被害報道日誌(3月28日〜5月28日)
●5月28日
イラク・シリア国境付近で一瞬にして40人以上を殺りく
“大虐殺の結婚式”
□米軍による結婚式爆撃・虐殺を糾弾する!
□決定的な証拠を前に、もはや居直りは許されない!
●5月19日(427日目)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
19日、シリア国境付近の村の結婚式場に米軍がミサイルを撃ち込み、子供15人と女性10人を含む42人もの民間人を殺害した。百発以上のミサイルが打ち込まれたらしい。米軍による完全な「誤爆」である。文字通り、米軍による大虐殺事件である。殺戮を指揮した海兵隊司令官は謝罪を拒否し、誤爆を認めていない。またキミット准将は「攻撃は対空砲火への反撃であり、交戦規定に従ったものだ」と述べた。何の罪もない多数の子供を含む民間人を虐殺しておいて、真相究明も行うこともなく、「敵がいた」と虐殺を居直ろうというのである。これが、侵略者−米軍のやり方である。アブグレイブ収容所において米軍は、拷問・虐待・虐殺など数限りない残虐行為を働き、世界から弾劾されている。しかし今なお、イラク各地で民衆虐殺を公然と繰り広げているのである。私たちは米軍の大虐殺を糾弾する。直ちに軍事行動を停止し、イラクから撤退することを要求する。
アブグレイブにおけるイラク人への拷問・虐待・虐殺の新たな実態が次々と明らかにされている。この一週間、新たに次のような虐待の事実が明らかなった。
・ イスラム教徒にとっては禁忌とされる豚肉を食べること強要した。飲酒を強要した。トイレに投げ入れた食べ物を飲食することを強要した。――
米軍捜査官が収容者から聴取した証言(21日 ワシントン・ポスト)
・ バグダット近辺の米陸軍特殊部隊"デルタフォース"の極秘収容所で、拘束者に対して窒息寸前まで水に浸ける拷問が実行されていた。また尋問に薬物を使用することも常態化していた。(20日 米NBCテレビ)
・ イラク人の遺体の前でポーズを取る女性兵士の写真が公開される。虐殺されたイラク人は米海軍特殊部隊"シールズ"が連行しCIAが虐殺。(19日 米ABCテレビ)
・ 1月はじめ、ヘリ墜落現場を取材中のロイターとNBCのイラク人スタッフに対して虐待行為があった。拘束されたスタッフは、肛門に指を入れてなめたり、靴を口でくわえるするなどの行為、長時間苦痛がともなう姿勢を強要される。また眠ることも許されず、殴る蹴るの暴行を受け、グアンタナモ基地に連行すると脅される。(18日 ロイター通信)
・ 18日間にわたって裸にされ、両手両足を後ろ手に逆エビの形で縛られ、電気ショックの拷問を実行した。――
聞き取り調査(17日 毎日新聞)
しかしながらこれらの事例は、氷山の一角である。12日の米上院で公開されたアブグレイブの映像(未公開、しかし部分的に漏れ出てきている)を見てある議員は、「画像はぞっとするものだった。多くの行為はそれを上回っている」と語っている。アブグレイブで行われた米軍の犯罪行為全体を公開させ、その責任を追及しなければならない。一方で軍法会議が行われ、米軍は末端兵士を裁くことで事件の幕引きを狙っている。この軍法会議は、茶番劇そのものである。事実、告訴された7人の内の一人、シビッツ技術兵に対して言い渡されたのは、禁固1年、3階級降格、懲戒除隊というものであった。司法取引が成立し、自らの責任を認める代わりにシビッツ技術兵は減刑されたのである。事実関係の徹底究明、上層部の関与について、まったく踏み込んだ調査はなされなかった。そもそも、米軍の犯罪を米軍自身が裁けるはずもない。このようなやり方で事件の沈静化を図ろうとする米軍やブッシュ政権のやり方に対して、イラク市民からの怒りの声が高まっている。公正な裁き、そして事件の徹底究明を求めていかなければならない。そして軍情報機関、上層部、ラムズフェルド国防長官の関与と責任を追及していかなければならない。
米英主導のイラク駐留軍はファルージャ撤退以降、サドル師支持派民兵「マフディ軍」への掃討作戦を本格化させ、バグダッド近郊サドルシティー、中部ナジャフ、カルバラ、クーファ、南部ナシリヤ、バスラ、アマラ、サマワなどイラク各地でサドル師派事務所やモスクを攻撃、この2週間で250人以上を殺害する大虐殺を行った。サドル師派がシーア派指導者によるファトワ(宗教令)の条件付で「マフディ軍」解体へと譲歩の構えを見せていたにもかかわらず、米軍は5月14日にサドル師のたてこもるナジャフ中心部に戦車を進攻させ、サドル師をクーファへ撤退させた。それ以降、毎日のように40人、50人と民兵を虐殺している。6月末の主権移譲に向け、駐留政策に反対するものを皆殺しにしようとしている。大虐殺は、ラムズフェルド長官擁護とブッシュ政権延命以外の何ものでもない。私達はこの米軍の残虐な掃討作戦の本格化に批判を強め、占領の即時中止とイラクからの撤退を要求していかなくてはならない。
サマワ情勢は急速に悪化している。14、15日と2日連続で失業中の若者を中心とするサドル師支持派とオランダ軍、イラク警察の間で銃撃戦が起き、死傷者も出ている。イラク南部における状況もますます悪化しており、英軍と現地住民の間の衝突も頻発している。イラク民衆が、米軍を支える自衛隊に対して怒りの矛先を向けるのは時間の問題である。ただでさえ「人道支援のための自衛隊派兵」といった仮面が剥がれ落ち、一体なんのために自衛隊がサマワにやってきたのかを問う声が、現地では強まっている。
紹介記事としてアブグレイブ収容所における米情報機関−CIAの関与を問題にした"カウンターパンチ"の「アブグレイブ独房の内部:CIAは拷問を民営化した」(2004年5月4日)を紹介したい。まさにこの事件の核心は、上層部の指令に基づく情報部の直接的関与と、9.11以降に歯止めを失ったその暴走にある。
記録−米軍によるイラク民衆への攻撃・拡大する米軍兵士の犠牲
19日
被害
・米海兵隊、シリア国境から25キロのカイム付近の村で行われていた結婚式会場にミサイルによる攻撃。攻撃機は100発以上の爆弾を落とし、子供15人と女性10人を含む42〜45人が死亡。
17日
被害
・南部ナシリヤで16日夜から17日にかけ、米軍などがマフディ軍の拠点を空爆し、民兵約20人を殺害したと発表。中部カルバラの聖廟付近で対米強硬派サドル師派の民兵17人、他の地区で同民兵13人を殺害。
・バグダッド CPA本部付近で自動車爆弾による爆発があり、「グリーンゾーン」に入るため車列を組んで検問待ちをしていた統治評議会のエッゼディン・サリム議長を含む少なくとも9人が死亡した。
・ナシリヤ サドル師の民兵とイタリア軍が約6時間にわたり戦闘し、イタリア軍兵士1人が死亡、5人が負傷した。
・ 西部アンバル県で海兵隊員2人が作戦中に死亡。
政治情勢
・17日発売の米誌ニューズウィークは、ブッシュ米大統領、ラムズフェルド国防長官、アシュクロフト司法長官が承認しイラクでの拘束者虐待の引き金になった、テロ容疑者の「拘束と尋問の秘密システム」に関する米政府文書を入手したと報じた。それによると、ブッシュ大統領は2001年9月の米中枢同時テロを受けて02年1月、アフガニスタン旧政権のタリバンや国際テロ組織アルカイダに対し、ジュネーブ条約は適用されないと決定。この決定は対テロ戦争の敵は「権利のない非合法の戦闘員」とする考えに基づき、司法省の法律家グループが立案、国防総省、ホワイトハウスが承認した。
16日
被害
・カルバラ市内を米軍が15台前後の戦車で侵攻、マフディ軍団の占拠する聖人を祭るモスク付近に一時兵を進めた。これに対して、サドル師を支持する一般民衆が反米スローガンを叫びながら押し寄せたため、戦車は撤退。医療関係者の話として、サドル派民兵と米軍が交戦し、イラク人1人が死亡し、9人が負傷した。
・南部ナシリヤでイタリア軍とサドル師の民兵組織「マフディ軍」の間で銃撃戦があり、マフディ軍2人が死亡。イラク民間人2人が巻き添えで死亡、5人が負傷した。イタリア兵4人が軽傷を負った。
・アマラで英軍とサドル師支持者が交戦、民兵側28人が死亡した。
・バグダッドで武装勢力の襲撃を受け、CPAに勤務するイラク人女性3人が殺害された。うち2人は乗っていたミニバスが砲撃され、別の1人は自宅で殺された。
・南部バスラでロケット弾がホテル近くに着弾し、民間のイラク人3人が死亡、3人が負傷した。死者には、2歳の双子の女児が含まれているという。
政治情勢
・16日付のロサンゼルス・タイムズ紙(電子版)は、2002年以降、イラクとアフガニスタンで米兵らの虐待により死亡したとみられる拘束者が18人に達していると報じた。18人のうちアフガニスタンでの死亡は4人、イラクでは14人。アフガンでは、裸にし水を掛けたまま一晩放置された拘束者が死亡。米中央情報局(CIA)はこれを米司法省に伝えたが、関係者は処罰されなかった。
15日
被害
・イラク各地では14日から15日にかけて、米英軍と武装勢力の交戦などが相次ぎ、イラク人ら計40数人が死亡した。
・サマワ市中心部で自動小銃などで武装したサドル師支持者十数人が、警察が占拠したサドル師の事務所を攻撃、警官隊と銃撃戦となった。この交戦でサドル師支持者一人が死亡、警察官と民兵計6人が負傷した。
・バグダッドで道路脇の仕掛け爆弾で米兵1人が死亡し、1人が負傷した。武装勢力2人も死亡した。イラク戦争が始まって以来の米兵の死者は、計776人となった。また、「グリーンゾーン」の敷地内にロケット弾攻撃があり、米兵1人と民間人1人が軽傷を負った。
・北部モスルのイラク軍関連施設に迫撃砲による攻撃があり、イラク軍への志願手続きのため施設入り口で並んでいたイラク人4人が死亡、17人が負傷。
・中部カルバラの交戦でマフディ軍兵2人が死亡、7人が負傷。巡回中のポーランド兵1人も銃撃を受け負傷。
・南部ナシリヤのCPA現地本部事務所で迫撃砲などによるマフディ軍の攻撃があり、フィリピン人警護兵2人が負傷。
政治情勢
・米誌ニューヨーカー(電子版)は15日、イラク人虐待事件に関し、ラムズフェルド米国防長官が昨年、これまでより過酷な尋問方法をイラクで行うよう奨励する「極秘作戦」を承認、これがイラク人虐待につながったと報じた。長官は作戦策定を昨年3月に任命したスティーブン・ケンボーン国防次官(情報担当)に委ねたが、最終的にはマイヤーズ統合参謀本部議長とともに承認した。それによるとラムズフェルドは、昨年8月のバグダッド国連現地本部爆破などイラクでのテロ事件が激化して以降、情報収集を強化しようと、アフガニスタン戦争で国際テロ組織アルカイダ掃討を目的に採用した作戦のイラク適用を決めた。作戦は「スペシャル・アクセス・プログラム(SAP)」と呼ばれ、「捕まえるべき者を捕まえ、後はやりたいようにやる」ことが目的。「収容者に対する肉体的圧迫を強め、性的陵辱を加える」ため、戦争捕虜に関するジュネーブ条約に違反するのは明らかで、国防総省の最高幹部だけに知らされた機密だった。
14日
被害
・ナジャフで米軍が中心部に戦車などで進攻、シーア派の対米強硬派指導者ムクタダ・サドル師の民兵組織「マフディ軍」と交戦、民兵側10人が死亡した。同派の最も重要な宗教施設イマーム・アリ聖廟(せいびょう)のドームにも銃撃で複数の穴が開き、損傷した。戦闘は世界最大級とされるシーア派の広大な墓地内を中心に展開。聖廟の損傷について、双方とも相手側の攻撃が原因だと主張した。中部カルバラでも双方が衝突し、少なくともイラク人4人が死亡、13人が負傷。
・サマワで起きたサドル師支持派とオランダ軍などとの戦闘で、イラク人2人が死亡した
・バグダッド南郊で迫撃砲による攻撃で米兵1人が死亡。近くの別の場所でも米兵1人が銃撃を受け、死亡。バグダッドの北約20キロのタルミヤでも、自動車に隠された爆弾が米軍車列の近くでさく裂し、米兵1人が死亡。
・南部アマラでパトロール中英軍が武装勢力側16人を殺害。
13日
被害
・カルバラで「マフディ軍」と米軍が衝突、病院関係者の話として、イラク人住民5人が死亡、10人が負傷。
・バグダッド中心部で砲撃が数回あり、1発が数キロ離れた商業地域の建物の屋根に着弾、1人が負傷。
12日
被害
・中部カルバラで駐留米軍と「マフディ軍」が交戦、民兵22−25人が死亡し、米兵7人が負傷した。さらに、米軍による砲撃や空爆で民兵の立てこもるモスク(イスラム教礼拝所)が半壊した。
・中部ナジャフで「マフディ軍」と駐留米軍による戦闘が行われ、「マフディ軍」1人が死亡。
・バラッド近郊の米軍基地でフィリピン人労働者数人が攻撃に巻き込まれ、少なくとも1人が死亡、数人が負傷。
11日
被害
・中部クーファ近郊で米軍とサドル師の民兵組織が衝突、民兵13人が死亡。
・ヨルダン国境からバグダッドに向かう砂漠地帯の街道沿いの拠点ルトバ付近で、民間の輸送車列が武装グループに襲撃され、数台が破壊されたほか、数人が行方不明となった。
・北部の要衝キルクークで、買い物客で込み合う市場で爆弾が爆発、3人が死亡、23人が負傷。
10日
被害
・バグダッド郊外サドルシティーで9日夜から10日にかけ、米軍と「マフディ軍」が交戦し、民兵側のイラク人16人が死亡。
・ サマワ駐留のオランダ軍に手りゅう弾が投げられ、兵士1人が死亡、1人が重傷。
・北部キルクークでは、外国人の車列が狙撃され、南アフリカ人とニュージーランド人、イラク人運転手の3人が死亡。
・アムネスティ・インターナショナルは10日、イラク駐留英軍の攻撃で、8歳の少女を含む少なくとも37人の民間人が、軍にとって脅威でないのに殺害されたとして、英政府に十分な調査を求める報告書を出した。昨年5月1日以降、英軍が少なくとも37人の民間人の殺害に関与したと指摘した上で、昨年8月に撃たれて死亡した8歳の少女や、学校警備員の男性(35)らイラク南部で殺害された9人の例を挙げ、英軍が調査を行わなかったり調査が秘密裏に行われたと指摘。英国では5日、英軍に不当に殺害されたとしてイラク人12人の遺族が損害賠償請求訴訟を起こしている。
9日
被害
・バグダッド北東部サドルシティーで米軍と「マフディ軍」が激しく交戦。サドル師派民兵ら18人を殺害。
