%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

 
<行動・集会への呼びかけ>
「日韓FTA交渉反対11月日韓共同行動」 ご参加・ご賛同の呼びかけ

■イラクの「主権移譲」に関してATTAC Japanの声明
(2004年6月30日)

■日韓共同声明 【私たちは日韓自由貿易協定の政府間交渉開始に反対します!】

■第二期脱WTO草の根キャンペーンの呼びかけ


■イラク現地報告 「復興ビジネス」が復興を遅らせている
(ハーバート・ドセナ
/フォーカス・オンザ・グローバル・サウス)

■来日したイラク人活動家リカービさんめぐるメディア報道を問う…
 「もう一つの報道は可能だ!」

第2回ヨーロッパ社会フォーラムでのイラク民衆パワー・コミュニケ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
WSF2004(第4回世界社会フォーラム in インド・ムンバイ)コーナーへ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
日韓自由貿易協定(FTA)交渉反対11月日韓共同行動
        ご参加・ご賛同のお願い


 
日韓両国政府は、さる8月23日から25日の3日間、韓国・慶州(キョンジュ)において日韓FTA第5回交渉を強行しました。これに対して、私たちは東京と慶州において日韓FTA交渉反対の抗議行動に日韓共同して取り組みました。とりわけ、現地・慶州においては民主労総をはじめ韓国の労働市民社会団体800名余の人びとが「韓日FTAが労働者民衆の権利を奪う!」と抗議行動に参加して交渉の中断を訴えました。

 日韓FTA交渉では、資本の自由な移動を保障するするために、その障害となるあらゆるものを関税障壁もしくは非関税障壁と捉え、その撤廃を検討しています。その中で、日本経団連や韓国に進出する日系企業の集団ソウルジャパンクラブ(SJC)の強い要請を受けて、日本政府は日韓FTA交渉において、韓国の活発な労働運動を非関税障壁と捉え、これの撤廃、つまり韓国労働運動を抑制・弾圧する条項を盛り込むことを検討しています。

 また、日韓FTA交渉には、WTOで検討され問題視されている多くの議題が含まれ、またWTOにも持ち込まれていない危険な議題が検討されています。農業分野では、日韓ともに食料自給率が低下している中でのFTAの実施は、両国民衆の大切な食料生産基盤をいっそう悪化させます。消費者の立場にたっても、「貿易の迅速化」の名分で行なわれる相互承認制度(MRA)の導入や衛生植物検疫(SPS)措置、食品規格委員会(コーデックス委員会、CAC)基準の導入などは、人の健康や食の安全を脅かす可能性があります。

 このように、「自由貿易の促進」の名の下に、私たちの大切な労働権・生活権・環境権・人権を破壊する協定が、私たちに公開されることなく密室で検討されているのです。

 次回の第6回日韓FTA交渉は、日本政府発表によれば11月1〜3日にかけて東京で行なわれます。民主労総と韓国の市民社会団体は、この第6回交渉に対して「日韓FTA阻止韓国民衆遠征闘争団」を組織し、70名以上で大挙、日本にやってくる計画をしています。

 私たちはこの遠征闘争団の受け入れと、第6回交渉に対して反対行動を準備していくために、「日韓FTA交渉に反対する11月日韓共同行動」実行委員会を立ち上げ、日韓の労働者民衆が共同して11月の日韓FTA第6回交渉に反対していく行動を起こすことにしました。

 資本のグローバリゼーションが世界を覆い、侵略戦争と構造「改革」の嵐が吹き荒れる今日の世界のありように、日韓労働者民衆が共同して大きな声で「NO!」の声をあげ、日韓FTA交渉の中断を訴える取り組みにしたいと考えています。「日韓FTA交渉に反対する11月日韓共同行動」に皆さまのご参加・賛同をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

2004年10月1日
「日韓FTA交渉に反対する11月日韓共同行動」実行委員会

【連絡先】
東京都台東区上野1-1-12新広小路ビル6F全統一労働組合気付 中小労組政策ネットワーク  内(TEL/FAX 03−5816−3960)

【賛同金】賛同金一口個人1000円/団体3000円 (遠征闘争団の来日には多大な費用が必要となりますので、できれば2口以上をお願いします)

【闘争日程】
●10月31日(日)団結まつり先遣隊参加・アピール

●11月1日(月)朝8時〜日韓FTA政府交渉抗議行動(終日実施:外務省)→10時〜記者会見(同所)→14時〜記者会見(外国人記者クラブ)→18時〜情宣行動(有楽町マリオン)

●11月2日(火)朝8時〜日韓FTA政府交渉抗議行動(外務省)→10時半〜外務省抗議行動→14時半〜日本経団連抗議行動→16時〜政府交渉抗議行動(外務省)→18時〜日韓FTA反対!日韓労働者民衆共同集会・デモ(東京渋谷・宮下公園)

●11月3日(水)朝8時〜日韓FTA政府交渉抗議行動(外務省)
→13時半〜国際コメ年NGO国際シンポジュウム(文京区民センター)
13時〜「持たざる者」の連帯行動(恵比寿公民館)集会・デモ(宮下公園まで)
13時〜国鉄闘う闘争団情宣活動(新橋駅SL前)
→18時〜遠征闘争団歓送会(文京区民センター)

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

2004年6月30日

イラクの「主権移譲」に関してATTAC Japanの声明

1. 私たちは、イラクは直ちにイラク民衆の手によってに民主的に建設され、民主主義を確立すべきであると考える。

2. 国連安保理決議1546は、米英が主導する多国籍軍による更なる占領を容認するものであり、新たな占領を意味する。同決議は占領と戦争に抵抗するイラク民衆の声を聞くことなく、ブッシュの戦略を正式に「是認」するためにのみ採択された。「暫定政権」は米国がイラク民衆を弾圧し、搾取、収奪するための米国の傀儡(かいらい)政権にすぎない。私たちは国連が介入するこのプロセスを糾弾し、「暫定政権」を認めない。

3. 私たちは、イラクにおいて占領を支援する、もしくは占領を支える役目を果たしている多国籍企業の存在を糾弾する。多国籍企業は、石油資源などイラク民衆が所有している資源を強奪し、イラク民衆がイラク民主政府の建設のために不可欠な公共サービスを徹底的に破壊するものである。私たちは、この意味におけるすべての多国籍企業が直ちにイラクから撤退することを要求する。

