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基礎知識(第3号被保険者)
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次期年金改革

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次期年金改革で何が議論され何が問題とされているの?

女性に関わる年金制度の改革については,3号被保険者の問題遺族年金の問題の2つがもっとも大きな議論の中心です.

1)第3号被保険者をめぐる議論

年金は保険料を支払うことで将来の年金給付の受け取りが保障される制度です.現在の制度では最低でも25年(300ヶ月)の国民年金保険料を支払っていなければ年金を受け取れる年齢になっても1円も年金を受けることはできません.年金保険料を負担する個人を「被保険者」といいます.被保険者には第1号第2号第3号と3つのグループわけができます.このうち,「第3号被保険者」のグループ,言いかえれば被用者保険被保険者(第2号被保険者)の年収0円〜130万円未満の配偶者がこのグループに分類される人々です.被用者とは雇用労働者(サラリーマン)のことです.このグループで大多数を占めるのがサラリーマンの無職の妻いわゆる専業主婦であることから,第3号被保険者の議論ではもっぱら「サラリーマンの専業主婦」の問題として議論されています.被保険者とは本来保険料を負担する(自分で払う)人のことをあらわしますが,現行の制度では「第3号被保険者」は負担をしていません.そこで,「第3号被保険者」が負担をせずに基礎年金を受給することを問題とする人々がこれを議論しています.

3号被保険者の議論「公平な負担になっていないという批判」

よく聞く批判の例@

「サラリーマンの専業主婦は所得があっても130万円未満なら基礎年金保険料(月に13300円)を納めなくてよいが,第1号被保険者である自営業や夫が被用者保険(厚生年金や共済組合など)に入っていない人の妻は専業主婦でも基礎年金保険料をおさめなければならない.不公平だ.」

@にたいする反論の一例

「そもそも所得の把握が困難な第1号被保険者(自営)の保険料は定額(その人の負担能力に関係なく一定額にさだめた保険料のこと)となっており,負担能力に応じて徴収している第2号被保険者とは違うので,比較できない.」(参照『報告書〜女性自身の貢献がみのる年金制度〜p.41第3号被保険者制度をめぐる様々な議論)

よく聞く批判の例A

「世帯所得が同じなら片働き夫婦と共働き夫婦とは世帯単位でおなじ年金保険料の負担をしているというが,夫ひとりで稼ぐ世帯は夫婦で同額稼ぐ世帯よりも比較的裕福な家庭だといわれている.その場合,共働き世帯から片働き世帯への所得の移転がおこなわれていることになり不公平だ.」

上記批判Aに対する反論の一例(参照 例@に同じ)

  「(引用) 確かに,個人に着目した場合は,被用者の被扶養配偶者は基礎年金制度を通じた再分配機能により所得移転を受けており,これをどのように考えるか様々な見方があり得る.この点について,夫婦世帯の標準報酬の合計をみる限りにおいては,現行の年金制度は,基礎年金制度を通じて標準報酬の合計が高い世帯から標準報酬の合計が低い世帯へ所得移転が行われる仕組みとなっており,指摘されているようなことにはなっていない.」

上記批判Aをさらに支持する意見の例(出所「自分を守るための年金知識」木村陽子)

「(引用)たとえ現役時代に専業主婦世帯も共働き世帯も老齢年金受給額の合計がおなじで,退職後も夫が生存中は専業主婦世帯も共働き世帯も老齢年金受給額の合計が同じであっても,次頁のコラムにあるように,夫の死後は,専業主婦世帯の方が,共働きで働いてきた妻よりも遺族構成年金が高い場合がある.ここにも妻の生活水準は夫の生活水準によって決まるという考えが見える.これはあきらかな不公平である.」

よく聞く批判の例B

「負担能力が無いから第3号被保険者からは保険料が取れないというが,130万未満の収入を得ている人が3割いるという調査結果である.また同調査では年間収入が38万円未満という人はわずか9.3%38万円以上103万円未満の人が78.9%103万円以上130万円未満が6.5%130万円以上が5.3%だった.収入のある第3号被保険者は負担すべきではないか.(参照 検討会第17回資No.17.pdf p.58)

上記批判Bに対する反論の一例

「収入認定の基準は年金保険のみならず,健康保険や介護保険についても同様で,いくらまでを下限とするかは慎重に検討を要する.そもそも,130万円未満の収入を得ている人々はほとんどが非常勤(パートタイム)などの被用者であることから,厚生年金の適用をひろげて行くべきという意見もある.その場合,保険料には現行の制度では雇用主負担が発生するので,労働費用が上昇することを雇用主が受け入れるかどうかは近年の経済不況を考えると難しいのではないか.」

よく聞く批判の例C

「そもそも,第3号被保険者にとどまるために,多くの女性が就労調整をおこなっているのが実態で,それをよいことに,雇用主は女性のパートタイム労働賃金を低く押さえることが可能になっており,パートタイマーの労働条件整備を阻害している.収入のある仕事をしている人の35.1%が常勤で働かない理由を税制上の優遇措置を受けるためと回答している.」(参照 検討会第17回資No.17.pdf p.58) 

上記批判Cに対する反論の一例

「年間の総就労時間を調整しているのは,税制優遇措置等のためだけではない.そもそも,育児や介護や家事で短時間しか働くことができなかったり,家庭責任との両立が困難であったりすのために短時間労働を自ら選択しているひともいるのではないか.」

〔さらに詳しく知るために〕

どのようにして年金改革で第3号被保険者について議論されたのか.(検討会第4回配布資料参照 No.4.pdfで詳しく知ることができます。

パートタイマーや派遣労働者の厚生年金適応に関連した資料(検討会第13回配布資料 No.13.pdf 資料編p.3)をみてください。

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更新日03/10/06  お問い合わせは次のメールまで