自殺防止に役立てたい情報源


正しい情報や知識をもつことが、リスク回避につながると思います。
新聞の切り抜きや書籍などを元に、自殺防止に役立つのではないかと思う情報を集めてみました。

最終更新 2006年1月1日

出 典 内  容  (takedaが抜粋・要約) 分類
末期患者に支援団体が自殺補助、スイスの病院で容認 情 報
2005/12/21
讀賣新聞
スイス西部のローザンヌ大学病院は、回復見込みのない末期患者が支援団体の助けを借りて、病院内で自殺する権利を認める決定をした。2006年1月1日から解禁される。ほかの主要病院でも同様の議論が続いており、拡大する可能性がある。

対象は、判断能力に問題がなく、自殺の意思を繰り返し明確に示す末期がん患者らに限定。病院の倫理委員会で審査したうえで認定される。

スイスでは、医師が患者の求めに応じて、致死性の薬物などを投与する「安楽死」は禁じられているが、末期患者が病院外で第三者の手を借りて自殺する権利は容認。
自宅療養中の末期患者らに対し、苦しみの少ない自殺を補助する複数の支援団体が活動している。
2005/8/16
朝日新聞
厚生労働省が、自殺防止策をネットで公開 情 報
厚生労働省管轄の国立精神・神経センター精神保健研究所が8月末から、インターネットを使って最新の自殺実態報告や予防研究の成果を広く公開する。
同省の自殺予防研究は2001年度から本格的に始まったが、研究報告は600部しか発行されず、目を通すことができるのは、研究者や一部の行政担当者に限られるのが実状だった。

「いきる」というタイトルで、8月末に研究所のホームページをつくり、自殺防止の現場マニュアルや、精神科医、精神衛生の専門家の報告を紹介する。
http://www.ncnp-k.go.jp/ikiru-hp/index.html
「子どもの心が
うつになるとき」

デビッド・ファスラー /
リン・ディマ


品川裕香 訳

エクスナレッジ

2005.7.20発行
米のうつと自殺統計 データ
アメリカ国立精神衛生研究所によると、全米の18歳以下の人口の約2.5%にのぼる、150万人以上の子どもと青年が深刻なうつに苦しんでいます。
全米児童青年精神医学会はこの事態を同研究所よりもさらに深刻に捉えていて、「明白な」うつに苦しむ児童および青年は全体の5%、あるいは340万人いると発表しています。

18歳の誕生日を迎える前に深刻なうつ状態を経験する子どもは、4人に1人以上いるのではないでしょうか。

また、若い世代のうつと自殺の関連性も見過ごせません。
アメリカの自殺協会によると、米国では24歳以下の若者が、平均2時間に1人自殺しています。
自殺未遂する若者はそれわりももっと大勢います。同協会の報告によれば、15歳から24歳までの若者で自殺した人たちは、たいてい100回から200回未遂を繰り返しているそうです。
ある専門家は、12歳以下の子どもですら、100人に1人は自殺を試みているのではないかと報告しています。

(P14)
アメリカでは毎年2000人以上のティーンエイジゃーが自殺するという統計があるほどで、これは交通事故死、殺人につぎ、思春期の子どもが死ぬ理由の3番目にあげられています。
政府の統計を見ても、1980年から1992年にかけて、この世代の自殺者は120%も増加しています。

広く引用されている調査に、1994年にジョージ・H・ギャラップ国際研究所が行ったものがあります。
この調査によれば12歳から17歳までのアメリカの子どものうち、5%もの子が一度以上自殺を試みたことがあるというのです。
興味深いことに、思春期の女の子は思春期の男の子よりも自殺を試みる回数が多いのですが、実際に亡くなるのは、男の子のほうが多いというデータもあります。

確かに自殺は思春期になって急増しますが、5歳児の子どもの自殺も報告されています。
国立健康センターの報告によると、1992年だけで、5歳から14歳の子どもが314人も自殺しているのです。

