたことを分かりやすくやってきたのがロシアンのプーチン体制だ。12年にわたって、ロシアの混乱・独裁化。それと同時並行するチェチェンへの侵略を私は見てきた。
そういう私の視点からみると、いまのロシアは日本の未来を見ているような気がする。そんなことを話してみたい。
射殺の女性ジャーナリスト遺作集を出版 露「言論封殺」に強まる懸念 [産経新聞 5/31]
昨年10月に暗殺されたアンナ・ポリトコフスカヤの遺作集「何のために」の出版記者会見が、30日にモスクワ市内で開かれた。「ロシアでは1993年以来、289人のジャーナリストが殺害されたり行方不明になったりしており、大半が未解決という」。著作集「何のために」には、ポリトコフスカヤが生前にノーヴァヤ・ガゼータに寄稿した記事や評論のほか、元同僚や親族が整理した未完の原稿や生前の写真も収録されている。
前首相、大統領選に出馬表明=プーチン体制に「最後の審判」予告−ロシア [時事通信 6/2]
2日、ロシアの野党・人民民主同盟党首、カシヤノフ前首相が、来年3月の大統領選への出馬を正式に表明した。カシヤノフ前首相は、4月にモスクワで行われた「もうひとつのロシア」のデモの中心人物の一人。プーチン政権下で「自由と市民の権利への攻撃が行われている」ことを非難し、現体制の打倒を呼びかけている。
露軍の死者 6割が自殺 [読売新聞 6/5]
ロシア国防省によると、2007年1月以降の露軍兵士の死者は139人で、そのうち6割にあたる86人が自殺だった。発表によると、29人がチェチェンでの戦闘で、3人が兵器の操作ミスで、9人が交通事故で、5人が軍隊内での虐待によって死亡したという。自殺についての詳しい理由は明らかにされていない。
・・・「オルタ」の2007年5月号に掲載された岡真理さんの文章を読んで考えたことを、今回のチェチェンニュースで紹介したいと思う。
「当事者とは何か」というわずか2ページの文章で、彼女はイスラエル=パレスチナ問題における私たちの当事者性を見事に暴き出している。私たちの無知や「中立性」こそが「問題の不可分な一部を構成し、パレスチナ人に対する抑圧の永続化に貢献」している以上、私たちもまた問題の「当事者」に他ならない、というふうに。
こうした見方は以前にもチェチェンニュース Vol.04 No.28 などで伝えてきたけれど、ここでもう一度振り返って考えてみたい。
明日29日(火)から6月18日(月)まで、東京・新宿で、硬派フォトジャーナリズム誌「DAYS JAPAN」の写真展が開催されます。開催期間中の週末には、編集長の広河隆一さんによるスライド・トークや、「『Philia Project』のダンスと映像パフォーマンス『沈黙の未来』」、池田香代子さんによる「写真で見る『世界がもし100人の村だったら』」などのイベントが盛りだくさん!参加はイベントを含めすべて無料です。学校や仕事の帰りにも、休日にも、ぜひお立ち寄りください。
追記:「・・・かつてチェチェンに行ったことのある写真家が『チェチェンはどこにカメラを向けても絵になる』といっていたが、それはほんとうだった。『だった』と過去形で言わなければならない。なぜなら、かつては外部から来た者にも目で見てすぐわかる光景、風景、情景、人物が多かったからである」
「そして今は(私の感覚では2004年以降)は、あらゆる状況が外形に表れにくくなっている。映像でも、写真でも、チェチェンという状況や人びとを捉えにくくなっているからだ。外から見た目には、あまり変化はなくとも、実態は深刻化している。その目にみえにくい社会と人びとのことをどう捕らえ、どう伝えていけばいいのか」
現在発売中の、フォトジャーナリズム雑誌「DAYS JAPAN 2007年6月号」に、チェチェンの写真が掲載されていましたので、ご紹介させて頂きます。
・・・まず、見開きで圧倒されるのが、半壊したアパートで、母親に体を洗ってもらっている赤ちゃんの入浴の様子です。この、写っているアパートの半壊具合というのが半端ではなく、ミサイルの直撃でも受けたのか、4階から1階までアパートの床に垂直に穴が開いています。親子は、辛うじて残っている浴室で、赤ちゃんの体を洗い、洗濯物を干しています。
岡田一男さん(映像作家)から寄せられた情報です:
二人の高名なドキュメンタリー作家によって制作されたアレクサンドル・リトビネンコ関連作品が発表された。「踊れ、グローズヌイ!」のヨス・デ・プッターは、オランダのテレビ局のために1時間番組「追悼!、アレクサンドル・リトビネンコ」(56分)を製作、1月に初放映、この5月20日には、ロンドンでデ・プッター自身が出席するプレゼンテーションが、有力ジャーナリスト団体「フロントラインクラブ」の主催で開催され、BBCなどのマスコミに大きく報道された。
追記:映画評論家の齋藤敦子さんによる解説文はこちら。
「・・・リトビネンコの暗殺は誰が行ったのか、今も様々な情報が乱れ飛んでいますが、リトビネンコ氏の真摯な証言を聞きさえすれば、直接の実行犯が誰かはわからなくても、暗殺を命じたのが誰かについて、疑いを挟むことはなくなるでしょう。身も凍るように恐ろしい、けれども必見のドキュメンタリーです」
5月23日付のアムネスティ発表国際ニュース、「年次報告書2007:恐怖をあおる政策が世界の対立と格差を拡大」を転載します。報告書は、ロシアについて、外国人に対する嫌悪犯罪の増加や、アンナ・ポリトコフスカヤの殺害、NGO規制法の成立を例に挙げて、差別が社会的に容認され、表現の自由が弾圧されていることを指摘しています。
ルゴボイ容疑者、ロシアで訴追も=元情報員毒殺事件で最高検長官 [時事通信 5/25]
25日、ロシア最高検察庁のチャイカ長官は、「もし英国側がルゴボイ氏の罪状を裏付ける証拠を示し、ロシア側がそれを十分だと判断すれば、ロシア国内で刑事訴追される可能性がある」と述べ、リトビネンコ事件で英検察当局が起訴を決定したルゴボイ氏を刑事訴追する可能性があると示唆した。
<元露中佐毒殺>ルゴボイ氏を殺人罪で起訴へ 英検察当局 [毎日新聞 5/22]
22日、英検察当局は、元FSB中佐アレクサンドル・リトビネンコ氏の毒殺事件で、元KGB職員のアンドレイ・ルゴボイ氏を殺人罪で起訴すると発表した。英検察はルゴボイ氏を起訴するに充分な証拠があると述べ、ロシアにいる同氏の引き渡しを要求している。英国の刑事訴訟法では起訴対象者が英国にいることが起訴の条件であるため、ロシア当局が同氏の引き渡しを拒否した場合、英国側の訴追手続きは事実上終結することになる。
露「言論の自由」消滅寸前 プーチン政権が圧力強化 [産経新聞 5/22]
ロシアでは全テレビ局と主要ラジオ局がすでにプーチン政権もしくは国営企業に保有されているが、これまで比較的自由な報道を続けてきた一部ラジオ局やジャーナリスト同盟への弾圧が激しさを増している。20日、リベラル派小政党や人権団体はモスクワ市内でプーチン政権の言論統制を糾弾する集会を開いたが、「必死の呼びかけも大衆には届いていないのが実態だ」。
露の外国人規制が波紋 証明書不備なら観光客も「罰金」 [産経新聞 5/22]
外国人監視強化が進むロシアで、警察官らが外国人観光客を「違法滞在だ」と脅し、「罰金」と称してワイロを巻き上げるケースが増えている。観光客は身分証明書を提示しても、書類に不備があると難癖をつけられて、「『罰金』の支払いを拒否すれば、『身柄を拘束する。長時間に及ぶ取り調べが待っている』と脅される」。
どうしてチェチェンニュースは、チェチェン以外のことを書くのか? 教育基本法、改憲国民投票法、そして共謀罪。安倍内閣がめざす「美しい国」は、クーデターによって打ち立てられようとしているのか? 自民党極右の陰謀とは? 日本が危ない! (世界も。写真はイメージ)
読者の皆さまに、お願いがあります。
私たちチェチェンニュースでは、チェチェンの情報を広めるという形で、ささやかな支援活動を続けてきました。また、各団体・関係者の努力によって、すこしづつチェチェンと日本の間のつながりが生まれてきています。
さて、今回私たちは、いままでお受けしてきたチェチェンニュース発行のためのカンパに加え、難民支援のためのカンパを、皆さまにおねがいします。やや特殊な事情があり、支援対象となる難民についての情報や、詳しい使途は、当分の間明らかにすることができません。
大まかに言えば、ある困難をかかえる難民の法律的支援の費用といえます。当面の目標としては月に400ドル(約5万円)ほどの募金が必要です。
こんな制約のある支援活動なのですが、安全が確保され次第、皆さまに成果をご報告します。また、全体的な収支については、これまでどおりチェチェン総合情報サイト上で報告します。
ほかの活動と同じように、このカンパが遠い日に、チェチェンと日本に住む人々の絆につながるよう、正しく使ってまいります。どうか、ご協力をお願いいたします。 (大富亮/チェチェンニュース)
郵便振替口座番号 00130-8-742287 口座名称 チェチェンニュース編集室
(金額は指定しません。お手数ですが、通信欄に「難民支援」とご明記下さい)
2006年度会計報告: http://chechennews.org/dl/2006kaikei.pdf
北オセチアのベスラン学校占拠人質事件に関して、過失罪で訴追されていたプラボベレズニ地域警察の警察高官3名に対する裁判が中止される見込みになりました。裁判の中止を求めていた被告に対して、ロシア議会が恩赦を決定したためで、現地では、「ベスランの悲劇は決して許されない」「テロリストをかばう者もテロリスト」「FSBとロシア内務省はテロに責任を負っている」と訴える人々が抗議集会を行いました。
これに先立つ5月2日には、北オセチア最高裁が当局者の訴追を却下する決定をしています[バイナフ自由通信 5/6]。「対テロリスト作戦」中に数百人もの子どもたちや一般市民を死傷させた責任者が、一切の法的責任も問われないまま釈放される。こんな滅茶苦茶なことが許されてしまってよいのでしょうか。
普天間基地の代替施設建設に反対する住民や市民団体によって、2004年から完全非暴力の座り込み阻止運動が続けられている辺野古に、ついに自衛隊が投入されることになりました。久間章生防衛相は、「『妨害に対する人命救助も含め、どんな場合も対応できる万全の態勢を取っている』と述べ、海自が警備活動を実施する可能性を示唆」しています[毎日新聞 5/17]。「沖縄の地元メディアは連日、『自衛隊投入』を伝え、仲井真弘多沖縄県知事は記者団に『何のためにくるのか分からない』と不快感をあらわにしている」[東京新聞 5/17]とも。
下記に辺野古から緊急の呼びかけがあります。自衛隊が出動するということは「市民に銃を向ける行為」と同じではないでしょうか。よろしければ、今いる場所からでも、可能な範囲でご協力をお願いします(邦枝)。
追記:5月17日付の東京新聞によると、海上自衛隊掃海母艦「ぶんご」は、久間防衛大臣の命令を受けて作業を行いますが、その内容については「公表できない」そうです。防衛大臣が自衛隊の活動内容を公表しないということは、自衛隊のシビリアンコントロール(文民統制)が崩壊することを意味します。これは自衛隊員にとっても極めて不名誉な事態なのではないでしょうか。ぜひ防衛省まで抗議をお願いします。
辺野古に棲息する絶滅危惧種のジュゴンを守るための環境アセスメントを求める国際オンライン署名はこちらから。
国民投票法案が、明日11日(金)に参議院・憲法調査特別委員会で強行採決されることになりました。国民投票法案の問題点はこちらを見ていただくとして、今できることをいくつか。
とにかく、与党による強行採決とそれにヒヨった民主党に抗議をしましょう。マスコミには今からでも国民投票法案の問題点をきちんと報道するよう伝えてください。
可能な方は、ぜひ明日11日(金)の参議院の傍聴をお願いします。安倍首相が漏れなく出席するそうです。傍聴の方法はこちらをチェック。(邦枝)
Chechen Peace Forum という英国のNGOがプーチン大統領に宛てた公開状を紹介します。
「拝啓、プーチン大統領:私たちは、チェチェンにおける人権侵害と戦争犯罪を目の当たりにして、もうこれ以上沈黙していることはできません。私たちは、大統領の任期満了まで今日からちょうどあと一年を残した大統領に対して、チェチェン戦争を終わらせてチェチェンに平和と正義を取り戻すために残りの任期を用いるよう要請するために、この公開状を作成しました」
「1999年以降、何十万人ものチェチェン人が家を追われ、10万人以上—そのほとんどは市民—が命を奪われています。ロシア軍およびプーチン大統領によって最近任命されたチェチェン大統領ラムザン・カディロフの私兵による失踪や拷問、強姦、超法規的な処刑、独立メディアのジャーナリストと人権運動活動家に対する言論封殺が、日常的に行われています・・・」
あなたは憲法を変えることに賛成ですか?それとも反対ですか?
