『読売新聞・日本テレビ グループ研究』(7-2)

《資料》

電網木村書店 Web無料公開 2008.5.29

一般放送事業者に対する根本基準第九条の適用の方針およびこれに基づく審査要領

    (一九五九・九・一八付)

一般放送事業者に対する根本基準第九条の適用の方針

 一般放送事業者の放送局の申請に対し、放送局開設の根本的基準第九条を適用するにあたっての当面の省の方針を下記のとおり定める。

 注 根本基準

 第九条 開設しようとする放送局は、第三条及び第六条から前条までに規定する条件を満たす外、その局を開設することが放送の公正且つ能率的な普及に役立つものでなければならない。

第一 方 針

一 放送用周波数割当計画として明らかにされている方針を適用することによって、放送の公正かつ能率的な普及を図る。

二 一般放送事業者の放送に、放送に関する地域社会特有の要望を充足することを期待する。

三 一の者によって所有又は支配される放送局の数を制限し、できる限り多数の者に対し放送局開設の機会を開放する。

四 各地域社会における各種の大衆情報(マスメディア)手段の所有及び支配が、放送局の免許によって特定の者に集中することを避ける。

第二 説 明

一 放送用周波数割当計画は、混信の予防等周波数利用上の物理的要請にこたえるに止まらず、例えば、特定地域における日本放送協会と一般放送事業者とに対する周波数の配分、あるいはもっぱら教育的効果を目的とする放送に使用することを明示した周波数の留保等、技術的に可能な限り、放送の量及び質に関する国民の需要に対応する放送サービスの供給を可能にするため定められた計画であって、放送局の免許に関する政府の方針の具体的表明である。この意味において、開設しようとする放送局が、周波数割当計画に合致し、そこに表明された免許方針を具現するものであることは放送の公正かつ能率的な普及に役立つための必須の要件というべきである。

二 一般放送事業者の放送にあっては、それが国民全般に共通の放送に対する一般的要望にこたえるほか、とりわけ当該地域社会特有の要望を満たすこと、及び、個々の放送局はその局独自の意思によって運営されることが必要である。すなわち、放送のローカル性及び独自性を発揮すること、また、これを可能にするため、事業者の構成及び運営において当該地域社会を基盤とし、当該事業者以外の意思から独立したものであることが確実でなければ、放送の公正な普及は期し難い。本来、わが国の放送制度において、放送の全国的普及を義務づけられている日本放送協会のほかに、一般放送事業が認められている趣旨は、日本放送協会の行なう放送を除いては、全国を通じて公的たると私的たるとを問わず特定の者の単一の発意又は統制の下に放送局が開設され又は運営されることを避け、地域ごと及び申請者ごとに異なることあるべき目的及び発意に応ずる放送が行なわれることにあると考えられる。

三 ある者に放送局の開設を免許することが、放送以外の手段による大衆情報の供給者に、さらに別の技術的手段を賦与するに過ぎない結果となることは、貴重な電波の利用方法として不経済非能率的なものというべきである。
放送が当該地域社会に対しより多様かつ公正な大衆情報を供給し、言論情報の自由市場の形成伸長に役立って、はじめて大衆情報手段としての放送が公正かつ能率的に国民に享受されると考えられる。

一般放送事業者に対する根本基準第九条の適用の方針に基く審査要領

一 申請の局の事業計画等は、放送用周波数割当計画に合致すること。

二 申請者は、できる限り人的に(役員、番組審議会委員等の構成において)及び資本的に(株式の地域的分布等において)、その地域社会に直接かつ公正に結合すること。

三 一の者が所有し又は経営支配をするのは一局に限る。ただし、次の場合を除く。

(1)一地域社会において、ラジオ及びテレビを兼営する場合並びにこれに準ずる場合

(2)一地域社会において、中継局を開設する場合

(3)その他放送の普及等公益上特に必要があると認める場合

 なお、上の放送局の経営支配の有無の判断に当っては、次の各項を指針とする。

(1)一の者が放送局を所有する法人の議決権の総数の一〇分の一をこえて所有すること。

(2)一の者の役員が放送局を所有する法人の役員(監査機関を除く。以下同じ。)の総数の五分の一をこえて兼ねること。

(3)一の者の代表権を有する役員又は常勤の役員が放送局の所有者の代表権を有する役員又は常勤の役員を兼ねること。

四 一の者が、放送事業を行なうことによってラジオ事業、テレビ事業及び新聞事業の三事業を兼営し、又は経営支配をすることにならないこと。ただし、右の者のほかに当該地域社会に存立の基礎をもつ有力な大衆情報の供給事業が併存する場合、その他、三事業の兼営又は経営支配を行なっても当該地域社会における大衆情報の独占的供給となるおそれのない場合は、この限りでない。
 なお、経営支配の有無の判断については、三に準ずる。


