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第 145 国会報告
労働・社会政策委員会
1999年6月10日

派遣法・職安法改正ほか


○大脇雅子君 それでは、労働大臣にお尋ねをしたいと思います。

登録型など派遣労働者に対する派遣先による適正な派遣就業を確保するという観点から、派遣先による労働者派遣契約違反の是正とか防止の徹底を図るべきではないか。とりわけ、派遣先における責任の甘さということが指摘されている現状をどのようにお考えでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) 派遣先におきまして労働者派遣契約に違反をする事案が生じた場合、この場合には、まず、派遣先は違反について知っていたときはその違反状態を早急に是正すること、そして、労働者派遣契約に違反する行為を行った者及び当該派遣先責任者に対しまして労働者派遣契約を遵守させるために必要な措置を講ずること、さらに、派遣元事業主と十分に協議をした上で労働者派遣契約違反に対して損害賠償等の善後処理方策を講ずること等適切な措置を講ずべき旨を指針に明記いたしまして、派遣先による労働者派遣契約違反の防止等のための指導を徹底するということと考えております。

○大脇雅子君 法案中の同一業務及び継続という概念につきまして、その判断基準を客観的かつ明確に指針等で定めるとともに、実態においても派遣期間の制限を意図的に潜脱するような行為が生じないよう指導の徹底を図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) この点も先生を初め多くの委員から御指摘をされた点でありますが、同一業務及び継続の判断基準につきましては、中央職業安定審議会にお諮りをしました上で、指針に明確なものとなるように定めますとともに、派遣期間の制限を意図的に潜脱するような事態が生じないよう指針に基づきまして指導を徹底することとしたいと考えております。

○大脇雅子君 臨時的、一時的でない労働の需給調整のために派遣を使わないということが法の趣旨であると思います。潜脱防止はあらゆる判断基準をつくる際の基本原則でありまして、結果としての潜脱もまた許されないという視点で指針づくりをしていただきたいと思います。

次に、法第四十九条の二第二項の実効性を確保するために、指導、助言は文書で行うのか、口頭で行うのか。また、期限を設けて指導、助言する必要があると思います。さらに、指導、助言から勧告、企業名の公表までの全体の期間は最大限一カ月とするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) ただいまの点でございますが、指導、助言につきましては、派遣先によるその履行を確保するための派遣先の個別の事情に応じまして、また指導、助言の段階に応じまして、文書または口頭、いずれか適切な方法を採用したいというふうに考えております。

ただし、最終的に勧告を行う前提となる指導、助言につきましては、文書によりまして期限を設けて行うこととしたいというふうに考えております。

指導、助言から勧告、企業名の公表までの全体の期間についてでありますけれども、御指摘の趣旨を念頭に置きつつ、できる限り迅速な解決が図られるよう対処していきたいというふうに考えております。

○大脇雅子君 雇い入れ勧告制度における企業名の公表につきましては、先回、新聞等に発表すると言われましたが、制度の実効性を上げるために指導、助言、勧告に至る経過とか内容もあわせ明らかにする必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) 雇い入れ勧告制度の実効を高めるために企業名公表以外にも公表することが適当と考える事項もあるというふうに思われますので、御指摘の趣旨を踏まえまして、公表すべき事項を通達に明確に定めてまいりたいというふうに考えます。

○大脇雅子君 その事項は必要的な事項というものであって、制限的であってはならないと思いますので、その他の状況も踏まえるなど弾力的な公表ができるようにお決めいただきたいと思います。

次に、勧告における派遣労働者の雇い入れに関する民事的効力について先回お聞きをいたしました。労働大臣の勧告がなされるようなときには、派遣労働者が労働大臣、窓口のハローワークに申し出たときから通常は派遣労働者と派遣先との雇用関係の存在がみなされる、推定されるということは前回の質問で答弁いただいたと承知しております。

私は、これを踏まえまして、さらに明文規定を設ける等によって実効性を確保すべきものと考えますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) ただいまの点でありますが、改正法の施行後三年を経過したその後における労働者派遣法の規定についての検討に際しまして、御指摘の点について検討課題というふうにさせていただきたいと思います。