4月28、29日に毎日新聞が行った全国世論調査によると、憲法を「改める方がよい」が51%と半数以上(「改めない方がよい」が19%、「わからない」が22%)で、「改める方がよい」の8割は、現行憲法が「時代に合っていない」ことや「一度も改正されていない」ことをその理由に挙げているそうです。
けれども、憲法は変わるとすれば、いったいどのようなものになるのでしょうか。もしも、あなたが憲法を変えたいと思っているとしても、憲法はあなたの望み通りに変えられるものなのでしょうか・・・
2007年4月23日、ロシアの前大統領ボリス・ニコラエヴィッチ・エリツィンが死去した。エリツィンとはいったいどのような人物であっただろうか。チェチェン紛争に関心を持つものにとって、彼はもちろん1994年の第1次チェチェン紛争開始、そして96年のハサヴユルト和平協定合意を行った人物として印象深く記憶されている。
しかし、一般的に思い描かれるエリツィンのイメージが同様のものかといえば、必ずしもそうではない。それを探るために日本のマスコミ報道を追っていくと、興味深いことが明らかになる・・・
チェリスト最高峰、旧ソ連民主化の闘士 ロストロポービッチ氏死去 [東京新聞 4/28]
エリツィン前大統領死去の影にかすんでしまっていますが、27日、ロシアの世界的チェロ奏者・指揮者のムスチスラフ・ロストロポービッチ氏が死亡しました。ロストロポービッチ氏は、ソ連時代から民主化運動に参加して、一時期ソ連の市民権を剥奪されていた人物で、チェチェン戦争にも反対していました。
人権問題でロシア批判=欧州議会が報告書 [時事通信 4/27]
26日、欧州議会は世界の人権擁護状況に関する最新の報告書を採択し、EU各国政府や欧州委員会に対して、ロシアや中国、イランにおける人権状況の改善を働きかけるよう呼びかけた。報告書は、チェチェン問題や人権・表現の自由の抑圧など、ロシアの状況を改善するためのEU側の努力が不足していることを指摘し、アンナ・ポリトコフスカヤやアレクサンドル・リトビネンコの殺害について「愕然とさせられる」と非難している。
<プーチン大統領>欧米との対決姿勢打ち出す [毎日新聞 4/27]
26日、プーチン大統領はクレムリンで年次教書演説を行い、米国がチェコとポーランドに配備を計画しているミサイル防衛システムを念頭にNATOの軍事力拡大を批判し、1999年の「欧州通常戦力条約」で義務づけられた軍縮削減の履行を一時凍結すると宣言した。
<ロシア>エリツィン前大統領が死去 旧ソ連解体を主導 [毎日新聞 4/23]
23日、ロシアのボリス・エリツィン前大統領が、モスクワの病院で死亡しました。25日に行われた葬儀には、プーチン大統領や各国の大統領や外相ら約5000人が参列しましたが、「日本からは『葬儀に間に合う商用便がなかった』(塩崎恭久官房長官)との理由で斎藤泰雄大使の参列にとどまり、ロシアのメディアは驚きをもって受け止めている」[産経新聞 4/26]そうです。
27日、チェチェンのシャトイ村で、ロシア軍とチェチェン独立派との戦闘があり、兵士を増員するために現地に向かっていたロシアの輸送ヘリコプターのうち一機が撃墜され、20名が死亡しました。チェチェンでは2002年8月にもロシア軍のヘリが撃墜されて127名が死亡していますが、今回の死者数はそれに次ぐ規模ということです。
ロシアの公式見解では「終わった」ことになっているチェチェン戦争によって、今も、そしてこれからも、死んでいくロシア人がいるという事実。それをプーチンはどのように語るつもりなのでしょうか。あるいは語らないつもりなのでしょうか。25万人ともいわれるチェチェン人の死に対して彼がそうしているように。(邦枝)
24日の上映会、130人以上の参加があって満員御礼でした。アムネスティの皆さんおつかれさまです。下記の紹介文に、会場で感じたことを加筆しました。
破壊された建物、空を横切る軍用機。この映画で見るチェチェンの首都グローズヌイは、とても人の住むところには見えません。アパートの窓からは、ひっきりなしに銃声がとびこんでくる。「踊れ、グローズヌイ!」は、そんな荒涼とした場面からはじまります。
廃墟の中で、少し悲しいチェチェンの音楽に合わせて踊る、舞踊団「ダイモーク」の子どもたち。流れるような手足の動きや、真剣なまなざしだけが、この混乱した、殺戮に満ちた世界の、わずかな真水のように感じられます。子ども達は地味なズボンをはいているのに、その踊る姿は天女のような美しさ...
スケジュールはこちら: http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=1041
「ソ連の崩壊とともに、まがりなりにもロシアは民主化と言論の自由化に向かっていた。その流れを絶った原因のひとつがチェチェン戦争なのである。言論や報道の自由は戦争遂行の妨げとなるからだ・・・」[チェチェン未来日記 4/25]
14日にモスクワで行われた反プーチンデモの様子がYouTubeにアップされていたので紹介します。1分ほどの短い動画ですが、特殊部隊(OMON)がデモ参加者をバスに詰め込んで強制連行するシーンがピンポイントで撮影されています。バスに詰め込まれた男性が、逃げ出そうとしてバスの窓枠ごと外に落ちてくる場面は必見。最後に、参加者の一人が、プーチン政権は国家権力によって反対勢力を恐怖で押しつぶそうとしている、そのことを広く伝えてほしい、というようなことを英語で訴えかけています。
15日、前日のモスクワに続いて、ロシア第二の都市サンクトペテルブルクで、大規模な反プーチンデモが行われました。参加者約1500人に対して、当局が出動させた警官隊らは1000人以上。警官隊らに暴行を受けるなどして拘束された市民やジャーナリストは約120名。文字通りの大弾圧です。
集会後に帰宅しようと駅に向かった参加者を、警官隊が取り囲んで警棒で激しく殴打したという情報もあります。多数の負傷者の中には女性や高齢者も含まれていましたが、プーチンは一連の事件に対して「お話できることは何もない」とのこと。完全にナメてます。
追記:14日のデモを先導して当局に一時的に拘束されたカスパロフ氏は、「大衆煽動罪」でロシア連邦保安局から出頭要請を受けました。プーチン政権は今回のデモに対する暴力の行使を「テロ活動や過激主義の防止」として正当化しようとしています。繰り返しになりますが、今回のデモも、それに対する治安当局の弾圧ぶりも、ロシア国内のメディアではほとんど報じられていません。体制側に都合の悪い情報や主張を発信することが「大衆煽動罪」に当たるのだとすれば、それは表現と報道の自由を全否定することと何ら変わりはないと思います。(邦枝)
追記2:ロシア語ができる方にはこちらのサイトがお勧め。広場におばさんが出てきて、巻き尺をとりだして、一平米あたり何人の機動隊がいるかを数えていた話などが紹介されているそうです。TKさん、いつもありがとうございます。
またもやプーチンがやってくれました。14日、ロシア治安当局は、モスクワ中心部で行われた3000人規模の反プーチン政権派デモを叩き潰すために、治安部隊約7000人を出動させて、デモに参加した市民やジャーナリストを棍棒で殴りつけ、実力粉砕しました。
デモを主導したのは、『もう一つのロシア』というカシヤノフ前首相やチェスの元世界王者カスパロフ氏らが率いる政治団体の連合組織。プーチン政権の強権的体質を批判し、公正で開かれた選挙を通じたロシアの民主化を呼びかけていましたが、当局の強制排除によってカスパロフ氏を含む約170人が拘束されました。
デモを取材していた毎日新聞の記者も棍棒で頭を殴られて、頭部を4針縫う治療を受けたということです[毎日新聞 4/14]。お見舞いと励ましのメールはこちらから。
『もう一つのロシア』が当初集会を計画していたプーシキン広場は、早朝から鉄柵で覆われ、警察官や兵士による厳重警備が敷かれたのに対し、向かいの別の広場では、治安部隊の保護下でプーチン大統領支持集会がわざとらしく行われていました。けれども、海外で大きく報道されているこの事件は、プーチン政権の統制下にあるロシアのメディアでは、ほとんど伝えられていないようです[産経新聞 4/15]。
<露政商>「武力革命」計画を明言 亡命先の英国で [毎日新聞 4/14]
ロンドンに政治亡命中のベレゾフスキー氏が、13日付の英紙ガーディアンのインタビューで、プーチン政権打倒に向けて「武力革命」を計画していることを明らかにした。ロシア最高検察庁は「国家転覆罪に当たる」として立件し、週明けにも英国に同氏の逮捕と身柄引き渡しを求めるという。
「ベレゾフスキー氏はガーディアン紙で『(プーチン)体制を民主的手段で変えることはできない。武力や圧力なしでは不可能だ』と述べた。すでにプーチン大統領の周辺を含む政治勢力に『革命』資金の援助を行っているという。同紙は『宮廷革命をたくらんでいる』と報じた」
R・カディロフ、腐敗人事を発表 [ラジオ・リバティ 4/13]
いったいどこまで腐敗すれば気が済むのでしょうか、この人は。(親ロシア派)チェチェン共和国大統領のR・カディロフが、新たに自分の従兄弟を首相に任命しました。それだけでなく、さらに別の親類を第一副首相にするという計画も進行中。バカ殿ぶりにいっそうの磨きがかかってきたようです。(邦枝)