自殺を考える子どもについての研究から、60%から85%の保護者は子どもの自殺念慮について気がついていないということも分かっています。

(P164)
2005/5/15
日本経済新聞
たばこと自殺リスク/国立がんセンター予防研究部長 津金省一郎 氏 データ
疫学研究で、喫煙者が非喫煙者に比べ、様々なリスクがどれくらい高くなっているかを調査。
自殺リスクは、男性の場合、1日当たりのたばこの本数が多いグループほど高かった。
40本吸うグルーブの自殺リスクは、20本未満の1.7倍。
女性は、喫煙者と自殺者双方の数が少ないので、検討できなかった。

ミシガン州立大学が最近、20代約1000人の10年間の追跡調査の結果を発表。
喫煙者は、自殺願望や自殺を試みるリスクが2倍ほど高かったという。
このリスク上昇は、禁煙で回避された。

喫煙自体が自殺の独立した原因であるかどうかは不明。
ニコチンへの依存が、うつ症状を誘発した結果とも解釈できる。
喫煙者の行動的・性格的な特徴が、自殺と関係しているとも考えられる。
2005/4/29
神奈川新聞
2004年度の自衛官の自殺、過去最多の94人。 データ
社民党の阿部知子氏(衆院比例南関東)の資料請求に、防衛庁が回答。
2004年度の自衛官の自殺が過去最多の94人に上っていたことが判明。

自衛官の自殺は、過去10年は年間40人〜70人台で推移していたが、2004年度は前年から19人増え、過去最多の2002年の78人を上回った。
自衛隊の総隊員数は約25万人で、自殺率(10万人当たりの自殺者数)は約37.6人。
国の自殺率は27.0人(2003年)で、60歳代以上の自殺が3分の1以上を占めることと比べると、差は歴然。

内訳は、陸上自衛隊64人、海上自衛隊16人、航空自衛隊14人。
年齢層は、25−29歳が18人で最多。
2005/2/18
北海道新聞
2005年2月17日、北海道江別市の車内で4人死亡。自殺サイトで知り合う? 事 件
2005年2月16日夜から17日未明にかけて、北海道江別市の石狩川右岸に駐車中の車内で、男女4人が集団自殺。死因は一酸化炭素中毒死。

北海道札幌市の女性(35)、大阪府枚方市の会社員男性(22)、青森県弘前市の男性(22)、福岡県大野城市の男性(19)の4人。
4人のうち1人が、インターネットの自殺サイトに「札幌付近で死ぬ人を探しています」という内容の書き込みをし、他の3人が電子メールで連絡をとっていた可能性がある。2月16日頃、札幌付近で集まったあと、集団で自殺したとみられる。

神奈川県の横浜市立大医学部付属市民総合医療センターの山田朋樹・精神医療センター医局長は、「孤独や絶望感によって視野狭窄(きょうさく)に陥り、死ぬしかないと考えたとき、最後くらいは同じ思いの人と一瞬でいいから一緒にいたいと考えたのだろうか。IT社会の発達で、自殺願望を持つ人が簡単に見つかるようになったことが集団自殺が多発する一因だ」「(サイトを)規制しても持続的な効果はあまりない。むしろ、自殺予防を呼びかけるサイトをもっと増やすべきだ」と話す。

最近の集団自殺発生地と死亡人員(一家心中は除く) *はtakeda追記
<2003年>
2月11日 埼玉県入間市 男1、女2 *2003/2/12朝日 
3月 5日 三重県津市 男1、女2 *2003/3/17朝日
<2004年>
10月12日 神奈川県横須賀市 女2
   12日 埼玉県皆野市 男4、女3
11月21日 福岡県福岡市早良区 男2、女3
   21日 兵庫県篠山市 男3
22日 茨城県つくば市 女2
28日 群馬県水上町 男1、女2
28日 東京都練馬区 男4
29日 静岡県静岡市 男2、女2
12月 7日 大分県弥生町 男2、女1
30日 山梨県三珠町 男2、女1
<2005年>
 1月12日 兵庫県明石市 男2
 2月 5日 神奈川県三浦市 男3、女3
    5日 静岡県東伊豆町 男1、女2
17日 北海道江別市 男3、女1
※すべてのネット自殺を網羅しているわけではありません。
(takeda 註)
2005/1/29
神奈川新聞

