☆光州訪問記その2 5・18前夜祭学生と労働者集会
第三話 集会から感じる変革のエネルギー
自治労音協事務局次長 小川典子
5.18前夜祭集会参加の市民たち
十七日、午後九時、光州市の主催する前夜祭はアジア圏から選ばれた沖縄の音楽家喜納昌吉のハイサイおじさんで盛り上がり、その後現代韓国の若手歌手、アンチファンのコンサートで盛り上がっていた。
私は、待ち合わせ場所の光州日報社のロビーに戻るが、会場周辺で市民の多くが子どもや、お年寄りを連れてどんどん参加してくるなか、屋台の主人が菓子や巻貝や蠶のさなぎの食べ物を売り歩くお祭りのようなにぎわいであった。
当局主催の集会に対して、大通りの反対方向で労働者学生の主催する集会が開かれていた。私たちの集会のように、学生や労働者の歌声行動隊のようなメンバーが元気よく労働歌を熱唱している。
会場の周りでは、民族衣装の青年男女がチャンゴを打鳴らし隊列を列ねて時たま周辺を走り回っている。
昼間は、マダン劇で多くの聴衆が若者たちのエネルギーに喝采をしていたが、こうした深夜まで多くの市民、学生がいっしょに共有する集会が行われていることは前回の参加の時は気付かなかった。
手作りの舞台で音響をやっている学生や労働者たちと話したかったが、何ぶんハングルができない私は、とっても残念な思いをした。
最近、全南大学から留学中の女子大生にこの時の感想をお話したところ、大学の学生誌に光州の民主化について投稿を依頼された。韓国の事情をもっと知らなければ、過去から現在に繋がる人々の歴史については語れない。
二十年前の光州事件は今でも多くの韓国人には理解されていない。真相と事実は過去から現在にいたるまで葬られたままの韓国の歴史は、日本の行った過去の歴史の真実を隠すばかりか、改ざんしようとする日本政府が存在する限り、変わらない現実がある。それは国家の支配者が歴史の支配者でもあるということ。
過去の光州市民と学生達が命をかけて守ろうとしたもの=民主主義という自由の権利を勝ち取るため、こうした状況を少しでも変革していこうとする力を、光州に結集した青年たちに感じることができた。もう日本の学生達には忘れ去られた光景でもある。
深夜十一時呉先生のお迎えで、伊藤先生(中央大学)と私たちはホテルにバスで戻った。市内はいつまでも明るくざわめいていた。
ここに、全市民が集会で熱唱した「五月の歌」を紹介します。花葉のように錦南路に散らすきみの赤い血…という歌詞の意味を毎年五月に忘れないように。(つづく)
5.18前夜祭 労働者・学生集会
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鐘・チャンゴを打鳴らす民族衣装の青年たちの隊列
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