・クーファではサドル師が毎週、金曜礼拝を行っているモスクまで約500メートルの地点に数台の米軍戦車が進攻、サドル師派と銃撃戦になった。病院当局者によると、市民2人が死亡、10人が負傷。戦車は9日午後撤退。
・南部アマラで駐留英軍のヘリコプターが地上を攻撃し、民間人4人を殺害し、住宅を破壊した。住民は英軍の攻撃を非難している。
・バグダッドのバヤー地区の市場で爆発があり、警察官3人を含む少なくとも7人が死亡、13人が負傷。
8日
被害
・南部のバスラで英軍と「マフディ軍」の兵士数百人が交戦。この戦闘でイラク人少なくとも2人が死亡、英兵4人が負傷。
・アマラでは英軍がサドル師派の事務所を急襲。目撃者の話では、サドル師派民兵9人が戦闘で死亡し、子供1人も死亡。
・北部モスルで連合軍の基地に迫撃弾攻撃があり、米兵1人が死亡。また別の米兵1人もモスル地区で電気関係の事故のために死亡。
・バグダッド市内で駐留米軍の車列付近で爆弾が爆発し、釈放されるために車に乗っていたイラク人7人が負傷。米兵らが爆弾を仕掛けた集団を追跡し、1人を殺害。
7日
被害
・中部ナジャフで米軍と武装勢力との戦闘があり、「マフディ軍」12人が死亡。ナジャフでは前日も、戦闘でイラク人41人が死亡。
・中部カルバラで駐留米軍とマフディ軍との戦闘があり、イラク人8人が死亡、15人が負傷。
紹介記事
アブグレイブ独房の内部:CIAは拷問を民営化した
Inside the Cells of Abu Ghraib: The
CIA Privatized
Torture
カート・ニモー カウンターパンチ 2004年5月4日
http://www.counterpunch.org/nimmo05042004.html
いまいましいビデオとデジタルカメラ
もしこれらの電子機器を入手することが不可能だったなら、世界はアブグレイブ軍事監獄の深い闇の中で起きたぞっとする事件の画像
−− 皆が嫌悪感をおぼえるような −−
を決して目にすることがないということもあり得たのに。
米軍のジャニス・カーピンスキー准将は、バグダッドで第800憲兵大隊を率い、アブグレイブ内で起きたことに対する責任を持っているような人物だが、そのような機器の存在を悔やんでいるだろう。
単に安価なカメラの普及が米軍と情報部員と代理業者が拘束者を傷めつけるのを明らかにしただけではない。米軍内部の秘密調査報告が「ニューヨーカー誌」にリークされ、第一級の調査が得意なジャーナリストであるセイモア・ハーシュ氏に手渡され、それもまた重要な役割を果たした。
報告書をまとめたアントニオ・M・タグバ少将によると、アブグレイブの予備役の憲兵は軍当局者とCIAから次のように命令されていた。「目撃者の肉体的、精神的状態を尋問に都合がいいように整えよ」、言いかえれば、彼らが心地よい禁固刑に屈服するまで拷問にかけるように命令された。
私達は今では知っているように、アブグレイブでの拷問に軍とCIAが関与しただけでなく、民間防衛請負業者からいわゆる尋問専門家が、拘束者に屈辱を負わせ従わせるために雇われていたのである。ハーシュ氏によれば、一般の犯罪者、占領に敵対した嫌疑をかけられた治安上の拘束者、そして反占領レジスタンスの数少ない価値の高いと思われる指導者達に区別される拘束者たちである。
ハーシュ氏の重大な暴露に続きガーディアン紙は、顕著な不足を補い、CACIインターナショナルとタイタン株式会社を含むアブグレイブで雇われた企業を発表した。CACIのウェブサイトはその任務が「アメリカの情報機関がテロ戦争に関する世界中の情報を収集し、分析し、共有するのを手助けするものだ」と主張している。タイタン社は自らを「総合的な情報やコミュニケーション、国家安全保障のための解決策と役務の優れた提供者である」と述べている。
ガーディアン紙のジュリアン・ボーガー氏が指摘しているように、軍とCIAは、軍法が適用されない民間の「安全保障会社」や「国営の安全保障」会社を使っている可能性がある。「ある1人の民間業者が若い男性の囚人をレイプした罪で告発されたが、軍の法規には彼に対する権限がないため罪にならなかった」とボーガー氏は書いている。
事実、CIAは代理人による拷問を何十年も行ってきた。
グアテマラでのCIAの活動の例を挙げよう。「1995年3月、CIAのグアテマラ人情報提供者がアメリカ市民マイケル・デヴィーンと、アメリカ人女性ジェニファー・ハーバリーと結婚したゲリラ指導者エフライン・バマカ・ベラスケスの殺害に関与した事が明らかになった」とジョン・エリストン氏は書いた。ハーバリー氏とダイアナ・オーティス修道女は、1989年に起きたグアテマラ治安軍によるアメリカ人修道女誘拐、レイプ、拷問に関して、CIAのグアテマラでの関与を公表する保証をクリントン政権のホワイトハウスからやっとの思いでとりつけた。
しかしジャーナリストのアラン・ネアン氏が発見したように、CIAは、クリントン政権によって公表された「開示情報をはるかに越えた、グアテマラ軍の殺人部隊の作戦との組織的つながり」を持っていた。ネアン氏は、「CIA情報員が、拷問センターのネットワークを維持するグアテマラ軍部隊内で活動し、何千人ものグアテマラ人を殺してきた」ことを暴露した米国とグアテマラの前当局者にインタビューした。
米国防情報局の前グアテマラ担当者はネアンに対して、その関与は非常に突出しており、「グアテマラ軍でCIAの給与を受けたことのある者全員の点呼を取ったら大変なことになるだろう」と語った。
1995年6月、バルチモア・サン紙の記者ゲイリー・コーンとジンジャー・トンプソンはホンジュラス軍情報部隊「316大隊」とCIAの密接な関与を暴露した。コーンとトンプソンが報道したように、CIAは過去10年に渡って反体制派を拷問して殺してきたアルゼンチンの軍専門家と共に行動していた。CIAとアルゼンチンの殺し屋は、監督と尋問のやり方を316大隊に指導し手ほどきした。それはCIAと国防総省諜報部がCACIインターナショナルとタイタン社から派遣された「請負人」から、アブグレイブで不幸なイラク人の拷問を指導したのと全く同じやり方だ。
CIAはホンジュラスとグアテマラに加え、チリ、ボリビア、ウルグアイ、ギリシャ、ドミニカ共和国、インドネシア、エルサルバドル、ブラジル、エクアドル、コンゴ、ハイチ、ラオス、イランその他の転覆政権で拷問を指導し、手助けした。ノリエガ、ガルチエリ、ピノチェト、ロドリゲス、フジモリ、アルバラド
―― しかしながら彼らは、CIAに指導を受けた殺人独裁者の一握りである。タリバンとアルカイダもCIAの創作だ。"Association
for Responsible Dissent"によると、1987年までに600万の人々がCIAの秘密作戦の結果殺された。前国務省職員で歴史家であるウィリアム・ブラムはこれを「アメリカ版ホロコースト」と名付けた。
ブッシュは「政治目的での暗殺、拷問、そして次々と人権侵害を犯させるためにCIAを『解き放つ』ことを計画している」と「ミドル・イースト・ニュース」のレイモンド・カー氏は書いた。「・・・『身体的尋問』(拷問と読め)は由緒ある雑誌ニューズウィークで推奨された。ジョージ・W・ブッシュはテロリストの嫌疑者を内密に陪審員なしに軍事法廷にかけるように命じた。」
これはまさにアブグレイブで起きたことであるように見える。CIAと軍情報機関はイラク人レジスタンス(あるいは単にイラク人レジスタンスに関わった疑いがある者や、おそらくはブレマー総督の情報機関を侮辱した者)に対して「解き放たれた。」
9.11は、CIAに直接または代理人を使って不当な拷問を行うあつらえ向きの口実を与えた。2002年12月に議会の情報委員会でテロリズムに関する聴聞会が行われた後、何人かのCIA諜報員がイギリスのテレグラフ紙のアラスダー・パルマー氏に語った。「彼らは自分のすべきことについて疑いを持っていなかった。人々を拷問すべきなのだ・・・。アメリカの法律執行サークルでの意見一致は特筆すべきだ。拷問はもう単なる論争の題材ではない。論争は勝利に終わったんだ。」
アフガニスタンのバグラム空軍基地では、この議論は過去の歴史となっている。人権や戦争捕虜に関するジュネーブ条約への心配は全くない。ワシントンポスト紙が2002年12月に報道したように、CIAはバグラムで日常的にアルカイダとタリバンの被疑者を拷問していた。尋問の結果、少なくとも2人が死んだ。
CIAの対テロリスト部門の前責任者であったコファー・ブラック氏は、議会の情報委員会について語った。「知るべきことはこれだけだ。9.11以前があった。そして9.11以後がある…。9.11以後はグローブを外したのだ。」
テロリスト被疑者を捕まえて拘束する責任を負う米当局によると、拷問に伴う唯一の問題は、CIAが双方に好い顔をする立法者と胃袋のない世間によって妨げられていることだ。「時には誰かの人権を侵害しなければ、たぶん任務を果たせない」とある当局者はワシントンポスト紙に述べている。
昨年末サンデー・タイムズは、CIAがサダム・フセインの悪名高い治安部隊ムハバラトから元情報員を積極的にリクルートしていると報じた。ムハバラトで10年、イラク軍情報機関を8年勤めたモハンメド・アブドゥラー氏がサンデー・タイムスに語ったところでは、彼はCIAの給与を受けていた
―― イランとシリアのスパイと疑われるイラク人達と同様に、レジスタンスのメンバーを追跡して捕らえる為に雇われた。「もしうまくいったら、そのグループは米軍と協力して働くだろうが、それは独自の構造を持ち相対的に独立したものになるだろう」と匿名の情報員がタイムズ紙に語った。「サダムの残党を扱うに際、非常に残酷にふるまうだろう」。しかしながらCIAやブッシュにとって問題ではないとしても、ムハバラトの元メンバーの多くはサダム支持者のままだ。
さらに深く考えると一つのパターンが浮かび上がり始める。CIAは、イラクで対ゲリラ活動に努力している。それは、現場のムハバラトに指示を与え、レジスタンス戦士とその支持者らを一斉検挙することから、傭兵(多くはチリと南アフリカの軍隊からリクルートされている)の軍事行動を監視し、CACIインターナショナルやタイタン社、国防請負業社のような民間企業によって行われる「尋問」を指導することにまで及ぶ。
兵士ら個人はイラク人拘束者への虐待を理由に調査を受けている最中であり、ハーシュ氏は記事の中で彼らの名前を挙げたが、CIAや軍情報機関や民間企業には言及していない(この情報は英紙ガーディアンのジュリア・ボーガー氏から提供された)。そのような場合によくあるように、下っ端のスケープゴートが犠牲になる
―― 経歴が傷つき、恩給を失う ――
そして本当の犯人は背景に姿を消し、ゾッとする仕事を続けることを許されるだろう。
5月2日、フォックス・ニュースとCNNは不思議なことにスキャンダルについての報道を控えた。ヨーロッパとアラブの報道機関は拷問の記事を発表し続けているのに。もちろん、CIAのもう一つの作戦
――モッキングバード作戦という当り障りの無い名前を与えられている
―― を考慮すると、これは予想されたことだ。1940年代後半まで遡ると、CIAは米国の報道組織や個人ジャーナリストを自分のプロパガンダをばら撒く者としてリクルートした。結局、少なくとも25の報道組織と400人のジャーナリストが巨大スパイ組織の協力者になった。
もちろん、イラク人がそのような行為をひどく侮辱的に受け取れば(特にポルノ的な様相はアラブ文化に相容れない)、アブグレイブの大規模な堕落はさらになる占領への抵抗に導き、結果的にブッシュとCIAと彼らに雇われたサディストを追い出すことになるであろう。フォックス・ニュースとCNNはメディアのレーダー画面からアブグレイブを外して、もっと浅薄で政治的でないニュース記事に話題を変えることを選ぶかもしれない。しかし、アラブ世界ではすでにダメージを受けており、重大な結果を招いている。
アメリカがイラクから不名誉な撤退をする日、フォックス・ニュースでさえバグダッドの米大使館の屋上から出発するヘリを無視することはできないだろう。
●5月9日
米占領下アブグレイブ“強制収容所”における第一級の国家犯罪・戦争犯罪
獣と化した米軍による異常で病的な虐待・性的陵辱・拷問・虐殺の大規模な組織化。
●5月6日(414日目)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
イラク駐留米英軍による拘束イラク人の殺害・拷問・虐待が次々と明るみになり、ブッシュ政権のイラク占領政策を根底から揺るがしている。氷漬けの遺体や裸人間ピラミッドなど連日伝えられる生々しい映像が、イラク国内を含む全世界で報道された。これら拷問・虐待を受けたイラクの人々と家族らは米軍への激しい憎悪を募らせている。人権侵害など生やさしいものではない。暴行・殺害・レイプ等がCIAの指導の下、CPAの管理下で組織的かつ大規模に行われてきた。どれをとっても許し難い戦争犯罪だ。拘束イラク人へのこれらの残虐行為はイラク人に対する人種差別、民族差別であり、米英軍の侵略軍としてのイラク植民地支配の本質を顕している。ブッシュはこれらの問題に対して事実上なんら謝罪すらしていない。「あり得て当然」と開き直っている。ブッシュとラムズフェルドは、少数の兵士に責任を押し付け、問題の幕引きを図っている。しかし、既に「上官の命令でやった」との証言が行われるなど、組織的な犯行であったことが明らかになり始めている。私達は事件の全容・真相の徹底究明を要求し、ブッシュとラムズフェルドの責任を追及していきたい。
米軍は掃討作戦の一環として、イラク人を手当たり次第に拘束し、拷問・虐待を加えてきた。アブグレイブ刑務所など国内の収容所に拘束されているイラク人は現在8千人に上る。過去には最大4万人を収容していた。証拠も無しに突然何ヶ月も拘束し、家族に収容場所も知らせず、四六時中用便の際にも銃を突きつけ、酷暑の中で食事も水も睡眠もとらせず、男女とも裸にしてビデオ・写真で撮影して自尊心を奪い、憲兵が女性をレイプする。電気ショックや軍用犬を使って拷問を加えて自白を強要し、ゲリラとみなした場合には射殺する。解放する際は身分証明や現金を取り上げたまま謝罪も補償もせず路上に放置する。イラク人を同じ人間と見なしていれば、この様なことは到底できない。侵略による米兵、米軍組織の道徳的退廃、人間性の喪失は頂点に達している。