4. 私たちは、現在、イラク全土で様々な無数のイラク人たちが占領に対して抵抗運動に着手していることを知っている。私たちは、無差別なテロや暴力によらない、イラクにイラク民衆による民主政府の樹立を求めて立ち上がった抵抗運動を支持する。

5. 私たちは日本の自衛隊をはじめとする一切の占領軍が直ちにイラクから撤退することを要求する。さらに、小泉内閣が閣議決定した自衛隊の「多国籍軍」参加は憲法違反であり、戦争を否定し、平和を求めて日本全国から届く市民たちの声を踏みにじるものであり、さらに、イラク人によるイラク復興に対する軍事的、侵略的な挑戦でもある。私たちは、日本政府は米国に追随することなく、直ちにイラクから自衛隊を撤退させ、第9条を基本とする平和憲法を遵守するよう要求する。

6. 私たちは戦争と占領の即時終了を要求する。その実現のために、日本をはじめ、世界の様々な人々、グループ、団体、NGO、労働組合、ネットワークなどと共に行動を起こす。

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

<日韓共同声明>
【私たちは日韓自由貿易協定の政府間交渉開始に反対します!】

本日、日本政府と韓国政府は、ソウルで日韓自由貿易協定(以下、日韓FTAと略す)の政府間交渉を開始します。私たちは、この日韓FTAが、日本と韓国の労働者・民衆の基本的人権を損なう危険性をもつものであることを憂慮し、政府間交渉をただちに取り止め、日本と韓国の労働者・民衆の意見を収斂することを強く両国政府に要求するものです。

昨年3月、小泉首相の韓国訪問時に行なわれた金大中大統領との日韓首脳会談
において、産官学による日韓FTA共同研究会の設置が合意され、昨年7月からこんにちまで、8回にわたる日韓FTA共同研究会が開催されてきました。そして10月2日の最終研究会において「日韓FTA共同研究会報告書」(以下、報告書と略す)が取りまとめられ、小泉首相と盧武鉉大統領に提出された後、両首脳は10月に行なわれたASEANプラス3の会合とAPEC首脳会議の場で行なわれた日韓首脳会談で、年内の日韓FTA政府間交渉開始に合意したのでした。

しかし私たちは、この日韓FTA共同研究会が非公開で行なわれ、出席者の構成においても選定基準が公正ではなく、日本と韓国の民衆の声を代弁する両国の社会・市民団体および労働組合の参加がないまま報告書が作成され、それにもとづいてこれから日韓FTAの政府間交渉が開始されていくことに強い危惧の念を抱いています。

報告書では、対日赤字の増大など短期的には韓国側に不利だが、長期的には日韓産業間の戦略的提携がすすむことで両国に有利に働くと一方的に結論づけています。しかし、対日赤字の増大で倒産を強いられる韓国の中小零細企業や、戦略的提携による企業間の再編統合過程で、無慈悲に街頭に投げ出される日韓の労働者やその家族、民衆の境遇については、何ひとつ検討されていません。また農業分野では、日韓ともに食糧自給率が低下している中でのFTA実施は、双方民衆の大切な食糧生産基盤をいっそう悪化させます。

さらに、報告書の別添文書「NTM協議会において両国より提起された要請事項」に盛り込まれた日本側要請事項には、「“No-work  No-pay原則”を徹底すること」や「違法な労働行為に対し厳正かつ迅速な措置をとること」といった、本来、労使間によって決められるべき事柄を、「非関税障壁」として取り上げ、自主的な労働運動に規制を加えるような項目も挙がっています。今年1月に発効した日韓投資協定の交渉過程でも労働運動の規制を目的としたいわゆる「真摯条項」が日韓労働者・民衆の強い反発を呼びました。日韓FTA共同研究会の場でも、ソウル・ジャパン・クラブをはじめとする日本財界からの強い圧力のもとに「非関税措置(NTM)における労働関連の改善措置」が検討され、いままた日韓FTA政府間交渉に引き継がれようとしているのではないかという懸念を、私たちに抱かせるものとなっています。

私たちは如上のような日韓民衆の懸念が払拭されないまま、報告書にもとづいて日韓FTAの政府間交渉が開催されていくことに強く反対します。

以上のことから、私たちは日韓両国政府に、次のことを強く要求します。

1.日韓両国政府は、密室で進めてきた日韓FTA共同研究会と非関税措置(NTM)協議会の全過程を公開すること。

2.日韓両政府は、日韓FTA共同研究会における「非関税措置における労働関連の改善措置」の検討内容を全面的に白紙撤回すること。

3.日韓両政府は、日韓FTAが日韓両国の労働・人権・環境・生活・食糧におよぼす影響について、社会・市民団体および労働組合の全面的な参加のもとで、独立した包括的調査と検討作業を即刻実行すること。

4.この過程が全面的に実現されるまでは、労働・人権・環境・生活・食糧を侵害するおそれのある日韓FTAの政府間交渉をただちに中止すること。

2003年12月22日

◆◇「日韓FTA政府間交渉の開始に反対する日韓共同声明」賛同団体◆◇
(日本側52団体・50音順)
アジア共同行動(AWC)日本連絡会議/アジア共同行動―九州・山口実行委員会/アジア農民交流センター/アジア平和連合(APA)ジャパン/ATTAC京都/ATTAC Japan/「異議あり!日韓自由貿易協定」キャンペーン/遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン/今治宗教者平和の会/小川町シネクラブ/置賜百姓交流会/神奈川シティユニオン/韓国労働者支援連絡会議/北九州かわら版/協同センター・労働情報/国際環境NGO・FoE Japan/国際経済研究所/国際青年環境NGO A SEED Japan/在日韓国青年同盟東京本部/在日韓国民主統一連合/市民セクター政策機構/自由空間創楽邑/食政策センター ビジョン21/食・みどり・水と環境を守る埼玉県民会議/戦争に反対し、アジアの人々と共に行動する会(PAL)/全関東単一労働組合/全国一般労働組合全国協議会/全国一般労働組合全国協議会北九州合同労働組合(ユニオン北九州)/全国一般労働組合全国協議会山口連帯労働組合/全国労働組合連絡協議会/全石油昭和シェル労働組合/全統一労働組合/全日本建設運輸連帯労働組合/全日本農民組合連合会/脱WTO草の根キャンペーン/地球的課題の実験村/中小労組政策ネットワーク/特定非営利活動法人 AMネット(Advocacy and Monitoring Network on Sustainable Development)/日韓民衆連帯全国ネットワーク/日本消費者連盟/反資本主義行動(ACA)/反侵略アジア学生共同行動・山口/ピープルズ・プラン研究所/広島瀬戸内新聞経済部・経済政策ひろしまオンブズパーソン/フォーラム平和・人権・環境/「米海兵隊は日本にいらない!」意見広告を広げる東京・関東のつどい事務局/本郷文化フォーラム女性労働研究会/本郷文化フォーラム・ワーカーズスクール(HOWS)/ユニオンらくだ/横浜アクションリサーチセンター/労働運動活動者評議会

