チェチェン総合情報

更新情報 2009.01-

最新情報はトップページをご覧下さい。

31.Dec 2009 映画『スリングショット・ヒップホップ』のこと、ガザのこと、佐藤レオさんのこと

 今年も一年間、ありがとうございました。大晦日、今年最後のチェチェンニュースなのに、なぜか、パレスチナのことを書きたくなってしまい・・・。

 12月に、渋谷のアップリンクで開かれた、『スリングショット・ヒップホップ』という映画の上映会に行ってきた。ガザ、ヨルダン川西岸、イスラエル領内のパレスチナ人の若者たちが、ヒップホップに触発され、彼ら独自の歌を歌う様子を活写したフィルムだ。

予告編

 構成はかなり巧みだが、ビデオカメラで、たぶん監督ひとりで撮影したと思われ、映像はノイジーな感じ。だが、それが逆に、占領されているパレスチナの緊迫した雰囲気を伝えている。この映画は、とにかく明るく、強い。

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28.Dec 2009 ガザ攻撃を繰り返さないための署名にご協力を
Petition for peace in Gaza

 「弱い文明」さんからの転載です。

 1415名の犠牲者を出した、イスラエル軍による2007年〜2008年ガザ侵攻が始まった、今日は1周年にあたる日だ。世界各地でNGOなどによる様々なアクションが起こされている。

 日本でも連立政権に向けて、単に虐殺への哀悼を示すためではなく、今後の対イスラエル/パレスチナ政策を抜本的に見直すよう──といっても新奇な行動を起こせというのでなく、イスラエルに国際法を遵守させなくては何も始まらないという、当たり前の原理原則に立ち戻ることを求める共同声明が27日付で発表された。

 ガザ虐殺を繰り返させないための共同声明 賛同者募集

 署名用紙による署名の方は集約して外務大臣に提出するためのものだが、ネット署名の方は提出はせず、ネット上でのアピールのみということになる(注:書き込んでから表示までにちょっと時間がかかります──管理している人が確認してから反映させるので)。紙署名の方とダブってもいいので、どちらでも、また両方でも、積極的に参加してもらいたい。

 この共同声明文はよく練られたものなので、ここでも掲載させていただく。読むたび、なんでこんな当たり前のことが無視され、実現を阻まれているのか(…どころか、悪化する一方なのか)──胸が苦しくなってくる。

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28.Dec 2009 チェチェンニュース:『アンナへ手紙』上映会のもよう

 今号では、11月に開催された映画『アンナへの手紙』の上映会のもようをお届けします。ちょっと長いのですが、「開会あいさつ」「トークイベント」「会場の声」の3部をお送りします。

 それから、この映画の予告編をWebで見ることもできます。こちらです

 思ったよりも、とても多くの方が集まってくださって、びっくりしました。その数260人以上。チェチェンの集会としては最大規模でした。

 私(大富)は、ロシアについての造詣はあまり深くないので、昔からロシアに関わっていた人からすれば、「チェチェンニュースというのは、一体誰が、何の目的で出しているのか?」という感じを持たれている(いた)と思います。また、そのために、チェチェン侵攻がロシアの抱えている問題だということを説得するのに、限界があるような気がしていました。

 その意味では、上映会の実行委員の一人である村山敦子さんが事前に寄せてくれた「ロシアへの愛がなければ」という一文は、ロシアを知る人とそうでない人をつなぐ架け橋のような意味があったと思います。

 そして当日は、会場に来ていたNHKの田中和夫解説委員にも、なかば強引にトークに加わっていただきました。アンナと直接会い、「ロシアン・ダイアリー」の解説もされた田中さんの、豊富な経験に裏打ちされた討論も、好評でした。

 そういうわけで、上映会に来られなかった方にも、少し雰囲気を感じていただければと思い、このメールにまとめています。どうぞお読みください。

 最後にお知らせです。『アンナへの手紙』を、今後も日本で上映できる権利を確保しました。詳しいご案内は、来年に入ってからお知らせできると思います。末尾になりましたが、上映会と、このテキストのまとめに尽力してくださった皆様に、感謝を申し上げます。(大富亮/チェチェンニュース)

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17.Dec 2009 人間を傷つけるな!土井 香苗 第9回 チェチェン問題をめぐって暗殺が横行するロシア

戦争や虐殺など世界各地で今日もなおつづく人権蹂躙の実情に対して監視の目を光らせる国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)。2009年春開設したHRW東京オフィスの土井香苗ディレクターが問題の実態を語る。

 HRWのために調査活動を行っていたロシア・チェチェンの著名な人権活動家ナタリア・エステミロワさんが、今年、2009年7月15日、射殺体で発見されました。

土井:  ナタリアさんは、ロシアの著名な人権NGO「メモリアル」のスタッフで、チェチェンの人権問題の調査を担当し、HRWのために長年調査活動をしていました。彼女の卓越した人権活動を評価して、HRWの人権賞(2007年)をはじめ、アンナ・ポリトフスカヤ賞 (2007年)、欧州議会のRobert Schuman Medal (2005年)、スウェーデン政府のRight to Survival賞(2004年)など、これまでに数多くの国際的な賞が彼女に授与されています。

 ナタリアさんは、2009年7月15日の朝8時半頃にチェチェンにある自宅を出た後、何者かに拉致されました。

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15.Dec 2009 言葉によって抵抗を表現しているパレスチナの若者を追ったドキュメンタリー映画『スリングショット・ヒップホップ』監督来日、日本初上映! Palestinian Movie "Slingshot Hip Hop" Tokyo,Kyoto tour

 パレスチナで芽生えた、ラップで抵抗の声を上げるヒップホッパー達。ガザ、西岸、イスラエルの中に住むパレスチナ人ラッパーの日常生活にフォーカスを当て、2008年のサンダンス映画祭を皮切りに世界各地の映画祭で上映され、多数の賞を受賞したドキュメンタリー映画『スリングショット・ヒップホップ』が日本で初公開!

 この映画はパレスチナ人の苦闘におけるオルタナティブな抵抗に光を当て、社会、政治、個人の生活のなかで音楽が果たす役割を探し求める。エドワード・サイードが繰り返し語った「パレスチナ人自身が自分を語る」ことが、新しい形で実現されている。今回は、上映後に、NY在住のアラブ系アメリカ人女性である本作監督のジャッキー・リーム・サッロームさんをお迎えしてのトークイベントもあり!大いなる不条理に音楽の力強さで立ち向かう彼らの姿が観る者の胸を熱くする!

 12月18日東京、21日京都

イベントの詳細を見る!

8.Dec 2009 クルアーンを読まなくてもわかること
Book reccomendation "Think from Islam"

 師岡カリーマ・エルサムニーさんの「イスラームから考える」(白水社)という本を読んでいて、こういう言葉にぶつかって、はっとした。

 「あえていろいろな場で言うのですが、中東研究者はイスラームについてよく知っているわけではないから聞かないでくださいと。クルアーンにどう書いてあるとかは聞かないでほしいと。逆にいうと、いまの中東の問題は、極端なことをいえば、クルアーンを読まなくてもわかることが多い。クルアーンと関係ないところで動いている。……なにか事件が起きたときにその犯人がイスラーム教徒であるか否かではなくて、その犯人がなぜそういう行動をとったのか、その背景を探る方が、必要なことですよね」

 これは師岡さんではなく、巻末の対談に収められた酒井啓子さんの言葉だ。チェチェンにそのままあてはまるかどうかは別だけれど、抵抗勢力が「イスラム原理主義」という言葉にカテゴライズされてしまうのは似ている。

 チェチェンの情報に関わっていても、偏見からはなかなか自由になれない。イスラムの友人の多くない私にとって、師岡さんのアラブ文学の読みには、助けられるものがあった。ご参考まで、

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7.Dec 2009 グローバル・フォーラムに記事掲載

 シンクタンク、グローバル・フォーラムの掲示板「議論百出」に、「ネフスキー急行爆破事件に思う」が掲載されました。ありがとうございます。

グローバル・フォーラム

05.Dec 2009 ブックガイド「もうひとつの未来のために」
Altanative book guide "For anther future"

 新宿の小さな書店、模索舎のページに書評を書きました。

 「世界の未来がわかるような本を紹介して欲しい」と言われた。どだい無理な話だと思いながらも、「やりましょう」と答える癖がついている。未来を読み通すことはできないが、それを変え(=参加し)てしまえば事後的に正解を確認できる日も来るだろう。

 ご笑覧ください。

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4.Dec 2009 「ネフスキー急行」爆破事件に思うこと
Japanese Cover on "Nevsky Express"

 11月27日に、モスクワとサンクト・ペテルブルグを結ぶ鉄道で爆破が起こり、公式発表では26人が死亡した。そして12月2日の報道では、チェチェン独立派のサイト「カフカス・センター」に、独立派の野戦司令官で「コーカサス首長国」大統領のドック・ウマーロフの名前で、この列車爆破についての声明文が掲載された。毎日新聞の最新の記事は次のように書いている。

 『列車爆破テロから1週間 犯人像は明らかにならず』(毎日)

   今回の爆破テロにはイスラム勢力の影がちらつく。1日の犯行声明に名前が挙がったウマロフ司令官は、チェチェン独立派の有力野戦指揮官。現場付近でカフカス系の男4人を見かけたとの情報もある。だが、チェチェン内務省当局者はタス通信に対し、ウマロフ司令官は大規模なテロを行う実戦部隊を持たず、他の武装組織と連携を取る影響力もないと指摘している。

http://mainichi.jp/select/today/news/20091204k0000m030035000c.html 

   犯行声明は12月1日に出たが、3日現在、サイトはダウンしているので、その後の情報がわからない。それ自体なんだか怪しいのだが、念のためダウンロードしておいた声明文を、次のサイトの掲載した。興味のある方はどうぞ。

 http://d.hatena.ne.jp/chechen/20091203/ (和訳あり)

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20.Nov 2009【無事終了!】アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺3周年
Today Screening "Letter to Anna"

11月20日、アンナ・ポリトコフスカヤ追悼特別上映会

 250人以上の方々にご参加いただき、無事終了しました! ありがとうございました。

 プーチン大統領が54歳の誕生日を迎えた2006年10月7日、ロシア政府をもっとも厳しく批判し続けたジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤは、モスクワにある自宅のエレベーター内で暗殺された。娘に子どもが生まれることを喜んでいた矢先の悲劇だった。

 世界から見捨てられた、チェチェン共和国への軍事侵攻の実態を暴き、弱者に常に寄り添ってきたアンナの人生を辿りながら、ロシアの闇に切り込むドキュメンタリー。

 彼女の死から三年。決して忘れられてはならない人が、ここにいる。

日時 11/20(金)19:00-21:40 会場 文京シビック小ホール

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16.Nov 2009 カディロフ大統領の馬、競馬のメルボルンカップに出走

 11月3日、オーストラリアの国民的祭典、競馬の「メルボルンカップ」で、チェチェンのカディロフ大統領の馬が3着となりました。しかし今回の参戦は、豪州、そして英国の競馬界にも、論議を巻き起こしています。そこで、今回のできごとを、現時点でネット上で見られる記事をもとに時系列でまとめてみましたので、興味のある方にご覧いただければ幸いです。

 話は今年3月にさかのぼります。中東のドバイでチェチェンから来ていたヤマダーエフ元司令官が暗殺された事件は、日本のマスコミも報道し、チェチェンニュースでも紹介されたので、ご記憶のことと思います。ドバイ警察は、カディロフ大統領のいとこにあたるロシア連邦議員を首謀者と名指ししましたが、ロシア側はこれを強く否定。現在は、暗殺を手引きしたとして、ドバイで身柄を拘束されている2名の裁判に焦点が移っています。

 じつはこの事件が起きた3月28日は、やはり大規模な競馬の祭典である、「ドバイ・ワールドカップ」の開催日でもありました。しかも、警察に拘束されたうちの1人(イラン国籍)が、このレースに馬を出していたカディロフ大統領の厩務員であったことが判明したことから、余波は競馬界にも及んでゆきました。

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9.Nov 2009 マクシャリプ・アウシェフ殺害事件についての声明
Waynakh.com: Statement on Maksharip Aushev by Human Rights Defenders

 イングーシで10月末に殺害された野党・人権活動家、マクシャリプ・アウシェフ氏。やはりこの事件にもチェチェンが関係していました。アウシェフ氏は、チェチェンのゴイチ村にある秘密監獄についての告発を行っていたようなのです。チェチェンの親ロシア派大統領カディロフがこの監獄の存在を知らないはずはなく、今後の捜査が注目されます。

  この文書に署名した私たちは、著名な人物で、インターネットサイト Ingushetia.org の持ち主である、マクシャリプ・アウシェフ氏の身に起こった、横暴極まりない殺害に対して、憤りを表明するものです。

 アウシェフ氏はこれまで、北コーカサスを覆う人権侵害─虐待、非合法処刑、犯罪のでっちあげに対して、公然とした抗議を続けて来ました。彼自身の息子や甥が誘拐された時には、彼らの釈放を要求する市民運動を組織しました。

 彼はまた、チェチェンのゴイチ村に存在する秘密監獄についての情報を暴露しました。そこに、息子と甥は収容され、虐待と拷問を受けていたのです。数々の証拠は、イングーシで誘拐され、行方不明になった人々の多くが、この監獄に囚われていたことを明らかにしています。

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09.Nov 2009 チェチェン人格闘技選手ハリドフ、世界王者にKO勝ち!

