STEP3 トラブルに巻き込まれたら



被害にあったとき、被害者・遺族に起こること

2002.12.16 最終更新

精神的ショック 解離(かいり)状態(自分が自分でないような感覚)、感情のマヒ、茫然とする、混乱・錯乱、気を失う、体調を崩す、精神的不安定、食欲不振、不眠、物忘れ、集中できない、フラッシュバック、罪悪感、自責の念、無力感、うつ状態、赤ちゃん返り(幼児に戻ることで保護される存在=安心感を得ようとする)
マスコミ(報道)被害 マスコミが大挙して押し寄せる、車であふれる、取材・電話攻勢、写真を撮られる、事実に基づかない勝手な報道をされる、取材を受けたが言い分が全く書かれていない、氏名や住所・などプライバシーの流出、本人や家族・自宅の写真掲載、近隣・親戚への聞き込み、ヤジウマが押し寄せる。
誹謗・中傷 いたずら電話、罵倒、心ないウワサ、犯人扱い、言動を責められる、周囲の好奇の目、排除、孤立
心的外傷後ストレス障害
ost−raumatic tress isorder)
治ったはずの傷が痛む、引きこもり、うつ状態、自傷行為、過食拒食、対人恐怖、視線恐怖、精神障がい、家族・親しいひととの諍い、恐怖感、不安感、フラッシュバック、瞬間的なパニック、悪夢をみる、睡眠障害、怒りっぽくなる、感情が不安定、楽しい家族行事ができない、人生を楽しむことに罪悪感を感じる、自責の念、記憶をなくす、同じような事件・同じ年齢の子ども・友人を見ると思い出して辛くなる。
体の不調 ストレスから、頭痛、腹痛、かぜをひきやすくなる、体力の低下、胃潰瘍、ガンなどになりやすい。
勧誘・詐欺 ワラにもすがる気持ちの被害者・遺族の混乱や悲しみにつけ込む、悪徳業者や宗教の勧誘。政治や宗教、団体の宣伝、駆け引き、勧誘、寄付集めに利用されることも。言葉巧みに金をだまし取られることもある。親切そうに寄ってきた人物が利害が敵対する相手のスパイであることも。一度騙されると人間不信に陥る。
兄弟姉妹の被害 好奇の目にさらされる、いろいろ聴かれる、誹謗・中傷、家族の悪口を言われる、学校・職場・地域で不利益を被る、家族の関心が自分にいかなくなる、親が留守がちになる、家族の楽しい行事ができなくなる、裁判等で金がかかるため進学等に影響が出る。世の中の不条理を身近に体験して、社会に対して怒りを持つ。時にそれが無力な当事者や家族に向かうことも。
経済的困難 働き手を失ったり、治療にお金がかかったり、世間の誹謗・中傷・好奇心から職場にいずらくなる、または後遺症や心の傷から通常の生活が営めなくなって職を失う、裁判その他で時間が取られたり仕事に集中できないなどの理由で出世コースからはずれるなど、経済的な困難を伴うことがある。被害者に対する行政の経済支援は未だ不十分。さらに訴訟を起こせば、弁護士費用や調査費用、通信費、交通費などの出費が増える。
その他 警察の呼び出し・裁判等に時間をとられる、事件への誹謗・中傷から来る職場・学校・地域での孤立、失職、不登校、商売の不振など。
注 意 ! 心理的なものが、病気や幻覚、幻聴を引き起こすことがあるのは事実です。
しかし一方で、実際に無言電話や盗聴、ストーカー行為をされているにもかかわらず、
周囲が気のせいとして取り合わない、また、医療ミスや術後の経過が悪くて傷が癒着していて実際に痛みがあっても、医師の心理的な痛みとの思い込みで診断や診療、再手術をしてもらえないという二次被害も現実にあります。
思いこみは禁物です。まずは客観的事実を慎重に確かめて。被害を信じてもらえないのは何より辛いことでしょう。