(韓国側54団体・カナダラ順)
自由貿易協定・WTO反対国民行動(傘下団体) 21世紀進歩学生連合/国際民主連帯/国際連帯政策情報センター/国際政治経済フォーラム/キリスト市民社会連帯/企業責任市民連帯/労働文化政策情報センター/労働人権会館/労働者ニュース制作団/労働者の力/労働組合企業経営研究所/緑色連合/みんな一緒に/文化連帯/民族和解自主統一協議会/民主労働党/民主社会のための弁護士の集い/民主主義民族統一全国連合/民主化のための全国教授協議会/民衆医療連合/保健医療団体連合/社会党/社会進歩のための民主連帯/新社会連帯/ソウル女性労働組合/スクリーンクォーター文化連帯/映画人会議/人権運動サランバン/全国農民会総連盟/全国公務員労働組合/全国農業協同組合労働組合/全国民主労働組合総連盟/全国言論労働組合/全国女性農民会総連合/全国畜協労働組合/全国学生代表者協議会/全国学生連帯会議/情報共有連帯 IP Left/進歩教育研究所/参与連帯/畜協中央会労働組合/平和人権連帯/学生行動連帯/韓国キリスト教農民会/韓国労働理論政策研究所/韓国労働組合総連盟/韓国農漁村社会研究所/韓国民族芸術人総連合/韓国女性民友会/韓国女性団体連合/韓国カトリック農民会/環境運動連合/韓国独立映画協会/KIN 地球村同胞青年連帯

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

 ◆◇第二期脱WTO草の根キャンペーン呼びかけ◇◆

 2003年9月、メキシコ・カンクンで開かれたWTO第5回閣僚会議は、何の合意も得られないまま閉幕しました。閣僚会議決裂の背景には、一部先進国主導の会議運営と経済秩序づくりへの途上国の反発がありました。またその背後には、貧富の差をますます拡大する経済社会システム(以下、グローバリゼーション)に正面かkら対峙し、「もうひとつの世の中」を求めて、暮らしの場で、生産点で、職場で、地域で、街頭で闘う世界の民衆のパワーがありました。カンクンにも数万の民衆が結集し、韓国農民イ・ギョンヘ氏の抗議の自死という痛ましい犠牲の上に、閣僚会議を破産に追い込むパワーを発揮しました。

 2003年5月、カンクン閣僚会議に向け、暮らし、働く現場から、WTOに異議を申し立て、グローバリゼーションに対峙する運動をつくりあげようと発足した「脱WTO草の根キャンペーン」は、地域で、職場で、市民、農民、労働者をつなぐこれまでにない運動をつくりあげ、さらに反戦・平和の闘いとグローバリゼーションに対する闘いを結合させる運動の第一歩をつくり出すことに成功しました。9月13日には、東京で”NO WAR、NO WTO”を掲げた集会とデモを成功させましたが、これはカンクンへ向け、世界の民衆運動が歩調を合わせて取り組んだ国際行動の一環でもありました。また、韓国の労働者、タイの農村活動家、アジアに基盤を置いてグローバリゼーションに対する闘いを国際的に展開しているNGO活動家などを招聘し、アジアの民衆運動との連携をつくり出すこともできました。こうした国内の運動の基盤の上に、私たちの運動はカンクン会議を失敗に追い込んだ世界の民衆運動のパワーの一翼を担うことができたのです。

 しかし、WTO・グローバリゼーションに対する闘いは終わったわけではありません。カンクン後の世界は、新しい議題をはらみながら、一層の運動の強化の必要性を私たちに突きつけています。WTOの頓挫を受け、政府・経済界は二国間あるいは地域内の自由貿易を進めるFTA(自由貿易協定)締結に向け、急速に動き出しました。世界を網の目のようにつなごうとするFTAに対する運動は、大きく立ち遅れているのが現状です。いま私たちは一層、アジアの草の根の運動の連携を強め、国境を越えた民衆の連帯をつくり出す必要があります。

 同時に、それぞれの国内での運動を強め、自由貿易とそれに基づく市場原理主義を信奉する各国政府の政策を、人々の暮らしと人権、環境、平和を何より第一とする方向に転換させなければばりません。そのためにも、地域や職場、生産や消費の場で、働く者の人権を守り、安心して暮らせる世の中をつくろうとしている人々の実践を大切にし、その動きを横につなげる運動が必要になります。こうした運動を積み上げる中で、私たちは、何者も搾取せず、何者にも搾取されない自立した暮らしと公正な経済の仕組み、「もうひとつの世界」作り出すことができるのです。

 何より緊急の課題として、私たちは経済のグローバル化と戦争のグローバル化は表裏の関係にあることを直視し、そのことを一体としてとらえる運動の一層の発展を目指していきたいと思います。

 これまで半年に及ぶ運動の成果を一層発展させ、その基盤の上に上記の課題を追求するために、私たちは「第2期脱WTO草の根キャンペーン」を立ち上げることを決意しました。第1期を大きく上回る組織、個人の方々の参加・賛同を呼びかけます。ともに歩みましょう。

 私たちは当面、以下のことに取り組みます。
1、私たちの主張と運動を裏付ける政策づくりと提言活動。
2、FTAに対抗するアジアにおける運動の交流。
3、世界の小農業を守り育てるための「小規模農業保護育成基金」(仮称)の提案と実現に向けての運動。
4、それぞれの地域に「脱WTO草の根キャンペーン実行委員会」立ち上げを呼びかける。
5、さまざまな課題を掲げ地域、職場で進められている運動との連携を強める。

      2003年10月18日 脱WTO草の根キャンペーン全国実行委員会

***********************************************************
◆脱WTO草の根キャンペーン全国実行委員会に賛同願います
 ◎賛同金;個人一口1000円、団体一口3000円
 ◎郵便振替口座:口座番号:00190−7−2500
         名義人:脱WTOキャンペーン
 ◎お名前(所属など)・団体名                               
  <ご連絡先>住所:〒                  
        電話:      FAX:      Eメール:
 □送り先:Eメール; owner-derail_wto@freeml.com
      FAX;03−5684−5870
 <電話問い合わせ>TEL;03-3813-6492(アタック・ジャパン)