 11月8日(土)、両国国技館で行われた戦極という総合格闘技のイベントで、戦極世界ミドル級王者ジョルジ・サンチャゴとチェチェン人でポーランド在住のマメッド・ハリドフがKO勝利しました。ノンタイトル戦ではありますが、素晴らしい勝ち方でした。 (Iさんからの報告)

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06.Nov 2009 弁護士射殺で民族主義者2人を拘束ロシアの捜査当局
Court Confirms 2 Held in Markelov’s Killing

 まだ何ともわからないニュースですが、気になるのでご紹介します。

 (産経2009.11.06)  モスクワ中心部で今年1月、著名弁護士のスタニスラフ・マルケロフさん=当時(34)=と女性新聞記者、アナスタシア・バブロバさん=当時(25)=が記者会見直後に射殺された事件で、ロシアの捜査当局は5日までに、非合法化されている過激民族主義組織の元構成員とされる男女を殺人容疑で拘束した。

 マルケロフさんはチェチェン共和国の人権問題や民族主義者による凶悪事件の被害者弁護に取り組んでいた。(モスクワ 遠藤良介)

原文

5.Nov 2009 チェチェン難民の格闘技選手?【戦極】11・7未知の強豪マメッド・ハリドヴ「自分のスタイルを貫くだけ」

 この方面にしろうとで、どのくらい強いのか、そもそもどういう大会なのか、よくわからないのですが、この人はどうも、チェチェン難民なのではないかという気が。ポーランド国籍ですし。気になるなあ。

  11月5日(木)都内ホテルにて、マメッド・ハリドヴ(チェチェン共和国/ポーランド/TEAM KSW)が囲み取材に応じた。ランデルマンは11月7日(土)東京・両国国技館で開催される『戦極〜第十一陣〜』でジョルジ・サンチアゴ(ブラジル/アメリカン・トップチーム)と対戦する。

  マメッドは極真空手とレスリングをバックボーンとするファイター。“東欧ウェルター級最強の男”と謳われ、今年5月には三崎和雄から勝利している強豪ダニエル・アカーシオを開始70秒のTKOで下している。現在は引き分けを一つ挟んで16連勝中。

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29.Oct 2009 アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺3周年 追悼集会 報告
Anna Politkovskya's memorial event in Tokyo

 ロシア・チェチェンの状況に、私たちができることは何か? 10月2日、東京・文京区民センターで午後7時より開催した追悼集会の内容です。NHK BSで放送された記録映像を上映した後、アンナ・ポリトコフスカヤを悼んで黙祷。その後チェチェンの各方面で関わりをもち活動を行っている5人によるリレー・トークを開催した。トークの概要は以下のとおり。(司会:青山正=市民平和基金/ピースネットニュース)

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26.Oct 2009 イングーシ反体制派リーダー、またも銃殺される
Ingush Opposition Leader Shot Dead

 何ということ。また人権擁護に関わっていた人が殺害されました。

 2009年10月26日モスクワタイムス  イングーシの著名な反体制活動家マクシャリプ・アウシェフ氏が、25日に近隣のカバルディノ・バルカリア共和国で銃殺された。同日午前10時、彼が乗車してカフカス道路を走行中のラーダに、何者かが60発の銃弾を打ち込み、同乗していた女性も重傷を負ったと、当局が発表した。

 アウシェフ氏は即死、女性(氏名未公表)は病院に運び込まれた。発表によれば、犯人たちは少なくとも2種類の銃器を使い、銀色のVAZ車から銃撃を行ったのち、逃走した。

 HRWのタチアナ・ロクシーナ氏はアウシェフ氏について、「彼が人権活動に参加し始めたのは、2007年に息子と甥が誘拐され、それを釈放させてからでした。彼はイングーシで人権擁護活動を始め、誘拐と闘いました。とても勇気のある人でした。北コーカサスでは、人権擁護活動や野党としての活動をすることは、言ってみれば自殺行為になってしまっているのです」と語る。

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26.Oct 2009 東京新聞:傷ついた魂の叫びを伝えるー書評『チェチェン 廃墟に生きる戦争孤児たち』

 東京新聞に掲載された、林克明さんによる書評です。

「グローズヌイの天使」が原題だが、本書には清らかな天使は登場しない。  

 ロシアからの独立をめぐって十五年も続くチェチェン紛争では、推定二十万人の死者・行方不明者が出ている。ロシア当局が報道陣を遮断するこの地に、ノルウェーの女性ジャーナリストが潜入し、傷ついた魂の叫びを綴(つづ)った。  

 「グローズヌイ(チェチェンの首都)の天使」と呼ばれ、戦争孤児の世話をする女性と、子供たちの様子を軸に物語は展開する。ルポルタージュでありながら小説風の叙述が、かえって登場人物に生々しさを醸し出す。

 十二歳の孤児の少年は、鳩(はと)の首をひねり逆さにして血を抜き、羽根をむしり、棒を体に突き刺す。そして焙(あぶ)る。自分より小さい物乞(ご)いの子を恐喝して生き延びる。

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24.Oct 2009 人権活動家を守れ!Webアクションにご参加を
Russian Federation: Stop the hunt on human rights activists

アムネスティが、人権活動家を守るためにロシア大統領に手紙を送るキャンペーンをしています。ぜひご協力ください。

「国際社会がロシア政府と大統領に要求することによって、これからの調査に大きな影響を与え、暗殺を命令した者とその実行者を公正な裁判にかけるように望んでいます。どんな罪であっても、無関心であったり、それを許すことは誤りであり、人が殺されたときはなおさらです。人の命を奪う権利など誰にもないのですから。」

(暗殺されたロシア連邦、チェチェン共和国の人権活動家、アナスタシア・バブローワさんの母の言葉)

こちらから

23.Oct 2009 モスクワ劇場占拠事件から7年
7 years from Dubrovka

 モスクワ劇場占拠事件から、今日で7年が過ぎました。

23.Oct 2009 Good News!
ロシア人権活動家にサハロフ賞 相次ぐ殺害で政権を批判
EU: Sakharov Prize 2009 awarded to Memorial

 欧州議会が、メモリアルにサハロフ賞を授与すると決定しました! (この人がメモリアルの代表、オルロフさん)

  【モスクワ共同】欧州連合(EU)の欧州議会は22日、人権擁護活動への貢献をたたえる今年のサハロフ賞を、ロシアの人権団体「メモリアル」を率いるオレク・オルロフ氏ら3人に授与すると発表した。

   欧州議会側は「ロシアの人権活動家を取り巻く恐怖と暴力を断ち切りたい」と表明。活動家の言論の自由が守られるべきだと訴えた。オルロフ氏は、エステミロワさんの殺害に同共和国のカディロフ大統領が関与したと非難し、裁判で罰金の支払いを命じられていた。

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22.Oct 2009 エステミローワへのインタビュー(日本語字幕)

 アムネスティのブログより。チェチェンやイングーシなど北コーカサスの人権状況について告発しようとする人権擁護活動家、弁護士、ジャーナリストは、嫌がらせや脅迫を受け続けています。

 下の映像は、ナタリア・エステミロワが、生前にアムネスティのインタビューに答え、チェチェンの強制失踪について語ったものです。

画面右下の▲でキャプション機能をONにすると字幕が表示されます。

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21.Oct 2009 最近のチェチェン関連報道からいくつか
Recent Japanese medeia coverage on Chechnya

 最近のチェチェン関連報道を紹介します。個展が終わって放心状態でした。

 毎日新聞に「チェチェン・虚構の安定」というシリーズが掲載されました。実際にチェチェンに行き、見聞を元にした記事です。

 「警官はイスラム寺院を出た従弟をいきなり射殺した。さらに遺体を車で引きずり回したんだ」

 ロシア南部チェチェン共和国の首都グロズヌイ近郊に住む20代の男性は、匿名を条件に証言した。外国に暮らす従弟が今夏、一時帰国していた際、数時間前に起きた警察官殺害事件の容疑者として警官にその場で殺されたというのだ。その後、従弟のアリバイから無実が証明されたが、「警察の報復が怖かったので告訴しなかった」と男性は話した。  

 1999年10月に本格的に始まった第2次チェチェン紛争は今年4月、連邦軍がチェチェン独立派の制圧に成功したとして「テロ作戦体制」を解除。実際、大規模な戦闘はなくなり、治安も大幅に改善された。市民は普通の生活を取り戻している。だが、共和国ではロシア政府の後押しを受けるカディロフ大統領(33)が権力を掌握し、反対する者への不当な逮捕や拷問などが後を絶たない。 

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国境なき医師団の報告「イングーシ:平和への希望が絶望に変わってしまった国」では、現在もチェチェンからの避難民が1万8千人程度が、不安定な状況で生活しているという。治安の不安定から、人々の心が蝕まれている。武力紛争が心的外傷のきっかけとなっている例がうなぎ上りに増えてきた。

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 読売新聞「露が核使用条件緩和へ、地域紛争で先制攻撃も」というとんでもない話が。チェチェンに見るとおり、自国民に対する武力行使を辞さないのは、ロシア政府の問題であって軍組織の非効率や非常識といったレベルの話ではありません。しかし今回、連邦保安局(FSB)出身のパトルーシェフ安全保障会議書記から「地域紛争でも核兵器を使用する可能性がある」と臭わせています。

 実際の策定段階ではどうなるかわからず、世論の出方をみる観測気球の一種と思われますが、チェチェンやグルジア、ウクライナといった場所で核を使う可能性もあるという警告でしょう。最低です。

 私個人はオバマの核廃絶アピールは実際の結果が出てこない限りは信用できないと考えますし、ノーベル賞受賞に関してはありえねーとしか思えませんが、この記事の結びの意味のわからなさは気になります。軍縮する気ないじゃん。

 いわく『メドベージェフ大統領は、米国との核軍縮を進める一方、国防の柱と位置づける核戦力を増強する方針を示している』 

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21.Oct 2009 AMNESTY:ロシア連邦:メドヴェージェフ大統領は人権活動家への攻撃に終止符打つ行動を
AMNESTY: Russian Federation: President Medvedev must act to end attacks on human rights activists

 アムネスティは、彼女の殺害に前後して出された政府高官のコメントを強く非難する。

 ロシア連邦議会の議員であり、チェチェン共和国のラムザン・カディロフ大統領と盟友関係にあるアダム・デリムカノフが7月初旬にチェチェンTVに出演し、「人権擁護活動家と呼ばれているテロリストの支援者」を脅す発言をした。ラムザン・カディロフ大統領は、ナタリア・エステミロワの殺害直後に行われたラジオ・リバティでのインタビューで、彼女の活動を意味のないものだとはねつけ、彼女を「好ましからざる恥知らずな人物」と表現した。

 「ナタリア・エステミロワ、スタニスラフ・マルケロフ、アナスタシア・バブローワそしてアンナ・ポリトコフスカヤの殺害に関する調査を独立かつ中立的な方法で行うこと、また根拠があれば政府高官を含む政府当局者が関与している可能性の調査まで踏み込むことが極めて重要だ」と、アイリーン・カーンは述べた。

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12.Oct 2009 「暗殺・リトビネンコ事件」がDVDに!

 支援者のOさんから教えられて知りました。10月4日、アップリンクから、あの「暗殺・リトビネンコ事件」のDVDが発売されました。お見逃しの方は、ぜひご購入ください。

彼は、なぜ死ななければならなかったのか?元ロシア工作員の暗殺事件の真相を追った衝撃のドキュメンタリー!

 2006 年11月23日、ひとりの男がロンドンで放射性物質ポロニウム210を飲まれされ、暗殺された。彼の名は、アレクサンドル《サーシャ》・リトビネンコ。イギリスに亡命中の元FSB(ロシア連邦保安庁)中佐である。彼は、チェチェン戦争の裏側にある、FSBとプーチン政権の腐敗を告発していた。

 生前のリトビネンコへのインタビュー、 何者かによって銃殺されたジャーナリストアンナ・ポリトコフスカヤ、プーチン大統領と決裂し、リトビネンコを支援した政商ベレゾフスキーをはじめとする関係者の証言、膨大なニュース映像、そして、死後、遺された彼の家族の姿…リトビネンコと親交のあったアンドレイ・ネクラーソフ監督によるこのドキュメンタリーは、カンヌ国際映画祭において急遽上映され、論争を巻き起こした。

 「私の身に何かあった時は、このビデオを公表し、世界に伝えてほしい。彼らは暗殺など平気だし、実際にやってきている。国内でも国外でも…」

 本作はリトビネンコのこの遺言めいた言葉から始まる。イギリスへの亡命から5年。元FSB中佐であるアレクサンドル(サーシャ)・リトビネンコは映画監督アンドレイ・ネクラーソフと数百時間を一緒に過ごし、自分の反抗の原因や10年前からのロシアでの警察国家の擡頭について話していた。そのリトビネンコが、何者かに放射性物質ポロニウム210を飲まされ、暗殺されたのだ…。彼は、なぜ死ななければならなかったのか?

amazon.jp 価格は3,990円なり。アマゾンでは少しディスカウント。

7.Oct 2009 『アンナへの手紙』上映会のお知らせ

 今日はアンナ・ポリトコフスカヤがテロられて3年めの命日です。「テロられる」という語感はあまり好きではないのですが、あえて。

 チェチェン・イングーシ、そしてモスクワなどでの人質事件や爆弾事件は、犯人がわかっていようといまいと、日本のメディア上では「爆弾テロ」などと形容されます。

 それなのに、ジャーナリストが殺されても、政治家が殺されても、せいぜい「殺害」としか呼ばれません。

 なぜ、アンナの殺害が「テロ」ではないのでしょうか。私個人は、ナターリヤ・エステミローワの死が恐ろしかったし、アンナの死も恐ろしかった。ロシアに住む人はもっともっと恐ろしいだろうと思います。これがテロでなくて何でしょう。

 私は、チェチェンのゲリラたちの活動を「テロ」と呼ぶことはできないと思います。帝政時代から今まで、ロシア政府がしてきたことは、歴史的に見て侵略であり、それに対抗して武器を取らざるを得なかった人々の行いは、体制を相手とする限り、抵抗と呼ぶべきでしょう。

 11月に、アンナ・ポリトコフスカヤを追悼する上映会を行います。スイスのエリック・バークラウト監督の『アンナへの手紙』です。

 ぜひ多くの人に見ていただきたい映画です。

 それから、映画のチラシまきをしてくださる方を募集しています。 ご住所とお名前、ご希望の部数をeditor@chechennews.orgまでお知らせください。来週にはお送りします。

上映情報

3.Oct 2009 チェチェンニュース#310 「グローズヌイの天使」はなぜ逮捕されたのか? Why did arrest the "Angel of Grozny"?