事件・事故と心の傷について 自殺防止に役立てたい情報源 参照


被害者のために周囲ができること

とくべつな技術・能力・知識・人脈がなくても、あなたにできることはたくさんあるはず。    2002.12.16 最終更新

STEP1 警察への通報、救急車・病院の手配、親族・知人・会社・学校への連絡、車の運転、タクシーを呼ぶ、付き添う。
STEP2 食事、宿泊の世話、連絡の代行、子どもを預かる、病院の付き添い、すぐに必要なものを貸す・買ってくる、(相手が話したいときに)話を聴く、同行する、葬式の準備、支援の役割分担、金の立て替え(領収書をとっておく、返ってこないことも覚悟してできる範囲内で)、アドバイス(証拠の保全などを含む)、マスコミへの窓口、電話の応対。
STEP3 同行する、話をきく、アドバイスをする、仲間を集う、支援者組織を立ち上げる、必要な情報を集める、回復状況をみて楽しいことにも誘う、裁判の傍聴支援、資金の援助、カンパ(弁護士費用・交通費・通信費・その他、活動にはお金がかかります)。
STEP4 時期をみて、被害者と加害者の間を取り持つ。第三者が入ることにより、双方が冷静に話し合える場を設けることができれば、被害者にとっても、加害者の回復にとっても、望ましい。これからは、こういう役割を担える人間の存在が必要だと思う。(ただし、誰もができることではないが)
(事例 950416 では、教員の付き添いで加害者親子が被害者宅に謝罪訪問。これをきかけに、加害少年が命日には焼香に訪れる)
POINT1 主体はあくまで被害者もしくは遺族であることを忘れないこと。周囲の人間が代わりに闘ってあげることはできない。当事者の意に反して煽りたてるようなことはやめる。最終判断は当事者に任せる。被害者や遺族をコントロールしようとしない。
POINT2 自分からは遠慮してなかなか言い出せないないことが多いので、当事者に「してほしいこと」「してほしくないこと」を聴く。ただし、混乱しているときには、自分でも何をしてもらえば助かるのかがわからない。上記を参考に自分で動く。いつでも助けになることを伝える。
POINT3 時にはサポートするひとが、被害者や遺族の混乱に巻き込まれてしまうことがある(心理カウンセラーなど専門家ですら影響を受けることがある。素人ならまして・・・)。同じようにPTSDに陥ったり、苦しくなることがある(これをバーンアウトという)。そういう時には、少し距離をおく。
自らの限界を知って、できること、できないことをはっきりさせる。
POINT4 深い心の傷を持つひとは気持ちが不安定になりやすく、時にひどく落ち込んだり、周囲に対して攻撃的になることもある。原因は周囲のひとの無理解だったり、被害者の過剰反応だったり、ストレスからくる八つ当たりだったり。できるだけ広い心で受けとめてほしい。
被害者は繰り返し同じことを話すことがあるが、それは回復に必要な行程であることを理解する。
いずれも、自分ひとりで受けきれないと思ったときには無理をしないで、何人かで分担できる体制がとれるとよい。


2002.12.16 最終更新


バーンアウトを防ぐために(「犯罪被害者の心の傷」/小西聖子著/1996.12.10白水社)
「まず第一に経験を積むことが、傷つきを少なくする方策である。回答が見つからなくても、被害者にとって大きな援助になることを体験すると、答えのないような場面への耐性も高くなる。無力感は減少する。」

「スーパーバイズの必要性。(中略)そんなに特別なものでなくとも、必要なところで「それでいいんだよ」と言ってもらえること、あるいは「もっと、このことについて話し合ったほうがいいんじゃないか」「こう対応したほうがいいんじゃないか」と言ってもらうことは大事である。

「トラウマの深刻さは、被害者一人で背負うことはもちろん、カウンセラーがたったひとりでがっしり受け止められるものでもないのである。孤立はバーンアウトを促進する。もっとも実践的な解決方法は「ひとりでやらない。仲間をつくる」ことだといえる。家族や友達に話せることではないから、ぜひ仲間が必要なのである。」

「自分を好きになること、自分を大事にすること、自分の価値を知ること、被害者カウンセリングの目標はケアを提供する者の目標である。」

心の傷を経験して /  S.TAKEDA
私自身はカウンセラーでも相談員を専門としているわけでもないので、被害者をカウンセリングしようなどとは思ったことはない。しかし、被害者の体験をただ聴くだけでも心に傷はつく。自分でも意識せずに突然、声をあげて泣き出してしまったり、そのあとも半年間くらいは、電車に乗っているとき、道を歩いているとき、家事をしているとき、何の脈略もなく思い出して胸が苦しくなる、涙がこぼれるなどを経験した。脳と体がバラバラで、頭では自分の感情や身体的反応をコントロールできないことを体験した。

私自身の解決策としては、
・こういう症状がおきるということは、自分が被害者に共感できている証であると肯定的に受け止めるようにした。(日頃、どんなにつらい話を聴いてもほんとうには実感できない自分を冷たい人間だと思うこともある)
・自分の受けている傷はいわば二次被害。当事者のほうが何十倍も辛い思いをしていることに思いをはせた。そう思ったときに、この心の痛みを大切にしようと思えた。
被害者から少し距離をとるようにした。相手の感情に巻き込まれないために、自分の感情に巻き込まないために、互いのためにそのほうがよいと思った。
いろんな楽しみを持つ、ストレス解消法を持つ。辛い思いをしているひとがいても、自分自身が楽しむことに罪悪感を持たないようにする(被害者にもそうなってほしいと望んでいるのだから)。没頭して楽しめること、場所をもつ。
・自分の能力の限界を知る。自分に無理をしない。なんとかしてあげなくてはと思わない。相手に対して自分が何かできるなどと思うのは自分の思い上がりだと思う。「何もできない」(でも、自分にできることを自分のために何かしたい)というところからスタートするから、何か少しでも役たったと言われると、とてもうれしい。新たなパワーになる。(もっとも、感謝の言葉を相手に期待するべきではないが)
自分の手の届く範囲に限定する。私は専門家ではない。人とのつながりを大切にしたいと思うので、数をこなそうとか、もっと広げようとは思わない。時が来れば自然に広がるもの。その時の出合いを大切にしたいと思っている。




