ブッシュの対イラク攻撃準備と国際情勢(]U)
こんなウソとデタラメがイラク攻撃の論拠になるのか?
−−国連と世界各国の民衆をバカにする9/12ブッシュ国連演説と9/24ブレア報告−−



1.国連を戦争の道具にしようとするブッシュ。国連演説と「欺瞞と反抗の10年」
ブッシュは9月12日の国連演説で、イラクを「平和に対する脅威」「国連の権威に対する脅威」と攻撃し、イラクへの武力攻撃を正当化しようとしました。イラクが国連の「無条件査察」受け入れを表明してからも、「厳格な査察」が必要と「戦争のための国連決議」のための工作を続けています。

 しかし、世界平和に対する本当の脅威が、他ならぬブッシュのアメリカであり、その「悪の枢軸」政策であることは今や明らかです。そして、その戦争政策のために国連を自分の都合で引き回し、国連の権威に傷を付け、国連を戦争の道具にしようとしているのはブッシュ自身なのです。

ブッシュは、国連演説に合わせて「欺瞞と反抗の10年」なるイラク攻撃論拠のリストを発表しました。イラクが16もの国連安保理決議に違反してきた。だから国連はもっと厳格な姿勢で臨まなければならない。武力攻撃を容認せよと迫っているのです。
しかし、前提となるイラクの大量破壊兵器開発やテロ組織との関わりについての証拠は何もなく、ただ言いがかりを付けるだけのものです。

2.ブッシュ国連演説のウソとデタラメを事実で指弾するイファット・サスキンド氏の論説「ブッシュ国連演説の分析」
今回紹介するのは、アメリカのウェブサイトZ-netに掲載されたブッシュの国連演説を批判する記事の翻訳で、イファット・サスキンド氏の「ブッシュ国連演説の分析」と題する9/18付の[ファクト・シート]です。ブッシュのイラクに対する非難が、実はすべてブッシュ自身に跳ね返ることを、事実を挙げて示し、そして、ブッシュが国連を戦争の道具にしようとしていることを厳しく批判しています。
彼の論の進め方は、ブッシュ演説のポイントをまず取り上げ、その言葉に事実を対置するという方法で論駁するやり方です。アイロニーに富み、読んでいくうちにブッシュ演説の手前勝手さとバカさ加減に思わず噴き出してしまうほどです。しかしこんなデマゴギーが欧米と日本の大手マス・メディアでまことしやかに取り上げられ、大見出しで「米大統領が証拠を提示」などと書くに至っては、腹立たしさを超えて恐ろしさで一杯になります。この国連演説で支持率が上がり、国際的にも好意的に受け取られるようになったとは・・・本当に怖い話です。
だからこそ私たちは、小さな小さな声ですが、本当のこと、事実を、真実を、皆さんに知ってもらおうと考えるのです。

サスキンド氏のこの論説に、繰り返しもありますが少しだけ付け加えたいと思います。米英が国連や国連決議とは全く関係なく、国家主権を侵し勝手にイラク領土内に「飛行禁止」区域を設定していること、対イラク戦争が切迫する今現在も空爆を続けていること、否一層空爆が激しくなっていることを強く非難します。そして米のごり押しによる国連の経済制裁が、いかに多くの罪のないイラクの民衆を苦しめてきたか、安保理決議そのものの不当性を強調したいと思います。国連と安保理はいつも「正義」ではないし、「正当」でもないのです。筆者が鋭く批判するように、アメリカが非難される決議は、昔も今も将来も、「米の拒否権」というものがある限り、決してあり得ないからです。

3.新しい事実は「何も加えられなかった」ブレアの報告書(9/24)
イラクが大量破壊兵器を開発している、あるいはテロ組織を支援しているという、米英のイラク批判は、未だに何の証拠も示されていません。ブッシュの攻撃論拠リスト「欺瞞と反抗の10年」は、決定的な証拠を示すことができないことによる、いわば苦し紛れの口実作りだったとも言えます。

同じ事は、24日にイギリスのブレアが発表した報告書でも言えます。英政府は、イラクの大量破壊兵器の脅威を立証すると称する、50ページにも及ぶ報告書を発表しました(”Iraq’s Weapons of Mass Destruction”(pfd))。しかし、実際は「証拠」と呼べるようなものは何1つなく、従来から繰り返してきた言いがかりを羅列しただけのものだというのが、ほとんどのメディアの評価です。例えば、BBC Newsは、「何も加えられなかった('Nothing added')」と報じました。いつもブッシュやブレアに賞賛を与えたり、擁護する大手マス・メディアでさえ、無条件に賛成というわけにはいかないくらい“無内容”なものなのです。