 白水社から9月に発売されたばかりの 『チェチェン 廃墟に生きる戦争孤児たち』の訳者、青木玲さんから貴重な情報をお寄せいただいたので、紹介します。この本の登場人物で、グローズヌイで孤児院を運営していたハディジャトさんが、いまリトアニアで逮捕されている一件です。

 孤児院といえば、8月に殺害されたザレーマさんも、戦争で傷ついた子どもや若者の支援活動をしていて殺されました。ハディジャトさんがリトアニアに逃げなければならなくなった理由はわからないのですが、わかるような気もします。

 (以下の報告:青木玲/翻訳家)

  『チェチェン 廃墟に生きる戦争孤児たち』に登場する孤児院の運営者ガータエフ夫妻が、昨年10月、滞在中のリトアニアで逮捕されたことは、本書のあとがきでお伝えした通りです。勾留された二人はその後、裁判にかけられ、今年6月、家庭内虐待罪で懲役10カ月(それまでの勾留期間を含む)を言い渡され、カウナスで服役していたとのことです。

 この事件はリトアニアのメディアは小さく報じたようですが、海外での報道は乏しく詳細がなかなか伝わってきません。しかし、夫妻の支援サイトや欧州の人権組織が本件をフォローし英文も掲載されていますので、これらをもとに、わかる限りで経緯を簡単にお知らせしたいと思います。

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30.Sep 2009 ロシア:欧州裁判所に従い残虐行為の終焉を 北コーカサスでまん延する、人権活動家の殺害を含めた暴力の脅威
Russia: Complying With European Court Key to Halting Abuse North Caucasus Menaced by Killings of Rights Defenders, Other Violence

 HRWの新しい報告書が発行されました。以前から欧州人権裁判所では、チェチェン問題について、ロシア政府の敗訴が続いていましたが、最近は被害者への賠償金の支払いを渋ったりするケースが出てきています。事実関係から考えると、かなり悪質だと思います。以下では一部を引用します。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書で取り上げられている事件の1つに、ハージ-ムラト・ヤンディエフ(Khadzhi-Murat Yandiyev)氏に関わる事件がある。2000年2月2日、母親のファティマ・バゾルキナ(Fatima Bazorkina)氏は、夜のニュースで連邦軍が息子を逮捕している映像を見た。映像では、ロシア陸軍准将のアレクサンダー・バラノフ(Alexander Baranov)が兵士たちに「来い、来い、来い、やってしまえ、こいつを連れていけ、とどめをさせ、撃ち殺せ!」と叫び、その後ロシア兵がヤンディエフ氏を連行していくシーンを映し出していた。以後彼は消息を絶ち、遺体も発見されていない。

 2006年、欧州裁判所は、ロシア政府はヤンディエフ氏を不法に逮捕し、殺害したあげく、彼の失踪に関して適切な捜査を行わなかった、との判決を下した。今日まで母親のバゾルキナ氏は、ロシア捜査当局から息子の消息について何の情報も得ていない。

 欧州人権条約の締約国として、ロシアは欧州裁判所によって決定された損害賠償金と法定費用の支払いに従う義務がある。ロシアはこの支払いには応じたが、これのみならず、個々の事件に対応し、類似の違反行為が発生するのを防ぐために、政策や法の改定を行う必要がある。

 2005年から2009年の間に下されたチェチェンに関する欧州裁判所の判決は、1999年から2004年までチェチェンで行われた、ロシア軍及び情報機関の作戦における違反行為と関連がある。殆ど全てのケースにおいて、同裁判所は、ロシアは自国軍兵士が犯した犯罪に対する効果的な捜査を、日常的に怠っていた、と判断。このような事件における違反行為を是正するための重要な措置のひとつは、ロシアが捜査を行い、犯人を裁判にかけるということである。しかし、欧州裁判所の判決が下された後でさえ、ロシアは捜査を事実上行っていないとヒューマン・ライツ・ウォッチは明らかにした。

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25.Sep 2009 【新刊】「チェチェン 廃墟に生きる戦争孤児たち」ついに刊行! Asne Seielstad's "Angel of Grozny" Japanese translation publish in september

 明日26日はいろいろなイベントがあって東京は大騒ぎ。ぜひご参加ください。

 新しいチェチェンの本が出版された。今度の本は、『カブールの本屋』(アスペクト刊)で知られるノルウェーのジャーナリストで、オスネ・セイエルスタッドが書いた『チェチェン 廃墟に生きる戦争孤児たち』(青木玲訳、白水社)。ちょうど今週末あたり書店に並ぶので、ぜひお買い上げ、または図書館でリクエストをしてほしい。

 編集段階で少々お手伝いをさせていただいたので、ある程度「こういう本だろう」とイメージしていたのだが、それを上回る描写の分厚さがある。チェチェンの問題を理解するために必要なディティールが、きちんとした聞き取りを元に綴られている。たとえば、強制移住を経験した老人の言葉が、翻訳の鮮やかさも手伝って、胸にすとんと落ちてくるというか、突き刺さりそうだ。

 その挿話は短いが、チェチェン問題を理解するために、ぜったいに取りこぼしてはならない部分だと思う。

 この本の原題は「グローズヌイの天使」だ。「天使」とは、あるチェチェン人の女性で、グローズヌイで孤児院を開いていた人だった。しかしカディロフ体制のなかで彼女は子どもたち共々リトアニアへ移住を余儀なくされ、なんとリトアニア政府に、「子どもたちから搾取した」と、あらぬ罪を着せられて逮捕されてしまった。どうもロシア情報機関とリトアニアのそれが結託しているらしい。 

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15.Sep 2009 アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺3周年 追悼集会のお知らせ〜『ロシア・チェチェンの状況に、私たちができることは何か?』

 ぜひこの情報を広めてください。

 3年前の2006年10月7日、モスクワでジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤさんが、何者かに銃殺されました。彼女は新聞「ノーヴァヤ・ガゼータ」の記者として1999年にチェチェンを取材して以来、プーチン/メドヴェージェフ政権による第二次チェチェン侵攻によって、多くの人々が虐殺され、人権を蹂躙されている実状を、ロシアと国際社会に向かって訴え続けていました。

 彼女の他にも、ロシアでは政治家、平和/人権活動家、ジャーナリストが次々と暗殺され、いずれも犯人は見つかっていません。

 そして、20万人の人々が軍事侵攻によって殺されたチェチェン共和国では、ロシア政府が後ろ盾となったラムザン・カディロフ傀儡政権自体が人々を誘拐/殺害するなど、同じチェチェン人同士が憎しみ合う状況が生まれています。

 今のところ、ロシアではプーチン/メドヴェージェフ政権の翼賛体制が続いており、これに異を唱える人々は文字通り抹殺されています。情報機関や軍による支配は強まり、1991年のソ連崩壊以来の民主化プロセスは、すでに180度反転したかのようです。

 このような状況で、アンナ・ポリトコフスカヤさんが残した声や著作ーー弱き人々の側に立とうとした彼女の存在は、今もなお、輝きを失っていません。ふたたび彼女の命日が巡ってくる10月、私たちは、アンナさんを追悼し、私たちに何ができるかを、それぞれの立場から語り合いたいと思います。ぜひ、ご参加ください。

 「10.2 アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺3周年 追悼集会」
 日 時 10/2(金) 19:00-21:00

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11.Sep 2009 HRW:ロシア:カディロフ チェチェン大統領は名誉毀損訴訟を取り下げよRussia: Kadyrov Should Drop Defamation Claim

 ラムザン・カディロフが、メモリアルのオレグ・オルロフ氏に対して名誉毀損で訴えているようです。

 いきさつはこうです。メモリアルの職員、エステミロワさんはカディロフから脅迫を受けていました。その後、実際にエステミロワさんが殺害されたことから、オルロフ氏は「エステミロワを殺したのはカディロフだ」とメディアで語った所、カディロフから訴えられたわけです。

 HRWは、カディロフは自分の名誉をこんな手段で守ろうとするより、事件に対する独立した捜査を行い、その結果で示すべきだという声明を出しました。まったくその通りだと思います。以下、声明より抜粋します。

ロシアの著名な人権保護団体メモリアル(Memorial Human Rights Center)のオレグ・オルロフ(Oleg Orlov)代表は、7月15日のエステミロワ氏殺害はカディロフ大統領の責任と発言。これに対し、カディロフ大統領が、この発言を名誉毀損だと申立。これを受けて、2009年9月10日に予備民事訴訟手続きの開始が予定されている。カディロフ大統領は「自身の名誉と尊厳」を傷つけられたと主張し、1000万ルーブル(約32万米ドル)の損害賠償を求めて提訴した。大統領は刑法上の名誉毀損罪容疑でもオルロフ氏を告訴していたが、9月3日、検察庁は訴追しないと発表した。

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9.Sep 2009 HRW:ロシア:人権保護団体のスタッフの身の安全を確保せよ 不審な訪問で、NGO メモリアルの職員の身の危険の不安つのる
HRW: Ensure Safety of Rights Group's Staff

(モスクワ)ロシア政府当局は、人権保護団体メモリアルの活動家たちに忍び寄る不振な動きに対する捜査を開始し、活動家たちの身の安全を確保するための緊急の手段を講じるべきである、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

今月3日、メモリアル(Memorial Human Rights Center)のオレグ・オルロフ(Oleg Orlov)代表と、武力紛争担当の調査員アレクサンドル・チェルカソフ(Alexander Cherkasov)氏が暮らすアパートに、正体不明の者たちが不審に現れた。モスクワを本拠地としながら、コーカサスに関する調査を行なう専門家である両名は、7月15日に発生したメモリアルの著名なチェチェン調査員ナタリア・エステミロワ(Natalia Estemirova)氏の拉致・殺害後、この事件を公けに批判してきた。

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04.Sep 2009 チェチェンニュース#306 米原万里さん三周忌、プーチン政権への評価

 米原万里さんが、わずか56歳でガンに倒れ、惜しまれながら逝ってからもう3年過ぎた。

 小・中学時代の5年間をプラハのロシア学校で過ごしたときの友情や思い出をいきいきと描き、政治に翻弄されたこどもの悲劇の真実を浮かび上がらせた『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』。かつてのダンス教師の謎を追いながら、いまもなお本質的には変わらぬロシアの権力者たちの醜さおかしさを描いた『オリガ・モリソヴナの反語法』。もうこんな傑作に、わたしたちは会うことができない。

 3年目の5月、米原万里が生涯を終えた鎌倉市の鎌倉芸術館で「米原万里 そしてロシア展」が開催された。この日の白眉はシンポジウムだった。万里さんの恩師でもあるロシア文学者の川端香里男さん、元NHKロシア支局長・小林和男さん、それに万里さんに励まされ続けたロシア文学者・沼野恭子さん。

 シンポ全体が白眉だったとはいわない。そのある瞬間から、それは劇的に変わったのだ。

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25.Aug 2009 「チェチェンでは人権が破滅的な危機に瀕している」
社会団体「自由カフカス」在日代表声明
Заявление представителя ОПД "Свободный Кавказ" в Японии

 最近チェチェンでは、人権擁護団体および人道支援団体のメンバーに対する襲撃事件が相次いでいます。これらの人々は、ロシアとチェチェンとの戦争の時期を通じて、チェチェン市民の権利を守るために自己犠牲的な活動を続けてきました。2009年7月15日には、国際的にも著名な人権活動家であるナターリア・エステミーロワが、正体不明の集団に誘拐され、その後殺されました。

 そして早くも8月11日には、NGO「若者を救おう」の代表者として、チェチェンでの戦闘によって傷ついた若者たちや障害を持った子どもたちを支援していたザレーマ・サドゥラーエワが、犯罪者たちの犠牲となりました。ザレーマ・サドゥロワとともに、彼女と活動を共にしていた夫の、アリク・ジャブライロフも殺害されました。

 こうした非人間的な犯罪が示しているのは、チェチェンでは人権が破滅的な危機に瀕している、ということであり、その原因となっているのはロシアの占領勢力と、カディロフ一派に代表される占領勢力への、協力者たちの活動です。

 私は、社会団体「自由カフカス」を代表して、これらの犯罪に断固として抗議すると共に、あらゆる手段でチェチェンでの人権侵害に関する正しい情報を遮断しようとしているロシアの特殊部隊を、これらの犯罪の実行犯として非難するものです。

社会団体「自由カフカス」在日代表 A
2009.08.16  

ロシア語版


17.Aug 2009 「イスラム過激派」? イングーシ自爆攻撃報道に思うこと
Suicide bomb kills 20, injures over 100 in Nazran

 このところ、まるで戦争寸前のようになっているイングーシで、かなり大規模な自爆攻撃があったようです。

 どうしてこんな事件が、続けざまにおこるのか? 当サイトを継続して読んでくださっている方々にはわかるかと思うのですが、1994年にロシア軍がチェチェンを侵攻して以来、この地域の社会問題に対しては、常に力による支配が適用されてきました。警察力のことを言っているのではありません。

 土地の住民が独立を宣言する>軍事侵攻して制圧する、あるいは、行政が腐敗する>住民が抗議する>抗議する住民を誘拐して抹殺する。こういったことの繰り返しで、やがて、人々が平和的な手段での要求に愛想をつかし、若者は武装勢力の仲間入りをしています。文化も、法律も役に立たないなら、最後につっかえ棒になるのは宗教しかないかもしれません。しかし、そこで現れる「イスラム」を、武力衝突の原因であるかのように伝えるマスメディアの姿勢には怒りさえ感じます。

 それじゃ、話があべこべです。

 では、どこに原因を求めたらいいのか?

