イラク威嚇情勢 「査察」は因縁付け 危機演出の狙いは
3:イラク爆撃威嚇と映画『ワッグ・ザ・ドッグ』
アメリカの大手メディアのほとんどを握るシオニスト・ロビーへの陰口
1998.2.12
最近の米軍放送を聞くと、ヘッドライン(大見出し)の第1が、クリントンのセックス・スキャンダル。第2が、イラク爆撃計画への動きである。ABCのニュース・キャスター、ポウル・ハーヴェイは、2月の初め頃、この二つの項目の間で、しばし沈黙ののち、大声で「ワッグ・ザ・ドッグ」と怒鳴った。2番目の大見出しの代わりである。2月11日には、低い声で同じ台詞を繰り返した。「さて、またもあの暗い話題なんですが、」という感じであった。
映画『ワッグ・ザ・ドッグ』(Wag the Dog)は、日本では未公開だが、このところのアカデミー賞候補推薦に主演のダスティン・ホフマンの名が出ている。私がこの映画の筋書を読んだのは日本経済新聞夕刊コラムである。再選を控えた大統領のセックス・スキャンダルが暴露されたので、マスコミ操作のために補佐官がハリウッドのプロデューサー(ホフマン)と相談して、コンピュータ・グラフィックスによる戦争を作らせて放送し、大統領を英雄に仕立てるというのである。いかにも現状にピッタリの話ではないだろうか。
さらに興味津々なのは、このWag the Dog(犬を振り回せ)という言い回しである。私の書棚には、A tail wagging the dog(犬を振り回す尻尾。主客転倒の意味)の「犬」に「アメリカ」、「尻尾」に「ユダヤ」というルビを振った本がある。湾岸戦争の報道を批判した元ジョンソン大統領の演説原稿ライター、グレース・ハルセルの著書の日本語版題名である。どうやら、ハリウッド映画はもとより、アメリカの大手メディアのほとんどを握るシオニスト・ロビーへの陰口として、この表現が用いられているようなのである。それが「ユダヤ・マフィア」の支配下にあるといわれるハリウッドで製作された映画の題名になるのだから、彼等の心理のひねくれようは、かなり進んだ症状だといわなければならない。
さらにもう一つ、イラク問題の報道では、ヨルダンのニュース・キャスター(流暢な英語だったが、国籍は不明)の強烈な批判を、公共放送の特集で流していた。何度となく連合国(国連の正しい訳語)非難決議を浴びているイスラエルの違法行為を見逃し、その一方でイラクの「悪魔化」を続けるアメリカに対して、「醜いダブル・スタンダード」と厳しく弾劾していた。
日本の大手メディアは、ニューヨーク・タイムズ(ユダヤ資本)を手本にしており、ことアラブ問題となると、アメリカ全体の与論よりも酷いイスラエル支持の姿勢を示す。なんとも嘆かわしい有様である。
とりあえず以上。
(2018.5.9追記)YouTube:https://youtu.be/steA_PZPkc8
『Wag the Dog - Original Theatrical Trailer』
選挙まで2週間もない大統領に、セックス・スキャンダルが発覚。そこでホワイトハウスの揉み消し屋コンラッド・ブリーン(ロバート・デ・ニーロ)は、ハリウッドのプロデューサー、スタンリー・モッツ(ダスティン・ホフマン)の力を借りて、ありもしない戦争をでっち上げる。Wikipediaより
原題のWag the dogは映画の冒頭のWhy does a dog wag its tail?Because a dog is smarter than its tail.If the tail were smarter,the tail would wag the dog.(なぜ犬は尻尾を振るのか?それは尻尾より犬が賢いから。尻尾のほうが賢けりゃ尻尾が犬を振る)のwag the dogからきている。この映画では大統領のスキャンダルから国民の目をそらすため、架空の戦争をでっち上げようとする。民主主義国家では国民が主人(a dog)で大統領や周辺のスタッフ(the tail)は国民に仕えるのが本来だが、国民より大統領やスタッフのほうが賢いので国民は政府に振り回され、また、大統領自身も裏で暗躍している揉み消し屋の思惑に振り回されているという二重の皮肉がこめられている。ストーリー:
大統領選挙中、現職大統領がセックス・スキャンダルを起こした。スキャンダルを国民の目からそらすためにスピン・ドクターと呼ばれる揉み消し屋コンラッド・ブリーン(ロバート・デ・ニーロ)を緊急招集する。コンラッドは国民の目をスキャンダルからそらすためにアルバニアとの架空の戦争、B3爆撃作戦を画策する。コンラッドは実際には存在しない架空の戦争、架空の部隊、架空の英雄を国民に信じ込ませるためにハリウッドの敏腕プロデューサー、スタンリー・モッツ(ダスティン・ホフマン)に協力を依頼する。かくして、彼らによるスキャンダル揉み消し工作が始まる。まず、手始めに架空の敵国に選ばれたアルバニアの非道さを全米中に知らしめ、戦争の正当性を捏造していく。スタンリーはハリウッド仕込みの映像合成テクニック、愛国心を盛り上げる歌で“非道なアルバニア”、“非道なアルバニアからアルバニア国民を守ったアメリカ”というイメージを作り上げていく。架空の映像でアメリカ人の愛国心が盛り上がるが、そこには何かが欠けていた。戦争につき物の英雄だ。その英雄を捏造するためにまた、策を練る。