わたしの雑記帳

2004/7/10 寮など閉鎖された場所でのいじめについて


1991年に入学した作陽高校の寮で先輩らから集団リンチにあう、性的虐待にあうなどのいじめにあって、最終的に退学せざるを得なかった男性が学校を訴えて裁判中です(930901)。いじめで受けた深い心の傷と腕の後遺症は、その後の彼の人生をも大きく変えてしまいました。また、事件に関わった男性がこのことを悔いて自殺するということもありました。被害者自身、PTSDから何度も自殺未遂を繰り返しています。
なぜ、彼は学校を訴えたのか、陳述書をUPしました。
せめて判決が、事件を教訓とする方向で出ることを期待します。

****************

学校内の寮でのいじめは多い。いじめが伝統になっているところさえある。
狭い空間に押し込まれた子どもたち。外出の自由、好きな時間に好きなことをする自由を奪われ、長時間拘束されるなかで、ほっとする時間がない。管理のために安易に多用される連帯責任。家庭での生活とギャップがありすぎる。たまるストレス。
特に、部活動等に関連する寮の場合は、できるものへのねたみもある。実力では叶わない相手をいじめることで、引きずり降ろそうとする。
生徒の自治を名目に、教師はいじめもシゴキも見て見ぬふりをする。あるいは教師自身がいじめの原因をつくっていたり、積極的に加担している場合さえある。
先輩から勝手に強要されるルール。逆らえば制裁が待っている。制裁さえルールのなかに組み込まれている。
いじめは先輩から後輩へと受け継がれ、かつていじめられた生徒がやがて下級生をいじめる。暴力が連鎖する。加害者も実は被害者であったりもする。

外部からの目が行き届かないなかで、歯止めのないいじめ。寮での生活が学校生活や部活動にまで波及する。いじめのなかに文字通り24時間突っ込まれる。
多くは、退寮することは部活からの脱退、あるいは学校を退学することと同じである。心身ともに追いつめられながらも、目的をもって入った子どもほど逃げることができない。
それらは児童養護施設とも共通する。しかし、児童養護施設の子どもたちには、帰るべき家や相談できる相手さえいないことが多い。何年も続く、まるで更正施設のような生活。職員が年長者を管理のために殴り、年長者が腹いせに年少者を殴る。時には殺人にまで発展することがある。

両者で、ほとんど表に出ることはないが性的な虐待も多いときく。男女間だけでなく、生活を共にするなかで同性間の虐待も起きやすい。まして年頃の男子が女子との付き合いを制限され、ひとりになる空間も持てない、発散できる場や機会も少ない。また、性的行為の強要はもっとも効果的に相手の人格を貶めることができる。支配欲を満足させられる。
一方で、被害者の心身に受けたいじめの傷は深い。人間不信に陥ったり、性格が攻撃的になったり、重大な犯罪の背景にこうした心の傷が関係しているのではないかと思われることもある暴力が再生産される。攻撃が自分自身に向かえば自殺や自殺未遂を繰り返す。

こうした施設内のあるいは学校寮内のいじめ、虐待を表に出すことは非常に勇気がいることだと思う。まして、性的な虐待が絡んでいた場合。しかし、告発するものが出ないかぎり、こうした伝統は続くことが多い。表に出るのは氷山の一角にしかすぎない。同じ思いをどれだけの子どもたちがさせられてきたことだろう。誰にも相談することができずに。あるいは、学校・教師に相談しても取りあってもらえず、どれだけ悔し涙を呑んで、学校を去っていったことだろう。
管理者は「伝統だから」「みんな経験してきていることだ」として問題意識が薄い。そこでの生活が人の一生を台無しにしているかもしれないことに考えが及ばない。

閉鎖された空間、固定された人間関係、逃げ場がない環境、ストレスのかかる環境。こうしたなかでは陰湿ないじめが発生しやすいこと、それは時に心や体を深く傷つけ、命にも関わることを大人たちは忘れてはならないと思う。
それは子どもたちのケアのための施設であっても例外ではない。


分  類 寮など閉鎖されて空間で起きた事件(サイト内のみ)
殺  人  690425 850921 860701 950513 030226    
傷  害
(傷害事件後退学を含む)
 920400 910900 930901 960611 970700
自  殺  860121 991127(教師からの体罰)



ほかにも、2000年7月、兵庫県立香住高校の生徒寮「若潮寮」で1年生が3年生に「夏休み前の掃除の仕方が悪い」など言われて殴られ、うち7人が集団で寮を飛び出していた。1人が手の指を骨折、7人が腹部などに全治1週間程度のけが。ほかにも腹部に打撲の跡が残っていた生徒がいたという。寮では上級生による同様の事件がしばしば起きていた。(2002/8/27 神戸新聞の記事を要約)
学校は事件が起きても根本的な対処法を持たない。もしくは、真剣に取り組もうとはしないのか。

また、学校ではないが、2004年5月24日、熊本県警機動捜査隊の男性巡査(22)が県警独身寮で自殺した事件も、いじめが原因ではないかと見られている。室内には「迷惑掛けてごめんなさい」「先輩のせいではありません」などと書かれた遺書が残されていたという。同じ警察官の父親と対立する幹部が組織した剣道部内のグループが巡査をいじめていたという情報もあり、寮内のいじめというより、父親の派閥争いに巻き込まれたのではないかと思われるが。
関係者の話では、巡査は所属する県警剣道部で約3年前から、先輩らにあいさつしたり、話しかけても無視され、部員の結婚式にも一人だけ招待されず、練習日程を教えてもらえないため、他の道場に通うこともあった。練習中、先輩から竹刀で後頭部をこづかれたり、のど元への突きを執ように繰り返されていた。
巡査は周囲に「剣道部をやめたい」とも言っていたという。
男性がもし、自宅から通っていたなら、家族は体にできたあざやけがに気づいた可能性は高い。何らかの手をうつことができたかもしれない。

寮や施設など閉鎖された生活の場で、いじめ・虐待が起きていないか、真剣に再点検してほしい。
夏休みに子どもたちが帰省したら、被害者・加害者である可能性を含めて、苦しいことがあるなら相談できるように、周囲は気を配っていただきたい。





HOME 検 索 BACK わたしの雑記帳・新