欧州議会がY2K危機回避で原発停止をも決議
1999.11.21.mail再録。
このmailの原文は、すでに、
の題、英文付きで、いくつかのMLで配信されたものですが、よく読むと欧州議会は、軍事だけではなくて民間の原発の停止をも決議しています。「核弾頭」については、在日米軍が臨戦体制で配置しているのは間違いないでしょうが、自前の武器としては持たない日本の場合には、国内問題として、原発停止の方が身近で、かつ緊急に解決可能なので、その方を強調するために、あえて題名を変え、若干省略し、改行を増やして読みやすくし、日本語訳のみを転送するものです。すでに前記の題名で受けとられ、読まれた方は、以下を読まなくても結構です。なお、アメリカでは、ハッカーが、Y2Kに便乗して愉快犯行を試みる危険をも考慮して、政府(
)が金融関係に、Y2K業務停止[同前:警戒]を求めています。原発にハッカーが挑んだ場合は、それ以上の危険があるわけですし、侵入された発電所が臨界事故で爆破されたら、証拠さえ残りません。桑原!桑原!御免なさい、桑原さん。************************************
転載歓迎-----Y2K WASHより
欧州議会でY2Kと核施設への要請が決議されました。
シドニーからのお知らせと、動議内容です。
ベルリン・ロンドン国市民フォーラム開催、政府のベルリンG8代理サミットへの参加という、日本、ヨーロッパ、アメリカのNGO代表らの活躍が大きく実った結果です。
この決議を、Y2K WASH実現のために、おおいに活用してください。
地球の友シドニーより
欧州議会2000年に核兵器の即発警戒体勢を解除することを勧告
欧州議会は、きょう、過半数をかなり上回る賛成多数により「民生・軍事部門での2000年バグについて」と題する決議を通過させた。その中で、議会は、核兵器の即発警戒体勢を解除すること、核反応炉を2000年の年明けの時点で停止することを要請している。欧州議会は、これまで、オーストラリア、アメリカ合州国、日本、ヨーロッパから集まった、2000年に世界的な核の大惨事や大規模な原発事故が発生するのを防ぎたいと望む反核活動家たちからなる前代未聞の顔ぶれから、要請行動を受けてきた。
オーストラリアの地球の友シドニーの反核キャンペーン活動家ジョン・ハラムは言う。
「欧州議会は、立派な常識を示した。戦略的核兵器の警戒体勢解除は、1996年のキャンベラ委員会、東京フォーラム、昨年の国連総会での2度の決議、そして、今年も国連で行われた2度の決議によって、要請されてきたことだ。オーストラリア上院は、核兵器関連システムのコンピューター誤作動から発生する、米国上院が「予想外の致命的な結果」と呼ぶ事態を回避するための、2つの対策を可決成立させた。そして、米国連邦議会では、71名の議員が、核兵器の警戒体勢解除を求めた動議に署名した」
「米国、欧州、日本のさまざまな団体が、複雑なコンピュータ・ソフトによって安全装置が制御される原子炉を、西暦2000年の日付変更の時点を越えて作動させることの危険性を指摘してきた。ロシアとウクライナ共和国の原子炉については特別の懸念が表明されたが、懸念を表明しているのは、欧州(東西を含め)、日本、米国、ロシアとも同様である」
我々は、2000年の日付変更が、なんの事故もなしに過ぎてくれることを願っている。
しかし、我々が要請してきた対策は常識的なものであり、Y2K問題があるかどうかにかかわらず、それ自体がよいこととして主張されてきたのである。もしY2Kの移り目に何も起こらなければ、それに越したことはない。だが、なぜ、5,600発の核弾頭の即発警戒体勢を解除するという常識的な予防措置を取らないのか。また、原発に十分なバックアップ電源を備えるということをしないのか。それらは、いずれにせよなされるべきであるのに」
「これらの対策は、およそラディカルとは言えないものである。これらは、慎重で、責任感のある、現実的な対処を必要とする問題に対しての、常識的な対応である。我々は、この決議を推奨する」
連絡先 John Hallam, Nuclear Campaigner, Friends of the Earth Sydney,61-2-9517-3903, H61-2-9810-2598
欧州議会1999年11月17日
議事規則第50条にもとづく以下のメンバーによる決議のための共同動議
[中略]民生・軍事部門での2000年バグについて欧州議会は、
-大規模な事故およびその結果の諸領域に関する欧州連合の責任にかんがみ、放射能および科学物質による汚染に関し、またユーラトム条約にもとづく核の安全性における欧州議会の役割にかんがみて、
-委員会による3カ月毎の更新が要請されている2000年問題についての議会の報告、委員会からのさまざまな報告、そして、欧州理事会の結論と決議、およびG8とIAEAの作業にかんがみ、