2005/1/29
朝日新聞・夕刊
厚生労働省、2003年の自殺を分析。
月曜日が最多。男性は午前5時頃、女性は正午頃がピーク。
データ
厚生労働省の自殺予防統計(毎年発表している人口動態統計をもとに、国内の日本人を対象に死亡状況について分析)によると、2003年の自殺は過去最多の32,109件。
今回、はじめて日本人のすべての自殺を、発生曜日別、時間帯別に集計。


性別では、自殺死亡者の73%が男性。
1日当たりの平均自殺者は、男性64.1人。女性23.9人。

曜日別1日平均数を調べた結果、
月曜日が、男性80.7人、女性27.3人と最多。
土曜日が、男性53.5人、女性21.2人と最少。土曜日に向かうにつれて少なくなっていた。
祝日と年末年始は、男性52.6人、女性20.7人と低かった。

時間帯別でみると、
男性は明け方午前5時台が6.2%、女性は午前10時台から5%を超え、午後0時台が5.6%でピーク。
うつ病患者は落ち込みが少し回復したときに自殺の危険性が高まるとされ、その時間帯に重なる。
女性は、子どもや夫を送り出して一人になる可能性が高い時間帯。

月別の1日平均数は、
4月が103.2人、5月が100.3人でピーク。

年代別の自殺死亡率でみると、
男性は50歳代が目立って高く、女性は年齢を重ねるにつれて、なだらかに増えていた。
70歳以上は男女とも、50年前の3分の1程度となり、減少。

手段別では、首吊りが最多。
インターネットで知り合った相手と練炭を使って一酸化中毒死する事件が相次いだことを反映し、練炭自殺を含むガス中毒が3,538人と2002年より2,024人増。

都道府県別では、自殺死亡率が最も高いのは、男女とも秋田県。
最も低いのは、男性は神奈川県。女性は佐賀県。
2004/12/18
讀賣新聞
2003年度の公立の小中校生の自殺者、5年ぶり増加。 データ
文部科学省発表の問題行動の調査で、2003年度に自殺した全国の公立の小中校生の自殺者は、2002年度より14人多い137人となり、5年ぶり増加したことがわかった。

内訳は、小学生5人、中学生34人、高校生98人。
原因は、「父母当の叱責」など家庭事情が12.4%。精神障害が8.8%。「進路問題」や「友人との不和」などの学校問題は4.4%。ただし、「その他」と分類された事例が63.5%で、大半は動機を特定できていない。
文科省は、「増加の理由はわからないが、命を大切にする教育や学校での相談体制を充実させ、防止に務めたい」としている。
2004/10/24
讀賣新聞
自殺に関する誤解
/ 防衛医大防衛医学研究センター教授 高橋祥友(よしとも)さん監修
対 策

誤解 その1 「自殺する」と口にする人ほど自殺しないものだ。
自殺した人の8割以上は、決行する前に死をうかがわせる何らかの言動を他人に示し、実際に「死にたい」と口にする人も少なくない。周りの人は、そのサインを真剣に受けとめることが大切だ。
誤解 その2 死にたい人は自分がそうしたいのだから、死なせてやればいい。
「死にたい」と言う人の多くは、「生きたい」という思いとの間で激しく揺れ動いている。だからこそ、親しい人の支えや適切な治療で「生」へと向かう余地がある。
誤解 その3 自殺を図って助かるような人は、本気の自殺はしない。
自殺未遂の10人に1人は再び自殺を図って実際に命を落とす。自殺を招く要因には、うつ病などの精神疾患や、周囲の支えがない状況などがあるが、最も注意が必要なのが自殺未遂歴だ。
誤解 その4 悩んでいる人の前で自殺を話題にすると、寝た子を起こし、かえって自殺に追い込んでしまう。
相手との信頼関係があり、相手の絶望的な気持ちを真剣に受けとめられるなら、自殺について率直に話し合ったほうがむしろ、自殺の危険性を減らすことになる。

