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第 147 国会報告
金融経済活性化に関する特別委員会
2000年4月26日 3号

金融再生法


○大脇雅子君 社会民主党の大脇でございます。今般の報告書につきまして、三点ほど御質問をさせていただきます。

まず、金融再生法五十条に定められた措置を効果的に実施するための体制整備として、内部調査委員会が設置され、調査活動が行われております。一つは特別公的管理に至る原因となった責任を明らかにすること、二つは特定大口債権から集中的に進められている不良債権の調査、三つには不良債権の発生以外の経営責任も明らかにするということであります。

これらの目的に基づいて設置された内部調査委員会の調査活動の取りまとめというのが本年三月をめどに進められているとの報告書の記載がありますが、現在民事責任がどのように追及されているのか。先ほど十五名に対して六十三億、四件、東京地方裁判所というふうに御説明がありましたが、民事責任の追及について経過とその見通しについてお尋ねをいたします。

○政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。

先生御指摘のとおり、金融再生法五十条に基づきまして、旧経営陣の民事上、刑事上の責任の明確化を目的といたしまして平成十年十二月十一日に弁護士七名を委員とする内部調査委員会を設置いたしまして、責任追及につき調査検討してきたわけでございます。

検討の結果、刑事責任に関しましては、長銀の場合、昨年六月四日に第一回報告が経営陣に対して提出され、同年六月十日に民事責任追及を含む最終報告が提出されました。

民事責任の追及につきましては、当該最終報告を受けて取締役、監査役並びに内部調査委員から成る提訴案件協議会を設置いたしまして提訴すべき案件を検討した結果、昨年十二月十六日に、違法に実施された九年九月期の中間配当及び平成十年三月期の決算配当、これが一件でございます。第二件目として、リゾート開発会社イ・アイ・イ・インターナショナルに対する緊急支援融資。三件目といたしまして、マリンリゾート開発運営会社日本海洋計画に対するプロジェクト資金融資。四件目といたしまして、長銀主要関連ノンバンクの日本リース、日本ランディック、エヌイーディーの三社に対し実施された損益支援及び資金支援。この四件につきまして、事案に関与した前会長増澤高雄、元頭取堀江鐵彌及び元頭取大野木克信を含む元取締役十五人に対しまして総額六十三億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に提起したところでございます。

○大脇雅子君 長銀についてはそのような四件ということを今申されましたが、そのほかの銀行に対しては今検討中ということを言われておりますが、それぞれどのような進捗状況になっているでしょうか。

○政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。

同じく特別公的管理銀行の日債銀につきましては、刑事告訴は既に終わっております。ただ、民事につきましては、一応内部調査委員会の報告書では提訴すべき案件なしとしたわけでございますけれども、いろいろな問題を含む案件もあろうということで監査役会で再度現在検討している最中でございます。

その他の破綻銀行でございますけれども、これは金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分が打たれた五つの第二地方銀行でございます。

国民銀行につきましては、昨年十一月二十九日に旧経営陣二名を告訴いたしまして、十一月三十日には逮捕されております。それで、同じく国民銀行につきます民事につきましては、昨年十二月二十二日、旧経営陣十五名に総額六十三億円の民事訴訟を提起しております。

次に幸福銀行でございますけれども、昨年九月十四日、旧経営陣三名を告訴いたしておりまして、九月十六日には逮捕に至っております。民事につきましては、ことしの二月八日、旧経営陣三人に総額七十三億円余の民事訴訟を提起しております。

残りの東京相和銀行、なみはや銀行、新潟中央銀行につきましては、現時点におきましては刑事につきましても民事につきましてもまだ固まった状況ではございません。

○大脇雅子君 そこで、先ほど退職金の問題が言われまして、非常に徴収が不全であるということでありますが、私はやはり、経営合理化計画に基づいて一応決まったもので、自主的な返還といっても単なる道義的な義務というふうに解釈するのはおかしいのではないかと。預金保険機構がそれを受け継いでやるということであれば、公的資金を出した以上、やはりもう少し預金保険機構がそれを受け継いでさらに未払い者に対する執行、取り立てということを何らかの形でやるべきだと思うのですが、金融再生委員長、どのようにお考えでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 大脇先生は法律家としても大先輩でいらっしゃいますので余りこちたき議論は申し上げるつもりはないんですが、要するに、どういう根拠に基づいて請求をしていくかというのがなかなか難しゅうございまして、いわゆる民事上の契約責任、不法行為責任と言えたり、あるいは刑事責任というのでありますれば、それは明白な方法があるわけでございますけれども、道義的と申しましても、あるいは道義的責任という言葉がいいのかどうかわかりませんが、自発的な返還を求める場合になかなか手段が限られておるということを御理解いただきたいと思っております。