本日18時すぎ、国民投票法案が衆議院・憲法特別調査委員会で強行採決されました。そこでお願いです。可能な方は、明日の本会議を傍聴していただけないでしょうか。どれほど傍聴者が多くても、国民投票法案が明日にも衆議院で強行採決されるのを止めることはできないかもしれません。けれども、ただその場にいるというそれだけの行為が明確な意思表示になるからこそ、一人でも多くの人が議員を監視している、あるいは見守っていると知らせることには、諦めることよりはるかに多くの意味があるはずです。(邦枝)
国民投票法案:緊急アクション [国会速報 4/11]
与党が明日にも強行採決をしようとしている国民投票法案。かなりまずい状況です。お時間のある方は下記リンクから緊急アクションにご参加を。
ポリトコフスカヤ暗殺事件:捜査にまったく進展なし [Caucasian Knot 4/8]
報道の自由の擁護を謳う国際NGO「国境なき記者団」は、ポリトコフスカヤ暗殺事件に関連して、ロシア当局の捜査が何ら進展をあげていないことを非難し、必要な場合は独自の国際調査を行うと表明した。ロシアでは加害者が罰せられず、法が機能しない状況が続いているとも。
ロシア:世界初の海上原発、10年までに建設 [毎日新聞 4/9]
ロシアが、世界初の水面に浮く原発を10年までに建設し、計7基を極東などで使用する計画を明らかにした。どう考えても不吉な感じがする。ちなみに地震大国日本の原発数は55基。なんだか不安になってきた人はこちらをチェック。
4月5日、欧州人権裁判所が、チェチェン人男性の誘拐と殺害に関して、ロシア政府に65000ユーロ(約1000万円)を支払うよう命じる判決を出しました。判決自体は朗報といってよいと思いますが、賠償金はすべてロシア国民の税金。ロシア政府は、このところ立て続けにチェチェン戦争関連裁判で敗訴しています。しかし反省の色はなし。
昨夜から都知事選の結果に腐っていましたが、気を取り直して、プーチン宛ての葉書とファックスを作ってみました。R・カディロフを野放しにするな、チェチェン戦争を終わらせろ、という内容です。よろしければそのままプリントアウトしてご利用ください。アレンジもご自由にどうぞ。(邦枝)
葉書: http://chechennews.org/dl/20070409post_putin.pdf (65KB)
ファックス: http://chechennews.org/dl/20070409fax_putin.pdf (128KB)
いま、私は心底怒っている。何に? 東京のプーチン・石原慎太郎にである。彼は、日本の状況を映す鏡だからだ。
外国人差別・障害者差別・女性差別・同性愛者差別などの発言を繰り返し、好戦的な石原慎太郎都知事。
私にとって石原を許すことは、チェチェンで大虐殺を遂行してきたプーチン露大統領を許すことと同じである。 [4/6 チェチェン未来日記]
身近な問題こそ語らなければならないという林さんの意見に賛成です。投票直前になって賛成って言うのは、チキンですが。(大富)
[関連]石原慎太郎って何?: http://ch10405.kitaguni.tv/e341916.html
チェチェン史上最悪の人物かもしれないラムザン・カディロフが、ついに正式な(親ロシア派)チェチェン共和国大統領に就任しました。さすがに父親のアフメッド・カディロフ元大統領が対独戦勝記念日のパレード観覧中に爆殺されただけあって、今回の就任式がどこで行われるかということは直前まで機密扱いでした。バカバカしいほど豪華な就任式にかかる費用は(道路整備などの準備も含めて)、1600万ルーブル(約7300万円)が国庫から支出され、5兆8400万ルーブル(約26兆6000万円!!)ともいわれる残りの金額が亡父のカディロフ公的基金によってまかなわれたそうです。私の計算違いだと思いたいのですが…。上の写真は空港で踊るカディロフです。(邦枝)
クルド難民関連ブックレット、『お隣のメルヴェちゃん −クルド人難民家族との出会い−』通信販売のお知らせです。「周香織・ねもとよしみ 二人展『おわりとはじまり』」 に行きそびれてしまったという方はぜひこちらでお求めください。日常と非日常が交差する物語を通じて、クルド難民をめぐる日本の状況と、彼らと向き合う周さんの気持ちがストレートに伝わってくる一冊です。どこか懐かしい感じのする、ねもとさんの挿絵つき。クルド難民ってそもそも何?という方にも読んでいただきたいと思います。
お申込みは shu_books(a)yahoo.co.jp まで((a)を@に置き換えてください)。お名前、発送先、部数をお知らせください。東京都新宿区の模索舎でも販売中です。(邦枝)
くわしく読む
http://homepage3.nifty.com/kds/kds_047.htm
昨年10月に暗殺されたアンナ・ポリトコフスカヤが、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の世界報道自由賞(2007年)を受賞しました。世界報道自由賞は、職務中に暗殺されたコロンビア人ジャーナリスト、Guillermo Cano氏の功績を称えて1997年に設置されたもの。報道の自由のために貢献した個人や組織に贈られる賞で、ユネスコ加盟国政府やNGOなどの推薦を受けた候補者の中から選ばれます。世界報道自由賞が死後のジャーナリストに贈られるのは今回が初めてということです。私たちはこのことを喜ぶべきなのでしょうか。(邦枝)
チェチェン(親ロシア派)内務省調査によると、チェチェンには約1000人のストリートチルドレンがおり、その数は近年に なって増加しているという。子どもに対する虐待容疑で裁判を受けている親は、すでに1000人にも上る。ストリートチル ドレンたちは、ガソリンスタンドで働いたり、物乞いや盗みをしながら生計を立てているが、彼らの多くは幼少時から煙 草やアルコール、ドラッグに依存するようになる。
・・・第二次チェチェン戦争が始まったとき、ルスタムはたった10歳の子どもだった。彼の運命は、虐待される子どもにと っては、まったくありきたりなものだった。両親の離婚、愛情を与えてくれない義母、アル中の父親・・・。彼はもうすぐ17 歳の誕生日を迎える。ルスタムは建設補助員の仕事をして1日に 300ルーブル(約12ドル)ほどを稼いでいる。将来結 婚するときのためだ・・・もう彼には、ストリートチルドレン時代を「人生でいちばん自由だったとき」と笑い飛ばすこともで きる。
「・・・チェルノレチェ(グローズヌイ郊外)の村にもストリートチルドレンは腐るほどいる。彼らは基地や廃墟に住み着いて いるんだ。中には僕が知っている子どもたちもいて、僕は彼らをあそこから連れ出そうとしたことだってある。知り合いの 警官に話をして、彼らを家に帰してもらったんだ。でも、その子はまた家を逃げ出してしまった。今、その子は刑務所に いる。犯罪に手を染めてしまったから。本当に大勢の子どもたちが、そうやって子供時代を終えるんだ。刑務所の中で ね」
リトビネンコ基金設立 犯人検挙へ英ロに圧力 [朝日新聞 4/4]
昨年11月に暗殺されたリトビネンコをしのぶ基金が英国で設立された。「犯人検挙に向けて英、ロシア両政府に一層 の圧力を掛けるほか、事件に関連した被ばくによって健康被害を受けた人々に対する補償も求めていくという」。基金 には英国に亡命中のロシア人政商ベレゾフスキーらが資金援助をしている。
ベレゾフスキー:リトビネンコ事件の黒幕はプーチンだ! [産経新聞 4/1]
3月30日、リトビネンコ暗殺事件で、訪英したロシア最高検察庁捜査員によって、ベレゾフスキーとザカーエフの事情 聴取が行われた。ベレゾフスキーは事情聴取後、ロシアのラジオ局に「私には、なぜプーチン(大統領)がリトビネンコ 氏殺害を指示したかの論拠がある」と語ったという。
露大統領3選へ「観測気球」か、上院議長が改憲提案 [読売新聞 3/31]
3月30日、セルゲイ・ミロノフ上院議長、第二与党「公正ロシア」党首が、大統領任期を5〜7年に延長し、3選を禁じた 現行憲法を「改正」するよう提案した。憲法が「改正」されない場合、プーチンの任期は2008年5月までになるが、次期 大統領最有力候補のメドベージェフ第1副首相もイワノフ第1副首相もプーチンの側近であることから、プーチンが引 退後も「院政」を敷く可能性は高い。
チェチェン:建設現場で事故が急増 [プラハ・ウォッチドッグ 3/27]
チェチェン親ロシア派政権によるグローズヌイ復興政策の裏側で、建設現場での事故によって障害を負ったり負傷し たりする人々が急増している。事故の主な原因は、現場での安全基準が遵守されていないことで、まったくの未経験 者が高所で作業をしたり、高齢の女性や子どもができそこないの足場でビルの屋上の塗装作業をすることが常態化し ているため、落下事故が後を絶たない。
さらに、事故の80%がレンガなどの落下によるものであるにもかかわらず、グローズヌイの建設業者にはヘルメットさえ 与えられていない。グローズヌイ郊外のチェルノレチェでは、拙速な復興工事によって、5階から板が落下して、地上で 作業をしていた8歳の少女が犠牲になった。作業中に火傷を負う人々も多い。現場で事故が急増していることは、当の 作業員に伝えられることもなく、作業員が事故に遭った場合にも、雇用者が補償をする義務はないという。
チェチェン人警察官、FSBに逮捕され行方不明に [プラハ・ウォッチドッグ 3/23]
チェチェン(親ロシア派)内務省に勤務していたハッサン・ハスブラトフが、10年前に女性の誘拐事件に関わった疑い