 たとえば、2008年夏、イングーシで一人の男が殺されました。マゴメッド・エブロエフ。ビジネスマンで、反体制派ウェブサイトの管理人。政府に対する抗議活動の最前線にいた、しかし温和な男が、秘密警察に逮捕され、路上で殺害された。武器といえば、カバンの中の雑多な書類だけだった。(くわしい記事)

 平和的な抗議や異議申し立てを暴力で封じ込めれば、やがて別の暴力で仕返しされる。これは「暴力の連鎖」とかの話ではありません。

 最近の人権活動家殺害の事件も含め、メディアがそれぞれの時点で適切な報道をしないから、原因と結果が逆になったような、奇妙な記事になってしまうのではありませんか。そしてこういう報道は、イスラム教を信じる人々への侮辱ではないのでしょうか。ここでは少しきつい言い方になってしまいましたが、メディアに関わっている方々に、お考えいただければありがたいです。(大富亮/チェチェンニュース)

イスラム勢力の自爆テロ?露南部で20人死亡(読売新聞)

【モスクワ=金子亨】ロシア南部イングーシ共和国の中心都市ナズラニで17日朝、爆発物を積んだトラックが警察署敷地内に突入して爆発、タス通信によると警察官ら20人が死亡、子供を含む約80人が負傷した。

 死者数は増える恐れがある。イスラム武装勢力による自爆テロとみられ、メドベージェフ大統領は徹底捜査を命じた。

 トラックは警察署の門を突き破り、建物付近で爆発した。同通信によると、爆発の規模はTNT火薬換算で500キロ〜1トンに上り、警察署が損壊し、周辺の住宅にも被害が及んだ。

 露南部では治安機関や要人を狙ったテロが続発。イングーシでは今月、建設相が執務室で暗殺された。6月にはエフクロフ大統領が自爆テロで重傷を負った。ダゲスタン共和国でも今月、武装集団の襲撃で警察官ら11人が殺害された。いずれも、隣接するチェチェン共和国から侵入したイスラム武装勢力による犯行とみられている。(2009年8月17日21時07分 読売新聞)

転載元

14.Aug 2009 【声明】チェチェン人人権活動家の連続殺害事件について Japanese statement on Killing of Chechen humanrights activists

先月から続く、チェチェンでの連続殺害事件について、チェチェン連絡会議の声明文を発行します。事件をめぐっては、新聞での扱いが小さい上、記事だけでは混乱してしまう部分もあり、この声明では、できるだけ具体的に説明しています。

ぜひ、署名にご協力をお願いします。

【声明】チェチェン人人権活動家の連続殺害事件について

 2009年8月14日
 呼びかけ:チェチェン連絡会議

 ロシア南部、チェチェン共和国において、誘拐・殺害事件が相次いでいます。7月15日、チェチェン人の人権活動家で、ロシアの人権団体「メモリアル」の現地代表を務めていたナターシャ・エステミロワさんが何者かに誘拐され、その日のうちに銃殺遺体となって発見されました。

 また、8月10日には、チェチェンの首都グローズヌイで、「若者を守ろう」という、戦争を経験した若年層や孤児を支援するNGOを運営していた、ザレーマ・サドゥラーエワさんと、夫のアリク・ジャブライロフさんが、二人同時に誘拐されたあと、すぐに銃殺され、翌11日に遺体が自動車のトランクに詰め込まれているのを発見されました。この他にも、大勢の一般市民が、同様の手口で誘拐/殺害されており、その件数は今年になって増加しています。

 暴力の蔓延するチェチェンの中で、勇気をふりしぼって、人権のために活動していた人々が、こうして残酷に殺害されていることを知り、私たちは、悲しみと強い憤りを感じずにはいられません。

 心から、この勇気ある方々のご冥福をお祈りいたします。

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14.Aug 2009 ロシア連邦 : 「人権活動家狩り」に終止符を
amnesty: Russian Federation: Stop the hunt on human rights activists

 「国際社会は、人権活動家の殺害について、ロシア連邦とチェチェン共和国の当局が組織的に実効的な捜査をしないままでいること、それだけでなく、過去数年にわたって起きているその他のあらゆる人権侵害は、当局がこうした犯罪に少なくとも目をつぶっていることの顕著な現れであるという事実を認識しなければならない」

 「ロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領とチェチェン共和国のラムザン・カディロフ大統領は殺人の加害者を見つけると公約しているが、これらにはほとんど意味がない。当局はこれまで過去数年に渡り、北コーカサスで活動する人権活動家、弁護士、ジャーナリストを殺害・拉致した犯人を裁くことがまったくできていない」

 「こうした状況下において、当局がこれらの犯罪を徹底的に捜査し、政権を批判する者の殺害に政府関係者が関与している可能性の調査を続けることが非常に重要だ」と、アムネスティは述べた。

 「国際社会は、ロシア政府に圧力をかけるために具体的かつ結束した行動をとり、免責に終止符を打たなければならない」

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13.Aug 2009 カディロフ、エステミロワ殺害を否定。「どうして俺が誰にも相手にされていない女を殺さなきゃいけないんだ。西側こそ人殺しだ」 Chechen Leader Denies Blame For Killings, Accuses West Of Violence

ラジオ・リバティーによるインタビュー。人権活動家ナターリヤ・エステミロワの誘拐と殺害に関して。

リバティー: 西側では、チェチェンのイメージはずばり暴力ですが、その点どうですか?

カディロフ: いちばんひどい暴力があるのは西側だ。イラクでも、アフガンでも、大勢殺されているじゃないか。パレスチナ人だってそうだ。人権なんかないじゃないか。強制収容所だ。自由なんか西側にはない。誰かが間違ったことを言えば、すぐ敵にされる。

(メモリアルの)オルロフは、俺が大統領で憲法体制の擁護者だってのに批判する。すばらしい奴らだよ。答えてもらおうじゃないか、どうしてカディロフが、誰も相手にしないような女を殺さなきゃいけないのか。

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11.Aug 2009 チェチェンの人権活動家夫妻、自動車のトランクで遺体となって発見Chechen activist, husband found dead in car trunk

 またもやチェチェン人の人権活動家が殺害された。犯人は、ナターリヤ・エステミローワを殺害したのと同じく、ラムザン・カディロフと思われる。チェチェンで、白昼堂々こういう事件を起こせるのはカディロフしかおらず、また、独立派にとっては彼女のような人間を殺す理由がない。

下の記事にあるように、この人物を評価し、手を組むことに決めたザカーエフは、どんな事情が背景にあるとしても、道を誤った。(大富亮)

 8月11日、行方不明になっていたチェチェン人の人権活動家夫婦が、所有する自動車のトランクの中で、遺体となって発見された。銃弾による傷跡があった。  

 ザレーマ・サドゥラーエワと、夫のアリク・ジャブライロフは、所属する団体「セーブ・ジェネレーション」の事務所から10日に誘拐された。同じく人権活動家のナターリヤ・エステミロワが誘拐/殺害されてから、1月と経っていない。  

 人権活動家らは、チェチェンのラムザン・カディロフ大統領(親ロシア派)が、誘拐や拷問、非合法処刑を繰り返していると批判してきた。また、7月15日に起こった、エステミロワ殺害事件についても、同大統領が背後にいると主張している。カディロフ側はこれを否定しているが。  

 カディロフは、「これは社会に対する挑戦だ。チェチェンのすべての人々を脅迫しているんだ」として、(自分以外の)犯人を非難している。

 カディロフは、エステミロワ殺害事件には一切関与していないと言っている。しかし、つい最近のラジオ・リバティーでのインタビューで、公然と彼女について「なんの名誉も、尊厳も、良心のかけらもない奴だった」と非難した。

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03.Aug 2009 ザカーエフと親ロシア派の対話は北コーカサスに平和をもたらすか? Can Chechen Talks Bring Peace To North Caucasus?

 チェチェンニュース名物周回遅れニュースです。先月末、ザカーエフが親ロシア派との会議に、秘密裏に応じていたことが明らかになりました。はたしてザカーエフがチェチェンに帰ると、状況はよくなるのか? 独立派はこれからどうなる? 長年チェチェンをウォッチしてきたリザ・フューラーが論考します。それにしても、オスロって、、、何かこの街には呪いでもあるのでしょうか。

(7/26 ラジオ・リバティー/リザ・フューラー記者)

 7月24日に、亡命中のチェチェン独立派政府のリーダーと、親ロシア派チェチェン政府は、チェチェン民族の和解のための協議を開始していると発表した。この動きは、北コーカサス全体で続いている戦闘に終わりをつげるものになるのだろうか?

 オスロでの記者会見の場で、アフメド・ザカーエフ(2007年終わりから、イチケリア・チェチェン共和国亡命政府の首相)は、チェチェン親ロシア派政府代表との民族的和解のための「協議」を行っていることを明らかにした。

 この会見は、2日間にわたって、ザカーエフと、親ロシア派のラムザン・カディロフに近いドゥクヴァハ・アブドゥラハノフ/チェチェン議会議長との、2日間にわたる会談の後で行われた。

 双方がオスロで最初の会合を持ったのはすでに4週間前で、次回、3度目の会合は、2週間後にザカーエフの亡命先のロンドンで開かれることになっている。

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11.Aug 2009 日経:チェチェンで人権活動家殺害 武装勢力、7月に続き Abducted activist, husband dead in Chechnya

 なお、この記事のタイトルにおける「武装勢力」という言葉は、「親ロシア派武装勢力」とするべきだ。そうでなければ、「親ロ大統領派か」。それがだめならとった方がいいと思う。

【モスクワ=金子夏樹】インタファクス通信によると11日、ロシア南部チェチェン共和国で人権活動家のザレマ・サドゥラエワさんとその夫の遺体が発見された。10日に共和国の首都グロズヌイで武装勢力に拉致され、殺害された。ザレマさんはチェチェン紛争で身体や精神に障害を負った若者に医薬品や精神的ケアを提供する非政府組織(NGO)の代表を務めていた。

 チェチェンでは7月に、女性人権活動家ナタリヤ・エステミロワさんが殺害されるなど治安の悪化が目立っている。人権団体はカディロフ共和国大統領が関与していると批判している。(21:01)

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21.Jul 2009 殺されたのは私たちだ
チェチェンニュース #300 They killed us, not only her.

 こうなったのは、8年前のちょうどいまごろ、人道援助物資を運んでいたチェチェンのゲヒで、ロシア軍に撃たれ、数ヶ月の苦しみのあとで死んだ、ヴィクトル・ポプコフの死が皮切りだったような気がする。

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20.Jul 2009 「そうだ、俺の腕は血で染まっている。恥ずかしいなんて思ったことはないぞ。悪い奴は殺してきたし、これからだってそうだ。俺たちは共和国の敵と闘っているんだからな」
"Yes, my arms are elbow-deep in blood; and I'm not ashamed of it. I've been killing and I'll keep killing bad people. We're at war with enemies of our republic."

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ナターリヤ殺害についての7月16日のメモリアルの声明の要点。

「そうだ、俺の腕は血で染まっている。恥ずかしいなんて思ったことはないぞ。悪い奴は殺してきたし、これからだってそうだ。俺たちは共和国の敵と闘っているんだからな」(ラムザン・カディロフの発言)

・ラムザン・カディロフ(親ロシア派チェチェン大統領)は現在、チェチェンでのすべての人権保護活動を阻害している。

・ロシアは国家テロ体制下にある。

・真実を述べ、政府を批判するものは、暗殺される。

・ナターリヤ・エステミローワの死は、そのような政策の結果である。

・北コーカサスで、10年にわたってメモリアルの活動を率いてきたナターリヤ・エステミローワを誰が殺したか、それを知らない人権活動家はいない。彼女の活動は、チェチェンで起こっている真実を伝えることであり、殺人者の目的は、その情報が外部に流れることを阻止するためだった。

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24.Jul 2009 8月1日、青山正さんを送り出す集いにご参加ください

 市民メディア「ピースネットニュース」の発行人であり、日本のチェチェン支援運動を、最初から支えてきた青山正さんが、長野で農業を始めることになりました。そこで、送る集いが開かれます。

 1995年、第一次チェチェン侵攻が起こったとき、日本山の寺沢潤世上人やジャーナリストの林克明さんが現地に飛び込み、悲惨な現実を日本に伝えました。その時、市民平和基金というNGOを立ち上げた方の一人が、青山正さんです。

 (思えば、大富がチェチェン支援に加わったのは1999年のことで、青山さんが、私を市民平和基金の専従にあてがったのが始まりでした。拾ってもらったというのに、反抗して困らせたことも数知れず。懐の大きい人です)

 チェチェン連絡会議の代表だけでなく、無党派の一市民として、様々な平和運動・非暴力運動の現場に関わってきた、運動関係者のハブと言ってもいい人です。そこで、これまでピースネットや青山さんに縁があった方々に集まってもらって、これからの新しいネットワークの出発点にしたいと思います。

 青山さんを直接知らない方にとっても、さまざまな出会いの機会になると思います。ぜひご参加下さい。なお、参加される方は一応、事前にご連絡ください。   

peacenet@jca.apc.org

新たな出発(たびだち)へ!
ピースネットニュースの21年間を振り返り、青山正さんを送り出す集い

 日時:8月1日(土)午後1時半〜4時半
 会場:文京区民センター3A

 http://www.city.bunkyo.lg.jp/gmap/detail.php?id=1754

 主催:8・1集い実行委員会

 参加費:一般3000円、学生・フリーターなど1500円

 飲食付き、記録ビデオの上映あり、歌もあります。

18.Jul 2009 アムネスティ:人権活動家が暗殺される
Russian Federation: Human rights activist murdered

 「ナタリア・エステミロワは、いかなるときも他者の人権を守ろうとした、最も勇気ある、素晴らしい女性だった。エステミロワは私たちにとってかけがえのない人であり、友人だった」と、アイリーン・カーンは語った。

 チェチェンのグロズヌイで活動するロシアの人権NGO「メモリアル」の中心的な活動家の一人だったナタリア・エステミロワは、現地時間の15日午前8時半に誘拐された。彼女は白い車(VAZ-2107)の中に引きずり込まれ、車はどこかに走り去った。目撃者によると、ナタリア・エステミロワは誘拐されたときに大声で叫ぼうとしていたという。

 ナタリア・エステミロワの殺害は、ロシアで活動する人権擁護活動家が危険にさらされている状況にさらなる注目を集めた。今回の事件は、今年初めに人権派弁護士のスタニスラフ・マルケロフとジャーナリストのアナスタシア・バブローワが暗殺されたことに続くものである。両者はいずれも2006年に殺されたジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤの親しい友人だった。

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17.Jul 2009 「エステミロワを殺したのは、カディロフかロシア特務機関だ」アンドレイ・バビツキーほかのコメント "Estemirova killed by Kadyrov"

 グローズヌイで誘拐をできるのはそうたくさんいない、カディロフの許可なしにそんなことはできない、となるとカディロフの手の者か ロシアの特務機関かどちらかの仕業でしかありえない。チェチェンとロシアの当局をはっきりわけてみることはなく、チェチェンはロシアの欠かすことのできない一部をなしており、この二つは一国のなかで行動している。今まで、当局は人権活動家には手を出さないできた。  今回の殺害事件は状況を根本的に変えてしまう。チェチェンで行われている犯罪行為についての最後の情報源だった、人権活動家が殺されたのだ。国際社会はこのことに目を向けるべき。おそろしい犯罪について伝えるものがいなくなる。 チェチェンで人がさらわれず、拷問にかけられず、殺されないよう訴えたたかうものがいなくなる。超えてはならない一線を越えてしまう事件が起きてしまった。

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16.Jul 2009 HRW声明:チェチェンの人権活動家、殺害される──ロシア当局は、ナタリア・エステミロバ氏の殺害の責任を追求すべき
Russia: Leading Chechnya Rights Activist Murdered/Authorities Should Ensure Justice for Killing of Natalia Estemirova

(モスクワ)チェチェンの著名な人権活動家であるナタリア・エステミロバ氏が、7月15日にイングーシで射殺され発見された、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。チェチェンで続く、深刻な人権侵害を明らかにしてきた人権活動家の殺害は、2009年に入りエステミロバ氏が2人目となる。ヒューマン・ライツ・ウォッチはロシア当局に対し、独立した、透明性のある捜査を包括的に行うよう求めた。