米英軍は多くのイラク人を殺し、尊厳を奪い、許し難い「人道に対する罪」を犯した。しかし日本政府はいまだ人道復興支援を名目に自衛隊を駐留させ、アフガンにも陸自の派兵を検討開始し、米英の戦争・占領政策を支持している。ファルージャでの大虐殺や拘束イラク人への虐殺・拷問に対して世界中から非難の声が上がる中、一体いつまで提灯持ちを続ける気なのか。改めて日本政府の責任を追求し、自衛隊の即時撤退を要求していかなければならない。
翻訳記事
<米軍のイラク人拘束者への拷問・虐待関連>
1, 戦争を敗北に導いたそれらの写真
<ファルージャ、ナジャフの現状>
2, 目撃者:ファルージャ現地より
3, ナジャフでの激しい戦闘で71人が死亡
4, イラクの医師たちは、ファルージャでの戦争の日々の後、力なく見守る。
記録−米軍によるイラク民衆への攻撃・拡大する米軍兵士の犠牲
6日
被害
・バグダッド中心のCPA本部ゲート前で車に仕掛けられた爆弾が爆発、米兵1人とイラク人5人が死亡したほか、米兵3人とイラク人23人が負傷した。
政治情勢
・ノルウェーのボンデビック首相がノルウェー軍について、当初約束の1年間の駐留期限を延長せず、6月末に撤退させる方針を表明。
5日
被害
・カルバラで、マハディ軍が武器を隠している地元行政府の建物を連合軍部隊が捜索したところ戦闘になり、サドル師支持者ら10人が死亡。また、カルバラ近くの連合軍の検問所にダンプカーで突っ込み米軍車両と衝突、米兵1人が死亡した。
・クーファ郊外でイラク人が車から積み荷の武器を出しているところを連合軍が攻撃、イラク人5人が死亡した。
・イラクやアフガニスタンで2002年12月以降、米軍が拘束、尋問した収容者中、少なくとも25人が死亡、うちイラク人3人は米兵や中央情報局(CIA)関係者に殺害され、10人も暴行などされた疑いがあることが明らかになった。AP通信は他にもCIAが関与した死亡例がアフガンとイラクで計2件あると報じた。
政治情勢
・バグダッド西の旧アブグレイブ刑務所前でイラク人捕虜虐待・拷問に抗議する大規模なデモが行われ、拘束されている人の家族ら約1000人が米軍への怒りの声を上げた。デモの主催はイラク・イスラム聖職者協会。聖職者協会は文書で(1)虐待に関与した兵士に対する尋問と厳罰、(2)虐待された拘束者への補償と謝罪、(3)無実の拘束者の早期釈放―などを要求。
4日
被害
・ディワニヤでマフディ軍の建物2棟を米軍が攻撃、反撃で米兵3人が死亡。
・フランスの有料テレビ、カナルプリュスはイラクで米兵が負傷者を含む3人のイラク人を射殺する映像を放映した。映像は約3分半で、昨年12月に撮影された。ヘリコプターに乗った米兵が、武器らしいものを隠そうとしたイラク人とトラクターから出てきた人をまず射殺、負傷してうずくまっているイラク人にも銃弾を浴びせ、殺害した。殺害された3人のうち1人はトラックの下に隠れ、狙撃手は「負傷している」と指摘したが、上官が「撃て。トラックも彼も撃て」と命令していた。
・米陸軍のドナルド・ライダー少将は、イラクおよびアフガニスタンの刑務所などで、2002年12月からこれまでに、25人の収容者が死亡したことを明らかにした。このうち3人が米兵らに殺害されたと発表。
3日
被害
・マハディ軍は2日夜から3日にかけ、迫撃弾で米軍拠点を断続的に攻撃。米軍が応戦し、マハディ軍に約20人の死者が出た可能性がある。
・バグダッド南方で米兵が攻撃を受け、1人が死亡した。
2日
被害
・ラマディ近郊の米軍駐屯地内に迫撃砲による攻撃があり、米兵6人が死亡、同約30人が負傷した。
・バグダッド北西で連合軍基地が爆弾などで攻撃され、米兵2人とイラク民間防衛部隊のメンバー2人が死亡。
・キルクーク近郊の米軍陣地付近に仕掛け爆弾と銃撃による攻撃があり、兵士1人が死亡、10人が負傷した。
1日
被害
・アマラ付近で米軍の車列がロケット弾などで攻撃され、英軍との合同作戦中の米兵2人が死亡した。駐留英軍とイラク人武装勢力との間で約12時間にわたる戦闘があり、イラク人5人が死亡、英兵8人が負傷した。
・カイヤラで4月30日に道路脇に仕掛けられた爆弾で負傷した米兵1人が5月1日に死亡。
・イラク北部で道路脇に仕掛けられた爆弾が爆発、通行中の米軍車両の米兵1人が死亡、2人が負傷した。
・北部モスルで道路脇で爆弾が爆発し、外国人の警備員2人が死亡した。
30日
被害
・ファルージャがあるアルアンバル地域の掃討作戦で自爆攻撃により海兵隊2人が死亡した。
政治情勢
・米テレビが放映した、イラク駐留米軍兵士が拘束したイラク人を全裸にするなど虐待している写真をアルジャジーラなどアラブのメディアが繰り返し放映、イラクを含むアラブ諸国全体で米軍に対する怒りが広がった。
・米ABCテレビのニュース番組「ナイトライン」は、昨年3月の開戦後イラクで死亡した米軍将兵のうち身元の判明している721人全員の名前を読み上げ、入手できた顔写真と階級、年齢も放送した。全米の新聞が番組を巡る論争を記事や社説で取り上げるなど、大きな波紋を広げている。米メディアはイラクで死亡した米兵の名前や顔写真を定期的に放送・掲載している。30日付ワシントン・ポスト紙は、3ページを割いて3月13日以降の死亡者のうち入手できた顔写真を掲載、USAトゥデー紙は、大規模戦闘終了後最も多かった4月の死亡者の写真を1面トップ記事で扱った。
29日
被害
・ファルージャで28日夜から29日未明にかけて、駐留米軍と武装勢力の間で、再び激しい戦闘が発生、駐留米軍が攻撃機やヘリコプターの攻撃を実施した。米軍攻撃機が武装勢力に対し、激しい機銃掃射を浴びせ、市内の数カ所から煙が立ち上った。ファルージャの検問所では、民間人が乗った小型バスに向けて米軍が発砲。少なくとも3人が死亡し、1人が負傷した。
・バグダッド南部で自動車爆弾による攻撃があり、米兵8人が死亡した。また、バグダッド東部でもロケット弾による攻撃があり、米兵1人が死亡。バグダッド北40キロの都市では、米軍車両が通過中に道端の爆弾がさく裂し、米兵1人が死亡、1人が負傷した。
・ナジャフ近郊で駐留米軍と「マフディ軍」が衝突。女性1人と子供1人を含む民間人6人が負傷した。
・中部クートでは、ウクライナ軍車両が武装勢力の攻撃を受け、兵士1人が死亡、2人が負傷した。
政治情勢
・サマワの陸上自衛隊の宿営地から200メートル先に口径約80ミリの迫撃弾2発が着弾。着弾地点は前回4月7日の攻撃よりも宿営地に近くなっている。
紹介記事1
戦争を敗北に導いたそれらの写真
The Pictures That Lost The War
イラク人拘束者を拷問するアメリカとイギリスの兵士らの冷酷な写真は、西側で反感と嫌悪を引き起こしただけでなく、ブッシュとブレアにとってイラク侵略を正当化する論拠としていたモラルの高みを永久に失わせた。
ニール・マッカイ、サンデーヘラルド紙 2004年5月2日
http://www.sundayherald.com/41693
それは、サダムが自慢するような写真だ。ぞっとする拘束者の姿だ。フードを被されぼろ切れを着せらて、彼の両手は身体の横に伸ばされ、指と性器に電極が付けられている。彼は1フィート四方の箱の上に立つよう強いられている。彼を捕まえてきた者達が、箱から落ちたら感電死するぞ、と彼に言っている。
拷問の犠牲者はイラク人であり、拷問者は米兵らである。この写真は連合軍に所属する者達(自らを解放者と称していた)が拷問者としての姿をあらわした瞬間を捕らえている。電線をつながれフードを被されたイラク人の姿は、怖くなったある米兵によりリークされたサダム政権の旧刑務所---今はアメリカの戦争捕虜キャンプ---のアブグレイブ内での一連の写真の一つである。
先週水曜にアメリカのCBSテレビ・ネットワークによってこの画像が世界中に伝えられた際、イギリスでは、英兵は拘束者に対してそんな扱いはしないという他人事のような雰囲気があった。しかし金曜の夜、イギリスは次のような画像で歓待された---デイリー・ミラーの好意によって---英兵らが血まみれになったイラク人拘束者に放尿し、頭に銃をつきつけ、顔面を踏みつけにし、口のあたりを蹴りつけ、股間を銃の台尻で殴りつけているという画像で。
米兵が拘束者を拷問する写真には、さらに性的陵辱を行うという恐るべきものがある。サンデーヘラルドが確認した14の画像中5つには、女性兵士---リンディー・イングランド(21歳、ウエスト・バージニアの移動住宅キャンプ出身)と確認---が、彼女の拘束者が拷問にあっている一方で、カメラに向かってポーズをとっている。ある写真では、彼女は笑いながら賛意を表わしている。裸にされフードを被されたイラク人が別のイラク人拘束者の肩の上に座るよう強いられ、その臀部に彼女が手を載せている。
別の写真では、彼女が裸にされたイラク人らがピラミッドのように積みあがっているのを見て笑いもだえている。同僚の男性がその後ろで、にやついた笑みを浮かべて立っている。その後、彼女はにやっと笑った唇にたばこをくわえ、一列に並んだ裸のフードを被されたイラク人達の性器を指差している。3番目のスナップでは、彼女は同僚と抱き合っており、その前には裸にされたイラク人が横たわっている。
他の写真には、裸のイラク人二人がオーラルセックスの真似を強いられていたり、裸にされたイラク人のグループが互いの背中によじ登らされたりしている。実にひどい一枚は、殴り殺されたイラク人の膨れあがった顔を特別に撮ったものである。彼の身体はビニールでくるまれている。
他の写真は、一般に公開されず米軍の手に握られているが、犬が拘束者を攻撃する写真が含まれている。告発された兵士の一人は、犬は「威嚇として使用された」と述べている。
さらに、明白な男性へのレイプの写真がある。あるイラク人戦争捕虜は、刑務所での仕事に雇われた民間の通訳が少年の拘束者を強姦したと主張している。彼は言う:「あいつらはシートで全部のドアを覆った。悲鳴が聞こえてきた・・・そして女性兵士が写真を撮っていた。」
英兵の写真では、軍用トラックの床に四つんばいにさせられた18〜20歳位のフードを被せられたイラク人が写っている。拷問に加わったが、その後これを告発した二人の兵士らによれば、イラク人の苦難は8時間続き、あごを砕かれ歯を失ったという。彼を捕まえた者たちが、スピードを上げたトラックから彼を投げ出した。彼は出血して嘔吐した。彼の生死は誰も知らない。
この英兵の一人が言う:「つまりこいつは死んでしまったんだ。それ以外にあり得ない。ある将校が決定を下した。それは『彼を除いておけ---私は彼など知らない』だった。」もう一人の告発者は、拘束者が分別なく兵士らに殴られているのを目撃した、と述べた。「仲間のブーツがこの若者の背骨を打つのが聞こえた・・・若者のうちの一人は、手首を折られ気が狂ってしまった。別の一人は足を蹴られて折れる一歩手前だった。」
英兵らによれば、拘束者らが橋から投げ落とされるビデオを憲兵隊が発見したという。そして申し立てによれば、女王ランカシャー連隊の兵士らが拘束者を拘留中に殴り殺したという。画像の真偽に関する論争はあるが、アダム・イングラム国防大臣は、写真が本物だとすると「あまりにひどい」、と語った。ダウニング街の広報官は、トニー・ブレアが「イラクにおけるわが軍の行為の最善の規律」を期待している、と述べた。イギリスの軍最上級将校であるマイク・ジャクソン将軍は、申し立てが真実だった場合、その中身は「女王の軍服をまとうにふさわしくない」と述べた。最高幹部らが認識しているように、英軍がイラク人の心を勝ち取るいかなる望みも崩れ去った事で、国防省は写真による危機に揺さぶられている。
アメリカの拷問写真は、昨年末、アメリカの第800憲兵旅団のメンバーが撮影したものである。調査によれば、17人の兵士が捕虜虐待のため任務から外された。6人が軍法会議にかけられる。ジャニス・カルピンスキー准将(アブグレイブと他の三つの米軍刑務所を管理している)は職を解かれ軍法会議にかけられる。この暴露の前、カルピンスキーはアメリカのメディアに対し、アブグレイブは「国際基準」に基づいて運営されていると保証していた。
マーク・キミット准将(イラクでの連合作戦の副指揮者)は、彼は「ぞっとした」、と言っている。彼は付け加えた:「これらは我々の同僚の兵士だ。彼らは私たちと同じ軍服を着ており、兵士仲間をがっかりさせた。わが兵士らは捕虜を適切に扱うことができたはずだし---また、我々の兵士も相手、敵によって適切な取り扱いをうけるよう期待するが----また、我々がいかに人々を尊厳をもって扱うかという模範を保つことができなければ、・・・我々は他国に対して我々の兵士らと同様にそれをすることを求められなくなる。これは誤りだ。これは非難すべき事柄だ。しかし、これはここにいる150,000人の兵士を代表するものではない。」
しかし、この兵士らは単なる異端者ではありえない。複数の被告が、軍情報部とCIAの命令に基づいて行動し、いくつかの拷問セッションは尋問を進めるためにアメリカが雇った傭兵らに指導されていた、と主張している。アブグレイブで尋問に加担した二つの「民間請負」会社は、ブッシュ政権と結びついている。
カリフォルニアが本拠のタイタン株式会社は、自らを「国家保障の解決およびサービスの有数の供給者」であると宣伝している。2003〜2004年の間に、この企業はジョージ.W.ブッシュの共和党に約40,000ドルを供与した。タイタンは軍に通訳を供給している。
CACIインターナショナル株式会社はその目標を「テロとの戦いの最中にあるアメリカの情報コミュニティー」を助けること、としている。リチャード・アーミテージ(現アメリカ副国務長官)はCACIの取締役の一人であった。
