環境保護運動の育成は「新道徳武装」CIA謀略だった!
『日本経済新聞』(2001.1.19)「春秋」欄
2001.1.20.メール再録。
私がインターネット総合雑誌『憎まれ愚痴』編集長を名乗って、日経の読者応答室に電話をし、激励した結果かどうかは分かりませんが、直後に、下記のコラム記事が出現しました。まずは全文を紹介し、その後、私の論評を加えます。
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『日本経済新聞』(2001.1.19)「春秋」欄
日本の調査捕鯨拡大をクリントン政権は強く批判し、貿易上の制裁措置まで口にした。大統領をはじめ、副大統領、商務長官らが石油ビジネスに深いかかわりを持つブッシュ新政権では、環境政策の方向が注目されているが、捕鯨についてはまだ態度を鮮明にしていない。
▼捕鯨に反対する理由の一つに、クジラの知性の高さをあげる人がいる。小型の歯クジラであるイルカの多くは人なつこい。大型のクジラが悠揚迫らず泳ぐ様を目の当たりにすれば、畏敬の念を抱くのも確かだ。クジラの声には複雑な言語構造が隠れているという仮説が、いつの間にか定説のように広がり、クジラは頭のいい動物とされた。
▼体重当たりの脳の重さを比べると、ヒトの次はチンパンジーやゴリラではなくイルカの一種だという。脳のしわの数や複雑さはヒトよりクジラの方が上らしい。といっても、脳の構造はヒトなどの霊長類とはかなり違う。脳内の分業システムは未発達で、ヒトにはない聴覚の中枢らしい領域が存在する。ヒトの脳とは全く違う進化の過程を経てきたようだ。
▼何をもって頭がいいとするのか。人間が設定した基準で、人間とは別の進化を遂げてきたクジラの「知性」や「知能」を論じるのは、ちょっと無理がある。科学的な根拠もなく、勝手に生物の知性をランク付けして、狩ってもいいものと保護すべきものを分けるのは、人間の傲慢(ごうまん)といえないだろうか。
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わがホームページで私が推奨し、かつ現在、図書館から借りて手元にある本、『動物保護運動の虚像/その源流と真の狙い』(1999,成山堂書店)によると、「捕鯨禁止の動きは、鯨の知能云々から始まったのはないのです。ホワイトハウスの「ヴェトナム枯葉剤問題からの焦点逸らし」戦略以前に、ロックフェラー財閥がスポンサ-となったアメリカ東部エスタブリッシュメントのローマクラブ(本部がローマ)によるマルサス人口論型の第三世界牽制、「ゼロ成長」戦略の一環として、捕鯨制限が主張されています。その理論は実に粗雑で、クラブの創立者の一人は、「世界の国々にはショック療法が必要だったのでトリックを用いた」と認めました。アメリカ流のデマゴギーの典型です。
鯨の知能云々は、著者の元時事通信記者、梅崎義人の表現によると、「あとからつけられたもの」だそうです。月曜日には、もう一度、日経の読者応答室に電話をして、助言します。