被害者・遺族を傷つけることばや行動

2002.12.16 最終更新

混乱している被害者・遺族にあれこれ聞く。詮索する
聞くのは、必要があるひとが必要最小限に聞く。興味本位では聞かない。気持ちが落ち着くのを待つなどの配慮を。ただし、相手が話したいと思っているときには別。話すことで気持ちや情報の整理がつくこともあるので、内容がたとえ支離滅裂であっても、じっくり話を聞く。また、状況によっては第三者がメモをとりながら、内容を整理していくことが必要な場合もある。
勝手に情報を流す。事実に基づかない憶測でものを言う
話には面白おかしく尾ひれがつく。想像でうっかり言ったことが、いつの間にか事実であるかのように噂として広まる。また、事実であっても流されたくない情報もある。一度出てしまった情報は取り返しがつかないことも。
「ほんとう?」「信じられない!」と言う。
驚きから出た言葉であっても、使い方によっては被害者を傷つける。世の中で信じがたい理不尽なことが現実に起きている。加害者が地位や名声のある人物の場合には特に、周囲の人間に信じてもらえなかったり、加害者を擁護する声ばかり聞こえてきて被害者を傷つける。
加害者への減刑嘆願書。
被害者が署名していれば、確かに減刑に有利かもしれない。しかし、自分たちの被害をも受容できていない時期に、加害者に嘆願署の記入を依頼するのは心ない仕打ちだ。第三者であっても、被害者の心情を思えば、けっしてするべきことではない。
「世の中にはもっと不幸なひともいる」「あなたのほうがまだまし」「わたしのほうが辛い」などと言う。
本人がそう思うのはかまわないが、他人に言われることではない。そのひとの苦しみ・悲しみは他人と比較しようがないもの。
「あの時、ああすればよかった」「こうすればよかった」などと言う。
過去に遡ってやり直すことはできない。一番そう思って自分を責めているのは被害者や遺族。これ以上追い込まない。結果は誰にもわからない。
「わたしだったら、相手を刺し殺してやる」などと言う。
被害者や遺族もそう思っているが、必死に自制している。苦しくさせるだけ。実行できない自分自身を責めることになる。実際には、やられたらやり返すことはできない。また、可能だったとしてもするべきでないし、やり返したからといって気持ちが晴れるものでもない。復讐を考えている間、被害者や遺族は地獄の苦しみから逃れることはできない。
「あなたの気持ちはよくわかる」と言う。
同じ経験をしたひとにしか、わからない。また、同じような経験をしても、個々それぞれに感じ方は違う。100%その人の気持ちがわかるなどということはあり得ない。それでも、少しでもわかりたい、理解したいという気持ちは大切。
生命保険や賠償金など、必要のないひとが金の話をする。「金が入ってよかったね」などという。
金をもらったからといって、被害にあいたい人間などいない。親族の命を金に替えて喜ぶひとはいない。
「訴えろ」「闘え」「他のひとのことを考えて泣き寝入りするな」とハッパをかける。
個々に様々な事情がある。遺族であっても、死んだ人間のために、生きている人間の生活を犠牲するわけにはいかない。金の問題、周囲の協力体制の問題もある。闘えない自分を責めることにもなる。
「ガンバって」と言う。
つい出てしまう言葉だが、精一杯がんばっているひとにとっては、「これ以上、どう頑張れというのだ」という気持ちにさせる。むしろ、「たいへんだったね」「辛かったね」「頑張りすぎないで」とねぎらう言葉を。
「運が悪かった」と言う。
自分がそう思うのはいいが、当事者にとっては「運が悪かった」ではすまされない。ただし、「あなたのせいではない」「自分を責めないで」というメッセージを伝えることは大切。
「過ぎたことは、忘れなさい」と言う。
忘れられないのが家族というもの。特に親は一生、子どものことを抱き続ける。本人が忘れることを望んでいないこともある。また、多くのは遺族は、殺された被害者のことを加害者にはもちろん、友人・知人たちにも忘れて欲しくないと思っている。なかに「忘れられない」自分を責めてしまう被害者もいる。
「また子どもを産めばいいじゃない」「一人っ子でなくてよかったわね」などと言う。
どの子も死んだ子どもの代わりにはなりえない。また、代わりにされたきょうだいは傷つく。
腫れ物に触るように扱う。
傷つけることを恐れすぎて周囲が気を遣いすぎるのも、被害者や遺族を傷つける。細かい気遣いは残したまま、できるだけ自然体で付き合う。傷つけたと思ったら「ごめんなさい」と素直に謝る。何か気の利いたことを言えなくとも、側に寄り添ってくれるひとがいるだけで、被害者は勇気づけられる。
被害者・遺族に負い目や負担をかけない。
感謝の言葉や見返りを求めない。支援者に対して必要以上に気を遣わせない。お金も当然、使わせない。
「やってあげている」ではなく、誰もがいつ被害者になるかわからない世の中では、お互い様。あなた自身が学ぶことも多いはず。それは自分自身の利益にもなる。
また、世の中の矛盾を放置しておくことは、いずれ必ず自分や家族に跳ね返ってくる。

被害者や遺族を過度に美化する。
被害者や遺族もふつうの人間です。良い面も悪い面もある、強い面も弱い面もあります。美化して考えたり、あるべき被害者像などを押しつけることは、負担になります。ありのままをただ受け止めてください。
また中には、被害者はこういう人間だったから、家族がこういう人間だったから(事件にあった)などと言うひとがいます。人間誰でも、日々の生活のなかで一つや二つ、人に言えないこと、言いたくないこと、傷になることを抱えているものです。でも、だからといって決して、いじめられたり、傷つけられたり、、殺されたり、理不尽な目にあっていいはずなどないのです。

一方、親は亡くなった子どもの良いところばかりを言います、書きます。そのことに反発を覚えるひともいるでしょう。でも、考えてください。親にとって自分の子どもの悪い部分が目につくのは、そういうところを直して、よりよい人生を送ってほしいと願うからです。それを奪われた今、わざわざ子どものマイナス点を言い立てる必要がどこにあるでしょう。まして、悪い噂ばかり、面白おかしく尾ヒレがついて広がります。その名誉を挽回できるのは、親しかいないのです。最後が悲惨であればあるだけ、せめてみんなの記憶のなかには、美しい形でとどめてもらいたいというのが、当然の親心ではないでしょうか。