民間人は、しかしながら、軍法が適用されないという理由で一切罪を問われていない。ジル・モーゲンテラー大佐(CentCom所属)は、民間人契約者一人が、6人の兵士の拘束者虐待に関連して告発されたと言う。しかしながら、「彼の処理」は契約者まかせにされた。ある民間の尋問官は軍の調査官らに、彼が拘留者を「震え上がらせ」ようとして「意図せずに」テーブルをいくつも壊した、と話した。
何人かの被告を担当している弁護士らは、被告らは、傭兵たちが任務に就く兵士らに命令をだすことを許すという、粗悪な刑務所システムのスケープゴートにされていると主張している。軍の報道は、民間の契約者らがしばしば尋問を管理していたと報じている。
キミットは言う:「私は、調査が犯罪に関与した者だけでなく、それを助長した者らも対象にするよう希望する。なぜなら彼らも幾分かの責任を共有するからだ。」
昨夜、CACI副社長ジョディー・ブラウンは語った:「会社は軍の調査を支援し、イラクにいるCACI人員が調査に関する軍当局による面会に積極的に応じることを承認する。会社は、CACIの従業員が誰一人として、申し立てのあったようなイラク人拘束者に対する不適当な行為に関係していたといういかなる証拠も受け取っていない。それにもかかわらず、CACIは独立した調査を開始した。」
しかしながら、軍の調査官らは言う:「あるCACIの調査官の契約は打ち切りとなった。なぜなら彼は尋問の訓練を受けていない憲兵隊の将校らに、尋問を促進するために許可もされていなければ規則にも従っていないやり方を許したり命じたりしていたからだ。」
軍法会議にかけられる米兵の一人は予備役のチップ・フレデリック三等軍曹---非常勤の英国民義勇軍班員と似た立場である。市民生活では、バージニアで刑務所の看守を務めていた。フレデリックは、無罪の申し立てを行い、アブグレイブでの拷問について軍隊を非難するだろう、と話している。「私たちは一切手助けも、訓練もされていなかった」と彼は言い、彼がジュネーブ条約を全く教えられなかったと主張する。「私は自分の命令系統になにか規則や規定といった確固としたものをずっと要求していたが、それは一切与えられなかった。」
フレデリックはさらに、蛮行を促進したと情報局を非難した。刑務所へ来る機関の中に「軍情報部」があった、とフレデリックは言った。そして付け加えた。「我々のところには他のあらゆる政府系機関、FBI、CIAがいた。」
家に送った手紙や電子メールで彼は書いている:「軍情報部が激励して、我々に『偉大な役目だ』と言った」。」彼は付け加えた:「彼らは通例、他のものが彼らの尋問を見る事を許可しない。しかし彼らは私が拘束者を管理するやり方を気に入り、特例とした…我々は戦争捕虜たちにその扱い方で口を割らせるようにした…我々のやり方は非常に高い割合で捕虜らを駄目にした。彼らは普通、数時間内に駄目になった。」
フレデリックは、拘束者らは狭苦しく窓がない独房に、衣服もトイレを流す水もなしで3日も放り込まれた、と語った。別の拘束者らは、尋問を行うまで60日間も拘留された。彼は、精神病の症状をもったある拘束者が「非致死性の弾丸で撃たれた」と言う。ある尋問官は兵士らに「一人の拘束者をできるだけ抑圧しろ、そうすればそいつは次の日話をしたくなるんだ」と言った。フレデリックはさらに、拘束者の一人が「激しく打たれ、そして死んでしまった」ことを話した。拘束者らはシラミにたかられた。何人かは結核にかかっていた。祈りは誰にも許されなかった。フレデリックは、彼の指揮官がこれらすべてを規制していたと言う。
グアンタナモ・ベイ収容所の前指揮官、ジェフリー・ミラー少将は、各イラク人収容センターを点検する封じ込め作戦の副指揮官になっている。
フレデリックは、傭兵たちとは違って、投獄され軍から放り出される事態に直面している。彼の弁護士のゲーリー・マイヤーズは言った:「力の秘薬、CIAの手伝いをしていると信じることの秘薬、それはバージニアの小さな町から出てきた者を酔わせる。そうして、好青年らがしばしば、正義の大儀を支援し助けになると信じる事をして・・・重要だとみなした人物を手伝うのだ。」
キミットは認めている:「私はここに座って、これらが我々の把握しているただ一つの拘束者虐待事件であると言いたい。しかしながら我々は他のものがあることを承知している。」
これはまたイギリスにも当てはまる。サンデーヘラルドの調査では、イラクでイギリスによる拘留中に少なくとも7人の市民が死んでいることがわかった。
虐待の画像を「残虐行為」と評して、アブデル・バーリ・アトワン(アル=クズ アル=アラブ新聞の編集者)は、言った。「解放者は独裁者よりひどい。」彼の心情は世界中で反復されている。イラクの拘束者の拷問を非難していない国や機関を見つけることは難しい。
赤十字社から国連まで、そしてアムネスティからから連合の忠実な「太平洋の代理人」であるオーストラリアのジョン・ハワード首相にいたるまで、世界は、米英軍の行為に対する嫌悪を共有している。
イギリスとアメリカの手によるこの野蛮な行為の恐るべきコストは、前米海兵隊中佐のビル・コーエンによって要約されている:「我々はこのような事態を止めるためにイラクへ行ったが、実際には、こうして我々の監督下でそれが起こっている・・・我々が黙っていれば、この種の事件は続くだろう、そして結局100回あるいは1000回ほどしっぺ返しをうけることになるだろう。」
紹介記事2
目撃者:ファルージャ現地より
Eyewitness: On the ground in Falluja
BBCニュース 2004年4月29日
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/3670587.stm
紹介記事3
ナジャフでの激しい戦闘で71人が死亡
71 die in heavy Najaf clashes
AFP通信 ヨルダン・タイムズ紙 2004年4月28日
http://www.occupationwatch.org/article.php?id=4454
紹介記事4
イラクの医師たちは、ファルージャでの戦争の日々の後、力なく見守る。
Iraqi doctors watch helplessly after
days
of war in Fallujah
海兵隊による武装レジスタンスの弾圧は市の中心的な病院を閉鎖させた。
AFP通信/デイリー・スター 2004年4月20日
http://dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=10&categ_id=2&article_id=2494
●4月29日(407日目)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「停戦」交渉合意期限の27日を過ぎ、米軍のファルージャへの突入と住民への大虐殺がいつ再開されてもおかしくない緊迫した情勢が続いている。APなどが、米軍のファルージャからの撤退合意を伝える一方、引き続きファルージャへの空爆が続けられるなど、予断を許さない状況にある。米海兵隊はファルージャ周辺に配置され、いつでも出撃できるように臨戦態勢をとっている。引き続き、米軍のファルージャ再突入を許すな、ファルージャの包囲を解除し完全撤退せよとの声を強めていかなくてはならない。
記事の紹介では、米軍はファルージャで「停戦」を発表しながら、平然と爆撃を行い、砲撃し、狙撃し、市民を殺し続けている事実を紹介する。イラクの人々が日々生死の危険にさらされ続けている一端が紹介されている。
記録−米軍によるイラク民衆への攻撃・拡大する米軍兵士の犠牲
29日
被害
・ファルージャへの4日連続の空爆。米軍が市内の3カ所を攻撃し、散発的な銃撃戦も起きた。
・バグダッド南郊マフムディア 自動車爆弾が爆発し、米兵8人が死亡、4人が負傷した。首都東部でもパトロール中の米軍がロケット弾攻撃を受け、兵士1人が死亡。
・バクバ近郊で道路脇に仕掛けられた爆弾が爆発し、米兵1人が死亡。イラク各地で戦闘中に死亡した米兵は4月だけで126人。
政治・軍事情勢
・AP通信などの報道によれば、ファルージャを包囲する米海兵隊司令官が包囲を続けてきたすべての米軍部隊が撤退し、旧フセイン政権軍幹部が指揮する新たなイラク人部隊が三十日から治安維持のため市内に入ることで地元代表と合意したと明らかにした。
・サマワの陸上自衛隊の宿営地付近で宿営地から200メートル先に口径約80ミリの迫撃弾2発が着弾。陸自を狙った攻撃。
28日
被害
・ファルージャへの3日続けての米軍による攻撃。米軍がAC130攻撃機で空爆を行うなど、戦闘が続いた。
27日
被害
・米軍、ファルージャを空爆。米軍は2時間近くにわたって、AC130攻撃機や戦車砲を使って市のゴラン地区にある2カ所を攻撃した。市内のモスクではファルージャを守るために銃を取れと呼びかけが行われた。
・ナジャフ近郊でサドル師の民兵組織「マフディ軍」と米軍との戦闘で、米軍はAC130攻撃機やヘリコプターなどを投入し、建物や検問所などを空爆、マフディ軍側64人が死亡。ナジャフからは27日、スペイン軍が撤兵を完了、代わって26日から米兵約200人が初めてナジャフ市内に配置されていた。約2万人いるといわれる「マフディ軍」と戦闘態勢にある。
・バグダッドのシーア派地区サドルシティー近くでパトロール中の米兵1人が殺害された。これで4月に戦闘や襲撃で死亡した米兵は115人に達し、昨年3月20日の開戦から、戦闘終結宣言が出された5月1日までの約1か月半に戦死した米兵と同数になった。
政治情勢
・イラク中部ファルージャへの米軍の攻撃をきっかけに、新イラク軍部隊の半数以上が退職し、軍の機能がは事実上の崩壊状態。イラクを守るとの触れ込みで入隊した兵士たちは、自国民と戦わされそうになり、ショックを受けて続々と辞めている。ファルージャの包囲・攻撃が始まった今月5日から、海兵隊の他に新イラク軍も投入された。攻撃が始まるとファルージャから、イスラム教の神をたたえる声が聞こえた。「イラク人やイスラム教徒を殺すことはできない」と、雇い兵を中心に任務を拒否する兵士が続出し、反乱を恐れた米軍が新イラク軍を一時包囲する事態となった。米軍はナジャフにもイラク人兵士300人の投入を計画したが、半数以上が退職して断念した。米軍当局者は21日の会見でも「新イラク軍の4割が退職、1割が敵対している」と認めている。
26日
被害
・ファルージャで米軍がジョラン地区に進入しようとしたところ、激しい抵抗に遭い退却。米軍ヘリが同地区を攻撃し、米海兵隊員1人と武装勢力8人が死亡。
・バグダッド北部ワジリヤ地区で爆発が起き、建物の半分が倒壊、停車していた米軍車両4台が炎上し、米兵2人が死亡、5人が負傷した。
・バスラで英軍の車列が通行中に、道路わきに仕掛けられた爆弾が爆発、英軍兵士1人が負傷。
25日
被害
・バグダッド 道端に仕掛けられていた爆弾で米兵1人が死亡、数人が負傷。その直後に米兵が手当たり次第に銃を乱射、イラク人の12歳前後の子供4人が殺害された。
・モスル 病院とホテル、警察の車両整備施設にロケット弾が打ち込まれ、病院関係者2人とホテル従業員2人が死亡、13人が負傷。
・サマワ郊外 オランダ軍が停止命令を無視した車に発砲。イラク人1人が死亡、2人が負傷。
24日
被害
・ファルージャ近郊で23〜24日未明にかけ、米海兵隊と武装勢力との間で戦闘が起き、武装勢力約30人が死亡した。
・バスラ沖で海上の石油積み出し施設に3隻のボートが接近し、爆発。ボートを阻止しようとした米兵3人が死亡、4人が負傷。イラクは1日当たり約190万バレルの石油を輸出しており、その大半をバスラ沖の施設に依存している。
・タージで米軍駐屯地を狙ったロケット弾攻撃があり、米軍当局者によると、兵士5人が死亡、67人が負傷。
・クートで米軍車両がロケット弾攻撃を受け、米兵2人が死亡、1人が負傷した。
・バグダッド北東部サドルシティーの住宅地や市場などで、迫撃砲かロケット砲を使った4件の連続攻撃が発生、イラク人計14人が死亡、36人が負傷した。死傷者の多くは買い物客。
・バグダッドに向かうバスが道路脇の仕掛け爆弾で爆破され、イラク人乗客14人が死亡、12人が負傷した。バスは米軍車列の直前を走っていたとの情報がある。
・中部ティクリートで爆発物を積んだ車両が米軍駐屯地近くで爆発し、イラク人警察官4人が死亡、警察官と市民の計16人が負傷。
・中部カルバラでは、ポーランド軍部隊が巡回中にイラク人の武装勢力と銃撃戦になり、イラク人5人が死亡。
23日
被害
・サマラ近郊で道路わきに仕掛けられた爆弾が爆発し、付近を走行中の米軍の車列にいた米兵1人が死亡。
・カルバラでサドル師の民兵組織「マハディ軍」がポーランド軍主導の連合軍部隊を急襲。連合軍部隊の車両2台が破壊され、ブルガリア兵1人が頭を撃たれ死亡した。
政治情勢
・ノルウェー政府がイラク派遣部隊を予定通り6月末で引き揚げる意向を表明。撤退表明は4カ国目。タイでもタクシン首相が「現地が危機的状況に陥れば、われわれの人道支援任務は遂行不可能で、作戦中止もやむを得ない」と指摘。現地の治安次第では、9月までの予定を繰り上げて撤退する意向を改めて示した。
・イラク戦争開戦後、米軍はメディアに戦死した米兵のひつぎが帰還する際の写真撮影を禁じてきたが、米国の「情報の自由法」申請に基づき、軍から計361枚の関連写真を提供されたインターネットサイト運営者がサイト上で一斉公開、大手メディアも写真を大々的に報道。
22日
被害
・ファルージャのあるアンバル州で14日に負傷した米海兵隊員が死亡。
・ユニセフのベラミー事務局長が、イラク国内で4月に入って120人以上の子供が殺害されているととして、国際人道法に基づき子供と非戦闘員を保護するよう求める声明を発表。ファルージャでは100人以上の子供が死亡したと指摘した。
政治情勢
・マケイン上院議員(共和党)はイラクへの米軍の駐留態勢について、現在の13万5000人のほかに少なくとも1師団(2万人規模)が必要だとして「沖縄の海兵隊を投入できる。絶対に必要というなら在韓米軍を減らすことも可能だ」と語った。同議員は「イラクの治安情勢を安定させるには今の兵力では不十分。海兵隊や特殊部隊を含め、戦闘能力のある部隊の増強が必要だ」と述べた。沖縄の海兵隊は約1万6000人で、うち3000人がイラクに派遣されている。
