『9.11事件の真相と背景』(13)

「テロ」か? 自作自演の戦争挑発謀略か?
アメリカ=イスラエル=世界支配構想の核心を突く

電網木村書店 Web無料公開 2006.2.2

第10章 遅蒔きながらも出始めた報道関係者の反省

 以下の二つの事例は、ともに、東京のテレヴィ放送局、テレビ朝日の現場、特に報道関係の職場で長年働いてきた立場からの発言である。

「自爆テロ」「同時多発テロ」吟味せず使い続けながら疑問と戸惑い

 ここで最初に紹介する事例の岩下さんと私の関係については、拙著『湾岸報道に偽りあり/隠された十数年来の米軍事計画に迫る』に記した。岩下さんは、拙稿、『創』(1991・4)「湾岸報道を考える/原油流出報道の『疑惑』を検証する」や、同時期の私の『噂の真相』寄稿連載記事に基づいて、テレビ朝日『ザ・スクープ』や特集番組で、アメリカの嘘を追及してくれたのである。以下は、わが通信の抜粋である。

http://www.asyura.com/2002/war12/msg/1064.html
『亜空間通信』278号(2002・6・19)
【遅撒きながら『放送レポート』「テロ」合唱反省冒頭記事に湾岸報道の旧友登場】

 9・11事件発生から10か月後、『放送レポート』177号(2002・7)に、湾岸報道で知り合った元テレビ朝日『ザ・スクープ』ディレクター、岩下俊三さんの寄稿が載った。題名は「9・11以後、世界は(3)」であるが、岩下さんは、「『自爆テロ』とか『同時多発テロ』と、ほとんど吟味もせずに使い続けてきたこと」への現場の疑問の声を伝え、メディアの「横並び」習性を批判している。そのごく一部だけを抜粋紹介する。

 岩下さんは、「取材者を・取材”してみると」の小見出しの項を立てたりして、次のように記している。

 ある時はテレビ局の廊下で、ある時は飲み会の席で、非公式ながらも彼らの本音を聞き続けてきた。その結果、彼らの答えの第一声が期せずして同じであったことに驚かされた。その発言とはおおよそ、このようなものであった。

 「あの事件をいつのまにか『自爆テロ』とか『同時多発テロ』と、ほとんど吟味もせずに使い続けてきたことに、疑問と戸惑いを感じている」

 その奥にもっと重大なメディアの問題が潜んでいるような気がしてならない。それは、もともとあった日本的なシステムに内在する横並びの「事なかれ主義」の病であろう。9月11日の事件によって、それがより顕在化したのである。

 私(註:岩下さん自身のこと)は、かつて自分も関わった湾岸戦争の「油まみれの水鳥」報道の顛末を思い出した。

 父ブッシュが「フセインは環境を汚染している」と言ったものである。後にその原因となった油の流出が多国籍軍の空爆によるものだったというスクープによって「定説」は覆されるのだけれど、それまでの報道はいずれもあれを「フセインの悪事の一環」と決めつけて語っていたことを忘れてはならない。[後略]

 次に挙げる事例は、やはり、『放送レポート』176号(2002・5)掲載記事の抜粋である。わが通信では別件と一緒に、次の号に記し、以下に収めてある。

http://www.asyura.com/2002/war13/msg/483.html
『亜空間通信』297号(2002・7・10)
【9・11テロ呼ばわりした言論人は戦争屋ウィルスを自覚せよ、わが反攻の秋近し】

 前出の「川村晃司(テレビ朝日コメンテーター)」執筆の記事からの抜粋である。

BBCが「テロ」でなく「攻撃」という表現に統一

 「9・11」から半年近くが過ぎた2月下旬から3月上旬にかけて、沖縄県名護市の「万国津梁館」(2000年の九州・沖縄サミット会場となった場所)で、欧州連合(EU)と日本の一線のジャーナリストが出席して「日本・EUジャーナリスト会議」が開かれた。

 この会議で、フランスやポルトガルのジャーナリストから、「日本は今の政治家の腐敗した行動を含めて、民主主義のルールがきちんと確立されているのか」「集中豪雨的な取材が目立つ一方で、継続的な多様性を持った報道など、メディアのチェック機能は働いているのか」といった鋭い問題意識が提起された。

 イギリスの新聞社やフランスの通信社の記者たちによると、英BBCは社内で議論を重ねて、戦争報道に関する新しいガイドラインとして「9月11日のテロ事件」という表現は使用せず、米国のニューヨークとワシントン(国防総省)に対する「アタック」(=攻撃)という表現に統一した、という。フランスでも「攻撃」という表現が一般的となっているそうだ。[後略]

