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第 147 国会報告
憲法調査会
2000年5月2日 07 号

参考人意見聴取


147-参-憲法調査会-7号 2000年05月02日

○大脇雅子君 社会民主党の大脇雅子と申します。

遠路はるばるお出かけくださいまして、貴重な証言を興味深く拝聴いたしました。どうもありがとうございました。

まず、プールさんに伺いたいと思います。

マッカーサー草案が策定されました当時、日本のジャーナリストや研究者で構成する憲法研究会の手によって、主権在民説をとる憲法草案要綱など私擬憲法が作成され、発表されてもいました。先ほど、マッカーサー草案は、数多くの日本の学者や研究機関の見解を反映させたものであるとの御発言がありましたが、それはどういう人たちにヒアリングされ、あるいはどの資料を参考にされたのか、具体的に覚えていらっしゃるでしょうか。

○会長(村上正邦君) じゃ、一つ一ついきましょう。どうぞ。

○参考人(リチャード・A・プール君)(通訳) 団体の名前を言うことはできるんですけれども、それはちょっと探さないと。

それはケーディス大佐のスタディーの中に出てくるのですが、私の担当のセクションのところでも幾つかそういったドラフトを参照しております。特に運営委員会自身が、憲法についての作業を行う前に民政局の法務班を担当していたラウエルさんが主として検討していました。

あなたがお聞きになっている憲法研究会というお名前ですね、憲法研究会というところだったと思いますよ。ラウエル中佐はそれについての研究を以前していたんです。これは一月の十一日に、このドラフトにはいいところがいろいろあるというふうに彼は思ったわけです。それが一つですね。これはケーディス大佐が後でリストとして出しましたものの中に入っております。

全部これを読んでほしいですか、どういう草案を見たかというリストを。

○大脇雅子君 読んでください。

○会長(村上正邦君) いやいや、時間がありませんから。

○大脇雅子君 でも。──それじゃ後で。

○会長(村上正邦君) 時間がありません。それはだめです。

○大脇雅子君 しかし、それは非常に歴史的な証言ですから。

○会長(村上正邦君) いや、だめです。時間が、もう皆さんの、まだ質問者ありますから。あれを全文読むなんて大変なことですよ。後で資料をいただきましょう。

○大脇雅子君 じゃ、ぜひ後で資料をください。

○会長(村上正邦君) そうしてください。後で資料を。

○参考人(リチャード・A・プール君)(通訳) コピーをすればできると思いますよ。この部分をコピーすればいいと思います。ケーディス大佐がつくったリストです。

あとほかにもあります。ほかに学識経験者がやったものというのもあります。これも影響力のあるものでありました。全体のプロセスに影響力があったと思います。残念なのは、時間がなかったためにこういったすべての資料などを精査に検討することができなかった。時間がなかったんです。

それからまた、すべての世界の憲法を網羅するということもできなかった。シロタさんもいろいろと集めてくれたというのは本当に役に立ったんですけれども、その中の幾つかを見ることはできました、アメリカの憲法も含めてですけれども。しかしながら、全部を検討するということはできなかった。残念だったと思っております。

とにかく、いろんなソースがあったことは事実です。憲法の草案者たちが書いた源になるようなものはいろいろありました。いろいろな影響力をいろいろなところからとったというところはありました。あの草案内容というのは突然どこからか一週間かけて完全な形で生まれてきたというものではありません。いろいろなものがあって、そこから生まれてきたというものであります。源はたくさんありました。

○大脇雅子君 どうもありがとうございます。

もう一つプールさんに御質問したいのは、そのマッカーサー・ノートが、「エンペラー・イズ・アット・ザ・ヘッド・オブ・ザ・ステート」という文言から始まっていますが、これはどういうふうに内容として認識されたんですか。私がとても興味があるのは、シンボルという言葉はいつ、だれが発案したものなんでしょうか。

○参考人(リチャード・A・プール君)(通訳) まず第一に、マッカーサー元帥というのは憲法学者ではありませんでした。マッカーサー氏は元首とそれから首脳の区別というのははっきりと認識していなかったと思います。その「アット・ザ・ヘッド・オブ・ザ・ステート」ということを書いたときには何を意味していたかはそんなに明確ではなかったと思います。そこで、こちらが彼はこういうことを意味しているのだろうと決めたわけです。それは立憲君主のことを言っているんだろうというふうに思ったわけであります。図を書けば、一番上にいるのが象徴的な地位になって、それから内閣があって、それから国会があって、そして国民がいるというふうになるんだろうと。これは何も重要度で順位がつけられるというわけでは必ずしもありませんけれども。