でFSBに逮捕された後、行方不明になっている。10年前に誘拐された女性は、アフマール・ザガーエフ、ロシア下院
議員の姉。彼女は多額の身代金と引き替えに解放されたが、1年前に亡くなったという。当局が「解決」済み(要するに
実行犯全員を殺害または逮捕した)と発表していた事件で、なぜ今さらハスブラトフが逮捕されなければならなかった
のか、彼は今どこにいるのか、当局は何一つ明らかにしていない。
緊急署名のお願いです。沖縄・辺野古で、住民や地元行政の意向と環境アセスメント法を完全に無視した、政府による新たな米軍基地の建設手続きが進められています。
辺野古では、2004年4月19日から、普天間基地の代替施設建設に反対する住民や市民団体によって、完全非暴力の座り込み阻止運動が続けられています。もしも、私たちの無関心が、ジュゴンの生息する海を略奪し、汚染し、戦争を支える基地に変えてしまうのだとすれば、それはとても悲しいことだと思います。
以下の趣旨に賛同してくださる方は、どうか「沖縄・辺野古基地建設のための事前調査反対」緊急署名にご協力をお願いします。署名の集約期限は3月31日(土)。メール署名の場合は下記の形式で。
Subject: 辺野古基地建設事前調査反対署名
To: hananpojitsu@jca.apc.org
【本文】
「沖縄・辺野古基地建設のための事前調査反対」緊急署名に賛同します。
氏名
住所
最近忙しくてまったくフォローできていない共謀罪ですが、まぐまぐから「共謀罪を廃案に!」という便利なメールマガジンが発行されています。登録はもちろん無料なので、よろしければご購読ください。以下にメルマガの紹介文を引用します。
「政府は犯罪に着手されなくとも、話し合うだけで罪に問える共謀罪を新設しようとしています。このメルマガでは、市民的な自由と人権を侵害する共謀罪に反対し廃案に追い込む運動を拡げることを目的として、必要な基本情報や関係者の発言などを掲載します」
アンナ・ポリトコフスカヤ殺害とチェチェンギャング団の影 [チェチェンプレス 3/23]
アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺事件は、チェチェン親ロシア派大統領のラムザン・カディロフが関与し、FSB(ロシア連邦保安局)-GRU(ロシア陸軍参謀本部諜報局)統制下にあったモヴラディ・バイサーロフ配下のチェチェン人が実行したとする内部告発にもとづく記事。
告発文によると、殺害実施後、証拠隠滅のため、3人の下手人は、カディロフのもとに「報告」のため呼び出された後、行方不明になり、後日死体となって発見されたという。ただし告発文の信憑性については、チェチェンプレス自身も保留をつけている。
露社会、高度成長の歪み 炭鉱爆発、墜落…176人死亡 [産経新聞 3/22]
「炭鉱の爆発、老人ホームの火災、旅客機墜落…。ロシアで20日までの4日間に大事故が相次ぎ、176人もの人命が一挙に失われた。いずれの事故も、社会基盤や人間の生命にかかわる問題を置き去りにしたまま、年6〜7%の高度成長路線をひた走るロシア社会の歪みを露呈」している…。
アンナ・ポリトコフスカヤ追悼アクション [ラジオ・リバティ 3/20]
3月20日、アンナ・ポリトコフスカヤを追悼するために、世界各地で彼女の著作を読むというアクションが行われた。実施国はロシア、カナダ、パレスチナ、スーダンなど。
欧州拷問等防止委員会(CPT)の声明を受けて、アムネスティ・インターナショナルが3月14日に発表した国際ニュースを転送します。CPTがある一国に対して3度も声明を出したのは前代未聞ということなので、ロシア政府の人権感覚は世界に類を見ないほど低レベルだと言ってしまってよいかもしれません。
「2006年1月、グローズヌイのORB-2と呼ばれる拘禁施設で拷問を受けたとされる1人の男性の事件がある。CPTによると、この施設では、被拘禁者たちが『あきらかに恐怖に怯えている』。彼は、そこで電気ショックを受けたり、苦痛を伴う姿勢で手足を後ろへ曲げられたり、こん棒で殴られたり、反政府武装勢力のメンバーだったと告白しなければ『失踪』させると脅されたりしたと、後に弁護士に語っている」
「このような拷問が続いた8日ないし9日後、彼はやむを得ず反武装勢のメンバーに食事と住まいを提供していたと認めることを決めた。尋問中、彼は弁護士との接見は認められなかった。彼が他の拘禁施設に移送され、いわゆる自白を撤回した時、2度もORB-2へ連れ戻され、『自白』を繰り返すためさらに虐待を受けた・・・」
今回のチェチェンニュースでは、林克明さんのチェチェン未来日記から、「私には、自分の思いを人に伝える勇気がある」という記事をお送りします。タイトルにある台詞の発言者は、チェチェン人ジャーナリスト、タイーサ・イサーエヴァ。軍事占領下のチェチェンでは、とてつもなく重みのある言葉だと思います。チェチェンと日本での憲法「改正」についての動きも合わせて紹介します。
また、本日からクルド難民関連の展示会が始まります。ブックレットを始め、切手やバッジなどのグッズも販売しています。神保町界隈までいらした際にはどうぞお気軽にお立ち寄りください。
また状況が変わったので最新情報をお知らせします。与野党の調整の結果、公聴会は明日22日(木)の午前9〜12時と午後2時〜5時に行われることになりました。マスコミでは、28日(水)に地方公聴会が、4月5日(木)に再び中央公聴会が開かれると報道されていますが、実際にこれらの公聴会が開かれるかどうかは、22日の審議次第だそうです。
ちなみに、22日の公聴会で意見を述べる公述人は、すべて政党推薦者で、応募した市民は全員不採用になったのだとか。いま思えばタウンミーティングなどかわいらしいものでした…。とりあえず詳細と公聴会傍聴希望者はこちらをチェック!(邦枝)
[3/21 憲法審議ってば、今どうなってるの? 国会速報 No.11]
22日(木)、国民投票法案の公聴会が開催されます。公聴会とは、法案に対する市民の意見を聞くために行政に義務づけられた公式的な意見聴取の場のことです。与党は、この公聴会を東京で一回、それもたった3時間だけ開催することで、お茶を濁そうとしています。しかも、そこで扱われる議題は、すでに過去のものとなった修正案で、与党が強行に採決しようとしている現行案について意見を述べる機会はありません。どう考えてもナメすぎ。
国民投票法案の問題点は、以前こちらに簡単にまとめてみましたが、最低投票率を定めずに改憲を可能にしているような国はほとんどないそうです。法案を採択する過程で市民の意見を聞くフリさえしないような人たちによって推進されている国民投票法案が、有権者にとってフェアな内容になっているはずがありません。
どうか与党に抗議の電話やFAX、メールを集中させてください。国民投票法案は、29日に衆議院憲法調査特別委員会で強行採決、30日に本会議で強行採決となる可能性が非常に高いです。(邦枝)
●衆議院憲法調査特別委員会 委員長 中山太郎
TEL 03-3508-7246
FAX 03-3580-0066
●衆議院議長 河野洋平
TEL 0465-38-1111
Mail master@yohei-kono.com
親ロシア派チェチェン大統領(マフィアのボス)、ラムザン・カディロフがチェチェン憲法の「改正」を主張しています。カディロフいわく、今の憲法は現実に合っていないのだとか。チェチェンの現行憲法は、2003年3月に行われたあやしげな国民投票の結果、ロシア側によって採択されたもの。とはいえ、そんな経緯で捏造された憲法にも、大統領を選挙で選出することが謳われていました。
過去記事はこちら
チェチェン「大統領選挙」の諸相
今回の「改正」案では、大統領選挙を廃止して、大統領をクレムリンの任命制にすることが盛り込まれています。2004年9月の北オセチア・ベスラン学校占拠事件以降、プーチンはロシア各州の知事を直接選挙制から大統領による任命制にしています。さらに、もともと親ロシア派の大統領がクレムリンの傀儡であることは周知の事実。ということで、この際、憲法を実態に合わせてしまおうというわけです。…なんだかどこかで聞いたことのある話のような?
4月中には国民投票法案が成立し、10月までには憲法「改正」の是非を問う国民投票が実施され、2007年末までには新憲法が発足する見通しです。「改正」案は14条におよび、大統領選挙の廃止のほか、二院制の廃止などが盛り込まれています。(邦枝)
不気味な「公正ロシア」党の存在 [ノーボスチ・ロシア通信 3/13]
11日、ロシアで地方選挙があり、モスクワ州など14の地方自治体で議会選挙の投票が行われた。結果は、ほぼすべての地区で、プーチン政権与党「統一ロシア」が圧勝。だが、その影にある「公正ロシア」という政党の影響力も見逃せない。「公正ロシア」は、「統一ロシア」と同様に、既存の政党を統合する形で2001年に設立された政党で、おそらくそこにはコントロール可能な「野党」を作り上げることで国民を管理しようとするプーチンの意向が働いていた。
しかし、過去の選挙キャンペーンでは、「統一ロシア」と「公正ロシア」の間で暴力の応酬があり、サンクト・ペテルブルグでは、「統一ロシア」の副参謀長が殴打された数日後に「公正ロシア」の参謀長がナイフで刺されるという事件も起こっている。「公正ロシア」はいまだにプーチンのコントロール下にあるのだろうか。それとも…?
