国境なき医師団(MSF)報告書:武器としての水:イスラエルがガザで行う水・衛生の破壊と剥奪

訳者(三毛猫プロジェクト)から

本報告書は、国境なき医師団(MSF)が 2026 年 4 月 28 日に発表した「Water as a Weapon: Israel’s Destruction and Deprivation of Water and Sanitation in Gaza(武器としての水:イスラエルがガザで行う水・衛生の破壊と剥奪)」(英文のオリジナルのダウンロードは以下から:https://www.msf.org/report-water-weapon-gaza)の全訳です。本翻訳は、MSF から許可を得ていますが、MSF の公式な翻訳ではなく、作成者による私訳です。また、著作権は MSF にあります。正確な内容については、原文をご参照ください。

2023 年 10 月以降、イスラエル当局がパレスチナ人に対して武器として水を利用し、集団的処罰の一環として、ガザ地区の人々から組織的に水を奪っている状況が続いています。本報告書は、イスラエル当局の意図的な水の供給拒否により、水・衛生施設・衛生行動(WASH:water, sanitation and hygiene)にアクセスする権利を奪われ、非人道的な生活環境を強いられたガザの人々の苦闘が記録されています。この「水の武器化」は、民間人の直接的な殺害、医療施設の破壊、されに大規模な避難を余儀なくさせる住宅の破壊と並行して実施されおり、ガザの住民 210 万人の健康、尊厳、安全に深刻な影響を及ぼしています。

WASH において、衛生施設(sanitation)とは、単にトイレなどの施設のことを指しているのではなく、汚物を除去・処理・処分し、それにより「公衆の健康を保全すること」も含みます。また、衛生行動(hygiene)は「病気を防ぐために自分と自分の周りを清潔に保つ実施・慣習」であり、体やモノを清潔に保つ行動(手洗い、歯磨き、入浴など)を意味しています。

日本人が、殆ど不自由を感じずに使っている「水」は、実は貴重な資源です。ユニセフによれば、2024 年時点で、世界人口 82 億人中、21 億人が安全に管理された飲み水を利用できず、このうち 1 億 600 万人は、湖や河川、用水路などの未処理の地表水を使用しています。また、人間が 1 日に必要とする水分量は 1~2 L 程度で、世界保健機関(WHO)の基準では、飲料・調理だけでなく、手洗いや簡単な身体の洗浄、食器の洗浄など最低限の公衆衛生を保つために必要な生活用水として、1 人 1 日 15~20 L が必要とされています。本報告書に書かれた 2026 年1 月時点における MSF の水生産・配給状況から計算すると、MSF はガザにおいて、1 人 1 日飲用水として約 6 L、生活用水として約 9 L、計 15 L を供給しています。この困難な状況の中で、この頑張りは、本当にもの凄い努力
だと思いました。ちなみに、国土交通省のデータでは、日本人の 1 人 1 日平均の 2022 年度の生活用水使用量は、282 L で、これは現時点のガザの人々が使える水の量の約 20 倍です。
(参考資料)
https://wash.africa.kyoto-u.ac.jp/blog/posts-ja/wash-overview-ja/20241204_92922/
https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_act01_03_water.html
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/mizsei/content/001902538.pdf

報告書全文は下記で御読みいただくか、こちらにアクセスしてお読みください。(ダウンロードも可能です)

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