『NHK腐蝕研究』(5-3)

《あなたのNHK》の腐蝕体質を多角的に研究!
《受信料》強奪のまやかしの論理を斬る!

電網木村書店 Web無料公開 2004.1.5

第五章NHK《宮廷》の華麗なる陰謀を撃つ 3

うごめく触手の影は宇宙に

 さて、八○年の四月二十五日に、NHKの一九八○年度事業計画案が参院本会議を通過。五月一日からカラーテレビ八百八十円、二十四%の値上げが実施された。それからすでに一年半である。

 二千七百八十億円という巨額の年間事業予算。そのほとんどを占める二千七百三十一億円の受信料収入。予算承認の遅れで、五十~六十億円はマイナスらしいが、それでも「日銭八億」の超大型計画は、ほぼそのまま実現されている。そして、今年度予算は二千八百三十億円になる。

 そこで再度問う。NHKとは何か?

 いま、ということは一九八一年の資本主義国、いや、利権主義国ニッポンにおいて、NHKとは何かといえば、まず第一に、年間予算三千億円になんなんとする“政治利権”のかたまりなのである。

 その現時点での特徴はなんだろうか。

 いまNHKの巨大な放送センターを、ドラエモンの“汚職プロジェクト発見器”で透写すると、東京の濁り空に何が映るだろうか。

 数あるなかでも、ひときわ目立つのが、「放送衛星」計画である。そしてそこへのびるおどろおどろの触手の乱舞だ。

 『ザ・商社』よりも規模の大きい『企業国家ITT』という作品で、イギリスのジャーナリスト、アンソニー・サンプソンは、「這いまわる指」という一章を設けた。ITTのトップマンたち百二十人もの国際会議で、それぞれの企業の統計図表が、スクリーンに映し出される。そして、問題のある数字のところには矢印が移動していき、立ちどまる。そこへ会長のジェニーンの質問がかぶさる。

 「なぜ目標に到達できなかったのか?」……矢印は,ジェニーンの指の延長のように這いまわるのだ。

 NHK放送センターの巨大な内部に食いこんだ国際企業の触手は、虚空に巨億の利権を吸い上げるべく、人脈を探る。

 放送衛星一発の御値段は二百億円前暖といわれていた。通信衛星でも気象観測衛星でも,はたまた軍事衛星でも、本体やロケットは同じ。そしてもちろん、大きい程高くつく。本体とロケットの費用が大部分だから、人工衛星の直接費用はほぼ同じである。いま計画中の日本の人工衛星が、二発一緒の共通費用コミで六百十二億円というから、値上がり傾向にあるようだ。

 NHKがすでに打ち上げたのが、一九七八年四月八日発射の「実験用中型放送衛星・ゆり1号」様。御予算は、計画発表当初の約二百三十億円が、翌年には約三百七十億円という取沙汰。打ち上げ直後の発表は二百十四億円になっていたが、あやしいものである。

 ともかく、この額の大きさは、NHKの代々木放送センターと比較してみると、よくわかるだろう。小佐野の土地ころがしやIBMへの天下りを含んでいるが、あれで(たったの)三百八十五億円。それが三期にわたる総工費である。それを含めて、一九七二年までの十五年間に、NHKが「近代化計画」と称して全国的に局舎やネット網を張りめぐらした費用が、しめて(たったの)二千六百十四億円。

 これらに比較すれば、「星(ホシ)」(関係者の用語)一発のバカ高さが、よくわかるだろう。そしてNHKは、二年後の一九八三年には、「ゆり2号」の打ち上げも計画している。今度は「実用」の名称になり、予備にもう一発あるようだから、当然、御予算は、ボンとはね上がるにちがいない。しかも寿命は数年。一九八八年にはテレビ八チャンネル用の本格的な「ゆり3号」という、確実につづけてもうかる仕事の予定になっている。NHKなどのユーザー分担は六十%、あとは税金だ。


(5-4)マスコミ式アウンの呼吸で六千億円