http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/chn/0718.htm (HTML版) 発行部数:1643部
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今回のチェチェンニュースでは、アンナ・ポリトコフスカヤの遺作「ロシアン・ダイアリー」の書評を中心に、日本でも最も古くからのチェチェン支援者の一人である、DEN(能と狂言の雑誌)発行人の渡辺紀子さんの訃報、そして最近のロシア・チェチェン関連報道をまとめてお伝えします。
そして、「ロシアン・ダイアリー」の内容に関連して、皆さんにお願いがあります。今、政府がインターネットの利用に規制をかける法律を作ろうとしています。そこで、よろしければ、ネット規制に反対する意見(パブリック・コメント)を一緒に送っていただけないでしょうか?チェチェンニュースにとっても、皆さんの多くにとっても、決して他人事ではない話題だと思います。どうかよろしくお願いします。(邦枝律/チェチェンニュース)
INDEX
先月末に刊行されたアンナ・ポリトコフスカヤの遺作「ロシアン・ダイアリー」に、さっそく多くの方が書評を書いてくださったので、ここで紹介したいと思います。まだご覧になっていない方は、ぜひ書店でお買い求めください。また、よろしければ、ootomi@mist.ocn.ne.jp (*を半角@に置き換えてください) まで感想をお寄せください。内容によりサイトでご紹介いたします。
書籍情報はこちら:
http://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=0130&webCode=00812402007
二〇〇六年、イギリスに亡命していたロシアの元情報部員が暗殺されました。イギリスの警察の捜査により、ロシア人が容疑者として浮上しましたが、殺害に使われた放射性物質は、国家機関が関与しなければ入手できないもの。暗殺の背後に、ロシア情報部の影が見え隠れしています。
暗殺されたリトビネンコは、ロシアで起きた別の暗殺事件を追いかけていました。これを嫌った勢力が手を下した可能性が高いといわれています。リトビネンコが調べていた暗殺事件の被害者。それが、この本の著者アンナ・ポリトコフスカヤです。
つづきを読む:
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20070703/1183439572
2006年10月7日、モスクワでひとりの女性ジャーナリストが暗殺された。犯人はまだ挙がっていない。彼女の名はアンナ・ポリトコフスカヤ。モスクワの新聞ノーヴァヤ・ガゼータ紙の記者。チェチェン紛争に単身乗り込んで取材する。プーチン大統領の暗部に迫る。そうだから彼女の著作は最初の「チェチェンやめられない戦争」以外ロシア語では出版されていない。これはなにを意味するのか、ここに紹介する「ロシアン・ダイアリー」を読むと理解できる。
「チェチェンやめられない戦争」(写真左)の訳者・三浦みどり氏は「ポリトコフスカヤが殺されてしまった時、彼女の無念を僅かながらも共有する者として 彼女の本が広く読まれるためなら 自分にできることは何でもしたいと思っていたので、前作『プーチニズム』のときと同様の協力してほしいと言われすぐに同意した。前作と同様、これもロシア語で出版されていない」という。そして「決して『ロシアって怖い国だ』という風には読まないでほしい」と付け加える。ロシアのジャーナリストが書くことが出来ない状況は今の我国のジャーナリスムと同じ状況だとも指摘する。
つづきを読む:
http://journalist-net.com/home/07/07/03/144859.php
この本を読むと、虐げられ、捨てられ、逃げ場のない人々が彼女のもとに助けを求めていたのだな、と今さらながら思う。
行き場がなくモスクワまで流れてきたチェチェン難民、モスクワの占拠事件の元人質やその遺族、ベスラン学校事件で殺された人質たちの遺族らがこのジャーナリストに救いを求めているのだ。
こうなるとジャーナリストの立場を越えた存在である。
ぜひ一読をおすすめしたい。
くわしく読む:
http://www.actiblog.com/hayashi/38474
本書はあるロシア人ジャーナリストの遺作である。彼女の名はアンナ・ポリトコフスカヤ。ロシア国内からチェチェン戦争を告発し、プーチン政権を辛辣に批判してきた彼女は、何者かに暗殺された。2006年10月7日、プーチン大統領の誕生日だった。
本書の序文にはこうある。「アンナの『ロシアン・ダイアリー』を読むと、なるほど彼女は生きるのを許されるはずはなかったのだと納得がいく。彼女が本書やこれまでの著書で明らかにした事実は、ウラジーミル・プーチンの政権にとってあまりにも打撃が大きい」。
その認識には同意しつつも、私は次のようなことを考えた。アンナはどうすれば殺されずに済んだのか?