 エステミロバ氏の殺害は、特にチェチェンで起きている、人権侵害の責任を追求する弁護士に対しての、相次ぐ攻撃や殺害の中で最も最近の事件である。今年の1月、カディロフ大統領から拷問を受けたと主張していたチェチェン人のウマール・イスライロフが、亡命先のウィーンにて、白昼公然と射殺された。この事件から1週間も経たないうちに、著名な人権弁護士であり、チェチェンでの人権侵害の被害者の弁護をしていたスタニスラフ・マルケロフが、モスクワでの記者会見を終えた直後に射殺された。一緒にいたジャーナリスト、アナスタシア・バブロワも殺害された。これらの事件で逮捕された者はまだいない。

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16.Jul 2009 ナターリヤ・エステミロワが殺された!
Chechen humanright activist found dead

(写真はHRWのサイトより)

 以前ある国会議員の秘書の方が、「今、世界中の人権運動でチェチェンが注目されてます。誰も見ていないところで、本当にひどいことになっていると、みんな言ってます」と言っていた。

 誰も見ていないことが、チェチェン紛争の特徴の一つだ。そして、少しでも伝えようとする人間は、政府に殺される。また起こってしまった。アンナ・ポリトコフスカヤのチェチェンでの仕事を、チェチェン語のスピーカーとして支えていたエステミロワが殺された。

 ヒューマンライツ・ウォッチのスタッフで、ナターリャと何度も仕事をしているタチアーナ・ロクシーナは、この事件の犯人がカディロフ傀儡政権だと見ている。こちらはTさんが寄せてくれたニュース。

今ラジオリバティでこの記事を読みあわててひとこと。

 メモリアルの職員でありノーヴァヤ・ガゼータの記者であるナタリア・エステミロワが水曜日の朝、グローズヌイで誘拐・殺害されました。

 遺骸が発見されたのは、イングーシのナズラン地区ガジーーユルタで、7月15日の夕方。この日の朝、彼女は消息不明となっていた。

 メモリアルのアレクサンドルチェルカソフによると以下のとおり。

 「いくつもの会見を予定していたのに、彼女はどこにも現れず連絡もとれなくなった。彼女の家に行くと、ナターリャが拘束され、車に放り込まれ運び去られたという目撃者たちがいた。そのときナターリャは「誘拐される」と叫んでいたという。家の入り口から 車までは彼女の誘拐の手引きとおぼしき女性が付き添っていた」

 ナターリャはコーカサスでのメモリアル代表のひとり、彼女の仕事に対して、チェチェン政府は幾度となく不満を表明していた。彼女は2007年にアンナ・ポリトコフスカヤ賞を受賞している。彼女はチェチェンだけでなく全ロシア規模で有名な社会運動家であり、彼女の身に何か起きれば、それはロシア全体の恥だとメモリアルの職員は言う。

 以前にメモリアルのオレグ・オルロフが誘拐された時は、暴行されたあと山の中に捨てられていた。脅しだった。ヒューマンライツ・ウオッチのタチヤーナ・ロクシナ曰く、「チェチェンでナターリャといっしょに仕事をしてもどったばかりだが チェチェンでは見せしめの死刑や放火が行われている。彼女は第二次チェチェン戦争のとき、拷問、超法規的処刑、誘拐というもっとも恐ろしい犯罪を記録し続けてきた主要なひとたちのひとり。現在でもチェチェンで仕事を続け、カディロフ支配下の取締機関がどんな犯罪行為を行っているかを語っている数少ない人物のひとり。国際組織が得る一次情報は彼女によるもの」という。

Убита Наталья Эстемирова

以下は毎日新聞より。

 【モスクワ大木俊治】タス通信などによると、ロシア南部チェチェン共和国の首都グロズヌイで15日、女性人権活動家のナタリヤ・エステミロワさんが誘拐され、同日夕、隣接するイングーシ共和国の森林で遺体で発見された。チェチェン共和国内務省の当局者はロイター通信に「頭部に2カ所の傷があり、殺害されたのは明白だ」と語った。

続きを読む:ロシア:チェチェン人の女性人権活動家殺害される


 彼女の関わった記事を、いくつか紹介します。

アンナ・ポリトコフスカヤ
チェチェン民族強制移住の記念碑移動計画が開く傷口
生き延びるために
アンナの生まれ故郷での追悼集会
PW: カタヤマ地区の住民、「石油連隊」に抗議

02.Jul 2009 HRW: ロシア:チェチェンで横行する集団的懲罰を止めよ
HRW: Russia: Stop Collective Punishment in Chechnya

 国際的な人権団体、ヒューマンライツ・ウォッチのプレスリリースが、ついに日本語で読めるようになった! そしてチェチェンについては:

(モスクワ)ロシア連邦とチェチェン共和国の両当局は、チェチェン武装組織メンバー容疑者の親族の家を焼き討するなどの集団的な懲罰行為を直ちに止め、同地域でおきた人権侵害の加害者の責任を追及するべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表した報告書で述べた。

「ロシア政府は、チェチェンでの「対テロ活動」は終了したと宣言した。しかし、現地で人権侵害が続いていることは確実だ」とヒューマン・ライツ・ウォッチロシア事務所のディレクター代理タニヤ・ロクシナは述べた。「ある人物が犯罪を犯したからといって、本人ではない親族の家を焼き討ちするのは、法に違反した戦略だ。ロシア政府は、こうした集団懲罰行為を止め、容疑者本人の責任を追及するべきである。」

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09.Jul 2009 ロシア連邦:説明責任こそが北コーカサス正常化のカギ
Russian Federation: Accountability is key to normalization in North Caucasus

 相変わらずきなくさい北コーカサスについて、アムネスティが報告を出しました。プレスリリースが掲載されていましたので、ぜひお読みください。

 過去10年以上に渡って行われてきた人権侵害に対して、十分に説明責任を果たすことのみが、チェチェン共和国と北コーカサスの真の正常化をもたらすと、アムネスティ・インターナショナルは本日発表された報告書の中で述べた。

 『法なき支配:北コーカサスでの人権侵害』と名づけられたこの報告書は、免責の風潮のなか今なお続いているチェチェン共和国、イングーシ共和国、ダゲスタン共和国、カバルダ・バルカル共和国における人権侵害について、特に言及している。この報告書は、無差別殺害、武力の過剰な行使、拘禁中の死亡や拷問、恣意的および秘密裏の拘禁、拉致、人権活動家やフリージャーナリストたちへの脅迫、戦闘員と目される人びとの親族への攻撃、国内避難民の立ち退きの強制などについての証言に基づくものである。

...同時にアムネスティは、チェチェン、イングーシ、カバルダ・バルカルで、多くの人びとが強要された自白や、拷問により引き出された証言により「テロ」関連の犯罪で有罪とされ、一方で、チェチェンでの武力紛争下において人権侵害にかかわった法執行官は無罪放免となっている、との報告を受けている。

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07.Jul 2009 ロシア陪審制度についてのコメント

アンナポリトコフスカヤの裁判について、陪審制度の面で発言をされている、 東京大学社会科学研究所の小森田秋夫先生が、NHKラジオ第一で、 陪審制度についてひとこと話します。今日7月7日6時29分頃から15分ほど。

番組情報


28.Jun 2009 チェチェンニュース No.297
ChechenNews No.297

アンナ・ポリトコフスカヤ裁判と、イングーシの情勢についての考察をまとめました。

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24.Jun 2009 アンナ殺害犯[無罪]を露最高裁が破棄
court orders retrial in Anna Politkovskaya murder case

【読売新聞6/25 モスクワ=浜砂雅一】ロシアのプーチン体制のチェチェン政策を批判していた女性記者アンナ・ポリトコフスカヤさんが2006年に殺害された事件で、ロシア最高裁は25日、殺人ほう助罪などで起訴された元警察官ら3人を無罪としたモスクワ地区軍事裁判所の判決を破棄し、審理のやり直しを命じた。

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22.Jun 2009 共同通信:共和国大統領暗殺で自爆テロ ロシア南部イングーシ
Assassination attempt on Ingush president

上記の記事を見てこのサイトに来てくださった方々へ 北コーカサスは、政府当局の腐敗と人権弾圧が年々悪化しており、これに対する武装勢力(チェチェンであれ、イングーシ人であれ)による抵抗活動は、こういった形で顕在化しています。この点についてよりくわしくは、こちらの報告書などをご覧ください。なお今日現在、下記の緊急ニュースの方が、より重要であるように思われます。ぜひご一読ください。(編集人)

22.Jun 2009 緊急! エジプトのチェチェン人学生、強制送還/拷問と虐待の恐れ
Urgent action to Egiptian authority: Do not extradite the Chechens!

 アムネスティ・インターナショナルからの緊急情報です。

 エジプトで勉強しているチェチェン人の学生が、ロシアに強制送還されそうなので、エジプト当局にメールとファックスで要請をしてください。助けられるかもしれませんので、ぜひご協力を。とりあえず、次のテキストをコピーしてメールを送ってください。事情はメールの下に記してあります。


ここから

メールのタイトル:[URGENT] Do not extradite the Chechens!
宛先:moi@idsc.gov.eg
CC: egyptemb@leaf.ocn.ne.jp

本文:
Minster of Interior
Minister Habib Ibrahim El Adly
Ministry of the Interior

Dear Minister

I am writing to express my great concern for Maskhud Abdullaev or any other nationals, who would be at risk of torture or other ill-treatment if returned to Russia. I urge you not to forcibly return them.
And I call on you to allow them to meet representatives of the Office of the UN High Commissioner for Refugees (UNHCR) in Cairo to assess their protection needs.
I also urge you to grant them access to lawyers of their choice to challenge their deportation, their families, and provide them with any medical attention they may require.
Thank you for your prompt attention to the above.
Respectfully Yours

あなたの名前:

Cc: Prosecutor General Counsellor Abd El-Megeed Mahmoud
Deputy Assistant Minister of Foreign Affairs for Human Rights
Ambassador of the Arab Republic of Egypt in Japan

ここまで


そして、次のPDF書類をダウンロードして、記入してある4つの番号にファックスしてください。駐日エジプト大使館だけでもかまいません。

http://chechennews.org/dl/donot_chechens_20090622.pdf

A4一枚にすべてパッケージしてあります。ぜひご協力ください!

くわしい事情を読む


16.Jun 2009 毎日新聞 ロシア:北カフカス、相次ぐ要人暗殺 治安強化策、成果出ず

【モスクワ大前仁】ロシア南部の北カフカス地方で治安・司法当局幹部の暗殺が相次いでいる。同地方は2度にわたるチェチェン紛争を引き起こした「火薬庫」で、メドベージェフ大統領が現地を緊急視察するなど安定化に取り組んでいるが、治安悪化を防ぐ有効策は見つかっていない。

 イングーシ共和国の主要都市ナズランでは10日、共和国最高裁のガスゲレエバ副長官が狙撃され死亡した。副長官が04年に起きたチェチェン武装勢力による襲撃事件を捜査していたことから襲われた模様だ。

 一方、チェチェン共和国では4月、99年から敷かれていた「対テロ作戦体制」が解除され、表面的な安定が強調されているが、共和国のカディロフ大統領が強権体制を敷いていることに懸念の声が上がる。ロイター通信は、ダゲスタンやイングーシが安定化しない理由について、連邦政府がカディロフ氏のような強権者の出現を警戒し、両共和国の指導部に十分な権限を与えていないため、と分析している。

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09.Jun 2009 「ウマーロフを負傷させた」カディロフ発言
Reuters: Kadyrov Says Rebel Leader Injured

(6月9日モスクワタイムズ) チェチェン親ロシア派大統領のラムザン・カディロフは、6月8日月曜に記者に対して、独立派リーダーのドック・ウマーロフ(大統領)に「重傷を負わせたが、死亡は確認していない」と発言した。ウマーロフ殲滅のための特殊作戦は、部下のアダム・デリムハーノフ大統領顧問が行ったとしている。デリムハーノフはドバイで元チェチェンの野戦司令官ヤマダエフを殺害したとして、ドバイ当局から指名手配を受けている。

 インターファックス通信は、ロシア当局者のコメントとして、ウマーロフの死を伝えたが、今のところ未確認のままである。

 ウマーロフは、2006年にロシア軍に殺害されたアブドゥルハリム・サドゥラーエフ前大統領(独立派)の後をついでチェチェン独立派のリーダーとなっていた。

http://www.moscowtimes.ru/article/1010/42/378305.htm

ウマーロフへのインタビュー(アンドレイ・バビツキーによる)http://d.hatena.ne.jp/chechen/20051015/1129394251

06.Jun 2009 「メランコリーの3つの部屋」

「メランコリーの3つの部屋」というフィンランド制作のドキュメンタリーがあります。テレビがない我が家のために(?)あるひとが、トランスクリプションを作ってくれたので、掲載します。ご覧になっていない方はどうぞ。雰囲気のある作品のようです。

第1の部屋 クロンシュタット

 サンクト・ペテルブルクから近いクロンシュタット島。

 ここには、全寮制の学校がある。孤児や恵まれない子どもが収容されているが、特にチェチェン紛争で親を失ったロシア人の子どもたちが入れられている。

 早朝、まだ真っ暗なうちから起床命令の放送が流れ、軍服を着て、庭に集合する子ら。大佐に大声であいさつ。

 体育館で走ったり、懸垂をする子どもら。

 コーリャ、11歳。ストリート・チルドレンだった。黒海沿岸の出身。空き瓶を集めて本人が母と呼ぶ女性のために空き瓶を集めて生計を助けていたが、彼女はコーリャを孤児だと主張し、この学校に入れた。

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03.Jun 2009 ロシア:首相辞任要求、反体制派の33人をモスクワで拘束

少し前のニュースですが、毎日新聞より。ロシアの民主派、もうひとつのロシアと民族ボリシェビキ党が街頭でがんばっています。

 【モスクワ大前仁】モスクワ中心部で5月31日、ロシアの反体制派「もう一つのロシア」がプーチン首相辞任などを求める無許可集会を開こうとしたところ、警察当局が制止し、33人を拘束したと発表した。  集会の主催者は「プーチン首相が経済危機への対応に失敗した」と批判し、首相辞任や雇用確保を訴える予定だった。ロシアでは今年に入り、経済危機が深刻化したことから、抗議集会やデモが頻繁に開かれている。

http://tinyurl.com/pq2wep



01.Jun 2009 難民支援カンパにご協力ください!