精神疾患の通院補助 情 報
うつ病などの診断で、定期通院による治療が必要と主治医が判断した場合、通常は3割の窓口負担が5%に軽減される公費助成制度がある。
助成が認められた場合、市町村の窓口に申請した日付から2年間有効。
実際は、申請から審査に1カ月ほどかかるため、医療機関によっては、助成を認める書類が届いた日から適用しているところがあるようだ。
しかし、これは誤った運用で、厚生労働省精神保健福祉課は、「有効期限は申請日から、としているので、助成も申請日以降の通院分にさかのぼって適用されるべき」としている。
更新手続きをすれば、継続して受けられる。
2004/10/16
讀賣新聞・夕刊
抗うつ剤で、未成年に「自殺誘発の恐れ」 情 報
米食品医薬品局(FDA)は、「プロザック」などすべての抗うつ剤について、未成年が服用した場合、自殺を誘発する恐れがあるとして、医師や患者、患者の家族らに使用上の注意を促すため、医薬品警告としてもっとも厳しい「ブラックボックス警告」を製品に表示するよう製薬会社に命じた。

米国では、未成年のうつ治療にプロザックのみが認可されいる。9種類の抗うつ剤を使った試験では、偽薬を投与した未成年グループより、自殺願望などを訴えた人数の比率が約2倍に増えたという。

日本でも、同じ作用の仕組みを持つ抗うつ剤が承認・販売され、一部の輸入薬品で未成年への投与禁止措置が取られている。

効き目の強い抗うつ剤をインターネットの輸入代行業者を通じて入手するひとが後を断たず、厚生労働省が新たな対応措置をとる可能性もある。
2004/4/19
朝日新聞
都市部で自殺急増。 データ
国立保健医療科学学院の藤田利治・疫学情報室長の調べで、戦後3回目の自殺多発期の今回、都市部で増加が著しいことが判明。

15歳以上の男性の2期目と3期目の自殺死亡率を、比較的自殺が少なかった1989年〜1995年と比較した結果、都市部に集中していることかげ判明。女性も同様の傾向。 

戦後の自殺多発期 多発地域(15歳以上の男性の自殺死亡率を比較)
1期 1955年前後
2期 1985年前後 北海道・徳島・大分など地方
3期 1998年以降 大阪・奈良・京都・神奈川・東京など都市部に集中

2004/3/28
朝日新聞
バクダッド=
稲田信司 記者
2003年、駐イラク米軍の兵士の自殺が相次ぎ、心のケア躍起 データ
2004年3月25日に公表された実態調査によると、イラク戦に絡む米兵自殺者は2003年1年間で少なくとも23人。「非戦闘中の死者」の7人に1人に当たる。

2003年、イラクとクウェートに駐留中の米兵の自殺率(10万人当たりの自殺者数)は17.3人。
米軍全体の平均の12.8人を上回った。
AP通信が専門家の話として伝えたところでは、湾岸戦争時の平均は3.6人。ベトナム戦争時の平均は15.6人。

2004年に入り、自殺者は減少傾向にあるとされるが、駐留米軍は自殺者数を明らかにしていない。
しかし、米国に帰還してから自殺した人を含めると、その数はさらに増えるとみられる。
米軍は、精神衛生を専門に扱う4つの部隊を配置するなど予防策に追われている。
2003/7/25
朝日新聞
2002年の自殺、5年連続3万人超。経済的動機増加し7,940人。 データ
警察庁のまとめでは、2002年に自殺した人は、2001年より1,101人増えて、32,143人。
統計を執り始めた1978年以降3番目の多さ。