つづきを読む:
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140812400/maname-22/
生き続けるためには服従しなければならない。そんな光景がこの世界にはあふれている。つまり、反抗は死を意味するということだ。服従は必ずしも易々となされるのではない。苦しみ、痛み、悔しさ…数え切れないほどの涙を流し、叫び声を上げ、抱えきれないほどの恐怖とあきらめを胸にしまいこみ、もう誰も本気で世界を変えられるなんて思わなくなったときになされるのだ。権力(=お金)のある人もない人も、自分よりもっと権力(=お金)のない人々を虐げて生きる。次第に人はそうしなければ生きていけないかのような世界、いや幻想を作り上げていく。
『ロシアン・ダイアリー』に出てくる人々は誰もが不条理な世界で生き延びるのに必死である。そう感じないではいられない。アンナ・ポリトコフスカヤはチェチェン人の味方なのではなく、彼女はすべての弱き者たちの味方だった。
つづきを読む:
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20070705
「私にはすべてが見えている——『楽観的な予測』を喜ぶことができる人がいるなら、そうすればいい。そのほうが楽だから。でもそれは自分の孫への死刑宣告になる」
本書『ロシアン・ダイアリー』を読んでなお、私たちは未来の世代への死刑宣告を下すことができるだろうか?「楽観的な予測」に従えば、答えはNOということになるだろう。けれども、アンナ・ポリトコフスカヤのペンは、そうした安易な読み方を私たちに許さない。
つづきを読む:
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20070704/1183474907
日本でも最も古くからのチェチェン支援者の一人である、DEN(能と狂言の雑誌)発行人の渡辺紀子さんが、2007年4月に逝去されました。渡辺さんは、1996年の、チェチェン戦争が始まった当初から、寺沢潤世さん(日本山妙法寺僧侶)の、日本でのコンタクトパーソンを務めておられました。
99年より、病気と闘いつつDENを発行されていたため、渡辺さんが運動の表舞台に立たれることは多くありませんでしたが、雑誌はもとより、2000年春のロシア大使館前での抗議行動の際の姿や、「ユーラシア紛争地特別フォーラム」の支援者として、ご記憶の方も多いかと思います。
この文章は、寺沢さんがご遺族と関係者に宛てたお手紙です。ご遺族の了承を得て、公開いたします。渡辺紀子さんのご冥福を、心よりお祈り申し上げます。 (大富亮/チェチェンニュース)
[渡辺紀子さんを偲んで 寺沢潤世(日本山妙法寺) PDF136KB]
http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/dl/20070628terasawa.pdf
ここしばらくのロシア・チェチェン関連報道をまとめてお送りします。
6日、欧州人権裁判所は、2000年にチェチェンのシャリでロシア軍に不当逮捕をされた後に失踪したルスラン・アリハジエフ・チェチェン議会議長(停戦期の1997年に民主的に選出された)の母親に対して、ロシア政府に賠償金として4万ユーロを支払うよう命じる判決を下した。判決によって、ロシア政府がチェチェン穏健派を故意に殺害している実態が明らかになってきている。
つづきを読む:
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20070709/1183958078
チェチェン情勢が再び悪化する可能性が高まっている。親ロシア派チェチェン当局が住民への監視を強めていること、独立派が各地に検問所を設け始めていることから、近いうちに独立派による大規模な攻撃が行われるのではないかという噂が流れている・・・。
くわしく読む:
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20070706/1183729543
ロシア南部のソチが2014年冬のオリンピック開催地に決定した。プーチン大統領が巨額の資金を投じて誘致活動を進めていた背景には、「ソチが位置するクラスノダール地方は紛争が続くチェチェンに隣接するだけに、オリンピックによって明るいイメージに刷新したいという思惑」があるようだ。時事通信は、誘致を成功させたプーチン大統領が「1期置いた12年の大統領選に再出馬するシナリオが現実味を帯びてきそうだ」と分析している。
くわしく読む:
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070705-00000095-jij-int
参考:ソチでのオリンピック開催に反対する市民団体のサイトはこちら:
http://www.olympicgenocide.org/