○大脇雅子君 法第二十六条第七項の派遣労働者を特定することを目的とする行為の制限規定があります。また、法四十条二項も派遣先における適正な派遣就業の確保等の規定があります。いずれも努力義務とされておりますが、より一層派遣労働者の保護を図るために、それぞれ義務規定に改めるべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) 御指摘の点につきましても、改正法の施行後三年を経過した後における労働者派遣法の規定についての検討に際しまして、検討課題というふうにさせていただきたいと考えております。

○大脇雅子君 過日、NHKテレビの「クローズアップ現代」を見ました。そこで取り上げられていた事例では、労働者を派遣元企業に転籍させ、そこから派遣労働者として受け入れて転籍前の業務と全く同じ業務に従事させるという、いわゆる専ら派遣の手法によるリストラ策を派遣会社が積極的に売り込んでいました。法第七条第一項第一号を「専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われるものでないこと。」と改正をした目的及び解釈によれば、こうした事例は違法であると考えられるわけです。厳正に許可の取り消し等行うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) ただいま御指摘の件につきましては、御説明にありましたように、派遣専用の子会社をつくって、労働者を当該子会社に転籍をさせて、そこから派遣労働者として受け入れて転籍前の業務に従事をさせようとするものでありまして、これを事業として行うということは御指摘のとおり改正法第七条第一項第一号によります許可基準に違反をいたしておりまして、許可は認められないというふうに考えております。

労働省といたしましては、専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行わないことを許可の条件として付与するということを予定しております。専ら派遣を行った事業所は許可の取り消しであるとか事業の停止等の行政処分の対象となると考えておりまして、このような措置の徹底によりまして専ら派遣の防止を図ってまいりたいと思っております。

○大脇雅子君 職業紹介や労働者派遣について年齢による差別的取り扱いを許さないということについて、私は法律に明文規定を置くべきではないかというふうに考えるものですが、明文化できないとしても、三年後の見直しにおいてはこれを検討課題としていただきたいと思います。この不合理な年齢差別を防止するために、指導の実施も含めまして実効性確保の措置を徹底しなければならないと考えますが、その点いかがでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) 合理的理由がなくて年齢による差別を行うことは不適切であるという旨を通達において明らかにいたしまして、職業紹介事業、労働者供給事業並びに労働者派遣事業について指導の徹底を図りたいと考えております。

なお、年齢による差別的取り扱いの問題につきましては、改正法の施行後三年を経過した後における職業安定法の規定についての検討に際しまして、検討課題とさせていただきたいと考えております。

○大脇雅子君 とりわけ中高年とか女性労働者においては、派遣労働に限らず、年齢差別というものが大きな壁となって自己の能力を発揮できないという状況にあります。私は、年齢差別というのはまさに違法であるというぐらいの法規制が必要だと考えておりますので、ぜひこの年齢と就労の問題、募集、採用の問題等きめ細やかに事例等を検討されまして、指針等に定められて指導を徹底していただきますようお願いをいたします。

最後に、厳しい雇用情勢のもとで、公共職業安定機関の機能強化というものがなされるということは評価されると思います。先回、ハローワーク等を私ども視察いたしまして、そこに実に深刻な事例を目の当たりにいたしました。求職者への紹介を初め、ハローワークにおける体制整備を十分図っていかないと法律を改正しても何の意味もないと考えます。

労働大臣のこうした体制整備に向けた決意を伺いまして、私の質問を終わります。

○国務大臣(甘利明君) 公共職業安定所が憲法に定めます勤労権及び職業選択の自由の保障のセーフティーネットとして役割を適切に発揮できますように、最近における求人求職双方のニーズの変化を踏まえた職業紹介、職業指導等の機能の拡充強化、そして求職者、派遣労働者等からの苦情等への対応の充実を図りますとともに、必要な体制整備に努めてまいりたいと考えております。



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