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『亜空間通信』548号(2003/04/01)
【サダムは自国民を毒ガス虐殺のデマを広めつつ反戦の主張のフリ感傷に浸る愚衆】
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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!
このところ、若者が「ゲーム感覚で始めた」と正直にいう反戦運動が高揚している。
私は、常に現場主義、最先端主義だから、全体の状況を見える位置で参加し続けている。欠陥が見えて来ると、すぐに注意しなければ、自分の主義に反する怠慢になる。しかし、夏目漱石曰く:知に働けば角が立つ。
それでもなお、1960年安保闘争以来、つまり、ここ43年の「下積み」経験から、見えてきた欠陥の特徴を記す。
私は、やはり、これまでと同じ様な「権力闘争」「権力意識」「先輩面」の傾向が出てきたことに留意している。
いわゆる既成組織も、バスに載り遅れまいと、必死に動員を掛けだした。こいつらが「動員実績」を競って、中心に座ろうとすると、同じ過ち、または時間と労力の無駄を繰り返すことになる。
裸の猿は、といよりは、自己中心の遺伝子の運び手、またはその集団としては、当然、避けがたい傾向である。しかし、このまま放置すると、やがては必ず高揚の波が引き、これまでと同様の「賽の河原の石積み」または「シジフォスの神話」の嘆きの繰り返しとなる。
そこで、早めに、臍曲がりの憎まれ愚痴警告を発して置く。
しかし、言い出しっぺで憎まれるのも損だから、最初に、以下の若者の愚痴を紹介する。
----- 引用ここから ------------------------------
■■■■□■□□■□■□□□◆ 国連情報誌SUN
■□□□□■□□■□■■□□■ http://www.issue.net/~sun/
■■■■□■□□■□■□■□■ mailto:sun@issue.net
□□□■□■□□■□■□□■■ 3月25日(火)の出来事
■■■■□□■■□□■□□□■ 文責:けい mailto:kei@issue.net
[中略]今日の一言 敢えてぶっちゃけてみる。
3/20にとある所に書き込んだ内容、かなり過激なのですが、敢えてここに転載します。
[中略]
降って沸いたように戦争反対って声を上げるのはどうなの?そういう人たちにとっては本当に一時的な反戦の主張のフリをして自分は心を痛めてますなんて感傷に浸るだけなんでしょう?
だったらここ数年のイラクの状況に関して能動的に情報を得て、イラクの人道援助の問題や政治的な問題について認識しとけよと。そういう意見や意志を国会議員や首相や政府にいっとけよと。」(原文ママ)
随分と酷いことを私は言っていますが、今、反戦の意志を示したり行動することは確かに大切なことだと思います。尊い行動だと。
でも、現実問題としてブッシュ政権はこの世論を受け入れて即時撤退を行うでしょうか?
その可能性は高くないと言わざるを得ません。
例えば、普段からほんのちょっとでもいいから国際欄に目を通しておく。普段の政府や政治家の発言を気にとめておく、そして自分の持っている選挙権を確実に行使する。政治家に投書してみる。面倒かもしれないし、それは相当回りくどいことかもしれない。
でも、そういったことを怠ってきたツケが、今、表面化しているのかもしれません。
自戒を込めて。
[後略]
----- 引用ここまで ------------------------------
そういう折りも折り、今まさにアメリカが、またはアメリカの戦争屋が、最大で最強の「サダム悪魔化」攻撃の武器として使い続けているデマ宣伝、「自国民のクルド人への毒ガス攻撃」に関して、何と、反戦運動の発言者が、「サダム・フセインのクルド人虐殺は許せないが、アメリカは酷い」という文脈で演説していた。そこへまた、以下の報告が届いた。
----- 引用ここから ------------------------------
【NGO非戦ネット】署名提出の件
皆 様
いつも温かいご支援誠にありがとうございます。
大変遅くなりましたが、対イラク攻撃反対の署名提出の件につきましてお知らせ致しますので、宜しくご査収の程お願い致します。
なお、ワード文書の添付と以下の掲載は、同じ内容となっております。
NGO非戦ネット
記
平成15年3月
関 係 各 位
〒110-8605 東京都台東区東上野1-20-6 丸幸ビル6F
日本国際ボランティアセンター内
NGO非戦ネット
Tel:03-3834-2388 Fax:03-3835-0519
拝啓
早春の候、時下ますますご清祥の段、お喜び申し上げます。
日頃は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、対イラク武力行使に反対する要請書へ賛同いただいておりまして、誠にありがとうございます。おかげ様で、国会議員から39名のご賛同を得て、また市民団体など