21日
被害
・ファルージャでの米軍と武装勢力との衝突で、米軍はこの日、武装勢力側17人が死亡、米海兵隊員3人が負傷したと発表。
・イラク南部バスラの3つの警察署と近郊の警察学校前で車爆弾を使った同時自爆攻撃があり、子供17人と女性を含む少なくとも68人が死亡した。負傷者も200人を超えた。昨年5月の大規模戦闘終結後、比較的治安が安定している南部の要衝バスラで大規模攻撃が起きたのは初めて。
・デンマーク外務省は21日、イラクで拉致されたとみられていたデンマーク人ビジネスマンが遺体で発見されたと発表。
政治情勢
・マイヤーズ米統合参謀本部議長は、04会計年度(9月末まで)の米軍イラク駐留予算が8月いっぱいで底を尽き、少なくとも40億ドル(約4370億円)が不足するとの国防総省の推計を明らかにした。これとは別に、米軍2万人の駐留期間を3カ月間延長する費用が、7億ドル(765億円)に達するとの見通しも示した。イラク各地で発生している武装勢力との戦闘や掃討作戦による大幅な経費増などを反映。ウルフォウィッツ国防副長官によると、3カ月前の時点で毎月の駐留費用は47億ドル(約5140億円)。イラクの駐留・復興費用などとして、米議会は昨年10月に870億ドル(約9兆5000億円)の歳出法案を可決。追加支出の議会要請は大統領選後の11月以降を想定していた。
・ドミニカ共和国のメヒア大統領は、イラク派遣部隊302人をできるだけ早く撤退させる方針を決めた。昨年8月に部隊を派遣。302人が中部ディワニヤで治安維持などに当たっていた。
20日
被害
・ファルージャで散発的な銃撃戦。
・バグダッド近郊にある旧アブグレイブ刑務所の拘置施設に迫撃弾12発が撃ち込まれ、収容者22人が死亡、92人が負傷。
19日
被害
・サマラでイラクのテレビ局「アルイラキーヤ」は同社の記者ら2人が米兵に銃撃され死亡し、同行していたカメラマン1人も負傷したと発表。
紹介記事
「地獄だ…。みんな壊される」
It's hell…everything will be destroyed'
軍はファルージャ停戦に違反していると非難される
ルーク・ハーディング ガーディアン紙 2004年4月30日
http://www.guardian.co.uk/Iraq/Story/0,2763,1206705,00.html
●4月18日(396日目)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ファルージャの停戦は真実ではない。米軍はファルージャを頑強なまでに包囲し、空爆を繰り広げている。移動する市民を狙撃し、殺害している。停戦発表後も、空爆、狙撃による多くの犠牲者が病院に担ぎ込まれている。その中には非戦闘員の女性、子供、一般市民が多く含まれている。また狙撃を恐れて、病院に行くことも出来ずに生命を失う市民も多い。今なおファルージャでは、米軍による虐殺行為が繰り広げられているのである。この真実を伝えるマスコミも米軍の標的にされている。米軍は直ちにファルージャの包囲を解け!ファルージャから即時撤退せよ!そしてイラクから撤退せよ!
ファルージャ、イラク全土における米軍・占領軍に対する抵抗運動は、イラクに進駐している各国を震撼させている。スペインのサパテロ首相は、6週間以内に自軍を撤退させることを明言した。ホンジュラスも早期に部隊を撤収させることを明言した。ファルージャ、各地における米軍の蛮行とそれに屈することのない民衆の抵抗運動は、進駐した各国にその正義を問うているのである。誰のためにイラクにいるのか。残虐の限りを尽くす米軍と運命を共にするのか。米軍に付き従う自衛隊も無縁ではない。
記録−米軍によるイラク民衆への攻撃・拡大する米軍兵士の犠牲
18日
被害
・ ファルージャ近郊で米軍の砲撃によりイラク人5人が死亡した。
・シリア国境に近いイラク北西部のクサイバで17、18の両日、駐留米軍と反米武装勢力との間で激しい戦闘があり、米海兵隊員5人が死亡。病院関係者によると、地元警察署長を含む少なくとも10人のイラク人が死亡、約30人が負傷した。
・17日から18日にかけての戦闘でイラク全土でイラク人25〜30人が死亡。
政治情勢
・スペインのサパテロ新首相はナジャフなどに派兵している約1300人のイラク駐留スペイン軍の早期撤退をボノ国防相に指示した。モラティノス・スペイン外相はエジプト外相に対し「15日以内に部隊を撤退させる」と伝えた。
17日
被害
・ 中部ディワニヤで米軍車両が反米武装勢力による攻撃を受け、米兵3人が死亡。
・バグダッドと中西部アンバル県で米軍車列が攻撃を受け、米兵計2人が死亡。
・バグダッドのパレスチナ・ホテル付近で爆発があり、少なくともイラク人1人が負傷。
・駐留オランダ軍兵士がサマワでイラク人の夜間警備員を銃撃、警備員が胸を撃たれ重体。
政治情勢
・イタリア国民のほぼ7割が「部隊撤退」や「撤退を含む条件交渉」を望んでいることが、伊主要各紙の世論調査で明らかになった。左派系レプブリカ紙(17日付)の調査では、人質事件への対応について回答者の68%が「(部隊撤退を含む)条件交渉の開始」を支持し、「現状維持(交渉拒否)」の25%を大きく上回った。中立系コリエレ・デラ・セラ紙(16日付)でも、24%が「部隊の即時撤退」、51%が「国連軍駐留(6月末予定)後の撤退」を支持すると答え、「駐留継続」派は24%にとどまった。
・イスラエル軍がハマスの新指導者ランティシ氏の乗用車をヘリコプターで空爆、同氏と息子、側近の計3人を殺害した。
16日
被害
・ファルージで米軍は空と地上から市内の複数の標的を攻撃した。F16戦闘機で2000ポンド(908キロ)爆弾を投下。地元病院関係者によると、15日夜から16日未明にかけてファルージャの住民15人が死亡、20人が負傷した。
・ナジャフでは2500人の米軍部隊が街を包囲。武装したイラク人が警戒中の連合軍兵士を銃撃し、兵士1人、イラク人2人の計3人が死亡。
・ナジャフに近いクーファで米軍とマフディ軍が交戦し、イラク人5人が死亡した。
・サマラで道路脇に仕掛けられた爆弾が爆発し米兵1人が死亡。モスルでも米兵1人が死亡。
政治情勢
ロペス・ポルトガル内相は16日、地元ラジオとのインタビューで、イラクの情勢悪化が続くなら、南部ナシリヤに派遣している警察部隊128人の撤収もあり得るとの考えを表明した。 隣国スペインのサパテロ新首相は既にスペイン軍の撤退方針を表明しており、情勢次第では、イベリア半島の両国が「有志連合」から脱落する可能性もある。ロペス内相はインタビューで「戦闘が激化し警察部隊が任務を遂行できなくなれば撤収する必要がある」と語った。
15日
被害
・ファルージャで15日未明,米軍が一部地区に空爆や戦車による砲撃を加えた。夕方には2番目に大きいモスクが米軍から攻撃され、尖塔が破壊された。モスク攻撃では、尖塔の先端部や宗教学校の外壁が崩れ、窓ガラスが割れたという。
・北部モスルで武装勢力と米軍が交戦し、イラク人8人が死亡、17人が負傷した。
・バグダッドでイラン人外交官が射殺される。米国の仲裁要請を受け入れたイランに外交官の暗殺という形で武装勢力が警告を発した可能性がある。
政治情勢
・ラムズフェルド米国防長官は記者会見で、イラク駐留米軍の交代時期を迎えた陸軍の一部を最大で90日間残留させると発表した。米本土と欧州に帰還するはずだった3万6000人のうち2万人を残留させ、13万5000人態勢に拡大する。残留する兵のうち6000人は、20州から部隊補充のために集められた州兵や予備役で、こうした補充要員まで駐留延長となることで地元から反発があがる可能性もある。
・オランダではサマワに駐留するオランダ軍(約1300人)について、同国国民の約6割が「現在の危険な状況が続く場合、撤退すべきだ」と考えていることが世論調査で判明した。世論調査では現状が続く限り59%の国民が撤退を支持。また、オランダ軍が標的にされた場合、67%が「とどまるべきではない」と答えた。
14日
被害
・停戦中のはずのファルージャで14日未明、米軍がAC130攻撃機でファルージャ南部の建物2棟に攻撃を加えた。ファルージャの病院当局者よると、この砲撃でイラク人5人が死亡、3人が負傷した。
・イラク武装勢力によってイタリア人4人が拘束された事件で、このうち1人が殺害された。武装勢力が兵力の撤退を拒否したとの理由から、民間人の人質を殺害したのは今回が初めて。ベルルスコーニ・イタリア首相は「撤退不可能の方針に変わりがない」と表明。
・北部モスルと中部サマッラでそれぞれ1人ずつ米兵が死亡。
・バクバの病院当局者によれば、バクバ近郊で住宅が米軍の砲撃を受け、イラク人3人が死亡、2人が負傷した。
・イラクに駐留する米軍兵士の4月の死者数が14日の時点で83人に達し、昨年3月の開戦以来最悪だった昨年11月の82人を上回った。
政治情勢
・サマワで14日、イスラム教シーア派の強硬派指導者ムクタダ・サドル師を支持する学生ら約300人が米国主導の占領統治に反対し、駐留オランダ軍や自衛隊のサマワ撤退を要求するデモをした。陸自部隊の撤退を求めるデモがサマワで行われたのは初めて。デモ参加者の大半は大学生で、サドル師の肖像などを掲げながらムサンナ州庁舎に近いサドル師の事務所前などを行進。拡声器で「自衛隊と占領軍を区別するのは困難。陸自部隊はイラクに駐留する連合軍の傘下で活動すべきではなく、サマワから出て行くことが(日本にとって)最善の選択だ」などと訴えた。
・福田官房長官は記者会見で、ブッシュ米大統領のイラクへの米軍追加投入の表明を支持した。
13日
被害
・ファルージャで米軍が停戦中にもかかわらず攻撃を再開、市街を空爆し戦車で市内に侵攻した。アルジャジーラによれば、米軍は戦車数両を市内に進めようとしたが、武装勢力側の激しい抵抗に遭い、退却した。ファルージャ市民は「停戦違反」と非難。病院関係者の話では、戦車などによる米軍の攻撃でイラク人9人が死亡、38人が負傷した。米軍側も海兵隊員1人が死亡、7人が負傷。
・この日の戦闘で米軍側は他に米海兵隊員1人が死亡。
・イラクに派遣されているウクライナ兵士1人が死亡、数人が負傷。ウクライナ兵の死者は計5人になった。
・イラクで9日から行方不明になっていた米民間人7人のうち4人の遺体がファルージャ近郊の幹線道路沿いで見つかった。
政治情勢
・今月に入りイラクで拉致されたり行方不明になったりした外国人は少なくとも18カ国、50人以上に達した。うち約30人は既に解放されたが、米民間人4人は遺体発見が伝えられた。CPA報道官は13日現在、12カ国の約40人が拘束中と発表。
・ブルガリアのパシ外相は13日、イラクの反米武装闘争の激化に伴い、中部カルバラに駐留中の約450人のブルガリア軍部隊のうち、兵士15人から任務の解除と帰国願いが出ていることを明らかにした。外相は「帰国を望む者を強制的にとどめることはできない」と述べ、政府として許可する方針を表明。カルバラは反米武装闘争の激戦地の一つで、先週末には派遣兵士の家族がパルバノフ大統領に面会、部隊を安全な地域へ移動するよう求めていた。
12日
被害
・AP通信の集計では、4月4日以来のイラク人死者は計約880人となった。この日の戦闘で米海兵隊員が2人死亡し、米軍兵士は計62人、米軍以外の連合軍兵士2人が死亡した。
11日
被害
・イラク武装勢力と米海兵隊は前夜、ファルージャで戦闘を展開。11日に合意した非公式な停戦協定は、暗礁に乗り上げた。戦闘でイラク人1人が死亡、米兵2人が負傷した。イラク側は米軍が停戦協定を破ったと非難。ファルージャの病院関係者によると、11日までの過去1週間の戦闘で、子供や女性、お年寄りを中心にイラク人600人以上が死亡した。
・バグダッド西方の戦闘で海兵隊員3人が死亡。AP通信によると、11日までの1週間で、連合軍側の死者は約60人に上った。
・ バグダッド近郊でルーマニアの警備会社員が武装勢力に殺害された。
・ 首都北方のサマラで米兵1人が殺害された。
政治情勢
米軍の包囲が続くファルージャを含む中西部のアンバル県でCPAへの攻撃を支持する住民が71%、占領当局のために働く外国人への攻撃を支持する住民も56%に達していることが米ABCなどが今月初めに発表した世論調査で明らかになった。
10日
被害
・バグダッド北方のバクバやイラク北部で9日夜から10日にかけ、米軍と武装勢力の交戦があり、イラク人55人以上が死亡した。スンニ派居住区のバクバでは9日夜、県知事庁舎とイラク警察施設が迫撃砲などで攻撃され、米軍が応戦。交戦は市内各地に拡大し、少なくともイラク人40人が死亡、米兵数人が負傷した。北部でもモスルなどで戦闘があり、イラク人15人が死亡した。
9日
被害
・ファルージャで米軍が攻撃を再開。都市部を包囲する一方で、AC130などによる攻撃を繰り返した。ファルージャ中心部における米軍との武力衝突で、6日間で450人以上のイラク人が死亡、1000人が負傷した。
・ バグダッド近郊 武装勢力の攻撃により、2人の陸軍兵と民間人トラック運転手1人が死亡、12人が負傷。また、米国の警備会社に勤める英国人1人が射殺された。
紹介記事1
ファルージャの死者数は700に近づくが、終わりは見えない。
No End in Sight as Fallujah Death Toll
Approaches
700
ダール・ジャマイル 2004年4月13日
http://www.occupationwatch.org/article.php?id=4103
紹介記事2
米軍の狙撃者を免れて援助物資を受け取るのは不可能だ。
Getting aid past US snipers is impossible
ジョー・ウィルディング ガーディアン紙 2004年4月17日
http://www.occupationwatch.org/article.php?id=4216
●ファルージャの虐殺−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ファルージャの虐殺を許すな!
