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第 147 国会報告
国際問題
2000年3月1日 04 号

参考人質疑: 日本の人権外交


○大脇雅子君 社会民主党の大脇です。

武者小路先生がいわゆる人権文化を創造するために対話を中心とした外交を提唱しておられるわけですが、アジアにおける人権の普遍性に対する疑問というのは、西欧文化の価値基準に対する根底からの疑いというものがアジアの社会の底辺にはあるのではないかというふうに考えるわけですが、今私たちは外交問題に底辺社会を視座に入れるということはほとんどなされていないわけですが、日本のこれからの人権外交というものに対してどのようにあるべきかということについて、もう少し詳しくお話しいただけるとありがたいんですが。

○参考人(武者小路公秀君) 日本の人権外交はどうあるべきかという御質問にお答えいたします。

三つのことが大事になるのではないかと思います。

一つは、日本の、先ほど申しましたように、ヨーロッパ的なものとアジア的なものと両方を経験しているという、そういう文化のレベルのことがあると思います。やはり人権というものはもう固まっていて、ヨーロッパからそのまま伝わっているという事実は残念ながらあるのではないかと思います。ただ、ヨーロッパから来たものが悪いというふうにはね返すということは余り意味がないということがあります。ですけれども、それは、私たちはそう言っても、そう考えない方が例えば中国とかそういうところではたくさんいらっしゃるので、ただヨーロッパから来たけれどもいいという、そういうふうに簡単に決めつけないで、やはり対話をしていくという必要があると思います。

その対話をするというときには、単純に割り切って申しますと、人権法と人権教育と二つあると思うのですが、法律は、やっぱりヨーロッパでできた人権法というのはすばらしいので、いろんな女子差別撤廃条約とか人種差別撤廃条約とか、そういう条約を含めて、日本が人権外交をやるのであれば条約をちゃんと批准し、批准する場合にも留保をつけないで批准をするということが、まず片方では必要だと思います。

ですけれども、人権教育というところで考えますと、ただ法律を教えるというのじゃなくて、物の考え方とか感じ方とか、お互い人間についていたわりの気持ちを持つとか、そっちの方は、ある意味ではアジア的な感性とかアニミズムも含めて、仏教あるいは儒教、道教、そういうところにはヨーロッパよりも豊かな人情というか人間性があるので、それを使って人権教育をするということも大事です。ヘーグでは、仏教をもとにして人権教育をやって、座禅を組んでからみんなで話し合うというようなことさえもやられていますので、それが第一点です。

第二は、今度はさっき申しました人権の協力のことですけれども、例えば中国に対してアメリカがいろいろ人権をもとにして圧力をかけていますが、中国はそれに対してすごく反発をしています。ですけれども、一昨年、メアリー・ロビンソン人権高等弁務官が中国を訪れまして、それで中国のお巡りさんの研修だとか刑務所の看守の研修だとか、あるいは中国の刑法、刑事訴訟法をつくるための専門家を派遣するということに対しては、中国はすごく協力的になっています。

そういう意味で、日本はそういう人権のための技術協力、ただ悪い悪いと言うのじゃなくて、悪いところをどう直せばいいかというための協力をするというのが第二にとても大事ではないかと思います。

第三には、やはりできることでしたら人権外交は、まず日本はアメリカの友好国でありますから、アメリカに対して、人権についてただ頭ごなしに何かやるんじゃなくてもっと親切になりなさいということを教えてあげる必要があるし、アメリカの人権運動と日本の人権運動が一緒になってそういうアメリカの、これは全然悪気があってじゃないんですが、すごい使命感があり過ぎるアメリカの人権外交の使命感を少し和らげるということが、日本の人権外交の第三の柱としていただけるとありがたいと思います。



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