カスピ海と黒海に挟まれた広さ岩手県ほどのチェチェン共和国。大国ロシアはなぜここに侵攻し、
チェチェン民族の抵抗はなぜ続くのか。厳戒のチェチェン潜入ルポとウォッチャーの考察による、
チェチェン問題理解のための入門書!(帯より)
書評
ultramarine氏の評
UFI氏の評
益岡賢氏/東京東ティモール協会の評
植田那美氏/bk1に寄せた評
東長崎機関の評
発刊の辞(のようなもの)
「大富さんは普段何の仕事をしているんですか、なぜチェチェンのことを書
きつづけるんですか」と、知り合う人ごとに聞かれる。いつも答えにつまって、
「いろいろな偶然の結果です」などと、あいまいにする。一つ目の質問には、
私は、チェチェンとまったく関係のないアルバイトをしながら、ひとりで暮ら
している、と答えられる。けれどもうひとつの「なぜ」に答えるには・・・・
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もくじ
・プロローグ——チェチェン戦争とは何か
Ⅰ章 なぜチェチェンで「戦争」は続くのか─大富 亮
・独立運動の始まり
・第一次チェチェン戦争
・戦間期—束の間の不安定な平和
・第二次チェチェン戦争
・コーカサス戦争
・ロシア革命とチェチェン
・強制移住
・強制移住から帰還後のチェチェン
・現代のチェチェン戦争の原因
・チェチェン紛争はどうなるか
Ⅱ章 モスクワ劇場占拠事件—知られざる当事者の肉声─林 克明
・幕開け
・観劇していたチェチェン人
・ひとりの女性ゲリラとの会話
・事件の背景にあるもの
・あと一歩で劇的な解決へ
・特殊部隊の突入
・チェチェン人への弾圧
・真実を葬る構図
・「テロ事件」の図式
◎コラム=チェチェンを知るために①
体験を優先させる「チェチェン効果」
Ⅲ章 チェチェンで続いている拷問、虐殺、処刑─大富 亮
・市民に対する戦争
・各地で発見される遺棄死体
・不当逮捕、人身売買、拷問、処刑
・犠牲者数の推計さえ存在しない
Ⅳ章 忘れえぬ人々—現代チェチェン人群像─林 克明
・深夜の緊急電話
・イスラム武装勢力の主流は「市民防衛軍」
・検問所のチェックにひっかかる
・収容所で拷問にあったミカイル
・執拗な尋問を切り抜ける
・グルジアからチェチェンへ潜入
・「死の街」グローズヌイで生きる人々
・チェチェンに住むロシア人の現状
・家族と故郷を守るために戦う男たち
・ミカイルと一瞬の再会
・「カリスマ野戦司令官」バサーエフ
・マスハードフ大統領に会う
・アパート爆弾テロはチェチェン人の犯行か?
・生きていたマダーエフ一家
・砕かれたアスランの夢
・増える非戦闘員の犠牲者
・ロシアの戦争目的は「小数民族抹殺」なのか
◎コラム=チェチェンを知るために②
常に死を意識している人間美
Ⅴ章 ジャーナリストの誕生─林 克明
・謀略のからくり
・取材活動が犯罪に
・ほとんどが女性ジャーナリスト
・ジャーナリスト、ハズマンの誕生
・モスクワからグルジアへ
・瓦礫の街・グローズヌイ
・グルジアでチェチェンプレス復活
・チェチェン国境の難民の村へ
・ジャーナリストを殲滅せよ
・難民をだまし討ち
・ジャーナリスト、ライーサの原点
・隠された事実
・「不死身の女」との再会
・チェチェンへ潜入
・逮捕、尋問、退去
・戦争が投げかける暗い影
◎コラム=チェチェンを知るために③
男女差から生じる抗しがたい様式美
Ⅵ章 チェチェン戦争の諸相─大富 亮
・戦争の原因を考える
・ロシア国内の混乱の収拾と権力の委譲
・なぜプーチンだったのか
・チェチェン独立は隣接地域への連鎖を招く
・ダゲスタン事件
・真相を考える三つの情報
・「国民投票」から見えてくるもの
・「大統領選挙」
・ロシアの人権団体が見た選挙の実態
・権力の所在
・日本の新聞報道の中のチェチェン
Ⅶ章 何のための苦しみか
チェチェンが示す21世紀の黙示録─寺沢潤世
《資料》チェチェン関連書籍、映像案内
チェチェンをめぐる略年表
・エピローグ——いま私たちに出来ること