■詳細は、http://www.angel.ne.jp/~globalmarch/(第2期脱WTO草の根キャンペーン・サイトまで)
 

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

イラク現地報告:「復興ビジネス」が復興を遅らせている
       ハーバート・ドセナ(フォーカス・オンザ・グローバル・サウス)

米国が主導するイラク復興が行き詰まっている。その原因は、復興よりもビジネスが目的とされていることにある。筆者は十二月にイラクを訪問した。このレポートは一月一三日付で、「フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウス」のウェブページに掲載されたものである(原題は「復興の収支」)。

侵略から九カ月を経過して、常態化した電力不足、深刻な石油不足、大量の失業によって示される生活条件の劣悪化は米国が主導するイラク復興の失敗を際立たせている。治安の問題や行政能力の欠如もその原因の一部であるが、問題をより適切に説明しているのは、米国とその請け負い企業が戦後の報奨金の分け前をできるだけ多く手に入れようとしているという事情である。

たとえ占領が完全にうまくいっているとしても、それは間違った行為である。これが占領の失敗を強く望んでいるが、自分たちの国の復興が成功することを期待しているイラクの人々の間での一般的な意見になってきた。占領者たちがどれほど首尾よく復興を成し遂げようとしたとしても、米国と米国の企業はこの地にとどまるいかなる権利も持っていない。

しかし、イラクの人々を一層憤慨させているのは、彼らが復興を試みようとすらしていないことである。

電気もガスも給料もない
バグダッドのダウンタウンのほとんどの地域は、今でも夜は暗闇に包まれ、警察の青と赤のライトが通りを照らし、断続的な銃声が沈黙を破るだけである。どう考えても、解放の喜びにあふれた首都の光景ではない。イラクの大部分の人々が一日十六時間(平均)も続く停電にうんざりしている。暗闇の中でパーティーをするのはちょっと難しい。電球を取り替えるために何人の米兵が必要だというのだろうか? これまでに十三万人がやってきたが、期待しても無駄だ。
市内の南の地区では、自動車が二列に並んでいる。この列は道路に沿って蛇行しながら、チグリス川の橋を越えて、三キロにわたって続いている。終着点は鉄条網に囲まれ、ハンビー(米陸軍の車両)と装甲車によって守られたガソリン・スタンドだ。営業終了時間になると、ほとんどの客は自動車を停車したまま帰る。順番を放棄して翌日に始めから並ぶのはたまらないからだ。世界第二の石油埋蔵量を誇る国で、ガソリンのために夜通しで行列ができる。

日中は、イラクの千二百万人の失業者の一部がグリーンゾーンの第三チェックポイント前に群がる。ここは要塞化されたCPA(連合軍暫定当局)の本部である。米国人が自分たちの「タコ壺」から出てきた彼らの履歴書を受け取るという可能性はほとんどないが、それでも人々は毎日やって来る。運試しにホテルのロビーにやって来て、運転手や通訳を探しているジャーナリストやNGOの活動家に群がる人たちもいる。

職を失った多くの大学教授や技術者、公務員がタクシー運転手になったので、バグダッドは今では教育水準が高いタクシー運転手の数では世界一だろう。彼らに話しかけると、彼らはたいてい、「サダム・フセインでさえ、こんなひどい失敗はしない」と言うだろう。これは今では常識となっている。

苛立ちが信頼を上回る
彼らはフセインの復帰を望んでいるわけではないが、占領軍が電灯を付け替えるといった単純な仕事にすら完全に失敗するとは思ってもいなかった。電気が使えないことが大部分のイラクの人々の最大の不満である。このほかにも不満のリストは続く。電話回線が敷設されていない、学校の修復がいい加減だ、道路が通行できない、ゴミが収集されない、下水が破損している、行政機構が機能していない、大量の失業と貧困の拡大。イラクはいまだに、予想を越える混沌の中にある。

生活は前よりも悪くなっているというがイラクの人々の一般的な意見である。支配的な感情として、憤激と諦め、苛立ちと懐疑が複雑に入り混じっている。イラクの人々は一方では占領を苦々しく感じているが、多くの人々は毎日の生存を米国に頼らざるを得ないことを仕方がないと考えている。その一方で、彼らには、世界で唯一の超大国が、これだけの時間と金がありながら、復興プロセスを軌道に乗せられていないことを信じられない。

米国はイラク人があまりに多くのことを、あまりに短期間にできると期待していると言っている。CPAのバグダッド地域調整官であるテッド・モースは「問題は純粋に時間の問題だ」と説明する。「紛争状態にあるときに、人々は、物事がすぐにできると考えがちだ。しかし、それは不可能だ」。

しかし、イラクの人々は1991年に、それが不可能でないことを示した。バグダッドのダウラ発電所の管理者であるジャナン・ベフマンさんによると、第一次湾岸戦争の後、国連の制裁にも関わらず、イラクの行政機関と技術者たちはわずか三カ月で発電能力を戦争前の水準まで回復できた。現在は、すでに九カ月近くになり、しかもフーバーダムをはじめ世界最大の建設工事のいくつかを手がけてきたベクテル社が関与しているにも関わらず、イラクの発電所は必要な電力(二万メガワット)の二〇%以下の三千六百ワットしか供給していない。

ベクテルの作業員を軍が警備
もちろん占領軍は認めないだろうが、問題の多くは、違法な占領が続く限り何もできないようにするという抵抗運動の成功によるものかも知れない。抵抗運動のために占領当局は爆弾を避けるのに精一杯で、イラクの人々の雇用を提供するといった「取るに足りない」問題のために時間を割くことができない。抵抗運動が戦闘員だけでなく、占領から利益を得ている人たちをも標的にしているために、請け負い業者たちが厳重に守られた区域の外に出ることは期待できないだろう。たとえば、ベクテルの従業員が移動するときは、必ず軍のヘリコプターか装甲輸送車を使い、各車両に最低一人の狙撃兵が配置される。

