http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/chn/0701.htm (HTML版) 発行部数:1668部
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今年最初のチェチェンニュースは、昨年末に取り上げたチェチェンで今も続く人権侵害への反対キャンペーンを中心にお届けします。キャンペーンはアムネスティが呼びかけたもので、世界中で一斉に抗議行動が行われています。日本からもぜひ声を上げていきましょう。
それから、ずいぶん間があいてしまいましたが、11月28日のハッサン・バイエフ東京講演「戦場の医師ハッサン・バイエフ来日講演 -チェチェンの現在(いま)を語る-」で参加者の方々からいただいていた質問用紙を書き起こしました。今後なるべくフィードバックができればと思います。
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20070103/1167791023#seemore
それでは今年もよろしくお願いします。 (邦枝律/チェチェンニュース)
INDEX
チェチェンでの失踪・誘拐・拷問・虐待事件に反対するアムネスティ・インターナショナルの葉書アクションがありますので、ぜひご協力ください。すぐに葉書やファックスを送れるように印刷用ファイルを用意しました。よろしければプリントアウトしてご利用ください。期限内の1月29日までにできる限り多くの声を寄せましょう。
ロシア連邦/エリナ・エルセノエワ記者とその母マルガリータ・エルセノエワ
8月17日に失踪したエリナ・エルセノエワの母親であるマルガリータ・エルセノエワが、2006年10月2日以来行方不明になっており、誘拐または強制的に失踪させられた可能性が高い。
10月2日、マルガリータ・エルセノエワは、チェチェンのスタール・アタギ村にいる母親を訪ねていた。その際、彼女は携帯電話を受け、娘の誘拐事件について朗報を持っているという捜査官から携帯電話がかかってきたこと、捜査官が彼女に会いたがっているということ、捜査官がちょうど同じ村に来ているということを母親に伝えている。彼女はその後すぐにスタール・アタギ村の役所に捜査官を訪ねに行った。
ところが、彼女の家族がその後彼女を探しに役所に行ったところ、彼女は役所に来ておらず、彼女に電話をかけた人間もいないという。
当初は、エリナ・エルセノエワの「失踪」に関する報道や、彼女がチェチェン独立派戦士のシャミーリ・バサーエフと結婚していたという事実から、マルガリータ・エルセノエワが自身や家族をさらなる迫害から守るために身を隠しているのだと考えられていた。だが、彼女が友人や家族にも連絡を取れない状態が続いていることから、現在は彼女は「失踪」したものと見なされている。
http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=865&sel_lang=en
以下のメッセージを日本語と英語で併記した葉書・FAXの印刷用ファイルを用意しました。ご自由にプリントアウトしてお使いください。
2006年8月17日に失踪したエリナ・エルセノエワと、2006年10月2日に失踪した彼女の母親マルガリータ・エルセノエワの身の安全を深く危惧しています。彼女たちの失踪に関して公正かつ徹底した調査を行うことを要求します。
彼女たちがチェチェンで治安当局によって拘束されていることが明らかになった場合には、ロシア政府に二人の即時解放を要求し、それが受け入れられないときには、ロシア連邦法および国際法にもとづいて、治安当局を明白な犯罪容疑で訴えます。二人がどのような身の上であっても司法によって権利が保障されること、テロリスト容疑者の家族に対する嫌がらせや迫害を止めることをロシア政府に要求します。
チェチェンで行方不明になっているのは、エリナ・エルセノエワとマルガリータ・エルセノエワだけではありません。これ以上、失踪や誘拐、拷問、虐待の被害者をチェチェンに生み出さないでください。
(1) チェチェン共和国検察庁長官宛て
葉書
http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/dl/20070110post_ersenoeva.pdf
FAX
http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/dl/20070110fax_ersenoeva.pdf
(2) ロシア連邦検察庁長官宛て
葉書
http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/dl/20070110post_ersenoeva2.pdf
FAX
http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/dl/20070110fax_ersenoeva2.pdf
(3) ロシア大使館駐日大使宛て
葉書
http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/dl/20070110post_ersenoeva3.pdf
FAX
http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/dl/20070110fax_ersenoeva3.pdf
(4)ロシア人権/市民社会評議会議長宛て
メール
sovetpamfilova@yandex.ru
英語のメッセージ文例などのテキスト情報はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20070107
主に年明けからのロシア・チェチェン関連ニュースを雑多に紹介します。
ヌルパシ・クラーエフ死亡? [Caucasian Knot 1/6]
http://eng.kavkaz.memo.ru/newstext/engnews/id/1169480.html
ベスラン学校占拠事件でたったひとり生き残ったとされるヌルパシ・クラーエフ容疑者が、終身刑判決に対して異議申し立てもせず、法廷にまったく姿を現さないことから、関係者の間では彼がすでに死亡しているのではないかという疑念が強まっている。被害者団体「ベスランの声」や、ロシア議会のベスラン学校占拠事件調査委員会のアレクサンドル・トローシン委員長は、当局に対して彼の生死の確認や面会を要請したが、いずれも拒否されている。
ヌルパシ・クラーエフ青年は、実行犯の中でただひとり生きて逮捕された人物だが、彼の家族は「ロシアの刑務所に入っていたはずなのに、なぜあそこにいたのか、わからない」と語っている。
ベスラン学校占拠事件についての過去記事はこちら。
北オセチア学校占拠事件、真実はどこに?