米軍によるファルージャ大虐殺の様子が次々と伝わってきている。住民の死者は600人以上、負傷者は1000人以上。その中の多くは戦闘員ではなく、女性、子供たちである。米軍によるファルージャ掃討作戦は、史上かつてない住民の無差別、大量殺戮であったことが、今世界中に暴かれている。今ファルージャは停戦状態にあるかのように報じられているが、しかし現地司令官は空爆を継続し、市民への狙撃を続けている。ファルージャを軍事封鎖し、いつでも大規模な攻撃を再開できるように準備しているのである。私たちは、米軍の蛮行を断固糾弾する。そして米軍の即時戦闘停止と撤退、イラクからの撤兵を要求する。また、米軍の増派に支持を表明した、小泉政権を断固として糾弾する。
今回はファルージャにおける実相を伝える記事を紹介する。
@「米軍がファルージャで市民を虐殺している」
A「ファルージャにおける市民の死傷者の映像が反米の再結集点となる」
この間の報道記事、紹介記事を総合するとファルージャでは次のような事態が展開されている。それはまさに、米軍による無差別殺戮である。
・ 4月5日、米軍はファルージャに侵攻を開始した。当初、最精鋭の海兵隊をもってすれば簡単にファルージャを支配できると思っていたようだ。しかし、市民のあまりにも頑強な抵抗を前に、米軍は幾度となく撤退を余儀なくされた。
・ 侵攻を阻止された米軍は空軍による攻撃を強化し、密集住宅地、モスクへの攻撃も実行した。まさに、無差別な空爆が街全体に加えられた。また、それまで控えていたモスク等の施設への攻撃も躊躇しなくなった。この空爆が市民の犠牲を拡大させた。
・ その中で、銃を持たない一般市民も多く犠牲となった。爆弾によって破壊された家屋の下敷きとなり、子供を含む多く住民が死んだ。
・ 街を頑強に包囲し兵士の犠牲を最小限に抑えようとした米軍は、街の一画一画の制圧を目指した。米軍兵士による住民への狙撃が行われるようになった。狙撃された住民を救出しようとした救急車も容赦なく攻撃対象となった。狙撃によって負傷した子供、女性が病院に多く担ぎ込まれた。その多くが米軍による狙撃の犠牲者である。
・ 停戦が報じられた後も、米軍は今なお空爆、住民の狙撃を継続している。否、実質上の停戦は存在しなかった。
ファルージャは、米軍によるイラク占領支配への抵抗闘争の象徴となっている。米軍に対する抵抗には、11歳の少年も加わっているという。宗派の垣根を越えシーア派市民からの支援物資が運び込まれ、また戦闘に加わる者も多い。私たちも、イラクの人々、アラブ、中東の人々の抵抗闘争と連帯して、米軍のファルージャ攻撃とイラクの占領に反対する運動を強めていきたい。日本政府の米軍増派支持への批判と自衛隊撤退を要求する行動を強めていきたい。
(2004年4月15日)
翻訳1
米軍がファルージャで市民を虐殺している。
Americans Slaughtering Civilians in
Falluja
Dahr Jamail, The NewStandard, 12 April
2004
http://electroniciraq.net/news/1452.shtml
米軍の狙撃兵に首を撃たれたイラク人女性
翻訳2
ファルージャにおける市民の死傷者の映像が反米の再結集点となる
Images of Civilian Dead, Wounded in Fallujah
Become Anti-American Rallying Point
by Matthew Schofield Published on Saturday,
April 10, 2004 by Knight-Ridder
http://www.commondreams.org/headlines04/0410-08.htm
●4月10日(388日目)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ファルージャでは米軍が大規模せん滅作戦を開始、多くのイラク人が殺されている。民間人が避難していたモスクをミサイル爆撃し、40人以上が無差別に殺された。戦闘機、ヘリによる空爆、地上軍による砲撃も連日続いている。米軍はファルージャを包囲し、まさにその地において民衆殺戮を繰り広げている。抵抗する者たちを根絶やしにしようというのか。海外のメディアは今回の米軍の作戦を"Massacre"(大虐殺)、"Slaughter"(大量殺人)と呼んでいる!病院関係者の話では、ファルージャでのイラク人の死者は8日までに最大で300人、負傷者は400人に達しているという。別の最新の報道では、450人以上が殺害されたとも言われている。また米軍は、自らの残虐行為が報道、暴露されることを避けるために、ファルージャからの報道を続けているアルジャジーラ取材陣を追い出そうとしている。米軍によるファルージャ住民、占領に抵抗する民衆の虐殺を許してはならない。
4月4日のスペイン軍との衝突を転機にイラク情勢は急変し、イラク民衆による反占領武装蜂起へと発展した。中南部を中心にイラク全土で各国占領軍とシーア派サドル師民兵ラマディ軍、スンニ派武装組織による戦闘が発生し、自然発生的なイラク民衆による武装蜂起も拡大している。ファルージャを中心としたイラク全土における激しい抵抗運動は、「イラク・インティファーダ」と呼ばれるようになっている。まさに子供から大人にいたる全パレスチナ人による反イスラエル占領闘争のイラク版が、今まさに生起しつつあるのである。米軍はマハディ軍壊滅を目的に戦車や攻撃ヘリを投入して一大せん滅作戦を展開しようとしており予断を許さない情勢が続いている。4月4日〜8日の5日間だけで計459人のイラク人が殺されたが、ファルージャでの虐殺によってさらにその数は拡大している。戦闘は北部にも拡大し、キルクークでは8日にファルージャ空爆に抗議するデモ隊と米軍の間で銃撃戦となり、イラク人13人が死亡、およそ20人が負傷した。南部クートはウクライナ軍が撤退し、シーア派民兵組織が都市を制圧した。サドル師の立てこもるナジャフでも米軍は制圧権を失った。中部クーファでは民兵組織が政府施設や警察署を占拠している。中部カルバラでは激しい戦闘が続き、民兵組織に包囲されたブルガリア軍が米軍に兵力支援を要請した。チクリート、ラマディ、ナシリヤ、アマラ、バグダッドなどでも連合軍と武装勢力との間で交戦している。毎日数十人、百人単位でイラク人が殺されている。
戦闘が拡大するにつれて占領軍の死者も増大している。米兵の死者は累計600人を超えてさらに急速に増え続けている。特に入隊したばかりの経験の浅い20歳未満の若い兵士が相次いで戦死している。米軍は11万人への駐留兵力削減を撤回し、帰国予定の兵士を留まらせ、増派にも備えている。イギリス兵、ポーランド兵、スペイン兵など各国でも死者が相次いでいる。戦局はまさに泥沼化している。
イラク全土が戦闘局面に入ったことにより、サマワ駐留の自衛隊は武装勢力の標的として狙われている。ここに至っても小泉は、サマワは非戦闘地域と強弁しているが、もはや非戦闘地域などイラクのどこにもありはしない。占領軍の一員としてアメリカの占領支配に加担しているのだから狙われるのが当然である。小泉はいますぐイラクからの自衛隊即時撤退を表明せよ!イラク人虐殺に加担するな!
米軍は、ファルージャ「掃討作戦」=殲滅作戦を直ちに停止せよ!
米軍の「掃討作戦」=殲滅作戦によって、ファルージャ民衆の多くの命が奪われている。未だ路上には、多くの遺体が放置されている。
記事紹介 ファルージャの状況
医師は暴露する。ファルージャの戦慄すべき犠牲を。
Doctor reveals Falluja's horror toll
Friday 09 April 2004, 20:48 Makka Time, 17:48
GMT
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/35D16627-E268-4ACE-B0E0-553C6624058D.htm
ファルージャでは今週、少なくとも450人のイラク人が殺害され、さらに1000人以上が負傷した。街最大の病院を運営する医師はこのように語った。
戦闘に巻き込まれた、助けることも出来ないファルージャでの幼き子供 Photo:
Al Jazeera |
最大の病院のラフィ・ハヤッド医師は、ロイター通信の記者に対して数字を示した。記者は、ハヤッド医師がどのようにしてこの数値を得たのかについての説明はしなかった。
バグダットでは、暫定統治評議会のメンバーの補佐官が金曜日、ファルージャにおける蜂起に対する米軍の攻撃によって過去6日間において、イラク人400人以上が殺害され1000人が負傷したと語った。
「この日までに、ファルージャでは400人のイラク人が殺され、1000以上の人々が負傷した」とイラクイスラム政党出身の暫定統治評議会のメンバーであるムーシン・アブド・アル・ハミッド氏の補佐官であるハシム・アル・フセイニ氏は語った。
「この数字は、ファルージャから、すべての病院から、私達にもたらされたものである。この数字は100%正しい!」と彼はAFP通信に語った。
イラクイスラム政党は、負傷者の避難、必需品の供給、バグダット西方の交戦を終わらせるための仲裁を行ってきた。
ファルージャでは、米占領軍は市街地を空爆した。米軍はその地における軍事行動を停止しているとのポール・ブレマー行政官の声明に反する行為が行われている。
「本日の午後の段階で、連合軍はファルージャにおける作戦行動を一方的に停止した」とポール・ブレマーは金曜日に語った。
しかしアメリカを中心とした占領軍の作戦副官のキミット准将は、停戦の報道を拒否した。
ブレマーの声明から数分後、米軍はファルージャに対して爆弾を投下するなどの新たな攻撃を仕掛けた。多数の住民がこの攻撃によって負傷したと、私達の通信員は報道している。
「ファルージャにおける停戦に関して仲介されている合意は一切ない」とキミットはAFP通信に対して語った。「反乱軍と同盟軍の間でのいかなる合意も存在しない。」
イラク暫定統治評議会の声明
暫定統治評議会のメンバーであるムーシン・アブド・アル・ハミッド氏は、アルジャジーラへのイラクイスラム政党を代表しての声明の中で、ファルージャにおける軍事行動は24時間の期限内で終わるであろうと語った。
占領軍とイラク抵抗勢力間の戦闘停止に関する公約にのっとり、戦闘停止は継続されるであろうと、声明は述べている。
イスラム政党の政治担当局は、街の有力者との話し合いを設定するための代表団を送り込む予定だという。
しかしながらアルジャジーラは、軍事攻撃を終わらせるための交渉の間、米軍がアルジャジーラの取材陣を街から追放することを含む多くの条件を突きつけていることを確認している。
記録−米軍によるイラク民衆への攻撃・拡大する米軍兵士の犠牲
8日
被害
・ファルージャ 米軍が散発的に住民らと交戦。市の病院長はファルージャだけで五日から二百八十人以上が死亡、負傷者は四百人と指摘した。反米武装勢力だけでなく、米軍の攻撃に巻き込まれた女性や子供多数が死傷している。病院長は「戦闘のため、がれきの下にいる死者や負傷者を収容できない」と述べた。
・中部カルバラ 8日から9日にかけてポーランド軍やブルガリア軍とイスラム教シーア派武装組織との間で衝突があり、イラク人15人が死亡。ポーランド軍の検問所では、6人のイラン人の巡礼者が銃殺された。死亡した6人のイラン人巡礼者は、自動車でバベルとカルバラを結ぶ道を走っていて、検問所に近付いたところで撃たれた。今週すでに、同様な形で5人のイラン人が死亡している。8日から9日にかけて続いた連合軍とサドル師支持者による交戦では、イラク人21人が負傷。
・中部バクバ 米軍の車列の通過後に爆発があり、イラク人10人が死亡。
・イラク駐留米軍の発表によると、7・8日に戦闘などで死亡した米兵の数は6人。イラク西部で海兵隊員2人が死亡したほか、7日にはバグダッド北部のロケット砲攻撃で1人、バグダッド北部サマラの検問所での銃撃で1人が死亡した。8日朝にはバグダッド北部で爆弾により1人が死亡。また4日の爆弾攻撃で負傷していた1人が死亡。
政治情勢
イラクで武装グループが日本人三人を拘束、「3日以内に自衛隊がイラクから撤退しなければ、3人を殺害する」との要求を伝えた。福田康夫官房長官は「即時解放を求める」「自衛隊は人道復興支援のため行っている。撤退する理由はない」と、撤退を拒否。
7日
被害
7日だけでもイラク人100人が死亡した。
・ファルージャ 米軍ヘリがモスクをミサイル空爆、イラク人約四十人が死亡。イラク人ジャーナリストは「一度に大量の死者が出たのは、女性や子供などが米軍側の激しい攻撃を避けるため神聖な場所であるモスクの施設内で身を寄せあっていた可能性がある」と語った。
・ 中部カルバラ ポーランド軍がサドル師側近の事務所所長を殺害。
政治情勢
サマワで陸上自衛隊宿営地近くに自衛隊を狙った砲弾が着弾。サマワの状況は急速に悪化している。サマワでもサドル師支持者が南部要衝バスラで起きた州庁舎占拠事件と同様の事件を計画、ハッサン知事の説得で回避された。七日には、同師支持者による州庁舎前でのデモも計画されていた。
6日
被害
5日から6日にかけて各地で衝突が急速に拡大し、衝突が本格化した四日以降のイラク人の死者は100人を超えた。米英、ポーランド、ブルガリア、スペインの各国軍がサドル師支持者らと交戦した。ファルージャでは米海兵隊の戦車などが市中心部に進入、激しい戦闘が発生した。
・南部ナシリヤ ユーフラテス川の橋を占拠したサドル師支持者らとイタリア兵五百人以上が衝突。約一時間にわたる銃撃戦となり、イラク人15人が死亡、イタリア軍側も十二人が負傷した。
・ イラク中部ラマディ 戦闘で米海兵隊員ら10人以上が死亡。
・ バグダッドなどで5日から6日にかけ、米兵七人が死亡。