※ここに書いてあるのは、あくまで一例です。被害者・遺族といっても一括りにはできません。それぞれに感じ方、考え方が、同じ家族のなかですら違います。同じ一言で傷つくひともいれば、励まされるひともいます。相手の身になって、感性を磨いて、失敗を重ねながら付き合っていくしかないと思います。被害者・遺族にとって、寄り添ってくれる人間は必要です。


被害からの回復

2002.12.16 最終更新



Re New
受容のプロセス(ここでは障がいの受容を例に)
「障がいの受容」について講義を聴いたことがある。自分にとってかけがえのないものの喪失という点で、被害者や遺族と共通する。受容に至るプロセスについても共通点が多い。
1.ショック期
障がいの発生直後:感情が鈍磨した無関心な状態。
2.否認期
障がいという現実が押し寄せてきても、押し返せない:否認という心理的な防御反応
急に治るのではないかという幻想を抱く:潜在性否認(奇跡を待望)
病院を転々とする。迷信にすがる。
3.混乱期
現実を否定しきれなくなって反発する時期。自分の運命を受け入れることができず反発する。
周囲の人を責めたり、自分を責める。
外向的・他罰的に(怒り、恨みなど)。内向的・自罰的に(自殺企図、抑うつ的)
4.解決への努力期
現状を自分の運命として気持ちのうえで納得しようとして、価値体系を切り替えて前向きに努力しようとする時期。
5.受容期
新しい、より高い価値感に転換。障がいを自分の個性の一部として受け入れる。
新しい役割や仕事を得、活動をはじめる。その生活に生き甲斐を見いだす。
以上、障がい受容の諸段階は1回だけで終わるのではない。人生の節目で混乱するなど、混乱・努力・仮の受容を繰り返しながら、真の受容に向かうようである。  1983年 上田氏
立ち直りの速度はひとそれぞれだ。けっして他人と比べられるものではない。夫婦間でも異なる。また表面的には立ち直っているように見えても、無理しているだけだったり、本人が自覚していないだけだったりすることがある。何かのきっかけで心の傷が再び開くこともある。また、自分が立ち直れないことに罪悪感を感じる被害者も多い。立ち直りをせかしたり、立ち直れないことを責めるなど、不用意な発言には気を付けて。(TAKEDA)
メキシコのNGO「ダヤ」のプログラム・ディレクター・ギジェルミーナ・ゲバラ・ガルシアさんの言葉(ストリートチルドレンを考える会のシンポジウムにて)
 「私のところにもたくさん、性的虐待を受けた女性、少女たちがいます。そういった目にあった女性すべてと回りの人にぜひ言いたいのですが、けっして『可哀想に、それで人生おしまいよ』という対応をするのではなく、それを乗り越えることによって、より素晴らしい人生を掴んでいってほしいと思います。
 そういう傷ついた人が側にいる場合は、もちろん最初の段階では、ある程度時間をかけて側に寄り添うことが大切です。その人が、自分をとても愛してくれていると感じている人びとが、その人に常に寄り添い、ケアをするということが必要です。
 しかし、第2ステップとしては、いつまでも『かわいそうね、かわいそうね』と言っているのではなく、背中を押してやって、前に進めるように、『さあ、前に一歩を踏み出しなさい』と言えるような対応をすることが大事だと思います。」
−犯罪被害者支援の軌跡−「犯罪被害者心のケア」/大久保恵美子著/2001.8.1少年写真新聞社発行
「それまでは、早く元気にならないと周りの人から『弱いから立ち直れないのだ。何時まで甘えているのかしら』と思われないかと周囲の人達の思惑を気にしていたのですが、専門の本田先生から『あなたがおかしいのではなく、当たり前のこと』と言ってもらえたことで、医学的にも自分は異常ではないのだと思えたことから、自分の感情をそのまま認めることができて安心しました
 その時々の自分の気持ちを安心できる先生の前で話せることは、心の中にある複雑な感情が自分なりに整理ができ、次に自分は何をしたいのかが見えてくるということを実感していました。
 カウンセリングを重ねることで、理解できなかった自分の心理が理解できるようになり、悲しくても、苦しくても置かれている現実を直視し、あるがままの自分を受け止め、自分自身と向き合うことで立ち直りのきっかけを掴むことができたのです。」
自助(セルフヘルプ)グループへの参加
同じ問題をかかえる人たちが語れる場を持つ自助グループが増えている。

・安心して語れる
・当事者同士だからわかりあえる
・孤立感から解放される
・情報が得られやすい
・自分たちが主体となれる(自立)

などの利点がある。一方で、そのひとの痛みはそのひとだけのもの。感じ方、考え方、環境、被害からの回復のスピードなどは様々。期待が大きすぎると、何もしてくれない、わかってくれないと不満に思ったり、互いを批判しあったりして、かえって互いを傷つけ合う結果になる。
傷ついた人たちが集まるだけに、明確なルールそれなりの運営ノウハウが必要
自ら立ち上げる方法もあるが、まずは既存のグループを覗いてみるとよい。情報はネット検索や書籍、ボランティアセンターなどで得られる。
あるアメリカの研究グループの提言
心のケアに必要な三つのT
ears (涙を流すこと)
alk  (だれかに話すこと)
ime  (時間をかけること)
「犯罪被害者の心の傷」(小西聖子著/1996.12.10白水社) から抜粋
「呼吸をするように繰り返し「語る」こと。繰り返し話すことで、断片をつなぎあわせ、事件を認知的に構成し、それによって、被害者は記憶を自分の人生に組み込んでいく」