フレブニコフ記者の暗殺事件裁判が延期に [Caucasian Knot 3/14]
2004年7月に殺害されたフォーブス誌ロシア版編集長ポール・フレブニコフに関する裁判の再審が延期に。延期の理由は、被告人が行方不明になったためだという…もう何が何やら。
アムネスティ:チェチェンでの拷問停止をロシアに要求 [Caucasian Knot 3/16]
アムネスティ・インターナショナルが、ロシアに対してチェチェンでの拷問の停止を要求する声明文を発表。アムネスティは、ロシア連邦に対して、チェチェンの容疑者や「失踪者」への拷問や非人道的行為を直ちにやめ、そうした犯罪を行った加害者を法的に罰するよう訴えている。
露、エネ輸出多角化 反露国回避の「中継基地」構想 [産経新聞 3/19]
15日、プーチン大統領は、ロシア産原油をバルカン半島経由で欧州向けに輸出する新パイプライン建設について、ギリシャ、ブルガリア両国首脳と最終合意し、露主導の企業連合を発足させる政府間協定を結んだ。
「他方、バルト三国やポーランドは独露の大国間で頭越しに新パイプラインを建設されることになり、既存のパイプラインによってロシアに直接、エネルギー面での命運を握られ続ける」。
クルド難民関連情報です。
昨年7月に皆さんに署名をお願いしたクルド難民のデニズ・ドーガンさんが、最高裁で敗訴してしまい、再び収容・強制送還されてしまう危険にさらされています。デニズさんは、日本人の女性と結婚し、日本での在留特別許可を求めています。デニズさんたちが安心して日本で暮らせるよう、どうか署名を広げてください。
もうひとつは展示会のお知らせです。3月22日(木)から4月1日(日)まで、東京・神保町で、「周香織・ねもとよしみ 二人展『おわりとはじまり』」が開催されます。会場ではブックレット『お隣のメルヴェちゃん クルド人難民家族との出会い』も販売します。ぜひお誘い合わせの上お越しください。
本日、与党が国民投票法案の採決に必要な公聴会を中央で一度だけ開催することを決定しました。公聴会は、22日に東京で3時間だけ行われるとのこと。このまま行くと、29日に衆議院憲法調査特別委員会で強行採決され、30日に本会議で強行採決される可能性が高いです。
この流れを止めるために、どうか国民投票法案に反対する意思表示をしてください。以下に関係者にメールを一斉送信できるフォームを紹介します。憲法調査特別委員会の議員の電話・FAX番号もダウンロードできます。
先日は、採決に必要な地方公聴会を開催しようとした中山委員長のところに、厚さ15センチほどの国民投票法案成立反対のファックスが積もって、公聴会はいったん流れたそうです。次の目標は1メートルです。(邦枝)
11日、ロシアで地方選挙があり、モスクワ州など14の地方自治体で議会選挙の投票が行われました。結果は、プーチン政権与党「統一ロシア」の圧勝で、「今年末の下院選と来年春の大統領選を控え、プーチン大統領の政権基盤が一段と盤石となった形」。プーチン翼賛体制が、これでますます露骨になってきたと思います。
「ロシア地方選で与党圧勝=プーチン政権、一段と盤石に」
[時事通信 3/12]
きょう、3月8日は、チェチェン共和国のアスラン・マスハードフ大統領(独立派)が、ロシア軍特殊部隊によって暗殺された日です。ついさきほど、知人からのメールをもらって思い出しました。
私は彼と会ったことはないのですが、彼が、チェチェンとロシアの平和のための、残された希望だったとは言えると思います。チェチェンの人々に民主的に選挙され、ロシアとの和平交渉を常に訴えてきたにも関わらず、(いや、だからこそ?)ロシア軍に殺されたこの人物のことを、忘れたくないと思っています。
紛争当事者の片方であるマスハードフ氏に対して、過剰な思い入れや、英雄化につながるようなことを書くべきではないのかもしれません。
それもたぶん間違っていないのですが・・・ロシア軍の侵攻下で、わずかな部下とともに地下活動を続け、文字通り地下で殺害された彼の晩年を思うと、この戦争の非対称性と言ったらいいのでしょうか、どうしてもやるせない思いになります。
チェチェン人は、自分たちの手で同族の遺体を葬ることをとても大切にしていて、そうしなければ天国に行けないと信じているそうです。けれども、まだマスハードフの遺体は返還されていません。そのことが遺族に与える苦しみ、そして、他にも大勢の市民がロシア軍や親ロシア派に拉致され、帰ってきていない苦しみが、今日もチェチェンに積もり、静かに重みを増していることでしょう。
マスハードフの最大の功績は、96年に結ばれたハサブユルト協定と、97年に結ばれたロシア・チェチェン平和条約だと思います。現在でも、読む意味のある文書だと思います。下に貼り付けますので、一度目を通していただければ幸いです。(大富亮)
ロシア人ジャーナリストが、またしても不審死を遂げました。死亡したのは、日刊紙コメルサントの軍事評論家だったイワン・サフロノフ氏。モスクワ市内の自宅アパートの最上階から落下して死亡したため、当初は自殺の可能性が高いと言われていました。
しかし、コメルサント紙は6日、ロシアがミサイルや戦闘機をベラルーシ経由でシリアやイランに輸出しようとしているとの記事を出稿する直前にサフロノフ氏が死亡したこと、さらに同氏がロシアの武器輸出の極秘情報を記事にしないよう脅迫されていた事実を挙げ、「殺害された可能性が高い」と報じました。
欧米諸国からは、「ロシアでは反政権的なジャーナリストがあまりに多く死亡している。ロシアは説明する義務がある」などと、相次いで懸念が表明されています。
「露、記者また不審死 違法輸出追及 機密保護で暗殺?」
[産経新聞 3/7]
3月5日、チェチェンの首都グローズヌイで、チェチェン人の徴兵に反対するデモが行われた。参加者は30名ほど。デモに参加した母親のほとんどは、徴兵そのものには反対していないが、息子がチェチェン以外のロシアの地域に派遣されることに反発しているという。
"Rally held in Grozny against sending of Chechen conscripts to Russian regions"
[プラハ・ウォッチドッグ 3/5]
サンクトペテルブルクで3日、数千人規模の反政府デモが行われた。警官隊が大挙出動し、100人以上が逮捕されている。デモを主導したのはチェスの元世界チャンピオン、ガリー・カスパロフ氏のほか、プーチン大統領とたもとを分かったミハイル・カシヤノフ前首相など。「大統領は民主主義を踏みにじっている」と訴えた。[NNA 3/6]気になります。
3月1日、プーチン大統領が、チェチェン親ロシア派政権のボス、ラムザン・カディロフをチェチェン共和国大統領に指名しました。2日には、チェチェン共和国議会が、カディロフを大統領として承認。一ヶ月以内に就任式が行われ、カディロフが名実ともに親ロシア派政権のNo.1になります。
同日2日、欧州会議のハマーベルク人権問題担当委員は、モスクワでの記者会見で、チェチェン共和国で蔓延している治安機関による拷問と、誘拐などによる市民の失踪を批判しました。こうした拷問と誘拐の多くに関わっているのが、「カディロフツィ」と呼ばれる親衛隊(マフィア集団)を率いるラムザン・カディロフ。
彼がチェチェンで権力をもてあそんでいる限り、そして、クレムリンが彼のような人物に権力を与え続けている限り、チェチェン戦争に終わりはないと思います。(邦枝)
「チェチェン新大統領に親露武闘派」[産経新聞 3/4]
人物情報: http://chechennews.org/basic/biograph.htm#rKadyrov
R・カディロフ、グローズヌイ市長を解任 [ラジオ・リバティ 3/7]
3月7日、チェチェン親ロシア派大統領、ラムザン・カディロフは、チェチェンの首都、グローズヌイの市長を解任した。カディロフいわく、グローズヌイには「新しいアイディアとアプローチが必要だ」とのこと。ちなみに、前市長は、カディロフへの権力の集中や、彼がカルトの教祖じみていること、人権侵害を続けていることなどを批判していた。
米国務省、チェチェンでの人権侵害を批判 [ラジオ・リバティ 3/6]
3月6日、米国務省は2006年の世界の人権状況に関する報告書を発表した。報告書は、チェチェンおよびロシアの北コーカサス地方で「重大な人権侵害」が続いているとして、ロシア軍および(親ロシア派)チェチェン軍による市民の殺害および虐待を批判している。プーチン大統領への権力の集中や、法執行当局の腐敗、司法に対する圧力、NGOおよびメディアに対する規制などが、ロシア政府の説明責任の後退に拍車をかけているとも。
露ガスプロム 拡張主義、南米に 異業種買収も エネルギー独占へ [フジサンケイ ビジネスアイ 2/28]
世界最大級のロシア国営天然ガス独占企業体、ガスプロムが、外国のエネルギー各種事業にも積極的に参画し、買収する動きをみせている。自国企業の株式をハゲタカファンド(外資)が買い占めることは許さないけれど、ガスプロムを通じてロシアが世界の資源エネルギーの産出から運搬、供給までを牛耳って、価格を操作するのはOKということらしい。
アゼルバイジャンでチェチェン難民デモ [ラジオ・リバティ 2/28]
アゼルバイジャンの首都バクーで、数十人のチェチェン難民が、国際法上の難民としての権利を要求するデモを行った。要求は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に対するもので、要求が認められない場合には、第三国への出国を支援するよう訴えた。UNHCRによると、アゼルバイジャンに在住するチェチェン人は現在約2600人。
2月24日(土)夜、東京・春日で、国際チェチェンデー集会 「相次ぐ暗殺事件とチェチェンの今」を開催しました。比較的小さな会場だったのですが、40人ほどの方が参加され、昨年11月に暗殺されたFSBの元大佐、リトビネンコへの生前のインタビュー映像や、ジャーナリストの方々のパネルディスカッション、活発な質疑応答がありました。簡単ですが報告します。
国際チェチェンデー集会 「相次ぐ暗殺事件とチェチェンの今」を、いよいよ明日開催します。参加費は500円。決して損はさせません(たぶん)。常連の方も初めての方も、どうぞお気軽にご参加ください。
会場で販売するチェチェン関連書籍の売上の2割は、チェチェン支援活動の資金となります。まだ入手されていない本がありましたら、ぜひこの機会にお買い上げください。
以下に情報を追加しました。
18日夜、サンクトペテルブルク中心部のハンバーガー店マクドナルドで爆発が起き、計6人が負傷しました。治安当局は爆弾テロの可能性もあるとみて調査中とのことです。各紙は、負傷者の中に日本人がいないこと、2002年10月に起こったチェチェン人によるとされる類似のテロ事件を報じています。これってどうなの?
http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2007021901000078.html
渋谷のユーロスペースで、「チョムスキーとメディア−マニュファクチュアリング・コンセント−」を観てきました。超おすすめです。マスメディアは「両論併記」を言うけれど、問題そのものが報道されない場合、私たちはどうしたらいいのか?
アメリカのメディアで洪水のように報道されたカンボジアでのクメール・ルージュの大虐殺と、近い時期に起こったにもかかわらずほとんど報道されなかった東ティモールでのインドネシア国軍による大虐殺。
「私たちの敵による虐殺」、「私たちに関係ない虐殺」、「私たち自身による虐殺」の3つの類型によって、報道の量や質がまったく違ってくる、特に報道されないのは「私たち自身による虐殺」なのだという指摘に激しく同意。チェチェンはこれのどれに属するのだろう?マスメディアの重要な機能は「無視」らしいです。
この映画の映像の比喩に刺激され、そして、チョムスキーが示唆する新しい生き方の希望を見つけるために、今週は渋谷にGO! [富]
ロンドンに亡命しているチェチェン独立派のアフメド・ザカーエフ副首相は、今回のR.カディロフ大統領代行の任命について、「おおむねわれわれは良いことだと考えている」と発言した。理由は「もともとカディロフは独立派だったから、こちらの要求に対してシンパシーをもつかもしれないじゃないか」というもの。[RFE/RL 2/16]意外な感じがする。果たしてそうなるか?
http://rferl.org/featuresarticle/2007/02/596B85D7-3A42-4185-B439-EBB0A1AB57F0.html
チェチェン最悪の人物といっても過言ではない、ロシア連邦英雄章受賞者のラムザン・カディロフ(右)が、チェチェン親ロシア派政府の大統領代行に指名されました。現在のアルハノフ大統領は、ロシア連邦司法省の副大臣になるとのこと。
「カディロフツィ」と呼ばれるマフィア集団を率いるカディロフが大統領になるのは時間の問題で、チェチェンの混迷はまだ続きそうです。 [富]
「チェチェン、大統領代行にカディロフ氏」[2/15 日経]
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20070216AT2M1600716022007.html
人物情報: http://chechennews.org/basic/biograph.htm#rKadyrov
最近のロシア・チェチェン関連ニュースをいくつかお届けします。
露特務機関に「暗殺部隊」元スパイ怪死も関与か 改革派新聞報道 [産経 1/13]
12日のノーバヤ・ガゼータは、FSB、GRUなどの各特務機関が作成した、犯罪組織対策の軍事実働部隊設置に関する内部の指示書を入手したと報道。この秘密組織がポリトコフスカヤやリトビネンコの暗殺に関わっている疑いがあるという。しかもこうした事件に対する捜査は、ある段階で必ず上層部からの介入があり、事件解明がつぶされている。
ロシアはやっぱり怖いのか?見えない部分が見えてくる6冊 [日経ビジネスアソシエ 2/6]
気鋭の女性ジャーナリストが凶弾に倒れ、元KGB職員が暗殺される−。ソ連時代の「怖い」イメージが再び蘇るロシアだが、怖いと思っているだけではその姿は見えてこない。かの国の今現代を鋭く描いた作品を紹介。アレクシエーヴィチ著「死に魅入られた人びと」、ポリトコフスカヤ著「プーチニズム」、塩原俊彦著「ロシア経済の真実」、宮澤俊一著「ロシアを友に」など。評者は三浦みどり氏。
消費者運動の野村かつ子さんら ノーベル平和賞に1000人の女性推薦 写真や著書、活動紹介 [京都新聞 1/16]
平和や人権尊重のために活動している女性達の象徴として千人を選び、ノーベル平和賞に推薦する国際運動を紹介する「平和をつむぐ1000人の女性展」が1月に京都で開かれた。チェチェン問題を中心にロシア政府の方針を厳しく批判する報道を展開し、暗殺されたジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤさんの写真も展示された。
ロシア 戦略産業に外資規制 資源ナショナリズム強める [フジサンケイ ビジネスアイ 2/2]
1月31日、ロシア政府が、防衛やエネルギーなどの戦略産業に対する外国企業の出資を規制する法案を閣議で基本承認。法案は、国家安全保障にかかわる防衛や原子力、航空機、金属など約40の戦略分野の企業の株式を外資が過半数取得しようとした場合、政府にそれを阻止する権限を認めるもの。
ベレゾフスキー氏ら引き渡せ=毒殺事件捜査協力で英に要求−ロシア [時事通信 2/9]
リトビネンコ暗殺事件に関して、ロシア政府は、捜査協力の見返りとして、英国政府に対してベレゾフスキーとザカーエフの身柄引き渡しを要求。英国政府は今のところ要求を拒否している。
米の政策を厳しく批判=「一方的に力で解決」−ロシア大統領 [時事通信 2/11]
2月10日、プーチン大統領は、ドイツで開催中の安全保障会議で演説し、米国の政策について「問題を一方的に軍事力で解決しようとしている」とした上で、「その考えをあらゆる領域で押し通している」と厳しく批判した。…って、君もでしょ?