動機では、「経済・生活問題」が大幅に増え、過去最多だった2001年の6,845人を1,095人上回る7,940人となり、増加分のほとんどを占めた。
「経済・生活問題」の内訳は、負債が4,143人(前年比664人増)。生活苦が1,168人(前年比332人増)。失業が683人(前年比117人増)。
事業不審は1,098人、倒産は97人、就職失敗は155人で、ほぼ横ばい。
最近、ヤミ金融を巡っての自殺が社会問題化している。実数の統計はないが、専門家は「ヤミ金融に手を出し、借金地獄にはまっての『追い込まれ自殺』も少なくないのでは」と指摘する。

経済・生活苦による自殺がいっきに増えたのは、1998年。
それまでは2,000人〜3,000人台で推移していたのが、1998年台に6,000人台に増加。
同年は、経済成長率が低成長時代からマイナスに転じた年(内閣府調べ)。
不況に伴う倒産や失業などが絡む自殺が増えたことが背景にある。

年代別では、60歳以上が最も多く1,119人。次いで50歳代が8,462人。30歳代も増加傾向。
20歳台、19歳以下は前年より減った。

遺書が残っていたひとの原因・動機を年代別でみると、
60歳以上と20歳代、19歳以下は「健康問題」が一番多いが、30歳代、40歳代、50歳代は「経済・生活問題」がトップ。40歳代、50歳代は半数近くを占めた。
2002/11/13
讀賣新聞
「家庭とくらし」
自殺の陰に心の病。見逃すな、直前のサイン 対 策
防衛医科大学教授で、精神科の高橋祥友(よしとも)さんは、「自殺の増加は単純に不況による経済問題だけが原因ではない。自殺者にはかなりの確率で、心の病があります」「欧米の調査では、自殺者の9割はうつ病やアルコール依存症などの精神疾患。ストレス発散のつもりで大量に飲酒すると、うつを併発しやすく、自殺の危険性はさらに高まる」と話す。

中年期は、体力や気力が衰え、仕事も先が見えてくるなか、倒産などの経済的な問題や退職にともなう役割の喪失、近親者の死亡などの体験が、自殺の引き金になることがある。
自殺しようという人間は何らかのサインを出しており、周囲の人はそれを見逃さないことが大切。
「はぐらかしたり、批判したりせず、十分に訴えを聞いたうえで、自殺以外の選択肢があると話し合い、きちんと精神科を受診するよう見守ってくだい」とアドバイスする。

自殺前のサイン(高橋祥友(よしとも)さんによる)
1.  自殺をほのめかす
2.  自傷行為に及ぶ
3.  別れの用意をする
4.  過度に危険な行為に及ぶ
5.  アルコールや薬物を乱用
6.  突然の態度の変化

2000/9/13
朝日新聞
自殺者数、交通事故死の3.7倍。目立つ働き盛りの死。 データ
1999年1年間で、全国では交通事故死の約3.7倍にあたる33,048人が自殺。
7割が男性で、40〜50歳代が全体の4割。

