「テロ」か? 自作自演の戦争挑発謀略か?
アメリカ=イスラエル=世界支配構想の核心を突く
電網木村書店 Web無料公開 2006.2.2
序章 9・11からアフガニスタン攻撃に至る経過の
基本的問題点
(文中のURLは書籍発行当時のものです。繋がらない場合があることをご了承ください)
「戦争の最初の犠牲者は真実」
(When war is decleared, Truth is the first casualty)
9・11事件に関しては、大手メディア報道も大量に乱れ飛んだ。情報が多すぎると、情報洪水におぼれて、かえって真相が見えにくくなる。情報の中には大量の情報操作、意図的な偽情報が含まれている。それにも騙されやすくなる。
そこで、まず最初に、いかに真実が犠牲となり、隠蔽され、曲げられたかに関して、基本的または概説的な問題点に関する疑惑情報の存在を示す。
9月11日に事件が発生し、翌月の10月8日からアフガニスタンへの空爆が始まった。この両者の関係については、当初から疑問が出ていた。
ところが、8か月後の今年、2002年5月になって、まさに、やっとこさっとこ、アメリカ議会で、9・11事件の事前情報の有無が問題になり始めた。このことは日本でも少しは報道された。
この状況と前記の「両者の関係」の要約として、非常に分かりやすくまとめた電網記事があったので、その所在とともに冒頭部分の表現を若干改めて紹介する。
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/Bushwar/us_pre-attack_memo.htm
ブッシュは同時多発テロを事前に知っていた!今、アメリカの政界は激震に揺れている。ブッシュ大統領らブッシュ政権トップがハイジャックによる同時多発テロを事前に知っていた。対アフガン戦争は実は9・11の二日前にすでに大統領の署名寸前にまでいっていた。これは「陰謀史観」の三流ジャーナリズムの報道ではない。ブッシュ政権がわざわざ正式の記者会見を開いて弁明せざるを得なくなった事実なのである。[後略]
つまり、少なくとも9・11の二日前には、「対アフガン戦争」の作戦計画ができていて、ブッシュは、それを見ていたのである。一部の報道例では、この作戦計画を「アルカイダ殲滅計画」としていたが、同じことである。
対アフガン「10年の秘密の戦争計画」の存在
この「対アフガン戦争」準備に関しては、私は事件発生直後に、「10年の秘密の戦争計画」(Secret plans for 10-year war)と題するイギリスの最大手紙『ザ・タイムズ』の記事があることを知って取り込み、日本語に訳して発信した。その後にも、イギリスのBBCが、事件直後に報道していた情報の発見とあわせて、この記事の「知る人ぞ知る」話の意味を強調した。以下、抜粋再録する。
http://www.asyura.com/2002/war10/msg/1008.html
『亜空間通信』222号(2002・4・8)
【BBCは昨年9・18「事前タリバン攻撃計画」ザタイムズは9・20「10年戦争計画」報道】
BBCが、昨年9月18日に、パキスタンの元外務大臣の言として、アメリカは事前にタリバン攻撃を計画していたと聞いたと、報じていたことが分かった。
すでにわが通信で一部を訳して報じた同年9月20日付『ザタイムズ』記事、「10年の秘密の戦争計画」と合わせると、イギリスの物知りは、アメリカが9・11事件の前からアフガン侵攻に備えていたことを確信できたはずである。[後略]
エシュロン=アメリカ国家安全保障局NSA発の「事前情報」
9・11事件「事前情報あり」の問題は、それだけでも一冊の単行本になるほどの膨大な材料が手元にある。後述するが、私は、事前情報は意図的な情報操作と考えている。
9・11事件に関しては、「意図的な流言飛語」に分類できる情報が、まさに史上最大、桁外れに増発された。欧米の「情報機関」または「秘密情報機関」のほとんどは、アメリカのCIAを著名な典型として、「諜報機関」と「謀略機関」の性格を合わせ持っている。それらの中でも実は最大の規模を誇るのが、アメリカ軍の内部の組織、国家安全保障局(NSA)なのであるが、極秘の軍事機関なので実態を知る者は少ない。最近、このNSAが中心となって、エシュロン(原義は編隊)と呼ばれる英米中心の国際組織を作った。このエシュロンが欧州での産業スパイまで始め、欧州の抗議の声が高まったので、ようやくにして、日本でも批判的な議論が始まった。
以下は、日本の印刷物に事件直後の9月13日に出現した「事前情報あり」記事に関するわが通信の抜粋再録である。
http://www.asyura.com/2002/war13/msg/311.html
『亜空間通信』290号(2002・7・1)
【プロパガンダ準備9・11謀略の中心にエシュロン=アメリカ国家安全保障局NSA?】
