まずあなたの職場の実態を調べてみること。
職場でどのような点が好ましく、どの点に改善が必要なのかを具体的に知るためのこんな取り組みを知っていますか?
粉じんや化学物質など有害物を取り扱う仕事では、1日に曝される量は少しでも長い時間に取り入れてしまう量は莫大なものになり、じん肺や中毒で取り返しのつかない結果になってしまうことがあります。また有害物などなくても、長時間労働や深夜勤務など無理な働き方によって心身の病気、ひどい場合には過労死、過労自殺をまねくこともあります。
●作業環境測定士が温度・湿度・換排気状態・騒音・振動など、様々な条件について調査・報告します。職場での作業内容に則した健診メニューを設定し、職業病予防に活かします。
こんな職場に作業環境測定が必要!
1.粉じんに曝される仕事
炭坑などの坑内作業、研ま作業(グラインダー、ショットブラスト等)、鋳物工場、溶接、セメントなどの粉体を取り扱う作業、等の作業を行う屋内作業場では6ヶ月に1回の粉じん濃度測定が必要。
2. 有機溶剤
印刷会社では印刷機の洗浄液に、自動車修理工場では塗料や薄め液に、家具工場では接着剤に、電子部品工場では基板の洗浄に、等々有機溶剤は様々な用途で使われています。多くの有機溶剤は水や油に溶けやく、蒸発しやすいことから容易に体内に入り、急性や慢性の中毒をおこします。いくつかのアルコール類、トルエン、クレゾールなどの有機溶剤について環境測定をします。
3.
その他の化学物質
石綿、クロム、コールタール、塩素、砒素等43物質(特定化学物質)と鉛を扱う作業場
4.騒音その他
著しい騒音を発する屋内作業場、暑熱・寒冷・多湿の屋内作業場、中央管理方式の空気調和設備を設けている事務所、放射線業務を行う作業場、酸素欠乏危険場所での作業など。
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●特殊健康診断も作業環境測定も職業病の早期発見と予防を目的としています。従って法律通りに両方を行っていても、「対策」を行わなければ何の意味もありません。残念ながら、多くの事業所では「測定や健康診断さえしていればよい」と考えられてしまい、結果が悪くなっても対策がなかなか立てられていないのが現状です。しかし、
それは
現場で働く人たち全員が職場の状況(有害物の危険性、作業工程、福利厚生設備等も含めて)を知ること
全員で討論して改善案を作り出す
実行できるものから実行する
改善を評価して次の改善案を作る
これらを労使対等で協力しながら繰り返して、実行できる小さなローコストな改善を積み重ねて職場環境を少しずつ改善していきます。必要があれば、専門家のアドバイスを受けたり、他の事業所の例を参考にする事もできます。繰り返していく中で、より大きな改善に取り組める環境が生まれてきます。
特殊健診:作業内容を着目点として、その職場で働く労働者に発症が予想される職業病について、より焦点を絞って項目立てた健診です。この健診によって、一人一人の発症を早期に発見するとともに、総合した結果がその後の職業病予防−職場環境の改善対策への貴重な参考資料として役立ちます。
皆さんの職場でも特殊健診を設定し、共通の可能性としての職業病や労働災害を考える糸口としてみませんか?
職業病健診には法定健診(法的に定められている)、法にはないが実施が好ましいとして以下のようなものがあります。
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〈法定健診のいろいろ〉
じん肺健診
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・じん肺にかかる恐れのある粉じん作業
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有害業務に従事する労働者に対する特別項目についての健診 |
・高気圧室内作業または潜水業務
・エックス線、その他の有害放射線にさらされる業務
・鉛等を取り扱う業務またはその蒸気、粉じんを発散する場所における業務
・四アルキル鉛の製造、混入、取り扱い。
あるいはそのガス、蒸気を発散する場所における業務
・有機溶剤を取り扱う業務。またはそのガス、蒸気を発散する場所における業務
・安衛法で定められたものを製造、もしくは取り扱う業種労働者。また、これを過去に製造取り扱ったことがあり、現に使用している労働者。 |
振動病健診
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・チェーンソーやその他の振動工具の取り扱い業務 |
腰痛健診 |
・重量物取り扱い作業、介護作業など腰部に著しい負担のかか
る業務。
・立ち・座りなどの同じ姿勢をとり続ける、ひねり、前屈・後屈ねん転など不自然な姿勢を業務中
とりがちな職場 |
頸肩腕健診
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・事務所におけるディスプレー、キーボードによって構成されるVDT機器を使用し、データ入力、検索、照合、文書作成、編集、修正プログラミング等を行う業務。
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VDT健診
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・事務所におけるディスプレー、キーボードによって構成されるVDT機器を使用し、データ入力、検索、照合、文書作成、編集、修正、プログラミング等を行う業務。 |