 以上の内のBBCの「攻撃」表現採用に関しては、私自身が、この文中の「日本・EUジャーナリスト会議」が開かれた「2月下旬」から数えると3か月以上前の2001年11月15日に、『亜空間通信』で「BBCワールドサービスが9・11米国事変を『テロ』呼ばわりしないことにした」という一節を含む通信を発していた。

http://www.jca.apc.org/~altmedka/akuukan-01-11-100.html
『亜空間通信』100号(2001・11・15)
【BBCワールドサービスが9・11米国事変を「テロ」呼ばわりしない宣言の朗報】

 原文は以下にある。

http://www.guardian.co.uk/international/story/0,3604,593647,00.html
World Service will not call US attacks terrorism

 私がこれらの情報を入手したのは、もっぱら電網空間からだった。しかも、その発信地がアメリカだったことも非常に多かった。

米民主党下院議員で黒人女性のシンシア・マケニイの疑惑追及「声明」

 2002年5月から始まったアメリカ議会の「調査」の件については、日本の大手メディアでも、非常に小さくではあるが報道された。しかし、洪水の報道に例えれば、渦巻く濁流の表面に、ぷかりと浮かんだ泡を伝えたような報道ぶりでしかない。深く潜って背景を探ろうとするような動きは、まったく見られなかった。

 そこに至るアメリカ国内での広範な市民の疑惑追及の動き、電網の情報交換の状況も、まったく伝えられなかった。議会関連情報としても、アメリカ議会での調査に至る直前、4月上旬に、野党の民主党の下院議員、47歳の黒人女性が「声明」を発し、民主党の有志が呼応し、下から吹き上げていたことなどは、日本では私以外に報じた例が、まるで聞こえてこない。この状況も、一つの典型である。

 私は、シンシア・マケニイが、9・11事件直後にも、重要な「声明」を発していたことを、電網情報で、いち早く知り、それを日本語に訳して、以下のように伝えた。

http://www.jca.apc.org/~altmedka/akuukan-01-10-56.html
『亜空間通信』56号(2001・10・22)
【アフガン空爆前に黒人女性議員「アメリカ人には当然、証拠を見る権利がある」】

[以下、全文の拙訳]

2001年9月25日

(ワシントン発)2001年9月11日の悲劇に関してウサマ・ビンラディンを主犯と認定する証拠の提示に関しては、まったく無駄な空騒ぎがあった。

 パウエル長官は我々の同盟国に、この悲劇の日に関してウサマ・ビンラディンを主犯と認定するに足る反駁不能な証拠を示すと言った。

 「軍事力の行使以前にアメリカ人には当然、この証拠を見る権利がある」と、米国議会女性議員シンシア・マケニイ(民主党=ジョージア州選出)は述べた。

 米国議会女性議員マケニイは、下院国際関係委員会の国際事業と人権小委員会の長老メンバーで、さらに、下院軍事委員会のメンバーである。

 「何千ものわが同胞の命がすでに失われており、さらに政府が戦争の準備を始めている現状の下で、あらゆるアメリカ人および我々の兵士たちとハイジャックの犠牲者の家族たちは、我々が取るべき行動に関して、この悲劇の犯行の責任を負うべき者に対する判断が正しいものであるのか、または単なる便宜的なスケープゴート探しではないかどうかを、知る権利を持つ有資格者なのである」と、マケニイは続けて述べた。

 テロ容疑者ウサマ・ビンラディンを引き渡せとのアフガニスタンへの米国の要求に応じてタリバン政府は、2001年9月11日の攻撃へのビンラディンの関与の証拠を求めた。

 サウジアラビアとフランスを含む他の国家も同様に、これらの攻撃に対するビンラディンのグループの責任を証明する情報を要求した。

 「確かにアフガニスタンは、このすさまじい損傷を受けたアメリカ人が求めるより以上に、わが国が持つ証拠に関する多くの情報を得られなければ、とうてい収まらないだろう」と、マケニイは声を大にして抗議した。[後略]

アメリカ議会における事件真相解明の最新状況の底辺に市民電網情報

 アメリカの国会議員として初めて9・11事件への政府関与疑惑を公言したシンシア・マケニイの言動は今、アメリカ国内に止まらず、世界全体を激震している。アメリカの電網情報にはシンシアの足を引っ張る発言もあるが、おおむね非常に下品な「あら探し」の域を出るものではなかった。独立系の電網情報網の声援は、「世論調査の結果は半数近くがマケニイの9・11謀略論支持」であり、彼女を、an American Heroと称えていた。Heroは男性形で機械翻訳では「英雄」になってしまうが、女性形のHeroineを使うと性差別になるのであろう。「アメリカの勇者」とか「アメリカの主人公」としなければなるまい。