○大脇雅子君 一方、公的管理銀行になったときはリストラが行われるということで、ピーク時である平成五年の約四割の人員削減の二千八百人というのが、人件費コストについても五割カットということで、ボーナスについて組合員層は全部それをカットしてきて一定程度の効果を上げてきているのです。

問題は、この計画に基づいて削減された行員というのはその後雇用はどう確保されているのかということについては、何か情報をお持ちでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 長銀におきましては、金融再生法四十七条に基づく経営合理化計画で人員や営業経費の削減等のいわゆるリストラ策を掲げまして、人員削減については、ピーク時が平成五年の四月末四千六十人でございましたが、その四割削減を図って、去年九月末の時点での行員数を二千四百五十三人としたというところでございますが、退職行員の新規雇用先の確保の点については、長銀におきまして再就職先を紹介するなどそれなりの対応が図られたというふうに承知しております。

○大脇雅子君 そうすると、そのリストラも人件費のカットも経営合理化計画に根拠があるわけです。退職金の返還も経営合理化計画であります。自発的といっても、この役員の退職金の返還だけが自主的にやられなかったからといって見過ごされるというのはやはり非常に不公正ではないかというふうに思うわけです。

ですから、その点について法的な問題ということで、私は、道義的な義務以上に経営合理化の中で、本人が同意しているかしていないかというのはこれは一つ問題ですけれども、やはり限りなく法的に近いものとして預金保険機構はそれに対応して退職金の返還ということを行うべきだと重ねて思いますので、金融再生委員会といたしましてはぜひそれを追及し続けていただきたい。

そうしないと、国民の不公平感というものは相変わらず経営に対して不信を突きつける、銀行に対してのやっぱり責任の負い方の問題になると思いますので、私はぜひこれは法律家であります谷垣委員長の腕の見せどころというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

○国務大臣(谷垣禎一君) 法律家であると先輩からおっしゃられて進退きわまったような気がするわけでございますが、今現に特別公的管理下にある日債銀につきましては当然のことながら返還を求めていく努力を徹底的にやっていかなければいけないと思っておりますが、長銀につきましてはことしの三月一日で一つの整理がついたというふうに考えざるを得ないのかな、このように思っております。

○大脇雅子君 やはりそこをあえて行っていただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。

あと一問させていただきたいんですが、特別公的管理下の終了にかかって受け皿機関というので、最終的に長銀に関してはニュー・LTCB・パートナーズというのが買収して、先ほど浅尾議員からもさまざまな契約内容の疑義がただされましたが、私は、受け皿譲渡に対する検討事項として、公的負担の極小化が図られているかとか、あるいは我が国金融システムの安定化に資するのかとか、我が国金融システムの効率化、再編、活性化にそこへ譲渡することがそれでよいのかとか、あるいは国際的な評価がどうかとか、企業会計ルールに反しないかとか、さまざまな受け皿譲渡に対する検討事項が付されているわけですけれども、結果、このニュー・LTCB・パートナーズが長銀を買収したということに関して、これらの諸点でどの点で他の譲り受け機関よりもまさっていたのか、そして今現在、新生長銀になったわけですけれども、今申し上げたような点について効果があるのかどうかというところの見通しをお尋ねしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 長銀の優先交渉先の選定に当たりましては、今大脇委員がお挙げになりましたような種々の観点、公的負担の極小化が図られるか、あるいはその譲渡が我が国の金融システムの安定化とか効率化とかさらには再編や活性化というようなものに資するかとか、こういうようなもろもろの理由を勘案したわけでありますが、その結果ニュー・パートナーズ社に売却をしたということで、三月一日に公的管理が終了したところでございます。

それで、新生長銀はスタートしてまだ間もないわけでありますが、パートナーズ社のもとでの経営のあり方が確かにやはり今までの従来の日本の経営の感覚とは少し違うなと、これはどうと言葉で説明するのは難しゅうございますがそういう感じを受けるところがございまして、今後、金融界へのよい刺激となるとともに、我が国経済の発展に資する銀行として再生することを期待しているところでございます。

○大脇雅子君 では、時間が参りましたので。



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