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第 147 国会報告
憲法調査会
2000年2月16日 02 号

自由討議: 憲法調査会の基本的あり方


○大脇雅子君 憲法の制定から五十年余、憲法の基本的な原理、すなわち国民主権、平和主義、基本的人権保護の原則は、日本国民の暮らしに定着し、日本経済発展の基礎となり、国際的にも日本のアイデンティティーとなってきたと思います。

冷戦が終結し、なお民族紛争や局地的な戦争が絶えない今、日本の平和憲法は、核の時代の平和を先取りして世界の理想を体現し、世界のグランドデザインを描く憲法として光を放つようになったと考えます。平和主義、主権在民、基本的人権の原理はまさに普遍の原理であり、恒久的な規範であるべきだと思います。二十一世紀に光り輝く憲法として、この憲法は世界に広められるべきであり、暮らしに憲法は生かされるべきであると考えます。

この観点に立って、私どもは、憲法調査会の設置に反対をしてまいりましたが、積極的に議論に参加をしていきたいと思います。

運営について四点の意見を述べたいと思います。

一つは、まず、改憲を前提としないということであります。

憲法調査会設置法の目的は、「広範かつ総合的に調査を行う」としております。あくまで調査に徹するべきである。縦に歴史を見、横に世界を俯瞰いたしまして、骨太なあるべき国家像を語り合う中で、この調査が推進されるべきであると思います。そして、議案提案権を持たないということ、そして議長に報告をするというこの会のいわば魂のような部分はしっかりと守っていくべきであると思います。

ただ、一つ今国民が抱いている大きな疑問に触れたいと思います。

この憲法調査会は、結局焦点は憲法九条ではないか、九条を変えようとしているのではないか、人権に議論が敷衍してもそれは誘い水ではないか。こうした国民の議論を払拭し、本当に普遍的かつ恒常的な憲法の理念の我が国における政治とのかかわりをしっかり議論するために、九条が中心ではないということをしっかりと確認すべきであると思います。アジアの近隣諸国の懸念や警戒感は新ガイドラインの比ではないという我が国の置かれた立場も十分に留意すべきであると考えます。

第二に、憲法と現実の乖離が云々されておりますけれども、なぜこの現実が憲法と乖離してきたのかということは、国民の権利と生活の視点から検証し、五十年の総括をなさねばならないと思います。現実から出発し、憲法に引き寄せて、なぜこのような乖離があったのかということが、変遷過程を明らかにする中で議論すべきだと思います。

例えば、新しい人権議論に関しまして、環境基本法になぜ環境権が盛り込まれなかったのか。雇用機会均等法がなぜ憲法十四条に法のもとの平等がありながらかくもおくれて不十分なのか。外国人の参政権はなぜかくも長い議論を経てまだ実現していないのか。超憲法的機能を営む通達行政が国民の生活に及ぼしてきた効果というものをはっきり認識した上で、憲法を具現する個別の立法も視野に入れて、違憲訴訟の判例も踏まえながら、日常生活の中で人権を検証し、つくり上げる。そのためには常任委員会での議論も並行して行われるべきだと思います。

さらに、国際人権規約等、日本が人権後進国と言われるように、条約を批准してもその委員会から勧告や懸念が表明されています。国際条約もその射程に入れて、国際的な視野で我が国の議論を深めていかなければならないと思います。

第三に、公開の原則を確認したいと思います。

議事録の公開、傍聴はもちろんのことであります。今の日本国憲法は、憲法改正小委員会という秘密会で、公開されたのは一九九五年であります。一九五四年、改憲論が自民党から言われながら、四十年後に公開された。このようなことは二度としてはいけない。

私たちは、歴史の教訓として、国民のプレッシャーのない永田町の密室の議論としてはならない、そうした政治文化も変えていくということで、情報公開を徹底すべきだと思います。インターネットで議事録を公開し、パブリックコメントを手に入れて、党派を超えて意見の発表の機会を平等に与えていくということが重要だと思います。

そして第四番目に、拙速に反対であります。

五年をめどということになっております。憲法は主権者である国民のものであり、社会の基礎に憲法があって国民の自由が守られているわけであります。憲法は権力の行使をする我々の縛りをかけるルールでもあり、憲法擁護義務は我々が負っている義務であるということでありますから、十分に歴史認識とさらに現実の人権状況その他をしっかりと見詰めながら、二十一世紀に向けてこの議論を展開していくべきだと考えております。

終わります。



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