なぜ、死を選んだかの理由は、遺書が残された(9,207人)なかで、
1位が健康問題(41.2%)。2位が経済・生活の問題(30.2%)。

自殺率が5年連続で一番高いのが、秋田県で、全国平均の1.6倍。

生保会社45社が加盟する生命保険文化センターによれば、死亡保険金の死因別支払い件数のなかで、自殺が占める割合が、1998年は5.7%で過去最高を記録。

自殺遺児も増加。金城学院大学教授(社会学)の福田義也氏の推計によれば、全国で12万人。
2000/5/10
朝日新聞
ルポ「遺書」(サンクチュアリ出版)を出版。 書 籍
本をまとめたのは、青山学院大4年生の梅中伸介さん(23)が設立した編集プロダクション「verb(バーブ)」。メンバーは20歳から25歳までの学生、ライター、デザイナーら。
新聞で報道された自殺の関係者や、子どもを亡くした親の会、人づてに聞いた自殺者の遺族ら約15家族と連絡をとった。5家族が全面的に協力し、いじめや生きていくつらさが原因で亡くなった中学生から20代の若者の遺書、自殺までの経緯、家族や友人の思い、遺族からの手紙、取材の感想などをまとめた。
「自殺に関する分析や情報はあふれていても、残された人の気持ち、感情の部分はあまり知られていないのではないか」と梅中さんは言う。
大学生の自殺急増。
1999年度の学生総合共済の学生自殺給付数は99人と過去最多。
データ
大学生と大学院生の約6割が加入する全国大学生活協同組合連合会(本部・東京都杉並区)運営の学生総合共済(在学中の病気やけが、火災などに備えて学生が任意加入する保障事業。加入者は約210大学・約70万人)で、学生が自殺したために遺族に支払われた見舞金の件数が1999年度99人と、前年度を18人上回り、過去最多となった。

自殺は1996年には59人だったが、1997年には83人。翌年度は落ちついたが、今回、また急増。
1990年度に比べると、加入総数は5割増しなのに、自殺者は5倍近くになっている。
学年別では、4年生が25人と最も多い。性別では、男子が79人、女子が20人。
死亡給付の原因別では、1位が自殺(99人)、2位が病気(52人)、3位が交通事故(49人)。

大学生の自殺数は文部省も把握していないが、厚生省の人口動態統計では、1998年の15−24歳の自殺者は2065人で、1997年より4割増え、大学生を含む層の増加が目立つ。

また、親など扶養者の自殺で学生に給付された「父母死亡見舞金」の数も、前年度を17人上回る149人で最多。不況を反映した中高年の自殺の増加に伴った傾向を見せている。

自殺増加を受けて、連合会では1995年11月に、学生生活無料健康相談テレホンを開設。
年間約1900件の相談のうち、4割近くは「心の悩み」。コミュニケーションの取り方に悩む学生が多い。
連合会は、学生の自殺について、「不況による就職難も影響しているのかも知れない」とみている。
2000/4/20
朝日新聞・夕刊
自殺者の遺児10万人を超す。 データ
自殺者の遺児数の正確な数をつかむのは難しいが、遺児の進学支援をしている「あしなが育英会」が推計。
厚生省の人口動態統計をもとに、世代別自殺者数やその世代が持つ未成年の子どもの平均数をかけるなどしたほか、再婚などの要素も加味して算出。
結果、自殺で父親を失った子どもは約8万5千人、母親を失った子どもは約2万3千人と推計。
育英会の新規奨学生数からも増えている様子はうかがえるという。
1998年度に親を自殺で失い、奨学金に応募した高校生は3人だったが、1999年度は46人に上った。不況の影響はこれまで以上に母子・父子家庭を追いつめている。
1999/12/16
讀賣新聞
1998年度の公立小中高生の自殺192人で、44%増。最近10年で最多。 データ
文部省の「生徒指導上の諸問題の現状調査」で、1998年度に自殺した全国の公立小、中学、高校の児童・生徒は192人で、1997年度より59人、約44%増えたことが判明。
子どもの自殺者数はここ10年ほど横ばいで、長期的には減少傾向にあったが、最悪の人数となった。児童・生徒10万人当たりの自殺者数は、中学校で1.7人。高校で4.0人。
高校では、人気歌手・岡田有希子さんの後追い自殺が問題になった1986年の3.8人を上回った。