7月3日のイタルタス通信によると、親ロシア派チェチェン政権の人権委員会委員長、ヌルディ・ヌハジーエフは、モスクワの会議で「チェチェンの大量遺体遺棄現場には民間人と兵士合わせて3000人以上が埋められている」と語ったそうです。会議ではチェチェンで発掘された遺体の身元確認をどのように行うかが検討されています。
くわしく読む:
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20070704/1183514782#seemore
6月28日、ロシア憲法裁判所は、当局がテロリストと分類した人物の遺体を遺族に引き渡すことを禁止する法律が合憲であるという解釈を示した。問題となっていた法律は、「テロリスト」の埋葬や弔いを求める遺族に対して、遺体の引渡しや埋葬場所の通告を拒否するというもの。
くわしく読む:
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20070629/1183078784
ロシアのイワノフ第1副首相兼国防相は4日、米国が欧州におけるミサイル防衛に協力しなければ、ロシアが欧州国境にミサイルを配備する可能性があることを示唆した。
くわしく読む:
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070705-00000408-reu-int
参考:ミサイル防衛については、益岡賢さんのサイトに「ミサイル防衛:チョムスキーからタマスへの手紙」という記事があります。よろしければ合わせてご覧ください。
くわしく読む:
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/persons/chom070625.html
世界経済に類を見ないほどの「乗っ取りビジネス」が、プーチン政権下のロシアで横行している。「手口は腐敗した司法・官僚機構を巻き込んで巧妙化の一途をたど」り、今や「乗っ取りビジネス」は軍需産業にまで進出しているという。
乗っ取りの手口は、「カネで抱き込んだ税務当局が『税務調査』と称して家宅捜索や資産没収を仕掛け、裁判官がニセの『決定』を下す。登記当局が偽造文書を作成、警察・検察まで味方につければ、障害は何もないというわけだ。知事や市長といった権力者が関与することも珍しくなく・・・」というもの。どこかで聞いたことのある話だと思ったら、そう、ロシア・チェチェン友好協会が潰されたのと同じやり口。
くわしく読む:
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070623-00000012-san-int
(邦枝律/チェチェンニュース)
政府がインターネットの利用に規制をかける法律を作ろうとしています。総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」は、ブログやHPの「違法・有害コンテンツ流通対応を制度化することを検討すべきである」という中間取りまとめ報告を発表しました。
報告書では、「有害コンテンツ」として「自殺の方法」や「爆弾の作り方」、「ポルノ」などが挙げられているので、多くの人は自分には関係なさそうな話題だと思ってしまうかもしれません。ですが、その発想こそがあなたの言論の自由を奪う最初の一歩だとしたら・・・?
以下は便宜上のたとえ話だと思ってください。今、日本には全部で100のブログがあり、あなたは『納豆マニア★』というブログを開設しています。あなたの「有害コンテンツ」順位は、政府統計によると51番目。つまり、政府にとっても、あなたのブログは当たりさわりのない普通のサイトです。
2008年、政府は最初のネット規制をかけ、上位10番目までの「有害コンテンツ」を削除しました。あなたのブログは無事でした。あなたの「有害コンテンツ」順位は、政府統計によると41番目になりました。
2009年、政府は第二回目のネット規制をかけ、上位10番目までの「有害コンテンツ」を削除しました。あなたのブログは無事でした。あなたの「有害コンテンツ」順位は、政府統計によると31番目になりました。
(以下略)
201×年、ふと気がつくと、『納豆マニア★』は日本で最も過激なサイトになっていました。そして、ある日、あなたは「消費税が20%にアップ!?ーって、もう納豆どころじゃないー!!」という文章を投稿したことから反政府活動家のレッテルを貼られ、ブログは削除されました。けれども、あなたのブログが消されることに反対してくれた人は誰もいませんでした。なぜなら、他の人たちは「自分には関係なさそうな話題だ」と思っていたからです。
ここで皆さんにお願いしたいことがあります。それは、ネット規制に反対する意見(パブリック・コメント)を総務省に送ることです。パブリック・コメントの締切は7月20日(金)。一人でも多くの人が政府のネット規制に反対することが、私たちの言論の自由を守ることにつながると思います。
この話題については以下に詳細な解説をしているサイトがあります。
パブリック・コメントの送り方(詳細)はこちらから:
