STEP4 訴訟を起こすとき


裁判を起こすデメリット                                       2002.2.2. 最終更新 
費用がかかる 弁護士費用や訴訟の手続き費用、証人喚問の時の日当、鑑定・検証費用など、裁判に直接かかる費用の他、通信費、交通費などさまざまな出費がある。
プライバシーが暴かれる 被害者や遺族・家族のプライバシーがマスコミその他を通じて公になる。しかも、好意的なものばかりではない。公判中も、被告側から被害者や家族の人に知られたくない部分や触られたくない部分を言い立てられたりする。
時間がとられる 日常的にも準備書面を作成したり、証拠を収集したり、いろいろな手続きに行ったりと時間がとられる。
また、裁判通常1カ月に1回(スケジュール調整等で1〜2カ月間があくこともある)、平日に行われる。証言する必要のある時など以外は、代理人(弁護士)の都合には合わせられるが、原告のスケジュールは考慮に入れられない。
遠くの裁判所まで出かけなければならない。(高裁・最高裁となると特に)
多くは1審だけで2〜3年、控訴審を含めると長くて10年前後の年月を要する。
賠償金に換算 命を金に換算することに抵抗があっても、民事訴訟の場合、損害賠償金という形で金額に換算される。
勝訴するとはかぎらない 訴訟の事例をみればわかるが、人道的にはどんなに理不尽なことであっても、勝訴するとは限らない。あくまでも法律に照らし合わせて、違法性があるか、過失があるかで争われる。前例がものを言う世界。とくに、公的な責任は認められにくい。
また、裁判官によっても大きく左右される(少年事件やいじめ、被害者の心情に対して無理解な裁判官も多い。古い価値観や偏見をもった裁判官、やる気の感じられないものもいる)。
遺族の心情を必死に訴えてきたにもかかわらず、結審まぎわになって裁判官が交代することもある。
周囲からの批判 「金目当て」「自分たちの責任を他人になすり付けようとしている」などと誹謗・中傷される。好奇の目にさらされたり、「地元の恥」「騒ぎ立てる人たち」として、孤立させられたり、イタズラ電話がかかってきたりする。
精神的な負担 相手はこちらの一番弱いところ、痛いところを遠慮なく突いてくる。公然とプライバシーをあばかれたり、親の責任や本人の責任と責められたりする。また、思い出したくない辛いことを証言しなければならないこともある。被告からは、憎悪の目で睨まれる。ときには罵倒される。
生活が犠牲になる 経済的、時間的、精神的にも日常生活が犠牲になりやすい。また、親の関心が裁判に集中するため、残されたきょうだいが寂しい思いをすることも。また、会社の取引上の都合や外聞、裁判にはエネルギーと時間が必要なため、現職を失うこともある。
裁判を起こすメリット(ただし、保障されているわけではない)
少年審判の調書がみられる 普通は見ることのできない少年審判の調書が証拠提出され見ることができる。多くの証拠に触れることができる。場合によっては、現場検証が行われることも。ただし制限付き。(少年法の改正により、裁判を起こさなくても、調書のコピーを手に入れることも可能になった)
詳しい経過がわかる 裁判の過程で、それまでわからなかった事件の経過や詳細を知ることができることもある。時には、遺族にとって残酷なことではあるが、愛するものの最後の様子を知りたいという欲求に答えることができる。ただし、裁判になっても、被告やその周辺の人びとの拒否にあい、全く何もわからないこともある。
証言が聞ける 証人申請がとれれば、加害者や関係者の証言を聴くことができる。その中で、相手がどう思っているかや事件の詳細がわかることもある。少年事件の場合は特に民事裁判ではじめて相手の顔を見れることもある。(証人申請が認められなかったり、相手が出廷を拒否することもある)
多くのひとに知ってもらえる 訴訟を起こさなければ埋もれてしまうような事件でも、多くのひとに知ってもらうことができる。
勝訴に結びつかなくとも、人びとの関心を呼び、社会運動につながっていくこともある。同じ訴えが多くなれば次の勝訴に道を開くことも。
ひとりが声をあげることで、多くの泣き寝入りしている人たちが声をあげるきっかけともなる。
責任を問える・懲罰的な意味あい 刑事事件では問えなかった責任を民事裁判で問うことができる。裁判に引きずり出すことで心理的な圧迫や社会的なダメージを与えることができる。法定の場で原告の思いをぶつけることができる。少なくとも、裁判の期間中は、加害者や関係者は被告のことを忘れることができない。
事件の再発防止 多くのひとの関心が集まれば、対策もたてられやすい。また同じことをすれば訴訟になるかもしれないという思いは、抑止力になる。また、様々な角度から事件をみることで、問題点が明らかになる。泣き寝入りすれば、事態は何も変わらない。さらに悪くなることも。
勝訴すれば損害賠償金をえられる 賠償金は相手への懲罰的な意味合いがあったり、再発への警告にもなる。また、被害者が傷害を負っている場合は治療費や生活費にあてることができる。新たな運動の資金源とすることもできる。(ただし、実際には弁護士費用等を差し引いても儲かったという話はあまり聞かない)

