イスラエル建国の基礎を揺るがす!? 国家の存立基盤

ユダヤ民族3000年の悲劇の歴史を真に解決させるために ― 論証と資料

映画「シンドラーのリスト」が訴えた“ホロコースト神話”への大疑惑

初出『噂の真相』(1994.9) レポーター・木村愛二(フリージャーナリスト)

その3:イスラエル建国の基礎を揺るがす!?

 ところが日本国内では、ネオナチの宣伝に対する規制としてしか、この問題は報道されていない。常日頃と同じく大手メディアは、何も事実を調べ直していないのだ。

 私の手元には、十分に1冊の単行本の材料になるほどの量の資料がある。拙著『湾岸報道に偽りあり』(汐文社)でイスラエル建国の矛盾に若干ふれたのが縁で、読者からユダヤ人問題、またはその裏側のパレスチナ問題の資料を提供される機会が増えた。「ホロコースト」関係のほとんどは日本人医師、西岡昌紀から提供されたものである。

 ドイツだけでなく欧米諸国では、かなり前から「ホロコースト」の真偽をめぐる詳しい研究が発表されている。裁判記録も沢山ある。

 日本語でまとまった記事は、たった一つ。『ニューズウィーク』日本語版(89.6.15)「ホロコーストに新解釈/『ユダヤ人は自然死だった』で揺れる歴史学界」だけである。つまり、日本の研究者やジャーナリスト自身の文章は、まだ発表されていないらしい。

 映像作品としては、NHKが昨年夏の「海外ドキュメンタリー」(93.6.4)で、デンマーク・ラディオ制作の『ユダヤ人虐殺を否定する人々』を放映した。私の手元には収録ヴィデオがあるので細部を確認できる。

 ドイツの法案に関する報道で「アウシュヴィッツの嘘」という表現があったが、これは本来、アウシュヴィッツで勤務した経験がある元ドイツ軍の中尉、ティエス・クリストファーセンが書いた本の題名である。私の手元には、その本の英語版がある。クリストファーセンは「ガス室」の存在を否定している

 外国語の資料の読破には時間が掛かる。その上に、ユダヤ人問題は政治的に微妙な問題をはらむから、取り扱いが難しい。だがこれは、現在の国際紛争の焦点の一つ、つまり、パレスチナ問題の行方とも深くかかわる大問題である。だから、いずれは宿題をはたさなければと思っていたところへ、今度のドイツの刑法改正の動きがつたわってきたわけだ。戦後50年の積りに積もった矛盾が、ついに発火点に達したというのが私の実感だ。

 イスラエルという国家は、現地のアラブ諸国こぞっての反対を押し切って採択された国連決議によって建国されている。国家としての存立基盤が不確かなのだ。1947年にパレスチナ分割を決議した際の票決は、賛成33、反対13(全アラブ諸国を含む)、棄権10(それまでの委任統治国イギリスを含む)という際どい結果だった。

 しかもその分割決議の内容は、当時の人口比率で約3分の1、国土の7%しか所有していなかったイスラエル側に約56.4%の土地を配分するなど、問題点だらけだった。もともとパレスチナ地方に住んでいたユダヤ教徒の人口比率は、19世紀半ばまで5~7%だったと推定されている。以後、イギリスの植民地支配下にあったパレスチナ地方に向けて、有名な国際的ユダヤ系財閥、ロスチャイルド一家の援助によるヨーロッパからのユダヤ教徒の入植が続き、人口比率を押し上げたのだが、この経過にも数々の問題がある。

 1947七年の国連による歴史的分割決議を推進した当時のアメリカの大統領、トルーマンらの最大の思想的武器は「ホロコースト」だった。ナチス・ドイツが犯した歴史上最大の「民族皆殺し計画」、「ホロコースト」の罪を償うために、欧米諸国はイスラエルの建国を支持した。だが同時に欧米諸国は、「ホロコースト」とは何のかかわりもない現地のアラブ人の居住権を無視するという、新しい罪を犯してしまったのだ。

 「ホロコーストはなかった」と主張する歴史家、たとえばフランスのフォーリソンは、決してナチズムの共鳴者などではない。本人も「私に対しての、ナチズムだとする攻撃、ほのめかしのすべてを中傷と見なす」と宣言しており、つぎのような「結論」を下す。

 「この欺瞞の基本的な犠牲者はドイツ人(ただしドイツの支配者ではない)、および、すべてのパレスチナ人だ」

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