 テレビジョン放送局の一せい予備免許に付した条件

    (一九五七・一〇・二二付、抜粋)

条件(その一)……略……
条件(その二)総合放送局の場合
第一 主体的条件

一 地域社会との結合……略……

二 一般テレビジョン放送事業の規模及び事業相互の関係の正常化

(1)放送区域を同じくする場合……略……

(2)放送区域を異にする場合

ア 一の一般テレビジョン放送事業者が、放送区域を異にするテレビジョン放送局を二以上開設しないこと。……略……

イ 一の一般テレビジョン放送事業者(共通の支配又は被支配関係にある多数の者を含む。)が、放送区域を異にする他の一般テレビジョン放送事業者の資本の一〇分の一以上を所有しないこと。……略……

ウ 一の一般テレビジョン放送事業者(共通の支配又は被支配関係にある多数の者を含む。)が、放送区域を異にする他の四以上の一般テレビジョン放送事業者のそれぞれの資本の一〇分の一未満一〇〇分の一をこえて、同時に所有しないこと。……略……

 注 一〇分の一以上の場合は、前記イ参照

エ 一の一般テレビジョン放送事業者の代表権を有する役員が、放送区域を異にする他の一般テレビジョン放送事業者の代表権を有する役員を兼ねないこと。……略……

オ 一の一般テレビジョン放送事業者の役員が、放送区域を異にする他の一般テレビジョン放送事業者の役員(取締役)の総数の五分の一をこえて兼ねないこと。……略……

カ 一の一般テレビジョン放送事業者の常勤の役員又は各部門の長その他の常勤の主要職員が放送区域を異にする他の一般テレビジョン放送事業者の役員又は主要職員を兼ねないこと。……略……

キ 一の一般テレビジョン放送事業者の多数の職員が、放送区域を異にする他の一般テレビジョン放送事業者の職員を兼ねないこと。……略……

ク 一の一般テレビジョン放送事業者の役員が、放送区域を異にする他の四以上の一般テレビジョン放送事業者のそれぞれの役員(取締役)の総数五分の一以内一〇分の一をこえて兼ねないこと。

 注 五分の一をこえる場合は、前記オ参照

ケ ……略……

三 放送事業体内の役職員の兼務の公正化

(1)一新聞事業者その他特定の者(放送事業者を除く。)が、一般テレビジョン放送事業者の役員(取締役)の総数の五分の一をこえて、兼ねないこと。

(2)一般テレビジョン放送事業者の代表権を有する役員が、新聞事業者の代表権を有する役員を兼ねないこと。

(3)一般テレビジョン放送事業者の常勤の役員又は各部門の長その他常勤の主要職員が新聞事業者の役員又は主要職員を兼ねないこと。

(4)一般テレビジョン放送事業者の多数の職員が、新聞事業者の職員を兼ねないこと。

  ……略……

第二 事業の実施……略……
第三 放送番組

   ……略……

八 番組中継に関する協定において、特定の一の放送事業者のみから、中継番組の供給を受けることとなっていないこと。

九 中継番組の供給を受ける協定において、番組拒否の権利を留保しているものであること。

 ……略……

特記事項

 貴申請書に記載された次の事項は、これを確保するよう特に配意されたい。

一 特定の者(共通の支配又は被支配関係にある多数の者を含む。以下同じ。)(地方公共団体を除く。)が、放送区域を同じくし又はその大部分を共通する二以上の一般テレビジョン放送事業者のそれぞれの資本の五〇分の一をこえて、同時に所有しないこと。それぞれの資本の一〇〇分の一をこえて同時に所有することもつとめて少くすること。

二 特定の者(地方公共団体を除く。)が、放送区域を異にする五以上の一般テレビジョン放送事業者のそれぞれの資本の一〇分の一未満一〇〇分の一をこえて、同時に所有しないこと。

  注 一〇分の一以上の場合は、後記三参照

三 一新聞事業者その他特定の者(放送事業者を除く。)が、一般テレビジョン放送事業者の資本の一〇分の一以上を所有しないこと。ただし、地方公共団体が出資する場合を除く。

 ……略……


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