混乱の多くはまた、イラクを統治している人々の不適格さや経験の欠如に帰せられるだろう。グリーンゾーンに陣取った行政官たちが行政の経験をほとんど、あるいは全く持っていないことについて多くのことが語られてきた。関与している種々の機関の間での混乱や連携の悪さについても多くのことが報告されてきた。しかも、これまでの植民地行政がそうであったように、もっとも優秀で賢明な者たちを集めて、遠隔の地で、銃で迎えられる危険な部署へ再配置するというのは、多くの場合困難である。

「月を隠す」
しかし、治安の問題や担当者の不適格さは、全体の複合的な問題の一部ではあるが、復興活動がこれまで明らかに失敗している理由を十分に説明するものではない。

第一に、最近のギャロップの世論調査によると、米国が民主主義を確立するために介入したと考えている人は(質問された人の)わずか一%であるが、それでも大多数の人々は占領に反対する闘いに積極的に参加しているわけではない。抵抗運動は拡大しているが、まだインティファーダにはなっていない。米国がイラクを支援するために駐留していると考えている人はわずか六%だが、復興を支援する位置にあるイラク人たちは、実際にその活動が進むことを望んでいる。彼らによると、それは占領軍を支援するためではなく、石油と電気を使えるようにするためである。イラク人たちは必ずしも米国人が好きではないが、冬の朝には熱い飲み物を飲みたいと思っている。

ダウラの精油所の所長であるダザール・アル・クシャブさんは、「これがシステムなら、従わざるをえない。これが物事を進める唯一の方法なのだから、そうするほかない」と言う。他の公共施設の管理者たちも同じように言っている。石油産業の一般労働者も、交渉を有利に進める手段として、あるいは占領を妨害する手段として精油所を閉鎖することは躊躇している。彼らは一方で、それが米国を立ち往生させるために有効であることを知っている。他方では、それがイラクの人々の及ぼす影響を恐れている。しかし、連合軍を支持するかどうかという質問に対しては、サザン・オイル社労働組合のリーダーであるハッサン・ムミアさんは明確に答えた。「月を隠すことはできない。すべての誠実なイラク人は占領を拒否するべきだ」と。

犬のように
しかし、担当者の不適格さという非難は、完全には当たっていない。なぜなら、不公正な入札や疑惑に満ちた人脈についてのあらゆる主張にも関わらず、ベクテルやハリバートンがその業務についての知識がないと非難するのは無理がある。

ベクテルは全世界でプロジェクトを手がけており、世界最大の建設会社の一つであり、歴史上最も壮大な建設事業をいくつか完成させてきた。ハリバートンは、数十年にわたって世界中の油井や製油設備を修理してきた。イラクの官僚でさえ、技術的な観点から見ればこれらの米国企業と提携するべきだということを認めている。このような不本意な敬意が徐々に失望に変わりつつある時、イラクの人々はこれらの企業がどうして彼らの期待を裏切ることになったのかと、ますます当惑を深めている。

広く流布されているもう一つの有力な説明は、復興の遅れが占領軍による、イラク人を完全に従属させるための意図的で計画的な行動であるというものだ。犬を空腹にさせておけば、吠えなくなるだけでなく、どこへでも主人について行くようになるというわけである。

この説の難点は、復興プロセスが比較的非集権的なプロセスであり、数十の企業や請け負い業者が関与しており、わざと失敗するようにはっきりと指示することがほぼ不可能だという点である。しかも、抵抗運動の拡大に直面して、この戦術は非常に危険である。なぜなら、それは「イラク人の心をつかむ」ための努力を無に帰してしまうからである。犬を空腹にさせておくと、絶望的になって、獰猛になってしまう可能性もある。

メード・イン・USA
なぜ復興がこれまで失敗してきたかを解明するカギが、バスラ(バグダッドの南にあるイラク第二の都市)のナジビヤ発電所にあった。二基の老朽化したタービンの間に、真新しい大型の空調設備が置かれていた。オクラホマ州のヨーク社から遠路はるばる運ばれてきたものだ。各装置の片側に、「メード・イン・USA」のマークを誇らしげに示した華やかなステッカーが貼られている。(星条旗の)星と縞もあしらわれている。

これはこの時期にイラクには必要のないものである。イラク電力相の南部地域の責任者であるヤールブ・ジャシムさんはベクテル社に対して、老朽化したタービンの交換用部品が緊急に必要であり、至急送るよう要請していた。「私たちはベクテルに、電力の需要が非常に大きく、この需要を満たさなければならないから、助けてほしいと何度も頼んだ。本当に何度も頼んだ」。二週間前に、ベクテルがやっと来た。しかし、ジャシムさんが要請したものではなく、ベクテルが送ってきたのは空調設備だった。それは六カ月後の夏まで、全く無用である。

「たとえ空調設備がいつかは役に立つとしても、他の交換用部品のほうがはるかに重要だ」と発電所の所長のハマド・サレムさんは強調する。サレムさんによると、空調設備はベクテルに提出した設備や部品のリストにも含まれていない。

米国製でない設備
ジャシムさんによると、理想的には交換用部品は製造国から入手するのが適切だ。なぜなら、入手しやすいし、技術的にも適合しやすいからだ。不幸なことに、イラクの発電所はフランス、ロシア、ドイツ、日本の企業から供給されたものだ。日本を除く三国は先週、米国国防総省から、イラクにおける契約受注を拒否された。一見すれば、タービンに星と縞をあしらったロゴが付いていないことは明らかである。たとえば、ナジビヤ発電所の老朽化したタービンは、いまだに「ソ連製」と書かれたプレートが誇らしげに貼られている。

では、なぜ要請した交換用部品が送られてこないのか?
ジャシムさんは、そっけない言い方で、あたかも答えは自明であるかのように、「米国政府によってベクテル以外の企業の関与が許されていないからだ」と語った。

他の取引を禁止されている企業と違って、ベクテルは必要な要件を満たしている。創業以来、ベクテル社の役員は現在数十億ドルの契約を分配している政府の内外に、永年にわたる親密な縁故関係を築いてきた。たとえば、ベクテルの役員であるジョージ・シュルツはニクソン政権の財務長官、レーガン政権の国務長官、そして(偶然にも)イラク解放委員会の会長を務めている。また、元CIA長官のジョン・マッコーンや、元国防長官のカスパー・ワインバーガー、元NATO連合最高司令官のジャック・シーハンもベクトル社の元役員である。

壮大なビジネス計画
フランス、ロシア、ドイツ、日本製の発電設備が緊急の復旧を待ちながら、徐々に解体している。発電所では、労働者たちがタービンを最大限に活用しようと、錆びついた高熱用パイプに鍋を載せてコメを炊いている。発電所を早急に復旧しなければ、修理しても使えなくなるとジャシムさんは警告する。

