第1部 ODAの基礎知識
Q.ODA改革に向けてさまざまな動きが出ていると聞きます。各団体はどのような主張をしているんですか?
A.2章でも触れましたがODAの額が減らされることになり、さまざまな人がさまざまな立場からODA改革についての提言をしています。
ここでは特に外務省、経済界の主張として経団連、NGOを取り上げて、比較してみたいと思います。それぞれ次のような主張をしています。
外務省 経団連 NGO 理念 1章と2章参照。基本理念として 人道的考慮 相互依存性の認識 環境の保全 自助努力の支援の4つを掲げる。 国益の確保のためにODAを用いる。また、ODAをすべて原則無償援助としてタイド化する。 ODAは最貧困層の貧困解決に役立つように用いなくてはならず、また、人権・民主主義・環境保全・ジェンダーの原則を重視するような理念を確立する。援助を受ける人に価値観を押しつけないようにすることにも留意する。 情報公開 援助に関する情報は原則公開する。相手国などの関係で公開できない情報については公開に同意するよう外交努力を行う。 援助の実施内容・判断基準などについて、政府は納税者たる国民への説明をする責任がある。開発情報、プロジェクト内容、実績などを一元的に集めたデータベースを構築すべき。 ODA執行のプロセスが明確になるようにあらゆるレベルの情報を公開する。国会にODA委員会を設置し、詳細な報告を義務づけるようにするべきである。 実施機関 実施機関に関しては組織の一元化は考えていない効率が悪いと言う批判について、政策決定に関しては一元化するとともにJICAを国別地域別の検討が可能な体制にしたい(現在は分野別となっている)という見解を出している。 援助政策を担当する省と執行を行う機関の役割分担を明確にし、それぞれを一元化するべき。そして執行機関としては国際協力庁(仮)を設置すべきである。OECF/JICA以外の各省庁からの援助団体についても整理統合しなくてはならない。 現在の執行体制を改め、ODA行政の責任の明確化のためにもODA行政を一省の管轄下におき、さらに審査・監視・評価のための人員を十分なものとする。 住民参加 援助受け取り国側における、その国の国民、とりわけODA事業が実施される地域の住民の参加と協力を維持することは自助努力を支援する観点からも重要になっている、としている。 特に触れていない。 住民が計画から実施段階までODAのプロジェクトに関わるような協力体制を築く。第三者による異議申し立て審査機関を設置する。 ODA基本法 基本法の制定は援助の弾力性を失わせる。また、基本法はその性格上一度できたら変えづらいので援助システムなどを決めてしまうと国際情勢の動きに対応しにくくなってしまう、という理由からODA基本法の制定に反対する。 特に触れていない。 ODA全般のプロセスを法的に保障するためにODA基本法を制定すべきである。
第1部 ODAの基礎知識
.[1.ODAとは] [2.歴史] [3.現状] [4.批判] [5.改革に向けて]
第2部 ODAの諸問題
[医療分野のODA] [情報公開]
[ODAにおける環境アセスメント]