小学校 中学校 高校
1997年 6人 41人 86人
1998年 4人 69人 119人
増減 −2人
+38人
68%増
+33
38%増

各トド府県教委が報告した原因別にみると、父母に叱られた、家庭不和など「家庭の事情」が最も多く14.6%で、進路問題、学業不振など「学校問題」が7.3%。この内、「いじめ」を主な原因としたのは1件だけ。原因を「その他」に区分しているのは62%で、大半は動機を特定できなかった。
文部省中学校課は、「大人の自殺が増えていることも影響しているのでは」としている。
また、1998年は人気ロックパンド「X JAPAN」のhideさんが死亡した5月に少年の自殺件数が増えており、増加の一因とも考えられる。
1998/12/25
朝日新聞
「完全自殺マニュアル」の影響。 書 籍
1993年に発行された「完全自殺マニュアル」は、自殺の具体的な方法を細かく紹介し、ベストセラーになった。同書を参考にして実際に自殺した疑いが指摘されたケースもある。

1993/ 同書で自殺の「名所」として紹介された山梨県の青木ヶ原樹海では、
1993年9月以降に発見された2遺体のそばに同書があった。
また、保護された人で、「本を見て樹海に入った」と話す人もいた。
1994/1/ 福岡県で、同書を愛読していた男子中学生が飛び降り自殺。
家族や学校関係者から「本に刺激されたのでは」という見方が出た。
1994/7/ 佐賀県で、女性2人が乗用車内に排ガスを引き込んで自殺。
車内に同書が残されており、自殺の方法も書かれていた内容と同じだった。
1996/5/ 台湾で、高校生がガス自殺。
遺体のそばに、中国語版があった。

子どもの自殺念慮 調 査

オピニオン叢書
緊急版
「間違いだらけのいじめ指導」
/小宮山要著
/1996年10月
/明治図書

P41

自殺念慮についての筆者の調査では、
「死にたいと思うことがよくある」と答えた小学生(4年生以上)は男子では20.5%、女子では30.7%と驚くほど高い値である。
この値については、小学生の死についての意味内容や現実度等からも検討する必要がある。しかし、小学生であっても「死にたいと思うことがよくある」という者がかなりいるということは認識しておかなくてはならない。


中学生(全学年)の場合には、男子で7.7%、女子では17.3%の者が「死にたいと思うことがよくある」と答えている。
この調査では何が原因で死にたいと思うかは不明であるが、いじめによる自殺予備軍とみて適切な指導が必要である。


自殺念慮をいじめとの関係で見ると、
「死にたいと思うことがよくある」と答えている者は、現在いじめている子であっても
小学生(4年生以上)の場合、男子は4.7%、女子は9.9%であるのに
中学生では男子は11.4%、女子は19.2%と多い。


このようにいじめている子であっても、自殺念慮をもっている者は少なからずいることは、ほとんど知られていない。

次にいじめられている子どもたちについて見ると、「死にたいと思うことがよくある」と答えている者は
小学生(4年生以上)の男子では3.0%、女子では6.1%といじめている子の値より低くなっている。
ところが中学生では男子が14.6%、女子が21.6%と高い値である。
この値はいじめている子よりも僅かに高いだけである。

自殺は希望の病気 分 析

オピニオン叢書
緊急版
「間違いだらけのいじめ指導」
/小宮山要著
/1996年10月
/明治図書

P49

自殺の原因を考える場合、次の3つのタイプが考えられる。

(1)過去に力点を置く自殺(前非を悔いる)
(2)現在に力点を置く自殺(入試の失敗、教師の叱責、非行の発見)
(3)未来に力点を置く自殺(漠然とした不安、絶望感、厭世)

いじめによる自殺は漠然とした不安や絶望感が重要な原因になっていることから、第3タイプの自殺といえる。

ファーバァー(Farber.M)は自殺は希望の病気だと呼び、生活展望が絶望的である時に生じると考えた。彼は自殺の可能性は希望の量と逆の関係にあることを明らかにした。
いじめによる自殺は現時点での苦悩と、将来に対する絶望感とが複合する時、一番容易に自殺まで加速されやすい。




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