感情や事件の記憶は、本来絵画で表現されてもよいし、動作で表現されてもよい。(中略) 日本人は表現すること自体にあまり慣れていないので、「泣く」という行動化がその代わりをしているのではきないかと思うこともある。」

「そのイメージを思い起こしても自分でパニックに陥らず、
感情をコントロールしていくことを訓練する

「しかし、
症状が激しい場合には(中略)無理に思い出させることはしない。どのような技法も、被害者が自分のからだと心のコントロールを取り戻す試みの一つとして行われる必要がある」

自責感を軽減し、正常であることを保障すること。(中略)恐ろしい事件に対するほとんどの反応は「正常」なものであることを明確にする過程である。いろいろな激しい感情が起こってくることは、被害者が異常だったり、悪い人間だったり、残酷だったりするからではないし、おかしくなってしまったからでもないことを話の中で確認していく。」



被害者支援機関

 2002.1.15 最終更新

弁護士 各地の弁護士会で初回無料電話相談を行っているところもある。
法律的な問題解決には頼りになる。ただし、選び方は慎重に。(STEP4参照

初回市民法律相談 30分ごとに5000円−1万円の範囲内の一定額。
一般法律相談料  30分ごとに5000円以上2.5万円以下。
マスコミ マスコミ被害がある一方で、マスコミならではの真実の追求や世間へ訴えることもできる。ただし、相手を見極めて。言ってもいないことを、さも取材したかのように書かれたり、ビデオを勝手に編集されて、こちらの意図が全く伝わらない・ニュース性を高めるためにわざと誤解を与えるように組み替えられることもある。できれば、放映・掲載前にチェックさせてもらう。
警 察 暴行や恐喝、レイプ事件などは被害届や告訴が必要。
犯罪被害対策室や被害者訪問担当係りがいる警察署もある。
きちんと対応してくれれば、何より心強い味方となるが、一方で民事や少年事件をとりあってくれない、高圧的、不親切、身内かばいの意識が強いなども。
当番弁護士 逮捕された時、弁護士を呼ぶ権利がある。警察で「当番弁護士を呼んでください」と言えば連絡してもらえる。本人だけでなく、家族や友人でも呼べる(近くの弁護士会に電話をする)。
当番弁護士としての最初の出動は、弁護士会が負担するので無料。ただし、その後も引き続き弁護を依頼する時は、規定の費用が必要。

※問題関係に役立つサイト案内、相談機関のページを新たにつくりました。問題関係に役立つ情報源を参照ください。
(被害者支援センター、報道被害の相談窓口はこちらに移動)


2002.1.6

昭和41(1966)年5月21日午後10時半頃、横浜市生麦通りで、鶴見区生麦町の溶接工・市瀬清さん(26)が、自宅近くで、工員(19)に刺され、翌日死亡。父親の市瀬朝一さんは、「犯罪による被害者補償制度を促進する会」を組織。街頭での署名活動や国会請願など熱心に活動を繰り広げた。
昭和49(1974)年8月30日の三菱重工爆破事件を契機に世論も高まり、「犯罪被害者等給付金支給法」が成立。昭和56(1981)年1月から施行された。
その奮闘ぶりが、木下恵介監督の「衝動殺人−息子よ」に映画化され反響を呼んだ。
(参考 : 「年表 昭和の事件・事故史」/小林 修 /東方出版 )



役立つ制度・法律の知識

いざという時のために、頭のすみにいれておきましょう。
警察や役所など、被害者に必要な情報を、必ずしも親切に提供してくれるとは限りません。

2004.4. 最終更新

国公立学校教師の
処 分
(国公立学校の教師は教育公務員)

措 置 監督権者による事実上の措置。
行政上の措置であって、処分ではない。
訓 告 服務監督者である上司が、一般的な監督権に基づき、部下の義務違反行為を指摘して将来を戒める行政上の措置。
口頭でする場合と、文書にする場合がある。
人事委員会の審査対象にもならない。
厳重注意
諭旨免職 本人を諭し、依願退職をさせるもの。退職金も出る。教員免許もそのまま維持される。
懲戒処分 国公立教師が不祥事を起こした場合、地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)違反として、同29条(懲戒)によって処分される。
戒 告 職員の服務義務違反の責任を確認し、その将来を戒める処分。
減 給 一定期間、給料の一定額を減ずる処分。
停 職 職員を一定期間、職務に従事させない処分。
免 職 職員としての地位を失わせる処分。退職手当は支給されず、退職年金も制限を受ける。前科にもなる。

