サイモン・ウィゼンタール 「ホロコースト」の商業化 

ユダヤ民族3000年の悲劇の歴史を真に解決させるために ― 論証と資料

サイモン・ウィゼンタール ~いかさま「ナチ・ハンター」~ 4

マーク・ウィーバー著(1994年版リーフレットより)

「ホロコースト」の商業化

極致までやり尽くした資金稼ぎの阿片的使用

 イスラエルのヤド・ヴァシェム・ホロコースト・センターの館長の言によれば、サイモン・ウィゼンタールとその名をいただくロサンゼルスのセンターは、ホロコーストを「商業化」し、「俗悪化」している。この非難は1988年12月、イスラエルの日刊紙、『ハアレツ』で報道された。ブルックリンの週刊『ユダヤ・プレス』はこの非難を次のように論評した。

「ヤド・ヴァシェムが、ウィゼンタール・センターがホロコーストを商業化していると考えて立腹していることは、ずっと前から世間周知の事実だったが、今度の攻撃は、これまでにないもっとも公然たるものである」

 ヤド・ヴァシェム館長の言によれば、ロサンゼルスのセンターはウィゼンタールの名前の使用料として、彼に年間 7万5000ドル(約 750万円)を支払っている。「ユダヤ人は様々な下品なことをする」と、その[ヤド・ヴァシェム館長]報告はさらに付け加える。

「しかし、ウィゼンタール・センターは、その極致までやり尽くした。人の心を傷つけるような微妙な問題を、資金稼ぎのために阿片のように用いた。……」と。

クライスキー[首相]は要約する

 ウィゼンタールはもちろん、常に間違っているわけではない。1975年に彼はイギリスの定期刊行物『本と読書人』に寄せた手紙の中で、「ドイツの土地の上には絶滅収容所はなかった」と認めている。つまりかれはこのような方法で、ブッヒェンヴァルト、ダッハウその他のドイツ固有の領土にあった収容所を「絶滅収容所」とした戦後のニュルンベルグ裁判など[一連の戦争犯罪裁判]の主張が嘘だったと暗に認めている

 ブルーノ・クライスキーはかつて、彼の「ナチ・ハンター」に対する決然たる態度を、次のように要約した。

「ウィゼンタールは、技術者だとか、その他様々な肩書きを名乗っているが、彼の活動を私が軽蔑していることを知っているので、私を憎んでいる。ウィゼンタールのグループはマフィア並みであり、恥ずべき手段でオーストリア[政府]に対抗している。ウィゼンタールは、真実をないがしろにし、手段を選ばず、策略を用いる人物として知られている。『アイヒマン・ハンター』が彼の自称だが、これは誰でもが知っているように秘密情報機関の仕事であって、ウィゼンタールは勝手に自分の手柄にしているだけだ」

 この普通ではない男を駆り立てているものは何だろうか。それを断言するのは難しい。名誉や賞賛への渇望であろうか。それとも、過去の恥ずべきエピソードを、それで埋め合せようとしているのだろうか。

 ウィゼンタールは明らかに賞賛を受けるのを楽しんでいる。「彼はエゴむきだしであり、(彼への)表彰状や名誉学位を誇っている」と『ロサンゼルス・タイムズ』は報じた。クライスキーはさらに簡潔な説明をする。彼の言によると、ウィゼンタールは「憎しみに駆り立てられている」。

 豊富な記録で証明される彼の欺瞞、虚言、無資格ぶりに照らして見る時、この軽蔑すべき男の前に積み重ねられる誇大な賞賛の数々は、我々が住む時代の、金銭ずくの腐敗堕落と無原則な自己欺瞞の悲しむべき反映である。


参考資料

『サイモン・ウィゼンタールの手品』
Weber, Mark: The Sleight-of-Hand of Simon Wiesenthal. The Journal of Historical Review, 1984.

『戦争中のサイモン・ウィゼンタールについての新しい記録が新しい疑問を呼ぶ』
The Journal of Historical Review: New Documents Raise New Doubts as to Simon Wizenthal's War Years. The Jour- nal of Historical Review, Winter 1988-89.

『サイモン・ウィゼンタール/いかさま″ナチ・ハンター″』
Weber, Mark: Simon Wiesenthal / Bogus "Nazi Hanter".The Journal of Historical Review, Winter 1989-90.