《あなたのNHK》の腐蝕体質を多角的に研究!
《受信料》強奪のまやかしの論理を斬る!
電網木村書店 Web無料公開 2003.11.6
第二章 NHK《受信料》帝国護持の論理 4
“隠し田”ありの弱い者いじめ
すでに現状の追求でも、六百~七百万の“未契約世帯”があった。テレビを設置していないのかといえば、そうでもない。NHK自体、世帯数に対するテレビ設置の率は一九七二年で限界点、いまは九十八%には達しているだろうといっている。“未設置”が仮に百%マイナスの九十八%、イコール二%としても、七十万世帯ぐらいにしかならない。
どう計算しても、残りの五百~六百万世帯は“未契約”か“未払い”か“不払い”、もしくは“支払い拒否”になる。これは大変な数であって、これだけですでに総世帯数の二十%近くなる。
全国の世帯数……約三千五百万
“契約”世帯(件)数……二千八百二十六万九千
“収納”件数……(“契約”の九十七%)……二千七百四十二万
ここから、全国の総世帯数に対する比率を出すと、
“契約率”……八十・七七%
“収納率”……七十八・三四%
だが、これではまだ、本当の件数比率にはなっていないのである。この他にも“事業所”という“隠し田”さえある。テレビ二台以上を所有する家庭もNHKの発表で五十%以上。この場合については、かつて前田NHK会長が口をすべらし、受信料過重徴収の脅しをかけるつもりが逆目に出てしまった。記者会見の段階で、それはあこぎなと騒ぎになり、NHKの方でさっさとひっこめた。時折、国会で話題になるが、そのままだ。
NHKでは、“事業所”の収納状況にはふれないようにしている。しかし、収める所からは、ちゃんと集金しており、収納件数に加えているのだ。そうしておいて、「何万件もありませんよ」とか、「微々たるものですよ」という。対象となる事業所の数も明示されていない。しかし、テレビがあれば、契約せねばならず、受信料を払わなければならないことになっているのだから、この数字は別扱いというわけにはいかない。
“事業所”の総数は低く見積られ、やっと五十万ぐらいの契約数なのだ。「事業所といっても、商店みたいに個人の家庭と一緒のところがほとんどですからね」というのが、NHKの説明。しかし、「ほとんど」とか「みんな」とかいう表現は、うちの子供もよく使う。「みんな持ってるよ」といってはせびるのだ。しかし、よく聞くと十人中二、三人が「みんな」になっていたりする。
そこで、まず国税庁へ電話する。わたしは日本国の主権者なのだ。“公僕”は答える。
「法人」……約百六十一万
「個人」……約二百五十八万
これが一九七八年度の数字だが、事業所得の申告対象(課税はそのうちから)の数である。
ついで、総理府統計局。
「事業所」(法人格のあるなしを問わず)やはり一九七八年度。三年毎に調査。
総数……約六百六万
「一~四人」……約四百十八万
「五~九人」……約百万
「十~十九人」……約四十八万
「二十~二十九人」……約十六万
「三十~四十九人」……約十二万「五十~九十九人」……約八万
「百~百九十九人」……約三万
「二百~二百九十九人」……約八千
「三百人以上」……約一万
たしかに「一~四人」の、個人商店に近いところが多い。しかし、五人以上の小計だけでも、百八十八万となる。これと、さきの国税庁による「法人」の百六十一万をにらみ合わせれば、大体の感じは出てくるのではないだろうか。それに加えて、実生活上の体験である。いまどき飲食店や旅館で、テレビを置いてないところがあるだろうか。
そこで厚生省。食品衛生法の適用を受けるところの、一九七九年十二月末の数字。
「飲食店」……約百三十五万
ついで運輸省観光局。八一年一月の数字。
「ホテル」……四百二十三軒。約七万室。
「旅館」……千六百四十軒。約八十四万室。
これらの数字のうち、「飲食店」のほとんどは、さきの「事業所」統計では、「一~四人」のなかに含まれていたに違いない。
わたしはなにも、中小企業の苦しい経営のなかから、受信料を取り立てろなどと、けしかけるつもりは毛頭ない。逆に、テレビ時代になってから、余計な営業用設備を社会的に強制されるようになったことに、深く同情を禁じえないのである。こちらも“親業”の立場で、マンガ本の上にカラーマンガのテレビ番組まで流行を作られ、泣く泣く十数万円を吐き出した時の痛みを、一生忘れたくない方なのだから。
問題はあくまで、NHKが操る数字のカラクリにある。しかも、国会での追及によって、大企業や大きな船舶などからの徴収が少ないことさえ、わかっているのだ。