イラクの深刻な電力不足を解消し、タービンが完全に修理不能になるのを防ぐために、ベクテルは速やかに、必要な交換用部品を自社で製造するか(これは非常に多くの時間とコストを要する)、ロシアの企業から直接に購入するか、またはロシアの企業を下請けとして採用するべきである。それとも彼らは解体しつつあるタービンが完全に使用不能になるまで放置するつもりなのか。そうすれば彼らは新規の、総工費数十億ドルの発電所の建設に入札できる。

皮肉なことに、ベクテルが受注した契約の中には、「将来の長期的なニーズおよび投資に関するロードマップの作成」が含まれる。つまり、ベクテルは現在、イラクと米国の納税者が納めた金を使って、イラクの人々が将来何を「必要とする」かを決定する仕事を請け負っている。独立的な機関が行った推定によると、ベクテルは今後数年間に、最大二百億ドルにのぼる復興関連の契約を受注できる立場にある。

しかし、ベクテルがイラクの電力部門についての壮大な計画を持っているとしても、彼らはイラクの人々にはそれを知らせていない。私がインタビューした発電所の管理者たちは、イラクの戦略的エネルギー計画に関して何の相談も受けていないと語った。ベクテルの幹部たちは、必要な部品を納入するのになぜこんなに時間がかかっているのかを説明しようとすらしない。「彼らは書類を集めているだけだ」とジャシムさんは言う。

復旧が遅れるほど儲かる
電力部門と同じ問題が、他の分野でもっと大きなパターンを描いている。
イラクの人々がガソリンのために五時間も並ばなければならないのは、パイプラインが破壊されたためだけではない。精油所を稼動させるために必要な電力が制約されているためでもある。精油所は、石油関連施設の復旧を請け負っているハリバートンの子会社、ケロッグ・ブラウン・アンド・ルート(KBR)社の迅速な行動を強く求めている。KBRが復旧を請け負っているバスラのサウス・オイル社の労働者たちによると、KBRが実際に修理を行った形跡はない。

イラクの精油所が復旧を待つ間、イラクは国内消費を満たすために十分な量の精製を行うことができない。代わりに米国はイラクの原油を輸出して、KBRを通じて、隣国のトルコやクウェートからガソリンを輸入している。KBRとの間で、入札なしで、経費プラス固定利益率という内容の契約が結ばれている。

十二月末に、国防総省の正式の調査によって、KBRが米国政府に対して、ガソリンの輸入代金として他の業者の二倍の金額を請求していることが明らかにされた。しかし、石油関連施設の復旧とガソリン輸入の両方をKBRに委託することによって当然にも発生する矛盾した利害については語られていない。イラクのパイプラインと精油所が早期にフル稼働できるようになり、イラクが必要な石油の全量を精製できるようになれば、KBRのガソリン輸入ビジネスでのボロ儲けは終わりである。

KBRが意図的に精油設備の修理を遅らせているという証拠はないが、修理を急ぐことを躊躇させる明らかな動機がある。精油所の復旧を委託された企業が同時に、この産業が壊滅的な状態にあることによって利益を得ていることから生じる矛盾は、重大であるにもかかわらず見過ごされている問題である。

予算がない?
CPA(連合軍暫定当局)の本部の周りには、前政権の職員の小さな、無秩序なグループが群がり、「今すぐ給料が必要だ」と書かれた横断幕を広げていた。彼らは十カ月分の未払い賃金の支払いを要求していた。彼らの代表格のカリム・ハシンさんは「私たちはあなた方がサダムから私たちの命を救ったことに感謝する。しかし、私たちは生きたい。だから、あなた方は私たちを支援するべきだ」と憤りを込めて、CPAを防御している高さ三メートル余の無言の壁に向かって語った。「ポール・ブレマーは私たちに給与を約束した。私たちはそれを直接に聞いた。この約束はどうなったのか」。

国防総省によるKBRの調査報告が公表された翌日、米国によって設立された新イラク軍(兵員七百人)の兵士三百人が不当な低賃金を非難して離隊した。離隊者の大部分はフセインの旧軍から徴募された。彼らは月給わずか五十ドルで忠誠の相手を占領軍に切り換えた。彼らは軍創設を請け負ったヴィンネル社による訓練を受けた。彼らが新しい主人に要求したのは、月百二十ドルへの賃上げだけだった。これによる追加支出は月四万九千ドルにすぎない。米国がイラクに投じている月四十億ドルの軍事費と比べれば小さな額であり、KBRが過剰に請求した六千百万ドルと比べても取るに足りない金額である。

このような状況について聞くと、あたかも占領軍が非常に厳しい予算でイラクを解放しようとしているように見えるかも知れない。米国によって確立された官僚機構に協力することを選んだイラクの人たちの常套文句は「金がない」だ。たとえば、イラクのアエム・アル・サマレー電力相は、電力省が発電量の大幅増強に失敗している理由の説明を求められた時、しぶしぶと「電力省には全く金がない」と認めた。

実際、バグダッドの表面だけを見て、補修されていない道路や老朽化した機械、憤りを露わにした労働者たち、信じられないほどの長さのガソリンを求める行列から判断すれば、イラクの復興の問題をそれによって説明するのは、非常に説得力があるようだ。復興努力がはかどらないのは金がないからだという説明は、非常にもっともらしく聞こえる。

巨額の予算がベクテルに回っている
しかし、事実はそうではない。(〇三年)十一月に米国議会は、ブッシュの八百七十億ドルのイラク復興支援費を、わずか一人の反対で、最終的に承認した。それまでに米国はすでにイラクとアフガニスタンに約七百九十億ドルを使っている。その上に、米国は国連によって承認されているイラク開発基金(DFI)を完全に管理下に置いている。DFIは前政権の全資産と、イラクの石油輸出による過去および将来の収入(国連石油食糧計画からの繰越金を含む)を含んでいる。

(〇三年の)年末までにDFIが占領軍に提供した基金は総額百億ドルに達すだろう。占領軍はさらに、十月にマドリードで開催されたイラク支援国会議で提案された百三十億ドル(推定)の供与・借款からも数十億ドルを、その間接的な管理下で使うことができる。

書類上は、ベクテルなどの請負企業に支払われる金には、米国の納税者が納めた税金が使われる。しかし、実際にはイラクの復興のために使われるすべての金は、米国と他の連合国からの援助と、イラク自身の基金がミックスされたものである。