エシュロンの名が、実は、9・11事件発生の直後、何と、日本の大手新聞の紙面に出ていたのである。以下が、その抜粋である。
『産経新聞』(2001・9・13)
テロ計画/「エシュロン」察知[中略]
【ロンドン12日=野口裕之】英米関係筋は12日、米情報当局が今回の米中枢同時テロを前に、英米両国などが共同運用する国際規模の通信傍受・分析網「エシュロン」を駆使してテロの黒幕とされるウサマ・ビンラディン氏の周辺者の動向をつかみ、テロが近いことを察知しながら最終段階で裏をかかれていた事実を明らかにした。[後略]
カスピ海周辺石油・天然ガス資源争奪戦パイプライン計画はアメリカの国策
次に問題となるのは、アフガニスタン攻撃の基本的な位置づけである。この攻撃、または侵略戦争は、カスピ海周辺の石油・天然ガス資源争奪戦の一環である。タリバン攻撃は、アフガニスタンの北側のカスピ海周辺の豊富な石油を、アフガニスタン経由でインド洋に運ぶパイプライン計画と深い関係があった。このことは、9・11事件以後、次第に一般にも知れわたるようになったのであるが、事件後、アメリカのエネルギー企業、エンロンが倒産し、アメリカ国内ばかりかインドなどの関係諸国への巨額な政治資金ばらまき疑惑が表面化した。以下も、わが通信の抜粋再録である。
http://www.asyura.com/sora/war9/msg/292.html
『亜空間通信』159号(2002・2・12)
【アフガン経由パイプラインを探っていたエンロンと9・11の関係疑惑記事出現!】
やはり、エンロンはアフガン経由のパイプラインの「開発計画などの実現可能性を探る予備調査」(feasibility study)をしていたのであった。この情報の核心的部分は、タリバンへの「脅し」にあった。ブッシュ政権は、パイプライン利権への協力の承認を迫って、タリバンに「金のカーペットか、爆弾のカーペットか」、どちらを選ぶか、と脅していたというのである。背後に、監査法人までが実態の隠蔽に協力する状況の、史上空前の政治犯罪、政権を揺るがす大スキャンダルの爆弾を抱えていた急成長巨大石油マフィア企業、エンロンが控えていたのだから、何が起きても不思議はなかったことになる。[後略]
このタリバンとの「秘密交渉」の経過の一端は、先行の類書、『アフガン暗黒回廊/アメリカ「軍産複合地下帝国」の陰謀』にも、「アメリカやフランスの諜報機関」情報として描かれている。その後に出た訳書、『ぬりつぶされた真実』にも、それを紹介した『週刊現代』(2002・9・14)にも載っている。
しかし、これらの経過は、決して一部企業だけの独走ではなかった。石油マフィアが牛耳るアメリカ帝国の基本的な「国策」としての経過は、知る人ぞ知る状況であった。
私は、10年前の拙著『湾岸報道に偽りあり』執筆の際、石油問題の専門家、宮島信夫さんの著書『石油資源の支配と抗争/オイルショックから湾岸戦争』に大いに学び、宮島信夫さんから直接の教示も受けた。
その宮島信夫さんが、9・11事件直後に発表した論文、『技術と人間』(2001・12)所収「米国のコーカサス・中央アジア戦略とアフガニスタン/背景としての石油支配欲望」には、カスピ海周辺のパイプライン計画をめぐるアメリカの外交政策の推移が、簡潔にまとめられている。アメリカの上院外交委員会で、国務省経済担当国務次官補が、1997年に証言した内容が、「カスピ海地域における米国の経済的戦略的利害―政策と含意」と題する文書に収められているとのことである。
アメリカ攻撃事件の政府情報公開不足と指摘するNYタイムズ記事
次には、アメリカ政府の情報公開が不足していた問題の位置づけである。以下は、アメリカの最大手紙『ニューヨーク・タイムズ』の関連記事の紹介である。
http://www.asyura.com/2002/war10/msg/136.html
『亜空間通信』179号(2002・3・4)
【転送/9・11アメリカ攻撃事件の政府情報公開不足と指摘するNYタイムズの記事】
公表されていない主なデータ(通常の事故では明らかにされる)は、
(1) レーダーによる事故機の航跡、
(2) ブラックボックス(ビルの崩壊とともに失われたのだろうと言われているが不明、とにかく「墜落」した飛行機のものはあるはず)、
(3) 乗客名簿(通常公表)など。
February 23, 2002
Government Releases Little Information on Sept. 11 Crashes
つまり、アメリカの最大手紙『ニューヨーク・タイムズ』にまで、アメリカ政府が「少し」しか、9・11関係情報を公開していないことへの批判が載っていたのである。[後略]
以上のように、事件の大筋に関しても、これだけの基本的な疑問が出たのである。
主犯に名指されたビンラディンが実は数年前に死亡?