・中部クート ウクライナ軍と武装勢力との間で激しい戦闘があり、イラク人武装勢力数十人が死亡した。ウクライナ兵も1人が死亡、5人が負傷。これによりウクライナ軍は守備していた行政府などを放棄、郊外に撤退した。
5日
被害
サドル師を支持する民兵組織「マハディ軍」を中心にした勢力と占領軍が4日〜5日にかけてイラク各地で武力衝突し、連合軍側とイラク人側双方で50人を超える死者が出た。
・南部バスラとアマラ イスラム教シーア派の対米強硬派指導者ムクタダ・サドル師の支持者と駐留英軍との衝突で、イラク人計3人が死亡。
・ファルージャ 市を包囲している駐留米軍とスンニ派の武装勢力との間で散発的に交戦、少なくともイラク人1人が死亡。
政治情勢
CPAはイラク司法当局がサドル師の逮捕状を出したと発表。ブレマー行政官はサドル師を「無法者」と呼び、サドル師支持勢力の掃討を宣言した。米軍はファルージャで「不断の決意」作戦を展開、市街に通じる主要道を戦車などで封鎖してファルージャを包囲した。バグダッドでも掃討作戦を開始し、攻撃ヘリコプター2機で、シーア派信者が多く住む首都バグダッド北部のシュラ地区を空爆。サドル師は同派穏健勢力の聖職者らとの会談を拒否、ナジャフ近郊にあるクーファのモスクに籠城し、占領軍の撤退と、拘束中のシーア派教徒の釈放を要求した。
4日
被害
・中部ナジャフ サドル師派系週刊紙の発行禁止処分と同派幹部の身柄拘束に反発した支持者がデモを行い、スペイン軍主体の占領軍と衝突した。イラク人28人が死亡、約200人が負傷。連合軍側はエルサルバドル兵、米兵各1人が死亡、9人が負傷。連合軍側の発砲によるイラク住民の死傷者数としてはこれまでで最大。サドル派の民兵組織「マハディ軍」メンバーや、支持者らはナジャフのほか、バグダッド中心部のフィルドス広場でも抗議集会を実施した。
・バグダッド 警察署や政府庁舎を占拠したサドル師派民兵組織「マフディ軍」及びイラク群衆と米軍が銃撃戦。イラク人1人、米兵8人が死亡、24人が負傷。
・ 南部アマラ サドル師支持者のデモ隊に英軍が発砲、イラク人とみられる4人が死亡。
・南部バスラ マハディ軍メンバーら約800人が州庁舎や州知事宅を占拠し、ムスタファ・ヤクビ師の釈放などを要求。
・北部キルクーク 反占領デモ中に自動車爆弾が爆発、米兵2人とイラク人5人が負傷。
政治情勢
ナジャフの事件をきっかけにイラクの情勢は一変し、この日を境に各地で米軍と反占領を求めるイラク人との武力衝突が始まった。シーア派指導者ムクタダ・サドル師が、「敵は脅しを愛し、我々の意見を抑圧し市民を軽べつしている。もはやデモは意味がない。デモ以外の方法を探るべきだ。我々はこうした暴力に黙ってはいられない。敵を恐怖に陥れなければならない」と信徒に武装蜂起を呼びかけた。
3日
被害
・西部アンバル 米海兵隊員2人が襲撃されて死亡。
・バグダッド 警察署長ら2人が銃撃され死亡。民家にロケット弾が撃ち込まれ住民2人が死亡。
政治情勢
タイ国防省は駐留部隊に対する反米武装勢力の攻撃が主権移譲後に激化することへの懸念を表明、「他国の部隊が撤退すれば、タイ政府や軍高官は政策の見直しを迫られる」とイラク駐留のタイ軍の撤退を予定より3カ月早めて、6月30日のイラクへの主権移譲後に撤退させることを検討すると発表した。タイは現在、イラク中部カルバラに443人の兵士を派遣しており、現部隊の派遣期間は9月まで。昨年末には武装勢力の攻撃で兵士2人が死亡した。
2日
被害
・ナシリヤ付近 クウェートからサマワまで、陸上自衛隊に売り込む物資を運んでいたトレーラーが襲撃され1人が死亡、1人が負傷。
・中西部アンバル県 海兵隊員1人が戦闘中に死亡。
・バグダッド市内マンスール地区 第1機甲師団兵士1人が道路に仕掛けられた爆弾で死亡。
・キルクーク 自爆攻撃で自爆犯1人を含む計3人が死亡。
1日
政治情勢
2004年後半に連邦議会の総選挙が予定されているオーストラリアで、最大野党、労
サマワでCPAの女性政策などに抗議するシーア派信者が、シスタニ師の指示に基づき、初の本格デモを組織。
31日
被害
・ファルージャ CPAの請負業者の乗った民間車両二台を武装グループが襲撃、4人を殺害。群衆は車両に放火、遺体を引きずり出して痛めつけて橋に吊るし上げた。ファルージャでは26日に米軍と武装勢力の戦闘で子供3人を含む民間人8人が死亡、25人が負傷するなど住民の怒りは頂点に達している。犠牲者が宙づりにされた写真を米メディアが報じたため全米に衝撃が広がった。米軍は犯人追跡と称してファルージャで住民を巻きこんだ無差別大規模掃討作戦を開始。
・ラマディ近郊 米軍車両が通行中に道路脇に仕掛けられた爆弾が爆発、米兵五人が死亡。
・バクバ 自動車爆弾が爆発、十数人が負傷。
29日
被害
・ファルージャ 米軍の車列が通過中に爆弾が爆発、米兵一人が死亡。
●3月28日(375日目)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
イラク戦争開戦一周年の前日、バグダッドでは3000人のイラク民衆が公然と米軍の撤退を要求して街頭デモンストレーションを行った。3月20日の全世界一斉の国際反戦行動のいわば先頭を切って行動が組織されたのだ。この行動は、スンニ派とシーア派の共同行動として、宗派の違いを乗り越えたイラク民衆の共同行動として、明確に米軍の占領支配に反対する行動として組織された。イラクの人々は、CPAの占領行政=植民地支配、米軍事占領=「アメリカによるテロ」を痛烈に非難し、その中止を要求している。
この1年間、報道されているだけでも1万人を超えるイラク民間人が殺された。負傷者や、直接戦闘によらずとも戦争による生活基盤の破壊、衛生状態や環境悪化、経済破壊により命を失った人々、健康を損なった人々、生活を破壊された人々の数は計り知れない。
イラクの「復興」とは名ばかり、それは石油利権の確保と植民地支配、そして「復興資金」に群がる略奪行為でしかない。自分たちが破壊したイラク民衆の生活基盤の修復を米企業の利権確保の対象とする欺瞞というだけでなく、巨額の「復興資金」が占領行政の維持や、さらに軍事占領の維持するための傭兵の確保のために流用され、ハリバートン社やベクテル社などブッシュ政権と深く癒着した米企業や、民間のセキュリティ企業だけが甘い汁を吸い、実際の復興にはまったく資金が回っていないという「復興」の現実がますます明らかになっている。イラク民衆の抗議は、このような米軍の占領行政と「復興」を口実にした収奪と植民地支配に向けられている。
紹介記事1「イラク民衆が反米デモンストレーションを組織」では、イラクで開戦一周年を機に行われた反米行動が紹介されている。イラクの人々は、米軍事占領に明確に矛先を向けている。また米軍の占領支配に対してスンニ派、シーア派が共同行動をとるなど、米軍の撤退を求める声は宗派の違いを乗り越えイラク民衆共通のものとなっていることを紹介している。
紹介記事2「ただ1つの商売だけがバクダッドで好景気に沸いている。それはセキュリティだ...」は、アメリカの軍事占領の下での「復興」が誰のためのものかを改めて示している。これまで幾度も暴露されている事ではあるが、アメリカの「復興資金」が流入する先はブッシュ政権と深く癒着した米企業であり、そのトップであるハリバートン社やベクテル社(併せて3億ドル以上を受注)は、過剰請求や手抜き工事を告発されている。また、資金の多くが米軍事占領を維持するための武装強化に費やされ、イラクの生活基盤修復には資金が回っていないという「復興」の現実が指摘されている。
スペインでは、次期首相になる見通しのサパテロ社会労働党書記長がイラク撤兵を宣言した。この2週間で、ポーランドではクワシニエフスキ大統領が「イラクの大量破壊兵器に関する情報について我々はだまされた」と不快感を表明。オーストラリアでは最大野党労働党首で次期首相候補のマーク・レイサムが総選挙を前に約850人のイラク駐留豪州軍の撤退を公約に掲げた。韓国国防省も米国のキルクークでの攻撃作戦への支援要請を拒否して派遣先の再検討を発表した。いずれも国内での反戦の声を抑えこんで進めてきた各政権の動揺を表している。一方で日本の自衛隊派兵の政治的軍事的役割は強化されようとしている。航空自衛隊は米軍物資の輸送を開始した。ブッシュは一周年の演説で韓国と日本の貢献を強調し、つなぎとめを図った。この両国のうちどちらかでも撤退すれば、米のイラク占領戦略にとって大打撃となる。日本の反戦運動が果たす役割は重要である。
記録−米軍によるイラク民衆への攻撃・拡大する米軍兵士の犠牲
28日
被害
モスル 武装レジスタンスによる襲撃事件が相次ぐ。暫定内閣で唯一の女性閣僚ナスリン・バルワリ公共事業相の車列が銃撃され、警備員3人が死亡、1人が負傷。地元の発電所勤務の外国人技師の車列が銃撃され、英国人とカナダ人の警備員2人が死亡。その他、警備中の米軍車が銃撃され米兵2人が負傷。警備中のイラク人警察官2人が銃撃を受けて負傷。
27日
被害
・モスル 反米武装レジスタンスが市役所にロケット弾で攻撃し、民間人2人が死亡、13人が負傷。負傷者の中には子ども1人、警官2人が含まれている。
・バグダッド 欧米系企業の車列が走行中に道路脇の爆弾が爆発、イラク人5人が負傷。
・サマワ 旧イラク軍射撃場跡地で放置されていた対戦車ロケット弾が爆発し、7歳と13歳のイラク人少年2人が即死。現場は自衛隊宿営地から東へ約5キロ。現在も、多数の不発弾が放置されたままだが、子供がサッカー場として使っている。
26日
被害
・ナシリヤ付近 クウェートからサマワまで、陸上自衛隊に売り込む物資を運んでいたトレーラーが襲撃され1人が死亡、1人が負傷。
・ファルージャ 米軍と武装勢力の戦闘で米兵1人とイラク人カメラマン1人、子供3人を含む市民8人が死亡、25人が負傷。
・ティクリート近郊 米軍による掃討作戦でイラク保安隊の4人が死亡し、武装勢力側の3人も死亡。米軍はこの作戦で21人を拘束した。
・バグダッドで2日前に銃撃され入院中の米誌タイム・バグダッド支局のイラク人通訳オマル・ハシム・カマル氏が死亡。
25日
政治情勢
・2004年後半に連邦議会の総選挙が予定されているオーストラリアで、最大野党、労働党のマーク・レイサム党首が約850人のイラク駐留豪州軍の撤退を公約に掲げた。党首の発言は14日のスペイン総選挙での政権交代を踏まえたもの。最近の世論調査では労働党の支持率は与党保守連合(自由党、国民党)より高い。レイサム党首の主張に対し、ハワード首相は26日、民放ラジオで「イラク国民、イラク内のテロリストに誤ったシグナルを送ることになる。テロリストが連合軍の弱体化を狙ってくる」と反論。選挙の争点の一つに。
24日
被害
・バグダッド シェラトンホテルにロケット弾が撃ち込まれた。
・キルクーク西 油田に仕掛けられた爆発物が爆発、炎上。
政治情勢
・スペインの次期首相に就任する社会労働党のサパテロ書記長は24日、ブレア英首相、シラク・フランス大統領、パウエル米国務長官らと「イラク復興」問題を中心議題に相次いで会談、6月30日までに主権が移譲され国連が復興を主導しなければ、イラク駐留スペイン軍を撤退させる考えをあらためて確認した。書記長は英首相に、11日の列車同時爆破テロによって「(スペインの)対テロ戦の戦略は見直しが必要となった」と明言。次期政権が親米を基調とするアスナール現政権の外交安保政策方針を転換させる姿勢を示した。
22日
被害
・バグダッド 米軍基地近くで自動車爆弾による攻撃。イラク民間人2人が死亡、20人以上が負傷。イラク電力省に向かっていたフィンランド人のビジネスマン2人が銃撃されて死亡。イラク開戦以来、イラクでのフィンランド人の死者は初めて。
21日
被害
・バグダッド 米軍管理区域(グリーンゾーン)周辺に砲弾数発が撃ち込まれ、イラク人2人が死亡、米兵1人を含む6人が負傷。死傷者の中には付近を走行中のタクシーに乗っていた女性らが含まれている。市内西部マンスール地区でもロケット弾による攻撃があり、イラク人市民1人が死亡、少なくとも2人が負傷。
・バグダッド郊外 道路脇に仕掛けられた爆弾が爆発、米兵1人とイラク人通訳1人が死亡、兵士3人が負傷。
20日
被害
・ファルージャ 米軍基地がロケット弾攻撃を受け、米兵2人が死亡、7人が負傷。
政治情勢
・イラク開戦1周年。世界各地で抗議行動が行われる。全世界で200〜300万人が占領の中止を訴える。ローマでは集会に約100万人が、ロンドンでは約2万5000人が参加。ニューヨーク・マンハッタンでの集会では、ブッシュ米大統領を批判するプラカードが目立った。日本、韓国、オーストラリア、欧州各地、サンティアゴ、マドリード、サンフランシスコなどで、米国の対イラク政策を非難する行動を起こした。
19日
被害
・バグダッド 連合国暫定当局(CPA)本部がある米軍管理区域「グリーンゾーン」にロケット弾3発が撃ち込まれた。死傷者や建物の損傷はなし。
政治情勢
・韓国は4月に戦闘可能な兵士が半分を占める3000人以上の兵士を北部キルクークに追加派遣する方針だったが、治安悪化を受けて国防省がイラクの派遣先を再検討することを発表。米国からの攻撃作戦への支援要請を韓国政府が拒否した。
18日
被害
・バグダッド アラブ首長国連邦の衛星テレビ、アルアラビーヤ社のイラク人カメラマンと記者が米兵の銃撃を受け、カメラマンのアリ・アブドルアジズ氏が死亡し、記者が重体。
・バスラ 市内のホテルで自動車爆弾による大きな爆発が起き、目撃者によると、少なくとも犯人を含むイラク人5人が死亡、2人の負傷者。負傷者のうちの1人は子供だという。
同ホテルは、バスラの警備を担当している英国軍部隊や同市の行政当局がメディア向けのブリーフィングを行う場所として使用している。
