送信日時 : 2002年 2月 18日
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『亜空間通信』162号(2002/02/18)
【米国は悪魔と正反対の偉大な守護者で欧州解放の現代神話に決定打加える思想戦】
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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!
本通信既報、『亜空間通信』156号(2002/02/10)【仮題『9.11.~アフガン侵略決定的総合資料』事前予約立ち上げ資金への協力要請】に対しては、多くの方からの予約申し込みを受けつつあるが、その中には、予想通りのことながら、以下に一部を引用するような「危惧」を表明する例もあった。
杞憂かも知れませんが、WTCへの攻撃が「モサドの陰謀」であることと、ナチスの「ホロコーストの嘘」は別に扱われた方がいいように思います。
理由は米政府CIAとモサドの反撃が侮れないからです。その場合、こちら側も2段構えの方が、応じやすいと思われるからです。ご一考ください。
以上で引用終わり。
私は、すでに何度も、この問題を論じてきたし、今回は特に熟考を重ねた上で、観閲式さながらの威風堂々たる正面攻撃に転ずる好機と判断したのである。大阪の陣で言うと、少数精鋭であったが故に衆寡敵せずの恨みを残す真田幸村による徳川家康の本陣への突撃である。本物の戦争なら総員が討ち死にの危険があるが、言論戦だから、何度でもできるし、特に苦労はしないから余裕たっぷりである。
以下、思想戦としての重要性を略記するが、現在の状況を象徴する記事が出現したので、まず最初に、以下を好個の素材として料理する。
★阿修羅♪ 戦争9
パウエル米国務長官、テレビに出演し若者と激論(読売新聞)
投稿者 えーてる 日時 2002 年 2 月 15 日20:16:46:【ワシントン15日=永田和男】パウエル米国務長官は14日、若者向け音楽専門ケーブルテレビMTVに出演し、米国のほか世界5か国と結んだ衛星中継で各地の18~25歳の若者と議論した。
冒頭、ノルウェーの19歳の女性が「現代政治の悪魔と見なされる国を代表するのはどんな気持ちか」と辛辣な問いを投げかけると、長官は、「米国は悪魔とは正反対の、偉大な守護者だ。欧州を解放したのは米軍だ」と反論。
またエジプトの男性(21)が「ウサマ・ビンラーディンが同時テロ首謀者という証拠が聞きたい」と尋ねたのには、「ビンラーディンは世界80か国の人々を殺害した行為を誇ることで自らを訴追している」と指摘した。長官は予定の1時間をオーバー、90分にわたり若者たちと議論した。
(読売新聞)[2月15日19時45分更新]
以上で引用終わり。
まさに「ステレオタイプ」の典型であるが、ジャマイカからの移民で、しかも、その元はアフリカから奴隷として連れて来られた「黒人」の末裔のパウエル米国務長官ですらが、アメリカを「悪魔」と罵られると、即座に、「米国は悪魔とは正反対の、偉大な守護者だ。欧州を解放したのは米軍だ」と反論するのである。
このいかにも確信に満ちた「ステレオタイプ」発言は、どこから生まれ、どのようにして、移民の子の幼い頭に叩き込まれたのだろうか。それが問題なのである。
思想動員という言葉があるが、どの時代にあっても、これが決定的に重要なのである。孫子については、作者そのものには諸説あるが、孫武と氏名が明記された伝記もある。孫武は、宮中の美女たちを軍隊に仕立てよとの呉王の身勝手な注文に応じて、再三、再四、太鼓に従う動作をさせ、不真面目な美女たちが笑いさざめき、従わないのを確かめた上で、処罰として隊長役を斬り殺させ、ついに整然と従わせた。
クラウゼヴィッツも『戦争論』で精神の重要性を説いている。いわゆる日本軍の精神論の誤りは、その亜流の誤りにすぎない。近代の思想動員は、一般的な用語で示すと、いわゆる全体主義の場合と、いわゆる自由と民主主義の場合とで、いささか様相を異にする。現在の問題は、もっぱら、「いわゆる自由と民主主義の場合」の思想動員のための「現代神話」である。
私は、印刷された文字に残る証拠で示すと、今から28年前の拙著『古代アフリカ・エジプト史への疑惑』の序章で、「現代神話」を批判し、つぎのように記した。
日本史では、女王ヒミコの邪馬台国が、大和か九州かというので、数十年間も論争がつづいている。せまい日本のことだから、これ以外に候補地がでてくる気づかいはない。そしてこれも、どちらかが、まちがっているに決まっている。また、ヒミコや邪馬台 [2002.02.18.注記:壹(イチ)の方が正しい] 国の位置づけについては、「皇国史観」がさまざまな錯誤をつくりだしてきた。
わたしは、これと同じことが、ヨーロッパ系の学者によるアフリカ史やエジプト史、そしてオリエント史の研究方法の中に、はっきりとあらわれているのを知った。皇国史観やナチズムは、つい30年前まで通用していた。日本やドイツは、封建制度からぬけだしたばかりの国だったから、神話そのままの歴史学が、そのまま受けいれられた。
フランス、イギリス、アメリカでは、ブルジョワ民主主義の伝統があったから、若干事情がちがっていた。だが、フランスやイギリスは、最大の植民地領有国だった。そして、アメリカは黒色人差別の国である。これらの諸国の支配体制も、当然、神話を必要としていた。そこで、一見科学的な「現代の神話」をつくりあげた。この「一見科学的」が、大変な曲者である。皇国史観やナチズムなどは、まともな学者には相手にされなかった。ところが、「一見科学的」な説明は、意外に受け入れられやすい。多分、それを考えた学者本人も、信じこんでいるのだろう。
以上で引用終わり。
私は、その後の拙著、特に『電波メディアの神話』などで、いわゆる「アメション」(アメリカで小便してきたことだけは確かな出羽の守流「あちらでは」論)への批判を展開してきた。
多くの日本の「アメション」文化人は、「ホロコーストの嘘」で慌てふためき、その最良の部分ですらが逃げ隠れするのであるが、このデマゴギーの暴露は、それらの拙著の延長線上に位置するのである。
さらにパウエルの「ステレオタイプ」の典型を分解すると、「欧州を解放したのは米軍だ」というのは、本当なのだろうか。
欧州の戦乱以前、アメリカは反共の闘士、ヒトラーを援助していたし、戦争中にもアメリカの財閥が提携を断ってはいなかったことが明らかになっている。ソ連と戦わせ、弱ったところへDデイとやらの大陸乗り込みを演出し、ソ連の進撃が早かったので慌ててドレスデンへの燐爆弾投下で約20万人を焼き殺し、同じことを日本列島へも行い、念願の欧州と日本列島の制圧を実現したのである。その切っ掛けを掴むためにこそ、日本軍の真珠湾攻撃必至の情報を秘匿し、「やらせ」たのであった。
これらのすべての「アメリカの大嘘」を暴くことなしには、Pax Americana(アメリカの平和)の阻止は不可能である。この思想戦の問題は実に根が深いので、いずれまた再論する。
以上。