 彼女の声明を伝えた4月12日付『ワシントン・ポスト』の記事は、この声明発表に至る経過を、シンシア自身に関する推測という形式で始めている。そして彼女の声明の材料が、「半年前から電網に氾濫していた謀略説」にあるとしている。署名記事であるが、筆者のデヴィッド記者自身が、電網情報に関する予備知識を持っていたに違いないのである。面白いのは、彼女の声明に異議を唱える議員の声として、その種の電網情報の存在を他の議員たちも知っていたことをも伝えているのである。日本でもそうだが、電網から入手した情報を発表できずに、うじうじしている記者や議員は数多いのである。

 私は、この状況に鑑み、「アメリカ下院議員Cynthia McKinneyの9・11言動特集」を2002年4月20日に創設した。

http://www.jca.apc.org/~altmedka/Cynthia-McKinney.html
「アメリカ下院議員Cynthia McKinneyの9・11言動特集」

 この頁のヒット数は、9月30日現在で2766となった。5か月で2766ということは、1か月平均で555、1日平均で20近くになる。かなりの数のおそらくほとんどは若者が、我が電網宝庫からシンシア・マケニイに関する情報を得ているはずなのだが、日本の大手メディアには、シンシア・マケニイの名前すら出てこないというのが、今の日本のメディアの恐るべき状況の象徴なのである。

 さらに重要な問題は、このアメリカ議会の「調査」の進行状況である。今年、2002年の11月にはアメリカの中間選挙が予定されている。米民主党の動きは、当然、選挙目当ての芝居の要素を帯びている。民主党も共和党も、財界資金をたっぷり受けている。それらの政治資金源の中には、ユダヤ資金がある。パレスチナ問題も孕みながら、怪しげな動きが、各所で浮上するに違いないのである。

陳腐な常套手段の蜥蜴の尻尾切りで事件落着、幕引きの可能性あ

 すでに以下のような状況も伝わってきた。

http://www.asyura.com/2002/war15/msg/213.html
『亜空間通信』356号(2002・8・28)
【ユダヤ資金か?米中間選挙前哨戦反イスラエル議員潰し熾烈展開中シンシア敗北】

 どうやら、アメリカ中間選挙の前哨戦のことらしいのだが、以下のわが電網宝庫特集頁で「勇者」として報道中のシンシアが、「予備選挙」(pre-election)で「負けて」、「再選挙」(re-election)もあるようだが、背後に動いた資金が、ユダヤ資金だけなのか、それとも、もっと多額の資金が、体制内と反対党の、彼女に敵対する組織から出ているのではないかとの主旨で、独立系の電網宝庫での議論が始まっている。[後略]

 私は、それ以前に得ていた各種の情報に基づいて、アメリカ議会の「調査」開始直後、以下に抜粋再録する警告を発していた。

http://www.asyura.com/2002/war12/msg/639.html
『亜空間通信』263号(2002・5・31)
【モサドが9・11計画を米に事前警告は意図的な偽情報流布でCIA泥被りの常套手段】

 ブッシュ政権が事前情報の存在を認めた。野党の民主党などが「大統領は何を知ったか、いつ知ったか」というウォーターゲート事件の時と同じ文句の追及を始めた。

 しかし、この状況は世間の表面に顕れた追及の第1ラウンドにしかすぎない。謀略の仕掛けには、まだ裏の裏がある。これだけで鬼の首でも取ったかのように騒ぎすぎると、陳腐な常套手段の蜥蜴の尻尾切りと、事件落着、目出度し、目出度しの幕引きの拍子木叩きの協力者にされてしまう。そのことも、やはり、わが電網宝庫で指摘してきた。

 「裏の裏」の謀略の仕掛けの概略を復唱すると、以下のようになる。

 イスラエルの情報機関モサドが、アルカイダの計画を米に警告したが、CIAとFBIがヘマで9・11攻撃を許した。

 この「裏の裏の物語」の意味の第一は、あくまでも「犯人」はアルカイダだということであり、すなわち、嘘の上塗り、意図的な偽情報の流布である。アルカイダまたはその指導者とされるビンラディンが犯人であれば、彼らを匿うタリバンに対する「報復攻撃」は正当であり、すなわち、アフガン侵略の「正義の御旗」は護持されるのである。

 しかも、この「偽情報の流布」は、極めて計画的であって、事件発生直後から始まっていた。[後略]

 以下、その核心部分のみに関する私自身の調査結果を抜粋して再録する。

http://www.asyura.com/2002/war12/msg/930.html
『亜空間通信』270号(2002・6・12)
【2001・9・17『エルサレムポスト』「モサドがCIAに警告」記事紙印刷版存在確認】

