RightsCon2026が開催直前に中止になった事態は、世界中のネットのコミュニケーション運動に取り組んできた者たちに、大きな衝撃をもたらした。JCA-NETは、RightsConが重要な国際会議であることを十分に認識しているが、参加する予定ではなかった。現地参加のための予算がなく、英語やその他の外国語に堪能なメンバーもおらず、また最優先課題は高市政権のサイバー戦争政策であったため、準備する時間がなかったのだ。しかし、この会議は、政府や国連主催の会議ではなく、インターネットのコミュニケーションの権利運動に関わる民間のNGOが主催する国際的に最も規模の大きな会議であり、なおかつアフリカでの開催であることから、この会議の中止については、見過すことができないと考えている。以下は、JCA-NETのこの問題についての見解である。
AccessNowの声明によると、今回の中止の理由は、ザンビア政府が中国政府からの圧力により、台湾の団体への参加を認めないことを決定したためである。この声明は、RightsConの準備や現地政府との連絡に最も深く関わっていた主催団体からのものであるため、私たちはこれを事実として受け止める。
大国による国際会議への干渉
私たちが台湾の団体が排除される状況に対し、単にその排除を受け入れ、イベントの開催を優先すべきではないと考える。その意味で、中止の決定は避けられなかったものだと考える。
主要国が重要な国際会議への外国の参加を阻止することは珍しくない。昨年、米国はPLOのアッバス議長が国連総会に出席することを阻止した。日本もまた、2023年に京都で開催されたIGFにおいて、一部の参加者へのビザ発給を拒否した。この事例は中国に限ったことではなく、主要国に共通する姿勢を反映しており、構造的な問題を表している。
RightsConという個別の事例を超えて、デジタル権利運動の核心的な課題の一つは、移民、難民、庇護希望者といった社会的弱者のデジタル権利を、大国によるアジェンダや地域の地政学的力学から守ることにある。私たちが支援すべき最も脆弱なコミュニティこそが、国際会議から日常的に排除されるようになるのではないかと懸念している。
同時に、こうした排除と並行して、主要国のアジェンダに沿って国際会議の方向性を誘導するため、様々な形態の人的知見が動員される可能性が高い。主要国はこうした取り組みを通じて、影響力のある国際会議の主導権を掌握しようとしているのではないかと私は推測する。政府や企業と並んで市民社会がグローバル・ガバナンスに対して及ぼす影響力が大きくなればなるほど、そうした介入の力は強まる可能性がある。台湾のように、国連の枠組み内では適切に扱われない地域が世界には存在する。「国際社会」から排除されている台湾を含む、こうした地域で活動する人々の会議参加を、草の根運動がより積極的に支援することが極めて重要だ。
スポンサー企業の問題
基本原則として、私たちは国家とその国境内に住む多様な人々を同一視してはならない。国家という存在よりも、何よりもまず、こうした多様な人々の主体性を優先することが重要だ。日本に拠点を置く組織として、人的・財政的な制約はあるものの、日本政府によって課される通信の権利への制限、とりわけ日本に住む社会的マイノリティが直面する排除や差別との闘いを優先することが、私たちの責務であると考える。
RightsConに関しては、ガザにおけるイスラエルのジェノサイドに加担している企業をスポンサーに含めることについて、再考すべきだ。特に、国連特別報告者の報告書において、ジェノサイドに対する企業の責任を負うと具体的に名指しされた企業は、スポンサーとなることを許されるべきではない。RightsConに限らず、国際会議全般において、私たちは原則として、サイバースペースを戦争の手段として利用することに寄与する企業からの支援を排除するよう努め、代わりに個人からの寄付や類似の手段による資金調達を模索すべきである。
デジタル権利と相反する事業を行う企業への財政的依存がもたらすリスクを、厳格に評価しなければならない。そうした企業に勤める人々の参加を妨げるべきではなく、むしろ内部告発や類似の活動のための重要なプラットフォームとなるような取り組みを確立すべきである。
台湾の参加者排除は許されない
この問題が特に台湾からの参加に関連して浮上したことを踏まえ、私たち日本の組織として、これは日本およびこの地域における今後の通信権運動にとって重要な示唆を与えるものだと考える。
歴史的観点から見れば、日本は台湾や朝鮮半島を併合し、中国本土に侵攻して傀儡国家を樹立するなど、植民地支配と戦争犯罪の過去を持つ。さらに、日本はこうした過去の行為に対する責任を常に回避してきた国である。戦前から現在に至るまで、日本の戦争責任の核心にある天皇制を維持し続けている。
日本は戦後の韓国や台湾の軍事政権を支援し、数多くの米軍基地を受け入れてきた。このように、日本は朝鮮戦争やベトナム戦争から現在のイラン戦争に至るまで、戦争への加担を続けてきた。日本は衰退しつつあるものの、依然としてこの地域の主要な勢力である。さらに、米国の同盟国として、日本はこの地域の不安定化の主要な要因となっている。こうした歴史認識に基づき、私たちは可能な限り国際的な連帯に取り組みたい。
東アジア情勢について
日本政府は「台湾有事」への懸念を煽り、サイバー領域を含む戦争準備を進めている。日本には、朝鮮半島、中国本土、香港、台湾からの多くの人が暮らしている。東アジアの緊張と日本政府の戦争準備は、日本国内のこうしたマイノリティに悪影響を及ぼしている。また、日本国内ではヘイトスピーチや外国人排斥の気運が高まっている。一方で、韓国、台湾、日本の関係には、反原発運動、日本の植民地支配や戦争犯罪への責任追及を求める民衆運動、平和運動など、連帯運動の長い歴史がある。香港においても、雨傘運動や民主化運動が弾圧されるまでは、様々な社会運動間の連携が長く続いてきたが、現在ではそのような連携はほぼ不可能となっている。
朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)、中国、極東ロシアに暮らす人々との草の根連帯運動には、様々な制約があると考えている。特にJCA-NETに関しては、東アジアの組織との連携が不十分であり、これを今後の重要な課題と捉えている。
一方で、東アジアの大部分を占める中国、朝鮮、極東ロシアといった国々では、デジタル権利運動は事実上存在しない。市民主導の地域的な連携はなく、それが生まれる見通しも立っていない。
日本を拠点とし、通信の権利に取り組む組織として、JCA-NETは少なくとも、社会運動団体やNGOと連帯し、デジタル領域を戦場と化し、人権やプライバシーを損なう高市政権の政策に、可能な限り抵抗していく。

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