~労働組合運動の地域的&産業的組織の国際的経験と原理を探る~
1976年
はじめに
2000.11.4 WEB雑誌『憎まれ愚痴』60号掲載
1976年春闘では、敗北の総括とはうらはらに、全国いたるところで地域総行動や地域ストがとりくまれ、かなりの成果をおさめた。なかでも、最大行動2万3千名を結集して首相官邸にまで攻めのぼった千代田総行動については、『労働運動』誌1976年7月号所収の論文(筆者は丹下孚千代田区労協事務局長)もあり、これらを素材として地域共闘論議が盛んになっている。
東京争議団や千代田争議団のなかでは、やはり千代田区に職場をもつ三菱樹脂の高野達男の13年争議が、ほぼ全面的に地域共闘に基礎をおいていたこともあって、地域共闘の位置付けは必死の課題とならざるをえない。そして1976年春闘以来、千代田争議団にいわゆる外人部隊(千代田区に本社をもつ区外争議団)が続々と加盟するなど新しい動きが出ている。
当然、東京地方労働組合評議会(以下、東京地評)とか千代田区労協とかの、「ヨコ組織」[●注1]の歴史や機能について、いろいろな質問が出され、関心が高まっている。千代田区労協は、その10年史、20年史を編集しているが、本稿はこの機会に、おもにイギリス・アメリカ型、フランス・イタリア型のヨコ組織の歴史的概観をなし、ヨコ組織に共通する原理を求め、もって今日の日本における地域的総行動の意義を再確認するための一試論とするものである。
●注1:「ヨコ組織」ないしは横断的組織、CGTでは地区連合などをhorizontal(ヨコ)、産業同盟をvertical(タテ)と形容している。本稿では、連合や結合の度合いにかかわらず、一国、一地方、一都市、一地区などを単位とする労働組合ないしは労働者の、職業・産業をこえた連合もしくは結合体に対して、総称として用いる。ただし、引用文中のものはそのままとし、誤解を生む場合には注記した。
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