政策提言:さくら銀行株主総会で日本経済再生の提言(その1)

1999.3.19

 さる3月4日、私は、本誌前号連載『仰天!武蔵野市「民主主義」周遊記』(その11)既報のように、さくら銀行の臨時株主総会に堂々「末端株主」として出席し、旧態依然たる総会屋とも対決の上、発言時間を確保し、わがホームページ『武蔵野市民オンブズマンの城』に掲載中の「緊急提言:21世紀日本経済再生政策」を開陳してきた。

 陳ぶれば、長い長い講談並、扇子を叩くべき場面も多いが、ごく簡単に、幕末の倒幕派に資金を供給した三井の流れを組む大手銀行の本店大ホールにおける一席を報告する。

 まず「末端株主」とは何ごとか、資本家を目指したのか、と疑念を抱く向きもあろうかと杞憂し、その事情を簡単に告白する。私は、日本テレビ相手の不当解雇撤回闘争の際、それまでの実績から見て、何らかの解決に至った際には、厚生年金が全年数つながると判断し、失業者でも入れる国民年金にも加入しなかった。ところがまず解決までに、なんと、16年半も掛かってしまった。しかも、その間、すでにバブル経済の崩壊が兆し、労働行政も反動化し、それまでは、いわゆる玉虫色解決でも2年溯って納めれば争議期間すべてが雇用され、厚生年金の積立をしていたと見做される「行政指導」が改悪されてしまった。労資間の解決後に何度も労働省の出先、本省と交渉したが、異常にガードが固く、結局、諦める他なかった。

 解雇以前の11年半の雇用期間は納入済み、溯って納めることができるのは2年、計13年半にしかならない。武蔵野社会保険事務所で計算してもらったところ、人並みよりも少ない年金(厚生・国民の合計)の支給を受けるためには、60歳以後にも44カ月も、国民年金を納めないとならない。納めなければ全部没収される。支給開始時には64歳に近付く。そこで、わずかな解決金の一部とそれ以前から積み立てていた生命保険を土台にして、民間年金を積立て、これが65歳から支給が開始される予定だったが、ついに本格的なバブル崩壊となり、特に名を秘すが、預け先の保険会社も「バブッてる」という情報が入った。預金ならば1000万円までは保障されるが、保険は下手をすれば0となる。そこでまた、急ぎ解約して、しかし、普通の預金では利息がほとんど付かない。そこへ、中国共産党が幹部に資金を与えて相場の実地訓練をしているとの情報が入り、ではと試し始めたら、日銀の「どぶん」「ざぶん」まで暴露されて、銀行株が急落。ままよ、果報は寝て待て。

 しかし、どうせのことなら、その昔、日本テレビが赤字粉飾決算の折、労組執行委員として記者席で観察した切りの株主総会でも見に行こうか、行くなら一発、演説してくるか、演説するなら、その前に会場前で資料を配ろうか、などと段々に気分が乗ってきて、事前に電話も入れて丁重にも「質問は短くして頂きたい」とか言われ、ついに定刻より30分の早い朝9時半に九段下の本店を訪れ、最初に正面の座席をジャンパ-で確保し、断られるのを承知の上で会場内で資料を配らせろと要求し、慇懃に断られると外で配り、開始3分前に席に着き、見出しだけ見た週刊誌報道によれば「失踪」まで伝えられた議長役の岡田頭取の報告が終わるのを待った。

 質問時間に入るや否や、さっと素早く入場札を高く掲げて「質問!」と叫ぶべく、身構えていたので、頭取の、ありきたりな報告内容については、翌週に電話を入れて確かめた。11万3397名の株主で40億4688万1千株の内、出席株主が329名で8億4770万2千株、委任状が2万1453名で22億5082万8千株、過半数の成立要件を満たしていたそうだ。

 ところが、ところがである。目も「虚ろ」に見えた岡田頭取は、「それでは、ご質問を」と言いながら、さっと素早く入場札を高く掲げて「質問!」と叫んだ真っ正面の私を見ずに、ゆっくりと首を左に、私から見れば右に回し、かなり離れた方を指差したのである。すべて打ち合わせ通りが見え見え。何とも品のない総会屋が、週刊誌ネタでネチネチと株主の不満を代表するかのような長い長い質問と言うべきか下手な漫談と言うべきか、チビっと頭取が謝ると、また続けて、なんと、途中で「ムニャムニャ薬を飲んでいるから喉が乾く」などと実につまらぬことを言いながら、最近流行のミネラルウォーターの瓶から喇叭飲みしては、ダラダラ質問を続ける。なんと、25分経過。もう11時である。そこで私は、すっくと立ち上がって、「議長!」と鋭く叫んだ。

「私は、昨日、電話をして、質問は短くしてほしいと言われ、5分程度にまとめてきた。ところが、彼は一人で長々とやっている。不公平ではないか!」

 いかにも決断力の鈍そうな岡田頭取がぐずぐずしている内に、何とも品のない総会屋の方が、「交替しましょう」と譲った。よし、と発言を始めると、ついつい予定していない台詞が飛び出てくる。

「私が、入り口で資料を配っていたら、中年の女性から、あなた総会屋と、聞かれた。私は、総会屋ではない。むしろ逆に総会屋とは対決してきた末端株主だ」

 すると、何とも品のない総会屋がまた立ち上がって、「総会屋じゃない」とか何とか、ブツブツ言い始めた。しかし、そこは長年、シュプレヒコールで鍛え上げたわが美声である。ざわ付く会場を制して、手短に質問した。それからがまた大変。

 ところが、以上で今週の予定の紙数が尽きたので、いや、正直に言うと発行時間が迫ってきたので、おあとは次回とする。

 以上。


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