特に、イラクが国際テロ組織アル・カイダのテロリスト訓練に関与していた証拠を公表すると、15日付の英日曜紙「サンデー・テレグラフ」が報じていただけに、テロ組織との関わりについては何も触れられていなかったことが「失望」の声さえ生んでいます。
   BBC News “UN lukewarm on Iraq dossier”
   朝日 「英、イラク兵器の脅威立証の文書を公表」
   読売 英政府、「アル・カーイダ訓練にイラク関与」公表へ

 大々的に宣伝されたのは、建設された建物を写した粒子の粗い衛星写真や、いつ写したのかもわからない長距離ミサイル「アル・フセイン」の写真などですが、大量破壊兵器開発の証拠とは呼べないものばかりです。アフリカからウランを購入しようとしていたという報告に対しては、南アフリカ政府がこれを否定しました。ブレアの報告書を賞賛したのは、結局、米ブッシュ政権だけでした。
   BBC News “S Africa denies Iraq nuclear link”

4.イラク攻撃の論拠の破綻を示す、ブッシュとブレアの「証拠」発表(9/7)。
(1)そもそも、今頃になって「証拠」を云々しなければならない事自体がうさんくさいと言わなければなりません。今年の初め、ブッシュが「悪の枢軸」論を唱え、特にイラクを次の攻撃目標とした最初から、ブレアはこれを積極的に支持し、また一緒にイラク空爆を続けて来ているのです。

 最初は、テロ組織アルカイダとの関与が攻撃の論拠とされました。これがウソだとわかって、今度は大量破壊兵器の開発を攻撃の根拠にし出したのです。
そして9月7日土曜日、キャンプデービッドでイラク攻撃のための会合を行ったブッシュとブレアは、その日の朝、イラクが大量破壊兵器を持っているという「豊富な証拠」があると発表しました。

その「証拠」とは、IAEAの新しい報告書(”new report”)に新たな核施設建設現場をとらえた衛星写真があったというものです。「IAEAからの報告を見るだけで良い」、イラクの「旧核兵器サイトで何が起こっているかを示している」と自信満々に語ったのです。
ところがその日の夕方には、IAEA自身がこれを否定したのです。そもそも「新しい報告書」(”new report”)などというものは存在しないというのです。実は、その前日の金曜日にニューヨーク・タイムズが、IAEAの衛星写真についての記事を発表していたのです。ブレアはこれに飛びついて、よく調べもせずに「証拠」があったと発表したのです。実際に報告書を入手することも、読むこともしていなかったのです。
土曜の晩に発表したプレスリリースで、IAEAのマーク・グウォズデシーは、ニューヨーク・タイムズの記事を明確に否定しました。

   CNN.com “Bush, Blair make case against Iraq/Confusion over Iraqi nuke report”
   Guardian “Doubt cast on PM's 'nuclear threat' claim”

 9月10日には、国連監査検証査察委員会(UNMOVIC)委員長のハンス・ブリクスも「証拠」を否定しました。彼によれば、「98年に米英の空爆を受けた施設が再建されているが、それは大量破壊兵器の開発を意味しない。」「地上に査察官を派遣しなければ、それが核関連の行動かどうか結論を出せない」というのです。イラクのサブリ外相は、ブリクス委員長に対し、イラク政府の全面協力を約束しています。公正な査察を行えば、すぐに答えは出るでしょう。しかし、ブッシュやブレアはそれでは困るのです。「国連の査察条件を厳格化する」と称して戦争を行うための新たな国連決議を要求しています。査察にスパイを潜り込ませたり、武装査察を要求したり、査察に名を借りた挑発や陰謀の余地を残したり、そんなことを許してはなりません。

   米英両国、イラクの大量破壊兵器の査察で条件を厳格化する新たな決議を要望

(2)9月8日には、前国連武器査察官のスコット・リッターが米下院でイラクの大量破壊兵器の開発を否定する証言を行いました。彼は、1991年から98年までイラクの査察を行っています。彼は、7年間の国連の査察によって、イラクは「大量破壊兵器に関する限り90−95%の水準まで武装解除されていることが確認された」と述べています。「イラクは隣国にとって脅威ではないし、国境外の誰も脅かすことをしていない」とイラクへの軍事行動に反対しました。

   BBC NEWS “Scott Ritter addresses Iraqi parliament”

