(WMEX)地域紛争下のデジタル権利:2026年3月24日
以下は、西アジアと北アフリカのデジタル空間における人権問題に取り組む非営利団体Social Media Exchange(SMEX)のウエッブ記事の翻訳です。ホルムズ海峡には海底ケーブルも敷設され、その迂回ルートの建設が模索される一方で、ユーザーの通信利用のおけるプライバシーやセキュリティにも重大な危惧が生じています。戦争が通信ネットワークに深刻な影響を与えかねないことに私たちは関心を持つ必要があります。SMEXはAPCのメンバー団体でもあります。ホームページはhttps://smex.org/ (JCA-NET としまる)
執筆:ヤスミナ・エル・ゼイン
公開日:
2026年3月26日
ベイルート、2026年3月24日 — イスラエルによるレバノンへの攻撃はエスカレートし続け、交通路や橋梁といった重要インフラへの攻撃が激化しており、住民へのサイバー攻撃も続いている。一方、GCC諸国[※]は米国とイスラエルによるイランへの攻撃の影響を依然として強く受けており、その影響はデジタル分野でもますます顕著になっている。
以下は、この地域戦争下におけるデジタル権利の現状に関する最新情報である。
一部のGCC諸国はデータの代替ルートの構築を試みている
アラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンにあるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のデータセンターを標的としたイランの攻撃を受け、GCC諸国が資金提供する6つの競合プロジェクトが、ホルムズ海峡を通過しないよう海底ケーブルの「代替ルート」を構築するべく開発競争を繰り広げている。
ホルムズ海峡は、ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ重要な水路であり、イラン、UAE、オマーンに囲まれており、世界的に極めて重要な戦略的意義を持つ。同海峡を迂回する代替海底ケーブルルートを構築することは、特に最近イランが通過船舶を標的とし、世界貿易を妨害すると脅迫している状況下において、GCC諸国のデータセキュリティと接続性を強化することになる。
「GCC諸国が海底ケーブルの移設を決定する場合、迂回されるデータが輸送中にユーザーの個人データとプライバシーを確実に保護されるよう保証する必要がある」と、SMEXのシニアサイバーセキュリティアナリスト、マドレーヌ・ベレシは述べている。
レバノンにおける詐欺的な「支援」ウェブサイトに対する公式警告
レバノン内務治安部隊(ISF)は、避難民向けの登録ツールと偽って出回っている詐欺サイトについて警告を発した。m2wa[.]com(refuge dot com)というサイトは、ISFの情報部門によって不審なサイトとして警告対象に指定された。
当局はまた、非公式または未確認のプラットフォームに個人情報を提供することは、ハッキングやデータ盗難を含む深刻なリスクに個人をさらす可能性があると警告した。(訳注:原文にはFacebookからの引用がありますが、ここでは省略します。)
SMEXのメディア・プログラム・マネージャー、アベド・カタヤも以前、この紛争の影響を受けたコミュニティは詐欺や不正行為に対して特に脆弱であると警告していた。
「当局が啓発活動を行っていることは良い第一歩だが、レバノンの住民をさらに保護するための予防措置を講じるべきだった」とカタヤは言う。「たとえ国のサイバーセキュリティが脆弱であっても、そのような措置は講じられるべきだ。」
レバノンの住民は、政府からの対応が見えないまま、デジタル上のリスクと通信障害に直面し続けている
イスラエルによるレバノンへの攻撃が続く中、住民はデジタルおよび物理的な安全に対するリスクに直面し続けている。SMEXが以前に記録したように、住民は今も、イスラエルがまもなく行動を起こすと主張する不審な電話番号から、自宅や職場を避難するよう求める脅迫を一日おきに受け続けている。
また、イスラエル占領軍は3月13日、QRコードを記載したプロパガンダビラを散布した。これをスキャンすると、イスラエル情報機関と関連するWhatsAppの連絡先やFacebookページにリダイレクトされる。これらのQRコードをスキャンすると、端末の種類、ネットワーク情報、画面サイズなど、デバイスに関する情報が漏洩する恐れがある。
こうしたリスクは、特に通信・接続分野において、当局の危機管理に対する準備不足によってさらに悪化している。
SMEXの報告によると、多数の強制避難民を受け入れている地域では通信網やインターネット接続に多大な負荷がかかっているにもかかわらず、通信省はこの負荷を軽減したり、避難民に対応したりするための実質的な措置を講じていない。
レバノンの2大民間通信事業者の1つであるtouchは、データ通信料を割引する「連帯プラン」を導入したが、私たちは、十分なリソースへのアクセスが得られない可能性のある避難民をより適切に支援するため、支払猶予期間の延長を求めている。

レバノンの2つの省庁とメディアがサイバー攻撃の標的となる
先週初め、地元メディアによると、「Fatimids」と名乗るハッカー集団が、外務省と情報省のウェブサイトを短時間攻撃した。
『l’Orient Today』によると、情報省のウェブサイトは読み込めず、エラーページが表示された。外務省のウェブページは、データ漏洩の可能性に関する警告を掲載した後でようやくアクセス可能になった。木曜日の朝までに、両サイトとも正常に機能するようになったとみられる。
同ハッカーグループは、その週の初めにも、地元のテレビ局兼ニュースメディアであるMTV Lebanonのウェブページをハッキングしたと主張している。
戦争に関するAI生成映像やディープフェイクが情報の信頼性を脅かす
戦争に関するAI生成コンテンツは、現在戦争の影響を受けている国の住民に直接的な影響を与えている。Tech Policy Pressによると、最近の出来事は、AI生成画像のより広範な利用を示す一方で、画像がAI生成であると意図的に誤情報を流布するケースも指摘されている。
WITNESSの副ディレクターであるマハサ・アリマルダニによると、AIやディープフェイクの増加に伴い、戦争の衝撃的な映像がAIによるものとして軽視され、実際に記録された情報と偽のコンテンツとの境界線が事実上曖昧になっているという。
SMEXでは、2024年9月以来、AI生成コンテンツと実際のコンテンツを見分けるためのヒントを共有することで、AI生成による誤情報の拡散に対抗するために多大な努力を注いできた。
こちらのクイックガイドをご覧いただきたい。
いつものように、何らかのデジタル上の脅威にさらされていると疑われる場合は、以下の方法で当団体のデジタル・セーフティ・ヘルプデスクまで連絡してほしい。
メール: helpdesk@smex.org
WhatsApp/Signal: +961 81 633 133
安全に過ごせますように!
※ (訳注)GCC諸国とは湾岸協力会議Gulf Cooperation Councilの略称。ペルシャ湾に面する6ヶ国(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、クウェート、オマーン)で構成されている。


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