だから、金はある。それが行き渡っていないだけである。そして、おそらくはここにこそ世界の超大国と世界最大規模の企業群が九カ月近くもかかって、イラク復興の端緒にもついていないのはなぜかという謎の答えがある。復興は、復興そのものが目的ではなく、最大限の金儲けが目的とされているのである。

レイソン、ボーイング、ノースロップ・グラマンなどの企業は、米国が毎月イラクで軍事予算として使っている四十億ドルの分け前を得るだろう。しかし、新イラク軍に徴募された兵士のためには、追加の予算はない。ベクテルがオクラホマで製造した無用の空調設備には、六億8千万ドルの入札なしの契約から支払いが行われるが、ナジビア発電所が緊急に必要としているロシア製の部品のための予算はない。ハリバートンとその請負企業はクウェートから石油を輸入することで六千百万ドルを掠め取ったが、イラクの精油所の労働者の賃金が引き上げられることはない。

米国にとって、占領のための基金を確保するのはますます難しくなっているが、復興の最も緊急を要する分野に取り組むには十分な金がある。しかし、復興から利益を上げている企業は、可能な最大限の分け前を確保しつづけることを決意している。その収支決算が、復興をめぐる大混乱である。

「平和を望むなら、賃金を支払え」
KBRに業務を委託した米陸軍技術部隊の広報担当のリチャード・ダウリングは、「利益という動機こそ、企業を危険な場所に赴かせる。しかし、それが資本主義というものだ。企業に困難な仕事を引き受けさせるためには利益が必要だ。確かに利益が動機になっているが、結果は、遂行された業務によって判断される」と説明する。

問題は、ベクテルとKBRの例が最も端的に証明しているように、業務は半分も遂行されていないということである。利潤の極大化は、電力と石油生産の最も効率的な復興をもたらさなかった。逆に、それは復興を効率的に進める妨げになっている。発電所はいつかは建設されるだろうし、精油所は操業を再開するだろうが、それはイラク人たちに不要な苦しみを与え、ベクテルが最大限の利益を手にした後のことだろう。

「イラクを解放するための戦争」はイラク人たちを解放するためではなかった。同様に、復興ビジネスがイラクの復興のためではないとしても、驚くことではない。この占領における米国とその同盟国の第一の目的は、彼らが破壊したものを再建することではない。それは大儲けをすることである。ベクテルやKBRのような請負企業は、何が起ころうとも支払いを保証されている。発電所が最終的に建設されるかどうかは二次的な問題なのだ。それは金儲けの口実を正当化するためにすぎない。戦争は必要だったし、破壊されたものは再建されなければならない、というわけである。

ベクテルの創業者であるステファン・ベクテルが以前に明言したように、「われわれは建設やエンジニアリングのビジネスに携わっているのではなく、金儲けのビジネスに携わっているのだ」。イラクの復興は、第二次世界大戦以降の最大の復興計画として打ち出され、占領期間にもよるが、総額千億ドル(二千億ドルという説もある)を要すると予想されている。請負企業にとっては、復興ビジネスですらなく、千億ドルの「つかみ取り」である。

復興プロセスがイラクの人々を幻滅させつづけている中で、米国がイラクの人々を助けるために来ているという神話は徐々に崩壊しつつある。電灯も、ガソリンも、給料も手に入らない状況で、ますます多くの人々が、暗闇を呪うだけでは治まらなくなっている。CPAのゲートの前で抗議していたハシムさんは、「米国人たちがもし平和に暮らしたいなら、私たちの賃金を支払え。そうでないと、次は武器を持ってくるぞ」と警告した。

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

◆◇もうひとつの報道は可能だ!◇◆
〜イラク人、リカービ氏とメディア報道〜 ATTAC Japan(首都圏事務局)

 12月3日、来日中のフランス在住イラク人、アブドルアミール・アル・リカービ氏が小泉首相と握手するNHKのテレビニュース映像が日本だけでなく、世界を駆け巡りました(NHK総合夜7時、BS7午後数回いずれもトップ扱い。テレビ朝日、同夜ニュース・ステーションなど)ヨーロッパでこの映像を見たリカービ氏を知る関係者、ジャーナリスト、市民たちが疑問を持ち、私たちのメンバーに連絡をしてきました。

 実は、これに先立つ3週間前、米英によるイラク戦争や占領に反対し、ネオリベラル経済のグローバリゼーションに反対する第2回ヨーロッパ社会フォーラムがフランス・パリで行われ、私たちのメンバーが参加していました。その際、イラク占領統治をめぐるシンポジウムで、パネラーの一人であったリカービ氏が会場からの質問に対して「自衛隊派遣は不必要であり、有害である」として反対の立場を明らかにしていたのを直接聞いていたのです。このヨーロッパ社会フォーラムに参加したメンバーが、NHKなどで報道が流れた夜、NHK、テレビ朝日の報道姿勢に電話で抗議しました。

 翌12月4日の各新聞朝刊では、小泉氏と握手するリカービ氏の写真入り記事が一斉に紙面をかざりました。報道内容は、2名の外交官殺害事件の直後ということで、自衛隊派遣予定地であるイラク南部の部族長の息子が日本による早期の復興支援を求めている、という政府や招待側の言い分や情報だけでした。ここでは現在最も関心のもたれている「自衛隊派遣」に関する内容は、不思議なことにまったくありませんでした。

 リカービ氏来日に関与したのは中東研究者の佐々木良昭氏(元拓殖大学教授で昨年、日本刀で学生の腹部を刺し懲戒免職!)と東京財団(日本財団などの出資で設立)、そして首相秘書官の飯島勲氏です。また来日にまつわるきたないやり方(たとえばThe Nippon Foundation 日本財団とThe Japan Foundation 国際交流基金の意図的混用など)が、関係者からの情報で伝えられました。

 私たちは12月4日夕方、世界中の友人たちのネットワークに支援され、政府や招待者の厳重な監視の目をくぐり、リカービ氏(および複数のイラク人)と直接会合を持ち話し合いました。ここで私たちは、リカービ氏が求めている、イラクの現状に対する政治的主張(下記)がまったく報道されていないことを本人に伝えました。また自衛隊派遣に賛成であるかのような脈絡で政府側に利用されていることを指摘しました。そして私たちは「自衛隊の派遣に対して反対」の立場を3週間前と同様に明らかにしてくれるよう申し入れました。そしてそれを実現するには、招待側を介さずにメディア・ジャーナリストの取材に直接応じるよう、方法を含めて説得しました。