 チェチェンも含め、結構日本には大勢の難民が来ています。しかしこのところ急増しているので、難民のための公的な支援金の「保護費」が不足しており、難民たちは在留資格の不安定に加えて、経済的に追い詰められています。 以下のサイトから、カンパができます。クレジットカード、銀行振込、郵便振替が選択できます。 ぜひ、ご協力をよろしくおねがいします。

http://www.refugee.or.jp/support/kifu_2009em.shtml



28.May 2009 イスタンブール・ロシア領事館前でチェチェン連帯集会
circassian genocide protest in Istanbul

(5/25 カフカスヤフォルム/Can Kesgin) 5月24日日曜日、トルコに住むコーカサスのディアスポラたちが、イスタンブール、タキシム広場近くのロシア領事館前で400人規模の抗議集会を行った。

 われわれの主張は、「コーカサスにおけるジェノサイドの歴史を認めろ」というものだ。サイレントデモも予定されていたが、警察側がこれを許可しなかった。集まった人々は、アディゲ、チェチェン、アブハジアをはじめとする、コーカサス連合諸国の人々(ディアスポラが中心)。

 現場では、次のような主催者の声明が読み上げられた。「18世紀以来、コーカサスの人々に対するロシアのジェノサイドは続いている。とくにチェルケス人は大きな被害を蒙ってきた。95%ものアディゲ人は祖国からの移住を余儀なくされた」

 ロシアの植民地政策はいま、主にチェチェンで実行されている。コーカサスのディアスポラは、ジェノサイドを忘れることも、祖国を忘れることも決してない。われわれはロシアに対して、このジェノサイドと不正義を改めることを要求する。なかんずく、チェチェンでのそれを。

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10.May 2009 【声明】プーチン首相を逮捕せよ!!
Арестуй премьера РФ Путина !

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 明日5月11日、ロシアのプーチン首相が日本を訪問します。チェチェン連絡会議は、今回の訪日に合わせ、プーチン首相の訴追を提起します。

 5月12日は、チェチェン・ロシア平和条約が結ばれた記念日です。

 ぜひご賛同をお願いします。また、転送、転載を歓迎します。

【声明】

 プーチン首相を逮捕せよ! ウラジーミル・プーチン ロシア首相の日本訪問に際して

 2009年5月11日から13日にかけて、ロシアの前大統領でもあるプーチン首相が日本を訪問します。この機会に際して、チェチェンにおける平和と人権の確立を求めてきた、私たち日本に住む市民は、チェチェン・ロシア国内における、市民、ジャーナリスト・人権活動家への相次ぐ弾圧をただちに中止するようプーチン首相に要求するとともに、国際社会に向けて、対チェチェン軍事侵攻の責任者であるプーチン首相を、国際法のもとに逮捕・起訴し、ジェノサイドの罪、人道に対する罪で裁くことを提起します。

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遅ればせながら、チラシのpdfファイルをダウンロードできるようにしました。

チラシ表面/チラシ裏面



06.May 2009 プーチン首相を逮捕する
To try Mr.Putin

5月11日、ロシアのプーチン首相が来日します。

 この機会にプーチンを、人道に対する罪その他で逮捕できないかと考えたのが、この記事の始まりでした。もちろん、日本政府が今回そんな動きに出る可能性は、万に一つもありません。

 しかし、チェチェンの悲惨な戦争を遂行した張本人が、裁かれない=責任を追求されないなら、これからの世界では同じような虐殺が別の場所でも行われるでしょう。

 虐殺のモラルハザードを防ぐために、できることを模索しましょう。

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3.May 2009 ヤマダーエフ殺害事件から見えてくるもの

(岡田一男 映像作家) 日本のマスコミでも朝日新聞が、4月17日に大きくページを割いて報道したが、ロシアのマスコミでは、3月末以来、チェチェン共和国第2の都市、グーデルメスを根拠地としてきた、軍閥、ヤマダーエフ六人兄弟の四男スリム(1973年生まれ=スレイマン)・ヤマダーエフ予備役中佐(一説には現役大佐)、ロシア連邦英雄、ロシア陸軍参謀本部諜報局(GRU)直轄特殊部隊「ヴォストーク(東)」前司令官の首長国連邦ドバイでの「横死」が、紙面・ウェブスペースを賑わせてきた。3月28日土曜日は、ドバイで最も大規模な国際イベントの開催日であった。世界最高賞金競馬、ドバイ・ワールド・カップレースが、ナド・アル・シバ競馬場でにぎにぎしく行われたのだ。日本からも3頭が招かれ出走した。競馬ファンならずとも武豊騎手とか、「ウォッカ」と言った馬名は聞いたことはあるだろう。チェチェン共和国大統領ラムザン・カディロフが、2008年6月に数十万ドルを投じて米国から購入した持ち馬、「レースカー・ラプソディー」2005年生まれ、鹿毛の牡馬も出走を目指していて、カディロフは配下多数をドバイに派遣していた。その関係者が、ドバイ警察からロシア市民、スレイマン・マードフ氏(スリム・ヤマダーエフの偽名)「殺害」の容疑をかけられたのだ。

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25.Apr 2009 チェチェンニュース No.287 チェチェン書評、<ナクバ60年>を問うなど ChechenNews No.287

 パレスチナに関わっている研究者の早尾貴紀さんが、チェチェンの本をまとめて書評してくれました。短いながらも的を得た評だと思いました。ご紹介します。


孤児で棄民で入植者で戦争体験者、そしてチェチェン人と「兄弟」となったロシア人少年の物語

暗殺されたロシア人ジャーナリスト、ポリトコフスカヤの三冊

チェチェン問題でもっともコンパクトな入門書-大富亮『チェチェン紛争』

チェチェンの人びとの伝統的倫理を理解するために-『チェチェン民族学序説』


 「コーカサスの金色の雲」についての早尾さんの批評から、一部引用します:


 ナチスへの「協力」の嫌疑からシベリアなどの追放されたチェチェン人の村に、さまざまな苦しい事情をかかえたロシア人たちが、「入植者」として送り込まれてきます。土地と家を奪われたチェチェン人たちからすれば、彼らは侵略者・加害者でしかありませんが、しかし、中央権力からすると、巨大な統治手段として、あちこちと意図的に錯綜させた強制的住民移住の一側面。

 しかも郷土の奪還を目指すパルチザンたちの攻撃に怯えて暮らさざるをえない、各地からチェチェンへの入植者たちは、社会から排除された「訳あり者」たちばかり。サーシカとコーリカもまた、孤児で盗みの常習犯。その周辺の登場人物たちもまた、好き好んでチェチェンに来ていたわけではなかった。が、必然的にチェチェン人たちの土地と財産を「収奪」もしていたし、にもかかわらず自分たちが攻撃を「仕掛けられる側」の被害者だと思っていた。

 この部分を読んだときに、私の中でずっと宙ぶらりんになっていたサーシカとコーリカに、居場所が見つかったという気がしました。


 さて、話は少し変わりますが、じつは3月に刊行した「チェチェン民族学序説」には、巻末資料として、チェチェン共和国憲法や、チェチェン・ロシア平和条約などの重要文書も収めています。これについての解説を、私なりにまとめていたので、次のサイトに掲載します。しろうとが書いたものですので、法律を研究されている方からのご意見が伺えればうれしいです。


 まだお持ちでない方は、ぜひお買い上げ、または図書館へのリクエストをお願いします。


「『チェチェン戦争』という名のクーデター」

 明日はパレスチナ関係の大切な集会があります。ぜひご参加ください。

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18.Apr 2009 トルストイ著「カフカースのとりこ」群像社より新訳刊行!
Newly translated Tolstoy`s "The prisoner of Caucasus"

 小さな自然の驚異を見つめる大作家の目--群像社から、トルストイの「カフカースのとりこ」が刊行されたそうです。ドストエフスキイとならぶロシアの文豪として知られるトルストイは、有名な大長編だけでなく、自分で猟に出かけたり蜜蜂を飼ったり農作業をしたりしてその体験や村の人々の話をもとに子供向けの短い作品をたくさん書いていました。ロシアの農村のくらしや動植物の不思議な力を驚きの目をもって見つめた短編と、いまだに続くチェチェン戦争の戦地カフカース(コーカサス)での従軍体験をもとに書かれた中編を新訳。

 チェチェンで囚われの身になるロシア人、というテーマは、昔から多くの作家に受け継がれてきたテーマです。ぜひ買って読んでみたいと思います。(富)

 定 価:1000円+税
 著者:トルストイ
 訳者:青木明子
 さし絵:ナターリヤ・チャルーシナ
 ISBN4-903619-14-9

出版社の紹介サイト



17.Apr 2009 チェチェンニュース No.286 ロシア政府のメディア戦術に警戒をChechenNews No.286

 今回のタイトルは、次のような要素を検討してつけてみました。

 1.16日、チェチェンにおけるロシア側の「対テロ作戦」が終了するというロシア政府の発表がありましたが、マスメディアでは、これで「チェチェン紛争が公式に終結する」と伝えるところが多く、二つの意味で、無知をさらけ出していると考えます。くわしくは本文で。

 2.「ロシア軍が撤退する」という宣伝は、2001年と、今年3月末と昨日と、都合3回以上発表されていますが、これには日本を含む西側の世論対策という面があります。そしてチェチェン紛争「終結」報道と同じ日に、プーチン大統領の日本訪問が発表されました。これはセットです。マスメディアの方々にはロシア側のプロパガンダに注意して、批判的に状況を捉えていただきたいと思います。 (大富亮/チェチェンニュース発行人)

*チェチェン対テロ作戦体制『終結』報道について
*プーチン・ロシア首相:5月11日来日
*アムネスティ:著名な人権活動家が襲撃される
*HRW: チェチェンで続く人権侵害ーー武装勢力の身内の家が焼かれている
*トルストイ「カフカースのとりこ」新訳刊行!
*イベント情報

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15.Apr 2009 アムネスティ:著名な人権活動家が襲撃される Russian Federation: Attack on prominent human rights activist

人権活動家レフ・ポノマレフが襲撃された事件に関して、ロシア連邦当局は完全かつ独立した調査を実施しなければならない。この襲撃に関与した者は裁判にかけられるべきである、と本日アムネスティ・インターナショナルは述べた。

 「人権活動家や市民社会活動家、弁護士、ジャーナリストに対するあまりにも多くの虐待行為が罰せられないままであり、加害者は自分たちの行動はまったく責任を問われることはないと思い込んでいる」と、アムネスティの欧州・中央アジア部長ニコラ・ダックワースは述べた。

 「ドミトリー・メドベージェフ大統領とロシア連邦政府は、人権擁護活動家に対し反感を持つ風潮が高まっている状況を明確に非難し、このような虐待行為は、個人的なものにせよ、あるいは政府関係者によるものにせよ容認できるものではない、というメッセージを送るべきである」

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14.Apr 2009 【今日】緊急上映「冬の兵士」@渋谷

 「湾岸戦争の子どもたち」写真展UKツアーの藤澤みどりです。

 『冬の兵士 イラクとアフガニスタン 占領の目撃証言』(仮題/原書はWinter Soldier Iraq and Afghanistan: Eyewitness Accounts of the Occupations )は、昨年3月に反戦イラク帰還兵の会によって開催された公開証言集会「冬の兵士」の証言を記録したもので、昨年秋、アメリカで緊急出版されました。

 この証言集会は、かつてヴェトナム戦争時に、帰還兵たちが戦場での過酷な現実と自らの罪をアメリカ国民に訴えた集会「冬の兵士」に習ったもので、兵士たちの証言は当時、反戦運動の原動力の一つとなりました。今回はイラクとアフガニスタンからの帰還兵たちが証言に立ち、極端な人種差別や交戦ルールの無視など、いままさに起きている戦場と軍隊の現実をあからさまに証言しています。

* 2009年4月14日火曜日
* 会場 渋谷アップリンク・ファクトリー
* 地図 http://www.uplink.co.jp/info/map.html
* 料金 前売および予約 500円/当日 700円
* 時間 開場 午後4時50分   上映 5時〜6時20分 監督のトーク&質疑応答 上映後6時40分まで


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09.Apr 2009 鈴木宗男/佐藤優「北方領土『特命交渉』」

北方領土「特命交渉」

 思うところあって、チェチェン専門書以外の本でチェチェンについて書いてあったら書評してみる。強調はいずれも筆者(大富)。

 この本の「外務省の暴走」という見出しの下に、鈴木宗男氏のこういう発言があった。

 ちょうど同じ時期(99年9月)、G8外相会議でアメリカやイギリスが中心になって、人権問題でロシアを叩こうという動きがあった。外務省は、河野(洋平)さんという人権派の政治家が外相になったのをいいことに、この動きに同調しようとした。しかし、日本は、橋本龍太郎、小渕恵三という二人の内閣総理大臣が、「チェチェン問題はロシアの国内問題であり、ロシアが解決すべき問題だ」と明言しているのです。

 そのような経緯があるにもかかわらず、アメリカ、イギリスのお先棒を担いでロシアを叩くというのは、内閣総理大臣が定めた日本政府の方針を無視した暴走でしかありません。

 ーー私が間違っていたとは思っていません。国際テロの脅威と闘っているというロシアの主張には客観的根拠がありました。(p120)

 ・・・というわけで、鈴木氏はこの動きの張本人であった竹内行夫総合政策局長(当時)に「厳しく問いただし」たのだという。それで恨みを買って云々、とこのしょうもない話はつづくわけだが、99年というのは、チェチェン戦争がもっとも激しかった時、というより、一方的なロシア軍の空爆で一般市民の上に爆弾がどんどこどんどこ落とされていた時期である。(もちろん、といっては悲しいが、「客観的根拠」は書かれていない)

 その時期に、出所不明の「国際テロの脅威」とチェチェンを勝手に結びつけて、西側諸国としてのロシア非難決議への参加をやめさせたことが、お手柄話として語られるところに、この人たちの凄さというか、凄いズレがある。

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05.Apr 2009 対テロ作戦終了と内務省軍撤退はエイプリル・フールだったみたい
TROOPS WILL STAY IN CHECHNYA

 チェチェンにおける対テロ作戦は終わらないーー3月31日に開かれた国家対テロ委員会は、メドベージェフ大統領にあてた対テロ作戦終了の勧告を採択せず、今後の議論に委ねるとした。その一方、作戦体制は緩和されるとされ、チェチェン共和国側には独自の国際空港と通関の設置/運営が許可される見通し。

 対テロ委員会の長、アレクサンドル・ボルトニコフFSB長官はこう言う。「対テロ作戦の終了は、FSB、内務省、国防省の協議に委ねられる。その上でメドベージェフ大統領に報告が行われる」と。

 推測するに、カディロフがプーチンと会ってロシア軍の撤退を求めたところ「うん、前向きに」とか何とか言われてその気になって周囲にしゃべりまくり、ロシア側もちょうどいいガス抜きとばかりに「撤退するかも」と言って応じ、ちょうど4月1日のメドベージェフ・オバマ会談に向けてた雰囲気作りをしていたということか。