 先に『亜空間通信』263号(2002・5・31)【モサドが9・11計画を米に事前警告は意図的な偽情報流布で泥被りの常套手段】で紹介した「モサドがCIAに警告」記事掲載の『エルサレムポスト』(2001・9・17)と、その記事の基になった記事を掲載した昨年9月16日付の『サンデイ・テレグラフ』の双方の紙印刷版が、日本の国会図書館に存在することが確認できた。私の注文で、国会図書館から武蔵野市の中央図書館にマイクロフィルムからの複写が届いたのである。

 では、もともとの発信源はどこかとなると、私はイスラエルだと断言する。なぜかならば、この「意図的な偽情報」は、イスラエルにとって、非常に都合がよいのである。既述のごとく、貿易センタービルで死んだことをイスラエルの総領事が確認したイスラエル人は、たったの3人で、2人は飛行機の乗客、1人は訪問客だった。この理由の説明に関して、イスラエルはイスラエル国籍(アメリカと二重国籍が多い)のアメリカ人に事前警告を発したのに、アメリカはしなかったという物語になるのである。

 「CIA泥被りの常套手段」に関しては、つい最近のユーゴ戦争でも、顕著な例があった。ユーゴに通信設備の便宜を供与していた中国大使館を、集中爆撃で完全に破壊し尽くしておいてから、アメリカの、ご主人様は、その手先のCIAが「古い地図を使っていた」と、のたまったのである。[後略]

 以上のような虚々実々の情報戦争の最大の「武器」、メディアを大砲に例えれば、そこに込められる砲弾の爆薬の基本的な要素は「言葉」なのである。「テロ」という「言葉」で、「戦争」への「階」がなされ、いまだにその魔術の「呪い」は解け切っていないのである。そこで再び、言葉の位置づけを、さらに深く問い直す。

情報戦争の武器としての「言葉」の重要かつ決定的な機能の自覚が不可欠

 言葉は、非常に重要な集団支配の機能を発揮するものである。有史以来、言葉による集団支配の力、権力の秘密を、人々は様々に考え、表現してきた。以下は、その秘密に関する最新の考察の一例である。

 今から18年前、カナダ生まれでアメリカのハーバード大学教授などの経歴を持つ国際的にも著名な政治経済学者、ガルブレイスは、著書『権力の解剖/[条件づけ]の論理』の中で、権力支配の方式として、「威嚇権力」(暴力による恐怖支配)、「報償権力」(利益誘導)、「条件づけ権力」(conditioned power)の三つを位置づけた。

言葉は被支配者が積極的に支配に従う「条件づけ権力」の武器

 ガルブレイスは、「威嚇権力」と「報償権力」について、この両者は支配者にも被支配者にも、目に見える形で存在すると説く。それに反して、「条件づけ権力」は、目に見えず、しかも、被支配者が「自らの信念」に基づくものと思い込んで積極的に支配に従うから、現代の権力支配方式の中では最も強力なものだと説く。この最も強力な権力支配の基本的な道具は、もっぱら言葉なのである。 

 日本語版の訳者、山本七平は、ガルブレイスの造語、「条件づけ権力」(conditioned power)の説明として、「条件反射」(conditioned reflex)を呈示している。言わずと知れた「パブロフの犬」の「条件反射」の意味である。

 9・11事件は「テロ」だと言われた途端に、長年、言葉による「条件反射」の訓練を受け続けてきた「忠勇」なるアメリカ「国民」は、背後の「威嚇権力」にも追い立てられ、前方の「報償権力」にも刺激され、かつての日本人が幼稚園からの『軍艦行進曲』の歌詞の斉唱で「日の本に仇なす国を攻むるべし」と幼心に叩き込まれたのと同様の状態で、「ウシッ」とけしかけられたブルドッグさながら、猛烈な勢いでアフガンの「敵」に飛びかかったのである。

 この条件反射の仕組みは、最近の流行語で言えば、「マインド・コントロール」であり、通常の会話の言葉なら「思い込み」である。歴史的には「神話」である。単純な「言葉」の背後にも、「神話」が潜み、魔力を発揮しているのである。

 しかし、古来からの神話教育による集団支配は、近年、有効ではなくなった。そこで新しい「現代神話」が紡ぎ出された。フランス革命の「現代神話」は「自由、平等、博愛」で、いまだに国旗の三色に象徴されている。「象徴天皇」ならぬ「象徴国旗」である。 

 すでに第8章で論じたアメリカ=イスラエル連合の「正義の御旗」としての「ホロコーストの嘘」を、第2次世界大戦以降の新案特許「現代神話」に位置づけると、金科玉条とも言うべき長年粒々辛苦の伝統的「現代神話」が「自由、民主主義、文明」である。

 この「現代神話」の問題は、決定的に重要なので、その概略を次の第11章で考察する。


第11章 なぜアメリカとイスラエルだけが何をしても「許される」のか(その2)