 また私たちの側もテレビ、新聞、インターネットなどに積極的に情報を提供し、民主化指導者リカービ氏の政治主張を滞在中に自由に表明できるよう側面から積極支援することを約束しました。(12月6日付け朝日新聞朝刊の顔写真入りの記事はそのささやかな成果の一例です。)

 メディアの現状を改革し、報道の自由と独立を堅持するのは、私たち全員の仕事です。送り手であるメディアで働くジャーナリストと受け手である読者や視聴者の相互批判に基づく協力関係こそが問われているともいえるでしょう。「もうひとつの報道は可能だ!」「もうひとつの世界は可能だ!」
                                         2003.12.07

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

第2回ヨーロッパ社会フォーラムでのイラク民衆パワー・コミュニケ
 
                                    2003年11月15日

 2003年欧州社会フォーラムに際し、私たち、あらゆる傾向のイラクの民衆パワーの代表者はイラク憲法制定国民会議の準備委員会事務局を設置することを表明する。

 このイニシアティヴは、私たちの国が攻撃され占領されてから、継続して闘われている闘いの流れに位置するものである。私たちは2003年5月18-21日に催された戦争に反対する国際会議に出席するためにジャカルタに行った。その席上で、私たちは、最も自立した形で憲法制定国民会議を設立するイラク民衆の権利を支援してほしいと要望した。この国民会議は、占領を支持する者たちと、占領軍によって破壊された後、新しいイラク国家を樹立するために新しい体制を自由に選択できるイラク民衆の権利を擁護する者たちの間に、明確な区別の線を引くものである。

 この解決なしには、危機と不安と暴力しかないだろう。どんなか形であれ、戦車の力によってイラク民衆を従わせようとするような権力の形や、政府・会議は、あらゆる形態の抵抗を作りだし、それを補強するだろう。イラク統治評議会が安定へ導き、同意を得た占領の終焉となると主張することは、虚為でしかない。

 私たちの視点では、イラク人の安全確保と国全体の和解の出発点は、イラク民衆のすべての傾向、すべての属している共同体、すべての信仰などイラク社会を形成しているところの代表者の集合体を通してしか、実現不可能である。この憲法制定会議は占領軍のあらゆる介入の埒外で設立されるだろうし、世界中の組織や世界に住む民衆のパワーによって支持されるに違いない。そしてこの会議が、イラクにおける政治体制と新しい国家の形態を決定するのである。そしてこの会議は、人民を解放し、民主主義を広めると称する新植民地主義と真っ向から闘う組織である。

 今日、私たちは素晴らしい現象、私たちの闘いと連帯する、戦争とネオリベラル・グローバリゼーションに反対する運動に遭遇している。これは新植民地時代における解放のための国際運動に、新しいコンセプトの基盤を提供している。

 私たちのイニシアティヴが喚起している緊急な問題、私たちの集団の正統性と代表性についての問題を実感している。すなわち、誰が私たちに、イラク国民の名の下に話すことを許しているのか?私たちは誰なのか?なぜ、このようなイニシアティヴをするのか、という問いである。私たちは、これらの出来事の最中から立ち現れ、この攻撃的な戦争の前から、戦争を回避し悲惨な結果にならないように、国が変わるための平和的な解決法を提案してきたととりあえず単純に言っておこう。戦争と占領が始まるや否や、独立した憲法制定会議の設置を呼び掛けた。私たちはイラク国内で、この提案を広めるために活動して来た。そして出来るだけ広範囲の人たちがそれを担うよう、また反戦とオルターナティブ世界主義者たちと私たちの運動を連動させた。その後、私たちの提案を、アラブ諸国連合の事務総長アンルー・ムーサ氏に提案し、彼は全面的な支援と、これを実現するために協力すると表明した。毎日、占領と野蛮な力のために状況が悪化し、イラク民衆の正当なる希望すべてが萎みつつあるイラクにおいては、この提案が非常によく歓迎された。

 イラクを覆っている悲劇的な環境のプレッシャーの下では、多様な政治的提案はそのメリットを得ることもあるが、限界もまた示している。これが、私たちの国の占領の数日後に公表された私たちのイニシアティヴについて言うことができることである。今日私たちが公表する事務局、そして近々イラク国内で発表される憲法制定会議準備委員会は、イラク統治評議会と競合などしない。それらは全く違った性格で、私たちの会議は、占領政策と真っ向から対立し、闘うものであるのに対し、イラク統治評議会は占領計画の道具でしかない。私たちの計画は、亡命政権の計画とは完全に異なる。私たちの計画はイラク解放運動の行動を政治的に具体化し、占領下において、大きな流れとして、この運動の様々な行動を集合させることを狙っている。

 私たちはそれ自体、多様性を持つイラクの民族的な運動の中心から来た力を代表している。私たちの間には、世俗的な民主主義者もいれば、マルクス主義者もいれば、共産主義者もいれば、汎アラブ主義でナセル主義者もいれば、民族的宗教的マイノリティーもいれば、イスラム主義の勢力もあれば、市民社会と知的社会の人たちもいる。私たちの代表性も行動できる能力も、急速に発展している。私たちが擁護している目標は私たちの国の中心的な社会的政治的な主要な勢力によって受け入れられた民族的なひとつの要求になりつつある。

 私たちは、私たちの声が世界中に、正義を擁護するすべての人々に届くと確信する。

−Khoder EL AZZAWI, Danmark, democrate
−Hubert Baba KHAN, USA, Mesopotamien party(Assyria)
−Mehsen CHABBOUT, USA, pro-nasserien
−Mohammad EL CHEIKLY, Bagdad, Humain rights committee
−Rameen Issa, USA, Mesopotamien party(Assyria)
−Tarhan KATANA, Bagdad, Turkmen Peuple Party
−Cheik Jawad Mehdi EK KHALISSI, Bagdad, Islamique Front
−Alaa EL LAMI, Geneve, Communiste Party
−Saad EL MALIKI, Londre, colonel, 1991's revolt officers
−Fares Wehayeb, Japon, Marxiste
−Abdel Amir EL REKABY, Paris, sporksman, writer

ホーム
イベント
トピックス
世界社会フォーラム
No to WTO
専門部会
設立趣意書
ATTACJapan規約
入会案内
ニュースライブラリ
ATTACリンク

イラク情勢