「黙りこくる少女たち」/宮淑子著/2003.7.1講談社 参考
時効について 不法行為の消滅時効期間は3年。
業務上過失致死の時効は5年。
しかし、ケースによっていろいろあるので、あきらめずに確認を。
(例えば、殺人事件の時効は15年。しかし、民法上の不法行為に対する損害賠償請求権の時効は、その被害者や加害者がわからない場合、行為時から20年など。また、実際に3年を過ぎた後に訴訟を起こしている場合もある。被害を知った日から数える、成人して自分で訴訟が起こせるようになってから、在学契約論に基づく(881221の場合)など、法の様々な解釈を利用できる場合がある。STEP5参照)
改正少年法 2001年4月から施行。
刑罰対象年齢を「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げた厳罰化とともに、被害者支援として、
1.被害者による審判記録の一部閲覧・謄写容認
2.被害者申出による家裁裁判官への意見陳述権
3.被害者への家裁終局決定後の通知
が新たに規程された。ただし、いずれも条件があり、相当なときはそれを認めるとある。
情報公開に関しては、不起訴の部分は公開されない。
意見陳述は、陳述に変えて書面提出の場合もある。裁判官の裁量次第。
また、被害者から申出があることを条件にしているので、自分から積極的な働きかけを。
(5年後に見直し検討)
犯罪被害者等給付金制度 犯罪に巻き込まれ、命を落としたり、重度の後遺症が残った被害者や遺族は、遺族給付金(最高額2000万円)や障害給付金を国に請求することができる。(いろいろな条件や制限あり)申請受付は居住の各都道府県の警察本部または、警察署。被害を知った日から2年以内に申請すること。
財団法人犯罪被害救援基金(03−3595−2006)では、犯罪被害児童等への奨学事業と重障害者に対する見舞金などの事業を行っている。
ストーカー規制法 ストーカー行為とは、特定の人への恋愛感情を満たす(充足されない場合の怨恨を含む)ためにつきまとう行為。待ち伏せや押し掛けにより、被害者に交際を求めたり、乱暴な言動をすることを言う。無言電話や性的羞恥心を害する文書の送付や配布などもストーカー行為に含まれる。法定刑は、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金。
また、警察はストーカー行為の禁止を命令することができる。 
刑事訴訟法及び検察審査会法の改正 2000年5月成立。
・証人への遮蔽
・ビデオリンク方式での証人尋問
・被害者の意見陳述制度

などができるようになった。
犯罪被害者保護法 「犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」の略。
2000年5月19日に公布、11月1日施行。この法律により、
1.公判手続きの傍聴。被害者や家族、遺族が優先的に傍聴できるようになった。
2.公判記録の閲覧・謄写を認められるようになった。

3.これまで被害者本人に限っていた申し立て権を、被害者が死亡した場合には遺族にも認めることにした。(20日以内)
また、犯人(被告人)が取り決めた示談内容を履行しない場合、被害者はそれを記載した公判調書により、犯人側の資産に強制執行して賠償金の取り立てができるようになった。
被害者等通知制度 1999年4月より全国一斉統一基準採用。
1.通知対象は、罪名等による制限をもうけず、受理した全ての事件とする。
2.通知はも被害者親族およびその代理人目撃者等の参考人に対して行う。
3.通知は、被害者等があらかじめ通知を希望する場合、または被害者等から照会があった場合、に行う。被害者等を取り調べた場合には、そのときに、通知の希望を確認する。また、被害者が死亡した事件等の重大な事件にあっては、取り調べを実施しない場合でも、通知希望の有無を確認する。
4.通知の内容は、事件の処理結果(少年事件では「家裁送致」)、公判期日裁判結果等のほか、希望があるときは、不起訴裁定の主文不起訴裁定の理由等の骨子等とする。
5.通知制度の趣旨に沿わないとき、関係者が名誉等を不当に害するおそれがあるとき、捜査または公判の運営に支障を生ずるおそれがあるとき、犯人の改善・更正を妨げるおそれがあるとき等、検察官が通知することが相当でないと認めるときは、通知しない
性犯罪について
13歳以上の女性に対しては、暴行・脅迫をもって姦淫することが強姦罪の成立要件となる。

13歳未満の女性に対しては、たんに姦淫のみで強姦罪(強制猥褻)が成立する。(刑法177)13歳未満の女性は姦淫に対して承諾能力がなく、かりに承諾があったとしても、その法律上の効力が認められないことを理由とする。未遂を罰し、原則として親告罪

強姦が未遂に終わった場合でも、被害者が負傷(処女膜裂傷を含む)した際には強姦致傷罪が成立する。
強姦罪が親告罪(刑法180)で被害者の告訴をまって成立するのに対し、強姦致傷罪は非親告罪で、被害者の意志のいかんにかかわらず犯罪として追及される。
処罰も強姦罪が2年以上の有期刑であるのに対し、強姦致傷罪は無期または3年以上の懲役となる。
性犯罪の告訴期間
(2000.5.19改正)
強制わいせつやレイプ事件は、被害者が告訴しなければ、原則として犯人を処罰できない(親告罪という)。2000年5月19日公布の改正刑事法により、犯人を知ったときから6カ月という告訴期間の規程が削除された。
性犯罪の被害者は事件の公訴時効期間中(レイプ7年・強制わいせつ5年)は、いつでも犯人を告訴できるようになった。
情報公開条例と個人情報保護条例

2001年4月1日情報公開法制定。
情報公開条例は、住民の知る権利、行政の透明性、住民の行政参加、という観点で制定。
個人情報保護条例
は、自己情報へのアクセス権・コントロール権を認めたもの。

2001年3月には、警察を情報公開の対象とする条例が42都道府県の自治体で成立。ただし、公開か非公開かは、警察側の裁量権を一定程度認めている。

自治体ごとに運用が異なる
ので、詳細については役所窓口か、自治体のネット検索を。
役所によっては、情報公開制度を利用した人がほとんどなく、不慣れなこともある。
一人で行くより、何人かで行ったほうが親切に対応してくれる(経験上)。ただし、高圧的にならないで。