 せっかくだから、「チェチェン戦争はなかった」くらいのネタを繰り出せばいいのにな。

チェチェン駐留軍の撤退はキャンセル コメルサント

米ロ核軍縮方針合意 ロシアの狙いは東欧で失地回復



1.Apr 2009 人権活動家レフ・ポノマリョフ氏がモスクワで暴行された
Prominent Rights Activist Attacked In Moscow

 67歳の人権活動家、レフ・ポノマリョフ氏(写真)が、自宅前で何者かに襲撃され、顔と上半身を負傷した。「自宅の前で車を降りたとき、男が現れて〈火を貸してくれ〉と言うので、〈吸わないから持ってないんだ〉と答えたら、後ろから別の男が殴りつけてきた。私は倒れて、彼らは何度も蹴った。10分か15分くらい」

 ポノマリョフ氏は「メモリアル」の創設者の一人で、反体制運動「連帯」のリーダーでもある。1993年から95年まで、下院議員も務めた。いくつかの国を相手取った訴訟にも参加しており、本人は今回の暴行の動機もそれらに関わっているのではないかと語っている。(4/1 ラジオリバティーより 抄訳)

Prominent_Rights_Activist_Attacked_In_Moscow



31.Mar 2009 チェチェンニュース283号 いろいろまとめて

* ロシア軍2万人がチェチェン撤退か?
* ロシア下院議長、チェチェン撤兵を検討へ
* プーチン・カディロフ会談と経済危機
* スリム・ヤマダーエフがドバイで殺害された
* 「4月に大規模作戦を予定している」チェチェン独立派戦士がNGOに語る
* ヴォルガドンスクの9年後
* 北朝鮮をめぐる動きについて思うこと

* イベント案内

* 「迎撃」名目のミサイル防衛発動を許すな!4・1防衛省行動

つづきを読む



31.Mar 2009 「4月に大規模作戦を予定している」チェチェン独立派戦士がNGOに語る
"In April we are going to conduct major operations" (interview with a member of the Chechen mujahedin)

(3/26 プラハ・ウォッチドッグ) 3月25日に、ロシア議員団がチェチェンの首都グロズヌイを訪問し、親ロシア派のラムザン・カディロフ大統領との会談の場で、チェチェンにおける対テロ作戦の終了が公表された。31日にもロシア連邦レベルで決定が下される見込みだ。

 ところでわれわれは、ムジャヒディーンのメンバーに電話で連絡をとり、今後の作戦予定を取材することができた。チェチェンではよく知られたフセイン・ガカーエフ司令官(28)である。コールサインは「クテイブ」。本名はアスランといい、チェチェンのヴェデノ地区出身だ。

 電話取材の冒頭で、アスランはスムーズなロシア語で会話できないことを詫びた。戦争によって十分なロシア語の教育を受けられなかったという。

プラハ・ウォッチドッグ(以下PW):ラムザン・カディロフは、チェチェン山岳部にはすでに70人以下のゲリラしかいないと言っているが、この数字についてどう思うか?

クテイブ:まったく嘘ばかりだ。われわれのゴルノ・シャリスキー方面だけでも60人のムジャヘディーンがいる。ほかにもそういう勢力がいるんだ。ラムザンとか、えせ信者や無神論者たちはそういうのをどう言いくるめるのかね。まあ神のお陰で、われわれは精強だし人数も数百人いるし、それ以外にも、戦闘に参加したがっている若い者も多い。

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30.Mar 2009 ロシア軍撤退はカドィロフの希望どおりの展開?

 カディロフの権力の発端は、父アフメドハッジをロシアが後押ししたことだけれど、その父亡き後に大統領になったカディロフは、ロシア側との多少の緊張関係もはらみつつ、チェチェンを暴力と(ロシアからの)復興資金で支配してきた。

 「経済危機のため」という理由は一見わかりやすいけれども、これは騙されてはいけないところのような気がする。エリツィン時代の第一次チェチェン戦争だって、ひどい経済危機の中で進められていたのだ。

 じゃあ、本当の理由は何だろうということになるが、、、。

 以下は朝日新聞より:

 「対テロ作戦」は99年9月に、当時のエリツィン大統領が大統領令に署名して始まった。作戦終了が決まれば、現在チェチェンに駐留する5万人超の軍部隊のうち、約2万人が撤退することになるという。

 カドイロフ大統領の狙いは首都グロズヌイの空港を国際化し、自由な経済活動を可能にすることだ。作戦態勢下では人や物の移動に軍部隊のチェックが入り、自由が制限される。チェチェン移民が多く住むヨルダンやトルコ、欧州などとの行き来を望む住民には不便だ。また、大統領は若者の武装勢力への加入を防ぐには失業対策が最優先だとしており、自由な経済活動はその前提になる。

チェチェンの対テロ作戦終了へ ロシア、経済危機も背景



29.Mar 2009 ロシア軍撤退の理由は資金難(毎日新聞)

 毎日新聞記事より一部を引用します。戦争に使う金がないのはすばらしいことです。

 ロシア政府は31日にもチェチェンに敷かれていた「対テロ作戦体制」の解除を決定する見通し。99年に始まった第2次チェチェン紛争収束を象徴する動きとなるが、背景にはロシアで経済危機が深刻化し、財政的に治安部隊を維持できなくなっている事情がある。

 現在チェチェンに駐留しているロシア軍・治安機関の部隊は約5万人。そのうち内務省などのテロ対策部隊2万人が完全に撤収し、今後は軍の通常部隊が治安維持に当たる。

 最近のチェチェン情勢安定化について、人権団体などは、親露派のカディロフ共和国大統領が私兵組織を駆使して恐怖で住民を抑えつけている点を指摘している。ロシア部隊の撤収で、カディロフ氏の強権支配が拡大する可能性もある。

ロシア チェチェンから対テロ部隊撤収へ 財政難で 3月28日23時21分配信 毎日新聞


そのとおりですね。

28.Mar 2009 露下院議長、チェチェン撤兵を検討へ

 やあ、個展は体力と精神力がいります。なんとか復活してきたので、チェチェン情報のフォローを開始します。といっても、メールはパンク寸前。お返事が滞っているものもかなりありますが、平にご容赦ください。

 さて、2日前の最新ニュース。とは言わないか。

(共同通信)インタファクス通信によると、ロシアのグリズロフ下院議長は26日、南部チェチェン共和国の治安状況が大幅に改善したとし、「経済危機の中、大部隊を駐留させる必要性について評価しなくてはならない」と述べ、連邦内務省軍の撤退を検討する方針を明らかにした。

 是非そうしてほしいですね! こういう話は過去にも何度かありましたが、 このところ聞いている話とかと総合すると、 たしかにチェチェンでの戦争は下火になってきたんだなー、と思います。

 しかし隣のイングーシなど、他のコーカサス諸国では不安定な状況がさらに 増しているようなので、そちらが心配になります、というか、チェチェンで暴れていた 第42軍などが、悪名高い「掃討作戦」を他の地域に行ってやっているだけなんではないか、 という気も強くし。

 まだまだモニタリングが必要だと思います。
この記事全文はこちら:

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16.Mar 2009 大富亮 個展のご案内
Otomi Akira Art exibition "Combinator"

20090316010334

 いままであまり宣伝しなかったのですが、チェチェンニュースその他の活動と並行して描いてきた絵を皆さまのお目にかけたいと思い、今週末にささやかな展覧会を開きます。来ていただけると嬉しく思います。

「結合子」 大富 亮個展
  Otomi Akira Art Exhibition "Combinator"
3月20日(金)ー22日(日)11:00-19:00
  会場:ギャラリー[1号室|2号室]
  http://d.hatena.ne.jp/galleryroom12/
  東京都千代田区神田神保町1-14 2F
  交通:地下鉄 三田線・新宿線・半蔵門線 「神保町駅」 A5出口より徒歩2分
 地図: http://d.hatena.ne.jp/galleryroom12/searchdiary?word=%2a%5b%c3%cf%bf%de%5d

 このチェチェンニュースを始める少し前、私は画学生でした。それがなぜか、慣れない外国語と格闘してニュースを翻訳したり、学校の外を知らないことも顧みないで国際情勢の解説を試み、時には不審者として警官に拘束されそうになるという、少し刺激的な生活をすることになりました。

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02.Mar 2009

25.Feb 2009 出版記念報告会 「チェチェン民族学序説ーその倫理、規範、文化、宗教=ウェズデンゲル」

ぜひご参加ください!

 チェチェンの作家ムサー・アフマードフによる、チェチェン人の行動規範を記したチェチェン語の高校教科書「ウェズデンゲル」を、世界に先駆けて日本語に翻訳しました。ロシアによる虐殺に見舞われたチェチェン人とは、どのような伝統文化を持った民族なのかを知る手がかりになり、関心を引き寄せられる一冊です。2 月末に書店に並びます。

 この本の刊行を記念して、チェチェン連絡会議では次のような出版記念報告会を開きます。最近のモスクワでの諸事件も含めて、チェチェンの平和や、ロシアの民主化について考える機会になればと思います。

もちろん会場で本を販売しますので、この機会にぜひお買い上げください。

日時:2009 年 2 月 28 日(土)午後 6 時 30 分〜8 時 30 分
会費:500 円 主催:チェチェン連絡会議
会場:東京ボランティア・市民活動センター 会議室 B
http://www.tvac.or.jp/page/tvac_access.html

内容:「ウェズデンゲルとは何か? 林克明、今西昌幸(訳者)、大富亮(編者)が語る!」
「モスクワ弁護士・記者暗殺事件報道を読む」(大富ほか)

お問い合わせは editor@chechennews.org

本について:「チェチェン民族学序説ーその倫理、規範、文化、宗教=ウェズデンゲル」 ムサー・アフマドフ著 今西昌幸訳 林克明序 大富亮編/画 高文研刊 本体 2,500 円

ロシアとの対峙を続ける少数民族・チェチェン。その世界観、宗教観、先史時代から受け継がれる慣習がいま明らかに。厳しい慣習と神への尊敬が人を律する、チェチェンとその精神を理解するための一冊! 資料編として、チェチェン共和国憲法(独立時代版、傀儡版)などの法律・条約の全訳を掲載。

24.Feb 2009 NHK-BS1で「ロシア・狙われるジャーナリスト 言論の自由のゆくえは」(2月24日(火)23時台)

 ぜひご覧ください。以下は番組サイトより。

 先月、モスクワで人権派弁護士と政権批判で知られる新聞社の女性記者が射殺された。2006年に同じ新聞社の女性記者ポリトコフスカヤ氏が暗殺されるなど、ジャーナリストが殺害される事件が相次いでいるロシア。さらに、裁判でも先週にはポリトコフスカヤ氏事件の被告全員が無罪評決となるなど、その捜査のあり方にも疑問が指摘されている。

 「BBCニューズナイト」では今回の事件や、去年11月に自宅前で「半殺し」に遭い、今も集中治療室にいる別の新聞のオーナーの事件、そしてウクライナの衛星テレビ局に逃れたジャーナリストなどへインタビューし、ロシアのジャーナリストのおかれた危険な状況を伝えた。このリポートをもとに、ロシアの「言論の自由」の危機に迫る。

http://www.nhk.or.jp/kyounosekai/

23.Feb 2009 チェチェンニュース279号

今日、2月23日は、チェチェン/イングーシ人の強制移住から65年目の記念日です。アンナ裁判、ティムールくん送別会、村上春樹氏のエルサレム賞受賞など話題いろいろ。

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21.Feb 2009 ポリトコフスカヤ事件 被告が無罪に
Politkovskaya Suspects Walk Free

 情報が入ったのは昨日なのですが、いろいろ忙しくしていて、更新が遅れました。この事件については、各社で報道されているのでその内容を読んでいただきたいと思います。アンナの家族は、今回「無罪」となった被告人たちが犯人だと信じているのですが、それを立証すべき検察官がヘタレだったために、陪審員たちが「疑わしきは罰せず」で無罪にしたということのようです。

 ラジオ・リバティの記者が言うように「私たちから見ても根拠に乏しい」弁論を展開した検察はそんなのでいいのかという問題は残りますが、検察側が示した証拠水準が低かった以上、陪審が疑わしきを罰せずという結論に至ったのは妥当だったということのようです。材料があれば、ロシアの陪審制についても取り上げていきたいと思います。

 それにしても、真実はどこにあるのか・・・。

ポリトコフスカヤ事件無罪判決についてのまとめ



19.Feb 2009 出来たあ!!!