・バクバ 地元テレビ局「ディヤラテレビ」の記者が乗った小型バスが銃撃され、3人が死亡、10人が負傷。ディヤラ・テレビは米英占領当局(CPA)の資金提供を受けている。
政治情勢
・ポーランドのクワシニエフスキ大統領が「イラクの大量破壊兵器に関する情報について我々はだまされた」と不快感を表明。ポーランドは米英からもたらされた情報を確かめる手段を持たず、大量破壊兵器の存在を確信していた、と戦争を主導した米英を批判した。しかし一方で、「現在のイラクは、フセイン前政権下よりもいい状況にある」と述べ、ポーランド軍部隊について「引き揚げる考えはない」と強調した。ポーランドはイラク戦争に特殊部隊や化学兵器対応部隊など約200人を派遣、英軍とともにイラク南部の要衝・ウムカスル港攻略に参戦。戦後も米英に次ぐ2500人規模の軍隊を派遣、イラク中南部に展開する国際協力軍の指揮権を握り、スペイン、ウクライナなど25カ国を傘下に置いて積極的に米英両国に協力している。ポーランドの世論は一貫してイラクへの軍派遣に反対。11日にスペインで起きた列車同時爆破テロ事件以後、「次の標的はポーランド」との懸念が高まっており、与党議員からもイラク撤兵論が上がっている。失業率が戦後最高の20%台を記録し、ミレル首相退陣を求める声も出るなど、政治上の混乱も影響を与えている。
17日
被害
・バグダッド マウント・レバノン・ホテル前で自動車爆弾攻撃があり、少なくとも7人が死亡、35人が負傷。犠牲者の大半はイラク人。
・バラド 米軍の補給基地に迫撃弾が撃ち込まれ、米兵2人が死亡、6人が負傷。シリア国境付近でも米軍に対する迫撃弾攻撃があり、海兵隊員1人が死亡、3人が負傷。
政治情勢
・イラク駐留米軍は首都バグダッドの反米レジスタンス掃討を目的にイラク保安隊などと合同で「鉄の約束」作戦を開始した。数千人規模の米兵に加え、イラク保安隊の兵士らも多数参加する。駐留米軍によると、17日は米軍約250人とイラク保安隊約250人に装甲車やヘリコプターを動員。バグダッドの商業地区で、武装勢力に対する武器の供給源とみられる商店などを捜索した。
16日
被害
・バグダッド 住宅街にロケット弾が撃ち込まれ、イラク人の子供3人と大人1人の計4人が死亡、5人が負傷。バグダッド南部で発射された1発のロケット弾は民家に着弾し、2人が死亡、同西部では道路に着弾し、男性1人が死亡した。
・ムサイブ ドイツ人技師1人とオランダ人技師1人、イラク人2人が銃撃され、死亡。イラク戦争開戦後、イラクでドイツ人とオランダ人が殺害されたのは初めて。この8日間にイラクで殺害された外国人民間人は8人に達した。
15日
被害
・モスル 非政府組織(NGO)の米国人4人が銃撃され死亡。
紹介記事1
イラク民衆が反米デモンストレーションを組織
イラクのスンニ派、シーア派の人々が、戦争一周年の前夜、アメリカの占領中止を要求する共同の反米抗議行動を展開
Iraqis stage anti-US demonstration
Iraqi Sunnis, Shiites stage joint anti-US
protest calling for end to American
occupation
on eve of war anniversary.
ミドル・イースト・オンライン 2004年3月19日
http://www.middle-east-online.com/english/?id=9332
バグダッド --- 3000人におよぶイラクのスンニ派とシーア派イスラム教徒らが、米主導の戦争一周年の前夜にあたる金曜日、当地にてイラクの「アメリカによる占領」中止を要求する大規模な共同の抗議行動を展開した。
(middle-east-online.comより) |
彼らは毎週行われる正午の礼拝の後、平和的なデモ行進で街頭に繰り出した。人々は、前指導者サダム・フセインの追放された政権と同じく、米軍のイラクでのプレゼンスにも反対である、と訴えた。
「サダムにノー。アメリカ人にノー。イスラムにイエス。」と礼拝者らはカジミヤ・モスク(イマーム・ムーサ・アル-カゼム廟で、バグダッドにある最も神聖なシーア派の寺院)を出発する前にシュプレヒコールを上げた。
礼拝の間、イマーム(イスラム教指導者の称号)、サイード・ハジム・アル-アラジは、イラクの置かれている状況を嘆き、戦後の状況についてはイラクに展開している米軍の責任であると非難した。
「解放について話すイラク人もいるが、大多数はこれが侵略であると考えており、私達はこの占領に反対する」とアラジ師は説教の中で語った。
「占領によってイラク人が得たものは何か」と彼は問い、直面している苦難として米軍によるイスラム聖職者と「10,000人のイラク民衆」の拘束、全国で生命を奪っている検問所のバリケードといったものを挙げていった。
「私たちは皆、ハウザー(シーア派の宗教の権威)と共にある時限爆弾である」とイマームは礼拝者らに言い、「私たちのスンニ派の兄弟達と共に」列に加わって、イラクでのアメリカのプレゼンスに平和的に抗議するよう促した。
アメリカ人らは「イラクを汚している」と彼は言った。
シーア派の礼拝者らはモスクを出て、チグリス川を越えてアザミヤ地区へと向かい、そこでモスクの外に集まっていたスンニ派の抗議者達と合流した。
彼らはそこで、アラビア語や英語で「アメリカによるテロ」を非難するプラカードを掲げ、交流していた。
あるプラカードは「人権は消えてしまった」と主張していた。別のものはイラクでの「破壊をやめよ」と要求しており、また別のプラカードは、イラクの首都において米軍が怪しいと思った者たちに「無差別」銃撃を加えことを非難していた。
「戦争以前は、イラクは国際テロとは一切かかわりを持っていなかった」とスンニ派聖職者のジャワド・アルカリシは言った。
「占領のせいで私たちの国に国際テロが持ち込まれるようになったんだ」彼は、昨年5月1日に主要な戦闘の終結が宣言されて以来、イラクではほぼ連日の爆破と攻撃が戦争に打ちのめされた国家を揺さぶっていると非難しながら付け加えた。
カリシはさらに、何千人ものイラク人を拘留していることについて米軍を非難した。「アメリカ人は、記者らによる何千人ものイラク囚人との接触を認可せず、彼ら(拘留者ら)が弁護士と連絡をとることも認めようとしない。」
シーア派の人々(彼らはカジミヤで3月2日に起きた凶悪な攻撃の標的とされていた)は、国の治安の欠如について米軍を非難した。
デモ参加者たちはさらに、米国が任命した統治評議会によって3月8日に署名された暫定憲法を非難し、イラクでの迅速な選挙を要求した。
紹介記事2
たった1つの商売だけがバクダッドで好景気に沸いている。それはセキュリティだ...
Only one line of work is booming, in
Baghdad
and that is security...
アンドリュー・ガンベル インディペンデント 2004年3月19日
http://news.independent.co.uk/world/middle_east/story.jsp?story=502752
http://www.occupationwatch.org/article.php?id=3744
まさに、イラクに流れ込んでくる数十億ドルを享受するエンジニア、建築業者や公共政策立案者らにとっては、大もうけの時期であると思われていた。しかし外国の受注者とそのイラク人雇用者らが自動車爆弾や銃での攻撃の標的とされるに伴い、真に繁盛している商売はたった一つだけである。それはセキュリティだ。
銃を携えた人々---ネパールやフィジーといった遠くから新兵採用された元兵士、傭兵や山師ら---はあまりに急いで雇われていくため、誰も彼らに関する現状の把握ができないほどである。彼らを利用している復興契約受注者の割合は、1年前の約10パーセントから25〜30パーセントまでに上昇している。
彼らはイラクの製油産業復旧、送電線復旧や米占領軍への供給をしようと悪戦苦闘している企業の求人広告で最もひっぱりだこになっている。そこで疑問が沸き起こる。彼らは何者なのか、誰が彼らの認可をしているのか、そしてイラクは彼らが存在する下で意味のある復興を享受できるのか。
バテシバ・クロッカー(戦略国際研究センター(the
Centre for Strategic and International
Studies)で紛争後の復興プロジェクトを率いている)は言う。「あまりにも多くの外国人が重武装でイラク中をうろついている。誰も彼らを統括せず、また彼らが武装すべきかどうかの判断を下すことはしない。」
数十億ドルの復興契約を受託された主要な米国の企業複数が、価格の不正や、仕事をきちんと完遂できていないという批判で、スキャンダルのぬかるみにはまっている。
しかし新たな疑問は、アメリカ政府はその復興費用にどれくらいの額を確保するのか、ということである。クロッカー氏は、イラクに送られた外国の労働者らの保険料がコストの約10パーセント程度あると見積もられる、と述べた。セキュリティ・コストや内包されている利ざや---いくつかのケースで、企業が支出している金額の手数料として見積もられている---を加えると、事業本体にはほんのわずかしか残らない。
米英暫定当局(イラクでアメリカが運営している統治機関)がさらに、財源をセキュリティの補強に振り向けている。昨日、暫定当局は「グリーン・ゾーン」(バクダッド中央にある地区で、米政府要員のほとんどはここに滞在している)を警護するため、来年、民間の治安部隊向けに追加で100万ドル(5450万ポンド)を支出する予定である、と発表した。
暫定当局さらに、イラクにおける現在実施されていない民間のセキュリティ・サービスによる所持銃器類の免許制を強化するために、武装した人々の追跡により多くの財源をあてると誓約した。
米国がサダム・フセインを追い払うため1年前に戦争を始めて以来、セキュリティは絶えずつきまとう懸案事項となっている。だが、状況はこの2,3週間で特に険悪になってきている。外国人の職員とイラク民間人が武力攻撃の矢面に立たされるようになってきたのである。今週、南部バプテスト協会の宣教師4人が車を待ち伏せされ、北部モスルで殺害された。浄水プロジェクトに従事していたドイツ人とオランダ人が、運転手と警備員ともども、バクダッド南方のヒルファで殺された。これは、首都にあるマウント・レバノン・ホテルに爆弾攻撃があった水曜日の前のことである。
クロッカー氏は言う。これまで攻撃は、直接米兵を狙うか、他の特定の目標に対して行われてきた。今では、誰であろうと、自分達の身が安全であるとは思えない状況となってしまった。」
反占領軍による戦略の変化は、復興がいくつかの面でわずかながらに進んだ時期に行われている。モスル地区からの主要な石油パイプラインは、サボタージュ攻撃により数か月間遅延した後、稼動し始めている。電力供給もまたさらに改善した。
さらに復興資金として186億ドルが支出されようとしている。潤沢な資金面での刺激によって、企業が飛び込んでくるようになるだろうとの考えからである。
アメリカでは公政策の監視人らは、「金を掴み取っておさらばする」心理が増大している兆候を見てとっており、大口の契約受注者と政府内のそのパトロンらを、一般の納税者を利用しているとの非難を行っている。
ハリバートン(以前は副大統領ディック・チェイニーが経営に関与していた石油サービス会社)は、これらの非難の矢面に立たされている。政府の会計検査官がハリバートンのクウェートからイラクへのガソリン輸送において約6100万ドル(訳注:原文は"$61bn"(610億ドル)となっているが誤り)の過大請求の証拠を発見し、その後この会社はペンタゴンの犯罪調査を受けている。
米軍向け食事供給にて過大請求があると告発された後、ハリバートンは3600万ドルを返還しており、さらに食品に対する1億4100万ドルの請求を保留している。連邦議会に証拠を提示した2人の内部告発者らは、ハリバートンはその利益を経費の手数料として評価する事で、競争入札を回避しコストダウンの努力の必要が無い会計操作手段を開発している、と証言している。
一つの例として、先月、上院委員会のメンバーらは米軍向けのオレンジ色の運動用タオルに金色で文字を刺繍するとの決定を承認した事が挙げられる。これはコストが3倍になるのである。
イラクでの契約を受注した企業
誰が潤うのか?
アメリカの企業はイラクでの契約発注プロセスを支配しており、70社数十億ドルの仕事にありついている。イギリスの企業はわずかなシェアに留まる―約4300万ポンド。石油専門のフォスター・ホイーラーと電力会社パーソンズ=ブリンカーホッフは米企業のイギリス子会社である。
ケロッグ・ブラウン&ルート
最大の受益者はケロッグ・ブラウン&ルートで、副大統領ディック・チェイニーが昔務めていた会社ハリバートンの子会社である。この会社はすでにイラクでのビジネスで20億ドル以上を得ている。同社は2001年、Logcap(兵站民間補強計画)全世界におけるあらゆる米軍の現地作業を支援するためにペンタゴンによって雇われた。
ベクテル
2番目に大きな受益者は、エンジニアリングの巨人、ベクテルである。同社は10億ドル以上の契約を受注している。リストに載っている多くの企業同様、ベクテルは有力なコネを持っている。"公共の正義のためのセンター"(The
Center for Public Integrity)は、イラクとアフガニスタンにおいて活動中の米企業70社について、ブッシュ大統領に50万ドル以上を寄付していると推定している。
●2月14日〜3月14日
●2004年1月12日〜2月8日
●11月24日〜12月24日
●10月1日〜11月19日
●9月1日〜9月21日
●7月28日〜8月20日
●5月14日〜7月21日
●4月15日〜5月10日
●3月20日〜4月14日
|