※裁判はメリットが必ずしも大きいとは限らない。みな、やむにやまれぬ気持ちで闘っている。
家族への負担も大きいだけに、よく話し合って決めたい。
迷ったときは、自分にとって何が一番たいせつか、大切なものを書き出して、優先順位をつけてみるといい。
将来をも見据えたうえで、絶対に譲れないことは何か、物心両面でよく考えてみたい。


裁判の意味

2002.8.18 更新

「いじめ事件裁判において、いじめ被害者が民事事件として加害者や学校・教師の責任を追求する場合、その訴訟目的は、経済的損害の補償を求める形をとるが、追及するものの実態は、「事件がどのような状況で発生したのか、何が子どもにあったのだろうか」を知りたいという思いが強い。
いじめ事件の民事裁判になっている例は、ほとんどが事件が発生してから被害者が真実を知りたい、疑問を解きたいということを学校や教師にぶつけていったときに事実や証拠の隠蔽、ひどいときには虚偽の説明をしたり、被害者を傷つけないために、といった言い方で真実を隠す場合などの不誠実さをきっかけとするものが多い。
この意味では、被害者=原告の求めるいじめ民事裁判の目的は、裁判過程を通して真実を究明することにある。それによって精神的な救済、自らの精神的支援救済の獲得をしたいと考えている。そういった意味での訴訟による救済の実現が教育法裁判として重要な課題であることを提起したい。」

季刊教育法2000年9月臨時増刊号「いじめ裁判」の中の「いじめ傷害事件と教育法における損害賠償・救済論」/青木宏治(高知大学教授士)/2000年9月エイデル研究所
民事裁判当事者の半数が裁判に不満

2000年6月、東京・大阪・札幌・冨山・松江など全国16地裁で終結した民事訴訟民事訴訟の原告や被告となった個人、法人(当事者)1612人に調査を依頼、591人(36.6%)が9月と11月の面接に回答(原告54.3%、被告45.7%)し、結果が2001年2月13日の司法制度改革審議会第47回会議で報告された。

裁判制度 「満足している」 18.6% 「満足していない」 50.6%
「公正」 制度 43.9%、法律 45.3% 「公正でない」 制度・法律共に30%前後
裁判官 「満足」 45.7% 「不満」 36.6%
「中立的」「言い分を聞いてくれた」
「信頼できた」  53−59%
「準備のよさ」「常識を理解している」
「法律以外の知識もある」と(肯定)評価
したのは半数以下
「否定」 26−28%
訴 訟 「ためらいを感じた」 46.2%
理由(複数回答)は、
「時間がかかる」 72.0%。
「費用がかかる」 67.2%
それでも原告が提訴した理由(複数回答)は、「公正な解決を求めた」 91.8%
弁護士 73%が委任。
「満足」66.4%

2001年2月14日 共同通信 より

損害賠償金について

・判決の時効は民法によって10年と定められている
・働いて稼いだ給料を差し押さえることはできるが、生活に支障のない範囲に限られる。
・相手の居場所などは自力で調べなければならない。

(変更になっている可能性あり)



訴訟を起こす前に

事実関係について年表形式の表を作成するとよい。
全体の事実を時系列に沿って整理しておくことは、多様な事実関係の中で被害者が追い込まれている有り様や、学校が被害者を救うことに如何に無力であったかを裁判所に理解してもらう上では重要な作業である。弁護団の頭を整理するのにも役立つ。
弁護団は、全体の事実関係を時系列に整理し、各事実毎に関連する書証を掲げ、その事実が持つ意味内容について欄外に解説文を加える形式の準備書面を作成。