-1999年11月8日に委員会から、欧州議会の産業委員会、対外貿易委員会、調査委員会およびエネルギー委員会にもたらされた報告の更新にかんがみて、
A. コンピューターが2000年の日付変更を認識しないことが、核兵器の指令、制御、通信、情報システムのみならず、原子炉その他、環境に重大な影響のある施設の制御システム、および、かかる施設への電力網を通じての外部電源に影響するであろうことに対し、全世界で高まる懸念に留意し、
B. 原子力発電所の、モニター・システムは通常デジタル化されているが、安全装置システムは一般的にはデジタル化されておらず、委員会は多大の進歩のあったことを認識しているにせよ、そのようなコンピューター化されたシステムの全てを2000年対応させるほど信頼性のあるものではないとの認識がますます強まっているため、インフラストラクチャーにある程度の危険があり、中小企業(SMEs)の間では準備が欠けているので、
C. この結果、優れたアナリストの意見によれば、小規模ながら受け入れがたい重大な原発その他の事故の危険性があること、特に中東欧およびNIS、とりわけ原発でプルトニウム燃料を使用する国に、そのような危険性があり、また偶発的核戦争の同様な危険性があることに留意し、
D. 世界中に、数百基の稼働中の原発、研究用核反応炉、および何千もの環境に重大な害を及ぼす可能性のあるプラントがあるので、また、欧州連合加盟国のすべてにそのような施設があるので、また、過去においては、データのエラーが原子力発電所で災害と災害寸前の事態を引き起こしたので、
E. データのエラーと偽の信号が、核兵器にも影響し、おそらく壊滅的な結果を引き起こし得、特に、米国、ロシア連邦などで核兵器が「即発の」警戒体勢にある場合にはそうであるので、また、欧州連合> 加盟国中2カ国は、2000年のコンピューター問題の影響を受ける可能性のある核兵器を保有しているので、
F. 英国政府の、核兵器発射の通告期間を数分間ないし数日間に緩和するとの通告を歓迎し、
G. 1996年に、核兵器廃絶キャンベラ委員会が、全ての核兵器の即発警戒体勢を解除すること、できれば核弾頭を発射用ロケットから外すことを勧告したことにかんがみ、
H. 連総会での多数の決議、とりわけ「核兵器なき世界をめざす53/77Y決議 新たなアジェンダの必要」が、核兵器の警戒体勢解除を要求していることにかんがみ、
1. 核兵器をもつ諸国の政府に対しては、それらの兵器を「警戒解除」することにより、核兵器の偶発的あるいは予想外の発射につながる2000年コンピューター問題を回避するために必要なすべての措置をとることを要求する。
2. 核兵器を持たない欧州連合加盟国全てに対しては、その趣旨での強烈な抗議を行うことを要求する。
3. 全ての国の政府に対しては、Y2K対応を検証可能な仕方で証明することの不可能な原子力発電所その他環境に重大な影響を及ぼし得る全てのプラントを2000年の時点で少なくとも一時的に停止し、いずれの場合にも予備電力を全ての原子力発電所でポンプと安全装置の冷却のため60日まで利用可能にすること、および、長期のバックアップ電源を使用済み燃料冷却用プールに備えるべきことを、かかるプラントの操業者に指示することを求める。
4. 1999年2月25日の2000年コンピューター問題に関する決議を想起し、再言明し、かつ、次の2つの特殊な問題が残っていると思われることを述べる。
● 一部の加盟国における対策の進展は不十分であり、現在の、国境を越えた分野ごとの統合の水準にてらすと、[重大な]結果につながるだろう。
● 中小企業は、大規模な国際的企業よりも電力供給の中断の影響に弱く、そのうちの多くは、すぐに調整ができなければ、重大な財政的結末に見舞われるおそれがあり、委員会、国家及び地域の行政による緊急の措置を必要とする。
5. 世紀の変わり目の丁度2週間前に開かれるヘルシンキ欧州閣僚理事会は、適切な対策を採択し、欧州の市民に対し、問題の正確な状況とそこで起こり得る危険性についての認識を促す声明を発表することを、強く勧告する。
6. OECD加盟諸国には、中東欧諸国とNISに、短期的には、2000年の時点で原発に代わる代替手段を導入する特定の目的をもった資源を提供し、中期的には、もはや国際的に認められた安全基準を満たさない原子力発電所を閉鎖し、代替エネルギー源をもつための資源を提供することを緊急に要求する。
7. 欧州議会議長に対しては、その委員会、閣僚理事会、国連安全保障理事会、IAEA、加盟国政府、加盟申請国政府、およびOECDとIAEAに加盟している国の政府に、本決議を転送することを要求する。
翻訳:萩谷 良
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以上。
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