(3)ブッシュもブレアも、結局ただ将来核兵器を持つ「可能性」があることや「開発能力」があることを繰り返すことしかできません。そんなことで戦争を仕掛けていいとなれば、一定以上の工業力を持った国はすべて攻撃対象になってしまいます。米の思い通りにならない工業力はすべて破壊の対象だということになるでしょう。パキスタンやインドは現に使う、使わないで近隣諸国に実際に脅威を与えているではないですか。これらの国々は政権打倒の対象になぜならないのか。
 それよりも何よりも、ブッシュとブレアに、「能力」や「可能性」ではなく、現実の問題として次のような素朴な質問を投げつけたいと思います。

●世界最大の核兵器=大量破壊兵器保有国は一体どの国なのか?
●人類史上、その憎むべき核兵器=大量破壊兵器を実際に使用し、数十万人もの罪のない人間を一瞬のうちに殺したのは一体どこの国なのか?

 ブッシュとアメリカに、イラクの核兵器や大量破壊兵器を云々する資格はない。


誰が大量破壊兵器を獲得しているか?国別の核兵器能力
(「Stop the War Coalition」HPより)


2002年9月30日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局



MADREファクトシート

ブッシュの国連演説の分析
analysis of Bush's Speech To UN

イファット・サスキンド; 2002年9月18日


1.「私たちの原理と私たちの安全は今日、モラルの法則を受けいれず、際限のない暴力的な野心を持つアウトロー・グループおよび政権による挑戦を受けている。」
・保守的なコメンテーター、サミュエル・ハンティントンは、世界中の多くの人々は米国が「彼らの社会に対する単一の最も大きな外部の脅威」であると考えているということを指摘した。 (フォーリン・アフェアーズ、1999年)。

・ブッシュの下で米国は、以下のことで国際法に違反している。アフガニスタンの爆撃および進行中のイラク爆撃(国連憲章第51条違反); グアンタナモ湾の捕虜の扱い(ジュネーブ条約違反); そしてその「先制攻撃」 核兵器ドクトリン(国連の核非拡散条約違反)。

・ブッシュは、安保理の許可なしにイラクを爆撃することにより別の重大な国際法違反を犯そうとする彼の意志を宣言した。

・ブッシュ政権はまた、戦争権限法(戦争を始めることへの議会の承認を要求する)を根拠なく宣言することにより、合衆国憲法を傷つけた。

・「暴力的な野心」はどうかといえば、ブッシュは本当に限りがない。2002年6月に、彼は「先制攻撃」のドクトリンについて述べた。「軍は世界中のどんな暗い片隅でもすぐに攻撃する準備ができていなければならない。」目標は誰か。「侵略とテロを決意するすべての国家。」

・そして米国は、その脅威をくい止める力を持っている。その軍事予算は、他のすべての国々を合わせた予算をも小さく見せる; また、米軍は世界188カ国のうちの148カ国に配置されている。

2.「自分自身の合意に応じることを拒絶することによって、[サダム・フセインは、]罪のないイラク市民の飢えと困窮に全面的に罪を負う。」
・ユニセフおよび世界保健機構(WHO)によれば、イラクに対する米国にリードされた制裁は100万人以上の人々を殺した。その半分は5才未満の子供である。

・1991年に、米国は橋、道路、および2200万人の人々への水の供給を保護する設備を含む、イラクの民間のインフラストラクチュアを爆撃した。

3.「…制裁は、安保理決議への[フセイン]政権の従順を強いるために戦争の後も維持された。」
・湾岸戦争以来のすべての米政権は、たとえイラクが国連と協力しても制裁は維持されるだろうと述べた: 「イラク人はサダム・フセインが権力の座にいる限り代償を払うことを強いられるだろう。制裁のいかなる緩和も、新政府ができるときにのみ考えられる。」(ロバート・ゲーツ、前ブッシュ政権への国家安全保障問題担当補佐官)。

・米国の姿勢は、イラクが応諾しようとするどんな気持ちをも無効にすることで、実際は安保理決議をむしばむ。

4.「イラクは、VX、マスタード、および他の化学物質の備蓄を保持していそうだ…政権は、化学兵器を生産することができる設備を再建し拡張している。」
・キーワードは「いそうだ(likely)」である。前の主任国連武器査察官、スコット・リッターのような信頼できるアナリストは、イラクからの軍事的脅威が誇張されていると主張する。彼らは、湾岸戦争以来、イラクは大部分武装解除されており、化学物質を「大量破壊兵器」に変化させる運搬システム(例えば長距離ミサイルやロケット発射装置)を欠くことを指摘する。

・イラクの化学・生物学物質の貯蔵があり得るとすれば、米国の好意によるものである。米は、1980年代を通じて、炭疽菌、ボツリヌス菌、大腸菌および他の致命的な病原菌の材料をバグダッドに供給した。

