財界主導の助成金「新エネルギー」は騙し絵か?
原子力発電を推進する財界筋も、口を開けば「クリーンな新エネルギーを!」と言います。ところが、私が某ベテラン技術者(のちに紹介)の先達を得て推薦する本命の「新エネルギー」、高温岩体発電が成功すると、売らんかなの「ウラン」や「石油」などの「旧エネルギー」商売は、上がったりとなります。
そこで、どうせ先行きも補助的な可能性しかない「新エネルギー」の騙し絵、コスト高の「天気まかせ」「風まかせ」「潮まかせ」、果ては「リサイクル」と称する囮、案山子を、ズラリと並べて見せては、原子力発電反対、核兵器反対の運動の矛先をそらせる戦術を考案し、しかも、その費用は、血税から横取りしているのではないでしょうか?
ヨーロッパの中世では、機織り職人の失業を招く新機械は壊され、発明者は溺死させられました。イギリスの労度運動の始まりも、機械打ち壊しの暴動でした。それは、時代遅れの悲劇ではあっても、生活を守るための必死の知恵の結果でした。事実、イギリスの綿工業が発達し、植民地支配が広がった時には、多くのインドの機織り職人が飢え死にしたのでした。
今、私が、上記の先達を得て、疑い続けている「高温岩体発電」研究の「飼い殺し」「捨扶持」「座敷牢」扱いの問題は、事実だとすれば、実に汚い悪徳資本の生き残り戦術なのです。
以下の記事は長文なので、まずは、お読み下さい。論評は、次回に繰越します。
『日本経済新聞』(1999.10.3)
(日曜版:Sunday Nikkei)
スクープ
東海村臨界事故で注目度高まるが……
新エネルギーに意外な弱点[大ゴシック文字リード]
起こり得ない事故が起きてしまう恐怖。茨城県東海村の臨界事故は、原子力の安全体制が持つ危うさを改めて突き付けた。そこで重要性が一層高まっているのが、風力発電などの安全でクリーンな新エネルギ‐だ。一部で有力な発電手段として育つなど、健闘している。ところが、その成長につれて、思いもよらない障害が見えてきた。
[写真説明]:
1)東海村臨界事故の会見の冒頭で頭を下げる木谷宏治ジェー・シー・オー社長(手前)ら(9月30日午後、科学技術庁)
2)クリーンエネルギーとして期待されている風力発電施設(北海道苫前町)
[表]:新エネルギーの種類
エネルギ-の種類 主なエネルギー変換および利用例 再生可能な
エネルギ-太陽 光 太陽光発電等 熱 ソーラーシステム等 風力 風力発電、風力揚水等 水力
(中小水力)水力発電、水車等 地熱 地熱発電等 海洋 波力発電、潮汐発電、海洋温度差発電等 温度差エネルギー 海水・河川・下水の温度差などの末利用エネルギーを利用した熱供給等 リサイクル型エネルギー 廃熱 工場等 工場廃熱等を利用した発電等 LNG LNG気化冷熱発電等 廃棄物 家庭 ごみ焼却熱による発電、ごみ焼却熱の利用等 排泄物等 下水(し尿)処理メタン発酵ガス利用、畜産廃棄物メタン発酵ガス利用等 工場 工場廃液メタン発酵ガス利用、木質系廃棄物燃料利用等 従来型エネルギーの
新しい利用形態クリーンエネルギー自動車(天然ガス・電気・メタノール等を使用する車、ハイブリッドカー等)
コージェネレーション
燃料電池発電
その他新エネルギー財団まとめ
[本文]
「原子力発電に対する大きなダメージは避けられない……」。電気事業連合会の大田宏次会長(中部電力社長)は1日、苦り切った表情でこう語った。日本初の臨界事故は、原子力発電を推進してきた日本のエネルギー界に衝撃を与えている。
西欧全体の4基に対し、日本だけで6基。日本原子力産業会議がまとめた「世界の原子力発電開発の動向」で建設・計画中の原発の数を1998年末時点でみると、日本の原発増設ぺースは先進国の中でずば抜けて高い。2010年までに15基以上の原発を新設する方向だ。
ところが、今回の事故で「新しい原発の立地計画は大きな障害を抱えた」(太田会長)。核燃料加工会社と原発では事情が違うとはいえ、ただでさえ難しい地元との交渉に影響を与えるのは間違いない。
地球温暖化を招く2酸化炭素の排出を増やさず、絶対に安全な新エネルギーを一刻も早く育てる必要がある……。今回の事故を契機にこんな声が高まるのは間違いない。「事故は残念だが、新エネルギーへの注目度は高まる」。ある新エネルギーの発電事業者は期待をかけている。
新エネルギーは大陽光、太陽熱、地熱などクリーンで安全な自然エネルギーを活用する。特に近年は風力発電の伸びが目覚ましい。
