杉花粉症は “外交 行政 産業” 環境公害だ!(その3)

編集長の毒針:緊急課題!

杉花粉被害放置政策に猛然反撃の独立反乱!
“杉林焼き払い放火作戦”開始宣言!

有病率倍増の未曾有の危機に数年置き調査で十分?

2000.4

 芭蕉の俳句に「旅に病んで夢は荒れ野を駆け巡る」があったと思うのだが、記憶違いでも構わない。今や、「花粉症に病んで疑惑は諸官庁を駆け巡る」といった心境である。

 本日、杉花粉発生の関連諸官庁に「盥回し」直撃取材を重ねた最後の最後に、またもや、押さえ難い怒りが爆発した。次のデータの続報を求めたところ、いとも簡単に、「その後は調査していません」「なぜ?」「数年置きで十分の意見あり」「ウヌ! そんなことをいうのはアレルギーと無縁で鈍感な奴に違いない。許せぬ!」となったのである。

1964年:スギ花粉症発見
1987年:東京都全体のスギ花粉症推定有病率:10.1%
1996年:東京都全体のスギ花粉症推定有病率:19.4%
(あきる野市:25.7%,調布市:21.1%,大田区:17.7%)

 このデータの出所は東京都の衛生局の環境保健課である。ところが、最初に都民として環境保健課にデータのファクス送信を頼んだ際には、いとも気軽に、「都庁の2階の情報公開の窓口にきて請求してくれ」と言われたのである。コゲナ簡単なデータなら、電話で読み上げてくれても結構だったではないか。急ぎ入手したいので、林野庁の各課に何度も聞いて、やっと、筑波の森林研究所でなければ分からないことが分かり、長距離電話をして、ホームページの『研究の森』67号に「最新の詳しい情報」が載っていると教えられた。下記のURLである

 以下、「テキスト」として取り寄せ可能だった文字部位だけを掲載するが、できれば、つぎをクリックして、自分の目で図面、写真などを確かめて頂きたい。[ ]内は私の注記。


『研究の森』67号

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スギ花粉発生量予測

~「スギ花粉症の克服に向けた総合研究」から~

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背景:スギ花粉症患者の増加

1964年:スギ花粉症発見
1987年:東京都全体のスギ花粉症推定有病率:10.1%
1996年:東京都全体のスギ花粉症推定有病率:19.4%
(あきる野市:25.7%,調布市:21.1%,大田区:17.7%)

目的:スギ花粉発生量予測

 スギの花粉発生量を推定する方法を作り,都市部に飛散する花粉量の予測に役立て,花粉発生抑制を目指したスギ林管理のための情報を提供します。

[Image][杉林から花粉が飛散、ダーラム型捕集器で採集調査の図。上下の円盤にくっついた花粉を顕微鏡で数えて、「50で非常に多いでしょう」の予報となる仕掛け]

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これまでの成果から;

 図1は,茨城県八郷町内7林分,東京都日の出町内5林分の平均値を示したものです。

[Image][図1.スギ林の雄花生産量の変動]

 変動の大きな要因に雄花形成時期(7月)の気象条件があり,日射量が多く,降水量が少ないと雄花の数が増えます(図2,図3)。

[Image][次の図2、図3]
図2.全天日射量と雄花生産量との関係
図3.降水量と雄花生産量との関係

 雄花生産量の年変動は南関東のスギ林では,ほぼ同調しています。
 1個の雄花内に約40万粒の花粉があります。

[Image][スギ花粉]

 雄花は,その年に伸びた小さな枝の先端近くに作られます。
林内のスギでは,陽樹冠(下図の黒い部分)に着生します。

[Image][上記の雄花の着生の図]

 図4は雄花数の多かった1993年と1995年の結果です。左側は茨城県内、右側は東京都内の雄花生産量です。

[Image][図4.林分毎の雄花生産量]

 花粉量の違いには,土地条件やスギの遺伝的な着花性が関係すると考えています。

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企画・制作:多摩森林科学園


 さて、上記の最初のデータ、「背景:スギ花粉症患者の増加」については、強調の意味もあって、すでに2回記したが、もう1度、「コピー」してしまう。

1964年:スギ花粉症発見
1987年:東京都全体のスギ花粉症推定有病率:10.1%
1996年:東京都全体のスギ花粉症推定有病率:19.4%
(あきる野市:25.7%,調布市:21.1%,大田区:17.7%)

 蛇足も甚だしいが、これも強調の意味で、クドクドとクダを巻いて記す。

「1987年:10.1%」の「スギ花粉症推定有病率」が、9年後には、「1996年:19.4%」と倍増し、東京都の西部の山林地帯の昔は西多摩郡だった「あきる野市」では、「25.7%」、昔は田園地帯の北多摩郡だった「調布市」では「21.1%」と、明らかに杉山に近い方が、東京都の平均を上回っている。だから、だから、東京都の衛生局の環境保健課に何度目かの電話を掛けて、林野庁の筑波の森林研究所の云々と言った途端に、嬉しそうに「それはウチが調べたデータです」ときた。そんなに自慢なら、早く言えってんだ!

 しかし、その次が、今回の最初に紹介した台詞、「その後は調査していません」「なぜ?」「数年置きで十分の意見あり」だったのである。

間伐も枝打ちもしない植林とは何ぞや!

 なお、前回、林野庁の第3セクター「丸投げ」の仕事かと疑った「企画・制作:多摩森林科学園」の「科学園」とやらは、林野庁の「総務班」によれば、林野庁森林研究所多摩森林科学園」であって、林野庁の職員が15人配置されている「支所」だそうである。

 電話番号は、0426-61-1121。上記の『研究の森』67号について詳しく聞きたいと言ったところ、「担当者が主張中。明日ならいます」というので、続報する。

 当面、一番肝心な部分を指摘すると、「スギ林の雄花生産量」に関して、「雄花形成時期(7月)の気象条件があり,日射量が多く,降水量が少ないと雄花の数が増えます」とあるのは、事実上、基本的な問題点を、ごまかしたことになっている。この『研究の森』67号の短い文章の中にも、「雄花は,その年に伸びた小さな枝の先端近くに作られます」とあるように、「雄花は……小枝端に穂状に群がってつく」(平凡社『世界大百科事典』「スギ」)のが常識である。問題は間伐だけではない、節目の少ない材木を作る本来の植林では、毎年、せっせと枝打ちで小枝を切り落とすので、現在のような異常な「雄花生産量」には、絶対にならなかったのである。

 では、「枝打ち」の実施状況は、いかにと、次々に、わが「疑惑は諸官庁を駆け巡る」のである。乞う、ご期待!

以上で(その3)終わり。(その4)に続く。


(その4) 間伐・枝打ち「保育」を嘲笑う「外材」圧力
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