季刊教育法2000年9月臨時増刊号「いじめ裁判」の中の「上越春日中いじめ自殺事件」/近藤昭彦(弁護士)/2000年9月エイデル研究所、
裁判に何を求めるのかを決める。
裁判に求めるものは、いろいろあるだろう。真実の追及、名誉の挽回、相手の反省と謝罪、責任の所在の確認、社会的制裁を加えること、被害者の思いをぶつけたい、賠償金を得る、新たな社会規範をつくる、など。しかし、その中でも何を一番に考えるのか焦点を絞る。それによって、訴える相手や闘い方も変わってくる。
家族のなかで、よく話し合う。
訴訟を起こすとなると、金銭面、時間面、労力、周囲の視線など、家族への負担もけっして小さくない。家族のなかでも、思いは様々だ。自分はどうしたいのか、それぞれが本音を出して話し合うことが必要。その上で、何をどこまで協力できるのか、具体的な協力はできなくとも見守っていけるのか、名前や住所、電話番号などを公表することの影響や是非についても話し合いたい。
支援者を募る。
一緒に闘ってくれる仲間がいると心強い。また、個人の問題できなく、社会運動へと還元していける。
そのためには、まずは自分の情報を開示することが必要。なかには心ないひともいる。誹謗・中傷もある。しかし、それを恐れていては、心から支援してくれる人びととも出会えない。(STEP5参照)



弁護士の探し方

2002.5.5 最終更新

弁護士費用は高い。その上、わらをもすがりつく思いで依頼した弁護士に裏切られることも、騙されることもある。弁護士=善人とは限らない。後悔をしないためにも、勝敗をも左右する弁護士は慎重に選びたい。
弁護士探しはある面で医者探しに似ている。腕のいい医者、悪い医者、ビジネスライクな医者、親身になってくれる医者、自分にあった医者を探すことが病気を治す第一歩となる。(親身になってくれる医者が必ずしも、腕がよいとは限らない。その場合は、命にかかわることも)
それぞれ得意分野や専門分野があり、治療法も手術派、薬物療法、その他さまざま。知人に紹介されたからとか、有名な病院・医者だからと安心していたら、実際にはトンデモナイ結果になった、など共通項も多い。

以前は、弁護士が自ら宣伝することは禁じられていたが、2000年10月から広告が解禁された。弁護士会の運営するサイトでも、名簿などが公開される方向になっている。検索してみよう。

訴訟の分野にあった弁護士を探す。(教育裁判を扱ったことはあるかなど。ただし、時間がかかって、証拠集めにも苦労するわりに、勝訴の確率が低く、賠償金がとれても少額である教育裁判に積極的に関わってくれる弁護士は少ない。)
弁護士が扱った過去の判例を知る。
判例集を読む、直接尋ねる、新聞の切り抜き、ウェブサイトで情報を探すなどして、過去に扱った事件を知る。
ただし、被告側の弁護が多いか、原告側の弁護が多いかは、弁護士の善し悪しにはあまり関係ない。勝訴の数や率も必ずしも判断の決定打にはならない(誰がやっても勝てる内容の訴訟を選んでいる場合もあれば、引き受けてのない困難な裁判を自らの信条に照らして、積極的に引き受けてくれている弁護士もいる)。
むしろ、困難な裁判にも真摯に取り組んでくれるかがポイントとなる。
現在公判中の裁判を傍聴する。
できれば証人尋問のときに傍聴できると、その弁護士の闘い方がある程度、わかる。また、依頼者とのやりとりもポイント。
著書があれば読む(その人の考え方、信条、闘い方などを知る)。
ただし、自らの宣伝のために、いいことばかりを連ねることも十分、考えられる。表面的な言葉ではなく、実際にそのひとがどういう思いで、何をやってきたのかを知る。
紹介してもらう。
ただし、これは当たりはずれがある。単なる知り合いでなく、仕事ぶりを知っているひとに口をきいてもらうとよい。実際に依頼したことのある人から紹介してもらえれば一番よいだろう。また、弁護士に専門のひとを紹介してもらうという方法もある。どんな人からの紹介であれ、人それぞれに相性もある。最終的に自分の目で見て、依頼するかどうかの判断を。義理や情に流されると後悔することになる。
無料相談や法律相談(有料)で様子をみる。
法律相談は初回30分5000円〜10000円。親身になって聴いてくれるか。質問には、わかりやすく、はっきりと答えてくれるか。専門の知識はあるか。やたら契約を急がせたりしないか。などをポイントに。ただし、こうした相談窓口等は、弁護士のための仕事探しの場でもあることを忘れずに。団体に属している弁護士が、必ずしも信頼がおけるとは限らない。
人となりを知る。
長く辛い裁判を共に闘うには、信頼関係が欠かせない。どんなに辣腕と言われていても、信頼できない弁護士には頼まない方がいい。