欧州評議会議員総会、チェチェン問題を議題に [Caucasian Knot 2/12]
欧州評議会議員総会(PACE)が、パリで開催される会議でチェチェン問題を取り上げると表明。欧州評議会にはロシアも1996年から加盟している。
EU、北コーカサスへの支援を開始 [ラジオ・リバティ 2/13]
EUが北コーカサスへの復興開発計画(予算:2600万ドル)を開始した。復興開発計画は、チェチェンとイングーシ、北オセチアを支援対象として、保健システムや教育、雇用促進を目的として、ユニセフや世界保健機関(WHO)と共同で実施される。
ブダーノフ事件、再び? [Caucasian Knot 2/13]
チェチェンの住民を殺害した容疑に問われている治安機関のフドゥヤコフとアラクチェエフに対する裁判が、北コーカサス管区軍事裁判所で再開された。事件を調査した最高裁判所軍事部は、二人を有罪にする明確な証拠はないとしている。アラクチェエフの今後の担当弁護士は、ブダーノフ事件でブダーノフを擁護したアレクセイ・ドゥリモフになる模様。
ベスラン学校占拠事件:揉み消される真実 [Caucasian Knot 2/13]
北オセチア議会は、ベスラン独立調査委員会のユーリ・サヴェルエフの証人喚問を求めていた被害者たちの要請を拒み、あくまでロシア議会のベスラン事件調査委員会の報告書を優先的に検討することを決定した。ロシア議会のベスラン事件調査委員会は、概ねロシア政府の公式見解に沿う報告書を出している。
チェチェンを語るとき、決して忘れてはならない日付があります。1944年2月23日、ナチス・ドイツに協力したとの疑いをかけられて、当時50万人のチェチェン人が、ほとんど一夜のうちに民族まるごと貨車に詰め込まれて、カザフスタンに強制移住をさせられました。スターリンによるこの強制移住によって、チェチェン民族の40%、多くて60%が寒さと飢えで死亡したと言われています。
チェチェン民族の歴史的悲劇を記憶し、今もチェチェンで続く人権侵害を止めるために、毎年2月23日前後には、世界各地でチェチェン関連のイベントが実施されます。東京でも2月24日に、国際チェチェンデー集会 「相次ぐ暗殺事件とチェチェンの今」を開催します。ぜひご参加ください。
本日、BSきょうの世界で「リトビネンコ事件・英ロ捜査当局の葛藤」が放映されます。よろしければご覧ください。放送は午後10時15分から。感想もこちらから送れます。
http://www.nhk.or.jp/kyounosekai/
以下、番組紹介より。
「ロンドンでリトビネンコ氏が変死した事件で、英の捜査当局はロシアの治安機関の元同僚ルゴボイ氏を主犯と特定する見込みだ。一方で独自の捜査を始めているロシア当局の見方は異なっている。まだ多く残る謎の解明や、捜査の行方、英ロの外交関係への影響について、ロンドンとモスクワとの2元中継で伝える・・・」
ロシア国会で、国際非営利団体への公務員(軍人や検察庁/保安評議会職員、判事、議員などを含む)の参加を禁止する法律が成立した。法律が施行されれば、国会議員がアムネスティの会員になることも違法ということになってしまうが・・・?
http://eng.kavkaz.memo.ru/newstext/engnews/id/1176056.html
チェチェン共和国以外のロシア連邦で暮らしているチェチェン人は現在どのような状況に置かれているのでしょうか?チェチェン共和国以外の出身でチェチェンにいた期間もごく短いチェチェン人が、チェチェンで拷問を受け、欧州人権裁判所に訴え出て勝訴寸前まで行ったところでシベリア当局に不当逮捕されてしまった事件を紹介します。記事の書き手はアンナ・ポリトコフスカヤ。
「英語教師であるアダム・チターエフは、兄とともに欧州人権裁判所に訴えを起こしたために、ウスチ・イリムスクで逮捕された」
「ロシアの全国テレビ放送を見ている人なら誰でもこのことについては見聞きしているだろう。元戦闘員のアダム・チターエフ—ロシア連邦のお尋ね者の一人であり、ロシアの軍人と国際団体の職員を誘拐したと自白している人物—が、イルクーツク州のウスチ・イリムスク市で逮捕されたこと、そして彼がそこで長いこと英語教師として周囲を欺き続けてきたとされることについて・・・」
つづきを読む
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20070206/1170771139#seemore
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20070207
1日、プーチン大統領は、国民と内外記者団に向けて、クレムリンで3時間30分の年次演説を行いました。以下に主な内容を紹介します。
アムネスティ・インターナショナルは、1月23日、ロシア連邦最高裁判所が当局によるロシア・チェチェン友好協会(RCFS)の閉鎖を支持したことを受けて、「最高裁判決が市民社会の言論を統制」とする国際ニュースを発表しました。
「アムネスティ・インターナショナルは、本日、ロシア連邦最高裁判所がロシア・チェチェン友好協会(RCFS)への閉鎖命令に異議を申し立てた上告を棄却したことに対し、深い遺憾の意を表明する。」
「『本日の判決は、二重の意味で衝撃である。すなわち、一つは表現の自由にとっての衝撃であり、もう一つは市民社会にとっての衝撃である』・・・『ロシア・チェチェン友好協会に対するこの判決は、指示に従わない他のNGOも同じ運命をたどるという冷水を浴びせるものである。ロシア当局には、人権活動家が、妨害を受けることなく活動できる環境を保障する義務がある。』」
英捜査当局がついにリトビネンコ事件の実行犯を特定しました。公式発表はまだですが、英メディアによると、リトビネンコ暗殺の実行犯とされたのは、元KGB将校、アンドレイ・ルゴボイ氏。暗殺に使われた放射性物質ポロニウムの痕跡や、空港の監視カメラによる映像などの状況証拠も、ルゴボイ氏の直接的な関与を裏づけており、米ABCテレビは27日、英当局が「ロシア国家による暗殺」との結論に達したと報道しました。
ちなみに、30日にはロシアの特殊部隊が射撃訓練の標的にリトビネンコの写真を使っていたという事実まで発覚し、ロシア政府がルゴボイ氏を背後で操っていたという疑惑がさらに強まっています。英紙タイムズが入手した映像には、リトビネンコの写真があっという間に穴だらけになる様子が映っているとのこと。
http://www.timesonline.co.uk/article/0,,13509-2573572,00.html
一方、ロシア検察庁は、ルゴボイ氏の身柄引き渡しを求める英政府に対して、「憲法は自国民の引き渡しを禁じており、応じることはありえない」と一蹴。犯行の狙いが、ロシアの国家犯罪と見せかけることでプーチン政権に打撃を与えることにあったと断定し、英国に亡命中のボリス・ベレゾフスキー氏やアフメッド・ザカーエフ氏らが「事件の黒幕」であるとして、逆に英国政府に対して彼らの送還を求めています(一方、ロシアでは政府が「テロリスト」と認めた人物については海外で殺害してもかまわないとする「反テロ法」という法律があったりします)。
米国に亡命した元KGB対外防諜局長のカルーギン氏は、「リトビネンコ氏は特殊機関の裏切り者として殺された。この暗殺の内幕を明かすことも裏切りとなる。ロシアで真相が解明されることはない」と語っています。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20070129/mng_____kakushin000.shtml
最近のロシア・チェチェン関連ニュースをいくつかお届けします。
チェチェン:改善されない人権状況 [Caucasian Knot 1/29]
モスクワ情報分析センター「デモズ」は、「拷問や誘拐、殺害といったあらゆる人権侵害がチェチェンで続いている」とする報告書を発表した。センターのタチアナ・ロクシナ代表は、チェチェンが正常化しつつあるというクレムリンのプロパガンダに対して、チェチェンで「正常化されたものなど何もない(意訳ですけど)」と述べている。1月27日には、イングーシの一時居住センターにいたチェチェン人女性が何者かに誘拐される事件も起こっている。
http://eng.kavkaz.memo.ru/newstext/engnews/id/1174549.html
カディロフ、チェチェン大統領候補から脱落? [Caucasian Knot 1/26]
1月20日、チェチェンの次期大統領候補を選ぶための会議がクレムリンで招集された。最有力候補に挙げられたのは、ラムザン・カディロフ首相ではなく、現厚生労働相のマゴメッド・ヴァハーエフ。クレムリンに捨てられる形になったカディロフは、マスコミに対して「自分が次の大統領になるなどという勝手な噂はもう聞き飽きた」と苛立ちをぶちまけている。ちなみに、チェチェン共和国の大統領は、建前上はチェチェンの有権者が投票して選ばれることになっている。
ロシア軍による掃討作戦の被害者、敗訴 [Caucasian Knot 1/26]
1月26日、モスクワのプレスネンスキー裁判所は、ロシア軍による掃討作戦の被害者がロシア国防省に賠償を求めて起こしていた裁判で、被害者側の訴えを棄却する判決を下した。国防省に賠償請求を求めているのは、2005年6月4日に掃討作戦の犠牲となったボロズディノフスカヤ村の住人ら42名。裁判は住民がそれぞれ個別に起こしており、今回の判決は最初のケースとなる。ロシア軍による掃討作戦では、住民らの家が焼き払われ、2名が殺され、さらに11名が行方不明になっている。
チェチェンプレス記者に対する刑事裁判が開始 [Caucasian Knot 1/25]
チェチェン独立派の報道機関「チェチェンプレス」のアンドレイ・ノヴィコフ記者に対する刑事裁判が開始された。当局によると、ノヴィコフ記者の容疑は、ロシア刑事法280条に抵触して、「過激派」に対して二通のメールを送ったこと。ノヴィコフ記者は、去年の12月5日に逮捕されたが、拘留中に繰り返された執拗な尋問の影響で、少なくとも6ヵ月にわたって精神病院で治療を受ける必要が生じているという。
イングーシ:ポリトコフスカヤ追悼集会への当局の介入を正当化 [Caucasian Knot 1/25]
