シオニストとナチの共生関係 「敵の敵」は味方

ユダヤ民族3000年の悲劇の歴史を真に解決させるために ― 論証と資料

映画「シンドラーのリスト」が訴えた“ホロコースト神話”への大疑惑

初出『噂の真相』(1994.9) レポーター・木村愛二(フリージャーナリスト)

その7:シオニストとナチの共生関係

 最後に提出する問題こそが、「発言の禁止」という異例の立法案への最大の疑問となる。

 ヒトラーの腹心、ヒムラーが使った「アウスロッテン」という単語が、一番はっきりと「抹殺計画」を示すものとされているらしい。この単語は英語で「皆殺し」を意味する「エクスターミネーション」と訳されている。ところが、同じゲルマン系言語同士の語源からいうと「アウスロッテン」は「アップルート」と訳すべきであり、こちらには、「(人を)《住みなれた土地・環境などから》追い立てる」という意味があるのだ。

 ヒトラーは確かに「ユダヤ人問題の最終的解決策」という表現をしている。しかしそれは、文書という物的証拠によるかぎり「民族的抹殺計画」ではなくて、「東方移送計画」だったのである。

 しかも、この「東方移送計画」に関しては、イスラエル建国を意図するシオニスト指導部とナチ党幹部との間に、奇妙な共生関係があった。日本語の資料としては、『ユダヤ人とは何か/ユダヤ人Ⅰ』(三友社)がある。

 ナチ党が政権を獲得した直後の1933年、世界シオニスト機構の議長代理だったヨアヒム・プリンツはこう書いていた。

「強力な勢力(ナチズム)がわれわれの支援に訪れてくれ、われわれを改善してくれた。同化論は敗れた」

 当時のユダヤ人社会の中には、西欧文化に「同化」しようとする人々と、「異化」してイスラエル建国を目指すシオニストとの対立があった。狂信的なシオニストにとっては、ユダヤ人の排斥を政策とするナチズムは「敵の敵」の論理で味方だった

 ナチ党の側でも、理論的指導者のアルフレッド・ローゼンバーグが1937年に「シオニズムを積極的に支援すべきである」とし、「相当数のドイツのユダヤ人を毎年パレスチナに向けて送り出すべきだ」(以上、同書)と論じていた。

 シオニストとナチ党とは、ウルトラ民族主義と、暴力的手段の行使の2つの主要な柱で一致し、奇妙な共生関係を保っていたのだ。

 もしも、「ホロコーストはなかった」という趣旨の「発言そのものの禁止」という立法案の真の目的が、このようなシオニズムの歴史的事実の隠蔽にあるとしたら、それはそれでまた、もうひとつの怖い話である。

以上で「ホロコースト神話」疑惑は終わり