弁護士を頼むときの心得・八か条
(知識武装で権利を守れ 「知って得する訴訟のしかた徹底ガイド」 裁判所・警察・弁護士の最大活用法/自由国民社より引用)

1.相談にいくときは必ずアポイントメントを。弁護士は非常に忙しい職業なのです。
2.相談の概略をまとめ、文書にしておく。
3.ただ相談するのではなく、こちらがして欲しいことを明確に。何となく、では弁護士も困ります。
4.電話で連絡し、持参したほうがよい書類等を確認しておく。実際に依頼するのでしたら印鑑も持参。
5.事件の内容は有利・不利にかかわらず、包み隠さず話しておく。疑い深い依頼者は負けると言います。
6.弁護士と意見が合わなければ、訴訟になる前に手を切ること。訴訟になってからでは費用がかかります。
7.事件解決の見通し、費用については事前に聞いておくこと。できれば報酬契約を結ぶとよいでしょう。
弁護士に最初にコンタクトをとるとき  〜経験者からのアドバイス〜

弁護士に最初にコンタクトをとるときに、いきなり電話で依頼内容を説明するよりも、簡潔に概要を書いてFAXするとよい。あるいは、概要を先にFAXする旨を電話連絡する。
弁護士は忙しいので、突然、電話をしても、来客中だったり、次の予定時間が迫っていたり、急ぎの書類を作成中だったりしてじっくり電話口で応対していられない。
また、依頼者は自分のことなのでわかっているつもりでも、初めて内容を聞くものにはわかりにくいことがある。
長い文章を並べ立てるよりも、箇条書きするなど要点を簡潔に。新聞記事などの資料があれば添付する(新聞はプロが書いているだけに読んで第三者にわかるようになっている。情報の過不足については自分で補う)。
書類に目を通してもらったうえで、時間を裂いてもらえるかどうかアポイントをとる。
本人訴訟

弁護士の引き受け手がないとき、よい弁護士と巡り会えないとき、弁護士費用が払えないとき、本人訴訟という方法もある。法律問題は弁護士がいなければムリという意見もあるが、現実に本人訴訟で闘っている人びともいる。弁護士が絶対に負けると言っていたにもかかわらず、勝訴した事例もある。ただし、平日に出廷しなければならない(原則として欠席は認められない)など負担も大きい。

当事者本人に対する裁判手続関する一般的な情報の提供は、現在、民事訟廷事件係、事件担当部の書記官、事務官により口頭で行われることが多い。
ただし、裁判所は、当事者間の紛争を解決する公正中立な機関であるので、書記官は、弁護士が代理しない当事者本人に対しても、公正中立な立場を害するような助言をすることはできない。
(「本人訴訟に関する提言 −当事者に対する正確でわかりやすい情報提供 /東京地方裁判所部民事部 本人訴訟検討会」/「判例時報 平成13年10月11日号 No.1756 /判例時報社」 参考になる本 参照



弁護士を頼んだら

2004.5.22 最終更新


弁護士費用について

2004年4月1日から弁護士法が改正され、従来の弁護士標準規程が廃止され、料金が自由化された。
各弁護士が報酬の基準を作成することになった。

弁護士に支払う主な料金は下記のものがある。(法律は変わるし、また、あくまで目安でしかないので要確認)