の149団体からご賛同を得て、3月5日に新藤外務大臣政務官に個人13,694筆の署名を無事提出することができました。
[中略]
●出席者: 外務大臣政務官 新藤義孝(新藤)
[中略]
安藤 署名を直接提出する行動に関わったのは今日が初めてで、いつもは家でTVを見ながら独り言を言って怒っています。他の国は武力行使か査察継続か明確にしていますね。中間派もありますけれど…。日本は何日の安保理を見てから――何日の安保理の状況を見てから――と先延ばしするばかりで、何を考えているのか、私たちに説明がない。
また、アメリカも査察によってイラクが兵器を廃棄しているのを見ていながら、自分のほうは世界最新、最強の兵器でイラクを叩くというのは卑怯じゃないですか。
国益を考えたら、戦争をしないのが一番いいのですよね。私が子どもの時戦争があって、家も焼かれ、家族がバラバラに離れて、つらい思いをしましたけれど、戦争の後の復興ってこれもまたつらく大変なことなのですよ。戦争をしない事が国益だと思いますので、しつこい様ですが、宜しくお願いしたいと思います。
[中略]
新藤 そこが私たちも正確に認識したいのですけれども、結局それが査察の結果で明らかにならないんでしょう。アッサムードIIを廃棄したと言っても、それは一説によるとエンジンだけで380機あると言われている。少なくともミサイルとして形で準備されているのも100機ぐらい。しかしそれを最初で4機、その後6機、10機壊しましたと言っても残り少なくとも90機あるのです。私達がもっと心配しているのはVXガスや科学兵器です。3年ちょっと前の国連の調査によると2.4トン以上VXガスがある。これはサリンの(地下鉄サリン事件で使った量の)7万2千回分の量があって致死量で言うと2億人が瞬時にして死んでしまうと、そういう兵器があるはずだと国連は言っている。一方でイラクはないと言っている。ないならば、どうしてなくなったのか、そこが分からない。イラクは弱ってしまっているから、そういう兵器はないのだと言いながら、4年間査察は実際的には強制的に回避された。しかもそれがどんどん怪しい方向になった。あとは仮定の話です。しかし国としてかつてクウェートを攻撃した、クルドに使ったことがあるわけですよね。しかし、今度は国の戦争ではなくって、ひょっとして、不特定の小グループまでもが使うようになったらもう待てない訳ですよね。有り得ない事だったのだけれども、9月11日にそれが起きた。それが関連づける確たる証拠となる訳で、でも可能性としてコントロールが効かない状態で、ないならないでここに捨てた、非化学処理をこうしたと言えるはず。ないと言っているだけで証拠を示すことができないので、問題が起こっている訳なのです。
[後略]
----- 引用ここまで ------------------------------
つまり、「毒ガス」問題に関しては、政府側の新藤(自民党議員)が、「クルドに使ったことがあるわけですよね」と言ったのに対して、「非戦ネット」側は、何の反論も行っていないのである。何も知らないのである。
これが上記の「国連サン」の訳者の若者の表現、「一時的な反戦の主張のフリをして自分は心を痛めてますなんて感傷に浸るだけ」の人々の水準なのである。
これには、私自身も、「賽の河原の石積み」の想いに浸らざるを得ない。
この問題では、最近にも、以下の阿修羅戦争29掲示板投稿があった。
----- 引用ここから ------------------------------
クルド人虐殺はイラクじゃなかった?
http://www.asyura.com/0304/war29/msg/664.html
投稿者 kan 日時 2003 年 3 月 30 日 22:35:21:
「ワシントンの国防情報局は、毒ガス使用地域に調査団を派遣し、その調査の結果、クルド人を殺したのはイラクではなく、イランの使った青酸性のガスだ、という結論に達しました」
----- 引用ここまで ------------------------------
詳しくは、目下、電網公開でヒット数が1万を超した拙著の以下の部分で詳述した。
----- 引用ここから ------------------------------
http://www.jca.apc.org/~altmedka/gulfw.html
『湾岸報道に偽りあり』
隠された十数年来の米軍事計画に迫る
http://www.jca.apc.org/~altmedka/gulfw-12.html
第二章:毒ガス使用の二枚舌疑惑
[後略]
----- 引用ここまで ------------------------------
ああ、疲れる。「民は知らしむべからず、寄らしむべし」という日本語訳の漢語は、民衆に「知らせない」の主旨として広められているが、実は、「民衆に教えても難しいことは理解しないから、頼りにされるようにせよ」という帝王学の教えなのだそうである。いわゆる愚衆の統治には、これだけの知恵が必要なのである。理屈に合っている。
今は、ああ、こんなことでも考えて、我慢、我慢、なのであろうか。でも、やはり、ああ、疲れる。
以上。