そこで我々は、ケーディス大佐の同意も得まして、そこでシンボルという言葉を使うことにしたのです。我々がこの言葉を発明したわけではありません。前に使われているところもあります。しかしながら、私の知る限り、まさにこの憲法草案の一部として使われたのはそのときが初めてだったと思います。でも、ほかの言葉を考えてもよかったわけですけれども、我々がその当時考えていたものをあらわす一番いい言葉がそれだったのです。象徴という言葉を使ったわけです。そして、それが我々が考えていたことの意味を一番よく伝える言葉だと思ったからなんです。そしてこの条項というのがみんなに受け入れていただけるというものになりました。

○会長(村上正邦君) ありがとうございます。

もう一問ね。

○大脇雅子君 もう一問、ベアテ・シロタ・ゴードンさんにお伺いします。

憲法二十四条の個人の尊厳と男女の本質的な平等というのは、もう私たちの魂の奥深く、勇気を与える言葉でありました。

一九七七年にスーザン・J・ファーさんという方にお述べになりましたときに、スーザン・J・ファーさんという学者の方が、ともかくどの分野で改革を必要とするか選定する権限というのは上部から人権委員会に課せられたものではなくて、委員会に任された、下から始められたものだというふうに述べておられるのですが、それは事実でしょうかということ。

それから、憲法二十四条の精神をめぐって、占領軍当局の軍人と文官の意見対立、それから日本政府の反対というのがあった。そして、女性運動はそれをどう受けとめていたのか。その当時のことについてもう少し詳しく話していただけるでしょうか。具体的に、どういう反対があってどういう対立があって、この憲法二十四条……

○参考人(ベアテ・シロタ・ゴードン君) 運営委員会の中でですか。日本の代表者じゃなくて、ケーディスとラウエルさんと、その人たちですか。

○大脇雅子君 そうです。それから日本政府も。先ほど日本文化に関すると言っていたんですけれども、ぜひ教えてください。

○参考人(ベアテ・シロタ・ゴードン君) それはちょっと長くなるかもしれませんけれども、どうぞ制限してください。

アメリカのケーディスとラウエルとハッシーは、本当にアメリカ憲法から来た人なんです。あの人たちは弁護士だったからすごくアメリカの憲法をよく知っていたんですよね。そこには女性については別に何も書いてありませんね。だから、アメリカの憲法にも社会福祉のこと、女性のためにも書いていなかったから、そこから来た人だったから、これは今度民法にどうしても入らなければならないけれども憲法には合わないという、そういう考え方だったんです。だから私がヨーロッパの憲法はそうじゃないと言っても、それはあの人たちにそんなに印象を与えなかったみたいです。

しかし、ケーディスさんが亡くなる前に、それは二年前だったんです、私に、もちろんあなたが言ったことは私たちよく聞いて、そしてそれを全部縮めることはすぐ決めなかったんですって。ホイットニー准将とそのことを話して、ホイットニー准将と相談して、そしてその後はそれを全部カットしちゃったんです。でも、すぐ決めることではなかったんです。だから、何かそのことはあの人たちの心に入ったみたいです。

しかし、今度運営委員会と日本政府との最後の会議には、日本側が、これはこういう権利は日本に合わない、文化に合わない、全部そういうことを言いました。しかし、大騒ぎであったんですけれども、余り議論にはならなかったのは、そのときには今度ケーディスさんがそれを制限したんです。だから、余りいろんな、ほかに私が今言った上には日本の代表者は何にも言いませんでした。それだけだったんです。

○大脇雅子君 女性運動の方の受けとめ方は何かその当時御存じでしたか。

○参考人(ベアテ・シロタ・ゴードン君) あのときの日本の女性運動ですか。

○大脇雅子君 例えば選挙がございましたね、その後。

○参考人(ベアテ・シロタ・ゴードン君) もちろんそれは私、自分の目でよく見ましたよ。私、最初の選挙に行って、そしてすごくびっくりしちゃった。だって、おばあさん、若い人、みんな出てきて投票したんです。だから、今もそういう人たちがみんな出てきて投票すればいいじゃないと思うんですよ。あのときはすごかったです。だから、あのときの二十二歳とあのときの五十歳も、今の二十二歳と五十歳よりよかったんじゃないですか。ごめんください。



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