着手金 弁護士に事件を依頼する段階で、一部を着手金(請求額のおよそ5 %)として支払う。
結果が不成功に終わっても返還されない。
報酬金 事件が終った段階で、成功の程度(一部成功を含む)に応じて報酬(依頼者が得た利得のおよそ10 %)を支払うのが一般的。ただし、不成功(例えば全面敗訴)の場合は支払う必要はない。
実 費 裁判所に納める印紙代と予納郵券(切手)代、記録謄写費用、事件によっては保証金、鑑定料など、事件処理のため実際に出費されるもの。
裁判所に納める手数料などの「訴訟費用」は、裁判で負けた方の負担。
日 当 出張を要する事件については交通費、宿泊費、日当を支払う。
手数料 当事者間に実質的に争いのないケースで事務的な手続を依頼する場合に支払う。
書類(契約書、遺言など)作成、遺言執行、会社設立、登記、登録などがある。
法律相談料 依頼者に対して行う法律相談の費用として支払う。
1時間1万円が目安。
顧問料 企業や個人と顧問契約を締結し、その契約に基づき継続的に行う一定の法律事務に対して支払われるもの。


日弁連では、各事務所で報酬基準を作成し、依頼者に求められれば、見積書を作るよう務め、依頼を受けた際は報酬額を含む委任契約書を作ることを義務づけた。依頼する前に見積書を出してもらうとよい。
(2004/5/20 朝日新聞参照)

また、日本弁護士連合会はホームページ(http://www.nichibenren.or.jp/index.html)で、
    弁護士報酬 http://www.nichibenren.or.jp/jp/soudan/komatta/housyu.html や 
   市民のための弁護士報酬ガイド http://www.nichibenren.or.jp/jp/soudan/komatta/housyu/guide01.html を
    公開している。

私の知る限り、弁護士費用に関する依頼者の不満は多い。予想以上にお金がかかった、何にどのくらいかかるのかが事前事後とも不明確、弁護士の能力や対応・結果に対して大いに不満を感じているにもかかわらず多額の報酬を請求された、善意でしてくれたと思っていたことが後でしっかり請求された、などなど。

損害賠償請求の場合、相手に請求する金額によって、弁護士に支払う着手金や裁判所に納める印紙代が異なる。請求金額を決めるときは、そのことも考慮にいれて慎重に。

近県の弁護士に依頼するか、それとも玉石混淆で数が集中している大都市の弁護士に依頼するかは、人物、専門分野もさることながら、交通費、宿泊費、日当なども考慮にいれて。

弁護団を組んでもらうと心強いが、費用は×人数分になる(まれにボランティアで参加)。本当に必要かどうか、よく考えてから依頼する。
依頼内容を確認する。
契約書等はよく読む。依頼にどこまでが入っているか、どこまでやってくれるか(同行調査・書類作成)、また料金はどうなっているかをしっかりと把握しておく。料金一覧表の写しをもらうなどしておく。
お金の話はしっかりとする。
料金がいくらかかるのか、その都度確認する。訴訟費用には何が含まれて、何が含まれないのか、どこまでの段階(調査・示談交渉・第一審・控訴審・上告審・など)の料金なのかを確認する。(文書作成や同行の日当・交通費・宿泊費、調査費用など)成功報酬などについても話し合う。経済事情が苦しい場合などは、正直に打ち明けて事前に相談する。
主体はあくまで原告。
弁護士は法律知識を持った代理人にすぎない。この裁判に何を求めるのかを他人任せではなく、自分たちではっきりと決めておく(賠償金なのか、名誉の回復なのか、真実を知りたいのか、報復目的なのか、再発防止なのか、謝罪なのか)。
打ち合わせは綿密に行う。わからないことは聞く。
ただし、弁護士は忙しい。依頼者が事前に、ある程度勉強しておく必要もある(あまり専門的にやる必要はないが、基礎的な法律用語、手続き方法など)。
抜けや漏れがないように、予め質問事項をメモなどに整理しておくとよい。
弁護士を信頼する。
いったん依頼をしたら、信頼してまかせることも必要。裁判は駆け引きでもある。駆け引きの上手下手が、審判を左右する。遺族のストレートな思いがかえって裏目に出ることもある。弁護士との息が合わないと失敗する。
ただし、どうしてもダメだと思ったら早めに手を切り、新しい弁護士を探したほうがよい。
弁護士には真実を打ち明ける。
被害者であっても、他人に知られたくないことはある。しかし、裁判に不利になる材料であればなおさら、弁護士には打ち明けておいたほうがいい。相手は必ず、こちらの弱みを突いてくる。その時に、弁護士が知らなければ、対策の立てようがない。(たとえば、過去の犯歴、万引きや暴行、いじめの加害行為、親の認知、他人の警告など)
自分でできることは自分でやる。
すべてを弁護士任せにできると考えない。証拠集め、情報収集、書類の作成など、何をすればよいか、相談しながら行う。
また、加害者や証人との接触は慎重に。(脅迫・強要したなどと言われ、裁判で不利になることも)やったほうがいいこと、やらないほうがいいこと、弁護士と共にやったほうがいいこと、打ち合わせをする。
弁護士への苦情申し立て。
疑問があれば、弁護士に説明を求める。納得ができないことは、きちんと意思表示する。
弁護士は必ず、弁護士会に所属しなければならないことになっている。どうしても納得がいかない場合には、該当弁護士が所属する弁護士会の苦情処理委員会に申し立てを行う(無料)。