 2年の歳月をかけて編集した「チェチェン民族学序説 その倫理、規範、文化、宗教=ウェズデンゲル」(高文研刊)が、ついに完成しました。

 ロシアとの対峙を続ける少数民族チェチェン。その世界観、宗教観、先史時代から受け継がれる「慣習」がいま明らかに! 厳しい慣習と神への尊敬が人を律する、チェチェンとその世界を理解するための本です。

 なんというか、感無量。ぜひ手に取っていただきたいです。2月末に大手書店などに並びます。大富は、編集と、イラスト、地図、解説の一部を担当しました。

 出版報告会を予定しています。ぜひご参加ください。

● 2/28 飯田橋:出版記念報告会 「チェチェン民族学序説ーその倫理、規範、文化、宗教=ウェズデンゲル」

15.Feb 2009 人権理事会による勧告の実施を
Amnesty:Russian Federation: Implement recommendations of Human Rights Council

引き続き、アムネスティ・インターナショナルのリリースを。

 ロシア政府は、他国政府が提出し、国連人権理事会が本日採択したロシアの人権状況改善を目的とした勧告を受け入れ、実施しなければならない。アムネスティ・インターナショナルはそのように語った。

 「これらの勧告を実施すれば、表現・集会・結社の自由が制限されずに享受でき、人種差別、拷問や虐待、その他の人権侵害すべての行為に対し説明責任を持つ、成熟した市民社会を保証することになるだろう」と、アムネスティの国際組織部長マーティン・マクファーソンは語った。

 2月4日に行なわれたロシアの人権状況の審査中、多くの国が、ジャーナリストのアナスタシア・バブローワと人権派弁護士スタニスラフ・マルケロフの最近の殺人に関して徹底的な捜査を行い、加害者を裁判にかけるよう要請した。各国は、外国人や民族的少数者を第一の標的とした過激主義やヘイト・クライム(憎悪犯罪)と闘うためのイニシアチブを強化する必要性を提起した。拷問や強制失踪、国際法違反の殺害を命令するなどといった行為を含む、北コーカサスにおける人権状況についての深刻な憂慮も表明された。

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12.Feb 2009 ロシアの人権活動家を守れ!
Amnesty:Russian Federation: Immediate release for prisoners of conscience

今日はアムネスティ・インターナショナルの国際ニュースを全文転送します。

 アムネスティのサイトには、ロシア大統領に簡単に英文(例文つき)でメー ルを送ることのできるオンライン・アクションがありますので、ぜひご参加く ださい。遠いチェチェンやロシアの人々のために、私たちのできることは限ら れているかもしれませんが、それだけに小さな機会も生かしたいものです。

ロシアの人権擁護活動家を守れ!
メドベージェフ大統領にメッセージを送ろう

http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=1971

ロシア連邦:良心の囚人たちの即時釈放を

アムネスティ発表国際ニュース 2009年 1月30日
アムネスティ日本 http://www.amnesty.or.jp/

アムネスティ・インターナショナルは、ロシアの野党メンバー4人を良心の囚人 とみなしている。警察は、表現・集会の自由の権利を行使させないことのみを目 的に、この4人を拘禁している可能性がある。

ニジニノブゴロド市の「もうひとつのロシア」連合のメンバーであるこの4人 は、公共の場で罵声を吐き、警察の命令に対し抵抗したとされ、5日間の行政拘 禁の判決を受けた。アムネスティは入手したあらゆる情報を分析したが、これら の嫌疑はでっちあげられたものである可能性がある。また、4人を拘束したの は、1月31日土曜日に予定されている反政府デモにこの4人が参加できないように するだけのためではないかと疑われている。

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2.Feb 2009 拝啓、村上春樹さま

作家の村上春樹さんが、イスラエルの新聞社が発行する「エルサレム賞」を受賞することになったそうです。これについて各方面で議論が起こっているのですが、この賞は「社会における個人の自由」を謳っていて、それにしてはイスラエルのしていることはあんまりではないかと思います。村上春樹さんが今後どのような態度を表明されるのか、注目です。下記の手紙は、パレスチナ問題を扱うブログp-navi infoの管理人さんによる問いかけ。ぜひご一読ください。英語版はこちらです:

http://d.hatena.ne.jp/toled/20090131/p1


拝啓 村上春樹さま、

この度、村上さんが、イスラエルのエルサレム市が大きく関与している文学賞「エルサレム賞」を受賞なさるということを聞きました。しかし、お祝いの言葉を私は言うことができません。この賞は「社会における個人の自由」を描いた作者に贈られるとありましたが、村上さんがそれにふさわしくないのではなく、贈る側が「社会における個人の自由」を口にする資格がありません。この賞を辞退なさることをお薦めします。

つい先日までイスラエルがパレスチナのガザに大規模な攻撃を行い、その前から経済封鎖を受けて、ほとんどの必要物資に事欠き、重病人はどんどん死んでいったガザをさらに瓦礫の野とし、1300人以上の(しかも3分の1は子どもたちの)人びとを殺したことは詳しく書かなくてもご存知だと思います。攻撃が小止みになっても、ガザは経済封鎖を受けたままであり、150万の人が巨大な監獄と化した場所で生活の糧も失い、なんとか生きながらえています。

これについて、ホロコーストで家族を失ったユダヤ系英国人、ジェラルド・バーナード・カウフマン卿は、1月15日、英国議会下院で演説を行い、その中で以下のように語っています。

……「祖母は、ナチスがスタシュフの町に侵攻したとき、病床にありました。ドイツ軍兵士がベッドに伏せていた祖母を撃ち殺しました。

祖母の死を、ガザにいるパレスチナの祖母たちを虐殺するイスラエル兵士の隠れ蓑にしないでください。現在のイスラエル政府は、パレスチナの人々に対する殺戮行為を正当化するために、ホロコーストにおけるユダヤ人虐殺に対し異教徒たちが抱き続けている罪の意識を冷酷かつ冷笑的に悪用しています。それは、ユダヤ人の命は貴重であるが、パレスチナ人の命は価値がないとする視点を暗黙に示唆しています。」

[p-navi info]つづきを読む


31.Jan 2009 毎日新聞:相次ぐ暗殺 人権派弁護士、リベラル紙記者… 法治は迷宮の中

今日の毎日新聞に、マルケーロフ・バブーロワ事件についての詳しい記事が掲載されました。ウェブでも読むことができるので、ぜひどうぞ。

ロシア:相次ぐ暗殺 人権派弁護士、リベラル紙記者… 法治は迷宮の中[1/31毎日新聞]

 人通りの多い場所で白昼起きた事件なのにいまだに容疑者が捕まらないのは、捜査当局の無能さを露呈している。市民の安全を守るべき国家の治安・司法機関が機能していない証拠だ。そのことがこうした公然の犯罪を助長している。ポリトコフスカヤ事件でも、肝心の実行犯は逮捕されず、首謀者もわかっていない。事件に関与したとされる公判中の被告も、証拠は薄弱だ。今回も真相解明は難しいのではないか。

−−殺害された弁護士について。

 古い友人で、「ブダーノフ事件」の代理人を彼に依頼したのは我々だ。才能ある優秀な弁護士で、高く評価していた。今回、メディアや社会に事件を糾弾する姿勢が乏しいのが残念だ。

1月25日にモスクワの路上で殺害された、
アナスターシア・バブーロワさん。
モスクワ大学ジャーナリズム学科5年生、
ノーヴァヤ・ガゼータの契約記者。25歳だった。



23.Jan 2009 チェチェンニュース No.273 マルケーロフ暗殺についての緊急声明
Japanese community: Immediatry Release on murder of Mr.Markerov

報道が少ないので、ご存知ない方も多いと思うのですが、 モスクワでまた暗殺事件がありました。これについての情報と、 チェチェン関係者の意見をまとめた声明文を発行しますので、 ぜひ賛同をお願いします。宛先はロシア政府で、大使館あてに届けます。

このあとのメールで、関連の情報をまとめた資料編を発行します。

スタニスラフ・マルケーロフ弁護士と、アナスタシア・バブーロワ記者殺害についての緊急声明

 1月19日の午後2時、チェチェン戦争の被害者救済にあたってきたスタニスラ フ・マルケーロフ弁護士と、若いジャーナリストのアナスタシア・バブーロワ 記者が、モスクワ路上で殺害されました。

 日本でチェチェンの平和と人権の確立を求めてきた私たちは、二人の犠牲者 に心からの哀悼の意を表するとともに、このニュースの持つ意味を、一人でも 多くの方に知っていただきたいと考えます。

 そもそも今回の暗殺劇の発端となった事件は、第二次チェチェン戦争が激戦 だった2000年3月26日、チェチェンの小さな村、タンギ・チュから始まりまし た。この近くに駐留していたロシア陸軍の第160戦車部隊のブダーノフ連隊長 (大佐)が、飲酒の上、夜遅く部下とともに装甲車で村に入り、以前から目を つけていたエリザ・クンガーエワさんという18歳の女性を誘拐し、自分の宿舎 で強姦、絞殺しました。

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20.Jan 2009 マルケロフ弁護士暗殺事件についての各紙のフォロー
Covering Markerov's Case on Japanese media

 とりあえずウェブで見つけられたところを紹介します。いずれも短い記事ですが、各紙ともオバマ就任などで狭くなっている紙面を、かなり頑張って確保しているのではないでしょうか。

チェチェン側の弁護士、モスクワで射殺[日刊スポーツ 1/20]

チェチェン問題に取り組む弁護士と記者射殺 モスクワ[朝日 1/20]

ロシア人権派弁護士ら射殺 政権への批判で?[日経 1/20]



20.Jan 2009 ブダーノフ釈放、被害者とアンナの弁護士暗殺!
lawyer who opposed freeing colonel killed

 世にも恐ろしいニュースが立て続けに入ってきた。

 まず昨年のクリスマスイブに、チェチェンの少女エリザ・クンガーエワを強姦/絞殺したロシア軍のユーリー・ブダーノフ大佐が、刑期半ばで刑務所から釈放されるという発表があり、1月4日15日にその通りになった。「英雄」であるブダーノフ大佐の釈放は、かねて軍が強く要求していたことだった。

 さらに昨日になって、モスクワで弁護士スタニスラフ・マルケロフが銃殺された(写真)。ブダーノフ釈放に関する記者会見の帰り道だったという。このとき、ノーヴァヤ/ガゼータ紙の記者アナスターシア・バブローワも重傷を負った。記者会見の内容は、ブダーノフの釈放を、ヨーロッパ人権裁判所などに提訴するという宣言だった。

 マルケロフ弁護士は、被害者エリザ・クンガーエワの遺族の弁護士であると同時に、アンナ・ポリトコフスカヤの弁護士でもあった。

 犯人は不明。しかし、ロシア軍の名誉を傷つける者は許さないという強い意志が示されたといえる。また、軍や情報機関によって抹殺されるような人々の側に立つ弁護や、言論活動への萎縮効果ははかりしれないものがある。絶対に許されてはならない犯罪だ。最新情報によれば、女性記者も数時間前に死亡した。(大富亮)

APの記事を読む

09.Jan 2009 チェチェンニュース:ガザ攻撃に反対するためのイベント情報各種+コラム

あけましておめでたくない、と友人が言った。
ガザでは、パレスチナ人のロケット弾による抵抗に、
その何十倍ものイスラエル軍が、最新兵器で懲罰的な攻撃を続けている。
わずか2週間の間に死者は700人、負傷者は3000人。

日比谷公園での年越し派遣村には、
解雇された派遣労働者が500人も集まった。
4月までに8万5000人もの労働者が解雇されるという。
それなのに、トヨタやキャノンのような大企業のトップが
責任をとって報酬を返上するという話はまったく聞かない。
だけどみんなに車だけは買ってほしいなんて、無理な話でしょう?

社会が危機を乗り越えるために、
普通の人たちからできるだけ搾り取るか、
それとも助け合って、ともに痛みを分け合うことからはじめるか、
その分かれ目が、いま、同時にやってきたような気がする。

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7.Jan 2009 ガザ攻撃11日目 こんなことまでするなんて!

日本国内での抗議行動などの予定をたくさん追加しました。 ぜひご参加を!

p-navi infoさんより、ひきつづきガザ侵攻の状況をお知らせします。チェチェンで言えば、1996年のサマーシキ村を、ずっと大きくして再現したような事態になっていると思います。ご注目ください。

6日(火)、ガザ攻撃11日目はそれまでより一層血塗られた日となった。国連(UNRWA)の学校に避難していた人たちがいっぺんに40人以上も殺されたのだ。そもそもガザの住民に「避難」を呼びかけていたのは、イスラエル軍だった。しかし、ガザから出ることのできない住民たちは遠くにいくこともできず、 UNRWAの学校へと大勢が避難した。5日にこの移動のことが報道され、UNRWAの担当者も学校を開放し、できるだけのことはするとコメントしている。

その避難先にイスラエル軍からの攻撃が行われたのだ。ジャバリヤ難民キャンプの学校では40人ほどが殺され、子どもの犠牲者が多いという。さらにもう一校、ガザ市の小学校にも攻撃が行われ、こちらでは3人が殺されている。人びとが避難しているところに砲弾を撃ち込むなんて、あまりに残虐で言葉がでない。イスラエルの言う「民間人の犠牲を避ける」なんてどこからでてくるのだろうか。

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06.Jan 2009 パレスチナのために行動しよう!
Take action for Palestine!

国際刑事裁判所(ICC)によるイスラエル当局の訴追を実現するよう働きかけてください!

イスラエルによるガザへの封鎖と爆撃は、国際人道法に対する重大かつ巨大な違反です。国際刑事裁判所(ICC)は緊急にこの件を捜査し、イスラエル当局を訴追すべきであり、それはイスラエルに攻撃をやめさせる圧力にもなるでしょう。国連安保理は、スーダンのケースと同様にイスラエルの犯罪をICCに付託すべきです。そして、国連人権理事会の理事国でありICCにも加入している日本政府は、そのための積極的な外交こそを今すぐ展開すべきです。

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5.Jan 2009 イスラエルのプロパガンダが全開
Israel’s Lie Machine is Working Flat Out

この本はエリック・アザンというフランスのユダヤ人が書いたヨルダン川西岸地区の一ヶ月の記録、「占領ノート 一ユダヤ人が見たパレスチナの生活」(現代企画室刊)。おすすめです!

悲惨なガザ地区への攻撃が続いています。現地の情報は、どんなメディアを読むより、現地からのメールを翻訳・配信しつづけているp-navi infoなどをぜひお読みください。今日ご紹介するのは、主流メディアのほとんどが疑ってかからないイスラエル側の仕掛けたプロパガンダへの反論です。『イスラム原理主義組織』ハマスという決まり文句が必ず、どの記事でも、どのニュース番組でも挿入されるのって、変だと思いませんか? 以下、益岡賢さんのサイトより。

ガザへの残虐な攻撃が続く中、ロンドンのイスラエル大使館ウェブサイトに、嘘のない行は一行とてないような要点説明文書が掲載されていることに気付いた。西洋の主流派メディアはそれを垂れ流し、また、テレビやラジオの熟練インタビュアーも、その内容に疑問を呈しさえしない。

要点説明文書は、2008年12月27日付けでイスラエル外相ツィッピー・リヴニがイスラエルの記者団に語った声明の書き起こしである。この日は不名誉な日として歴史に残るだろう。この声明は、我々西側の人々だけでなくイスラエル市民をも騙すために使われるイカサマを極めてよく示している。この声明はまた、イスラエルの政治体制による自己イメージが、不誠実さと欺瞞の上に成り立っていることも示している。

例えば:

「イスラエル市民は永年にわたりガザからの日常的な攻撃の脅威にさらされてきた。」

パレスチナ人は60年にわたりイスラエルの過酷な占領下に置かれてきた。

「今週だけでミサイルと迫撃砲が数百発もイスラエルの民間人居住区に向けて発射された。」

カッサム・ロケットで死者が出るのは500発に1発である。一方、イスラエルのハイテク兵器がガザの密集した都市や街に撃ち込んだ爆弾やミサイル、ロケット、擲弾、戦車砲は何千発にのぼるのだろう?

「これまで我々は自制してきた。けれども今や軍事行動以外に選択肢はない。」

イスラエルがとるべき唯一の合法的な選択肢は、国際法と国連決議に従って占領を終わらせ、1967年の境界まで撤退することである。2000年以降、イスラエルはイスラエル人1人に対してパレスチナ人8人の割合でパレスチナ人を殺してきた。子どもだけに限ると1人に対して12人である(ベツレムの数値)。これを「自制」と言うのだろうか?

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