・もしブッシュが化学・生物兵器について懸念するならば、彼はそれらを製造し売却することをやめるべきである。米国は、イラクあるいは他のどの国よりもそのような兵器のはるかに大きな備蓄を持っている。

・ブッシュは、生物兵器の禁止を強化する国連の条約草案を拒絶した、化学兵器条約の調印を拒絶した、また(サダム・フセインのように)国連化学兵器査察官に米国の研究施設への十分なアクセスを与えることを拒絶した。

5.「 [イラクは]核兵器を構築するのに必要とされる物理的なインフラストラクチュアを保持する…そして、もし大胆になった政権がテロリストの同盟者にこれらの兵器を供給するならば、9月11日の攻撃ははるかに大きな恐怖へのプレリュードとなろう。」
・核兵器を「構築するのに必要とされる」インフラストラクチュアを保持することは、それを構築することと同じことではない。イラクの核保有能力へのブッシュの言及のどれも、イラクが核兵器を所有することも使用を計画することも、実証しない。

・対照的に、ジョージ・ブッシュは、7か国に核爆弾を落とす計画を作成することをペンタゴンに命じた。米国は世界の主要な核兵器生産者であり、いつでも核爆弾を落とすだろう世界で唯一の国である。

・イラクの「テロリスト」への協力という幽霊を呼び出すことは、皮肉な脅し戦術である。9/11にならって急いでバグダッドをアルカイダに結び付けようとした米情報局による試みは、根拠がないと判明した。イラクの国際テロとの共謀を示す証拠はないままである。

6.「安保理決議は尊敬され強化されるべきか、それとも結果もないままわきに投げるべきか。」
・いい質問だ、ジョージ。トルコやイスラエルのような、主要な米の同盟国に尋ねよう。それらは長い間、多数の安保理決議に違反してきており、米国からの圧倒的な支援を享受してきた。(イスラエルの安保理への反抗に対する米国の応答は年間30億ドルの財政的援助である)。

・米国自身は安保理決議に違反していない。なぜなら、自分の好きなことに合致しないどんな提案された決議も拒否することができるからである。したがって、米国は世界の他のどの国より多くの安保理決議を拒否している。

7.「自由な社会は残虐と征服で威嚇しない。」
・米国は、民間人を無差別に爆撃した(アフガニスタン、セルビア、イラク、スーダン);

・政府の長を暗殺しようと試みた(コンゴ、キューバ、リビア、イラン);

・民主的な選挙を破壊した(ギリシア、グアテマラ、チリ);

・食糧と医療の民間人への供給を封鎖した(ニカラグア、イラク、キューバ);

・レイプ、拷問、大量殺戮の政策を支援した(グアテマラ、ニカラグア、エルサルバドル);

・そして、世界最悪の人権侵害に責任を負う政権を支えた(インドネシア、ザイール、イラン、韓国、イスラエル、フィリピン)。

8.「サダム・フセインは1980年にイランを、1990年にクウェートを攻撃した。彼は、イランとサウジアラビア、バーレーンおよびイスラエルに弾道ミサイルを発射した。彼の政権は、かつてイラク北部のあるクルド人の村の15歳から70歳まですべての人の殺害を命じた。彼は多くのイランの村と40のイラクの村を毒ガスで攻撃した。」
・サダム・フセインのほとんどの残虐行為は、彼が親密な米国の同盟国で貿易相手国だった時に行なわれた。

・米国はイラクに兵器と、そしてイラクがクルドの民間人に対し不法に化学兵器を使用したこと(1988のHalabja大虐殺)を知った後にさえ生物および化学兵器設備を売却した。米情報局は、大虐殺が米国製ヘリコプターで行なわれたと考えている。

・サダム・フセインがクウェートへの無許可の侵攻で米国に背いた1990年にのみ、彼は重要な財産から「ならず者の指導者」に変えられた。

9.「これらの国家は、正直な政府、女性に対する尊敬、および偉大なイスラム教の学習の伝統が中東で、および中東を越えて成功することができることを彼らの例によって示すことができる。」
・「正直な政府」?ブッシュは彼の大統領職を盗んだ選挙に負っている。彼の内閣の主要メンバーとブッシュ自身がエンロン、ハリバートン、ハーケンを含む株式会社のいかがわしい取引に関与している。

・「女性に対する尊敬」? ブッシュは、中絶カウンセリングを提示する国際的な家族計画プログラムへの連邦援助を禁止し、婦人の健康イニシアチブとアウトリーチ(Women’s Health Initiatives and Outreach)のためのホワイトハウスのオフィスを閉鎖した。