参考になる本    2003.12.3 最終更新    

弁護士会を上手に使いこなす本 〜いい弁護士を味方につけるための探し方・頼み方・費用がわかる!/中島省智(弁護士)監修/2001.8.5永岡書店/定価1300円+税
いい弁護士、悪い弁護士の見分け方や弁護士との付き合い方、費用の詳細、裁判の流れについて分かりやすく述べられている。ケースごとの弁護士の頼み方や問題解決までの流れが書いてある。
巻末資料として、手数料一覧や各地のあっせん・仲裁センター、当番弁護士連絡先、医療過誤問題の相談窓口、交通事故相談センター、弁護士会一覧などが掲載されている。
季刊教育法 2000年9月臨時増刊号 156 「いじめ裁判」/2000.9.25エイデル研究所/定価2000円
田作文開示請求訴訟・報告義務訴訟、富山・奥田中いじめ自殺事件、福岡・城島中いじめ自殺事件、津久井町立中野中いじめ自殺事件、鹿児島・知覧中いじめ自殺事件、上越春日中いじめ自殺事件、須坂市立中いじめ自殺事件、旭川市立中・性的いじめなど、いじめ裁判の事例の経過や判例要旨とともに、論点が解説されている。専門書のわりに素人にもわかりやすい。
巻末資料として、文部省のいじめに関する通達や、教育行政が作成したいじめ対策マニュアル等を掲載。
いじめ裁判を行うひとには、必携の一冊。
別冊ジェリスト No.118 「教育判例百選」(第三版)/兼子仁編/1992.7.5有斐社/本体2100円+税
いじめ裁判については、三室事件、いわき市立中いじめ自殺、中野富士見中いじめ自殺の3例のみ。学校の制度や生徒の権利に関する裁判、生徒の懲戒や体罰、学校事故に関する事件、教職員の人事や労働条件に関する裁判の事例が豊富。ただし、用語等は専門的。
知識武装で権利を守れ 「知って得する訴訟のしかた徹底ガイド」 裁判所・警察・弁護士の最大活用法/弁護士 石原豊昭 監修/自由国民社/2000年11月20日発行/本体1200円+税
記述が非常に具体的で素人にもわかりやすい。
内容は、このトラブルはこう解決せよ/民事訴訟の上手な進め方と手続き/自己破産や会社整理の法的手続き/家庭内や職場でのトラブル解決手続き/犯罪被害にあったときの訴えの手続き/訴訟の前後にとれる権利保護の手続き。弁護士に依頼する前に読んでおくとよい
「判例時報 平成13年10月11日号 No.1756 /判例時報社 (営業03−3947−7375)/定価800円
本人訴訟に関する提言 −当事者に対する正確でわかりやすい情報提供 /東京地方裁判所部民事部 本人訴訟検討会」の中で、本人訴訟について、かなり詳しく述べられている。
民事訴訟の流れ、簡単な語句の説明、Q&A、書類の書き方、答弁書・準備書面・証拠説明書・証拠申請書・期日変更申立書・答弁書・執行文書付与申立書・送証明申請書・判決確定証明申請書などのひな型や記載例などが掲載されている。
「教育判例ガイド」/浪本勝年・箱田英子・岩崎政孝・吉岡睦子・船木正文 著/2001.6.20有斐閣/本体2900円+税 
子どもの学習権、校則、教育情報、体罰、いじめ、ハンディキャップを持つ子ども、学校事故、スクールハラスメント、部活動での事故、地域の教育活動での事故など、81の判例と解説を掲載。ただし、専門家向けのため、用語がやや難解。
「裁判ゲーム」 裁判沙汰になるとこんな目にあう!/別冊宝島編集部/1999.10.9 宝島社/本体562+税
とくに少年事件の事例は扱っていないが、日本の裁判の矛盾点や問題点が見えてくる(裁判官や弁護士の問題点も)。裁判への幻想を打ち砕く一冊。現実を目の当たりにして幻滅する前に、予備知識として仕入れておきたい。
「シャボン玉は消えない」部活動で死んだ娘への報告/阿部ヒロ子著/1997.5.15 あすなろ社/本体1600円+税
部活動でのシゴキ・熱中症で亡くなった阿部智美さん(高1・16)の遺族の手記。(事例 880805
娘の死と真実の発見から、調査、裁判の経過、法廷でのやりとり、ドクターの証言、周囲の反応など、経過を追って詳しく書かれている。被害者・遺族になったら、どういう目にあうのかがよくわかる。
証言・証人の集め方、裁判の流れなどは、これから裁判を起こすひとの参考になるだろう。
「少年にわが子を殺された親たち」/黒沼克史著/1999.10.1 草思社/本体1600円+税
沖縄県石垣島の田本任(まこと)くん(中2・14)、沖縄県石垣島の富永政貴くん(高2・16)、大阪市の武孝和くん(高1・16)、岡山県の松田誠くん(大3・20)、小田陽一くん(小4)、百瀬俊彦くん(大学受験生)の6人。少年たちに殺された少年たちの事例。少年犯罪の被害者の苦しみ、悲しみ、怒りに焦点をあてている。
警察の調査のあり方と、それを覆した遺族の執念の証拠集めの方法は被害者にとって参考になる。
少年法と裁判のあり方を問う。