以下、何かのヒントに・・・。
法制定後変わっていたり、不正確な部分があるかもしれないので、要確認
自治体によって条例には違いがある。該当する自治体の条例内容を予め調べておくとよい。また、細則はきまっておらず、担当部署の解釈によって行われることもある。他の自治体の例も知っておくと反論しやすい。2001年4月1日に情報公開法が制定されている。書類の日付を確認のうえ、古い条例や条例解釈には、内容の変更等の確認を。
申請窓口はたいてい市役所。庶務課や文書保管係、情報公開窓口となっていることもある。そこから教育委員会など、該当文書のある機関に書類が回される。
個人情報の請求には、本人を証明する書類子(本人)の保護者であるという証明(戸籍謄本など)が必要なことも。印鑑も忘れずに。
文書名がわからない時は、「○○学校の○○の事件に関する一切」などという請求の仕方があるが、文書名の特定に時間がかかることも。
対象文書が多い場合、
年、月、日、学校名、学年、クラスなどを特定する(加害者が他学年の場合やいじめ・恐喝等が広範囲に行われていた場合、小規模校の場合は、他学年のものも請求)。または、「その内、○○に関するもの一切」とする。
時間のかかるものと、かからないものとを同一用紙に記入すると、すべての書類の入手が遅くなる
場合もあるので注意。別々の用紙に書く。早くできたものから、順次渡してくれるところもある。窓口で要確認。
「○○の指導要録」「事故報告書」「○年○月○日の○○学校の職員会議録」「市の教育委員会会議録」「学級日誌」「作文」など名称がはっきりしている場合は、名称を特定して書く。ただし、場合によっては、1字違いで検索されず、「不存在」と回答されることもある。
「報告書」と書くより「報告書」、「日誌」と書くより「日誌の類」と書いたほうが、網が広がりやすい。恐喝や暴行・傷害を「いじめ」には含めないこともあるので、「いじめ・恐喝・暴行・傷害・器物損壊などに関する報告書類」とすることも一考。
「体罰報告書」「事故報告書」に含まれることもあれば、別の場合もある。要確認。教育委員会関係の書類にはどのようなものがあるのかを窓口で聞いてみるとよい。
個人情報で個人(本人・子)の情報をとる。一方で、同じ学校で、同じような事故・事件が続発していることも考えられるので、公開情報で地域や学校全体の報告書類(詳細がわかればなおよいが、件数だけでも参考になる)をとる。地域の「校長会」のようなものがあれば、そこでの議事録・提出書類なども請求する。
県や都の教育委員会に上がっている書類と、市や町の教育委員会に上がっている書類とが同じとは限らない。両方とるとよい。(市教育委員会から都教育委員会に提出された書類など)
文書の一覧があれば、その中から当たりをつける。一覧をコピーしてもらうことも可。(自治体にもよる)事件に直接関係のあるものだけでなく、同時期の学校や地域での体罰、非行、傷害事件、恐喝事件、いじめ事件等の状況を知ることも参考になる。
コピーは有料なので(場合によっては閲覧も)、閲覧して必要なものだけをコピー申請する。情報公開法が制定されてから、かえって料金が高くなったところもあるときく?
金額の確認を。閲覧と謄写の両方に○をつけておく。
情報公開条例を使用した場合と、本人もしくは遺族が個人情報保護条例で請求した場合とでは、同じ文書でも黒塗り部分の量や箇所が違うこともある。また、市と県とでも、未整備なところでは特に、黒塗り部分が違うことも。
指導要録などは個人情報で請求する。
個人情報は本人か保護者しか見ることができない。しかし、公開情報は数人で分担して閲覧し、必要なものだけを謄写(コピー)申請することも可能。(要確認)
閲覧に職員が立ち会うことを規定しているところもある。
いろんな方向から文書を検討する。思わぬところから、思わぬ情報が得られることもある。あきらめないで、粘り強くやる。一度でとれなかった情報も、文言や請求先などを変えてみると手にいれられることも。また、周辺情報が役に立つこともある。文書のなかに出てくる文書名により、別の書類の存在が明らかになることもある。
自治体によっては、警察の調書なども情報公開の対象になっていることもある。条例を確かめて。(ただし多くの場合、警察側に開示・非開示の裁量権を認めている)
黒塗り部分が多かったり、非開示の場合は、不服申し立てをする。
黒塗り部分をプライバシーを縦に、固有名詞だからと説明されることがある。固有名詞以外の「テニヲハ」部分を開示してもらったことで、加害者の人数、名前部分の黒塗りの長さで、固有名詞の見当がつくこともある(短い名前、長い名前など)。
開示を争っての裁判もある。 (作文非開示取り消し訴訟 910901、公文書非公開非開示処分取り消し訴訟 970107 )
文書に探している案件がなかったからといって、がっかりすることはない。存在しないことにも意味はある。例えば、直後の職員会議で議題にさえならなかったという、学校側の対応のひどさの証明になる。
条例で義務づけられている文書保管の期間は短いものでは1年以下(特に日誌など)。情報入手にはある程度のスピードを要する。のんびりはしていられない。申請してから開示までの期限(2週間程度)を決めているところが多いが、場合によっては60日間ほど待たされることも。閲覧などで何度も市役所に足を運ばなくてはならないことを考えて早めの対処を。
証拠保全 相手に証拠を隠滅されてしまうと訴訟で不利益になる場合に、訴訟に先立ち、裁判所に証拠保全を申し立てることができる。
弁護士費用の立て替え(法律扶助制度) 財団法人法律扶助協会 東京都支部 03−3580−2851
ただし、収入制限(家賃やローン、医療費等の出費があるときは考慮される)や裁判にある程度勝つ見込みがなければいけないなどの諸条件がある。詳細は上記にて。

