編集長の辛口時評 2006年10月 から分離

フルフォードの米議会記録指摘で拙著『湾岸報道に偽りあり』急浮上

2006.10.15(2019.9.3分離)

http://www.asyura2.com/0610/war85/msg/698.html
フルフォードの米議会記録指摘で拙著『湾岸報道に偽りあり』急浮上

 ベンジャミン・フルフォード著『911テロ捏造』(徳間書店)の項目、「湾岸戦争の自作自演」の中に、その「自作自演」の証拠として、以下の文章が出てきた。


 その証拠もある。1980年の上院外交委員会聴聞会議事録「南西アジアにおける合衆国の安全保障上の関心と政策」だ。


「関心」の原語はInterestsで、「利害関係、権益」の意味の方が事実関係に即している。記述の内容から見ても、「南西アジアにおける合衆国の安全保障上の関心と政策」という表現は、拙著『湾岸報道に偽りあり』の拙訳を使っていると判断できる。拙著を読んだのであろう。

 1992年に発表した拙著『湾岸報道に偽りあり』で指摘したことだが、現在の911事件からイラク戦争に至るアメリカ支配層の中東戦略思想は、すでに湾岸危機の十数年も前から声高らかに表明されていた。克明な公式文書の数々も一般公開されていたのだった。それらがなぜ今回の湾岸危機に際して、大手メディアで報道されなかったのか。「平和のペン」の武器として活用されなかったのか。これもまた重要かつ決定的な反省点なのである。

 ベンジャミン・フルフォードの指摘によって、1980年以来のアメリカの世界戦略の基本を成す議会記録が注目されるとしたら、四半世紀の世界史の見直しが必至となる。

 きたる12月17日には、ワールドフォーラムの例会ではパネリストとして、ベンジャミン・フルフォードと同席する予定だから、「南西アジアにおける合衆国の安全保障上の関心と政策」の英文の原書の復刻版(フリージャーナル、頒価3,000円)と、目下、その訳文を連載中の季刊『真相の深層』の各号を進呈する。

 911事件に関する集会、会合もあり、追い込み編集中の新著、『9/11・イラク戦争コード、情報操作と謀略の全貌解明』も、近日発行なので、『南西アジアにおける合衆国の安全保障上の関心と政策』の方も、早く全文の訳書の出版をしたい。以下は、木村書店の事前予約申し込み受付中の広告である。


http://www.jca.apc.org/~altmedka/hanbai-news.html
『南西アジアにおける合衆国の安全保障上の関心と政策』

審議から25年、4半世紀を経て、ついに日本語の全文訳が完成!
湾岸戦争からイラク戦争に至る緊急展開軍予算請求の米上院委員会議事録
U.S. SECURITY INTERESTS AND POLICIES IN SOUTHWEST ASIA
FEBUARY 6, 7, 20, 27; MACH 4, 18, 1980
季刊『真相の深層』連載開始と同時に全訳の約600頁2巻の予約受付
定価は2巻で4,000円、事前予約は3,000円。
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事前申し込みは発売と同時に郵送。郵送無料。
申し込み先:http://www.jca.apc.org/~altmedka/hanbai.html
郵便払込 口座番号:00150-4-568373 口座名:木村書店
銀行振込 三井住友銀行三鷹支店 普通預金0794427 キムラ アイジ
tel/fax: 0422-54-7476


 以下は、季刊『真相の深層』に連載中の記事の目次である。


季刊『真相の深層』8号
佐藤 雅彦・訳
連載(1)
『南西アジアにおける合衆国の安全保障上の関心と政策』
米上院外交委員会記録のうち『付録』その1
問題点概要 No.IB80027―緊急展開軍 117

季刊『真相の深層』9号
連載(2)
米国上院議会・公聴会議事録(1980年3月4日)のうち『付録』(2)
問題点概要No.IB79046―石油供給確保のための米国軍事力の使用

季刊『真相の深層』10号
連載(3)
米国上院議会・公聴会議事録(1980年3月4日)のうち『付録』(2)
問題点概要No.IB79046―石油供給確保のための米国軍事力の使用(続き)

季刊『真相の深層』11号
連載(4)
合衆国の安全保障のために近東および南アジアにおいて求められる諸要件に関して
合衆国上院議会外交委員会およびその下の近東・南アジア問題小委員会で行われた一連の公聴会