・「学習の伝統」? ブッシュは3900万ドルの図書館への連邦資金供与を削減し、貧しい子供に無料の本を与える連邦プログラムを削除することを要求した。彼が提案した人口の最も裕福な1%のための減税は、彼が連邦の読書能力プログラムへ支出するよう提案したものの128倍も多い。

10.「遺産と選択によって、それに米国は立ち向かうだろう。そして、国連への代表のあなた方は、同様にそれに立ち向かう力を持っている。」
・ブッシュ演説の締めくくりはマイケル・ムアが大統領の「くたばれ」外交政策と呼ぶものの最良の例だった。ここで、ブッシュは、米国が国連からの承認を得ようが得まいが、イラクへの戦争を追求することを世界に無遠慮に通知したのである。

11.「イラクの政権の行為は国連の権威に対する脅威、および平和に対する脅威である。」
・国連の権威についてブッシュが考えていることはこうだ: 就任して以来、彼は世界の残りが20年で行ったよりも多くの国際条約を廃止し、多くの国連の協定を破った。

・ブッシュの下で、米国は、地球温暖化に関する京都議定書に反対し、包括的(核)実験禁止条約を促進するための会議をボイコットし、弾道弾迎撃ミサイル条約を破棄した。ブッシュは、国連子どもの権利条約を批准することを拒絶し、あるいは地雷禁止条約に調印することを拒絶する。米国は、2001年の人種的偏見に反対する国連世界会議から退席し、2002年のサステイナブル・ディベロプメントに関する世界サミットを事実上無視した。また、ブッシュは国連の条約に「署名しない」歴史上ただ一人の大統領である ――  それは国際刑事裁判所を創設するローマ条約である。

・「平和に対する脅威」であることに関しては、国際法、合衆国憲法、国際的な人権諸文書、国際協力と集団安全保障の原則に違反する、ブッシュの「テロとの戦争」が今日平和に対する単一の世界で最も大きな脅威であるということは、ほとんど疑う余地がない。

 ブッシュ政権によって持ち出された重大かつ集中する危険に照らして、私たちは、これによってアメリカを国連憲章第39条の下の「平和に対する脅威」であると宣言するように国連に要求する。国連憲章第7条の下で行動する安全保障理事会は、この脅威を取り除かなければならない。

 安保理の「強制行為」を米国が拒否する場合には、私たちは、1950年の平和決議のための団結を発動するために、国際平和と安全保障を強化する安保理命令を引き受けさせるために、国連総会を開くよう要求する。

 米国のその「大統領」の言葉を引用するならばこうである。「国連は、その設立の目的に奉仕するのか。それとも、それと無関係なものになるのか。」


(原文: http://www.zmag.org/content/showarticle.cfm?SectionID=15&ItemID=2359




ブッシュの対イラク攻撃準備と国際情勢:

(T) カナナスキス・サミットと米ロ「準同盟」化の危険性
    −ブッシュ政権によるイラク攻撃包囲網構築の到達点と反戦平和運動の課題について−

(U) 米中東政策の行き詰まりと破綻を示す新中東「和平」構想
    −−ブッシュ政権がなかなか進まない対イラク戦争準備に焦って、
       「仲介役」の仮面すら投げ捨て公然とシャロンの側に立つ−−

(V) イラク攻撃に備え、先制攻撃戦略への根本的転換を狙うブッシュ政権

(W) 国際法・国際条約・国連決議を次々と破り無法者、ならず者となったブッシュのアメリカ
    −− 鏡よ鏡よ鏡さん。この世で一番のならず者はだーあれ −−

(X) [資料編] NHK ETV2000 より 「どう変わるのかアメリカの核戦略〜米ロ首脳会談を前に」

(Y) 米ロ首脳会談とモスクワ条約について
    −−米ロ「準同盟国」化で現実味増したブッシュの先制核攻撃戦略

(Z)「兵器ロビー」
    20年ぶりに復活する米軍産複合体

([)ブッシュ政権の露骨な戦争挑発行為と対イラク侵攻計画
        −−対イラク戦争阻止の反戦平和運動を大急ぎで構築しよう

(\)ブッシュのイラク攻撃と国連査察問題
        −−再び急浮上しようとしている国連査察の実態を暴く

(])イラク「無条件査察」受け入れ後の米の対イラク戦争をめぐる情勢について
        −−国連を舞台にした二転、三転の熾烈な外交戦、それと並行して進むブッシュの戦争への暴走

(]T)絡まり合うイラク情勢とパレスチナ情勢−−−
        イスラエル軍が再び議長府を攻撃