ほかにも、必要な手数料の支払いを猶予する「訴訟救助」という制度もある。裁判所の審査を受ける必要があり、支払いが免除されるわけではない。
控 訴 地方裁判所の判決に不服がある場合、判決の速達を受けた日から2週間以内なら、不服申立(控訴)をすることができる。
これを過ぎると判決が確定される。
スポーツ安全保険と
熱中症
「学校教育外のスポーツ活動の事故補償を扱う文部省の外郭団体、財団法人スポーツ安全協会(本部・東京)によると、スポーツ安全保険が規定する傷害保険は、熱射病については突発的な事故のように避けられないものではないので、保険の適用から除外され、賠償責任保険は、指導者が事故の過失を認めた場合のみ適用される。

いずれにしても、法律のことは素人にはわかりにくい。(本を読んでもよくわからない)
もっとわかりやすくしてほしいものです。



「国連被害者人権宣言」要旨
        岩波ブックレットNo.489 「被害者支援を創る」/諸澤英道 から

 国連は、1985年に「犯罪およびパワー濫用の被害者のための司法の基本原則宣言」(国連被害者人権宣言)を採択。

 被害者とは  この「国連被害者人権宣言」において、被害者とは、違法な行為または不作為によって、身体的・精神的・経済的な被害を受けた者を言い、加害者が特定され、逮捕され、訴追され、有罪の判決を受けているか否かにかかわらず、また、加害者との間に親族関係があるか否かにかかわらず、被害者とする。
 被害者には、被害者を助けようとし、または、被害を防ごうとして被害を受けたものも、含まれる。
1. 被害者は、その尊厳に対して、同情と尊敬の念をもって扱われる。
2. 被害者は、司法制度にアクセスして、速やかな被害回復を受けることができる
3. 被害者回復の方法は、迅速で、公正で、費用がかからず、利用しやすいものでなければならない。
4. 被害者は、司法および行政手続き上の被害者の地位・手続きの経過・事件の処理などについて情報が与えられる。この情報提供は、特に重大な事件では、被害者が知りたがっているかどうかに関係なく与えられ、その他の事件では、希望する被害者に対して与えられる。
5. 被害者は、個人的な利害が損なわれている場合には、裁判に出て、尋問を受ける権利がある。
6. 被害者は、司法手続きのどの段階においても、適切な援助を受けられる。
7. 被害者は、プライバシーが守られ、被害者およびその家族や証人の安全が確保される。
8. 被害者を癒し、被害回復を促すためには、和解・仲裁などの紛争解決手段を活用すべきである。
9. 犯罪者および結果に責任がある第三者は、被害者に被害弁償をしなければならない。
10. 加害者からの弁償が十分ではない場合には、国は、経済的な補償に務めなければならない。

日本では果たして、ここに謳われているような被害者の人権が守られているでしょうか?


参考になる資料

2002.12.16 最終更新

「犯罪被害者の心の傷」/小西聖子 著/1996.12.10白水社発行/1800円+税
第T部 犯罪被害者の審理 第U部 被害者への援助  から構成されている。
事例などをあげながら、心理学的な内容を素人にもわかりやすく解説している。
著書は、1992年春にできた日本で最初の「犯罪被害者相談室」で、精神科医として多くの被害者たちの相談に乗ってきただけに、とくに第U部は実践的。
被害者が自分の心理を理解するために、そして被害者の援助活動をするひとに、とても役立つ一冊になるだろう。
−犯罪被害者支援の軌跡−「犯罪被害者心のケア」/大久保恵美子 著/2001.8.1少年写真新聞社発行/
1200円+税
(〒102−8232 千代田区九段北1−9−12 TEL 03−3264−2624 FAX 03−5276−7785
http://www.schoolpress.co.jp/
平成2年10月11日に、飲酒運転のドライバーからひき逃げされて長男の亨(とおる)さん(18歳)を亡くした著者が、自身の立ち直りのきっかけともなったアメリカの被害者支援団体MADDの研修から学んだことを中心に、被害者の状況や支援のあり方などをわかりやすく解説。
岩波ブックレットNo.489 「被害者支援を創る」/諸澤英道/1999.9.20岩波書店発行/440円+税
日本ではまだあまり知られていない被害者の権利や支援のあり方について、他国の例をもとに述べている。また、被害にあうとどうなるのかなども、分かりやすく解説されている。当事者や支援するひとに読んでもらいたい。
平凡社新書021 「犯罪被害者」 いま人権を考える/河原理子(みちこ) 著/
1999.11.17平凡社発行/660円+税
1998年3月から朝日新聞に断続的に連載された「犯罪被害者」シリーズを中心にまとめたもの。多くの犯罪被害者の生の声や犯罪被害者支援への取り組みを掲載している。被害者の声にぜひ、耳を傾けてほしい。
ワーキング ウィズ ウーマン 「性暴力被害者のためのガイドブック」/フェミニストセラピィ研究会編/1999.2.20フェミックス/定価1050円
(〒154−0001 世田谷区池尻3−2−3−703 TEL/FAX 03−3424−3603)
米国ミネソタ州マンケイトの性暴力被害者支援センターのトレーニングマニュアルから、支援のあり方をわかりやすく解説。被害体験後の情緒的な反応(衝撃・否認・解決・統合の4段階)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の解説、ボランティアスタッフの危機介入の仕方、コミュニケーションの仕方、人的トラブルの解決方法、被害者が自ら回復するための方法など、具体的。


注 意:私自身は法律の専門家でも、少年犯罪やいじめ研究の専門家でも、カウンセラーでもありません。最終的な判断はあくまでご自身の責任でお願いします。   S.TAKEDA



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