 以下は、拙著『湾岸報道に偽りあり』の関連箇所の抜粋である。


http://www.jca.apc.org/~altmedka/
憎まれ愚痴
http://www.jca.apc.org/~altmedka/hanbai.html
木村書店
http://www.jca.apc.org/~altmedka/gulfw.html
『湾岸報道に偽りあり』
隠された十数年来の米軍事計画に迫る
 [中略]
http://www.jca.apc.org/~altmedka/gulfw-51.html
第九章:報道されざる十年間の戦争準備
「イラク処分」への一本道は十数年前から敷かれていた
 [中略]
 政治的・軍事的青写真は、はたして完全に極秘だったのだろうか。その一端なりとも地上の正規ルートで入手できれば「謀略」の世間的判定は容易になる。特に重要なのは、アメリカの軍事計画であろう。
 [中略]
 アメリカ支配層の中東戦略思想は、すでに湾岸危機の十数年も前から声高らかに表明されていた。克明な公式文書の数々も一般公開されていたのだった。それらがなぜ今回の湾岸危機に際して、大手メディアで報道されなかったのか。「平和のペン」の武器として活用されなかったのか。これもまた重要かつ決定的な反省点なのである。
 [中略]
 一九七四年、フォード大統領は世界エネルギー会議の席上、石油価格上昇に関して、「各国民は歴史上、水や食糧、陸上・海上の交通路を求めて戦争に訴えてきた」と警告を発し、それを受けてアラブ諸国の新聞は「アメリカ、アラブに宣戦布告」などと論評した。二ヵ月後、アメリカはペルシャ湾で空母をふくむ八隻の艦隊による演習を、二週間にわたって繰り広げた。さらに、「一九七五年一月、フォード大統領にキッシンジャー国務長官は『OAPEC(アラブ石油輸出国機構)諸国が石油禁輸を行ない、自由世界、先進工業国の息の根が止められる場合には米国は中東で武力行使することを否定しない』と記者会見で明言した。その準備行動として、米国の中東砂漠に似た砂漠地帯で海兵隊の演習を行なう、と世界に向けて報道した」のである。このような対中東戦略は、一九七九年のホメイニ革命に対抗するカーター・ドクトリンに明文化され、「緊急展開軍」創設から「英雄」シュワルツコフの「中央軍」へと発展強化されていった。
 [中略]

http://www.jca.apc.org/~altmedka/gulfw-52.html
なぜアメリカ議会国防報告が論評されなかったか
 次の問題は、さらに決定的な「計画性」の証拠となる公式文書や、アメリカ議会の国防関係記録があったのか、なかったのかである。

 答えは「あった」であり、しかも、二重丸つきの「あった」なのだ。  最近のものだけではなく、十年ひと昔前の一九八〇年初頭の計画まであった。現在の「中央軍」につながる「緊急展開軍」編制と増強のために「軍拡」予算が請求された当時の何百ページもの公聴会議事録までが、いとも簡単に入手できたのである。内容もすごい。これら証言と報告が、湾岸危機の初期の段階に詳しく報道されていたならば、誰一人としてアメリカの戦争への意図と、それを可能にする謀略の存在を疑うものはなかったと断言できるほどのリアリティーがある。湾岸戦争は、十年以上前からの予定通りに実施されたといっても過言ではない。実物のコピーを見たとき、私自身、自分の目を疑うほどの驚きを禁じ得なかった。
 [中略]

http://www.jca.apc.org/~altmedka/gulfw-54.html
米帝国軍「中東安全保障計画」に石油確保の本音切々
 [中略]
 全体を貫く基調は、なんといっても「石油資源地帯確保のための軍事力行使」である。

http://www.jca.apc.org/~altmedka/gulfw-55.html
ヴェトナム戦争の教訓を生かす電撃作戦
「緊急展開軍」はすでに、イラクがクウェイトを侵攻する事態を予測した編制になっていた。聴聞会は、その事態に対抗する「必要条件」(REQUIREMENTS)の予算化を前提として開かれたのである。
 [中略]
 一九七九年十二月以降、ブラウン国防長官は緊急展開軍の増強計画予算の請求を開始した。翌年の予算決定にいたるまで、上下両院の軍事・外交・予算の各委員会における国防総省関係の証言と提出報告の記録は、優に千ページを超える。
 本書では大筋にとどめざるを得ないが、第一次計画は一九八五年、第二次計画は一九九〇年に達成する方針だった。第一次計画達成段階で、緊急展開軍の基本戦力を一八八〇年現在の所要時間「数週間」の三分の一でペルシャ湾に展開できる。第二次計画達成で、地上戦闘部隊の基本部分が動員発令後十日以内に展開できる。
 繰り返すが、この第二次計画達成の期限はまさに、イラクがクウェイトに侵攻した湾岸危機発生の年、一九九〇年なのであった。
 [中略]
 ここ十数年、光の届かぬ海の深みを右旋回しながら流れ、よどみ、地鳴りを響かせてきたのは、「リメンバー・ヴェトナム」「リメンバー・オイルショック」「リメンバー・テヘラン(アメリカ大使館人質事件)」などなどの、ご主人たちのダミ声コーラス、アメリカ流「復讐のヴェンデッタ」だったのではないだろうか。
 [後略]