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=145207094&OBJCD=100145&GROUP=
下記にパブリック・コメントの例文を紹介します。総務省の中間とりまとめ報告書は全部で26ページとかなり長いので、まずはブログやHPについて述べられている10ページ目(実際には14ページ目)の「公然通信」に関する記述を読むことをお勧めします。よろしければこれを参考にして、あなたの声をぜひ政府に届けてください。
Subject: 「『通信・放送の総合的な法体系に関する研究会 中間取りまとめ』に対する意見募集」に関して
2007年7月10日
総務省情報通信政策局情報通信政策課 通信・放送法制企画室 御中
住所:〒xxx-xxxx ××
氏名:××(氏名非公開希望)
電話番号:××
電子メールアドレス:xx
「『通信・放送の総合的な法体系に関する研究会 中間取りまとめ』に対する意見募集」に関して、以下のように意見を提出します。
まず始めに、貴研究会の会合は12回のうち3回が非公開になっていましたが、このような密室での取り決めによって、表現の自由に関わる法制度が検討されていることに、深い懸念を覚えます。
中間取りまとめの10項には、「『公然通信』に係るコンテンツ流通に関して、各種ガイドラインやモデル約款等が策定・運用されていることを踏まえ、違法・有害コンテンツ流通に係る最低限の配慮事項として、関係者全般が遵守すべき『共通ルール』の基本部分を規定し、ISPや業界団体による削除やレイティング設定等の対応指針を作成する際の法的根拠とすべきである。『プロバイダ責任制限法』などICT利用環境整備関係法制度についても、可能な限り一元化すべきである」とありますが、コンテンツの規制を一元化し、それを政府または政府からの独立が保障されない委員会が行いかねないことにも非常に危惧を感じています。
表現の自由とは、他の人がそれを知る権利が保障されて初めて守られるものではないでしょうか。特に一般の市民が表現の自由を行使することのできる「公然通信」(=ブログやホームページ)を、市民の目の届かないところで規制しようという動きには強く反対します。「関係者全般が遵守すべき『共通ルール』」が必要であるならなおのこと、そのルール作りに関係者全般が関われるような環境を作ってくださるよう、どうかお願いいたします。
7/15 奈良:『踊れ、グローズヌイ!』上映会
チェチェン関連映画『踊れ、グローズヌイ!』
ぼくたちは「テロリスト」じゃない。世界に伝えるため、子どもたちは踊る。
http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=1041
8/11 東京:『踊れ、グローズヌイ!』上映会
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20070706/1183676576
7/14 東京:ナガ・ピース・ネットワーク設立記念イベント
『ナガ』インド・ビルマ国境地域の山岳民族と独立運動、平和的解決を求めて。
http://nagas.sytes.net/~npn/info.html
7/15 東京:2007年ドイツ反G8行動報告集会
G8反対行動、持たざる者のヨーロッパマーチの報告集会がついに関東上陸!
http://kamapat.seesaa.net/article/46533011.html
7/24 東京:みみの会:写真家・吉田敬三の仕事
少年兵から『被爆二世』へ−異色の写真家が語る日本の現在
http://d.hatena.ne.jp/miminokai/20070705#1183627438
8/30 東京:共謀罪に反対するネットワーク学習会
共謀罪廃案に向けて行動しよう!テーマは国際人権と日本の犯罪対策
http://www.labornetjp.org/labornet/EventItem/1183321942535staff01
3/10- 東京ほか: 映画「パラダイス・ナウ」
なぜ、彼らはそうしたのか。自爆攻撃を指令されたパレスチナの若者の48時間
http://www.uplink.co.jp/paradisenow/
5/26- 各地: 映画「ひめゆり」
何度も劇映画になった「ひめゆり」。これは歴史を託されたドキュメンタリー。
http://www.himeyuri.info/index.html
7/11-22 愛知:地球の上に生きる 2007 DAYS JAPAN フォトジャーナリズム写真展in名古屋
社会の悲劇や生命の力強さ、そして未来に向かう希望を伝える写真展
http://cdic.jp/days2007/
7/21- 各地: 映画「夕凪の街 桜の国」
被爆者とは何か。語られなかった被害者の視点から描かれるヒロシマ。
http://www.yunagi-sakura.jp/
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