http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/chn/0522b.htm
ベスラン学校占拠事件報告書の不可解
http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/chn/0522b.htm
<露元中佐変死>解決のメド立たないまま年越し [毎日新聞 1/6]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070106-00000022-mai-int
リトビネンコ事件、真相究明は難航。ロシア最高検察庁は、昨年12月27日、(ユコスの元幹部)レオニード・ネブズリン氏を容疑者として殺人依頼容疑などで国際手配した。「露最高検によると、ネブズリン氏がかかわったとされるモスクワの殺人事件で被害者宅などから『水銀の蒸気』が検出され、リトビネンコ氏にからむロンドンの現場でも同様に水銀が検出された、という」。ただし「真偽や関連性は不明」。そもそも水銀はポロニウムではないのだが。
容疑者特定も間近?=元ロシア情報員殺害事件−英紙 [時事通信 1/7]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070106-00000095-jij-int
6日付の英紙インディペンデントによると、警察当局は、元情報機関員で実業家のアンドレイ・ルゴボイ氏と、同氏の実業家仲間のドミトリー・コフトン氏を、リトビネンコ暗殺事件の最重要容疑者として捜査を進めている。一方、「ロシア当局は同国人容疑者の身柄は英国側に引き渡さない見通しで、ロンドンで訴追される可能性は低いという」。
ウラジーミル・ブクレーエフ裁判官、拘置所入り! [Causasian Knot 12/29]
http://eng.kavkaz.memo.ru/newstext/engnews/id/1164980.html
2006年12月28日、重病を患うウラジーミル・ブクレーエフ裁判官が拘置所に入れられた。ブクレーエフ裁判官は、ブダーノフ事件の担当裁判官。クレムリンと国防省からのすさまじい圧力にも負けず、チェチェン人少女を誘拐・殺害したユーリー・ブダーノフ大佐に10年の強制労働収容所送りを命じ、アンナ・ポリトコフスカヤ記者に「驚異的で勇気のある」と称された人物である。
ブクレーエフ裁判官は、2003年7月にブダーノフに下した判決によって、ロシア政府・軍を敵に回すことになった。翌2004年には、ブクレーエフに対して横領容疑(たぶんでっちあげ)で裁判が開始された。ロシア国内の人権団体は今回の措置について抗議声明を発表している。一方、「ロシアの英雄」ブダーノフ大佐は早期釈放される見込み。
ブダーノフ事件についての過去記事はこちら。
後を引かない狂気
http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/archives/20020526nv.htm
英露ギクシャク拍車 親クレムリン団体 英大使に圧力 [産経新聞 1/7]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070107-00000008-san-int
駐ロシア英大使が、「昨年夏以降、親クレムリンの官製青少年団体『ナーシ』のメンバーに日常的につきまとわれてスピーチを妨害されるなどし、12月初旬に露外務省に厳重抗議を申し入れた」。「さらに、モスクワでは昨年11月末から英BBCの露語FM放送に受信障害が発生し、BBCは『技術的困難』を理由に放送を中止」。反体制派の論客出演で知られた長寿番組も同時に打ち切られた。
欧州評議会議員総会(PACE)議長モスクワ訪問 [ラジオ・リバティ 1/9]
1月10日〜12日、欧州評議会議員総会(PACE)議長がモスクワを訪問し、ラブロフ外相やNGOの代表と会談。議題は、ロシアの人権問題やベラルーシ、グルジアとの関係改善。
グルジアとの山岳国境地帯、FSBの管理下に
[Prague Watchdog 12/29]
http://www.watchdog.cz/?show=000000-000008-000001-000430&lang=1
グルジアと接する山岳地帯を抜けてチェチェンに入るルートがFSBの管理下に置かれることになった。今後は、FSBが発行する証明書を持たずに、このルートでチェチェンに入国する者に対しては、国外退去などの罰則が取られるという。露骨なジャーナリスト潰しか。
チェチェン:増える癌患者 [Prima News 1/1]
http://prima-news.ru/eng/news/news/2007/1/1/37436.html
