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2000年2月27日取材 ものづくり職人列伝 |
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2月27日、列伝グループは「砧工房」佐武将章さんを訪ね、ぼかし染めの体験とインタビューを行いました。 佐武さんは、引き染め・ぼかし染めを専門とする創作染色家です。自分で作って自分で売る「職人+営業スタイル」をモットーとしています。また染物の楽しさを大勢の人に知って欲しいとの想いから、並行して気楽に楽しめる染色法を教えています。 さてインタビューでは、含蓄に富む話に一同深い感銘を受けました。メンバーのレポートの中から、その一部を紹介します。 |
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草木染めは命の色 佐武さんにとって染色は、仕事を超えた趣味、または生き甲斐であるようだ。 「染めが面白くて。好きで好きでたまらないんですよ」と言いながら、こんな話を聞かせてくれた。 「草木染めは、色を混ぜる事が出来ないんです」 黄と青を混ぜれば、緑が作れそうなものだが、草木染めの染料は混ぜた途端に色が濁ってしまうのだという。 「草木の命と引き換えに、色を頂いている訳でしょう。別個の命は、混ぜる事が出来ない。不思議だと思いませんか」 また一度染めてしまうと、色抜きが出来ないのも、草木染めの不思議なところだ。そんなはずはないと、佐武さんは藍染の布を漂白液でぐつぐつ煮立て、実験してみた。鍋の中では白く色が抜けた布も、空気に晒すと見る見る内に藍の色を取り戻したそうだ。(注 藍の色素は、酸化により発色する) 「命は消すことが出来ない、なんて思ったりしてね」 |
染料について解説してくださる佐武さん |
虹 佐武さんにとっては、『虹』との出会いが染色職人になる原点だと言ってもよかったのです。 何も無い「空」の中に突然出現する七色の『虹』に魅せられて、いつしか誰かに伝えたい思いで、絵を描いたり、言葉で表そうとしたが、どれも続かなかったのが、20代半ばに「染色」に出会いこの世界で『虹』を、表現されてきました。 |
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出会い・家族の絆 90年代のバブル崩壊後の時代は、室町、西陣の和装に携る人達にも深刻的な経済状況がありました。 今までの商習慣の往き詰まり、価格破壊など大変な日々でした。佐武さんも自分を取り巻く環境は厳しいものでした。 そんな中、染色仲間や同じような工芸に携る人達のつながりは、佐武さんを励まし、勇気づけるものでした。仲間達で作品展を開き、全国を旅されたそうです。行く先々で多くの人に出会い、その地域の好みを知り、作り手が直接お客さまと会話をする事で、多くのことが学べたそうです。 佐武さんはインタビューをしていた時も、染色を体験させてもらった時も、淡々と静かな語り口で話されていましたが、ここまで職人としてやって来れたのも家族のおかげだと話をされた時は、『声を大にして、家族に”ありがとう”と言いたい。』と強調して言われました。 これからも、人の出会いを大切にして、職人として与えられた仕事を確実にこなし、『虹』の世界を創っていきた いそうです。 |
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こだわりの心 いろいろな御話をうかがう中で、佐武さんは大変「こだわり」の心が強く、染色にしても、釣りにしても、密教にしても一度決めたらとことん・・・という方だなあと云う印象を受けました。そのエネルギーの強さに、私自身もがんばらねばと勇気づけられる思いが致しました。 |
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