「知的障害者 奪われた人権」/副島洋明著/2000.11.10 明石書店/本体2000円+税
岡崎哲君の裁判(981008)、鷹番小事件の裁判(me010324 me010421)の原告弁護士。
水戸アカス事件、白河育成園事件、愛成学園事件、国分寺事件、静岡・金谷町事件、などの弁護士活動を通して、知的障がいを持つ人たち裁判での証言の困難性や取り調べ方法や司法のあり方の問題点を指摘。知的障がいを持つ人たちの人権がいかに奪われているかを告発するとともに、福祉のあり方や人権擁護に向けて具体的な提言を載せている。

「裁判における知的障害者の供述」(研究報告 〜知的障害者の声を司法に届けるために/知的障害者の訴訟手続上の権利保護に関する研究会)/2001.3./定価1000円/
連絡先:あさひ法律事務所:弁護士 黒岩海映(みはえ) 電話03−3505−1095 FAX03−3505−3081
水戸知的障害者虐待事件(水戸アカス事件)を教訓に、知的障がい者の供述・証言の特性、記憶特性、知的障がい者への尋問で留意すべき点やサポートの仕方を国内外の論文等も引用して、わかりやすく解説。
知的障がい者が、原告、被告、証人として関わる事件の関係者、及び司法・警察関係者、福祉関係者、知的障がいを持つ人の家族には、ぜひ読んでほしい。

注 意:私自身は法律の専門家でも、少年犯罪やいじめ研究の専門家でも、カウンセラーでもありません。
     最終的な判断はあくまでご自身の責任でお願いします。   S.TAKEDA



STEP1 STEP2 STEP3 STEP4 STEP5



日本のこどもたち(HOME) http://www.jca.apc.org/praca/takeda/  検索・索引
闘う人びとのために 問題解決に役立つ情報源 わたしの雑記帳
子どもに関する事件・事故 1
(いじめ・生徒間事件)
子どもに関する事件・事故 2
(教師と生徒に関する事件)
子どもに関する事件・事故 3
(学校災害ほか)
いじめ・生徒間事件に関する
裁判事例 1
教師の体罰・犯罪・その他の
裁判事例 2
学校事故・災害の
裁判事例 3
事件・事故と心の傷について 自殺防止に役立てたい情報源



プラッサのトップページへ

Copyright (C) 2005 S.TAKEDA  All rights reserved.