チェチェン共和国保健省(親ロシア派)によると、チェチェンでは病人全体に占める癌患者の割合が、他の北コーカサス共和国や、チェチェン以外のロシア連邦と比べて、格段に高い(217人/1000人)という。専門家はチェチェンでの癌患者の増加と軍事行動との直接的な因果関係を主張している。
ロシアの危険な激安ビジネス [Newsweek 日本版 12/27]
原子力大国ロシアが、「激安原子炉」ビジネスの先頭を突っ走っている。プーチンも核ビジネスを重視し、2006年春、大統領府長官のセルゲイ・ソビャーニンを、原子力産業を統括する国営企業TVELの会長に任命。中国やインド、イランが原子炉を輸入し、ベトナム、トルコ、ベラルーシ、カザフスタン、エジプト、モロッコとの間でも商談が行われるなど、セールスは好調。
ベラルーシ、露石油に大幅通過関税 対立の深刻化不可避 [産経新聞 1/5]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070105-00000011-san-int
昨年末に天然ガス価格でロシア側の大幅な値上げ要求をのまされたベラルーシが、同国を通過する欧州向けロシア産石油に大幅な関税をかけると発表。「ロシア側は今後、エネルギー外交の障害となっているベラルーシのルカシェンコ大統領の排除に向けて動き出す」「プーチン大統領はベラルーシの併合を念頭に置いている」(米誌タイム)との見方が出ている。
ソ連復活?欧州の疑念 強硬な資源外交 [朝日新聞 1/7]
http://www.asahi.com/business/topics/TKY200701070051.html
アンナ・ポリトコフスカヤ記者の暗殺、ロシア・サハリン州沖の石油・天然ガス開発巨大プロジェクト「サハリン2」へのプーチン大統領の露骨な介入、ロシアの元情報将校リトビネンコ氏の怪死事件・・・「自らの主張を通すためにロシアは手段を選ばないのではないか」という疑念が欧州で広がっている。
「プーチン氏の次の大統領に望むことを尋ねた世論調査で『民主主義の発展』と答えた人は26%しかいなかった。逆に『西側との協力にそれほど注意を向けなくてよい』が53%、『経済で国家の役割を高める』が76%に達した」
ロシア大統領が国内石油企業に減産協議を指示、ベラルーシに圧力 [ロイター 1/9]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070110-00000063-reu-int
プーチン大統領が、原油生産の削減を示唆することで、欧州への石油供給が停止中のベラルーシに圧力をかけている。
イベント情報も雑多にお届けします。ご都合のつく方はぜひご参加ください。
●1/6-2/9 東京: 六ヶ所村ラプソディー
http://rokkasho-rhapsody.com/pole2.html
●1/11 東京: 銃よりもビデオカメラを!ジョン・アルパートがやって来た!
http://www.asiapress.org/alpert_070107/J_Al_A3.pdf
●1/12 東京: ガザからの声〜選挙から1年、パレスチナは今〜
http://www.ngo-jvc.net/jp/event/20070112_palestine.html
●1/12 東京: 映画『グアンタナモ、僕達が見た真実』〜グアンタナモの被害体験を語る〜 ローヘルさん、シャフィクさんを囲む会
http://www.ngo-hrn.org
●1/13 東京: 思想・良心の自由の現代的意義を考える
http://www.nichibenren.or.jp/ja/event/070113.html
●1/14 東京: 教基法「改正」後の世界を批判的に展望する
http://www.stop-ner.jp/
●1/20 東京: 広河隆一報告会「2007年・パレスチナ・日本」
http://www.labornetjp.org/labornet/EventItem/1166586112634staff01
●1/26 東京: さらば!共謀罪 1・26集会
http://www.labornetjp.org/labornet/EventItem/00_2007_1Q/1166925271534kawazoe
●1/27,28 東京: アムネスティ・フィルム・フェスティバル
http://secure.amnesty.or.jp/film07/
●1/27-2/9 東京: ヒバクシャ—世界の終わりに
http://rokkasho-rhapsody.com/pole2.html
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