チェチェンの隣国イングーシ共和国のナズラン地方裁判所は、昨年10月16日に開かれたアンナ・ポリトコフスカヤ追悼集会に警察が介入し、暴力によって参加者を解散させた事件について、主催団体の訴えを退けて、当局の行為を正当化する判決を出した。主催団体は判決を不服として、イングーシ最高裁に上告する構え。
23日、ロシア連邦最高裁が、当局によるロシア・チェチェン友好協会の閉鎖を支持する判決を下しました。ロシア・チェチェン友好協会は、チェチェン戦争の平和的解決を社会に訴えてきたロシアの国内NGO。今回の最高裁の判断にはロシア国内外の人権団体から批判の声が上がっており、市民によるFSB前抗議集会まで開かれました。ロシア・チェチェン友好協会の代表、スタニスラフ・ドミトリエフスキーは、欧州人権裁判所に提訴する意向を示し、すぐには判決が出ないとしても活動を再開するために緊急の措置を取ると述べています。
http://www.watchdog.cz/?show=000000-000008-000004-000095&lang=1
「ロシア・チェチェン友好協会潰される!」の過去記事はこちら。
http://chechennews.org/chn/0623.htm#061017
最近のロシアとチェチェンのニュース。
石油供給安定へ議論 独露首脳 [産経新聞 1/22]
プーチン大統領とドイツのメルケル首相が石油供給問題について協議。ドイツは石油の20%をロシアに依存しており、今月初めにロシアとベラルーシとの対立で石油供給が停止した問題について、「将来は(こうした事態を)避けるべきだ」と強く主張した。
露大統領、武器輸出権限を集約 [産経新聞 1/22]
プーチン大統領が兵器の輸出権限を国営武器輸出公社ロスオボロンエクスポルトに限定する大統領令に署名。「ロスオボロンエクスポルトはロシア製兵器輸出の約90%を占めており、同社への取引権限集約で、兵器輸出を政権の意向に沿ったものとする狙いとみられる」
ベレゾフスキー、ロシア検察庁の取り調べに条件つきで同意 [Caucasian Knot 1/20]
リトビネンコ事件に関して、ベレゾフスキーがロシア検察庁の取り調べに条件つきで同意することを表明。取り調べの条件は、ロシアの検察官が武器や毒を所持していないことを確認することだという・・・。
ベスラン学校占拠事件の真実を明らかに! [Caucasian Knot 1/19]
ベスラン学校占拠事件の被害者たちが、捜査当局に対してベスラン独立調査委員会による報告書を受け入れるよう要求した。ロシアの上下院議員によって設置されたベスラン独立調査委員会の特別報告書「ベスラン:人質たちの真実」には、最初の攻撃がゲリラ側からではなくロシア諜報部からのものであったこと、最終的に330名以上にのぼった人質の死の責任がロシア治安部隊にあることなどがまとめられている。
700ページにおよぶ特別報告書は、人質の証言、写真、映像にもとづいたものだが、ロシア議会のベスラン事件調査委員会のトルーシン委員長は、独立調査委員会の調査を「事実の意図的な捏造」と批判。しかし、政府の公式見解を代弁するトルーシン委員長でさえ、「ベスラン事件にはロシア軍上層部の一部将官が関与していた。すでにうち2名は逮捕されている」と述べている。
http://chechennews.org/log2006b.htm#061222
英国がザカーエフのロシアへの引渡しを拒否 [Caucasian Knot 1/19]
イングランド・ウェールズの検察局は、リトビネンコ事件をめぐって、ロシア検察当局によるボリス・ベレゾフスキーとアフメッド・ザカーエフの引き渡し要求を拒否。とりあえずは朗報。
フレブニコフ記者殺害事件の再審が開始 [Caucasian Knot 1/18]
2004年7月に殺害されたフォーブス誌ロシア版編集長ポール・フレブニコフの再審が30日以内に開始されることに。事件の容疑者として拘束されていた3名(うち2名はチェチェン人)は全員無罪となって5月に釈放されている。
モスクワ劇場占拠事件:もみ消される証言者たち [Caucasian Knot 1/18]
1月18日、モスクワの独立プレスセンターで、「大統領選挙まで1年:テロの被害者に真実を」という会議が開催された。会議には2002年10月のモスクワ劇場占拠事件の被害者も参加し、当局の対応を批判した。モスクワ劇場占拠事件に関する当局の捜査チームは解散され、被害者に対する説明責任は何ら果たされていない。それどころか、モスクワ市の検察庁捜査当局は、被害者に対して事件を口外しないよう強要しているという。
クレムリン、暗殺事件について被害者ぶりをアピール [Caucasian Knot 1/18]
プーチンのアドバイザーであるイゴール・シュヴァロフは、ポリトコフスカヤとリトビネンコの暗殺事件の関連性を認め、両者がロシアを「挑発」して大統領を個人的に攻撃するために仕組まれたものだと述べた。
以下シュヴァロフの言い分。わりと絶句。
「彼らが殺害されたことでクレムリンはもっとも不利益をこうむっている。彼らが死んだことはまったくいい迷惑だ。とはいえ人道的な観点からは彼らに対してお気の毒だと思う」
「不幸なことにジャーナリストとはよく死ぬものだ。他の国でだって死んでいる。それなのに、どうしたわけか他の事件では誰も政府のことを責めたりはしない。一方、ロシアでは何か事件が起こるとすぐにプーチンのせいだということになる」
チェチェン人権侵害のロシア警察官、量刑見直しへ [Caucasian Knot 1/17]
2005年3月に、26歳のゼリムハン・ムルダロフがグロズヌイで2001年1月2日に拘禁され、「失踪」し、拷問された事件に関与したとして、11年の禁固刑を受けたロシア連邦ハンティ・マンシースク地域の特殊警察(OMON)の警官セルゲイ・ラピンに対して、量刑の見直しが行われることになった。
セルゲイ・ラピンに対する過去の判決と事件の解説はこちら。
http://www.incl.ne.jp/ktrs/aijapan/2005/0503311.htm
アムネスティは、ラピンを有罪とみなす証拠は明らかであるとして、今回の措置を厳しく批判している。
http://eng.kavkaz.memo.ru/newstext/engnews/id/1172896.html
おかげ様で、小著「チェチェンで何が起こっているのか」、ふたたび増刷して四刷となりました。買ってくださった皆さまに感謝します。まだお持ちでない方は、どうぞお買い求め下さい。また、アンドレイ・バビーツキ講演録も好評販売中です。こちらもどうぞ。
欧州人権裁判所が、ロシア軍による人権侵害についてまたもやロシアに賠償命令を下しました。原告は2人のチェチェン人兄弟で、6ヵ月にわたって、瓶やこん棒で殴打されたり、窒息死しそうになるまで口をテープやガスマスクで塞がれたり、犬をけしかけられたり、肌をペンチで焼かれたりといった拷問を受けました。2人は、自分たちが生き延びることができたのは、アンナ・ポリトコフスカヤによる記事と人権団体メモリアルの助力があったからだと語っています。
これまでも欧州人権裁判所ではロシア軍によるチェチェン人の失踪や殺害に関して幾度も賠償命令が下されてきましたが、チェチェン人に対する拷問によって賠償命令が下された例は今回が初めてとのことです。
http://rferl.org/featuresarticle/2007/01/5CD2A296-7EF4-4181-BF1A-63F369BDE2F4.html
ここ一週間のニュースより。
ロシア産原油供給を再開 ベラルーシ経由で欧州へ フジサンケイ ビジネスアイ 1/12
ベラルーシ経由で欧州に送られるロシア産原油の供給が再開。年末から続いていた原油価格問題でベラルーシがロシアに譲歩した形だが、欧州委員会のバローゾ委員長は「容認しがたい」とロシア側を非難、エネルギー供給国としてのロシアに対する危機感を表明した。
<露中佐毒殺>最高検が亡命政商ら捜査の方針示す 毎日新聞 1/16
リトビネンコ暗殺事件に関して、プーチンの腹心チャイカ検事総長が、近くロンドンに検察官を派遣し、ボリス・ベレゾフスキーとアフメッド・ザカーエフから事情聴取する方針を明らかにした。またイスラエルに亡命中の元ロシア石油大手ユコス幹部のレオニード・ネブズリンも捜査する方針という。ロシア検察庁が事件の容疑者としているのは、なぜかプーチン政権に反対する人物ばかり。一方、英国警察当局が最重要容疑者としているのは、元情報機関員のアンドレイ・ルゴボイとその実業家仲間のドミトリー・コフトン。
ノーベル平和賞に1000人の女性推薦 写真や著書、活動を紹介 京都新聞 1/16
平和や人権尊重のために活動している女性1000人を選び、ノーベル平和賞に推薦する国際運動を紹介する「平和をつむぐ1000人の女性展」が20日から京都市で開催される。暗殺されたアンナ・ポリトコフスカヤ記者の写真や著書の紹介も。
ロシアでテロの脅威に関する注意喚起 時事ドットコム 1/17
外務省がロシア渡航者に向けてテロに関する注意を呼びかけている。「1月16日、ロシア連邦反テロ国家委員会は、地上及び地下の交通機関を対象とするテロが発生する可能性を示唆する情報を入手した旨発表しました・・・テロの標的となる可能性がある政府関連施設、大型商業施設、遊興施設、劇場等の場所にはできる限り近づかない、地下鉄、鉄道等の公共交通機関の利用を差し控える、多数の人が集まる場所では周囲の状況に警戒するなど、安全確保に十分注意を払ってください」
露、負の歴史は闇に 過去の栄光を美化 反体制作家シャラーモフ氏没後25年 産経新聞 1/18
「スターリン独裁体制下で行われたラーゲリ(強制収容所)の恐怖をソ連国内で発表したロシアの代表的な反体制作家ワルラム・シャラーモフ氏の死から17日で25年。ロシアではいま、ソ連による過去の『犯罪』を省みようとする空気はない。逆に、『過去の栄光』を美化するロシアのプーチン政権はソ連愛国主義への傾倒を強めており、『ソ連時代の闇』は封印されつつある・・・」
ハリウッドの俳優ジョニー・デップが、リトビネンコ事件を題材にした映画をプロデュースすることになった。ニューヨーク・タイムズの記者が執筆した本を映画化するということだが、この本だと犯人は誰になっているのだろう?