景観などにダメージ
立地厳しく茨城県東海村が過去最悪の原子力事故で注目を集めていた1日、北海道苫前町では、大規模な新エネルギー施設が試験操業を始めていた。トーメンの風力発電設備「苫前グリーンヒルウフィンドパーク」だ。
日本の風力発電能力は全国合わせても約3万キロワットだったが、これは1ヵ所で実に2万キロワットの発電能力を誇る。日本最大の風力発電設備だ。さらに、オリックスと電源開発は同じ苫前町で3万キロワット級、トーメンは青森県で6万キロワット級の風力発電を計画。大規模な風力発電施設の建設が目白押しだ。
急増のきっかけは、1997年の新エネルギー特別措置法による国の助成制度に加えて、昨年4月から各電力会社が大規模な風力発電に長期優遇買い取り制度を導入したこと。商社やメーカーが相ついで参入し、ブームのような様相を呈している。
順風満帆に見える風力発電ビジネス。ところが、一方では、大手資本が計画の見直しや撤退を迫られる事態に陥っている。2月に立ち上がった石川島播磨重工業(IHI)と三井物産との北海道椎内市での風車発電プロジェクトは8ヵ月足らずでとん挫。IHIは「一時的に事業そのものからの撤退も検討せざるを得ない状況」と、厳しい見方だ。
追い風が吹いているはずの風力発電に見え始めたほころびとは何か。第一は「環境」対「環境」の争いだ。クリーンなエネルギーをもたらす風車が何と「環境にダメージを与える」とみられているのだ。
強い風が必要な風車の立地侯補として事業計画者が熱い視線を浴びせているのが国立公園。ところが、自然公園法で景観保護を決めており「相談があっでもお断り」(環境庁)。2酸化炭素削滅の旗振り役の環境庁が、この点では風力発電の敵だ。
防風林や防砂林、農地、港湾地区などに指定されていれば、規制があって難しい。これらの規制は広い意味で環境を守るためのもの。環境規制が風力発電を妨げるという皮肉な構図だ。この結果、有望な立地をめぐって「風力発電地上げ」が起きているという笑えない話もある。
風力発電ビジネスに詳しいコンサルタントの前田以誠氏は「新エネルギーは通産省だけの問題ではない」と指摘する。「自治省、農水省、環境庁などが省庁間の垣根を取り払って調整する時期に来ている」
住民意識は各論反対
コストも高く第2の難関が「総論賛成・各論反対」に陥りがちな住民の意識だ。
売電が目的の発電所は地元に電気を供給しない。無人が売り物だから新たな雇用も生まない。目障りな風車が目の前に立つだけだ。自分が参加している意識が育ちにくいため、賛同を得るのはむずかしい。
風力発電事業者、エコ・パワー(東京・港)の遠藤昭取締役は「コストを電気料金に反映させるなど、受益者負担の仕組みが必要」と主張する。札幌市の生活クラブ生協北海道は、電気料金に5%を上乗せし、上乗せ分を風力発電設備の建設に積み立てるという試みを始めている。
しかし、ここで第3の、そして最大の問題が待ち受けている。火力発電に比べて2~3割高い発電コストだ。現状では電力会社が通常より高く買い取っている。プロジェクトが目白押しの北海道や東北地方の電力会社は、地域貢献の名目もあって、安定供給に不安を残す電気を高い価格で買わざるを得ない。
そこで北海道電力は買い入れ入札制を導入。価格競争をさせるとともに、風力発電の買い取り枠を当面15万キロワットに制限した。これが風力発電事業者にとって痛手になった。
関係者の間には「デンマークのように、買い取り額の一部を国が負担する仕組みがないと、ビジネスは成立しない」という声が多い。
これらの問題は自治体主体の小規模発電から企業の巨額投資事業へと風力発電の中軸が移った中で露呈した。風力発電に限らず、黎明(れいめい)期にある各種の新エネルギーがいずれ直面する関門でもある。
発電量の約4割を占める原子力は日本の総エネルギー需妻の約10分の1をまかなう。これに対して新エネルギーはわずか1%だ。原子力発電が負う危うさを安全でクリーンなエネルギーで補完するとしても、規模が拡大する過程でこんな問題が生じては普及は難しい。東海村臨界事故を契機に、新エネルギー開発のためのインフラ作りを考える機運が高まればいいのだが。
(スクープ取材斑)
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以上で:5終り。:6に続く。
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