しかも、事件の主犯として名指しにされたビンラディンが、実は「数年前に死亡」という情報までが、かなりの具体性をもって出現したのである。
9・11に始まる事件とその後の展開の中で、少なくとも「その初期」としておくが、一番の主役、または悪役の首魁とされていたのが、ビンラディンだったことについては、誰も異議を唱えないだろう。ところが、9か月後、彼が「数年前に死亡」という英語の情報が流れてきた。「スタンリイ・ヒルトン弁護士によると、ウサマ・ビンラディン氏は数年前に腎臓疾患で死亡したそうです」という文章を含み、英語の原文も示す先行の投稿が以下にあったのである。
http://www.asyura.com/2002/war12/msg/966.html
「ブッシュは彼自身の政治的利益のために9月11日攻撃を企み、ウサマ・ビンラディンをスケープゴートとして利用した」
私は、以下に抜粋するように、これに追加情報を加えて日本語で紹介した。
http://www.asyura.com/2002/war13/msg/181.html
『亜空間通信』284号(2002・6・25)
【ビンラディン数年前死亡説の主は著名弁護士で9・11被害者の家族400人の代理人】
この件で確認のために電網情報検索を試みたところ、弁護士のスタンリイ・ヒルトン(Stanley Hilton)は、かなりの著名人だった。現在、9・11被害者14人の家族、全米で400人がブッシュ大統領以下の米政府要人を相手取った訴訟の代理人であることが判明した。その400人の家族は、また、ワシントンでの9・11真相調査要求の集会とデモの参加者でもあった。スタンリイ・ヒルトンは、大統領候補に擬せられたドール上院議員の補佐官の経験も持ち、政界疑惑の追及の実績もあった。ブッシュ政権にとっては、実に手強い相手なのである。[後略]
その後、以下に抜粋紹介する共同通信記事の投稿も出現した。
http://www.asyura.com/2002/war13/msg/673.html
「ビンラディン氏は死亡?/確証はないとFBI高官/共同」【ワシントン17日=共同】米連邦捜査局(FBI)のテロ対策部門責任者、デール・ ワトソン氏は17日、昨年9月11日の米中枢同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏はすでに死亡しているとの見方を示した。
ワトソン氏はビンラディン氏死亡の確証を得たわけではないとしているが、米捜査機関の高官がこのような発言をするのは初めて。[後略]
このFBI高官による「死亡?」説の方は、共同通信の配信だから、日本の大手紙にも載った。もともと、ウサマ・ビンラディンは、CIAの協力者だったのだし、ビンラディン一族とブッシュ親子の一族とは、サウジアラビアの石油利権を共有する仲である。もともと怪しい話だったのである。この件は、事件の怪しさの象徴ではあっても、事実が分かってしまえば、「替え玉」でけりがつく簡単な仕掛けの謎である。
それにしても、生死のほども不明な悪役など、聞いたこともない話である。この件は、9・11事件をめぐる疑惑の象徴である。しかも、「ビンラディン主犯説」には、事件発生直後、専門筋から「待った!」がかかっていたのであるから、なおさらのことである。
欧州国際警察がアメリカ攻撃に関するビンラディンの役割を疑問視
私は、事件発生直後、電網から入手した英文情報を紹介しながら、以下に抜粋するように、「テロ」と「ビンラディン主犯説」の予断の誤りを厳しく批判した。
http://www.jca.apc.org/~altmedka/akuukan-01-09-15.html
『亜空間通信』15号(2001・9・23)
【欧州国際警察がアメリカ攻撃に関するビンラディンの役割を疑っている】
これを事件として考えると、刑事事件である。この事件は、国家規模どころか国際規模の司法警察が総がかりで捜査しなければ立件もできない部類の難事件である。それなのに、ブッシュ大統領は、いきなり主犯はビンラディンと決めつけ、懲罰戦争を宣言し、日本の首相も呼応した。ところが、この種の事件を縄張りとするEuropol(欧州国際警察)は、事件直後に、attacks(攻撃)に関するbin Laden role(ビンラディンの役割)への疑問を発表しているのである。これでは、刑事事件なら検挙どころか家宅捜索すらできないではないか。[後略]
次の第1章からは、順次、本書の副題とした問題、9・11事件は「テロ」なのか、それとも「テロを装った自作自演の戦争挑発謀略」なのかを、あらゆる角度から追究し、可能な限りの証拠を集めて立証し、さらには、その背後の核心的な問題、これも副題の最後の「アメリカ=イスラエル=世界支配構想の核心」に迫ってゆく。
まずは、事件そのものの事実関係の確認であるが、これはまさに、刑事事件の捜査にたけたベテラン刑事の仕事である。
本書では、ベテラン刑事の代役として、長らく冤罪事件に関わってきた共著者の三浦英明さんに、この部分に当たる第1章と第2章を担当してもらった。三浦さんの略歴と著作活動については、奥付を参照されたい。