http://news.livedoor.com/article/detail/2977177/
1月11日、プーチン大統領は、欧州人権裁判所がロシアに「政治的な」決定を押しつけているとして、チェチェンでのロシア軍による人権侵害を批判している欧州人権裁判所に露骨な不快感を示した。欧州人権裁判所は、個人や団体、国家が、欧州評議会の加盟国による人権侵害を訴えることのできる人権救済機関で、加盟国は判決を履行する義務がある。過去にロシアがチェチェン人の失踪や殺害に関して欧州人権裁判所から違法判決と賠償命令を受けた事例はこちら(一部)。
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20060729
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20061015
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20061113
プーチン大統領は、ロシアを訪問中の欧州評議会議員総会(PACE)議長に向かって、「ロシアはまったくいわれのない糾弾を受けており、国際司法システムの信用を貶める政治的な判決が下されている」などと言いたい放題のことを言っている。
http://rferl.org/featuresarticle/2007/01/9D15A5CC-496D-489C-A68A-2883FFB58FB8.html
N社のTさんから届いたロシア関連記事スクラップより・・・
政府高官の秘密接触? 元スパイ殺害から1ヶ月 朝日新聞 2006/12/28
ロシアのメディアは一貫して「ベレゾフスキー黒幕説」を流しているが、ノーヴァヤ・ガゼータ紙のラティニナ評論員はこう書いている。「ポロニウムでの苦痛の死は反体制派への警告となる。高価な放射性物質を使った殺害は国家の後ろ盾が必要」と。さらに政治学者のオレシキン氏は、選挙で政権エリート層が交代して力を失うことを恐れるグループが、憲法で禁止されたプーチン大統領の3選を実現するため、暗殺などの事件を起こしていると指摘する。このグループはパトルーシェフFSB長官や、セーチン大統領府副長官など。
ロシア、暗殺批判を逆利用、国民の反欧米感情あおる 日経新聞 2006/12/27
リトビネンコ暗殺、ポリトコフスカヤ暗殺、「サハリン2」権益取り上げ。西側のロシアに対する不信感に火がついているが、こうした報道に対してロシアのラブロフ外相は、「2−3日で忘れられるような事件をしつこく報道するのは大国として復興するロシアをおとしめようとする国の意図がある」と言ってのけた。駐露の米国、英国の大使らはプーチン政権の組織した青年団「ナーシ」の嫌がらせを受けている。リトビネンコ暗殺は、ロシア政府内の強硬派が、西側との対立ムードを作ろうとして仕組んだのではないか。
モスクワに赴任したE記者へ Fujisankei Business 2006/12/29
「赤の広場で果てようとも・・・」最近ロシアがらみで起こる恐ろしい事件に、産経新聞「正論」調査室長は若き日のモスクワ支局時代を思い出す。「モスクワに赴任したE記者へ。君が赤の広場やモスクワ川で死体で発見されても、社は決して君が自殺したなんて思いはしない。KGBの仕業として徹底的な捜査を申し入れる。21世紀初頭にまた<ソ連>が巡り来るとは想定外だったが、健闘を祈る」
国境なき医師団が、2006年に世界で最も注目を浴びず、報道されることの少なかった人道的危機のワースト10のリストを発表しました。チェチェンは、中央アフリカ共和国やスリランカ、コンゴ民主共和国、ソマリア、コロンビア、ハイチ、インドとともに堂々ランクイン。メディアの関心の外側で、出口の見えない危機にとらわれ続ける人びとの窮状が訴えられています。
「チェチェンにおける紛争、そして一般市民に与えた影響は、世界の他の国々にはほとんど完全に知らされないままになっている。紛争の激しさは弱まっているものの、この悲惨な12年間の戦争に翻弄され生きてきた多くの人びとの身体的・精神的な傷跡は未だに癒えていない・・・」
ベスラン学校占拠事件でたったひとり生き残ったとされるヌルパシ・クラーエフ容疑者が、終身刑判決に対して異議申し立てもせず、法廷にまったく姿を現さないことから、関係者の間では彼がすでに死亡しているのではないかという疑念が強まっている。被害者団体「ベスランの声」や、ロシア議会のベスラン学校占拠事件調査委員会のアレクサンドル・トローシン委員長は、当局に対して彼の生死の確認や面会を要請したが、いずれも拒否されている。
ヌルパシ・クラーエフ青年は、実行犯の中でただひとり生きて逮捕された人物だが、彼の家族は「ロシアの刑務所に入っていたはずなのに、なぜあそこにいたのか、わからない」と語っている。
ベスラン学校占拠事件についての過去記事はこちら。
北オセチア学校占拠事件、真実はどこに?
http://chechennews.org/chn/0522b.htm
ベスラン学校占拠事件報告書の不可解
http://chechennews.org/chn/0522b.htm
チェチェンでの失踪・誘拐・拷問・虐待事件に反対するアムネスティ・インターナショナルの葉書アクションがありますので、ぜひご協力ください。すぐに葉書やファックスを送れるように印刷用ファイルを用意しました。よろしければプリントアウトしてご利用ください。期限内の1月29日までにできる限り多くの声を寄せましょう。
http://chechennews.org/chn/0701.htm#070110
主に年明けからのロシア関連ニュースをまとめて紹介します。
容疑者特定も間近?=元ロシア情報員殺害事件−英紙 時事通信 1/7
6日付の英紙インディペンデントによると、警察当局は、元情報機関員で実業家のアンドレイ・ルゴボイ氏と、同氏の実業家仲間のドミトリー・コフトン氏を、リトビネンコ暗殺事件の最重要容疑者として捜査を進めている。一方、「ロシア当局は同国人容疑者の身柄は英国側に引き渡さない見通しで、ロンドンで訴追される可能性は低いという」。
英露ギクシャク拍車 親クレムリン団体 英大使に圧力 産経新聞 1/7
駐ロシア英大使が、「昨年夏以降、親クレムリンの官製青少年団体『ナーシ』のメンバーに日常的につきまとわれてスピーチを妨害されるなどし、12月初旬に露外務省に厳重抗議を申し入れた」。「さらに、モスクワでは昨年11月末から英BBCの露語FM放送に受信障害が発生し、BBCは『技術的困難』を理由に放送を中止」。反体制派の論客出演で知られた長寿番組も同時に打ち切られた・・・ストーカー+電波系?
ソ連復活?欧州の疑念 強硬な資源外交 朝日新聞 1/7
アンナ・ポリトコフスカヤ記者の暗殺、ロシア・サハリン州沖の石油・天然ガス開発巨大プロジェクト「サハリン2」へのプーチン大統領の露骨な介入、ロシアの元情報将校リトビネンコ氏の怪死事件・・・「自らの主張を通すためにロシアは手段を選ばないのではないか」という疑念が欧州で広がっている。
「プーチン氏の次の大統領に望むことを尋ねた世論調査で『民主主義の発展』と答えた人は26%しかいなかった。逆に『西側との協力にそれほど注意を向けなくてよい』が53%、『経済で国家の役割を高める』が76%に達した」
有限資源 2 囲い込み 強権国家のエゴ前面 東京新聞 1/7
昨年12月21日、ロシアの環境保全キャンペーンによって、石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の経営主導権が英国・オランダのロイヤル・ダッチ・シェルからロシア政府系ガスプロムに移譲されたが、その過程には多くの「やらせ」が潜んでいた。
「ある河川でロシア政府高官が死んだサケを指し『汚染の犠牲者』と撮影させた。産卵で自然死したサケだ。港湾では台風の影響で沿岸に打ち上げられた大量の魚を汚染死と宣伝した」(地元紙ソビエトスキー・サハリン記者)
「ガスプロムの会長は大統領の後継者とも目されるメドベージェフ第一副首相が務め、ロスネフチ会長は大統領の腹心セチン大統領府副長官だ。両社は主要テレビ、新聞を買収、政権傘下に収めるなどメディア統制にも大きな役割を果たした」
さらに、世界最大の天然ガス保有国のロシアは、「エネルギー資源こそ権力の源泉との考え」のもと、天然ガス版のOPEC(石油輸出国機構)構想を持っている。
<露元中佐変死>解決のメド立たないまま年越し 毎日新聞 1/6
リトビネンコ事件、真相究明は難航。ロシア最高検察庁は、昨年12月27日、(ユコスの元幹部)レオニード・ネブズリン氏を容疑者として殺人依頼容疑などで国際手配した。「露最高検によると、ネブズリン氏がかかわったとされるモスクワの殺人事件で被害者宅などから『水銀の蒸気』が検出され、リトビネンコ氏にからむロンドンの現場でも同様に水銀が検出された、という」。ただし「真偽や関連性は不明」。そもそも水銀はポロニウムではないのだが。
ベラルーシ、露石油に大幅通過関税 対立の深刻化不可避 産経新聞 1/5
昨年末に天然ガス価格でロシア側の大幅な値上げ要求をのまされたベラルーシが、同国を通過する欧州向けロシア産石油に大幅な関税をかけると発表。「ロシア側は今後、エネルギー外交の障害となっているベラルーシのルカシェンコ大統領の排除に向けて動き出す」「プーチン大統領はベラルーシの併合を念頭に置いている」(米誌タイム)との見方が出ている。
ロシアの危険な激安ビジネス Newsweek 日本版12/27
原子力大国ロシアが、「激安原子炉」ビジネスの先頭を突っ走っている。プーチンも核ビジネスを重視し、2006年春、大統領府長官のセルゲイ・ソビャーニンを、原子力産業を統括する国営企業TVELの会長に任命。中国やインド、イランが原子炉を輸入し、ベトナム、トルコ、ベラルーシ、カザフスタン、エジプト、モロッコとの間でも商談が行われるなど、セールスは好調。
最近の報道をいくつか拾い読みしてみました。後日時間のあるときにもう少し詳しくフォローしたいと思います。
ウラジーミル・ブクレーエフ裁判官、拘置所入り! Causasian Knot 12/29
2006年12月28日、重病を患うウラジーミル・ブクレーエフ裁判官が拘置所に入れられた。ブクレーエフ裁判官は、ブダーノフ事件の担当裁判官。クレムリンと国防省からのすさまじい圧力にも負けず、チェチェン人少女を誘拐・殺害したユーリー・ブダーノフ大佐に10年の強制労働収容所送りを命じ、アンナ・ポリトコフスカヤ記者に「驚異的で勇気のある」と称された人物である。
ブクレーエフ裁判官は、2003年7月にブダーノフに下した判決によって、ロシア政府・軍を敵に回すことになった。翌2004年には、ブクレーエフに対して横領容疑(たぶんでっちあげ)で裁判が開始された。ロシア国内の人権団体は今回の措置について抗議声明を発表している。一方、「ロシアの英雄」ブダーノフ大佐は早期釈放される見込み。
グルジアとの山岳国境地帯、FSBの管理下に Prague Watchdog 12/29
グルジアと接する山岳地帯を抜けてチェチェンに入るルートがFSBの管理下に置かれることになった。今後は、FSBが発行する証明書を持たずに、このルートでチェチェンに入国する者に対しては、国外退去などの罰則が取られるという。露骨なジャーナリスト潰しか。
チェチェン:増える癌患者 Prima News 1/1
チェチェン共和国保健省(親ロシア派)によると、チェチェンでは病人全体に占める癌患者の割合が、他の北コーカサス共和国や、チェチェン以外のロシア連邦と比べて、格段に高い(217人/1000人)という。専門家はチェチェンでの癌患者の増加と軍事行動との直接的な因果関係を主張している。
今月のロシア−チェチェン・カレンダー Prague Watchdog 1/1
1/22-26:欧州評議会議員総会(PACE)開催。22日には「ジャーナリストの生命と表現の自由に対する脅威」という議題で、アンナ・ポリトコフスカヤの暗殺が討論される。
1/23:ロシア・チェチェン友好協会の代表、スタニスラフ・ドミトリエフスキーの上告に対する決定がロシア連邦最高裁から下される。ドミトリエフスキーに対する不当判決の件については、こちらをどうぞ。